グーグルのSonosへの敗訴で大手テック企業による知的財産権侵害問題が改めて明らかに

米国際貿易委員会(US International Trade Commission)は米国時間1月6日に、Googleがワイヤレススピーカーの技術でSonosが特許を持つイノベーションを侵害したと判決した。それは、知的財産権をめぐる複雑な抗争への、わかりにくい判決と思われるかもしれないが、それは米国のイノベーション経済と経済の国際的競争力を脅かしている問題を、改めて確認している。

その問題とは、知的財産権の盗用だ。

数年前にGoogleのような大手テクノロジー企業は、小さな企業の知財を買ったりライセンスするよりも、それらを盗んだ方が利益が大きいと判断した。GoogleやApple、Samsungなどはみな大金持ちなであり、法務の費用や、万一窃取と認められた場合の賠償金など気にしない。一例としてGoogleは、1420億ドル(約16兆1514億円)のキャッシュを有している。これは、多くの企業の1年の利益をはるかに上回っている。

大手テック企業は、こうして欲しいものを手に入れる。そして次は焦土作戦で、苦情を訴えたIP所有者を打ち負かす。訴訟を何年も長引かせて、正義を求める知的財産所有者に巨額の訴訟費用を課す。知的財産所有者の多くは、訴訟すらできない。それが自分を滅ぼすと知っており、自己の正当な権利を守ろうとする行為、すなわち長引き費用がかさむ訴訟が、自己を破壊すると承知している。

端的にいうと、大手テックは知的財産を盗むことから利益を得る。長年の訴訟で法務費用や賠償などが増えたとしても、それらは得られる利益に比べると微々たる額だ。

しかし、やり返す企業も少しはいるために、この途方もない権利侵害行為の存在が確認されている。GoogleがSonosを侵害した1件は、その明瞭な例の1つだ。

Sonosは、米国におけるサクセスストーリーの典型的な例だ。そしてGoogleによる、その技術に対する海賊行為は悲劇だ。Sonosはワイヤレススピーカーの画期的なイノベーションで特許を取り、2005年に革新的なスタートアップを創業した。Googleとは2013年にライセンス契約を結んだが、Googleはそのとき、同社の音楽サービスGoogle Play MusicをSonosのスピーカーに統合することで合意した。

しかしGoogleは単にこの契約を、Sonosの技術へのアクセスを得るために利用した。すぐに同社はSonosの技術を使って自社のデバイスを作るようになり、それらのスピーカーやオーディオ装置は、市場にあるSonosのスピーカーなどと直接競合するものだった。

Googleは、Sonosの開発費用を負担していない。検索エンジンの事業で大きな利益を得ているのだから、自社の新しい製品やサービスを下支えすることもできただろう。まさにそのとおり、GoogleはSonosの価格を下押しした。それは、特許海賊の常套手段である商業行為だ。

Sonosは最初、Sonosから略取した技術のライセンス料を求めてGoogleと協議した。Googleはその協議を何年も長引かせ、その間にGoogleの利益は膨らみ、Sonosはますます多くのお金を失った。7年後にSonosは、法廷で自己の権利を護る以外の選択肢はない、とい状態に追い詰められた。Sonosは、2020年にGoogleを訴えた。

Sonosは、国際貿易委員会にもGoogleを訴えた。この特別法廷は通常の裁判所よりも迅速に、侵害的な輸入を禁ずることができる。ただし、損害賠償はない。

2021年夏にITCの判事は、Googleが確かにSonosの5つのパテントを侵害したと判決した。先に同委員会は、この決定を再確認した。Googleは今でもSonosの主張を「根拠がない」とし、控訴を続けるつもりだ。

これは大手テック企業が、他人に特許のある技術を不法に利用する顕著な例にすぎない。あまりにも多いから、今では「略奪的侵害(predatory infringement)」と呼ばれている。法学者や政策立案者は「効率的侵害」(efficient infringement)と、皮肉な名前で呼んでいる。わかりやすくいえば、これは「海賊行為(piracy)」だ。

しかし大手テック企業は米国の特許システムに対する攻撃を続けており、海賊行為をさらに支持することを求めている。Googleなどの企業は長年、議会に対するロビー活動に数百万ドル(数億円)を投じて、規制当局に特許を弱体化し、排除させようとしている。つまり特許というシステムを、イノベーターに反するものに改装するつもりだ。たとえば彼らはパテント・トロールという怪物を作り出して、侵害で彼らを訴えようとする特許保有者を中傷している。あたかも、問題は彼ら自身の窃取行為ではなく、彼らと戦おうとする被害者たちのあつかましさだ、と言わんばかりに。

米国のイノベーション経済の中心的な推進者は特許に依存するイノベーターやクリエイターたちだから、ワシントンは彼らを護るために活動する必要がある。議会は、超党派のSTRONGER Patents Act法案を再提議し、成立させるべきだ。この法律は特許のシステムに均衡を回復し、ビッグテックがロビー活動で作り出した、略奪的侵害の戦術的実践の鍵となっている法規や制度をリフォームするだろう。

SonosのGoogleに対する法的勝利は、長年、政策立案者や法律家たちがいってきたことを確認している。すなわち、ビッグテックによる略奪的侵害は21世紀の海賊行為であり、Sonosは多くの被害者の1つにすぎない。ワシントンはこの海賊行為を終わらせる努力をすべきであるし、それができる。

編集部注:本稿の執筆者Adam Mossoff(アダム・モソフ)はGeorge Mason大学の特許法の専門家。STRONGER特許法について議会で証言しており、Hudson Instituteのシニアフェローでもある。

画像クレジット:erhui1979/Getty Images

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(文:Adam Mossoff、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Rivianが「冒険」を求めるユーザー向け電動バイクの商標を出願

電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、自転車と電動バイク、およびそれらに対応する構造部品の商標を新たに出願した。この動きは、Rivianが電動バイク需要の波に乗り、電動ピックアップトラックよりも大規模な生産が安価で、ターゲットとする「冒険」を求める顧客層に沿った製品で自社のポートフォリオを多様化しようと検討していることを示すものかもしれない。

同社はTechCrunchに対し、この件に関して共有することは何もないと語った。

企業はしばしば、最終的に使用しない製品についても商標を申請することはあるが、他の自動車メーカーは、7月までの12カ月間で240%の売上成長率を記録した電動バイク業界に価値を見出し始めている。2021年、Porsche(ポルシェ)はTaycan Cross Turismoの精神を受け継いだ2つの新しい電動バイクを発売した。BMWも最近、全電動スクーター「CE 04」のように、いくつかの電動バイクやその他のマイクロモビリティの生産計画を発表している。

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2021年12月、Rivianは株式公開時に調達した137億ドル(約1兆5700万円)の一部を使い、ジョージア州に第2工場を建設し(第1工場はイリノイ州)、生産能力を倍増してバッテリーセル(表向きは他のタイプの車両のバッテリーにも使用できるセル)を生産する計画を発表した。

Rivian Forumsが最初に明らかにした出願書類によると、Rivianは、自社の商標の使用を以下のように拡大したいと考えているようだ。

自転車;自転車構造部品;電動自転車;電動自転車構造部品;電動自転車用に特別に適合させた部品(バッテリーパック、モーターコントローラー、電動モーター、スロットルコントロール、ペダルアシストセンサー、ディスプレイコンソール、ワイヤーハーネス、スプロケット、カセット)、チェーン;自転車フレーム;自転車ペダル;自転車ホーン;自転車ブレーキ;自転車チェーン;自転車ギア;自転車ホイール;自転車シート;自転車タイヤ;自転車クランク;自転車タグ;自転車泥除け;自転車モーター;自転車サドル;自転車ポンプ;自転車ベル;自転車ハンドル;自転車トレーラー;自転車キックスタンド;自転車シートポスト;自転車カバー、自転車ホイールスポーク;自転車ホイールリム;自転車スタンド;自転車ペダルストラップ;自転車部品(ディレイラー);自転車水筒かご、自転車キャリア;自転車タイヤ用ポンプ、自転車タイヤ用インナーチューブ、自転車部品(ディスクホイール);自転車部品(ブレーキシュー)

Rivianは最近、自動車用統合テールゲート荷台システムの特許も申請した。これは基本的に、ドライバーが荷台スペースを失うことなくピックアップ車に自転車を積めるようにするテールゲート自転車用ラックのことだ。おそらく、R1Tトラック用のアクセサリーを好んで提供する同社は、ターゲットである環境意識の高い強靭な米国人冒険家向けに全体的なパッケージをデザインしたいのだろう。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米規制当局、グーグルがSonosのスピーカー特許を侵害と判決

米国際貿易委員会(US International Trade Commission、ITC)は、Googleがスピーカーと製造法に関する特許を侵害したとするSonosの訴え同意した。最初の決定は8月に出されていたが、今回判決が終結し、Googleは、Sonosの知的財産を侵害していると認められる製品を輸入できなくなる。Googleはその製品を中国で製造しているため、60日後に輸入禁止が適用されると、それらを米国へ送ることができなくなる。

Sonosは2020年に5つの特許に関してGoogleを訴え、その中にはワイヤレススピーカーをお互いに同期する技術もある。The New York Timesによると、侵害に該当する製品にはGoogleのHomeスマートスピーカー、Pixelとコンピューター、そしてChromecastデバイスが含まれる。輸入禁止となったGoogleの広報担当者は、この判決でデバイスの輸入と販売が中断することはないと述べている。

「私たちは本日の判決には同意しないが、ITCが弊社修正設計を承認したことには感謝する。私たちはさらなる見直しを求め、パートナーシップと知的財産に関するSonosの根拠のない主張に対して私たち自身を護っていく」と広報担当者はProtocolに語る。委員会は、最終判決でその新しい設計を否定しなかったため、Googleはそれらを実装することができる。

Nestのチームは最近、スピーカーグループの部分的変更を発表し、それを「最近の法的決定によるもの」と述べている。最も顕著な変更は、今後ユーザーは、グループ内のすべてのスピーカーのボリュームを一度に調節できなくなることだ。各スピーカーを、個々に調節しなければならない。

Sonosの法務担当最高責任者(CLO)であるEddie Lazarus(エディ・ラザロ)氏は声明の中で次のように述べている。「Googleは製品の機能を劣化または排除することで、ITCに科せられた輸入禁止を回避することもできるが、それでもなおかつGoogleはSonosの数十ダースもの特許を侵害している」。すなわち、Sonosにロイヤリティを払わないかぎり特許権侵害になるのだ。

以下は、その声明の全文となる。

ITCが本件で争点となっているSonosの5件の特許を明確に検証し、Googleが5件すべてを侵害していることを明確に裁定したことに感謝している。これは、特許訴訟では極めて稀な全面的勝利であり、Sonosの広範な特許ポートフォリオの強さとGoogleのコピー拒否の空虚さを浮き彫りにしている。これらのSonosの特許は、家庭用オーディオシステムを制御するためのセットアップ、複数のスピーカーの同期、異なるスピーカーの独立した音量制御、スピーカーのステレオペアリングなど、非常に人気の高い家庭用オーディオ機能に関するSonosの画期的な発明をカバーしています。

ITCが課した輸入禁止を回避する方法で、Googleは製品の機能を低下させたり削除したりできる可能性がある。しかし、Googleはこの輸入禁止措置を回避するために消費者の体験を犠牲にするかもしれないが、同社の製品は依然としてSonosの特許数十件を侵害し、同社の不正行為は続くだろうし、Sonosに対する損害賠償は今後も発生し続けるだろう。あるいは、他の企業がすでに行っているように、Googleは不正流用した技術に対して公正な使用料を支払うこともできる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)

リアルタイムで土壌検査を行うドイツのアグリテックStenonが22億円を調達

リアルタイムの土壌センシングソリューションを持つアグリテック企業のStenon(ステノン)は、シリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。ラウンドには、Founders Fund、David FriedbergのThe Production Boardの他、Cherry VenturesやAtlantic Labsなどの既存投資家も参加した。

2018年にドイツのポツダムで創業したStenonのデジタル土壌データは、ラボを必要とせずに生成されるため、より速く、より効率的だと同社は主張する。Stenonによると、農家はデータにより栽培に関して最適な判断を下し、収穫量、作物の品質、土壌の健全性を高められるという。また、土壌検査機関を利用する必要がないため、時間とコストを大幅に削減することができるとしている。

共同創業者でCEOのDominic Roth(ドミニク・ロス)氏は、次のように語った。「Stenonのミッションは、農業における土壌データ会社となり、物理的なラボの必要性をなくすことです。土壌データが大規模に利用できなければ、農家は今後、持続的かつ収益性の高い仕事をすることはできません。さらに、市場は再生農業や自律型農業の方向にダイナミックに動いています。これらの実践にはすべて、当社が提供するデータセットが必要になります」。

農業による温室効果ガス排出の半分は、現在の土壌管理方法に起因しているため、Stenonのような土壌管理システムが気候変動との戦いにおいて非常に重要となりつつある。

Stenonの技術は、20カ国で特許を取得するか認証を受けるかして、活用されている。ヨーロッパの主要な農業組合が、ドイツのユリウス・キューン研究所などの研究機関のパネルと共同で認証を行っている。

主な競合他社は、Agrocares、360 Soilscan、ChrysaLabs(140万カナダドル=約1億2300万円を調達)だ。

The Production BoardのDavid Friedberg(デービッド・フリードバーグ)氏は「Stenonのリアルタイム土壌測定は、農家に重要なデータを提供し、コストと時間のかかる現在の土壌分析プロセスに革命をもたらします」とコメントした。

画像クレジット:Stenon soil testing

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】米国特許商標局はイノベーションを推進するために今すぐ行動すべきだ

近年、発明を促進すべき米国の特許システムの乱用がはびこりイノベーションを阻止している。即刻刷新が必要であり、そこにはあらゆる規模のイノベーターと起業家のためにシステムが働くように変える「今すぐ」実行可能な決定的修正方法がある。

バイデン政権が米国特許商標庁(USPTO)長官に指名したKathi Vidal(カシー・ビダル)氏は最近、上院司法委員会で指名承認公聴会を行った。両党の上院議員(民主党のバーモント州選出Patrick Leathy[パトリック・リーヒ]氏と共和党ノースカロライナ州選出Thom Tillis[トム・ティリス]氏)がともにビダル氏に質問したのがNHK-Fintivルールに関連する問題だった。これは米国特許商標庁の前長官が強要したルールで、議会で承認された超党派法案と真っ向から対立する。NHK-Fintivとは、特許商標庁における専門家による透明な侵害請求レビュープロセスの利用を制限し、イノベーターが費用のかかる訴訟や和解に関与することを強要するものだ。

短時間の公聴会の中でこの質問が際だっていたことは、USPTOおよび米国にとってこの問題がいかに重要であるかを示している。就任が承認されれば、次期長官はほぼ間違いなくNHK-Fintivのさまざまな問題に取り組まなくてはならない。しかし、特許商標庁は待つべきではない。米国のイノベーターたちを守るために今すぐ行動を起こすことができるのだから。

10年以上前、米国発明法によって米国特許商標局における当事者系レビュー(IPR)プロセスが生まれた。IPRは、特許侵害申請が偏見のない専門家審査員による透明な方法で解決されることを可能にするもので、企業はしばしば根拠のない訴訟や和解に巨額の費用と時間を割く必要がなくなる。このレビューが極めて重要なのは、誰もが特許侵害申請に善意で携わっているわけではないからだ。近年、特許訴訟の 60%近くに、特許不実施主体(NPEs)、いわゆる「特許ゴロ」グループが関わっている。

特許ゴロはダミー会社(その多くをヘッジファンドなどの訴訟資金提供者が支援している)で、使われけていない広範囲の特許を買い取り、米国の真っ当なイノベーターたちに対する武器として使用する。特許ゴロには、購入した特許を使って価値ある物を作る意志が一切ない。自分たちの出資者のために、価値ある商品を作っている企業から判決と和解金をゆすり取るためだけに存在している連中だ。

我々Intelは、相当数の特許ゴロに直面している。しかしこれは大メーカーだけの問題ではない。ゴロたちは数千通もの同一の要求書を小さな会社に送りつけることを、まるでネットビジネスを運用するように日々行っている。彼らは、多くの小企業が高額な費用のかかる訴訟に関わることを避けて和解金やライセンス費用を支払うことを当てにしている。さらに、時折専門知識のない陪審員が都合の良い判決を下して大当たりクジを引くことも期待している。

特許ゴロ訴訟は米国企業に深刻な影響を与えている。標的にされた企業は、年間総額290億ドル(約3兆2931億円)の現金支出を強いられ、和解金の平均は650万ドル(約7億4000万円)に及んでいる。これは本来であればビジネスを成長させ、新たな労働力を雇い、研究開発に使われるべきだったものであり、費用と時間のかかる裁判に関われる会社は多くない。IPRプロセスはこの種の搾取行為に対する効果的な保護措置であった。

不幸なことに、米国特許商標局前長官がNHK-Fintivルールを強制した結果、状況は特許システムを乱用する者たちに有利な方向へと逆戻りしてしまった。NHK-Fintivの下では、係争中の訴訟がある場合、当事者系レビュー(IPR)は拒否され、侵害申請の内容すら吟味されない。これは、IPRによって無効な特許や侵害申請に高価な訴訟を減らすことを目的とした米国発明法を無視するものだ。さらに、ビダル氏の公聴会でリーヒ議員は、最近の分析によると、USPTOがこれらの「自由裁量による拒否」を発行する際に基づいていた公判期日の90%以上が不正確だったことを指摘した。

議会が意図したIPRプロセスを復活させるために、NHK-Fintivは破棄されるべきだ。これはビダル氏の承認プロセスが進行する中で今後も重要事項として扱われるべきだが、商務省と特許商標庁には、米国のイノベーターたちを守るために「今すぐ」行動を起こす権限がある。

彼らはこれ以上待つべきではない。特許ゴロが米国のイノベーターを食い物にする時期は1日たりとも延びてはならない。

編集部注:本稿の執筆者Steven R. Rogers(スティーブン・R・ロジャーズ)氏は、
Intel Corporation(インテル・コーポレーション)の執行副社長兼法務顧問。上級幹部チームに属し、同社の法務、政府および貿易グループを担当している。

画像クレジット:Supawat Kaydeesud / EyeEm / Getty Images

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(文:Steven R. Rogers、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Pelotonがオンデマンドクラスに関連する特許侵害の疑いでライバルをまた提訴

オンラインのレッスン付きエクササイズ機器大手のPelotonがライバルのiFitとEchelonを提訴した。訴因は、両社がPelotonのオンデマンドクラス関連の最大4つの特許を侵害した、というものだ。その1つは先に、Bloomberg Lawが報じている。Pelotonは賠償金に加えて、特許の期限が切れるまでデバイスの販売を禁じる裁判所命令を求めている。Pelotonは両裁判で、競合他社を同社の技術に「タダ乗りした」と非難している。

iFitに対する不服申し立ては、同社のリーダーボードやActivePulseやSmartAdjust機能を使っているNordicTrackProForm、そしてFreeMotionプロダクトに関するものだ。「この訴訟の原因となった行為の前までは、Fit Functionalityにはライブのクラス、すなわちインストラクターが教えてユーザーのデバイスへ実質リアルタイムでストリーミングされるクラスはなく、リーダーボードを使って受講者同士が競争するクラスもなかった。iFit Functionalityは会員に、同社のマシン上で録画されたエクササイズクラスをやらせるだけで、コミュニティへの参加はまったくないものだった」とPelotonは訴状で述べている。

訴状はiFitを「この特許侵害により大きな利益を得た」と非難している。2021年10月にiFitは、市場条件の悪化により、IPOを中止した。

Echelonに関してPelotonは、バイクの「スマートコネクトEX1、EX3、EX4s、EX5、EX5s、EX-7s、EX-Pro、GT+」、トレッドミルの「Stride」「Stride 5s」、ローイングマシンの「Row」「Row-s」「Row-7s」、そしてアプリの「Echelon Fit」をターゲットにしている。Pelotonは、Treadをリリースする前は「トレッドミルがリーダーボードを提供することはよく知られていなかった」とし、Echelonは現在、「『オンラインフィルター』で、『誰が同時にオンデマンドクラスを受講しているか』を確認できる」という模倣「リーダーボード」を搭載していると主張している。

Pelotonは過去数年間、両社と険悪な仲だった。Icon Health and Fitnessという社名だったころのiFitを特許侵害で訴訟したし、逆に訴えられたこともある。Pelotonは Echelonを2019年にも訴訟しており、そのときは「Peloton Bikeのユーザー体験を模倣した」などが訴因だった。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Peloton

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(文:Kris Holt、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】ビッグテックはビジネスが苦手なのか?中小の知的財産権を侵害する大手

Google(グーグル)は2021年8月、Sonos(ソノス)との法廷闘争で大きな敗北を喫し、米国際貿易委員会の判事はグーグルがSonosのオーディオ技術特許5件を侵害したと判断した。この判決が支持されれば、Googleは数億ドル(数百億円)を支払うことになり、PixelスマートフォンからNestスピーカーに至るまで、あらゆるものを取り込むことが禁止されるかもしれない。

これは些細な展開ではない。ビッグテックがより規模の小さい企業から知的財産を盗むのを阻止しようとする一連の訴訟や苦情の最新事例である。

ここ数年、ビッグテック企業が小規模なライバル企業の知的財産権を侵害するケースが増えている。こうした小規模な企業は反撃を開始しており、今やビッグテック企業は裁判所から命じられる数百億ドル(数兆円)の損害賠償と訴訟費用に直面する可能性がある。

もしビッグテックの幹部たちが無謀な侵害を続けるなら、彼らの会社は取り返しのつかない財政的、評判上の損害を受けることになる。競合他社の知的財産を盗むことはもはや単に非倫理的なだけではない。それはビジネス上の決定があまりにも悲惨なほど近視眼的であり、経営者の株主に対する受託者責任の侵害にあたることはほぼ間違いない。

長い間、Apple(アップル)のような巨大テクノロジー企業は、対抗する資金力や法的な武器を持たない小規模な競合他社を自由に餌食にすることができると考えていた。だが、もはやそうではない。

小規模企業は訴訟にコストをかける価値があると判断し、大きな勝利を収めている。この1年間に行われた3つ訴訟だけでも、陪審は小規模企業に10億ドル(約1133億円)以上の賠償金を認めている。8月にAppleは4G技術を侵害したとしてPanOptis(パンオプティス)に3億ドル(約340億円)を支払うよう命じられた。また2020年には、VPNの特許を保有するVirnetX(バーネットX)に10億ドルの損害賠償を支払うよう裁判所から命じられている。

Appleだけではない。2020年10月、連邦裁判所はCisco(シスコ)に対し、サイバーセキュリティとソフトウェアを手がけるCentripetal Networks(セントリペタル・ネットワークス)に20億ドル(約2266億円)近くを支払うよう命じた。この裁判の判事は、Ciscoの行為を「典型的な侵害を超えた意図的な不正行為の悪質な事例」と呼んだ。

知的財産権の盗用は、ビッグテックの収益に大きな影響を与える可能性がある。これらの企業は数千億ドル(数十兆円)、場合によっては数兆ドル(数百兆円)の時価総額を誇っているが、裁判所が命令した巨額の支払いを積み上げるのは好ましいことではない。

例えば、Ciscoのペイアウトは年間売上の4%を占めている。Appleは最近、さらに10億ドルの損害賠償を支払うことなく、日本企業と和解した。また、英国の裁判所で特許侵害に対する70億ドル(約7921億円)の支払いを受け入れる代わりに、(強要されれば)英国市場から撤退する可能性があると警告した。

しかし大企業が知的財産権の盗用による罰金を免れることができたとしても、その結果としての評判へのダメージは相当なものになる。

米議会の委員会は、反トラスト法違反やプライバシー侵害に関する公聴会のために、幹部を定期的に議場に引き入れている。消費者はますますFacebook(フェイスブック)、Google、Apple、Amazon(アマゾン)を嫌悪するようになっている、あるいはもっと深刻だ。もし政治家や顧客が、これらの企業の利益が継続的な特許侵害にかかっていることを知れば、企業の評判は打撃を受けるであろう。

結局のところ、ビッグテックの経営陣は株主に対して法的な受託者責任を負っている。特許裁判にともなうリスクに目をつぶっている経営陣、つまり自分たちの会社を莫大な法的リスクや評判リスクにさらしている経営陣は、最終的には彼らの道徳的に疑問のある決定が株価に反映されていることに気づくだろう。

一方、株主、一般社員、その他の利害関係者は、経営陣の責任を問うべきである。最大の機関投資家の利益のためにも、Appleなどに圧力をかけて係争中の訴訟を解決させ、小規模ベンダーとライセンス契約を締結させることが必要だ。

ビッグテックが知的財産法の範囲内で活動を開始すれば、セクター全体を持続的な成功に導くであろう。

ペルーの経済学者Hernando de Soto(エルナンド・デ・ソト)氏が著書「The Mystery of Capital」で指摘しているように、社会の経済的繁栄は知的財産権を含む財産権の保護と保全に大きく依存している。

財産権の保護が強い社会は、人々が自分のアイデアに投資することを奨励する。逆に、財産権の保護が弱い社会はそのような投資を抑制し、イノベーションも抑制される。

米国のテクノロジーセクターも例外ではない。消費者と株主は、規模の大小を問わず、企業の繁栄を望むべきだ。より小規模な企業では、入力ソフトウェア、アプリケーション、ハードウェアを開発しており、最終的には消費者向け製品になることが多い。

しかし、大企業が小さな企業を虐げ、お金を払わずに最高のアイデアを略奪すると、小さな企業はイノベーションへのインセンティブを失ってしまう。

ビッグテックは特許の盗用をやめる時を迎えている。

編集部注:本稿の執筆者Andrew Langer(アンドリュー・ランガー)氏はInstitute for Libertyのプレジデント。

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(文:Andrew Langer、翻訳:Dragonfly)

アルファベットが気球ネット企業Loonの特許を一部ソフトバンクに譲渡、飛行データはオープンソース化

Alphabet(アルファベット)のLoonは、高高度気球を飛ばして対象地域にセルラーネットワークを提供するという、成層圏でのムーンショットだった。このプロジェクトは、気球が自律的に航行し、1つのエリアに長時間とどまることができる技術を開発するなど、多くの新境地を開拓したが、最終的には終了した。現在、AlphabetはLoonのアセットを分割しており、その多くは業界の他の企業に無料で提供されたり、重要なパートナーや戦略的投資家に引き渡されたりしている。

ソフトバンクはこのプロセスで、知的財産を手にする企業の1つとなる。日本のテレコム大手である同社は、Loonが保有する成層圏での通信、サービス、オペレーション、航空機に関する約200件の特許を取得し、自社の高高度プラットフォームステーション(HAPS)事業の開発に活用するという。ソフトバンクはかつて、Loonのパートナーとして「HAPSアライアンス」を設立し、業界の発展に貢献してきた経緯がある。ソフトバンクのHAPS事業は自律型グライダーを中心に展開していたが、通信用のペイロードをLoonの気球にも搭載できるように適応させた。ソフトバンクはLoonの投資家でもあり、2019年にはAlphabet傘下にあった同社に1億2500万ドル(約139億2000万円)を出資している。

Loonの閉鎖によって、ある種の利益を得ることになったもう1つの企業がRavenだ。Ravenはもう1つのパートナーであり、Loonが運用していた高高度気球の製造に特化した企業だ。同社は、気球の製造に特化した特許を取得する。

落雷がLoonのハードウェアに与える影響を実験室で検証(画像クレジット:Alphabet)

Loonの残りの研究内容の大部分は、成層圏の科学と産業の技術水準を向上させるために一般に公開される。Alphabetは、GPSやセンサーのデータを含む、Loonの約7000万kmの飛行データをオープンソースとして提供している。また、気球の打ち上げ、飛行中のナビゲーション、気球の管理など、270件の特許および特許出願について、権利を主張しないことを表明している。成層圏気球の専門家を目指す人々や一般大衆のために、Loonは同社の経験をまとめた本を出版した。この本は以下に埋め込まれた無料のPDFから入手できる。

このプロジェクトをICARUSと比較して論じたくなるところだが、Alphabetのムーンショットには最初から一定レベル以上の失敗の可能性が織り込まれているため、それほど適切な比較ではない。また、これらのIPやデータがすべて公開されることは、科学界にとっても非常に良い結果となるだろう。

画像クレジット:Alphabet

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

GoogleがSonosの特許5件を侵害したと予備裁定が認定

この前2020年にSonosは、特許権侵害でGoogleを訴えた。そして今日(米国時間8/13)、このストリーミングスピーカーの企業は、権利の侵害などを調査する米国国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission, USITC)で初期の勝利を勝ち取った。ITCの主席行政法判事Charles Bullock氏が記した予備裁定は、Googleが5つの特許を侵害した、と認めている。

Sonosの法務部長、Eddie Lazarus氏は、本誌TechCrunch宛の声明で次のように述べている: 「本日行政法判事は、Sonosが主張する5件の特許をすべて有効と認め、Googleがそのすべてを侵害していることを認めた。ITCがSonosの、特許を伴う発明に対するGoogleのあからさまな侵害を認めたことは欣快である。この決定は、私どものポートフォリオの強さと幅広さを再確認するものであり、私たちのイノベーションをビッグテックの独占による不正利用から守ろうとする、私共の長期的な営みにおける、将来性のあるマイルストーンになるものである」。

しかしこの事実認定はまだ極めて初期的であり、両社間の紛争はまだ長く続くものと思われる。Sonosの訴えは、Google自身のストリーミングスピーカーの製品系列に由来している。Googleは独自のHomeスピーカーでおよそ4年半ほど前に、Sonosが長年支配していたカテゴリーに参入した。この製品系列は今やNestの商標のもとに数種類の製品を擁している。

最初の告訴の時点でSonosのCEO、Patrick Spence氏はこう声明していた: 「Googleは露骨かつ意図的に弊社の特許技術をコピーしてきた。過去数年間にわたって私どもが繰り返した多くの努力にもかかわらず、Googleは私達と、両社に利益のあるソリューションで共働する意思をまったく示さなかった。私たちに残された手段は、訴訟だけとなった」。

こういうHome的な製品では、Googleの主な競合相手はAmazonだが、SonosはそのAmazonとも同様の問題を当時から抱えていた。しかし同社は、その時間とお金とリソースをGoogleとの抗争に割くことを選んだ。

Sonosが究極的に望んでいるのは、ITCを利用して、これらのスマートスピーカーと共に、ChromecastやPixelなど、そのほかのGoogleのハードウェアの輸入をブロックすることだ。それが実現すれば、Googleのハードウェア事業に対する大打撃になるだろう。しかし最終裁定は早くても12月13日であり、さらに輸入の禁止が有効になるのはそれから60日後だ。

一方、GoogleのスポークスパーソンJosé Castañeda氏は声明でこう述べている: 「弊社はSonosの技術を使っておりませんし、競争はあくまでも私共の製品の質と、私たちのアイデアの価値によって行っております。弊社は今回の予備裁定に同意いたしませんし、今後の検討過程において私たちの正当性の主張を続けます」。

関連記事: SonosがGoogleを提訴、スマートスピーカー技術に関する特許侵害の疑いで

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)
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飛行モビリティWisk Aeroが特許侵害と企業秘密盗用の疑いでArcher Aviationを提訴

Kitty Hawk(キティ・ホーク)とBoeing(ボーイング)の合弁会社で、飛行モビリティを手がけるWisk Aero(ウィスク・エアロ)は、米国時間4月6日、Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)を相手取り、特許侵害と企業秘密の横領を主張する訴訟を起こした。

Wisk Aeroは訴状の中で、Archer Aviationが機密情報と知的財産の「大胆な窃盗」を行ったと主張している。この訴訟では、2021年2月にArcher Aviationが初めて発表した電動航空機のデザインが、Wisk Aeroの潜在的なデザインの1つをコピーしたものであると指摘。そのデザインは2020年1月に米国特許商標庁に提出されており、類似点があまりにも多く、偶然の一致ではないとWisk Aeroは主張している。

さらにWisk Aeroは、Archer Aviationが同社の元エンジニア10名を雇用した後に行われた捜査で、そのうちの1名が退職前に数千ものファイルを密かにダウンロードしていたことが明らかになったと主張。別のエンジニアもファイルをダウンロードしていたと訴えている。

盗まれたファイルに含まれる情報には、システム設計、テストデータ、航空機のデザインなどが含まれていると、Wisk Aeroは4月6日に投稿したブログ記事で述べている。

「訴状で説明しているとおり、Archerが公開したデザインには、Wiskの長年による実験とモデリングに基づいた広範な空力試験と評価データに関する内部知見が反映されています」と、同社はブログ記事で述べている。「航空機全体のデザインが類似していることから、航空機の推進機関、電力管理、航空電子工学、飛行制御、製造方法に関連した特徴を含む、さらに詳細な設計上の特徴を、Archerが利用していることは明らかです」。

Archer Aviationは2021年、特別買収目的会社であるAtlas Crest Investment Corp.(アトラス・クレスト・インベストメント)との合併を2月に発表し、時価総額が38億ドル(約4171億円)に達するなど、いくつかの大きな勝利を掴み取っている。同じ2月に、このカリフォルニア州パロアルトを拠点とするスタートアップ企業は、顧客および投資家としてUnited Airlines(ユナイテッド航空)から10億ドル(約1100億円)の注文を獲得している。

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Archer Aviationの広報担当者は、TechCrunchに宛てたメールで次のように述べている。「Wiskが、従業員数名の離職の原因となったビジネス上の問題から目を逸らすために、訴訟を起こすことは遺憾です。原告がこれらの問題を提起したのは1年以上前ですが、徹底的に調べた結果、Wiskの独自技術がArcheに渡ったと信じるに足る理由はありませんでした。私たちは精力的に自らを弁護するつもりです」。

また、同社の広報担当者は、次のように続けた。「当社では、政府による調査と、ある従業員に対して出された捜査令状に関連して、その従業員を休職させました。この捜査は、その従業員が当社に入社する前の行為に焦点を当てていると、我々は考えています。Archerと、当該従業員が一緒に働いていた他の3名の従業員も、この捜査に関連した召喚状を受け取っており、全員が当局に全面的に協力しています」。

この刑事捜査のニュースを受けて、Wisk Aeroの広報担当者は「Archerがこの件に関する刑事捜査を開示したことは承知しており、当社は政府に全面的に協力しています。現時点ではそれ以上のコメントはありません」と述べた。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地方裁判所に、ケースNo.5:21-cv-02450として提訴されている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Wisk AeroArcher Aviation訴訟特許eVTOL

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

特許のためのナレッジグラフ方式の検索エンジンを提供するIPRally

特許の検索という問題の解決を目指すフィンランドの新進スタートアップIPRallyが、シード資金200万ユーロ(約2億5000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはJOIN CapitalとSpintop Ventures、これにプレシードの支援をしたIcebreaker VCが参加した。2018年に創業した同社の調達総額は235万ユーロ(約3億円)となる。

共同創業者でCEOのSakari Arvela(サカリ・アルヴェラ)氏は、パテント弁護士として15年の経験がある。IPRallyは、知識グラフを作ってマシンが特許の技術的詳細を理解できるようにし、また人間が既存の特許を効率的に調べられるようにしている。同社の基本命題は、特許の検索にはシンプルなキーワード検索や自然言語のテキストによる検索よりも、グラフベースのアプローチがより適してい、というものだ。

アルヴェラ氏によると、公布される特許をすべてシンプルな知識グラフに純化すればIPのプロフェッショナルにとって理解しやすい情報になり、また機械可読性も限りなく向上する。

「IPRallyは2018年4月に創業したが、その前の1年間は共同創業者でCTOのJuho Kallio(ジュホ・カリオ)と一緒に資金集めや概念実証に奔走した。その前の約2年間はグラフ方式についてしっかり勉強して、ベンチャー企業を始められるための自信をつけた」とアルヴェラ氏は語る。

アルヴェラ氏によると、特許の検索はテクノロジーに対する深い理解と、異なるテクノロジーを詳細に比較できる能力が必要であり難しい問題だという。

「だから特許システムができてから今日までずっと、検索は完全に手作業で行われていた。また、最新の機械学習のモデルですら、この問題の正確な解の提供には程遠い。そこで私たちは特許というドメインに特化したMLのモデルを開発し、人間のプロが検索をするときのやり方を反映できるようにし、同時に問題をコンピュータにとって扱いやすいかたちにした」とアルヴェラ氏はいう。

そのやり方はうまく行ったようで、IPRallyはすでにSpotifyやABBなどの顧客が利用し、また知財関連の役所や法律事務所も使っている。同社が狙っている顧客は、自分たちのR&Dを特許で積極的に保護していたり、製品開発などで競合他社の知財権をいつも詳しく調べなければならないような企業だ。

とはいえ、IPRally自身にも競合はある。従来的なキーワード検索の検索エンジンで現在の市場を支配している大手のClarivateやQuestelをアルヴェラ氏は挙げている。

また、AmplifiedやIPScreenerなど、AIベースのスタートアップもすでにかなりある。しかしアルヴェラ氏の主張によると「IPRallyのグラフ方式の方がずっと正確な検索が可能で、コンピュータによる詳細な分析もできる。しかもユーザーに十分な説明ができ、ユーザー自身がコントロールできる、ブラックボックスではないソリューションを提供できる」という。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IPRally特許資金調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa