普通のサウンドバーに満足できないDevialetがハイエンドのサウンドバーを発売

ハイエンドスピーカーメーカー、フランスのDevialet(デビアレ)から登場した新しいスピーカーのDevialet Dioneを紹介しよう。この新製品で、同社は新しい市場であるホームシネマサウンドシステムに参入する。Devialet Dioneはオールインワンのドルビーアトモス5.1.2対応サウンドバーで、価格は2190ユーロ(約29万7400円、日本での販売価格は税込35万9000円)だ。

DevialetのCEOであるFranck Lebouchard(フランク・ルブシャール)氏は筆者に対し「当社はハイエンドのマーケットの企業ですが、オールインワンオーディオシステムの製品があります」と語った。その意味するところは、標準的なサウンドバーとDioneは比較の対象ではないということだ。

例えばSonos(ソノス)のラインナップでDioneと同等のデバイスを見つけるとするなら、Sonos ArcサウンドバーとSonos Oneを2台、そしてサブウーファーのSonos Subのセットになるだろうとルブシャール氏はいう。このセットの現在の価格は2000ドル(約24万3300円)を超える。

ルブシャール氏は「すべてを1つのデバイスに収めたことが技術的な成果です。つまり17基のスピーカーを組み込む必要があり、これは前代未聞です」と付け加えた。

同社はパリのオフィスに試聴室を設けており、筆者は大型テレビとともにDevialet Dioneを聴く機会を得た。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の冒頭の数シーンと音楽を数種類、このスピーカーで聴いてみた。

確かにこのスピーカーのサウンドはすばらしい。没入感のあるサウンドを生み出し、テレビの前ではなく映画館にいるように感じられる。

これはレビューとしては十分ではない。筆者はオーディオの専門家ではないので、現在のトップクラスのサウンドバーと比較した場合のDevialetのサウンドバーの音はわからない。購入前にご自身で試聴することをお勧めする。

ルブシャール氏は「Sennheiser(ゼンハイザー)のサウンドバーにはスピーカーが12基あります。我々は17基のスピーカーを組み込んでいます。完全に魔法のようだというわけではありませんが、スピーカーを5つ増やせば聴いて違いがわかります」と述べた。

画像クレジット:Devialet

中身がぎゅっと詰まったサウンドバーだ。重量は12キロ、そして1.2メートルの長さがある。大型の55インチテレビを持っているなら、このようなスピーカーの購入を検討するといいだろう。

デザインは、これまでのDevialetのスピーカーに比べると控えめだ。Devialetの特徴的なデザインである卵型から、エッジや角が直線的なよくある四角い形になっている。

目立つのはデバイスの中央部にある小さな球だけだ。この球の中にはスピーカーが1つあり、動かせるようになっている。このため、サウンドバーを壁に取り付ける場合は球を動かして自分に向けることができる。

デバイス内部には17基のスピーカーがある。フルレンジドライバーが9基、四角いサブウーファーが8基だ。このサブウーファーはサウンドバーの仕様に合わせて設計された。したがって、Devialet Dioneではサブウーファー(またはサテライトスピーカー)を別に用意する必要がない。

このデバイスには独自のD/Aコンバーターも組み込まれている。実はDevialet Dioneには同社のフラッグシップ製品であるPhantomシリーズと同じSoCが使われている。Devialetはこの専用チップに関して複数の特許を取得しており、バックグラウンドノイズなし、サチュレーションなし、ディストーションなしのサウンドを謳っている。

ドルビーアトモス対応でない映画を再生する場合は、Devialet Dioneでサウンド信号を5.1.2オーディオに「アップスケール」できる。会話を聞き取りやすくするライブバランス機能もある。

接続に関しては、Devialet DioneをeARCとCECに対応したHDMIケーブルでテレビにつなぐ。スタンドアローンのスピーカーとして音楽を聴くこともできる。

Devialet DioneをWi-FiかEthernetでローカルネットワークに接続する。Bluetooth 5.0にも対応し、Devialetアプリを使用する。Spotify ConnectやAirPlay 2も利用できるので、音楽を聴く際に必ずしもアプリを使わなくてもよい。

画像クレジット:Devialet

オーディオマニア専用ではない

同社はDevialet Dioneには勝機があると見ている。ストリーミングサービスが注目作の映画を早期に配信するようになっているからだ。ルブシャール氏は「市場は大きく成長しつつあると認識しています」という。

同氏はさらに「このサウンドバーの典型的なお客様は55インチ以上の高画質テレビを持っている方です。そのような方々は画質に引けを取らない優れた音質を求めます。音楽をたくさん聴くDevialetの典型的なお客様とは少し違います」と述べた。

もし事業の目標を達成をしようとするなら、Devialet Dioneは1年間で同社売上の20%を担わなくてはならない。同社は新製品を発売する際に販売拠点のきめ細かいネットワークの力を借りることができる。現在、Devialetの販売拠点は世界各地に1900カ所ある。

同社は2015年のシリーズA以降は資金調達ラウンドについて公表していないが、その後の2回のラウンドで7000万ユーロ(約95億円)を調達している。直近では2020年1月に既存の投資家から5000万ユーロ(約67億9000万円)を調達した。

Devialet Dioneは米国時間3月29日からフランス、ベルギー、ルクセンブルク、スイスで発売され、その他の国でも同日に予約注文が開始されている。

画像クレジット:Devialet

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

メルセデス車は2022年からDolby Atmosオーディオをオプション提供

より没入感のあるDolby Atmos(ドルビーアトモス)を搭載したクルマが欲しいときに、Lucid Air(ルーシッドエア)を買う必要はなくなる。メルセデスは、最新のSクラスに搭載された最新のインターフェースMBUX、またはオプションの「Burmester(ブルメスター)3D/4Dサウンドシステム」を採用した全モデルに、アトモスオーディオを搭載する。実際に運転する機会があるかどうかはともかく、同レベルの音楽を立体的に拡大された音場で聴くことができる。その音質はメルセデスが主張する「ライブコンサート」のようなサウンドではないかもしれないが、通常のステレオ再生よりもワンランク上のサウンドになるはずだ。


4Dシステムには31個のスピーカーが搭載されており、そのうち6個のスピーカーが上方から3D効果を生み出す。また、フロントシートには4つの「耳近傍」スピーカーが設置されていて、4つのシートにはそれぞれ2つのサウンドトランスデューサー(別名エキサイター)が設置されている。まあ1750Wの総出力(18.5Lのサブウーファーを含む)が投入されれば、オーディオ処理方式に関係なく満足できる可能性が高いだろう。

ただ、すぐにアトモス搭載車を買いに走ることはできない。この装備は、2022年夏にまずメルセデス・マイバッハ(Mercedes-Maybach)に搭載され、その後すぐにSクラスにも搭載される予定だ。他のモデルも追随するだろうが、アトモスを搭載したAクラスの販売はすぐには期待できないだろう。

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon Fingas氏はEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Daimler

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(文:Jon Fingas、翻訳:sako)

Amazon Music Unlimited会員はヘッドフォンを問わず空間オーディオをストリーミングできるように

Amazon(アマゾン)は、米国時間10月19日からAmazon Music Unlimited会員はAndroidおよびiOSアプリで、現在使用しているヘッドフォンを使って空間オーディオをストリーミングできると発表した。同社は現在、2種類の空間オーディオをサポートしている。ソニーの「Reality Audio」と「Dolby Atmos」だ。

Amazonは2019年に初めて空間オーディオを導入したが、少数のデバイスに限定されていた。今回の拡張により、ユーザーが所有するあらゆるヘッドホンで空間オーディオを楽しめるようになる。

「我々は常に、可能な限り最高品質のオーディオが音楽ストリーミングの標準であるべきだと考えてきました。だからこそ今日、特別な機器を必要とせず、またアップグレードの必要もない空間オーディオを顧客に提供します」と、Amazon Music副社長のSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明の中で述べた。

ユーザーは、Echo Studioを含む一部のデバイスで、Alexa Castを使って空間オーディオをストリーミングすることもできる。また、Alexa Castによる360 Reality Audioに対応した機器としては、ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」や「SRS-RA3000」、ホームシアターシステム「HT-A9」「HT-A7000」「HT-A5000」などが追加された。

加えて「Amazon Music Unlimited」の個人プラン、ファミリープラン、学生プランに加入しているユーザーは、追加料金なしで自動的にHDおよびUltra HDの音楽にアクセスできるようになる。

Amazon Music Unlimited個人プランの料金は、プライム会員が月額7.99ドル(日本では月額税込780円)、Amazonカスタマーが月額9.99ドル(月額税込980円)となっている。ファミリープランでは、月額14.99ドル(月額税込1480円)で最大6台のデバイスにAmazon Music Unlimitedをストリーミングできる。

Apple Musicが6月にiOS向け、7月にAndroid向けに空間オーディオを開始したように、空間オーディオを活用している音楽ストリーミングサービスはAmazon Musicだけではない。Apple MusicやAmazon Musicに対抗するため、Spotify(スポティファイ)は2021年初め、ロスレスオーディオを可能にするハイエンドのサブスクリプションサービス「Spotify HiFi」を展開すると発表した。

空間オーディオを活用しようとしているプラットフォームは、音楽ストリーミングサービスだけではないことも注目に値する。Clubhouse(クラブハウス)は9月、Android向けに空間オーディオを導入した。そしてNetflix(ネットフリックス)はこのほど、iPhoneとiPadのアプリで空間オーディオを提供すると発表した。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

SonosがDolby Atmosに対応した第2世代の「Beam」発表、5万9800円で年内発売

Sonos(ソノス)は長年にわたりホームシアター製品を販売してきたが、近年はリビングルームをさらに重視するようになっている。その始まりは、フラッグシップのサウンドバー「Playbar(プレイバー)」をより小さく、より手頃な価格にした「Beam(ビーム)」だった。そして2020年の新たなフラッグシップである「Arc(アーク)」は、同社のサウンドバーで初めてDolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応した製品だった。

米国時間9月14日、このBeamが大幅にアップグレードされた。第2世代となった新型Beamは、449ドル(約4万9000円)という価格で同日より注文を受け付け、発送は10月5日から始まる予定だ。Sonosが先に発表した他の製品の値上げと同様、旧型Beamより50ドル(約5500円)ほど高くなっている(日本では旧型より8320円ほど高い税込5万9800円という価格で年内に販売開始予定)。良い知らせは、新しいBeamがさまざまな点で前モデルよりも高性能であるということだ。50ドル分の値上げに見合う価値があるかどうかは、実際に製品を試用してみないと何とも言えないが、注目すべき新機能がいくつか備わっている。

外観は先代とほとんど同じだが、グリルが布製から穴の開いたポリカーボネート製に変更されている。内部のスピーカーコンポーネントは変わらず、4つのフルレンジウーファーと1つのセンターツイーター、そして3つのパッシブ・ラジエーターを搭載する。前モデルと異なるのは、新しいプロセッサの処理速度が40%高速になったこと。これによって多くの新しい音声フォーマットが再生可能になった。

画像クレジット:Sonos

最も注目すべき点は、この第2世代のBeamが、映画やテレビ、音楽用のDolby Atmosに対応したことだ(後者は今のところ限定的)。Sonosでプロダクトマネージャーとして新型Beamの開発に関わったScott Fink(スコット・フィンク)氏によると、新しいCPUのパワーによってスピーカーアレイの数を増やすことができたという。これは特定のスピーカーコンポーネントが増えたわけではなく「サウンドバー内のすべてのスピーカーの再生と相互作用を調整する一連のソフトウェア」であると、フィンク氏は説明する。新型Beamでは、スピーカーアレイが前モデルの3つから5つに増えており、フィンク氏によるとこの増加分はサラウンドサウンドと高さ情報の専用になっているという。

このように、新しいBeamはArcと同じホームシアター音声フォーマット(Dolby Atmos、Dolby Digital Plus、Multichannel PCMなど)に対応しているが、価格はArcの半分だ。これらの新しいフォーマットを伝送するために、新型Beamは処理能力の向上に加えて、HDMI eARCによる接続も可能になった。Sonosによると、音声処理能力が向上したことでダイアログの明瞭度が改善し、従来も利用可能だったスピーチエンハンスメント機能の効果がさらに向上したという。

また、新型Beam(とArc)は、年内にAmazon Music(アマゾン ミュージック)のUltra HDとDolby Atmos Musicにも対応する予定だ。これまでもSonosのスピーカーには、HD音楽サービスに対応しているものがあったが、同社の製品で3D音楽フォーマットが機能するのは初めてのことだ。Apple Music(アップルミュージック)でDolby Atmosに対応する予定はないのかと尋ねたところ、当然ながら、それはまだ答えられないとのことだった。しかし、技術的な問題はないはずだ。SonosとApple(アップル)が協力して、より多くのApple Musicフォーマットに対応するようにすればいいだけの話である。

画像クレジット:Sonos

他のSonos製品と同様に、この新型Beamは同社の他のスピーカーと接続してマルチルーム再生が可能であり、他のSonosスピーカーをサラウンド用に使うこともできる。また、iOSデバイスを持っている人なら「Trueplay(トゥループレイ)」を使ってスピーカーを部屋に合わせて調整し、サウンドを向上させることができる。

Beamには遠距離マイクが搭載されているので、Alexa(アクセラ)やGoogle Assistant(グーグル アシスタント)による音声コマンドを受信することもできるが、これは必須ではない(上部にマイクのミュートボタンも備わる)。最近の他のSonos製スピーカーと同様、セットアップが簡単になるNFCも搭載されており、Sonosアプリを起動したスマートフォンを近づけると、自動的にWiFiネットワークに接続される。

ここまでSonosの発表を見てきた限りでは、なるべく多くの出費を抑えつつDolby Atmosを導入したくてたまらないという人を除けば、新型Beamはほとんどの人にとってそれほど重要なアップグレードではなさそうだ。しかし、Beamがすでにベストセラーのコンパクトサウンドバーであることを考えると(NPDのデータによる)、これらのアップグレードは競合製品に対する優位性を維持するためには役立つに違いない。たとえ50ドル値上げされようとも。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のNathan Ingrahamは、Engadgetの編集長代理。

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(文:Nathan Ingraham、翻訳:Hirokazu Kusakabe)