Coinbase、第4四半期決算で予想を上回るも年明けの低迷を受け株価は沈む

米国の暗号資産取引大手Coinbase(コインベース)の株価は、米国2月24日の2021年第4四半期決算発表後、当初は急騰したが、投資家がすぐに売却したため9%も下がり、史上最低水準のすぐ上で推移している。

同社は決算年度最後の四半期で投資家の期待を上回った。しかし「暗号資産の変動性と暗号資産価格の低下」を理由に、Coinbaseは2022年第1四半期に小売月間取引ユーザー(専門用語でMTU)と総取引量が減少すると予想していると述べた。

Coinbaseの第4四半期

2021年第4四半期のCoinbaseの総収入は25億ドル(約2888億円)で、前年同期の5億8510万ドル(約676億円)から増加した。同社の売上高の大きな伸びは、収益性の大幅な向上につながり、純利益は2020年第4四半期の1億7680万ドル(約204億円)から、2021年第4四半期には8億4020万ドル(約970億円)へと大幅に増えた。また、2021年第4四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、希薄化ベースで3.92ドル(約452円)だった。

投資家は、収益19億4000万ドル(約2240億円)、1株利益1.85ドル(約213円)を予想していた。しかし、Coinbaseの収益と利益に関する予想は、決算発表に向けてかなり幅があったことに留意する必要がある。Yahoo Finance提供のデータでは、収益予想は11億9000万〜24億4000万ドル(約1374億〜2818億円)だった。

企業財務の数値的な要点はさておき、暗号資産の世界に関連してCoinbaseの四半期から何を得ることができるだろう? たくさんある。以下のチャートは、豊富な情報を含んでいる。

個人投資家の取引量は、機関投資家の取引量に比べれば、まだ少ないことがみてとれる。しかし、個人投資家がCoinbaseの取引収益の大部分だけでなく、同社の総売上高の大半も生み出していることに留意して欲しい。取引量が少ないにもかかわらず、2021年第4四半期の個人投資家の取引は21億8500万ドル(約2524億円)の収益に相当し、一方で機関投資家の取引は9080万ドル(約104億円)の収益にとどまった。

話をさらに進めると、Coinbaseにおける取引量と取引収益を生み出すという点において、Bitcoin(ビットコイン)が優位に立つ時代は明らかに終わった。取引量と取引収益でEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンに並んだにすぎない。そして、最後に、上のチャートから、取引量と収入の両面で他の暗号資産の台頭がうかがえる。暗号資産の世界は、時としてたった2つのブロックチェーンとその関連プロジェクトを中心に回っているように見えるが、Coinbaseの収益のストーリーはまったく異なる様相だ。

なぜ株価は下がっているのか?

Coinbaseは予想を打ち砕き、巨額の利益を計上し、前年同四半期から大きく成長した。では、なぜ株価は下がっているのだろう。答えは簡単だ。市場は、あなたが何をしたかよりも、あなたが何をしようとしているかに関心がある。言い換えれば、ガイダンスは、堅調だった過去の業績を切り捨てることができる。

Coinbaseが第4四半期決算を発表する前に、市場は2022年第1四半期の売上高16億9000万ドル(約1953億円)、1株当たり利益1.55ドル(約179円)を予想していた。同社の見通しは、これらの予想を達成しないかもしれないことを示していたのだろうか?

Coinbaseが投資家に語った、これまでの2022年第1四半期の見通しは以下の通りだ。

  • これまでの総取引高は2000億ドル(約23兆円)で、直近の四半期の取引高を大幅に下回るペースで推移しているようだ(上のチャート参照)。
  • 第4四半期を下回る「サブスクリプションとサービスの売上高」は、上記のデータポイントとともに、Coinbaseが2021年第4四半期と比較して2022年第1四半期に売上高ベースで急激に縮小するという事実を強調している。

今後に目を向けると、Coinbaseは年間平均小売MTUが500万から1500万という膨大な範囲に着地すると予想している。そして「ユーザーあたりの平均取引売上高」が「2021年以前のレベル」にまで減少すると予想している。投資家は成長しないストーリーを好まず、またCoinbaseは成長を約束しなかった。

TechCrunchは同社の決算をさらに掘り下げる予定なので、お楽しみに。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

スーパーボウル広告で暗号資産アプリのダウンロードが279%増加、Coinbaseがけん引

スーパーボウルの広告スポットは、露出だけでなく、アプリのインストール数においても、多くのハイテク企業に利益をもたらしたことが、新たなレポートで示された。しかし、昔のDVDスクリーンセーバーのような黒い画面にQRコードをバウンドさせただけのCoinbase(コインベース)のバイラル広告が他企業を凌駕し、2月13日のスーパーボウル・サンデーの広告放映後にインストール数が前週比で309%増え、翌日には286%増となった。

関連記事:スーパーボウル2022に登場したテック広告のベストとワースト

この新しいデータは、アプリ分析会社Sensor Tower(センサータワー)が、スーパーボウルの試合中に広告を出したモバイルファーストのブランドにとって、スーパーボウル広告がどの程度のパフォーマンスを発揮したのか、数字をもとに分析したものだ。同社は、クライアントとの秘密保持契約により、実際のダウンロード数を公開することはできないが、そのデータからこれらの広告がどのような影響を及ぼしたかを知ることができる(データは米国のアプリストアのみを対象としている)。

結果として、暗号資産アプリの中でCoinbaseだけが成功を収めたわけではない。広告によってダウンロード数が大きく伸びた上位5つのアプリのうち、3つが暗号資産アプリだった。Coinbaseに加え、暗号資産取引プラットフォームのeToroは、2月13日にアプリのインストール数が前週比132%増となり、翌14日は82%増だった。一方「Curb Your Enthusiasm(ラリーのミッドライフ クライシス)」のスター、Larry David(ラリー・デヴィッド)氏を広告に起用した暗号資産取引所FTXは、13日にダウンロード数が前週比130%増、翌日には81%増となった。

Coinbase、eToro、FTXを合わせると、2月13日の米国でのアプリインストール数は前週に比べ279%も増加した。この傾向は翌日も続き、前週比のダウンロード増加率は252%に達した。

スーパーボウル・サンデーでトップ5に入った他のアプリは、スポーツブックだった。DraftKings Sportsbookアプリは、2月13日のダウンロード数が前週比197%増と、Coinbaseに次いで伸びた。Caesars Sportsbookは147%増でトップ3に入った。

トップ10には順番に、オンライン車購入プラットフォームVroom (ダウンロード111%増)、子ども向けフィンテックのGreenlight(89%増)、別のオンライン車購入プラットフォームCarvana(53%増)、ストリーマーAMC+(38%増)、そしてMetaのOculus(25%増、奇妙で陰気な広告だったことを考えると意外だ)が入った。

ダウンロード数の伸びは広告の成功を示すものだが、もう1つの指標はアプリのランクだ。こちらはダウンロード数やベロシティ、その他の要素を組み合わせて測定される。

ブランドのスーパーボウル広告が新規インストールの即座の増加を促したケースもあるが、すべての広告が同じように恩恵を受けたわけではない。さらに、スポーツベッティング(スポーツを対象にした賭け)のアプリ、PeacockやYouTube TVのような用途がより実用的なアプリなど、広告費とは関係なくインストール数が増加したと思われるアプリもあった。

しかし、ランクは、広告が放映される前にこれらのブランドがどれだけ人気があったかを示す。

例えばOculusは、Apptopiaのデータによると、2月12日に米国のiOS App Storeで総合102位だったのが、翌13日には100位になり、14日には175位に下がった。これは、Sensor Towerが指摘するように、ダウンロード数で25%の伸びを見せたとしても、多くの新規ユーザーにアプリを試用させるまでには至らなかったことを示している。

一方、Coinbaseは13日に総合124位だったのが、その後膨大なトラフィックの増加によりクラッシュした。しかし、14日には米国のApp Storeで第2位となった。その他、14日にはPeacock TV(1位)、HBO Max(6位)、FanDuel Sportsbook(12位)、DraftKings Sportsbook(25位)、Disney+(31位)、YouTube TV(42位)などが上位に入った。

2022年のスーパーボウル広告でもう1点興味深いのは、これらのデジタルブランドが従来のテレビ広告を取り入れたのと同じように、従来のブランドもデジタル広告に目を向けていることだとSensor Towerは指摘した。

Pathmaticsのデータでは、Peacock、Paramount+、HuluなどのOTTビデオプラットフォームでの支出額上位10社の広告主は、ほとんどが従来型のブランドだった。例えば、Weight Watchersは、これらのストリーミングサービスでのマーケティングに約140万ドル(約1億6200万円)を費やし、Volvoは100万ドル(約1億1500万円)超、Nikeは62万3000ドル(約7200万円)をつぎ込んだ。食料品トラッカーのBasketful(トップ10で唯一モバイルファーストのブランド)は約48万6000ドル(約5600万円)を、続いてGeicoが約41万3000ドル(約4760万円)を費やした。

画像クレジット:Sensor Tower

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

近い将来、すべてのブロックチェーン企業が暗号投機家になる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

ロシアが間もなくウクライナに侵攻するというニュースが流れたばかりの時に、落ち着いてテクノロジースタートアップ市場の現状について活き活きとした原稿を書くのは、ちょっと難しい。独裁政治よりも民主主義を信じている人にとっては、かなり暗い一日になるだろう。そして、すぐ近くの地平線上にある、迫りくる地政学的な雲は、さらに悪いニュースを約束している。

それでも、ニュースエンジンは前進していて、自分の分野で何かをしなければならない。そこで、暗号市場での資本リサイクルについて話すことで仕事の手を止めないことにしよう。

それは、ぐるぐると回っていいる

現在、テクノロジーの世界で徐々に勢いを増しているイノベーションの1つが、企業が創立後のより早い段階からベンチャーキャピタル活動(防御的なものも攻撃的なものも)を始めるようになっているということだ。

OpenSea(オープンシー)は、その最新の例だ。同社は米国時間2月12日に、OpenSea Ventures(オープンシー・ベンチャーズ)という組織と「Ecosystem Grants」(エコシステム・グランツ)という名のプログラムを立ち上げることを発表した。どちらも「Web3とNFTの世界的な成長を促進するクリエイター、チーム、新技術を支援することを目的としている」という触れ込みだ。

OpenSeaから資金を得る企業は「OpenSeaのリーダーシップへのアクセス」を行うことが可能で、当然ながらa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)を含むOpenSeaの投資家へもアクセスすることができる。

The Block(ザ・ブロック)が指摘するように「OpenSeaは、ユニコーンのAlchemy(アルケミー)やFTXなどの、独自のベンチャーユニットを立ち上げた数多くの暗号スタートアップの一員になる」のだ。いずれも非公開企業であることをお断りしておく。ともあれ、急成長したブロックチェーン企業が余剰資金を得て、その資金を他のグループに再投資し始めることはよくある話だ。

Intel Capitalが企業のベンチャー取引のパラダイムだった時代は終わった。現在は、Coinbaseがおそらく最近最も尊敬されている企業投資チームだが、ライバルたちはそれに挑戦しようとしている。

だが、本当にそうなのだろうか?この近辺には奇妙なニュアンスがある。

  • Coinbaseは非公開の時代、a16zがバックアップしていた
  • Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、最近自身の暗号ファンドを立ち上げたKatie Haun(ケイティハウン)氏とともに、Coinbaseの役員として残っている
  • Coinbase VenturesがOpenSeaを支援
  • a16zもOpenSeaを支援
  • OpenSeaは現在、独自の投資を行っているが、理論的にはある程度はa16zとの共同投資となっているはずだ

a16zはまた、独自の投資を行っているAlchemyにも出資しているが、これはなかなかのからみ具合だ。OpenSeaはAlchemyの技術を使用しており、すべてが統合されている(このような中央集権化とファミリー化が、分権化すなわち民主化と正反対であることはいうまでもない)。

資本が暗号を追い、暗号が資本を追うこの渦巻は、いつほど収まり始めるのだろうか、そしていつ内部での競争が強まるのだろうか?もしCoinbaseがかねての計画通り独自のNFTプロダクトをローンチしたら、OpenSeaはいつまで共通の投資家に寄り添っていたいだろうか?Coinbaseがインフラを売りたいと思って、Alchemyのスペースに入ってきたらどうなるのだろうか?Alchemyがどれだけの活動をしているかを考えると、率直に言って、Coinbaseがそれをしない理由はない。

現在、OpenSeaが自らのイグジットの前に、資本を他のベンチャーに再投資しているのは奇妙なことだ。しかし、より大きな暗号資産市場の変化のペースが、単純なビジネスモデルである投機を行う企業を、多数ではないにしても少なくともある程度の数以上生み出したようだ。すごい!そして奇妙だ!

私は、主要な暗号資産プレイヤーとその財政スポンサーのクローズドネットワークを監視しようとしている。私にとっては、他のベンチャーカテゴリーよりも中央集権的で、ちょっと奇妙な感じを受けている。Web 2.0で大金を稼いだ人たちが、この先Web3が何になろうとほとんどの利益を手にしようとしているように見える中で、同じ人たちが、分散型の自律組織やゼロトラスト体制などを推進している話を読み続けていると、口の中にこみ上げる苦みを拭い去ることができない。

さて、私はもう消えて、今は自由な社会と民主主義の運命について心配することにしよう。月曜日までにロシアがウクライナに侵攻していないことを祈る。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

「暗号資産の未来」への投資競争には確実に金がかかる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ!

先週もなんとか乗り切れた。電話やTwitter(ツイッター)ではみんな疲れた姿を見せていたが、なんとかなったようだ。なんとか平日を乗り切って、週末にしばし休息は得られたろうか。そう、今日は暗号資産の話だ。楽しもう。

私は、Coinbase(コインベース)がより大きなブロックチェーン市場の他の企業に資本を投入するペースに感銘を受けている。米国の上場企業は比較的少額(売上と比べての場合だが)を支払うことで、スタートアップの所有権と情報アクセス権の両方を買うことができ、何が起きているかの早期警告データを得ることができるので、これは賢明な動きだ。Coinbaseが、暗号資産市場における明らかな既存大手であり、ある意味門番のようなものであることを考えると、その投資は理に適っている。

しかし、他にもあちらでも投資、こちらでも投資が続いている。今回発表されたFTXファンドは、かなり速いペースで取引されているにも関わらず、これまでCoinbaseが行ってきた取引よりもさらに積極的なものになっているようだ。

FTXの暗号資産ファンドの総額は約20億ドル(約2276億8000万円)で、インタビューによると2022年中に投資されるだろうという。これは、ワイルドな投資ペースだが、おそらくa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が最近22億ドル(約2504億5000万円)の暗号資産ファンドを立ち上げたことを思い出す人もいるだろう。

いくつか疑問がある。

  1. インターネットに比べてはるかにユーザー数が少ない暗号資産市場に、なぜこれほどまでの資金が必要なのか?
  2. なぜ私たちは、暗号資産に資金を供給するために、これほど多くの決断を下してしているのだろうか?

これらは相互に関連した疑問だ。結局これらは、なぜ暗号資産市場で有用なものを作るのは難しいのか、という私の素朴な疑問に対応している。CoinbaseとFTXは、暗号資産の世界の端に存在し、従来の経済とその未来になりうるものとの間でお金を行き来させている。彼らが投資するのは賢明なことだが、彼らが投資しようとしている金額と、従来のベンチャーキャピタルがブロックチェーンスタートアップに投じている金額とを比較すると、私はやや混乱する。一体資産は何に使われているのか?

2つの主要なブロックチェーンは確立されており、もはや新しいものではない(Ethereum[イーサリアム]は2013年に案出され2015年にローンチされたし、Bitcoin[ビットコイン]のホワイトペーパーは2008年に発表された)。多くのステーブルコインが存在し、多くの安定したプレイヤーがいて、膨大な資金がNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスやいくつかの暗号資産ゲームへ流れ込んでいる。その中には、そこそこの利用者ベースを築いているものもある。しかし、スペースに流れ込むお金の量と、利用可能な結果として見えてくるものを比較すると、やや凝縮されすぎているような気がする。

Institutional Investor(インスティテューショナルインベスター)のレポートによると、2021年は総額328億ドル(約3兆7340億円)が「暗号資産やブロックチェーン技術事業」に投資されたという。おそらく、そのお金で作られた多くのものが今にも出てきて、私たちをびっくりさせるのかもしれないが、Bitcoinが誕生して10年以上経った今でも、私はブロックチェーンで動くアプリやサービスを日々使ってはいない。もちろん、研究目的で暗号資産の世界の一部をあれこれこねくりまわしているのなら別だが。

すでに私は認めたくないほど多くの時間をオンラインで過ごしているのだ!おそらく新しいFTXファンドは、単なる投機の手段ではない、大衆向けのブロックチェーン製品を市場にもたらすだろう。何が登場するか待ってみようと思う。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

関連記事
Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収
CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

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画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収

暗号資産の推進者たちが新世代のユーザーを獲得しようとしている中、消費者を誘導する主要な入口となっているのが、洗練されたインターフェースを持つ消費者向けウォレットアプリの数々だ。

Coinbase(コインベース)は米国時間11月24日、2014年に初めてモバイルウォレットを発表した暗号資産ウォレットのスタートアップであるBRDのチームを迎え入れることを発表した。BRDのチームはCoinbaseに移るが、BRDのユーザーには当面何の変化もなく、ウォレットは通常通り運営され、ユーザーの「資金は安全でセキュア」だとBRDの共同創業者は話している。

BRDは、モバイル暗号資産ウォレットの分野では初期のプレイヤーで、ユーザーがビットコインを保管する場所としてスタートしたが、トークンの幅広いネットワークをサポートし、取引所とのパートナーシップのおかげで暗号資産の売買や交換ができるまでに成長した。同社のユーザー数は1000万人を超えているという。

Coinbase WalletのTwitterアカウントのツイートには「このチームは、暗号資産ウォレットの保護預かりに関する深い専門知識をWalletに持ち込み、より多くの人々が安全かつセキュアに分散型の暗号資産の世界にアクセスできるようWalletをサポートします」と書かれている。

BRDはこれまでに、SBI Crypto InvestmentやEast Venturesなどから約5500万ドル(約63億円)のベンチャーキャピタル資金を調達した。

CoinbaseとBRDは、今回の買収の条件は明らかにしなかった。

共同創業者のAdam Traidman(アダム・トライドマン)氏とAaron Voisine(アーロン・ヴォワザン)氏は、ユーザーがウォレットの中身をCoinbase Walletアプリに移すための「移行経路」を構築する予定だが、それはユーザーにとって完全に任意となる、と話している。

画像クレジット:BRD

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

CoinbaseがAI駆動型カスタマーサポートの印Agaraを約45億円超で買収へ

Coinbase(コインベース)は、AI駆動のカスタマーサポートプラットフォームを運営するスタートアップAgara(アガラ)を買収する。両社が米国時間11月2日に発表した。暗号資産(仮想通貨)取引所であるCoinbaseは、ユーザーがサービスを利用したりサポートを求めたりしやすくしようとしているようだ。

両社は買収に関する財務面での詳細を明らかにしなかったが、取引の規模は4000万〜5000万ドル(約45億〜56億円)の間だとこの件に詳しい2人が筆者に語った。Coinbaseの広報担当者はコメントを控えた。また、Agaraの共同創業者で最高経営責任者のAbhimanyu(アビマニユ)氏も、守秘義務契約を理由に取引規模についてのコメントを却下した。

データインテリジェンスプラットフォームのTracxnによると、インドで創業して4年目のAgaraは、今回の買収前にBlume Ventures、RTP Global、UTEC Japan(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)、Kleiner Perkinsから約700万ドル(約8億円)を調達していた。

Agaraは機械学習と自然言語処理に関する深い専門知識を構築し、それをユーザー体験の向上に役立てている。40人以上の従業員を擁する同社は、世界中に複数の大口顧客を抱え、Salesforce、Shopify、Twilioなど多くの人気サービスに統合されている。買収後、AgaraはCoinbaseにフォーカスを移すとアビマニユ氏はTechCrunchとのインタビューで答えた。

「我々は、大きく分けて2つのことに注目して会社を立ち上げました。1つはカスタマーエクスペリエンスとサポート。2つ目は機械学習です。MLテックスタックを作り、それをカスタマーケアに応用するという考えでした」とアビマニユ氏は話す。「我々が行っている複雑な業務の中には、電話での問い合わせがあります。電話によるサポートのすべてではないにしても、その多くを自動化することに取り組んできました」と述べた。

同氏によると、Agaraのテックチームは、その大部分がインドで勤務しており、買収の一環としてCoinbaseに加わる。両社は年内に取引を完了する予定だ。今回の動きの数カ月前に、Coinbaseはインドにテックハブを構築する戦略を打ち出し、Google Payの元幹部であるPancaj Gupta(パンカジ・グプタ)氏を採用していた。

「Agaraの強力な技術を活用して、当社のカスタマーエクスペリエンス(CX)ツールを自動化し、強化する計画です。ここ数カ月でサポートスタッフの人数を5倍に増やし、年末までに24時間365日の電話サポートとライブメッセージを提供することを発表しました。今回の買収により、パーソナライズされたインテリジェントでリアルタイムなサポートオプションを顧客に提供することができるようになります」とCoinbaseのエンジニアリング担当EVPであるManish Gupta(マニッシュ・グプタ)氏は声明で述べた。

画像クレジット:TechCrunch / Flickr

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTマーケットプレイスOpenSeaの苦悩、「真の友人は正面から君を刺す」

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

みなさんこんにちは!今日は気楽な話題なので、くつろぎながら読んで欲しい。

よく知られているオスカー・ワイルドの言葉に「真の友人は正面から君を刺す」というものがあるが、この言葉は覚えておくべき機知に富んだ真実だ。Coinbase(コインベース)がNFTに参入するという最近の決定について、ここ1、2週間あれこれと考えているうちにこの言葉が浮かんできた。

関連記事:CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

いくつかの事実を知れば、ワイルドの言葉がなぜ今の状況に合っているのかがわかるだろう。

  • a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者であるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、上場前から支援してきたCoinbase(コインベース)の役員を務めている
  • 一方a16zはOpenSeaのシリーズAを主導した。これは2300万ドル(約26億円)規模で、NFT市場に多額の資金と信用をもたらした
  • Coinbase VenturesもOpeanSeaに投資しているが、これは同VCが行ってきた数多くの投資の1つだ
  • そしていま、CoinbaseがNFTに参入することを発表したことで、ウェイティングリストに大量の登録者が集まった

暗号資産ウォッチンググループのDappRadar(ダップレーダー)によれば、現在OpenSeaは最大のNFTマーケットプレイスだ。もし競合するソリューションに興味を示したユーザーたちが、著名な暗号資産投資プラットフォームであるCoinbaseで実際にNFTを売買するようになれば、CoinbaseはOpenSeaを圧倒するかもしれない。

そうなると、OpenSeaは困った立場になるだろう。

VCが上場後も企業の取締役に留まるのは、彼らがそうすることを選択し、そして投資先企業が彼らを引き留めるのであれば問題はない。公開された企業のボードメンバーになることを習慣にしているVCもある。例えばMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は、Facebookの取締役会に参加しているが、Facebookはアンドリーセン氏についての説明の中で、彼が以前にeBayやHPで取締役を務めていたことを紹介している。やるもんだ。

しかし、ある投資家が上場後も投資先企業の役員に留まりながら、同じ投資家の会社のポートフォリオ企業と直接対抗することを決めたとすると、少し厄介なことになる。その投資家がまだ働いているところ。仮に私がOpenSeaの立場だったとすると、アンドリーセン氏がCoinbaseのボードにいて同時に彼のベンチャーファーム(a16z)が私(OpenSea)の投資者に名を連ねているときに、Coinbaseが私の市場を攻撃することを決めたとしたら、私は腹を立てるだろう。

「真の友人は正面から刺す」ものなのか?

また、Facebookによる最近の暗号資産の推進は、ご存知の通りCoinbaseとの提携であることも思い出そう!

関連記事:フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

また最近、Facebookのボードメンバーが関わる皮肉な事態は他にもみられた。例えばPeter Thiel(ピーター・ティール)氏はFacebookの役員だ。そして彼は同時に、政治家を目指すJ.D. Vance(J.D.バンス)氏も支援している。ここで注目すべきは、J.D.バンス氏が選挙に出馬しながらFacebookを攻撃している点だ。個人的には大企業が中小企業を沈めようとしているのを見るのは好きではないので、OpenSeaの事態を眺めているのは少々不愉快だが、Facebookの資金が循環してFacebookの尻に噛みついているのを見るのは、その過程で稚魚たちが被害を受けていないこともあって滑稽だ。

とはいうものの、もう少し取締役会の席を他者に譲ったほうが良いのではないだろうか。そうでなければ、a16zは自分たちが支援している創業者たちを貶めるような活動を続けることなってしまうだろう。

Volvoその他のIPO

今週は時間を見つけてVolvo(ボルボ)の公開について調べようと思っていたが、それはかなわなかった。ここで会社自身によるノートを見ることができる。Volvoから分離したPolestar(ポールスター)は、SPACを使って株式を公開している。

そして先週の終わりに、Braze(ブレイズ)は株式公開を申請した。この会社とそのS-1については、米国時間の月曜日の朝一番に詳しくお伝えする。

今後も、(冗談抜きで)最高の企業ギフトプラットフォームを構築しようと競い合う熾烈なスタートアップレースの様子などを紹介していく。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

Facebook(フェイスブック)が「Novi(ノヴィ)」と名づけた暗号資産ウォレットの小規模な試験運用を開始した。現時点では、米国とグアテマラの限られた人々のみが、Noviにサインアップして、使い始めることができる。

Facebookは、Diem(ディエム)協会の創設メンバーだ。しかし今のところ、Noviでは同協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上にある同協会のステーブルコイン(Diem)を活用するのではなく、代わりにFacebookはPaxos(パクソス)やCoinbase(コインベース)と提携。これによってユーザーは、Paxosの米ドルステーブルコイン「USDP」を送ったり受け取ったりでき、これらの暗号資産はCoinbaseが管理(カストディ)することになる。しかし、これはあくまでも中間段階であり、Facebookはいずれ、USDPをDiemに置き換えることを計画しているという。

Facebookは当初、暗号資産プロジェクトに対して大きな計画を立てていた。同社は「Libra Association(リブラ協会)」と呼ばれる暗号資産の運営コンソーシアムを設立し、これに参加する企業とと協力して、不換紙幣や国債のバスケットに連動するまったく新しいデジタル通貨「Libra(リブラ)」を発行する計画だった。本来であればLibraは、単一の現実世界の通貨ではなく、複数の通貨を混ぜ合わせたものがベースになるはずだった。

しかし、Facebookは多くの中央銀行から強い反対を受けることになった。彼らは、Libraが一部の国で準主権的な通貨になることを恐れたのだ。協会は2020年、その野心を抑えて、単一通貨のステーブルコインに注力することを発表した。

ステーブルコインとは、時間の経過によって変動することがない固定の価値を持つ暗号資産のことだ。例えば、Libra Associationが「LibraUSD」を発行するならば、1LibraUSDは常に1米ドルと同じ価値を持つことになる。

数カ月後、Libra Associationは再びいくつかの変更を発表、LibraはDiemに名称が変わり、協会名も「Diem Association(ディエム協会)」になった。同様に、Facebookのウォレットプロジェクトも
「Calibra(カリブラ)」からNoviにブランドが変更された。しかし、DiemもNoviも、まだ準備は整っていなかった。

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そして今、FacebookはNoviの試験を実際の一部ユーザーを使って始めようとしている。同社はまず、米国とグアテマラ間の送金に焦点を合わせることにした。送金したいNoviユーザーは、Noviアプリをダウンロードしてアカウントを作成し、デビットカードなどの支払い方法を使ってNoviに入金する。

入金された米ドルは、手数料なしでUSDPに変換される。Paxosが発行するUSDPは米ドルステーブルコインで、以前はパックスダラー(PAX)と呼ばれていたが、Paxosは最近、USDPにブランド名を変更した。

USDPはその価値を確保するために、現金および現金同等物によって担保されている。Noviユーザーの資金は、Coinbase Custody(コインベース・カストディ)によって管理される。つまり、CoinbaseがNoviのユーザーのためにUSDPの資金を保管するということだ。

Noviユーザーは、他のNoviユーザーにUSDPを送ることができる。繰り返しになるが、送金にかかる手数料は必要ない。しかし、お店での支払いや家賃の支払いにNoviを使うことはできない。そのためにユーザーは、現金の必要な場所では、Noviの残高を引き出したり、銀行口座に残高を送金したりできる。

しかし、NoviはUSDPをグアテマラ・ケツァルに変換する際に手数料がかかるかどうかについては言及していない。米ドルステーブルコインのUSDPをグアテマラの通貨単位に両替するには、為替レートを選択しなければならず、それにはスプレッド、流動性、その他のさまざまな変数が関わってくるからだ。

また、Noviは展開したいと考えるすべての市場で、フィアット / クリプトのオンランプおよびオフランプ(法定通貨と暗号資産の交換サービスを提供する場)を設けなければならない。

Facebookによれば、これはNoviの始まりに過ぎないという。それは第一に、まずはグアテマラと米国(アラスカ、ネバダ、ニューヨーク、米領ヴァージン諸島を除く)の一部のユーザーにのみ試験的に提供されるということ。そして第二に、FacebookとDiem Associationは、いずれ独自の暗号資産を立ち上げる計画を諦めていないということだ。

「我々のDiemに対するサポートに変更はなく、Diemが規制当局の承認を得て発行できるようになれば、NoviにDiemを導入して運用を開始するつもりであることを明確にしておきたい。私たちは相互運用性を重視しており、きちんと行いたいと考えています」と、NoviプロジェクトのリーダーであるDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏はTwitterで述べている。

Facebookが暗号資産Libraの発行計画を発表したのは、2019年6月のこと。それ以降、暗号資産のエコシステムは大きく変化した。特に、いくつかのステーブルコインが信じられないほどの人気を博しており、Tether(テザー)とUSD Coin(USDコイン)の流通量は現在、合わせて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えている。そんな中で、Diemが既存のステーブルコインに追いつき、新たなユースケースを開拓できるかどうか、興味深いことになりそうだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

Coinbase(コインベース)は、OpenSea(オープンシー)など既存の主要プレイヤーに対抗するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの起ち上げを準備しており、年内に予定しているローンチに向け、早期アクセス用順番待ちリストへの登録が可能になったことを、米国時間10月12日に発表した。

Coinbaseは、近日中に提供を始めるこのプラットフォームについて、現時点では詳細を明らかにしていないものの、ブログ記事の中では、ソーシャルメディア機能をより深くプラットフォームに統合したいと述べている。「Coinbase NFTは、NFTの創作、購入、展示、発見をこれまで以上に簡単にします。複雑な仕組みは舞台裏に隠した直感的なインターフェースを構築することで、NFTをよりアクセスしやすいものにします。また、交流や発見のための新たな道を開くソーシャル機能を追加します」と、同社は書いている。

Bitcoin(ビットコイン)が、Coinbaseの直接上場時に記録した史上最高値に迫っているにもかかわらず、Coinbaseの株価は、この分野で最も人気のある暗号資産(暗号資産)の成長回復に追いつけず、4月の直接上場以来約27%の下落となっている。この暗号資産取引所は、同時に規制当局からも睨まれており、最近ではSEC(米国証券取引委員会)が「Lend(レンド)」という融資商品に関して同社を提訴すると圧力をかけ、発売を中止したこともあった。また、Robinhood(ロビンフッド)のような取引アプリが暗号資産への対応を強化したこともあり、Coinbaseはますます激しさを増す暗号資産売買業界の競争に対処を迫られている。

画像クレジット:Coinbase

NFTが高額なデジタルコレクションやアートを求める投資家の関心を集め続ければ、Coinbase NFTは上場会社となったCoinbaseに大きな収益源をもたらす可能性がある。2021年初めに急騰し、8月に再び盛り上がったNFT市場は、多くの人が予想していたよりも回復力を見せているが、すでに大きく変動している暗号資産の値段よりも、依然としてさらに激しい変動が見られる。OpenSeaは、8月に34億ドル(約3860億円)もの取引量を記録した。

CoinbaseはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのサポートを開始しており、そこでNFTの展開を始めるということはそれほど意外ではないが、Coinbase NFTの開始時には、レイヤー2のスケーリングネットワークとの統合は行わないとしている。つまり、Coinbase NFTのユーザーは、高額なガス代を支払い、Ethereumメインネットのスケーラビリティ問題の多くに対処しなければならない可能性があるということだ。

Coinbaseはブログで、いずれ「マルチチェーン」サポートを導入する予定と書いているが、Coinbase NFTのローンチ時にはEthereum標準のERC-721とERC-1155規格のみをサポートする。競合のOpenSeaは最近、Polygon(ポリゴン)ネットワークを活用した大幅に低コストな取引のサポートを開始している。

OpenSeaはこの分野で強大な勢力を持つが、Coinbaseが競合しなければならない唯一のプレイヤーというわけではない。ライバルであるBinance(バイナンス)やFTXも、最近NFT市場エコシステムへの参入を発表している。多くの暗号資産投資家がNFTの可能性はまだ表面に現れてきたばかりと見ているものの、Coinbaseは間もなく競合する他社よりも、かなり遅れて参入しようとしている。とはいえ、コンシューマー・クリプトの世界におけるCoinbaseの知名度を考えると、その参入は大きなものになりそうだ。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】金利が上昇するとスタートアップブームは下火になるのか?答えはノー(少なくとも大きな影響はない)

Storm Ventures(ストームベンチャーズ)の前パートナーで現在はプライバシー関連企業SkyFlow(スカイフロー)のCEOである投資家兼企業家のAnshu Sharm(アンシュ・シャルマ)氏がツイッターで、利子率とテクノロジー評価の関係について質問している

お世辞は無視していただきたい。シャルマ氏はジェフと私を引っかけて彼の質問に答えさせようとしているだけだ。こうして記事にしているのだから、その企みは成功したわけだが。

シャルマ氏はテクノロジーサイクルと資本の流れ、そのどちらにも豊富な経験がある人なので、上の質問を一般的な質問と考えてはいけない。彼はもっと深い話がしたいのだ。そこで、利子率とテック企業の評価額について深く探ってみよう。

履歴

スタートアップが必要なだけ資金を調達できる(調達資金総額は史上最高に達している)理由の1つとして、今日の低金利がある。

今は世界的に利子率が低い。つまりお金の価値が低いのだ。お金の価値が低いということは、あまりコストをかけずに資金を調達できるということだ。例えばCoinbase(コインベース)は現時点で負債によって20億ドル(約2244億円)を調達しており、2回分割返済となっている。1回めの返済期限は2028年で利子率は3.375%、2回めは2031年で利子率は3.625%だ。コインベースは、投資側の低利子率のおかげで目標調達額を15億ドル(約1683億円)から20億ドルに引き上げた。お金の価値が低いので、コインベースは、低リスクで高利子率の投資先を見つけることができない投資家から何回にも渡って資金を調達している。

お金が価値が低いということは、ファンドを形成してお金を貸し付けても多くの利益を期待できないということだ。このため現在の債権利回りは極めて低い。これはコインベースなどの企業にとっては有利だが、高利回りを求めるキャピタル・プールにとっては不利だ。こうしてだぶついた資本が、ベンチャーキャピタル市場など他の領域でより高い収益率を求めて、投資先を探している。資金が豊富にあるため、VCは従来よりも大規模なファンドを形成し短期間で資金を調達できる。また、これまで見られなかった投資家たちがスタートアップ市場に参入できるようになっている。

昨今のユニコーンブームは、このような調達コストの安い資金を前提としている部分がかなり大きい。

しかし、何事も永久には続かない。米国政府は市場刺激策としての債権購入量の削減開始を準備している。結果として、FF金利の目標範囲が上がり米国内の資金調達コストが上昇しており、一部の資産が輝きを失い始めるという予想もある。

資金調達コストが上がれば、資本家は貸付によってより多くの利益を生むことができるため、ベンチャー投資はリスク / リワード比という点であまり魅力的ではなくなる。あくまで理論上はそうだ。と同時に、株価も変わってくる。最低レベルの利子率により、投資家たちは、成長志向の会社の株を買い占めるようになる。そうした会社のほうが評価が高くなるため、同額の投資を低成長の会社に対して行うよりも有利になるからだ。

こうした傾向が2020年夏に最高潮に達した頃、多くの業界が新型コロナウイルス感染症の早期感染防止のため大打撃を受けたが、ソフトウェア関連株は、企業収益の増大という見地から依然として高利回りを追求する方法を提供していた。これは、定期クーポンの支払いではなく市場価格の向上によって支払われるものだ。

悪くない。

非常に広い意味では、利子率の上昇によって、競合資産分配の魅力が増し、ベンチャーキャピタルファンドへの資本の注入があまり魅力的でなくなるはずだ。また、利子率が上昇すると、成長による評価価値の向上に基づいて公開株を取引する魅力が薄れる。成長企業株以外の株が再度注目されるようになるからだ。

上記の議論の後半部分は技術的に説明できる。以下にシャルマ氏のツイッターのスレッドから一部を引用する。

しかし、シャルマ氏は上記のような答えを求めているのではない。そうではなく、従来的な考え方に疑問を抱いているのだ。本当にそうなのだろうか、と彼は問いかける。Amazon(アマゾン)やSalesforce(セールスフォース)といったテック関連株は利子率が上昇すると本当に価値が下がるのだろうか、と。シャルマ氏の見方では、ソフトウェアやeコマースのTAM(獲得可能な最大市場規模)が拡大したために、上記2社の価値が以前よりも上昇したわけだが、資本調達コストが上がったからといって、その上昇分が消えてなくなることなどあるだろうか。

ここで議論を行うには、絶対額ではなくベーシスポイントで考える必要がある。利子率はゆっくり変化する。お金の価値を急に変化させるような政府が存在するとは思えない。変化は徐々に、かつ慎重にやってくる。

地合いが変わって関連資産の価格が変動したり、構造的な変革よりも極端な結果に終わる場合はともかく、利子率が上昇し始めたときに今日の市場の基本的なダイナミクスが大きく変わると思うべきではない。もう少し簡単にいうと、連邦目標金利が25ベーシス・ポイント変わったくらいでは、規則的かつ急速にさらなる上昇が予想されないかぎり、大した意味はない。

アマゾンとセールスフォースの価値は、お金の価値が徐々に上がり始めても、おそらく大きく変動しないはずだ。利子率が5%に達するとアマゾンの時価総額は他の資産の価値との関連でおそらく低下するだろう。だが、それはセールスフォース等の価値低下需要というより、どちらかというと相対的な変化だ。

シャルマ氏は基本的なケースについては納得している。彼はソフトウェア関連株を買っている。しかし、彼の質問は良い点を突いており、よく検討してみる価値がある。ソフトウェアの価値とソフトウェア投資ブームを実現している基本的な要因が本当に変化したら、ソフトウェア企業の時価総額にどのくらい迅速に反映されるのだろうか(別の言い方をすると、成長志向型収益を他の資産や現金と比較したときの相対的な価値とSaaSへの資金注入を促進している要因が変化した場合、そうした要因の変化はどのくらい迅速に結果に反映されるのだろうか)。

お金の価値に対する初期の増分変化によってテック関連企業の評価総額が劇的に変化すると考えている人たちは、そうした変化を大げさに受け取っているのではないかと思う。

現在のスタートアップブームとその継続可能性について、The Exchangeが数週間前に次のような記事を掲載した理由もそこにある。

大規模な経済圏で資本の再分配が起こる可能性よりも、ある程度確実に言えると思うのは、現在のスタートアップブームを終わらせるにはかなり大きな衝撃が必要になるということだ。製品需要とファンド形成への関心の組み合わせは投資の意思決定を促す最強の組み合わせだ。収益を追い求める資本と資本を必要とする高成長企業というまさに最高の組み合わせだ。

また、この記事のために話を聞いた多くの投資家たちは、創業者と投資先であるスタートアップの質について強気だった。市場の需要と資本が存在していたというだけでなく、資本の助けを借りて市場の需要に答えるために構築されているものが、少なくともスタートアップに対して数百万ドル(数億円)から数億ドル(数百億円)の小切手を切る投資家たちの観点からすると、極めて質が高いのだ。

すべてのビジネスサイクルは循環する。上昇したものはいつかは下降する。スタートアップ関連株やテック関連株をより広範に買い求める動きは元通りというわけにはいかず、少し弱くなる可能性が高いだろう。もちろん、何か新しいテクノロジーが登場すれば、話は別だ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Dragonfly)

暗号資産取引所Coinbaseの口座への給与振込が可能に、まずは米国で展開

暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)はいくつかの新機能を発表した。同社は米ドルをさまざまな暗号資産に変えられる取引サービスでよく知られているが、ユーザーがこれまで以上に多くの金融サービスで同プラットフォームを活用できるようにするために消費者サービスを拡大する。

まず、間もなく米国で口座振替の機能を立ち上げる。この機能ではユーザーは支払われる給与の一部をCoinbaseに預け入れることができる。Coinbaseアプリのユーザーは現在給与を支払っている会社あるいは雇用主をアプリで見つけて、そこから給与の分配を更新できる。最も積極的なユーザーは給与全額をCoinbaseの口座に入れることを選ぶのではないだろうか。

Coinbaseの口座に入金されると、ユーザーはCoinbaseに米ドルをどのように扱わせるかを決められる。単に全額を米ドルのままにしておくこともできるし、全額を暗号資産に変えることもできる。

ユーザーはCoinbaseで利用できる暗号資産から選べる。この機能は、もしあなたがいちいち考える必要もない繰り返しの購入を設定したい場合に特に便利だ。

口座振替は、CoinbaseがMarqetaの手を借りて、Apple PayとGoogle Payで使える自前のVisa(ビザ)デビットカードを提供していることを考えると理に適っている。つまり、Coinbase口座での入出金ができることになる。

Coinbaseアプリから、ユーザーはカード決済のためのソースウォレットを選ぶことができる。カードを使うたびに、Coinbaseがユーザーの暗号資産を米ドルに2.49%の決済手数料で替える。

カード決済ではまたリワードも受けられる。現在、リワードにはDAI、ETH、DOGE、BTCでの1%還元、GRT、XLM、AMP、RLYでの4%還元がある。なので決済手数料でお金を使い、リワードで少し稼げる。

ユーザーはまた直接米ドルを使うこともできるようになっている。その場合、カード決済での手数料は発生しない。CoinbaseはここしばらくCoinbase Cardをテストしていて、2021年10月から誰でも使えるようになる見込みだ。

Coinbaseはすでに米国の何百万人という人にとって重要な金融アプリだ。そうした顧客を抱える同社が使用を増やすために新しいサービスを追加するのは何ら不思議ではない。Coinbaseはモバイルアプリに新たに「アセット」「取引」「支払い」「あなたのために」の4つのタブを加える。そしておそらく一部のユーザーはCoinbaseのアプリをこれまでよりも少し頻繁に使うことになり、銀行アプリの使用が少し減ることになる。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Robinhoodが新しい暗号資産ウォレット機能でCoinbaseの縄張りに殴り込み

Dogecoin(ドージコイン)の熱狂は、株式取引アプリRobinhood(ロビンフッド)に大きな収益をもたらしたが、同社は米国時間9月22日に、その暗号の穴をさらに深く掘り下げ、ユーザー向けに暗号資産ウォレットのテストを間もなく開始すると発表した。

Robinhoodによると、2021年10月からウェイティングリストに載っているユーザーに順次提供していく予定のその暗号資産ウォレットを使うことで、ユーザーはアプリ内で暗号資産の取引や送受信ができるようになるという。今回のアップデートにより、Robinhoodは、暗号資産ユーザーからの要望が多かった機能を搭載し、自身のアプリを暗号資産エコシステムに近づけることになる。ユーザーはこれまで、DogecoinやBitcoin(ビットコイン)を含むいくつかの暗号資産を売買することはできたが、それらのコインを外部のウォレットに送ったり、他の場所から受け取ったりすることはできなかった。

この動きにより、Robinhoodは、Coinbaseのようなライバルが活躍している暗号資産スペースの多くのチャンスに開放されることになる。それと同時に、規制がさらに曖昧な分野にも進出することになる。今週、Coinbaseは、SECが同社を告訴すると警告したために、長年計画していた融資商品を放棄した

関連記事:米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

2020年と2021年は、暗号資産の世界ではブレイクが起こった年で、期間中はコインが乱高下しながらも、全体としてははるかに高い値上がりを達成した。Coinmarketcapの推計によると、暗号資産の世界的な時価総額は2兆ドル(約220兆円)をわずかに下回っている程度だ。

投資家たちは、Robinhoodが暗号資産スペースに深く入り込んでいくことに強気のようで、Robinhoodの株価は本日の取引で10%以上、上昇した。

画像クレジット:Robinhood

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

米証券取引委員会(SEC)に対し強硬手段に出ようとしたCoinbase(コインベース)の試みは、長くは続かなかった。暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する同社は、暗号資産による融資商品の立ち上げ計画を巡り、規制当局であるSECの怒りを買った。SECは、CoinbaseがLendと呼ばれる暗号資産融資商品を立ち上げた場合にCoinbaseを提訴することを事前に通達する「ウェルズ通知」を同社に送付した。

SECがLendの件で私たちを訴えたいと言ってきました。理由はわかりませんが」と題した反抗的なブログ記事を発表してから2週間足らずで、同社は先週末、結局Lendを立ち上げないことを静かに発表した。

関連記事:米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

同社は米国時間9月17日、Lendの立ち上げ関する投稿を更新する情報を静かに追加し、その一部を詳しく説明した。

当社は、暗号資産業界全体に対する規制を明確化する取り組みを続けるなか、以下に発表するとおり、USDC APYプログラム(米ドルコインによる融資プログラム)を開始しないという難しい決定を下しました。また、このプログラムのキャンセル待ちも中止し、次の展開に向けて取り組んでいきます。

Lendは、暗号資産取引所の世界では例外的とはいえないものだ。投資家にとっては、Geminiなどのプラットフォームで同様の仕組みがある。Geminiでは、ユーザーが保有する暗号資産を取引所に貸し出し、従来の普通預金よりもはるかに高い金利を得ることができる。Coinbaseは、安定したコインであるUSDC(米ドルコイン)をユーザーが貸し出し、年利4%(開始時のレート)が得られるというLendの立ち上げを計画していた。

SECは、同組織内で利用可能なリソースが限られていることに不満を持っており、これまでも限られた範囲で暗号化商品に対する訴訟を行ってきた。ユーザーがCoinbaseとそのパートナーに対し、自らのコインの保管権を実質的に放棄するという点に納得がいかなかったようだ。また、Coinbaseに対して、Lendには確かに証券としての性質があると指摘している。監督機関との緊密な連携をブランドの一部としているCoinbaseは、Lendが証券ではないという考えにこだわりながら、ゆっくりと事を進めようとしていた。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えているといいますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした。しかし、またしてもSECからの説明はありませんでした。それどころか、彼らは正式な調査を開始しました」と、最近のCoinbaseのブログに書かれていた。

大きな問いは、これが他の暗号資産取引所にとってどのような意味を持つのか、また、この行為は、チーフのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が率いるSECが、暗号資産の世界、特にDeFiの仕組みに関して、より積極的な活動を開始するシグナルなのかどうかだ。

Coinbaseの株価は9月20日月曜日の日中取引で下落した。ビットコインやその他の暗号資産の価格も大幅に引き下げた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

Coinbase(コインベース)のCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は、同社とSEC(米証券取引委員会)との現在の関係に強い反応を示した。同氏によると、SECは、Coinbaseが「Coinbase Lend」と呼ぶ利回り商品の取り扱いを始めた場合、暗号資産取引所である同社を訴えると脅しているという。

Coinbaseはこの新商品で、「Compound」や「Aave」といった人気の分散型金融(DeFi)商品に対抗したいと考えている。同社は、米ドルにペッグされた安定したコインである米ドルコイン(USDC)を取り扱うレンディング(貸し出し)プールを運営したいと考えている。

同社がCoinbase Lendの立ち上げに成功すれば、ユーザーはCoinbase Lendに暗号資産を送り、レンディングプールに拠出することができる。最終的には、集まった暗号資産を貸し出す計画だ。Coinbaseのユーザーは、レンディングプールに拠出した見返りとして高い金利を得る。Coinbaseは、プレビューページで年率4%を約束している。

アームストロング氏によると、同社はリリース前にSECに連絡を取ったという。「彼らは、この貸し出しは証券だと答えた」とツイッターで述べた。

「彼らは、なぜそれが証券だと思うのかを教えてくれず、代わりに私たちに多くの記録を求め(我々はそれに応じました)、私たちの従業員に証言を要求し(それにも応じました)、そして、私たちがこのビジネスを始めるなら、私たちを訴えると言ってきました。その理由については説明せずにです」と付け加えた

また、Coinbaseの最高法務責任者であるPaul Grewal(ポール・グレワル)氏も、同社のブログで今回の出来事について書いている。SECがCoinbaseの貸し出しプログラムは証券だと主張しているにもかかわらず、同社は新機能の事前発表を進めると決めたようだ。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えていると言いますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした」とグレワル氏は書いている。

この記事を読んでいる起業家の方へのアドバイスはこうだ。SECから、それは始められないと言われたら「間もなく」という言葉でウェイティングリストを公開してはならない。

驚きではないが、Coinbaseによると、SECはその後、正式な調査開始を決定したようだ。また、ある従業員はSECの質問に答えるために1日を費やすことになったという。

「彼らは文書や書面での回答を求めてきました。私たちは喜んでそれを提供しました。また、このプログラムについて宣誓証言をしてくれる企業証人の提供も求められました。その結果、当社の従業員の1人が8月に丸1日かけて、Coinbase Lendについて完全かつ透明性のある証言を行いました」とグレワル氏は書いている。

その結果、Coinbaseは頭にきて、SECに対してPRキャンペーンを展開すること選んだ。アームストロング氏の主張は、他社がすでにレンディングプールを提供しているため、一部の企業がそのような商品を提供できて、Coinbaseが提供できない理由はないというものだ。

「他の多くの暗号資産会社は貸し出し機能の提供を続けていますが、どうしたわけかCoinbaseはそれが許されていません」と同氏はツイートした

これは、Coinbaseが暗号資産エコシステム全体を変更することに終わるかもしれないリスクをともなう戦略だ。Sar Haribhakti(サール・ハリブハキ)氏が指摘したように、DeFiに対する監視の目がますます厳しくなり、業界全体により厳しいルールが適用されることになるかもしれない。

「表面上は、SECの目的は投資家を保護し、公正なマーケットを作り出すことです。ですので、この件に関してSECは誰を守り、どこに害があるのでしょうか。人々はこれらのさまざまなプロダクトで利回りを稼ぐことにかなり満足しているようです」とアームストロング氏は述べた

但し書きを読むと、CoinbaseはLendプログラムで投資家を保護しない。Coinbase Lendページの下の方にはこうある。「Lendは高利回りUSD普通預金口座ではなく、Coinbaseは銀行ではありません。あなたの貸し出した暗号資産はFDICやSIPCの保険で保護されません」。

これは投資家にとって、あまり心強いものではない。ツイート合戦は問題を解決しないため、どこかの時点でCoinbaseとSECは暗号資産貸し出しプロダクトを協議するために向き合う必要がある。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

Coinbase Global(コインベース・グローバル)の日本法人Coinbase(コインベース)は8月19日、世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」を同日ローンチすると発表した(関東財務局長 登録番号 第00028号)。

同社は「暗号資産取引のグローバルスタンダード」を掲げ、世界最高レベルの安全性、初心者でも簡単に使える操作性とともに、暗号資産の取引を開始する。取引可能な暗号資産は、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XLM(ステラ)で、さらに取り扱い資産を増やす予定。また今後は、トレーダーや機関投資家向けのサービスなどを展開し、ビジネスを拡大していく方針としている。

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

日本においては、世界基準のセキュリティやコンプライアンス基盤に加え、日本最大級の口座保有数を誇る三菱UFJ銀行をパートナーとして迎え入れており、三菱UFJ銀行の口座を持つ利用者は、インターネットバンキングを通した入出金が可能となっている。

Coinbase Globalは、2012年にアメリカ・サンフランシスコで創業以来、世界各国でサービス展開を広げており、現在100カ国以上で暗号資産の購入・売却・管理を行える暗号資産取引所を展開している。2021年4月14日にはナスダック市場に直接上場し、フィンテック業界を中心に注目されている。世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Coinbase(企業)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)三菱UFJ銀行日本(国・地域)

Coinbaseの第2四半期決算は予測超えも第3四半期の取引高は減少傾向と注記

米国時間8月10日の取引終了後、Coinbase(コインベース)は第2四半期決算報告を発表し、再び印象的な結果を示した。

同四半期中Coinbaseの総売上は22億3000万ドル(約2469億6000万円)に達し、その結果16億1000万ドル(約1783億円)の利益をこの3カ月間に計上した。同社は一時的な項目から7億3750万ドル(約816億7000万円)の利益を得ており、これについてCoinbaseは、四半期初めのダイレクトリスティングによる「税優遇」よるものと説明している。

この結果、本稿では同社の調整後EBITDAを重視するという奇妙な状況になった。この数字はより厳密な純利益よりも割り引かれることが多いが、同四半期の調整後の数字は、会社の定常的収益性をより明確に表わしている。Coinbaseは四半期の調整後EBITDAを11億ドル(約1218億2000万円)と報告した。

会社は予測を優に上回った。市場の予測は売上がわずか18億5000万ドル(約2048億8000万円)、調整後EBITDAが9億6150万ドル(約1064億8000万円)だった。Yahoo Financeによる。

すべてが順調だが、同社は暗号化経済の現状を理解するのに役立つすばらしいデータ群を提供している。詳しく見てみよう。

取引高

Coinbaseの第2四半期に関して我々が必要としているデータセットが2つある。第1は月間取引ユーザー数(MTU)と総取引高に関するものだ。


Coingbaseが第2四半期にMTU、および同社の四半期取引高を増やし続けたことは同プラットフォームの資産価値が減少していることを踏まえると実に印象的だ。つまり、Coinbaseは暗号資産全体の価格が下落していたこの時期に取引高を増やすことに成功したということだ。

「価格変動に関わらず、当社は第2四半期を通じて数十億ドル(数千億円)の純資産流入額を記録し、新規顧客を増やしました」と同社はいう。

次のデータ群は、取引高を発生源と種別で分類している。


2021年第1四半期から第2四半期にかけての小売取引高の成長は目覚ましいが、Coinbaseが同四半期に追加した機関投資家の取引高はさらに強力だ。これは膨大な結果といえる。

暗号資産志向の人々が金融志向よりも増加する中、この2番目の数字はいっそう注目に値する。Ethereum(イーサリアム)の取引高がBitcoin(ビットコイン)を上回っているだけでなく、Ohter cyrpto assets(その他の暗号資産)がBitcoinの2倍以上取引されている。

主役の交代か?同社はこうなった理由を3つ挙げたが、その2番目が最も興味深い。決算書にこう書かれている。

割合の変化は主としてEthereumの取引高のはっきりした成長によるものです。CoinbaseにおいてEthereumが初めてBitcoinの取引高を上回ったのは、DeFi(ディーファイ)およびNFTエコシステム(Ethereumが重要なブロックチェーンとして支えている)の成長がきっかけであり、当社のステーキング・プロダクトであるETH2が需要を高めた結果です。

Ethereumブロックチェーンで興味深いのは、基礎をなすコインであるether(イーサ)の流通量を増加させていることだ。Bitcoinは最古の暗号資産だが、その王座はサビつきつつある。それでもBitcoinはCoinbaseで47%を占める最大の資産だ。

次に売上について話そう。

売上

機関投資家による取引はCoinbaseの印象的な成長の源だが、同社の売上を分析すると今も小売が中心だ。データはこちら。


第1四半期から第2四半期にかけての取引売上の成長は自明の理であり、第2四半期における同社の好調な総合結果の主要因だった。しかし、更に注目すべきは同社のサブスクリプションおよびサービス売上の膨大な変化であり、2021年第1四半期の5640万ドル(約62億5000万円)から最新四半期の1億260万ドル(約113億6000万円)へと100%近く成長した。

たしかにCoinbaseは今も取引中心の会社だが、売上で見ると、サービス部門が重要になりつつある。

ここでちょっと悪いニュース。

2021年第3四半期は?

まず、Coinbaseが第3四半期のスタートをどう説明しているかを見てみよう。

7月の小売MTUと総取引高はそれぞれ630万ドル(約7億円)と570億ドル(約6兆3131億5000万円)だった。暗号資産の価格と変動性が第2四半期と比べて著しく下がったためだ。8月時点の小売MTUと取引高は7月よりやや改善したが、依然として年初より低いままだ。これを踏まえ、第3四半期の小売MTUと総取引高は第2四半期よりも低くなると我々は考えている。

これに対して第2四半期はMTUが880万ドル(約9億7000万円)、四半期の月平均総取引高が1540億ドル(約17兆570億4000万円)に達した。8月が7月よりも好調という傾向にはやや慰められるものの、Coinbaseの第3四半期のビジネス規模は第1四半期や第2四半期よりも小さくなりそうだ。

なぜ強力な第2四半期結果を受けてもCoinbase株が飛躍していないのか不思議に思っている人にはこれが理由だろう。もちろん、暗号資産の本格的な投資家ならだれでも、この分野の数値がいかに変動するかをよく知っている。だから、何回かの好調な結果が続いた後の減少はさほど大きいことではない。

Coinbaseは本稿執筆時点の時間外取引で1株あたり267.55ドル、これはおよそ0.25%ほどの値下がりなのでほとんど誤差の範囲だ。

そういうわけで、Coinbaseの第2四半期はすばらしかった!

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase暗号資産NFT

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

拡張現実でのNFTの閲覧・共有方法を模索する「Anima」がCoinbaseの支援を受ける

AR(拡張現実)とNFT(非代替性トークン)。これ以上いう必要があるだろうか?イエス?まあ、NFTが2021年にホットな瞬間を迎えたのは確かだ。しかし、投機的なゴールドラッシュがクールダウンし始め、人々がデジタル商品が将来どのように進化していくかを考え始めると、NFTが何の役に立つのか、NFTで何ができるのかという疑問がより頻繁に聞かれるようになってきた。

Animaは、Flipboardが2014年に買収した写真 / 動画アプリ「Ultravisual」の創業者たちによって設立された小規模なクリエイティブ系暗号スタートアップで、ARを利用してNFTアートやコレクターズアイテムの閲覧・共有方法を変えようとしている。同社の最新の取り組みは、アーティストがデジタル作品をより大きなデジタルステージに持っていくことを支援し、ARにおけるNFTの未来がどのようなものになるのかを見出そうとするものだ。

このスタートアップは、Coinbase Ventures、Divergence Ventures、Flamingo DAO、映画作家・写真家のLyle Owerko(ライル・オワーコ)氏、そして著作家Andrew Unger(アンドリュー・アンガー)氏から支援を得て50万ドル(約5500万円)の小規模なプレシードラウンドを実施した。

共同創業者のAlex Herrity(アレックス・ヘリティ)氏はこう語った。「NFTが、購入した商品のリターンを目的とした投機的な市場から離れていくのは健全なことだと思いますし、より親しみやすいものを作りたいと考えている私たちにとっても良いことだと思います」。

同社のより幅広いビジョンは、デジタルオブジェクトが現実世界と相互作用する方法を模索することだ。これはここ数年、ARの世界では最重要課題となっていたが、最近ではApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)の新製品に対するクリエイターの様子見の姿勢により、開発が停滞していた。Animaの共同創業者たちは、ARとNFTの分野はどちらも非常に初期の段階にあることを認めているが、どちらの分野もギミックが明るみに出るくらいには成熟したと考えている。

共同創業者のNeil Voss(ニール・ヴォス)氏は、TechCrunchの取材に対しこう語った。「今は体験型のギミックが主流になっていますが、そうではなくARを、自分が集めたものまたはライフスタイルを彩るアクセサリーと触覚的な関係を築くための手段ととらえることで、コンテキストの変化が起こります」。

同社のチームはデジタルアートのオブジェクトをARに導入する初期の実験を行っており、すでに数名のアーティストと協力している。来月末には、ConsenSysのPalmプラットフォームをベースにしたマーケットプレイスを立ち上げ、今後のパートナーシップをより多く紹介していきたいとのこと。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:拡張現実NFTAnima資金調達アートマーケットプレイスCoinbase

画像クレジット:Anima

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

「今はイノベーションの黄金期」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏とのインタビュー[後編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

爆速成長マネジメント」の著者でシリコンバレーの投資家で起業家でもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏とのインタビュー後編。前編では初めての起業家が陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編では新型コロナウイルスがスタートアップ業界に与えている影響と展望について話を聞いた。

前編:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

パンデミックがスタートアップに与えた影響

2020年は新型コロナウイルスの影響でスタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。どういった点がスタートアップにとってより難しくなったと思いますか。例えば、対面で話すことが減ったので、企業文化を作るのは難しくなっているかと思います。

ギル氏:企業文化を作ることについては、間違いなく以前より難しくなっています。企業文化は人が集まり、交流することで作られるものですから。社員がリモートワークしている会社からは、すでに出来上がっている仕組みに関してはそのまま維持して回せるけれど、何かイノベーティブなことをしたり、新しいことをしたりするのは難しくなったという話を聞きます。

2つ目は、いくつかの業界では事業を継続するのが非常に難しくなりました。例えば、私が知っているほぼすべての旅行系スタートアップは昨年から壊滅状態です。レイターステージだと、例外的な会社にTripActions(トリップアクションズ)が生き残っていますが、アーリーステージの会社のほとんどは事業を続けられませんでした。

3つ目は、新型コロナウイルスの影響で、多くの人は生き方を変えざるをえなかったことと関係します。在宅で子供を見なければならなくなったり、鬱や気分の落ち込みを経験したり。会社は社員のこうした問題に対処し、社員が新しく増えたストレスに対抗しながらも仕事を続けられる環境を整えなければなりません。

こうした課題にうまく対応しているスタートアップはありますか?

ギル氏:ビジネス面で急成長したところは多くあります。Stripe(ストライプ)、Instacart(インスタカート)、Zoom(ズーム)は、世界がオンライン化する中で急成長した企業の一例です。

企業文化の面でいうと、新型コロナウイルスが蔓延する中でも社員が交流できるよう、例えば、広い公園でマスクをつけて参加するミートアップを開催しているような会社があります。

会社によってはオンボーディングが難しくなったものの、採用はしやすくなったという変化もあります。採用しやすくなった理由としては時間や場所にかかわらず面接できるようになったからです。面接のためにオフィスを訪ねたり、仕事を休んだりする必要がなくなりました。ズームで話せばいいのですから。

オンボーディングが難しくなったのにはいくつか理由があります。GitLab(ギットラボ)は早くから社員のリモートワークに注力してきた会社で、彼らは社員のオンボーディングを3つのカテゴリーに分けています。コンピューターやメールの設定といった技術面でのオンボーディング。業務や役割、目標の設定といった組織面でのオンボーディング。最後に文化面でのオンボーディング。ですが、この3つはどれもリモートで行うのが難しいのです。

コロナ後の世界はどうなると思いますか?

ギル氏:2つの相反する力が世界に働いているように思います。現在のインターネットは、10年前と比べると10倍以上の規模になっていて、この拡大規模は10年前の人たちの想像を遥かに超えているでしょう。インターネットで過ごす時間が増え、たくさんのモバイル端末があり、仕事関連のアプリも大量に出現し、仕事でインターネットを使う時間も増えました。なので、今日設立したどの事業にも、5年、10年前と比べると、10倍規模になる可能性があるということです。つまり、10年前に1000万ドル(約10億円)の売上があった事業は、今やれば1億ドル(約107億円)規模の事業になる可能性があるということです。そして世界中のどこからでも、大規模な会社が作れるようになりました。

これは「分散化」のトレンドですが、一方で「集中化」のトレンドも同時に起きています。

特定の都市に特定の業界の人が集まっているのが、もう1つの重要なトレンドです。業界別に見ると、1つか2つの都市にその業界の物理的な拠点があるのが分かります。例えば、映画業界で仕事をしたいという人に向かって、「どこに住んでもいい」とアドバイスする人はいません。米国なら「ロサンゼルスに住まないとダメだ」と言うはずです。脚本はどこにいても書けるし、撮影も、映像編集も、音楽制作もどこにいてもできますが、それでも最終的に全員、ロサンゼルスに集まります。

世界の都市は業界ごとにまとまるようになってきています。金融だったら、資金調達をするのも、トレード戦略を考えるのもどこにいてもできますが、米国のヘッジファンドのほとんどはニューヨーク州とコネチカット州に集中しています。その理由は、サービスプロバイダーが重要で、経営陣が重要で、人と人のネットワークが重要だからです。新型コロナウイルスで世界の状況は変わりましたが、それでもなお、人は特定の場所に集まって活動を続けるでしょう。スタートアップをする人たちは特定の地域に集まって会社を立ち上げるといった傾向が続くと思います。

新たにスタートアップを立ち上げるとしたら、どのような分野に可能性があると思いますか?

ギル氏:家の地下室で仕事をしている私より、外でいろいろと動き回っている起業家たちの方が良いアイデアを持っているのは間違いないでしょう(笑)。新しいことを始めようとしている起業家集団の方が、どんな個人よりも素晴らしいアイデアを持っているものです。とはいえ、いくつか興味のある分野があるのでお話したいと思います。

1つ目は、バーティカルのコラボレーションSaaSです。例えば、Figma(フィグマ)によってデザインチームがオンラインで協力しながら仕事を進められるようになったのと同じように、財務チームが協力して財務計画を立案したり、データチームが協力して分析やアナリティクスをしたり、BI(ビジネスインテリジェンス)チームが協力して事業に関わるデータの分析ができたりするようなツールです。社内の特定の部署に特化したバーティカルのコラボレーションツールには可能性があるのではないかと思っています。

2つ目は、コンシューマー向けソーシャルアプリです。世界にはまだ、新しいソーシャルな行動が生まれ、広まる余地があると思っています。その理由は、世代間の違いがあるからです。若い人たちは新しいソーシャルネットワークを求めています。Clubhouse(クラブハウス)で人々が突然音声の魅力に気づいたのと同じように、他にも人々の行動を変えるような新しい形のソーシャルネットワークやリアルタイムコミュニケーションが登場するのではないかと思っています。

現在、膨大な量のイノベーションが起きています。例えば、AngelList(エンジェルリスト)を見ると5年前に比べて、スタートアップの数は5倍、10倍に増えています。これは新しく設立したスタートアップの実数ベースの話です。半導体や機械学習、さまざまなSaaS、防衛技術、不動産など、あらゆる分野でイノベーションが同時進行に起きていて、今はイノベーションの黄金期と言えるのではないでしょうか。

2021年4月14日にCoinbase(コインベース)が上場しています(ギル氏はコインベースの初期からの投資家)。暗号資産(仮想通貨)の領域はどう見ていますか。

ギル氏:暗号資産の領域はとても楽しみにしています。コインベースのIPOは、Netscape(ネットスケープ)がIPOした時のように捉えられるようになるのではないかと思っています。かつてネットスケープの上場で、インターネットがメインストリームの存在になると世間の人々が気づいたように、コインベースの上場は、ウォール街や既存の金融業界に対し、暗号資産が世界にとって重要であることを知らせる大きな契機になるのではないかと思っています。

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カテゴリー:VC / エンジェル
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