グーグルのSonosへの敗訴で大手テック企業による知的財産権侵害問題が改めて明らかに

米国際貿易委員会(US International Trade Commission)は米国時間1月6日に、Googleがワイヤレススピーカーの技術でSonosが特許を持つイノベーションを侵害したと判決した。それは、知的財産権をめぐる複雑な抗争への、わかりにくい判決と思われるかもしれないが、それは米国のイノベーション経済と経済の国際的競争力を脅かしている問題を、改めて確認している。

その問題とは、知的財産権の盗用だ。

数年前にGoogleのような大手テクノロジー企業は、小さな企業の知財を買ったりライセンスするよりも、それらを盗んだ方が利益が大きいと判断した。GoogleやApple、Samsungなどはみな大金持ちなであり、法務の費用や、万一窃取と認められた場合の賠償金など気にしない。一例としてGoogleは、1420億ドル(約16兆1514億円)のキャッシュを有している。これは、多くの企業の1年の利益をはるかに上回っている。

大手テック企業は、こうして欲しいものを手に入れる。そして次は焦土作戦で、苦情を訴えたIP所有者を打ち負かす。訴訟を何年も長引かせて、正義を求める知的財産所有者に巨額の訴訟費用を課す。知的財産所有者の多くは、訴訟すらできない。それが自分を滅ぼすと知っており、自己の正当な権利を守ろうとする行為、すなわち長引き費用がかさむ訴訟が、自己を破壊すると承知している。

端的にいうと、大手テックは知的財産を盗むことから利益を得る。長年の訴訟で法務費用や賠償などが増えたとしても、それらは得られる利益に比べると微々たる額だ。

しかし、やり返す企業も少しはいるために、この途方もない権利侵害行為の存在が確認されている。GoogleがSonosを侵害した1件は、その明瞭な例の1つだ。

Sonosは、米国におけるサクセスストーリーの典型的な例だ。そしてGoogleによる、その技術に対する海賊行為は悲劇だ。Sonosはワイヤレススピーカーの画期的なイノベーションで特許を取り、2005年に革新的なスタートアップを創業した。Googleとは2013年にライセンス契約を結んだが、Googleはそのとき、同社の音楽サービスGoogle Play MusicをSonosのスピーカーに統合することで合意した。

しかしGoogleは単にこの契約を、Sonosの技術へのアクセスを得るために利用した。すぐに同社はSonosの技術を使って自社のデバイスを作るようになり、それらのスピーカーやオーディオ装置は、市場にあるSonosのスピーカーなどと直接競合するものだった。

Googleは、Sonosの開発費用を負担していない。検索エンジンの事業で大きな利益を得ているのだから、自社の新しい製品やサービスを下支えすることもできただろう。まさにそのとおり、GoogleはSonosの価格を下押しした。それは、特許海賊の常套手段である商業行為だ。

Sonosは最初、Sonosから略取した技術のライセンス料を求めてGoogleと協議した。Googleはその協議を何年も長引かせ、その間にGoogleの利益は膨らみ、Sonosはますます多くのお金を失った。7年後にSonosは、法廷で自己の権利を護る以外の選択肢はない、とい状態に追い詰められた。Sonosは、2020年にGoogleを訴えた。

Sonosは、国際貿易委員会にもGoogleを訴えた。この特別法廷は通常の裁判所よりも迅速に、侵害的な輸入を禁ずることができる。ただし、損害賠償はない。

2021年夏にITCの判事は、Googleが確かにSonosの5つのパテントを侵害したと判決した。先に同委員会は、この決定を再確認した。Googleは今でもSonosの主張を「根拠がない」とし、控訴を続けるつもりだ。

これは大手テック企業が、他人に特許のある技術を不法に利用する顕著な例にすぎない。あまりにも多いから、今では「略奪的侵害(predatory infringement)」と呼ばれている。法学者や政策立案者は「効率的侵害」(efficient infringement)と、皮肉な名前で呼んでいる。わかりやすくいえば、これは「海賊行為(piracy)」だ。

しかし大手テック企業は米国の特許システムに対する攻撃を続けており、海賊行為をさらに支持することを求めている。Googleなどの企業は長年、議会に対するロビー活動に数百万ドル(数億円)を投じて、規制当局に特許を弱体化し、排除させようとしている。つまり特許というシステムを、イノベーターに反するものに改装するつもりだ。たとえば彼らはパテント・トロールという怪物を作り出して、侵害で彼らを訴えようとする特許保有者を中傷している。あたかも、問題は彼ら自身の窃取行為ではなく、彼らと戦おうとする被害者たちのあつかましさだ、と言わんばかりに。

米国のイノベーション経済の中心的な推進者は特許に依存するイノベーターやクリエイターたちだから、ワシントンは彼らを護るために活動する必要がある。議会は、超党派のSTRONGER Patents Act法案を再提議し、成立させるべきだ。この法律は特許のシステムに均衡を回復し、ビッグテックがロビー活動で作り出した、略奪的侵害の戦術的実践の鍵となっている法規や制度をリフォームするだろう。

SonosのGoogleに対する法的勝利は、長年、政策立案者や法律家たちがいってきたことを確認している。すなわち、ビッグテックによる略奪的侵害は21世紀の海賊行為であり、Sonosは多くの被害者の1つにすぎない。ワシントンはこの海賊行為を終わらせる努力をすべきであるし、それができる。

編集部注:本稿の執筆者Adam Mossoff(アダム・モソフ)はGeorge Mason大学の特許法の専門家。STRONGER特許法について議会で証言しており、Hudson Instituteのシニアフェローでもある。

画像クレジット:erhui1979/Getty Images

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(文:Adam Mossoff、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米規制当局、グーグルがSonosのスピーカー特許を侵害と判決

米国際貿易委員会(US International Trade Commission、ITC)は、Googleがスピーカーと製造法に関する特許を侵害したとするSonosの訴え同意した。最初の決定は8月に出されていたが、今回判決が終結し、Googleは、Sonosの知的財産を侵害していると認められる製品を輸入できなくなる。Googleはその製品を中国で製造しているため、60日後に輸入禁止が適用されると、それらを米国へ送ることができなくなる。

Sonosは2020年に5つの特許に関してGoogleを訴え、その中にはワイヤレススピーカーをお互いに同期する技術もある。The New York Timesによると、侵害に該当する製品にはGoogleのHomeスマートスピーカー、Pixelとコンピューター、そしてChromecastデバイスが含まれる。輸入禁止となったGoogleの広報担当者は、この判決でデバイスの輸入と販売が中断することはないと述べている。

「私たちは本日の判決には同意しないが、ITCが弊社修正設計を承認したことには感謝する。私たちはさらなる見直しを求め、パートナーシップと知的財産に関するSonosの根拠のない主張に対して私たち自身を護っていく」と広報担当者はProtocolに語る。委員会は、最終判決でその新しい設計を否定しなかったため、Googleはそれらを実装することができる。

Nestのチームは最近、スピーカーグループの部分的変更を発表し、それを「最近の法的決定によるもの」と述べている。最も顕著な変更は、今後ユーザーは、グループ内のすべてのスピーカーのボリュームを一度に調節できなくなることだ。各スピーカーを、個々に調節しなければならない。

Sonosの法務担当最高責任者(CLO)であるEddie Lazarus(エディ・ラザロ)氏は声明の中で次のように述べている。「Googleは製品の機能を劣化または排除することで、ITCに科せられた輸入禁止を回避することもできるが、それでもなおかつGoogleはSonosの数十ダースもの特許を侵害している」。すなわち、Sonosにロイヤリティを払わないかぎり特許権侵害になるのだ。

以下は、その声明の全文となる。

ITCが本件で争点となっているSonosの5件の特許を明確に検証し、Googleが5件すべてを侵害していることを明確に裁定したことに感謝している。これは、特許訴訟では極めて稀な全面的勝利であり、Sonosの広範な特許ポートフォリオの強さとGoogleのコピー拒否の空虚さを浮き彫りにしている。これらのSonosの特許は、家庭用オーディオシステムを制御するためのセットアップ、複数のスピーカーの同期、異なるスピーカーの独立した音量制御、スピーカーのステレオペアリングなど、非常に人気の高い家庭用オーディオ機能に関するSonosの画期的な発明をカバーしています。

ITCが課した輸入禁止を回避する方法で、Googleは製品の機能を低下させたり削除したりできる可能性がある。しかし、Googleはこの輸入禁止措置を回避するために消費者の体験を犠牲にするかもしれないが、同社の製品は依然としてSonosの特許数十件を侵害し、同社の不正行為は続くだろうし、Sonosに対する損害賠償は今後も発生し続けるだろう。あるいは、他の企業がすでに行っているように、Googleは不正流用した技術に対して公正な使用料を支払うこともできる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】ビッグテックはビジネスが苦手なのか?中小の知的財産権を侵害する大手

Google(グーグル)は2021年8月、Sonos(ソノス)との法廷闘争で大きな敗北を喫し、米国際貿易委員会の判事はグーグルがSonosのオーディオ技術特許5件を侵害したと判断した。この判決が支持されれば、Googleは数億ドル(数百億円)を支払うことになり、PixelスマートフォンからNestスピーカーに至るまで、あらゆるものを取り込むことが禁止されるかもしれない。

これは些細な展開ではない。ビッグテックがより規模の小さい企業から知的財産を盗むのを阻止しようとする一連の訴訟や苦情の最新事例である。

ここ数年、ビッグテック企業が小規模なライバル企業の知的財産権を侵害するケースが増えている。こうした小規模な企業は反撃を開始しており、今やビッグテック企業は裁判所から命じられる数百億ドル(数兆円)の損害賠償と訴訟費用に直面する可能性がある。

もしビッグテックの幹部たちが無謀な侵害を続けるなら、彼らの会社は取り返しのつかない財政的、評判上の損害を受けることになる。競合他社の知的財産を盗むことはもはや単に非倫理的なだけではない。それはビジネス上の決定があまりにも悲惨なほど近視眼的であり、経営者の株主に対する受託者責任の侵害にあたることはほぼ間違いない。

長い間、Apple(アップル)のような巨大テクノロジー企業は、対抗する資金力や法的な武器を持たない小規模な競合他社を自由に餌食にすることができると考えていた。だが、もはやそうではない。

小規模企業は訴訟にコストをかける価値があると判断し、大きな勝利を収めている。この1年間に行われた3つ訴訟だけでも、陪審は小規模企業に10億ドル(約1133億円)以上の賠償金を認めている。8月にAppleは4G技術を侵害したとしてPanOptis(パンオプティス)に3億ドル(約340億円)を支払うよう命じられた。また2020年には、VPNの特許を保有するVirnetX(バーネットX)に10億ドルの損害賠償を支払うよう裁判所から命じられている。

Appleだけではない。2020年10月、連邦裁判所はCisco(シスコ)に対し、サイバーセキュリティとソフトウェアを手がけるCentripetal Networks(セントリペタル・ネットワークス)に20億ドル(約2266億円)近くを支払うよう命じた。この裁判の判事は、Ciscoの行為を「典型的な侵害を超えた意図的な不正行為の悪質な事例」と呼んだ。

知的財産権の盗用は、ビッグテックの収益に大きな影響を与える可能性がある。これらの企業は数千億ドル(数十兆円)、場合によっては数兆ドル(数百兆円)の時価総額を誇っているが、裁判所が命令した巨額の支払いを積み上げるのは好ましいことではない。

例えば、Ciscoのペイアウトは年間売上の4%を占めている。Appleは最近、さらに10億ドルの損害賠償を支払うことなく、日本企業と和解した。また、英国の裁判所で特許侵害に対する70億ドル(約7921億円)の支払いを受け入れる代わりに、(強要されれば)英国市場から撤退する可能性があると警告した。

しかし大企業が知的財産権の盗用による罰金を免れることができたとしても、その結果としての評判へのダメージは相当なものになる。

米議会の委員会は、反トラスト法違反やプライバシー侵害に関する公聴会のために、幹部を定期的に議場に引き入れている。消費者はますますFacebook(フェイスブック)、Google、Apple、Amazon(アマゾン)を嫌悪するようになっている、あるいはもっと深刻だ。もし政治家や顧客が、これらの企業の利益が継続的な特許侵害にかかっていることを知れば、企業の評判は打撃を受けるであろう。

結局のところ、ビッグテックの経営陣は株主に対して法的な受託者責任を負っている。特許裁判にともなうリスクに目をつぶっている経営陣、つまり自分たちの会社を莫大な法的リスクや評判リスクにさらしている経営陣は、最終的には彼らの道徳的に疑問のある決定が株価に反映されていることに気づくだろう。

一方、株主、一般社員、その他の利害関係者は、経営陣の責任を問うべきである。最大の機関投資家の利益のためにも、Appleなどに圧力をかけて係争中の訴訟を解決させ、小規模ベンダーとライセンス契約を締結させることが必要だ。

ビッグテックが知的財産法の範囲内で活動を開始すれば、セクター全体を持続的な成功に導くであろう。

ペルーの経済学者Hernando de Soto(エルナンド・デ・ソト)氏が著書「The Mystery of Capital」で指摘しているように、社会の経済的繁栄は知的財産権を含む財産権の保護と保全に大きく依存している。

財産権の保護が強い社会は、人々が自分のアイデアに投資することを奨励する。逆に、財産権の保護が弱い社会はそのような投資を抑制し、イノベーションも抑制される。

米国のテクノロジーセクターも例外ではない。消費者と株主は、規模の大小を問わず、企業の繁栄を望むべきだ。より小規模な企業では、入力ソフトウェア、アプリケーション、ハードウェアを開発しており、最終的には消費者向け製品になることが多い。

しかし、大企業が小さな企業を虐げ、お金を払わずに最高のアイデアを略奪すると、小さな企業はイノベーションへのインセンティブを失ってしまう。

ビッグテックは特許の盗用をやめる時を迎えている。

編集部注:本稿の執筆者Andrew Langer(アンドリュー・ランガー)氏はInstitute for Libertyのプレジデント。

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(文:Andrew Langer、翻訳:Dragonfly)

SonosがDolby Atmosに対応した第2世代の「Beam」発表、5万9800円で年内発売

Sonos(ソノス)は長年にわたりホームシアター製品を販売してきたが、近年はリビングルームをさらに重視するようになっている。その始まりは、フラッグシップのサウンドバー「Playbar(プレイバー)」をより小さく、より手頃な価格にした「Beam(ビーム)」だった。そして2020年の新たなフラッグシップである「Arc(アーク)」は、同社のサウンドバーで初めてDolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応した製品だった。

米国時間9月14日、このBeamが大幅にアップグレードされた。第2世代となった新型Beamは、449ドル(約4万9000円)という価格で同日より注文を受け付け、発送は10月5日から始まる予定だ。Sonosが先に発表した他の製品の値上げと同様、旧型Beamより50ドル(約5500円)ほど高くなっている(日本では旧型より8320円ほど高い税込5万9800円という価格で年内に販売開始予定)。良い知らせは、新しいBeamがさまざまな点で前モデルよりも高性能であるということだ。50ドル分の値上げに見合う価値があるかどうかは、実際に製品を試用してみないと何とも言えないが、注目すべき新機能がいくつか備わっている。

外観は先代とほとんど同じだが、グリルが布製から穴の開いたポリカーボネート製に変更されている。内部のスピーカーコンポーネントは変わらず、4つのフルレンジウーファーと1つのセンターツイーター、そして3つのパッシブ・ラジエーターを搭載する。前モデルと異なるのは、新しいプロセッサの処理速度が40%高速になったこと。これによって多くの新しい音声フォーマットが再生可能になった。

画像クレジット:Sonos

最も注目すべき点は、この第2世代のBeamが、映画やテレビ、音楽用のDolby Atmosに対応したことだ(後者は今のところ限定的)。Sonosでプロダクトマネージャーとして新型Beamの開発に関わったScott Fink(スコット・フィンク)氏によると、新しいCPUのパワーによってスピーカーアレイの数を増やすことができたという。これは特定のスピーカーコンポーネントが増えたわけではなく「サウンドバー内のすべてのスピーカーの再生と相互作用を調整する一連のソフトウェア」であると、フィンク氏は説明する。新型Beamでは、スピーカーアレイが前モデルの3つから5つに増えており、フィンク氏によるとこの増加分はサラウンドサウンドと高さ情報の専用になっているという。

このように、新しいBeamはArcと同じホームシアター音声フォーマット(Dolby Atmos、Dolby Digital Plus、Multichannel PCMなど)に対応しているが、価格はArcの半分だ。これらの新しいフォーマットを伝送するために、新型Beamは処理能力の向上に加えて、HDMI eARCによる接続も可能になった。Sonosによると、音声処理能力が向上したことでダイアログの明瞭度が改善し、従来も利用可能だったスピーチエンハンスメント機能の効果がさらに向上したという。

また、新型Beam(とArc)は、年内にAmazon Music(アマゾン ミュージック)のUltra HDとDolby Atmos Musicにも対応する予定だ。これまでもSonosのスピーカーには、HD音楽サービスに対応しているものがあったが、同社の製品で3D音楽フォーマットが機能するのは初めてのことだ。Apple Music(アップルミュージック)でDolby Atmosに対応する予定はないのかと尋ねたところ、当然ながら、それはまだ答えられないとのことだった。しかし、技術的な問題はないはずだ。SonosとApple(アップル)が協力して、より多くのApple Musicフォーマットに対応するようにすればいいだけの話である。

画像クレジット:Sonos

他のSonos製品と同様に、この新型Beamは同社の他のスピーカーと接続してマルチルーム再生が可能であり、他のSonosスピーカーをサラウンド用に使うこともできる。また、iOSデバイスを持っている人なら「Trueplay(トゥループレイ)」を使ってスピーカーを部屋に合わせて調整し、サウンドを向上させることができる。

Beamには遠距離マイクが搭載されているので、Alexa(アクセラ)やGoogle Assistant(グーグル アシスタント)による音声コマンドを受信することもできるが、これは必須ではない(上部にマイクのミュートボタンも備わる)。最近の他のSonos製スピーカーと同様、セットアップが簡単になるNFCも搭載されており、Sonosアプリを起動したスマートフォンを近づけると、自動的にWiFiネットワークに接続される。

ここまでSonosの発表を見てきた限りでは、なるべく多くの出費を抑えつつDolby Atmosを導入したくてたまらないという人を除けば、新型Beamはほとんどの人にとってそれほど重要なアップグレードではなさそうだ。しかし、Beamがすでにベストセラーのコンパクトサウンドバーであることを考えると(NPDのデータによる)、これらのアップグレードは競合製品に対する優位性を維持するためには役立つに違いない。たとえ50ドル値上げされようとも。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のNathan Ingrahamは、Engadgetの編集長代理。

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(文:Nathan Ingraham、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GoogleがSonosの特許5件を侵害したと予備裁定が認定

この前2020年にSonosは、特許権侵害でGoogleを訴えた。そして今日(米国時間8/13)、このストリーミングスピーカーの企業は、権利の侵害などを調査する米国国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission, USITC)で初期の勝利を勝ち取った。ITCの主席行政法判事Charles Bullock氏が記した予備裁定は、Googleが5つの特許を侵害した、と認めている。

Sonosの法務部長、Eddie Lazarus氏は、本誌TechCrunch宛の声明で次のように述べている: 「本日行政法判事は、Sonosが主張する5件の特許をすべて有効と認め、Googleがそのすべてを侵害していることを認めた。ITCがSonosの、特許を伴う発明に対するGoogleのあからさまな侵害を認めたことは欣快である。この決定は、私どものポートフォリオの強さと幅広さを再確認するものであり、私たちのイノベーションをビッグテックの独占による不正利用から守ろうとする、私共の長期的な営みにおける、将来性のあるマイルストーンになるものである」。

しかしこの事実認定はまだ極めて初期的であり、両社間の紛争はまだ長く続くものと思われる。Sonosの訴えは、Google自身のストリーミングスピーカーの製品系列に由来している。Googleは独自のHomeスピーカーでおよそ4年半ほど前に、Sonosが長年支配していたカテゴリーに参入した。この製品系列は今やNestの商標のもとに数種類の製品を擁している。

最初の告訴の時点でSonosのCEO、Patrick Spence氏はこう声明していた: 「Googleは露骨かつ意図的に弊社の特許技術をコピーしてきた。過去数年間にわたって私どもが繰り返した多くの努力にもかかわらず、Googleは私達と、両社に利益のあるソリューションで共働する意思をまったく示さなかった。私たちに残された手段は、訴訟だけとなった」。

こういうHome的な製品では、Googleの主な競合相手はAmazonだが、SonosはそのAmazonとも同様の問題を当時から抱えていた。しかし同社は、その時間とお金とリソースをGoogleとの抗争に割くことを選んだ。

Sonosが究極的に望んでいるのは、ITCを利用して、これらのスマートスピーカーと共に、ChromecastやPixelなど、そのほかのGoogleのハードウェアの輸入をブロックすることだ。それが実現すれば、Googleのハードウェア事業に対する大打撃になるだろう。しかし最終裁定は早くても12月13日であり、さらに輸入の禁止が有効になるのはそれから60日後だ。

一方、GoogleのスポークスパーソンJosé Castañeda氏は声明でこう述べている: 「弊社はSonosの技術を使っておりませんし、競争はあくまでも私共の製品の質と、私たちのアイデアの価値によって行っております。弊社は今回の予備裁定に同意いたしませんし、今後の検討過程において私たちの正当性の主張を続けます」。

関連記事: SonosがGoogleを提訴、スマートスピーカー技術に関する特許侵害の疑いで

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Google

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SonosとIKEAの最新コラボは額のように壁にかけられるスピーカー

ちょっとしたリークがあったのに続いて、SonosとIKEAは登場以来3年になるホームスピーカーであるSymfoniskシリーズの最新モデルを発表した。「Picture Frame」(「額縁」の意)という名前の通り、中型のフラットパネルスピーカーで壁にかけたりスタンドを使って棚に置いたりすることができる。

Symfoniskシリーズの他の製品と同様に、Picture Frameも個性を廃し環境に溶け込むように設計されている。これはここ数年の業界の方向性であり、周囲の装飾に合うような布製の外装で、程度の差こそあれ背景から浮くことがない。

画像クレジット:Ikea/Sonos

Picture Frameのフォームファクターは当然この方向性を拡張したもので、机上のスペースを片づけずに設置できる。アーティストのJennifer Idrizi(ジェニファー・イドリッジ)氏がデザインしたフロントグリルは黒または白で、IKEAは音の振動を可視化するサイマティクスからヒントを得たと説明している。周囲に合うシンプルなデザインだが、同社は別デザインの交換用パネルも2枚1組、20ドル(約2200円)で販売する。

Picture Frame自体は199ドル(約2万2000円)で安くはないが、Sonosのハードウェアとして理解できる価格ではある。Wi-Fiを内蔵し、Sonosの他のハードウェアと接続でき、100種類のストリーミングサービスを利用できる。音量調整と再生 / 一時停止のボタンを備え、設置する場所に応じて電源ケーブルの配置を変更できるなど細かな調整が加えられている。

Picture Frameは2021年7月中旬までにオンラインとIkeaの店舗で販売が開始される予定だ。Symfoniskシリーズにはランプスピーカーや従来型の四角いスピーカーもあり、価格は100〜200ドル(約1万1000〜2万2000円)となっている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:SonosIKEAスピーカーコラボレーション

画像クレジット:Ikea/Sonos

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

【レビュー】Sonos Roamはほぼ完璧なポータブルスピーカー

Sonos(ソノス)が2021年3月に発表した新型スピーカーは、さまざまな点において同社のこれまでの製品とは大きく異なる。米国では4月20に発売される(日本では2021年夏に発売予定)この「Sonos Roam(ソノス・ローム)」は、内蔵バッテリーとBluetooth接続を備えたコンパクトなポータブルスピーカーだが、無線LANストリーミング、マルチルーム機能、音声アシスタントのサポート、そして驚くほど優れた音質を備え、Sonosシステムの一員であることに変わりはない。

基本仕様

価格169ドル(約1万8500円、日本での価格は未定)のSonos Roamは、高さ168mm×幅62mm×奥行き60mmと小さなサイズで、重量は430グラム。カラーはマットホワイトとブラックの2色から選べる。また、IP67規格に準拠しており、水深1mまでの場所で30分以内の耐水性を備えている。

スピーカーの操作系は本体の側面片側に配置されており、マイクボタン、ボリュームコントロール、再生 / 一時停止ボタンが備わる。これらはすべて物理ボタンが採用されており、他のSonosのスピーカーに見られるようなタッチセンサー式ではない。外へ持ち出すことを想定したスピーカーとしては、雨や水に濡れてタッチ操作が効かなくなる場合も考慮した、理に適った設計と言えるだろう。

背面には電源ボタンがあり、その隣に充電用のUSB-Cポートも備えている。スピーカーの底面に組み込まれたレシーバーを介して、ワイヤレス充電も可能だ。専用にデザインされたマグネット式充電アダプター(別売り)の他、一般的なQi対応のワイヤレス充電器と組み合わせて使用できる。

Sonos Roamは、Wi-Fiストリーミングに加えて、Bluetooth 5.0であらゆるデバイスと接続することができる。Apple(アップル)製デバイスとWi-Fi接続するためのAirPlay 2にも対応しており、箱から取り出して電源を入れればSpotify Connectにもすぐにつながる。内蔵のバッテリーは、フル充電で最大10時間の再生が可能で、スリープ状態のスタンバイモードでは最大10日間保持される。

デザインと性能

本機はSonosからこれまでに発売されたスピーカーの中で最も小型の製品だが、このカテゴリーのデバイスとしては、その小ささは間違いなく大きなプラス要素だ。全体のサイズはレッドブルの缶を少し高くしたような感じといえば、携行性の高さがおわかりいただけると思う。Sonos初のバッテリー内蔵ポータブルスピーカーだったSonos Move(ソノス・ムーブ)と違って、Roamはバッグに入れて本当にどこにでも持ち運べるように設計されていることが感じられる。

小さなサイズにもかかわらず、Sonos Roamは迫力のあるサウンドを発する。おそらく、このサイズのポータブルスピーカーとしては、筆者がこれまで聞いた中でベストだ。その内部にはデュアルアンプ、ツイーター、そしてSonosが独自開発した楕円形ミッドウーファーが詰め込まれており、通常の小型スピーカーでは得られない低音と中音を忠実に再現する。Roamはそのサイズから予想するよりかなり大きな音を出すことができるが、それと同時に音質はクリアで歪みのない状態を維持する。

Roamの優れた音質を生み出す鍵の1つとなっているのが、Sonosの自動チューニング技術「Trueplay」だ。これは周囲の環境に合わせて音質を積極的かつ継続的に調整する機能で、これを作動させるにはマイクを有効にする必要があるが、ほとんどの設定でオンにしておく価値がある。Wi-FiだけでなくBluetoothでストリーミングする際にも利用でき、サウンドに大きな違いをもたらす。この機能は、スピーカーの向きが水平から垂直に変わったときの調整にも役立つため、このサイズと価格帯の他のスピーカーと比較して、Roamが優れている理由の1つとなっている。

この価格であれば、Roamは音質だけでも勝負できるが、Sonosシステムに特化した機能を追加することで、真のカテゴリーリーダーになることができた。例えばRoamは、自宅システムに接続してSonosアプリ経由のWi-Fiストリーミングに備えた状態のまま、バッテリーを保持するスタンバイモードに移行できる(これは便利だ。電源ボタンを5秒間押し続けると、本当の意味での電源オフになり、さらに長くバッテリー残量を維持できるので、旅行の際などスピーカーを使用しない時にはそうした方がいい)。

Roamの驚くべき機能の1つに、再生 / 一時停止ボタンを長押しすると、聴いていた音楽をシステム内の最寄りのSonosスピーカーに受け渡すハンドオフ機能がある。まるで魔法のようなこの機能は、Roamをポケットに入れて家の中を歩き回ったり、庭で雑用をするときに優れた能力を発揮する。

結論

Sonosは、旅行に適したポータブルスピーカーを初めて発売するまでに長い時間を費やした。しかし、その長い時間を賢く使ったことは明らかだ。Sonos Roamは、200ドル(約2万2000円)以下で購入できるポータブルスピーカーの中で、最も考え抜かれたデザインと豊富な機能、そして最高のサウンドを備えている(さらに、多くのもっと高価な製品と比べても優れている)。たとえ自宅にSonosシステムを持っていなくても、ポータブルで頑丈なBluetoothスピーカーを探しているのであれば、この製品は選ぶ価値がある。もし、あなたがすでにSonosユーザーであるのなら、さらにその価値は増すだろう。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:スマートスピーカースピーカーオーディオSonosAirPlayレビュー

画像クレジット:Darrell Etherington

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SonosがフルポータブルのBluetoothスピーカー「Roam」を約1万8400円で発売

2019年後半に発売されたMove(ムーブ)は、実にSonos(ソノス)らしいBluetoothスピーカーだった。それは同社伝統の高級指向のアプローチから、ポータブルなフォームファクターを強調する方向へと進む試みの1つだった。プレス向け写真にはポーチの中やプールサイドに置かれた商品の画像が目立っていた。

しかし米国時間3月9日に登場したRoam(ローム)はフルポータビリティーへとさらに大きく一歩を進め、より小さく、軽く、堅牢、防水なデザインで、JBLなどの会社の人気商品と同列に並べられるものだ。価格もいっそう受け入れやすい169ドル(約1万8400円)で、Moveの最低価格と比べて半分以下だ。

画像クレジット:Sonos

もちろんもっと安いポータブルBluetoothスピーカーは他にいくらでもある。ちなみにJBLのFlip 5の方がおよそ40ドル(約4300円)安く売られている。しかし、これにお金を払う理由の1つはSonosのエコシステムだ。そういうわけで、中心になるのはSonosのサウンドベースだろう。そして(会社にとって)ありがたいことに、スーツケースに放り込める互換スピーカーを長らく待ち望んでいたSonosユーザーがたくさんいることは間違いない。

標準のBluetoothとWi-Fi接続に加えて、システムはSonosの新しいSound Swap機能を使って、Play / Pauseボタンが押されたとき、次に近いスピーカーに音楽再生を切り替えることができる。スピーカーは100種類以上のストリーミングサービスに対応しており、もちろんSonos Radioもその1つだ。さらにAlexa(アレクサ)とGoogleアシスタントまたはAirPlay 2経由で制御することも可能だ。

画像クレジット:Sonos

ここに書いた情報は昨今のビジネス状況のどおり、すべてバーチャルの発表から得たものなので、サウンドについて具体的に語ることはできない。それでも、私はこれを非常にすばらしくてかなり高価なMoveからの廉価版と考える。しかし改めていうが、これは特にフレキシビリティを考えて買うスピーカーである。このスピーカーは1回の充電で10時間再生可能で、使わなければ10日間持続する。

発売は4月20日の予定だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Sonosスピーカー

画像クレジット:Sonos

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Sonosが月840円のストリーミングラジオサービスを米国と英国で開始

世界には音楽ストリーミングサービスが溢れている。しかしSonos(ソノス)はもう1つ登場させることを決めた。広告が入るSonos Radioの2020年4月の立ち上げに続き、同社はSonos Radio HDという講読料月7.99ドル(約840円)のプレミアム版を発表した。名称から察せられるように、これはSpotify(スポティファイ)やApple Music(アップルミュージック)のような本格的な音楽サービスというよりストリーミングラジオサービスだ。

また名称からもう1つわかることは、ビットレートが高いことだ。通常のラジオが128kbpsなのに対し、Sonos Radio HDは16bitでCDと同等の音質となる。広告が入らないプレミアム版ではまた、Sonos Radioではできない曲送りやリプレイに対応する。

Radio HDでのみ提供されるステーションもわずかながらある。Sonos RadioのThom Yorke(トム・ヨーク)、Brittany Howard(ブリタニー・ハワード)、Jack White(ジャック・ホワイト)、Ludwig Göransson(ルドウィグ・ゴランソン)のステーションに加え、Radio HDではDolly Parton(ドリー・パートン)のSongteller Radioが提供される。筆者が知る限り、みなドリー・パートンが好きなので、Radio HDで聞けるのはいいことだ。そしてアーティストがキュレートする別のステーションも今後投入されることになっている。

他にもいくつかのキュレートされたジャンルステーションや、リラックス、生産性、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ、雨、熱帯雨林、ピアノサウンドといった異なるムードに合わせたたくさんの「サウンドトラック」もある。

Sonosによると、オリジナルのSonos RadioはいまSonosスピーカーで利用されているストリーミングサービスの中で第4位という。これには無料であることが貢献しているのはまぎれもない事実だろう。さまざまな選択肢があるなかで、月8ドルというプレミアムサービスは苦戦するのではないと筆者は考えている。

同サービスは11月12日から米国と英国で利用でき、最初の1カ月は無料で試せる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Sonos音楽音楽ストリーミング

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(翻訳:Mizoguchi

コネクティッドオーディオはよくない選択だった、私の忠誠心の問題もあるが

先週私は、自宅のオーディオシステム選考にかなりの時間を費やした。いま唯一言えるのは、次のシステムはスマートではないということだ。

過去5年の間に、私のシステムはそこそこの有線2.1 ch スピーカーから、ネットにつながるスピーカーの複雑な寄せ集めへと変わった。Google Home Maxを含む少なくとも5種類のGoogleアシスタント搭載スピーカーを始め、ネット接続可能ないくつかSonosスピーカーにHomePodが3台、Facebook Portal+、Chromecast Audio経由でつながった非スマートスピーカー、さらにはその数は神のみぞ知るAlexa内蔵スピーカーを体験してきた。総括すると、近頃私は非常にまずいオーディオの選択をしてきたとはっきり言える。

現行のシステムには山ほどの不満があったが、実際にはそれは、スマートスピーカー市場全体の問題だ。

  • 優れたオーディオ機器は永遠であるべきで、頻繁なファームウェアアップデートが必要で特定オペレーティングシステムを独自にサポートしていたり、統合のサポートがなくなるようなデバイスは論外
  • この手のスピーカーと組み合わせたホームエンターテイメントはとにかくひどいもので、同じメーカーが作った製品同士であってもそうだ。私のステレオHomePodをApple TVに繰り返し接続していると頭がおかしくなる
  • スマートアシスタントは1年前と比べてずっと野心がなくなっていて、イノベーションの天井は著しく下がってきた。サードパーティー製品との統合は期待には程遠く、果たしてこうしたボイスインターフェースに、テック企業がかつて願っていたような明るい未来あるのかどうか、かなり不安になってきた
  • 一時期、このアシスタントたちは自宅のオペレーティングになるはずだったが、今のスマートホーム体験はほとんど失敗としか感がられず、「アイアンマン」に登場するジャービスのようにインターネットにつながるデバイスと仲良く遊ぶ人工知能システムの夢は、まったくの絵空事だった

つまるところ、今私はこの先何十年でもちゃんと使えるシステムに投資する決断を下す時のようだ。

さて私の本当に間違いは「1つのエコシステムに忠誠を誓わなかったことだ」と言いたい人もいるだろう。それは間違いなく正しいが、正確に私のほしいものを提供するメーカーがあるとは思えない。それは、ひどくバラバラなアプローチをとっているからだ。堅牢なSonosのシステムに資金を投入するのがおそらく最も賢い忠誠の尽くし方だったのだろうが、私の忠誠心には問題があり、おそらくその一部はこの目で見てみたいという欲求だ。

新型コロナウイルスによる隔離生活の中、私はホームオーディオシステムと過ごす時間がたっぷりあり、非互換ハードウェアには大いに悩まされた。スピーカーごとに独自のオペレーティングシステムを使っていたり、あるスピーカーが私のお気に入りの音楽ストリーミングはうまくいくのに、ほかでは動かないというのはやめてほしい。長続きするものがほしいのだ。

いくつかのエコシステムを中途半端に使ってみたあと私はもう十分だと感じ、今はちょっといいオールドファッションの有線サラウンドサウンドスピーカーを探していて、ややスマートなAVレシーバーにつなぐつもりだ。私は来年出てくるどんなクールなオーディオガジェットにも手を出さない強い心を持ち、今後も強くいられるよう願っている。よいシステムをつくるアドバイスがあれば教えていただきたい。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマートスピーカーのSonosが12%の人員削減とニューヨーク店舗の閉店を決定

今週、SEC(証券取引委員会)に提出された書類によると、スマートスピーカーメーカーのSonosはいくつかの小規模オフィスとマンハッタンSOHO地区の象徴であるショールームの閉鎖に加えて、12%の人員削減を計画していると発表した。

同社は先月株主に送った書簡で、小売店舗の閉鎖と、高級オーディオ製品全般の需要低下による苦闘を認めていた。

「第2四半期は売上が前年同期比17%減と苦しんだ」と同社は書いた。「好調な第1四半期のあと、第2四半期は減速を経験し、米国の大型小売パートナーの在庫再調整、当社卸業者の在庫再調整によるドイツ市場の不調などに起因する課題に直面した。去る3月、総売上は前年比23%減となり、主要な小売市場での補充オーダーの通常サイクルが、世界需要の落ち込みと新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによる広範囲な実店舗の閉店によって崩壊したのが原因だった」。

CEOのPatrick Spence(パトリック・スペンス)氏はTechCrunch宛ての声明で、原因の大部分は現在進行中の新型コロナパンデミックにあると語った。

「パンデミックが起きたとき、我々は直ちに過去数年の投資を見直し、営業経費の圧縮と流動資産の保持を行った」とスペンス氏は書いた。「パンデミックとその経済への影響によって、我々は難しい選択を迫られ、人員の削減、小規模事業所とニューヨーク市の店舗の閉店という困難な選択を強いられた。こうした変化は将来のチャンスを活かすための準備として必要だ」。

同氏は、社員には複数回にわたる全社会議で通知をしたと語り、影響を受けた社員には退職手当、健康保険、就職支援などを行う予定であることを付け加えた。

取締役会は、スペンス氏の基本給を7月1日から9月末まで20%削減することにも同意した。

画像クレジット:Sonos

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Sonos Arc」は単体でも組み合わせても素晴らしいサウンドバー

Sonos(ソノス)は過去2年間、驚くほどのペースで常に新しいハードウェアをリリースし続けてきた。さらに称賛すべき点は、同社がリリースするすべての製品が素晴らしいパフォーマンスを発揮しているということだ。今回新たに発表されたSonos Arcサウンドバーも例外ではない。筋金入りの5.1chサラウンド信者でさえ転向させてしまうほどの、同社史上最高のホームシアターサウンドデバイスを生み出してくれた。

概要

Sonos Arcは、すでにあるSonosのホームオーディオシステムにワイヤレスで組み込めるように設計されたサウンドバーで、HDMIオーディオリターンチャネル(ARC)を介してテレビやA/Vレシーバーからのオーディオも受け入れる。最近のほとんどすべてのテレビにはHDMI ARCポートが少なくとも1つは搭載されているため、Arcはビデオソースの標準HDMI入力として機能するだけでなく、接続されているスピーカーやステレオシステムにもオーディオを出力できる。

ARCをサポートしていない場合に備えて(テレビにこれがない場合は、ほぼ確実にTOSLINKデジタルオーディオ出力ポートがあるはずだ)、Arcには光デジタルオーディオHDMIアダプターも付属する。また、Sonos独自のメッシュネットワーキングテクノロジーを介してSonosの他のスピーカーに接続するワイヤレススピーカーとしても機能するため、自宅全体のワイヤレスオーディオセットアップに、マルチルームスピーカーがもう1つ加わるということになる。

Arcは、Sonos Sub、Sonos One、One SL、Play:1などSonosの他のスピーカーと組み合わせることで、サブウーファーと2台のリアスピーカーを備えたより完全なワイヤレス5.1chシステムを作り上げることも可能だ。ただし、これはオプションの拡張機能であり、Sonos Arcの優れたバーチャルサラウンドレンダリングを堪能するために必ずしも必要ではない。この新しいハードウェアには、Sonosのサウンドバーでは初めてのDolby Atmosのサラウンドサウンドエンコーディングも含まれている。

デザイン

Sonos Arcは、Sonos Oneのデビュー以来同社が守り続けているモダンなデザインを受け継いでいる。黒か白のモノブロックのボディに滑らかなライン、円形のホールグリルデザインが施され、Play:1で見られたコントラストカラーのグリルデザインよりも現代的な雰囲気に仕上げられている。

ArcはSonos Beamのデザインの真髄を継承しているようにも見える。Sonos Beamは内蔵マイクとGoogleアシスタントやAmazonのAlexaなどの仮想音声アシスタントをサポートしたSonosの最初のサウンドバーだ。しかし実際はSonos Beamよりもかなり大きく、45インチという長さはむしろ、同社がこのカテゴリーに初めて参入した際に発表したSonos PlaybarやPlaybaseに近い。

この長さをお伝えするために書くと、これは著者が所有する65型のLG C7 OLED TVの全長とほぼ変わらない。またSonos Beamよりも少し高さがあり、3.4インチとなっている。私の環境の場合はそれでもまだ十分に余裕があり、テレビ台のテレビの前に置いても、観ていて画面が隠れることはないが、もし読者がBeamと同様のセットアップでArcを設置しようとお考えなら、機器周辺を少し片付ける必要があるかもしれない。

この大きなサイズは見掛け倒しではない。これによってArcよりも低価格のBeamと比べてはるかに優れたサウンドを実現している。Arcの内側には音を上向きに響かせるドライバー2つと、長い円柱状のサウンドバーの両端に面したドライバー2つを含む11基のドライバーが搭載されている。これらのドライバーによる効果と、その長いプロファイルによって可能となった距離間隔が、左右背後から響く臨場感を実現している。

背面には音質をさらに向上させ、Arcを専用のウォールマウントに取り付けられるようにする土台を備えたベントバーが付いている。壁に取り付けるにしてもテレビ台の上に置くにしても、Arcは非常に魅力的なハードウェアだ。電源とテレビに接続するのにたった2つのケーブルしか必要なく、ホームシアターにありがちなケーブルの散乱を解決してくれる上、ほとんどのインテリアと難なく調和する。

性能

上述したように、単一のスピーカーだけでこれほどまでに音の分離感と没入感のあるバーチャルサラウンドを実現したSonos Arcの達成は実に素晴らしい。同製品は私が体験したSonosのサウンドバーの中で最高のサウンドレンダリングであり、おそらく既存のサウンドバー史上最高のオーディオ品質と言っても過言ではないだろう。

ステレオサウンドフィールドのテストでは、オーディオトラックが左右で良い結果を示しており、Dolby Atmosサポートはそれを提供するコンテンツがある場合にこのメリットを発揮している。音声明瞭度に関してもArcは単体使用で非常に優れている。Beamの場合はシステムにSonos Subを追加してローエンドの周波数を処理し、ハイエンドの明瞭度を高めるようにしない限り、場合によっては聞きにくいこともあったと感じる。

ArcはSonos Subやリアとして機能するSonosの他のスピーカーと組み合わせることで間違いなくメリットを発揮するが、同サウンドバーはこれまでに同社が発表したどの製品よりも単体としての性能が高く、出費を節約したい場合や、テレビの内蔵スピーカーに最小限のシステムをプラスして何とかしたい場合におすすめだ。

Sonos Arcにはマイクも含まれているため、AlexaやGoogleアシスタントに話しかけて音楽を再生したり、テレビをオンにしたりとさまざまなことができる。アシスタントを接続しないでマイクをオフのままにしておく場合は別だが、私にとっては素晴らしい機能で、リビングルームエクスペリエンスの中心的存在となっている。大きな部屋で同デバイスから離れた場所にいても、このマイクはコマンドを十分に認識できるようだ。リビング、ダイニング、キッチンを仕切る壁がないオープンコンセプトの広いエリアであっても、音声対応スマートスピーカーは1台で済むだろう。

Arcはさらに、そのままでAppleのAirPlay 2のスピーカーとしても機能する。ミニマリストにとってこれはもう1つのセールスポイントだ。例えばテレビの背面にApple TVを取り付けてワイヤレスで使用できるため、ワイヤーをまたひとつ減らすことができる。また、Sonosアプリを開かなくてもスマートフォンからArcに音楽やオーディオを簡単にストリーミングできる。

アップデートされたSonosのアプリ

アプリと言えば、Sonos Arcは6月8日にリリース予定の同社の新モバイルアプリと互換性がある。既存のアプリも新アプリと並行して残る予定だ。既存のアプリは新しいバージョンを使用できないSonosの古いハードウェアをサポートするために引き続き利用される。

著者はSonos Arcのテスト期間中にこの新アプリをベータとして使用したが、期待していたほど劇的な変化は見られなかった。新アプリは確かによりクリーンでモダンな印象で、より優れたインターフェイスとなっているが、既存バージョンのユーザーにとっては予想通りの位置にすべてが収まっている。ほとんどの変更はおそらく見えない場所に存在するのだろう。同アプリは、最近リリースされたSonosのスピーカーやアクセサリーの最新チップセット、高メモリー、および更新されたワイヤレステクノロジーで動作するように設計されているはずだ。

一言で言えば、この新しいアプリでは使い慣れた制御システムがより快適で新鮮なものにアップデートされており、Arcのような最新のスピーカーには美的観点からも性能面からしてもぴったりだと言える。ベータ版でさえも、2週間のArcのテスト中に問題が発生することはなく、すべてのサービスと音声アシスタントにおいて問題なく動作した。

総合評価

Sonos Arcは間違いなく最高レベルのサウンドバーである。799ドル(108,800円/税抜)という価格とそれに見合う優れたオーディオ品質を備えている。PlaybarとPlaybaseの素晴らしい後継機種であり、あらゆる点においてこれらを上回る結果となっている。またBeamとの比較対象にもなり得るため、Sonosのホームシアターラインナップには、あらゆる予算に応える卓越したオプションが揃うようになった。

汎用性とデザイン性に優れたトップクラスのワイヤレスサウンドバーをお探しなら、Sonos Arcスピーカーをぜひ試してみてはいかがだろうか。

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Category:ハードウェア

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(翻訳:Dragonfly)