ボストン・ダイナミクスのSpotとPepperのロボット軍団が福岡PayPayドームでソフトバンクホークスを応援

NPB(日本プロ野球)の試合の魅力は、フィールド上でのプレーだけではない。しかし、誰もいない球場でプレーする新型コロナウイルス(COVID-19)の時代には、どうすればいいのだろうか。韓国のKBOリーグや短縮開催されるMLBを含む多くのリーグによる、座席上の人形のダンボールの切り抜きは、非現実的な体験を身近なものにしようとする試みである。

一方、日本はシュールさへと向かっている。福岡ソフトバンクホークスは、おなじみの2種類のロボットに応援を手伝ってもらった。ソフトバンクのPepperとソフトバンク傘下のBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が開発したSpotが今週の楽天イーグルスとの対戦で、応援席を形成したのだ。このパフォーマンスは2020年7月末まで実施される。

ソフトバンクにによると「Spotがスポーツイベントでダンスを披露したのは初めて」だという。ボストン・ダイナミクスのロボットは最近多くの仕事を引き受けており、25年以上の同社の歴史の中で初めて売りに出された。建設とセキュリティがこのロボットの主な用途だが、ソフトバンクがショーにも興味を持っているのは明らかだ。一方、ソフトバンクが2015年に買収したAldebaran Robotics(アルデバラン・ロボティクス)が開発したペッパーは、接客業界で活躍している。

7月下旬に米国で開催されるMLBの短縮シーズンでは、多くのチームがボール紙の切り抜きでスタンドを埋めている。Oakland A’s(オークランド・アスレチックス)は、等身大の人形ダンボールにファンが自分の肖像を展示する有料サービスを発表した(Oakland Athleticsリリース)。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Armはチップ設計に集中、大成功中のIoT事業は分社化してソフトバンク直轄に

米国時間7月7日、ArmはIoT事業をスピンオフしてソフトバンクグループ直轄の企業とする計画を発表した。ソフトバンクはアーキテクチャが多くのモバイルデバイスに採用されているArmを2016年に買収している。今回のArmの決定は同社をチップ設計に集中させることでモバイルIP事業おける地位をさらに強化しようとするものだという。

Armは事業分離について「今後、取締役会による承認に加えて規制当局の審査を必要とする」としており、こうした手続は2020年9月中に完了する見込みだ。現在ArmのIoT事業はIoT PlatformとTreasure Dataの2部門を内容とするISG(IoTサービスグループ)に集約されているが、同グループをスピンオフした後も密接な協力関係を続けていくという。Arm本体はIoTのデータ処理ソフトウェアとサービスをスピンオフする一方、チップ設計のIPは本体に残す。

ArmのCEOであるSimon Segars(サイモン・シガース)氏はプレスリリースでデータとコンピューティングハードウェアは今後も共生的に大きく成長していくとして、「ソフトバンクは初期段階の急成長ビジネスの運営に経験とノウハウがあり、ISGの企業価値を最大化するために最適だ。Armは将来に向けた発展のロードマップの中心をIPとしており、(チップ設計に特化することで)この立場はいっそう強化される。パートナーに対する幅広い分野におけるコンピューティングのソリューションとサポートの提供もさらに充実できる」としている。

ArmのIoTビジネスは大成功を収めている。Armアーキテクチャを採用したチップは市場の数十億のデバイスに搭載されており、次の目標である1兆台搭載も10年以内に可能になると見られている。

画像クレジット:Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンク本体が出資の独フィンテック企業Wirecardが破産申請、不正会計で債務超過

不正会計が疑われているドイツの決済サービス企業であるWirecard(ワイヤーカード)の信用は完全に失墜した。ドイツ時間6月25日、同社は「切迫した破産と債務超過」のために、ドイツ法人Wirecard AGがミュンヘン地方裁判所に破産手続きを申請すると発表(Wirecardリリース)した。6月30日が支払い期限となっている8億ユーロ(約960億円)と7月1日が期限の5億ユーロ(約600億円)の貸付金について貸し手側との協議がまとまらず、同社は「事業継続能力は保証されない」とする声明も出した(Wirecardリリース)。

同社はまた「暫定破産のもとでの再建を望む」とも述べた。一方で、Wirecard  Bank AGは申請には含まれていない。「BaFin(金融サービス監視当局)はすでにWirecard Bank AGの特別担当を指名した。今後は、Wirecard Bankの全決済の発表プロセスはグループレベルではなく同行内で行われる」。

Wirecardの破綻は、同社の債務返済期限が迫っているという状況に加えて、新型コロナウイルスのパンデミックのために全世界が不況に直面している中でのものだ。パンデミックは多くの産業に連鎖反応を引き起こした。一部の企業は繁盛していても、その他の企業は事業を完全に停止したり、事業を縮小したりしていて、これは決済手数料で稼ぐというビジネスモデルを取っている企業に直接的な影響をもたらす。

ソフトバンクからの出資を受けている上場企業のWirecardは、Wirecard Groupの子会社にも破産手続きを適用すべきか決めかねている。Wirecardはオンラインと店頭での決済サービスをドイツ国外の小売事業者に提供している。直近ではメキシコに子会社(Wirecardリリース)を設立し、そのほか28都市にオフィスを置いている。

上場しているドイツ証券取引所での同社の株価は6月25日、前日の下げに続いて77%近く急落し、時価総額は3億5000万ドル(約375億円)となった。Enron(エンロン)と同じ構図の破綻だ。ソフトバンクが昨年10億ドル(約1070億円)を出資した当時、Wirecardのバリュエーションは190億ドル(約2兆365億円)ほどだった。

破綻のニュースは残念だが驚くものではない。同社監査人のErnst & Youngが21億ドル(約2250億円)もの不明金に気付き、その後、前CEOのMarkus Braun(マークス・ブラウン)氏が詐欺容疑で逮捕されるなど、かなり激動の週となっている。

先週以前から同社に注意を払っていた人なら、ここ数カ月の動きも思い出すかもしれない。KPMGが主導し、4月に公開された別の調査(Wirecardリリース)では「バランスシートを操作したという告発を裏付ける証拠は見つからなかった」と結論づけている。

Wirecardは、大損となっているソフトバンクの数多くの投資案件の1つだ。テックと投資の日本の大企業ソフトバンクは2019年4月にWirecardに10億ドルを投じた(未訳記事)。

トラブル続きのWeWorkやUberを含め、うまくいっていない他の案件と異なり、Wirecardへの投資はビジョンファンドではなく、ソフトバンクグループからのものだった。Uberは、未公開企業だったときにソフトバンクや他の企業から期待されたバリュエーションを上場後も達成できていない。

Wirecardは損失や経営状況をオフセットすることができず、破綻することとなった。同社は数多くの顧客を抱えており、Olympus(オリンパス)、Getty Images(ゲッティ・イメージズ)、 Orange(オレンジ)、KLM(オランダ航空)などが含まれている。

画像クレジット: Christof STACHE/AFP / Getty Images

関連記事:独フィンテック企業Wirecardの前CEOが詐欺容疑で逮捕、約2240億円が不明に

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(翻訳:Mizoguchi

ソフトバンクがTモバイルUS株の一部売却を検討、3月発表の負債を減らし手元資金を増やす計画の一環

ソフトバンクグループは日本時間6月16日、T-Mobile U.S.(TモバイルUS)の株式の売却を検討していると認めた(ソフトバンクグループリリース)。

2020年5月に、ソフトバンクがTモバイルUS株の約200億ドル(約2兆1500億円)を、Tモバイルの支配株主であるDeutsche Telekom(ドイツテレコム)などの投資家に売却し、Vision Fund(ビジョンファンド)などの投資事業からの大規模な損失を相殺するための合意に近づいているとBloombergは報じていた

TモバイルUSの株式の約25%を保有するソフトバンクグループは本日の通知で、TモバイルやドイツテレコムAGを含む株主、あるいは第三者との私募や公募、取引を含む取引を検討していると述べている。

今回の売却は、ソフトバンクグループが2020年3月に発表した負債を減らし、手元資金を増やすために最大410億ドル(約4兆4000億円)の資産を売却、または収益化する計画の一環となる。ただし同社は、TモバイルUSの株式を含む取引が完了するかどうかは保証できないとしている。

関連記事:SoftBank reportedly plans to sell about $20 billion of its T-Mobile shares(未訳記事)

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ソフトバンク出資の保険販売LemonadeがIPO申請

住宅所有者と賃貸者に保険を販売するLemonade(レモネード)が米国6月8日、新規株式公開を申請した。SoftBank(ソフトバンク)やSequoia(セコイア)の部門、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)、Tusk Venture Partners(タスクベンチャーパートナーズ)などからかなりの資金を調達しているLemonadeが発表した業績は急発展中のインシュアテック市場に光を当てるものだ。インシュアテック市場はここ数四半期、かなりの資金を引きつけてきた。

TechCrunchは2019年初めにインシュアテック業界を特集(未訳記事)した。なぜ保険マーケットプレイスがそんなにも多くの資金を、しかも急速に引きつけているのかについてだ。Lemonadeはフルサービスの保険プロバイダーという点で、保険マーケットプレイスとは異なる。

実際、フォームS-1にはこう記載されている。

テクノロジー、データ、AI、現代的なデザイン、行動経済学を駆使することで、当社は保険をより手軽で手の届きやすいものに、そしてきめ細かく、社会的インパクトのあるものにしていると確信している。そのために、米国と欧州で全額出資の保険会社と垂直統合された会社を設立した。フルテクノロジーが会社を支える。

Lemonadeは、保険をより良いビジネスに、そしてより良い消費者プロダクトにするテクノロジーを持っているとうたっている。そそられるものだ。保険はみんなのお気に入りの商品というわけではない。保険のマージンが少なければ、素晴らしい。もしLemonadeがそのプロセスで具体的に純利益を生み出せたら二重に素晴らしい。

数字を見てみよう。LemonadeのIPO資料を紐解くと、同社は保険からいくぶんかの利ざやを稼ぐことができるが、営業コストをカバーできるには程遠い。この資料は、Zoomの驚異的な儲けの多いデビューよりもVroomの益のない上場を(未訳記事)思い起こさせる。

数字

申請書類によると、Lemonadeは1億ドル(約108億円)のIPO規模を想定している。この数字は不正確だが、方向性としては使える。この一時的な目標額が示すのは、同社が5億ドル超(約539億円超)ではなく、1〜3億ドル(約108〜323億円)の上場での調達を目指そうとしている可能性が高いことだ。

これまでにプライベートキャピタルで4億8000万ドル(約517億円)が投じられたLemonadeは、調達額を倍増とまではいかなくても増やそうとしている。そうした資金でLemonadeはどうしたいのか。まだ損失が出ているなら、損益の改善だ。同社が提供したチャートを詳しく見てみよう。

まず申請の最初にあった3つの棒グラフだ。

総計上収入保険料(GWP)は、販売した保険プロダクトから予想される売上高のトータルだ。想像できるかと思うが、Lemonadeが時間の経過とともにより多くの保険プロダクトを販売すると仮定すればこの数字は大きくなる。

2つめのチャートは、GWPの結果に比べて同社が正味ベースでいくら損失を出しているのかを詳細に示している。これは回りくどいメトリックで、あまり力強いものではない。LemonadeのGWPは2018年から2019年にかけて倍以上になった。しかし同社のGWPのドルあたりの純損益はずっと少ない。これは芳しくない営業レバレッジを意味する。

最後のチャートはよりポジティブなものだ。同社は2017年に徴収した保険料よりも多くの保険金を支払った。そして2019年までに保険プロダクトで利ざやが出るようになった。ここで示されているトレンドラインは堅調で、2018年から2019年にかけて急激に改善している。

そしてこのグラフもある。

好調に見える。誇るべきものとして現にマイナスのままである調整後のEBITDA利ざやの改善はユニコーンそのものだ。しかし2020年はアニマルスピリットが見られ、おそらくこれが投資家の追従を引き起こす。

とにかく数字を見よう。下に主な収入源を示した。

まずいくつかの定義。正味経過保険料とは何だろう。Lemonadeによると「総計上収入保険料(GWP)の経過した分で、再保険契約のもとにサードパーティの再保険者に引き渡された経過分を減じたもの」だ。販売前のソフトウェアの売上高のように、保険料収入は「通常、保険契約の経過比例となる」。

2つの数字が同社の売上源だ。2つの合計はかなりの成長を見せている。2018年に2250万ドル(約24億円)だったのが、2019年には6730万ドル(約73億円)と199.1%増えた。直近では、同社の第1四半期決算で、2019年の売上高が1100万ドル(約12億円)だったのが2020年には138.2%増の2620万ドル(約28億円)になった。ゆっくりした伸びではあるが、収穫不足の公開市場に成長を示すには十分だろう。

次は損失について取り上げよう。

欠損

利ざやについては少し厄介なので後で取り上げる。ここで問題になるのは、支払い能力に比べてLemonadeのコスト構造が耐えがたいものであることだ。損金は2018年に5290万ドル(約57億円)だったのが、2019年には1億850万ドル(約117億円)に増えた。直近では、2160万ドル(約23億円)だった2019年第1四半期の損金は、2020年第1四半期に3650万ドル(約39億円)に膨れ上がった。

実際のところ、Lemonadeは時間の経過とともに損を重ねるばかりのように見える。なので、同社はどのようにして成長しながらそのような大きな損失を出しているのだろうか。ここにヒントがある。

ごちゃついているが、理解は可能だ。まず営業収入が、我々が以前目にしていたGAAP売上高メトリクスといかに異なるかを見よう。営業収入はnon-GAAPの数字で、「正味資産運用収益を加える前、再保険者に引き渡された経過保険料を差し引く前の総売上」を意味する。

そうした点を別にすると、真に関心が向けられるのは調整後の粗利益だ。これは「正味資産運用収益を除外し、純損失や損害調査費、繰延新契約費、クレジットカード処理費用など他の売上コストを減じた総売上」と定義されている。つまり売上総利益を意味するが、実際のところはそうでない。うんざりする。Lemonadeがすでに調整していることを考えると、同社が第1四半期に540万ドル(約5億8000万円)しか生み出せていないのは特筆すべきだろう。

同社の第1四半期3カ月間のGAAP売上高が2620万ドル(約28億円)だったのを思い出そう。なので同社の粗利を調整すれば、売上総利益率は20%をほんの少し上回ることになる。

それが何だろうか?同社の出費はかなりのものだ。比較的利ざやが少ない売上をあげるための販売やマーケティングに第1四半期だけで1920万ドル(約21億円)を費やしている。より正確に表現すると、Lemonadeは2020年第1四半期のGAAP販売とマーケティングの28%をカバーするだけの調整後粗利益を生み出した。

いずれにせよ、同社は2019年にSoftBankから3億ドル(約323億円)を調達し、キャッシュは十分にある。実際、2020年第1四半期末時点で、「キャッシュと短期投資で3億400万ドル(約327億円)」ある。営業活動によるキャッシュバーン(1940万ドル=約21億円)を長期間維持できる。では、なぜ上場するのか。

Extra Crunchに書いたように、IPOマーケットが成長株にオープンであることをVroomが示し、そしてソフトバンクは勝つ必要があるからだ。投資家がどのような反応を示すかは今後を待つとして、このIPOは上場のタイミングを図ったもののようだ。誰がそのことについて怒ることができるだろうか。

画像クレジット: dem10 / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ソフトバンクがリードするラウンドでDiDiの自動運転開発子会社が540億円調達

中国の自動運転分野の競争が過熱している。中国でUberのような配車サービスを運営するDiDiは5月29日、自動運転子会社による5億ドル(約540億円)という巨額調達を発表した。中国の自動運転業界で行われる1回の資金調達としては最高額となる。今回のラウンドは既存投資家であるソフトバンクがリードした。同社はUberにも出資してきたスタートアップ支援企業だ。

本ラウンドはソフトバンクの2つ目のビジョン・ファンドを通じてのもの。1つめのビジョン・ファンドがWeWorkへの投資に失敗したことなどから巨額の損失を出した(未訳記事)ため、2つめのビジョンファンドは資金調達が進んでいないとされている。

中国最大の配車サービスプロバイダーであるDiDiはかなりの量の交通データを持っており、にロボタクシー開発において明らか優位だ。ロボタクシーは長期的にはドライバー不足問題を解決するかもしれない。しかし同社がこの分野に進出したのは遅かった。2018年、北京で行われた自動運転車テストの走行距離ランキングで同社は第8位で、検索大手Baiduにははるかに及ばない。Baiduは2018年のテスト走行距離の90%超を占めた(未訳記事)。

それ以来、DiDiはBaiduに追いつこうとかなり積極的に取り組んできた。昨年8月に同社は設立3年の自動運転部門を、R&D、バリューチェーンを伴うパートナーシップの構築、未来的テクノロジーの政府への売り込みに専念できるよう、独立企業としてスピンオフ(未訳記事)した。今やチームは中国と米国に計200人のスタッフを抱える。

とある業界観測筋は「ロボタクシーは必要な操作スキル、テクノロジー、政府のサポートがすべてそろったときにのみ現実のものとなる」と筆者に語った。

Didiは業務の効率化で有名だ。安全で快適な乗車の確保はなかなかの成果だ。同社の経営陣はAlibaba(アリババ)の有名なB2Bセールスチームの出身で、同チームは地上作戦能力があることから「アリババの鉄の部隊」としても知られる。

テックを受け持つ子会社のCEOはBaiduの技術マネージャーだったZhang Bo(チャン・ボー)氏、テクノロジー最高責任者は自動運転ソフトウェア会社のAptivから昨年移ってきたWei Junqing(ウェイ・ジュンチィン)氏だ。

自動運転子会社はまた、Didiのモビリティ業界における幅広いリーチの恩恵も受ける。たとえば、Didiのスマート充電ネットワーク、車両メンテナンスサービス、保険プログラムを自動運転車両にも活用すべく取り組んでいる。

今回調達した資金で同社の自動運転子会社は安全性を向上させることができる。2件の死亡事故を起こした後、安全性は同社が最も注力するところとなった。またR&Dやロードテストを通じて効率性も高められる。そして資金調達は企業間協力を深め、中国内外でのロボタクシー展開を加速させることにもつながる。

このところ同社は「D-Alliance」のもとに相乗作用を求めて既存車メーカーとの協業を進めている。D-Allianceには31社超が名を連ねる。いくつか挙げると、The Lincoln Motor Company(リンカーン)、日産、Volvo(ボルボ)、 BYDの車両に自動運転技術を搭載した。

同社は中国の主要3都市とカリフォルニアでの公道テストのライセンスを取得済みだ。自動運転車両を使っての配車サービス利用客ピックアップを上海で数カ月のうちに開始することを目標としている、と同社は昨年8月に語った。昨年8月時点で中国と米国でのロードテストの走行距離は30万kmに達している。

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(翻訳:Mizoguchi

巨額損失のソフトバンク・ビジョン・ファンドは毎日100億円超を投資していた

ソフトバンクグループの2019会計年度(2020年3月31日終了)の財務状況の発表で、ソフトバンク・ビジョン・ファンドについていくつか興味深い情報が判明している。衛星通信会社のOneWebが倒産し、コワーキングスペース運営のWeWorkと配車・デリバリーサービス運営のUberが苦境に追い込まれ、大株主であるソフトバンク本体とビジョン・ファンドの損失が巨額となる見通しはTechCrunchでもすでに触れた。新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックが将来の見通しにも逆風となっている。

ビジョンファンドの財務諸表(PDF)に埋め込まれていた注によれば、ビジョン・ファンド1号が新規投資を終了したのは2019年9月だった。この時点で投資可能なキャッシュをすべて投資し終わったためだ。

注によれば最初のビジョン・ファンドの管理者は、2019年9月12日にファンドがその資本の85%を使用したと判断した。残る15%の資金は 追加投資、義務的支出、ファンド管理手数料をカバーするために残された。ファンドの約款によれば新規投資は2022年11月20日まで投資を続けることが可能だったが、それを待たずこの時点で新規投資は打ち切られた。

ソフトバンクグループの文書で簡単に振り返ると、ビジョン・ファンドは2017年5月20日に初回の出資クローズを発表し、総額968億ドル(10兆円)を調達した。つまりビジョンファンドは845日間で投資と手数料合計で838億ドル(9兆円)を費やしたことになる。簡単な計算で1日あたり1億ドル弱(106億円)を投じていたとわかる。

週末も含めて毎日1億ドル(約100億円)だ!

昨年、ソフトバンクグループは合計で1080億ドル(11.6兆円)とさらにさらに規模の大きいビジョン・ファンド2号を立ち上げる計画を発表した。しかしその資金集めが難航していると報じられており、これは今後も変わりそうにない。

ソフトバンクグループは今年3月31日を終期とする会計年度でビジョン・ファンドが174億ドル(1.87兆円)の価値の減少となったことを決算発表で正式に認めた。その前年度にソフトバンクグループは128億ドル(1.37兆円)の価値増加を発表していた。つまり2019会計年度の運用はこの利益を完全に帳消しにしたわけだ。

しかし重大な問題点はファンドのポートフォリオ企業のパフォーマンスそのものだろう。現在、ビジョン・ファンドには上場や売却などによるイグジットが行われていないポートフォリオ企業が88社ある。うち19件については価値が合計約34億ドル(0.36兆円)増加している。しかし50社は合計207億ドル(2.2兆円)の損失だ。19社については価値の変動はなかった。

初期段階(シード、アーリー)の投資に特化したファンドが赤字になることはよくある。しかし後期段階(レイター)向けファンドがこの種の巨額の損失を被るというのは非常にまれだ。企業価値の評価新型コロナウイルスが世界経済に大打撃を与える前に行われたことはほぼ確実だろう。そう考えるとポートフォリオ企業の57%が1年間でこれほど価値を減少させたというのは驚くべきことだ。しかもこうした企業の大部分は、それぞれの成長段階に応じて短期的、中期的に何らかのかたでイグジットを目指していたのだから驚きはなおさらだ。

もちろんポートフォリオ内にはいくつかの勝利もあるし、明るい面もある。しかし、結局のところ、ポートフォリオの価値を決めるのは各部分の総和だ。残念ながら現在その総和は上に見たような状況となっている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

多難なソフトバンクグループがアリババ創業者ジャック・マー氏の取締役退任を発表

米国時間5月18日、ソフトバンクグループはアリババグループの共同ファウンダーJack Ma(ジャック・マー)氏が同グループの取締役から去ると発表した。13年間にわたって 取締役を務めてきたマー氏だが、6月25日のソフトバンクグループの年次株主総会で退任が正式に発効する。

ソフトバンクは退任の理由を明らかにしなかったが、この1年、マー氏はチャリティ活動に力を入れており、ビジネス上の役割は減少していた。 2019年9月、同氏はアリババの会長を辞任したが、2020年の年次株主総会で取締役も退任するという。

マー氏とソフトバンクグループの孫正義会長、CEOとのビジネス関係はたいへん長い。ソフトバンクはマー氏のアリババに対する最初期からの大口投資家だった。創立の翌年である2000年には投資額が2000万ドル(約21億5000万円)に上ったと報道された。米SEC(証券取引委員会)への2020年2月の提出書類ではソフトバンクグループはアリババ株の25.1%を所有している。この持ち分は時価で1000億ドル(約10兆7000億円)の価値があり、 ソフトバンクとして最も成功した投資となっていた。

この発表はソフトバンクグループの第1四半期の(極めて憂鬱なものとなった)決算の発表予定の数時間前に行われた。同グループは2020年4月に総額1000億ドル(約10兆7000億円)のビジョンファンドが165億ドル(約1兆8000億円)の損失となると予想していることを発表した。この損失はWeWorkが破綻寸前に追い込まれたこと、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックがUberやOyoを含む他の投資先に強い悪影響を与えたことが大きい。またソフトバンクグループも通年で125億ドル(約1兆3000億円)の営業損失を予想していることを発表した

同グループはこの3月に負債を減らし、現金準備を増やすために410億ドル(約4兆4000億円)の資産を売却または現金化し、47億ドル(約5040億円)の自社株買いを行うと発表した

ちなみにソフトバンクグループの11名の取締役のうち、退任するのはマー氏のみだ。同社は2020年6月の株主総会に向けて新しく3人の取締役候補を指名した。社内からはソフトバンクグループの現CFO(最高財務責任者)の後藤芳光氏が、社外からは電子回路設計企業のケイデンス・デザイン・システムズのCEO、Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏、早稲田大学経営大学院教授の川本裕子氏がそれぞれ選ばれている。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook