フリーランサーのマーケットプレイス「Malt」がコンサルタントのマーケットプレイス「Comatch」を買収

フリーランサーのマーケットプレイス業界に、統合の時期がきている。フランスのスタートアップ企業であるMalt(モルト)は、コンサルタントや業界の専門家に特化した競合マーケットプレイスのComatch(コマッチ)を買収すると発表した。Comatchはもともとドイツで始まった会社であるため、Maltはこの買収でドイツ市場も倍増させることになる。買収の条件は非公開だが、株式と現金の混合対価で行われる。

Maltは、フリーランスの開発者、デザイナーなどの技術者と、人材を求める企業をマッチングするマーケットプレイスとしてスタートした。これまでに同社はかなりの資金を調達し、欧州の複数の国々にわたり34万人のフリーランサーを集めている。

当初はフランス市場に限定されていたMaltだが、ここ数年でドイツ、スペイン、ベルギー、オランダ、スイスに拡大した。4万社の企業が1人または複数のフリーランサーを見つけるためにMaltを利用している。

同社のクライアントには、Unilever(ユニリーバ)、Lufthansa(ルフトハンザ)、Bosch(ボッシュ)、BlaBlaCar(ブラブラカー)、L’Oréal(ロレアル)、Allianz(アリアンツ)などが含まれる。このように、多くの大企業がMaltを利用したことがあるのだ。

Maltは、新しいプロジェクトが立ち上がった時に足りない分野を埋めることができる高スキルのフリーランスの仕事に特化している。現在では、開発者だけでなく、マーケティングやコミュニケーションの専門家、グラフィックデザイナーなどにも機会を提供するようになっている。

Maltのようなプラットフォームを使うことは、特にフリーランスとしてスタートしたばかりで、潜在的な顧客との大きなネットワークを持っていない場合に有益だ。また、Maltは経営上の事務処理にも役立つ。フリーランサーはMaltから直接クライアントに請求することができ、もちろん、Maltはわずかな手数料を受け取る。

Comatchもほぼ同じビジネスモデルを踏襲しているが、こちらは特に経営コンサルタントや業界の専門家に焦点を合わせている。Maltはこれまで、特に経営コンサルタントをターゲットにしていなかった。つまり、この買収によって同社は新しい業種に参入することになる。

「Comatchは、ビジネスコンサルティングのマーケットプレイスの分野におけるチャンピオンです。Maltの『コミュニティファースト』のアプローチを共有し、才能を製品やビジネスの中核に置いて、仕事の未来に対する我々のビジョンを実現する仲間として、両社の高いスキルを持ったフリーランサーの2つの世界を1つにすることを我々は熱望しており、そうなることに興奮しています」と、Maltの共同創設者でCEOを務めるVincent Huguet(ヴィンセント・ユゲー)氏は声明で述べている。

Maltは欧州で最も頼りになるフリーランサーのマーケットプレイスになりたいとも考えている。Comatchは9つの市場で1万5000人のフリーランサーを集めており、両社はCAC40とDAX40に選ばれる企業の80%と取引している。ComatchはMaltに興味深い外部成長の機会を提供することになる。

この買収後に関して、Maltはいくつかの野心的な目標を掲げている。2024年までに10億ユーロ(約1360億円)のビジネスボリュームを見込んでおり、2022年末までに150人の従業員を新たに雇用する予定だという。

画像クレジット:Malt

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)a

保育園・幼稚園の成長と経営を支援するマーケットプレイスをWinnieが提供

Winnie(ウィニー)を2016年にSara Mauskopf(サラ・マウスコフ)氏とAnne Halsall(アン・ハウサール)氏が創業した当初は、親向けに開発した育児ソリューションに取り組んでいた。

「育児分野における他のSaaSソリューションは、まずサービス提供者を念頭においていますが、非常に分散した市場のため、推進力を得るのが本当に困難でした」とマウスコフ氏は話す。「私たち自身が親として本当に必要性を感じていたため、マーケットプレイスこそが、自分たちが最もよく理解しており、本当に勝てる場所だと判断しました」。

数年の間に全国の親からの要望を集めた。その後、このスタートアップは、信頼と、家庭のニーズに対する理解を活用して、サービスの提供側をもっと改善したいと考えた。そこで同社は、保育園の規模拡大を支援する製品「Winnie Pro(ウィニー・プロ)」を発表した。同社のサービスは、単に定員の空きを埋めるだけでなく、保育園・幼稚園の成長と経営を支援することを目指す。

まず、これは、小規模な事業者がプロフィールやランディングページを立ち上げ、情報を一カ所に集約するのを支援するというシンプルなものだ。Winnieによると、同社のプラットフォーム上にある25万所の保育園・幼稚園の半数以上は、自らのウェブサイトを持っておらず、親が保育園・幼稚園を探すとき、Winnieのプロフィールが唯一の手段となっている。同社はまた、すでに自らのウェブサイトを持つ顧客に対しても、親たちがすでに認知しつつあるランディングページを提供することにより支援できると考えている。ランディングページは、レビュー、プログラムの詳細、教育のタイプ、ライセンス情報、認証などの機能を備える。

Winnie Proは、マーケティング、登録、スタッフ配置の支援も行う。「ビジネスにとって常に役立つサービスを組み込むことで、サービス提供者が募集を必要とするときだけでなく、常に価値を提供できるようになります」とマウスコフ氏は付け加えた。

新計画は、Unusual Ventures、Homebrew、Day One Ventures、Reach Capitalから投資を受けた同社が、ビジネスモデルを拡大したことも意味している。同社は現在、SaaSのようなモデルを追求している。そのモデルでは、同社の新しいサービスに対し、保育園・幼稚園の規模に応じた月額料金を請求する。

Winnieは以前、保育園や幼稚園に何人の親を紹介したか、つまり「pay-per-lead(ペイ・パー・リード)」のモデルで収益を上げていた。この戦略は、パンデミック時に力を発揮した。Winnieへのアクセスが急増し、売上は8倍になった、とマウスコフ氏はいう。

「サブスクリプション収益とは異なり、ペイ・パー・リードは紹介する親の数に応じて毎月変化します」とマウスコフ氏は話す。「最近の傾向として、多くのサービス提供者が人材不足のため、『今はこれ以上紹介を受けられない」というような制約があります」。

同社は現在、SaaSのような月額で料金を請求するモデルを追求している。料金は保育園や幼稚園の規模に応じて変わる。そして、マーケティング、登録、さらには人材採用を支援する。ベータ版の顧客向けには、Guidepost MontessoriIzziが含まれている。

画像クレジット:Winnie

「サービス提供者がより効率的にビジネスを行うためのバックエンドツールを開発することだけが目的ではありません」とマウスコフ氏は語る。「特に、9〜5時の保育だけでなく、この変化する世界において、親が保育を見つける方法をより良く、より効率的にすることが目的です」。

このビジネスモデルの転換は、同社にとって自然な進化といえる。同社は現在、親から寄せられる要望に基づいて、保育園や幼稚園にコンサルタント的なアドバイスを提供することもできる。例えば、同社がある保育園に対して、その地域の親たちがドロップインケア(スポットで子どもを預かるサービス)を渇望していることを伝える。そして、保育園や幼稚園が需要に応じて採用を行い、最終的に収益を上げるようアドバイスするのだ。

マウスコフ氏にとってこの新製品は、すでに検証済みだ。人とケアをつなぐシンプルなマーケットプレイスだけでは不十分だという事実があるからだ。

「パンデミック以前は、『すべての雇用主が保育施設を併設していたらどうだろう』と、雇用主が提供するヘルスケアと同じようにできないかを常に考えていた部分がありました」とマウスコフ氏は話す。「今、私たちは、その答えは『イエス』だと、これまで以上に確信しています。というのも、人々は毎日オフィスに通うわけではありませんし、ケアの種類も一律ではありません。そして、雇用主は、ほとんどの場合、家族の課題を解決するために、真の意味で貢献していないからです」。

画像クレジット:Sue Barr / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

セルフ型トラックレンタルマーケットプレイスFetchが事業拡大で約4億円調達

昔、筆者はトラックを所有していた。そのトラックが大好きだった。しかし、実際にトラックとして使うことはさほどなく、結局、そのトラックを売って、もっと日常的なニーズに合ったものを購入した。より「実用的」なものだ。今でもあのトラックが恋しい。

現在、年に数回、トラックをトラックとして使う必要があり、その場合、友達を説得して34回目の借用をさせてもらうか、大型ハードウェア店でレンタルを試みるしかない。店に着くまでに使えるトラックがあることを願い、列に並び、書類に記入し、保険証を忘れたために車まで走っていき、また列に並び直す。

数年前にTechCrunchが初めて紹介したFetch(フェッチ)は、このプロセスを少し簡単にする。近くにあるトラック(またはバン!)を探し、アプリで予約し、歩いて行って携帯電話からロックを解除すれば、すぐに出発することができる。今週、Fetchはチームと事業を拡大するために350万ドル(約4億円)を調達したことを発表した。Fetchを実現するために、とも言える(編集部注:Fetchは行って取ってくる、の意)。

Fetchは今のところ、いくつかの都市で事業を展開しているが、そのリストは急速に増え始めている。最初に地元アトランタで開始し、最近ではボルチモア、フィラデルフィア、ダラス、ワシントンDCに事業を拡大している。Fetchの共同創業者Adam Steinberg(アダム・スタインバーグ)氏によると、2022年末までに「さらに12都市」に進出する予定だという。

同社のビジネスモデルも、前回取り上げたときからかなり拡大している。以前は、Fetchで利用できるトラックはすべてFetchが所有していたが、最近は、空きトラックを持つ人なら誰でも貸し出せるマーケットプレイスとなっている(車両を抱える企業でも、空き車両を持つ個人でも、週7日レンタルに貸し出せれば利用できる)。

登録を済ませると、トラックの所有者は、承認された借り手が車両のロックを解除し、トラックを使えるようにするためにFetchのハードウェアを取り付ける。借り手は自分で保険に加入する必要があるが、Fetchはその保険契約を補うための二次保険も提供している。

レンタル料金は、サイズや運転距離など求めるものによって若干異なり、時間や日単位、あるいは必要な期間に応じて借りることもできる。例えば、アトランタで全長6フィート(182センチ)のピックアップトラックは、現在サイトでは1時間19ドル(約2200円)で、あるいは走行距離50マイル(80キロメートル)までなら1日70ドル(約8000円)で提供されている。

他にオンデマンドレンタカーサービスがある中で、なぜこのようなサービスを立ち上げたのだろう。理由はターゲット層だ。重量1000ポンド(約453キロ)の木材を動かしたり、古い机をオフィスから運び出したりしたいときに、休暇用のレンタカーアプリに飛びつくのは、ちょっと変な感じがする。「私たちの理想の顧客は、中小企業の経営者です」とスタインバーグ氏はいう。「ケータリング業者やイベントプランナーなど、定期的にトラックを必要とする中小企業です」。

スタインバーグ氏によると、同社は「レンタル1台あたりの収益性も達成」している。そして、現在「数百台のトラックをマーケットプレイスで稼働させていて」、その約半数がアトランタ地域にあるとのことだ。また、Home Depot(ホームデポ)とも提携し、一部の地域で同社のレンタル業務を受託している。

次の動きは?チームの拡大だ。同社の従業員は現在12人で、今後3カ月ほどで倍増させる計画だ。

今回の資金調達ラウンドはNextView Venturesがリードし、Knoll Ventures、Zeno Ventures、Nassau Street Ventures、その他多くのエンジェル投資家が参加した。

画像クレジット:Fetch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンライン中古車マーケットプレイスCarvanaがAdesaの米国オークション事業を2530億円で買収

オンライン中古車マーケットプレイスのCarvana(カーバナ)は、Kar Global(カーグローバル)の米国オークション子会社Adesa(アデサ)を現金22億ドル(約2530億円)で買収することで合意した。買収は、新たな収益源の獲得と、事業強化に役立つ実店舗のネットワーク拡大を目的としている。

第4四半期の決算報告とともに発表されたこの買収は、純粋なオンラインビジネスから、より伝統的な実店舗を持つ自動車ディーラーへの移行を意味する。

現在、Carvanaの顧客は、同社のモバイルまたはウェブアプリでクルマの検討、購入、借入を行うことができる。購入したクルマは、30台ある立体自動販売機で受け取るか、顧客の自宅まで直接配送される。また、同社は15カ所の検査・整備センターを運営し、販売前にクルマの査定と整備を行っている。顧客は所有するクルマを同社に売ることもできる。

米Adesaがもたらす追加の売り上げと物理的な拠点は、Carvanaにとって無視できないほど魅力的で大きな機会のようだ。また、絶好のタイミングでもある。

Carvanaは第4四半期に11万3016台を販売した。売上高は37億5000万ドル(約4313億円)で、前年同期比57%の増加となった。だがその成長率は、2021年末に向かうにつれ成長が先細りとなった事実を覆い隠している。第3四半期の小売販売台数は11万1949台、売上高は35億ドル(約4025億円)だった。

同社はまだGAAPベースで黒字に到達していない。第4四半期の損失は1億8200万ドル(209億円)となり、前年同期の1億5400万ドル(約177億円)から拡大した。しかし、通年では赤字幅はかなり縮小した。2021年の純損失は2億8700万ドル(約330億円)で、前年の4億6200万ドル(531億円)から改善した。

Adesaは56カ所に実店舗を持つ。Carvanaはオンライン販売する車両の検査や整備にAdesaの実店舗を利用できるようになる。Carvanaは、米国Adesaのオークションを引き続き運営すると同時に、Carvanaの標準的な小売検査、整備、物流機能を備えた施設を開発すると、同社は株主宛ての書簡で述べている。

Carvanaによると、米国Adesaの整備事業がCarvanaの生産能力を年間200万台から300万台以上へと押し上げる。

56カ所のネットワークとCarvanaの既存インフラにより、米国人口の78%が検査・整備センターから100マイル(約161キロメートル)圏内に入ることになる。

Carvanaはまた、オークション機能を強化し「自動車業界の多くの大規模かつ重要なプレイヤーとの関係を開始または深化させる」機会を見据えていると株主宛ての書簡で述べた。

さらに、パンデミックによって高騰した中古車販売が下火になった同社にとって、潜在的な収益も重要な要素である。米国Adesaの事業では、同社のサイトを通じて100万件以上の取引を仲介し、2021年に8億ドル(約920億円)以上の売り上げをもたらした。

もちろん、この潜在的な見返りには、Carvanaの運営費用が利益以上に膨らむリスクもある。

Carvanaは、JPMorgan Chase Bank N.A.とCitiから受けた32億7500万ドル(約3766億円)の融資の一部を、今回の買収資金に充当する。残りの10億ドル(約1150億円)は、コミットメント型デットファイナンスを通じて、米国Adesaの56拠点全体の改善に使う。

Adesaの米国におけるオークション卸売事業は、既存のブランド名で運営を継続する。本取引の完了後、米国AdesaのJohn Hammer(ジョン・ハマー)社長とその他の上級幹部は、Carvanaに移籍する。

画像クレジット:Carvana

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(文・Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

サステナビリティに配慮するファッションブランドのためのB2Bマーケットプレイスを構築するNovi

これは、昔からある話だ。あなたはかっこいいパンツのブランドを経営していて、心温まる製品を作りたいと考えている。その製品の素材はフェアトレードにより調達され、持続可能な方法で栽培された原料や素材を使っている。ただ、あなたは、どこに頼ればよいのかわからない。そんなとき、Novi(ノビ)が、あなたの悩みに対する絞りたての解決策を入れたピッチャーを持って、壁を突き破ってやってくるのだ。同社はTigerDefyGreylockから新たに4000万ドル(約46億円)の小切手を受け取った。

Noviは、持続可能で革新的な原料とパッケージのB2Bマーケットプレイスだ。同社は、何千という顧客が、より持続可能な素材を使った製品を市場に送り出す手助けをしている。基本的にNoviは、サプライヤー、メーカー、小売業者、ブランドで形成されるデータ豊富なネットワークを活用し、新製品を開発する際に、持続可能で革新的な素材やパッケージを考案、発見、試供、購入することを容易にする。アイデアはシンプルだ。ブランドにとって持続可能な製品を作ることが簡単になれば、そうしないことに対する言い訳はできない。うまく運べば、私たちの行き過ぎた消費主義がもたらす負荷によって地球が燃える際の輝きを少し減らすことができる。

「キャリアの初めの頃、私は空軍に入隊し、難しい問題に取り組みたいと思うようになりました。空軍では、データサイエンティストとしてすばらしいキャリアを積んできました。そして、Eventbriteなどのテック企業でデータチームを作ることになりました」とCEOで創業者のKimberly Shenk(キンバリー・シェンク)氏は説明する。「私は2017年に妊娠し、自分が使う製品や含まれる成分を強く意識するようになりました。人間の健康や環境に対する毒性について夢中で学びました。2017年、私はこのことに取り組むために、ブランド「NakedPoppy(ネイキッドポピー)」を立ち上げました。私が持っているデータサイエンスへの情熱をすべて活かして、健康や環境に良いパーソナルケア製品を作ろうと思ったのです。実際に真に持続可能な製品を市場に出すことの難しさをすべて身をもって体験しました」。

シェンク氏は、信頼できる素材を見つけるのが難しいこと、そして、巨大で洗練されたサプライチェーン分析オペレーションを持たない小さな会社にとって、素材を評価するのは難しいことに気づいた。NakedPoppyは、その過程で発見したことを記録するためのデータベースの構築を始め、その過程で、これが新会社の始まりにつながることを発見した。そして、他のブランドも興味を示し始めた。創業者のデータへの関心と、持続可能なブランドを作ろうとした個人的な経験が交差して、Noviが誕生した。

B2BマーケットプレイスとしてのNoviの存在は、この分野での最近の大きなトレンドを踏まえると、特に興味深い。

「最も基本的なことですが、私たちはブランドが持続可能な素材を見つけ、持続可能な製品を作る手助けをしています。私たちはそれをB2Bマーケットプレイスとして行っています。また、サプライヤーが素材、例えば原料、香料、パッケージなどをリストアップしてくれるため、豊富なデータが手に入ります」とシェンク氏は説明する。「信頼できる第三者として、私たちはサプライヤーが気にかけているであろうさまざまな基準について素材を評価するため、ブランドは持続可能性への影響の観点から信頼できる素材を見つけ、より良い製品を作ることができるのです」。

同社は、いくつかの異なる方法でデータを収集している。化学製品のサプライヤーなど、ビジネスの供給側には、データを収集するのが得意なサイエンティストが豊富に存在するが、データを保存したり、関係者に配布したりする体系的な手段がない。そこでNoviの出番となる。同社が情報をデジタル化し、分類する。また、認証機関と連携し、生分解性、ビーガン、フェアトレードなどの認証を取得しているものを把握することもできる。さらに、持続可能かどうかを測定・利用するためのデータソースもあり、それも同社の巨大なデータベースに蓄積されている。

NoviのCEOで創業者のキンバリー・シェンク氏(画像クレジット:Novi)

「Novi以前は、ブランドは何週間もかけて素材を探し出し、複雑な業界基準を満たしているかどうかを判断するために、さまざまな素材に関する資料を読み解いていました」とシェンク氏はいう。「Noviは、こうしたデータをすべて収集、消化、デジタル化し、刻々と変化する基準や主張に対してリアルタイム性と正確さを保証します。これにより、ユーザーは持続可能性に関する調達の意思決定をより効率的に、自信を持って行うことができるのです」。

もちろん、データを扱うどんな分野でもそうだが、これはGIGO(garbage in, garbage out、ゴミを入れたらゴミが出てくる)というゲームだ。木材のパレットに「持続可能な方法で栽培された」と書かれたステッカーを貼って終わりにするのは簡単だが、これまでのところ、ブランドがそれ以上に深く調べるような動機付けはあまりない。Noviは、この状況を変えたいと考えている。

「当社は評価の正確さを保証しますが、もしサプライヤーがデータを改ざんしたら」とシェンク氏は言いつつ、認証に関わる情報量の多さから、実はデータを改ざんするのはかなり難しいことだと主張する。「それは、当社が単独で解決できることではありません。もちろん、責任を持って調達されたパーム油を認証している認証機関はあります。しかし、実際に良いことをしているサプライヤーを評価し、より良い素材を求めているブランドの目に留まるようにすることで、業界を変えることができるのです」。

Noviは正確な数字は開示したくないものの、Croda、Grove Collaborative、Sephora、Targetなど多くのブランドと取引しており「数千」の顧客がいると主張している。

同社は、新しい資本を投入し、進化する持続可能性の主張に対応する新しい技術を市場の両側で開発し、原料、香料、パッケージの品揃えを充実させ、ホームケアや食品などNoviから見てすでに成長が始まっている分野への新規参入を図る予定だ。

画像クレジット:Novi

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi

eBayがトレカ鑑定サービス開始、まずは約8.6万円以上の価値があるカードが対象

オンラインマーケットプレイスのeBay(イーベイ)は、またも鑑定サービスを拡張し、今回は高価なトレーディングカードの鑑定に対応する。収集価値のあるカードゲームやスポーツカード、その他スポーツ以外のカードで750ドル(約8万6000円)以上のものの鑑定が可能になるという。2022年半ばまでには、250ドル(約2万9000円)以上で販売されるグレード付きカード、サインカード、パッチカードへと対象を拡大する。こうした追加により、eBayは、すでにスニーカー、時計、ハンドバッグなどで行っている高額アイテムの鑑定を顧客に保証する能力を拡大する。

同社は、自社サイト上での活発な動きから、鑑定が利用できる他の分野と同様にトレーディングカードへの鑑定サポートに価値を見いだした。同社によると、トレーディングカードのカテゴリーは同社のマーケットプレイス全体よりも「著しく速く」成長しており、2021年上半期の同カテゴリーの取引額は20億ドル(約2300億円)に上ったという。参考までに、これは2020年に行われたトレーディングカードの全取引額に匹敵する。

これまでに、eBayの内外を問わず購入された約400万枚のカードが、顧客のCollectionに追加された。Collectionは、トレーディングカードのコレクターがサイト上で自分のポートフォリオを把握できるよう、2021年追加されたツールだ。このツールを使ってコレクターは、自分のカードコレクションを閲覧・管理し、ポートフォリオに影響を与えるリアルタイムの市場評価額の変化をモニターすることができる。一方、eBayでは、25万人近い購入者が、お気に入りのトレーディングカードのトレンドを可視化するために、Price Guideツールを検索で利用していると、同社は述べた。

2021年上半期に最も伸びたカードカテゴリーは、テニス(1797%の伸び)、サッカー(852%)、ポケモン(536%)、マーベル(437%)、ゴルフ(436%)などだった。

画像クレジット:eBay

eBayのコレクティブル・エレクトロニクス・ホーム担当副社長のDawn Block(ドーン・ブロック)氏は、この発表についての声明の中で「当社のトレーディングカード事業は過去6年間成長を続けており、最近の急増はこのカテゴリーの文化的意義が計り知れないことを物語っています」と述べた。「趣味が投資に変わるにつれ、価値の高いカテゴリーの鑑定サービスはコレクターにとって優先事項となっています。トレーディングカードの真贋保証の導入により、愛好家が求めるものを正確に提供し、マーケットプレイスの信頼性を継続的に向上させることができます」と付け加えた。

トレーディングカードの鑑定はCertified Collectibles Groupの関連会社であるCGC Trading CardsとCertified Sports Guaranty(CSG)の専門家が担当している、とeBayのウェブサイトでは紹介されている。

Facebook Marketplaceなどのサービスや他のローカルな購入アプリによる日用品の売買競争が激化する中、eBayは入手困難な収集品や中古の高級品をオンラインで探せる場所として、より良い地位を確立しようと取り組んできた。

ハンドバッグを対象としたAuthenticate(鑑定)プログラムを2017年に開始した後、同社は高級ジュエリー時計といったものにも対象を広げた。2021年11月には、既存パートナーのSneaker Con Digitalからスニーカー鑑定事業を買収し、この戦略にさらなる投資を行った。鑑定の追加はビジネス上も有利に働く。高額スニーカーの売買に真贋保証を追加したところ、このカテゴリーが前四半期比で伸び、スニーカー鑑定サービスの自社提供を決定した時点で鑑定件数は155万件を突破した。

2021年第3四半期時点では、米国のスニーカー事業は2桁の成長率で、高級ハンドバッグの売上の伸びは米サイト全体を2桁の数字で上回っていると同社は述べた。

eBay真贋保証の対象商品は、他のカテゴリーと同様、自動的にプログラムに追加され、オプトインやオプトアウトはできない。買い手が購入すると、販売者はeBayが案内する鑑定者の住所に発送する。時計やトレーディングカードは2日、スニーカーやハンドバッグは3営業日以内に鑑定士が鑑定を行う。審査に通れば、所要2日の配送で購入者に届けられる。不合格の場合は、商品は販売者に返送され、購入者には代金が返される。現在、鑑定にかかる費用はeBayが負担しているが、将来的には変更される可能性もある。

同社は、熱狂的な消費者をマーケットプレイスに呼び込むことが、結果的にカテゴリーを超えた高額商品の購入につながると考えている。CEOのJamie Iannone(ジェイミー・イアンノーネ)氏は、第3四半期決算会見で次のように説明した。「……当社の戦略の一部は、愛好家を信頼できる新しい体験に導き、そうした購買者を当社の他のカテゴリーの膨大な商品に向けることです。スニーカーや高級時計を購入する平均的な購買者は、他のカテゴリーでそれぞれ約2000ドル(約23万円)、8000ドル(約92万円)を費やしています【略】高級カテゴリーで当社の成長が加速した理由の1つは、購入者と販売者の信頼が向上したことです」と述べた。

しかし、トレーディングカード分野では、eBayはAltWhatnotLoupeToppsなど、トレーディングカードを専門とするさまざまなアプリやサービスとの新たな競争に直面している。コレクターが所有するカードの価値を決めるのをサポートするWorthPointCollXなどもある。

1年以上前に鑑定プログラムを「真贋保証」としてリニューアルして以来、カテゴリーを問わず140万点超のアイテムを鑑定し、顧客満足度は90%を超えている、とイアンノーネ氏は述べた。

画像クレジット:eBay

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

エネルギー卸取引マーケットプレイスeSquare運営のenechainが総額20億円調達、今後3年間で10倍以上の流動性増加を目指す

エネルギー卸取引マーケットプレイスeSquare運営のenechainが総額20億円調達、今後3年間で10倍以上の流動性増加を目指す

様々なエネルギー商品を売買できる卸取引マーケットプレイス「eSquare」を運営するenechainは1月26日、シリーズAラウンドでの16億円の第三者割当増資および取引銀行からの融資により、総額で約20億円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、リードインベスターのDCM VenturesとMinerva Growth Partners。調達した資金により、eSquareの流動性を拡大させ、エネルギー業界全体のDXを推進させたいという。

enechainは「Building energy markets coloring your life」をミッションに掲げ、あらゆるユーザーがオンライン上のマーケットプレイスeSquareを通じ、電力やLNGといったエネルギー商品を自由に売買できる社会の実現を目指すスタートアップ。

2016年の電力自由化以降には数百社の小売事業者が電力事業に参入し、従来の電力会社よりも安価に電力の販売がされるといったメリットが生まれた。しかしその一方で、自由化当初には想定されていなかった、燃料市況や需給動向に応じた電力のスポット価格の乱高下といった課題も浮き彫りになっている。このような事業環境では、生産者にとっても小売企業にとっても価格変動に対して「収益を安定化するためのヘッジ取引」が必要となるものの、これまで日本のエネルギー業界には価格をヘッジするマーケットが存在していなかった。エネルギー卸取引マーケットプレイスeSquare運営のenechainが総額20億円調達、今後3年間で10倍以上の流動性増加を目指す

そうした背景を受けenechainは、経済産業省の認可の元、法人ユーザー向けに電力やLNGなどエネルギー商品のヘッジ取引を行うマーケットプレイスを開設、取引のマッチングサービスを提供。創業から2年半で、ユーザーは電力会社やガス会社、新電力のほかにも欧米トレーダーなど120社を超えるまでに成長している。

今回調達した資金は、採用と組織拡大、コアプロダクトであるeSquareの開発およびユーザーへの導入の加速に充てる。今後3年間で、ソフトウェアエンジニアやコーポレート人材などを中心に社員数を150名と現状の3倍規模にまで増やす予定。ユーザー獲得の加速に向けた投資も積極的に行ない、eSquare上の流動性を10倍以上とすることを目指す。

enechainは、卸電力のヘッジマーケットプレイスでの取引を活性化させることで、発電・小売事業者の収益性を安定させ、エンドユーザー向けにより競争力のある条件での安定的な電力小売に寄与したいという。

スマートフォンの整備品を販売する仏Back Market、評価額約6530億円に

フランスのスタートアップ企業であるBack Market(バック・マーケット)が、またしてもメガラウンドの資金調達を行った。5月に3億3500万ドル(約384億円)のシリーズDラウンドを実施した同社は、米国時間1月11日、シリーズEラウンドで5億1000万ドル(約584億円)を調達したこと発表。同社の企業価値は57億ドル(約6530億円)と評価されている。

Back Marketという会社に馴染みのない人のために説明すると、同社は電子機器(主にスマートフォン)のリファービッシュ品(整備品)専門のマーケットプレイスを運営している。つまり、スマートフォンの価格は高すぎると思う人が、新品の定価を払わずとも、良い状態のスマートフォンを手に入れることができるというわけだ。

消費者が、通信会社やスマートフォンメーカーから新品の携帯電話を購入する代わりに、Back Marketで電話機を購入する理由はさまざまだ。お金を節約するためだけでなく、同社の多くの顧客は、新機種が前世代のモデルと比べて機能が少ししか進化していないと考えている。

また、さらなる廃棄物を生み出したくないという理由で中古品を選ぶ顧客も多い。古いスマートフォンの多くは結局、引き出しの中に入れられたままになっている。バッテリーを交換したり、時にはディスプレイを交換したりすれば、古い機種も十分に魅力的なリファービッシュ品に生まれ変わることができるのだ。

Back Marketは、自ら直接デバイスを再生するわけではない。代わりにサードパーティ業者が、Back Marketの調達パートナーとなっている。Back Marketのマーケットプレイスに自社の在庫を掲載することで、これらの業者はより簡単に買い手を見つけることができる。

一方で買い手にとっては、Back Marketを通じてデバイスを購入すれば、30日間の返金保証が付くという安心が得られる。これまで合計600万人の顧客がBack Marketでデバイスを購入しているという。

Sprints Capital(スプリンツ・キャピタル)が主導した今回の資金調達ラウンドには、Eurazeo(ユーラゼオ)、Aglaé Ventures(アグラエ・ベンチャーズ)、General Atlantic(ジェネラル・アトランティック)、Generation Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)などの既存投資家も参加した。最近、フランスのテックエコシステムは勢いづいており、PayFit(ペイフィット)、Qonto(クォント)、Ankorstore(アンコールストア)といった企業が、この数日間にそれぞれ数億ユーロ(数百億円)の資金調達を発表している。

「私たちの目標は、消費者がテック製品を購入する際に、リファービッシュ品の機器が最初の選択肢となるようにすることです。米国の自家用車市場では、消費者が中古車を信頼して購入するため、中古車は新車販売台数の2倍も売れています。それと同じような展開が、エレクトロニクス市場でも起こることを、我々は期待しています」と、共同創業者兼CEOのThibaud Hug de Larauze(ティボー・ユーグ・ド・ラローズ)氏は声明で述べている。「これらのファンドの支援と信頼は、当社の顧客基盤の拡大と併せ、Back Marketの歩みにおいて、さらには循環型経済全体にとって重要なステップとなります」。

Back Marketにとって特に重要な指標は平均故障率だ。現時点におけるその数字は、約4%と同社では見積もっている。これは、25台に1台の割合で、何らかの形で期待通りの動作をしない個体があるということだ。だからこそ、顧客満足度を高めるためには、カスタマーサービスが重要になる。同社によると、新型機種の故障率は3%と推定されるという。

Back Marketでは、米国市場に明確に注力することで、規模が倍増すると期待している。同社は現在、650人の従業員を抱え、欧州、米国、日本を含む16カ国で事業を展開している。

画像クレジット:Daniel Romero / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

仏の卸売マーケットプレイスAnkorstoreが起業2年で評価額約2296億円に

フランスのスタートアップAnkorstore(アンコールストア)は、2億8300万ドル(約327億円)のシリーズC資金調達ラウンドを実施した。2019年11月に設立されたAnkorstoreは、資金調達後の評価額が20億ドル(約2296億円)に達するまでに約2年を要した。同社は、ヨーロッパ全域で独立系小売業者向けの卸売マーケットプレイスを運営している。

Ankorstoreは、独立系ブランドが独立系小売業者に製品を販売できるようにする。そして、小売業者は、それらの商品を自社の顧客に販売することができる。これは、チェーンの末端のオフラインでの販売に焦点を当てたB2B2Cモデルだ。

Ankorstoreでは、家庭用品からメープルシロップ、キャンドル、ヘッドバンド、入浴剤、文房具まで、ちょっとしたものが手に入る。特に、生鮮食料品、美容製品、自宅用アイテムなど、かなりうまくいっている分野もある。

そして、同社の軌跡を考えると、非常にうまくいっている。現在、20万人の小売業者が同マーケットプレイスを利用し、1万5千のブランドから商品を調達しているす。2021年5月、AnkorstoreがシリーズBを調達したとき、同社は5万店舗と5000ブランドと取引していると話していた。

これが今日の資金調達ラウンドにつながる。Bond(ボンド)とTiger Global(タイガー・グローバル)がシリーズCをリードし、Eurazeo(ユーラゼオ)とCoatue(コータツ)もこのラウンドに参加した。Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)、GFC、Alven(アルヴェン)、Aglae Ventures(アグライ・ベンチャーズ)など、既存の投資家の中には、さらに資金を投入する者もいた。

この分野で競争している企業はそれほど多くはない。卸売マーケットプレイスで最も有名なのは、10億ドル(約1157億円)以上を調達した米国を拠点とするFaire(フェア)だろう。最近、ヨーロッパへの展開を開始した。Creoate(クリオネ)Orderchamp(オーダーチャンプ)もヨーロッパで卸売マーケットプレイスを運営している。

在庫を持たないマーケットプレイス

Ankorstoreは、フランス、英国、ドイツ、オランダ、スウェーデンの5カ国にチームを持っている。ヨーロッパの23の市場で商品を販売している。小売業者は、注文から60日以内での支払いが可能であり、隠れた手数料はかからない。基本的に、Ankorstore は、小売業者がキュレーションやサービスに集中できるよう支援し、同社が調達の面倒を見る。

Ankorstoreに商品を掲載しているブランドは、Ankorstoreを通した最初の注文で20%カットされるのに続き、各取引ごとに10%のカットを受ける仕組みだ。

ブランドによっては、まだ百貨店などの巨大小売業者と直接取引をしているところもある。そして、Ankorstoreは、ブランドが販売スタッフを雇ったり、フェアに出たりすることを妨げるものではない。同マーケットプレイスは、単なる販売チャネルであり、顧客を見つけるための新たな機会なのだ。

そして、これこそが卸売マーケットプレイスというビジネスモデルのすばらしさでもある。Ankorstoreは倉庫を持たず、在庫も持たない。同社は、ブランドと小売業者間の取引を促進するだけで、資本投資は一切必要ない。

「私たちは、プロフェッショナルのネットワークであり、プロフェッショナル同士のつながりをサポートするという点で、LinkedInに近い存在だと考えています」。と、共同創業者で共同CEOのNicolas Cohen(ニコラス・コーエン)氏は私に語ってくれた。

他のソーシャルネットワークと同様、このプラットフォームが大きくなればなるほど、強力なネットワーク効果が期待できる。特に、Ankorstoreは、生鮮食品など新しいカテゴリーへの拡大を期待している。

同社は、すでにUPSと契約しており、ブランドの配送を支援している。しかし、小規模なブランド向けの倉庫のソリューションに関しては、まだあまり手をつけていない。これも、この先の新たなチャンスと言える。

400人の従業員と多額の資金を持つAnkorstoreは、この非常に断片化された業界を統合するレイヤーとして機能する可能性がある。

画像クレジット:Christelle Bourgeois / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フリーランスのマーケットプレイス「Fiverr」が顧客ごとにカスタマイズしたPinterest風フィードを導入

フリーランスのマーケットプレイス「Fiverr」が、Pinterestに似たインタラクティブなモバイルエクスペリエンスを導入した。Fiverrを利用するユーザー企業ごとに構成したビジュアルコンテンツのフィードを頻繁にアップデートしてアピールすることを目的としている。Fiverrによれば、この「Inspire」という新機能は新しいプロジェクトのヒントを提供し、企業がマーケットプレイス上のフリーランサーを見つけやすくするためのものだという。企業はフィードでコンテンツに「いいね」したり、後で参照できるようにアプリ内でムードボードやリストにコンテンツを追加できる。

Fiverrは、この新機能にはユーザー企業が自社のビジネスやプロジェクトのニーズに役立つさまざまなサービスや機能を見つけられるようにする意図もあると説明している。フィードのコンテンツは企業の最近の検索や購入に応じて表示される。企業がフィードを延々見ていけば自社との関連性が強いコンテンツに接することができ、さらに以前に見たものを補完するコンテンツも見つかると同社は説明している。

Fiverrのプロダクト担当バイスプレジデントであるLiron Markus(リロン・マーカス)氏は発表の中で「この新しいエクスペリエンスからどのようなインスピレーションやアイデアが生まれるかを楽しみにしています。我々は今後も優秀なフリーランサーの仕事ぶりに称賛と感謝を送ります」と述べた。

画像クレジット:Fiverr

Fiverrは2021年11月に、企業がフリーランスのチームを管理するStoke Talentを9500万ドル(約109億1500万円)で買収した。Stokeには新たに参加するフリーランサーのオンボーディング機能がある他、企業はこのプラットフォームを通じてフリーランサーに支払いをしてそれに応じてフリーランス用の予算全体を管理することもできる。2021年10月にはシアトルを拠点とするオンライン学習企業のCreativeLiveも買収した(金額非公表)。CreativeLiveは起業家向けの学習プラットフォームで、ユーザーはビデオ、写真、デザイン、ビジネス、マーケティングなどのコースを受講できる。

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フリーランスのマーケットプレイスFiverrが学習プラットフォームのCreativeLive買収
フリーランスのマーケットプレイス「Fiverr」が単発だけでなくサブスクでの支払いプランも開始

2021年2月には、Fiverrはそれまでの単発の支払いに加えて3カ月または6カ月のサブスクリプションをスタート。この機能を利用して、Fiverr上のフリーランスは毎月所定の業務をする。利用企業もフリーランスもいつでもサブスクリプションをキャンセルでき、残りの月の費用は発生しない。

Fiverrは2010年にテルアビブで創業し、現在はニューヨークに本社を置く。ニューヨーク証券取引所に上場しており、評価額は63億ドル(約7240億円)だ。同社によれば、このプラットフォーム上で直近の会計年度内に160カ国以上の400万社を超える企業がフリーランサーのサービスを購入した。同社マーケットプレイスでカバーしている専門技能は、グラフィックデザイン、デジタルマーケティング、プログラミング、ビデオ、アニメーションなど9つの分野、500以上のカテゴリーにわたる。

画像クレジット:Fiverr

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ラテンアメリカの「アリババ」を目指すMeru、海外から安全に商品を調達できるB2Bマーケットプレイスを構築

海外から商品を調達したり輸入したりする際には、どこかで問題が発生することがあり、企業は代金を支払った品を受け取れなかったり、あるいは何も届かないことさえある。

メキシコに拠点を置くMeru.com(メル・ドットコム)を共同設立したManuel Rodriguez Dao(マヌエル・ロドリゲス・ダオ)CEOと共同設立者のFederico Moscato(フェデリコ・モスカート)氏は、他社のために商品を調達する仕事をしていたとき、当初注文した商品を手に入れることができないなどの問題に直面し、このことを痛感した。

2020年、彼らはEduardo Mata(エドゥアルド・マータ)氏、Virgile Fiszman(ヴィルジール・フィスマン)氏、Daniel Ferreyra(ダニエル・フェレイラ)氏と共同で、中小企業が同じ運命を避けられるようにMeruを起ち上げた。同社は米国時間12月2日、シリーズAラウンドによる1500万ドル(約17億円)の資金調達を発表した。このラウンドは、Valor Capital(バロー・キャピタル)とEMLES Ventures(エムレス・ベンチャーズ)が共同で主導し、創業者グループによる個人投資も含まれている。これまでに同社は総額1700万ドル(約19億2500万円)を調達している。

Meruの技術には、シンプルなプロセスで、価格の非対称性なしに国内外のメーカーをサプライチェーンの他の部分と結びつけるマーケットプレイスとアプリが含まれており、まずは中国とメキシコの間で展開している。品質認証を受けた工場と直接取引していると、ロドリゲス・ダオ氏はTechCrunchに語った。

従来の調達方法では、中小企業は週に2日もの時間を費やし、最大5社の仲介業者を介して、取引しなければならなかった。しかも、平均して80%もの取引が詐欺に遭っていると、ロドリゲス・ダオ氏はいう。これに対し、Meruを利用する顧客は、数分で商品を選択して購入することができ、その際には商品を確実に、そして市場のベストプライスで受け取ることができるという保証も、同社で付けているという。

MeruはY Combinator(Yコンビネータ)の2021年冬のバッチに参加しており、今回の新たな資金調達は、最終的にはラテンアメリカのAlibaba(アリババ)になるという目標に向けて、Meruが中小企業のためのワンストップショップになることを支援すると、ロドリゲス・ダオ氏は述べている。

「私たちは中国でリモートワークを始め、グローバルな取引の中で、新興国でも同じような痛みが発生していることを知りました」と、同氏は続けた。

「私たちは、アリババのようにテクノロジーを駆使した流通によって、仕入れや調達を安全なものにしたいと考えています。そのために、サプライチェーン全体の関係者をつなぎ、彼らが割引価格を利用できるようにしています」。

Meruは開始からわずか1年で、すでに1万人以上の登録ユーザーを抱え、7つの商品カテゴリーを運営している。資金調達を支援するフィンテックのパートナーもいる。Meruがマーケットプレイスを起ち上げた2020年8月には6名だった従業員が、現在では中国とメキシコの両方で合わせて210名の従業員を擁するまでになった。

同社は今回の資金調達を、新たな業種やカテゴリーの追加、技術開発、チームの拡大に充てる予定だ。毎月の収益は40%から50%増加している。

「Meruは、ラテンアメリカの中小企業が、すべて単一のコンタクトポイントを通じて、アジアからより効率的に商品を購入できる統合的なB2Bマーケットプレイスを構築しています」と、Valor Capital GroupのマネージングパートナーであるAntoine Colaço(アントアーヌ・コラソ)氏は声明で述べている。「何千もの商品へのアクセスを提供し、すべての物流、請求、フォローアップのプロセスを管理し、金融ソリューションを組み込むことによって、Meruはラテンアメリカとアジアのグローバルなサプライチェーンのつながりを強化することに貢献するでしょう」。

画像クレジット:Meru.com

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2から資金調達、評価額約380億円に

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2からシリーズD調達、評価額約380億円に

国内最大級スニーカー&ハイブランドC2Cマーケットプレイス「スニーカーダンク」(SNKRDUNK。Android版iOS版)を運営するSODAは12月2日、シリーズDにおいて、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先はSoftBank Vision Fund 2。今回の資金調達により評価額は約380億円となった。

調達した資金は、シンガポール、オーストラリア、香港などのアジア市場獲得、国内事業の拡大および強化、AIを活用したロジスティクス、真贋鑑定、カスタマーサポートなどにあてる。

SODAは「世界中に熱狂的ファンを生み出すマーケットプレイスを。」をミッションに、スニーカーダンクを運営。スニーカーダンクは、個人取引の間に真贋鑑定を行うことで偽造品の流通を防ぎ、安心・安全に取引ができるプラットフォームとなっている。2019年9月にスニーカー売買からスタートし、現在ではストリートウェア、ハイブランド、ホビーなどファッション・コレクティブ領域のアイテムを取り扱っている。また、人気スニーカーやブランドアイテムの新作・発売情報を配信するメディアや、コーディネート写真など月間数万件以上が投稿されるコミュニティも提供している。

中古の電動自転車を売買するオンラインマーケットプレイスを構築する仏Upway

フランスのスタートアップUpway(アップウェイ)をご紹介しよう。同社は電動自転車の中古マーケットプレイスを構築している。同スタートアップは、Sequoia CapitalとGlobal Founders Capitalから500万ユーロ(約6億4000万円)のシードラウンド資金を調達したばかりだ。

クルマのオンラインマーケットプレイスの世界に詳しい人なら、Upwayのやり方にも馴染みがあるだろう。同社は、消費者と企業の両方から電動自転車を買い取っている。買い取った電動自転車はチェックして、不具合がある場合には修理を行っている。その後、Upwayは自社のウェブサイトにそれらの電動自転車を掲載し、販売している。

現在、同社はパリ近郊のジュヌヴィリエに倉庫を構えている。5人の修理担当者のチームが、20種類のテストリストをもとに、届いた自転車を1台ずつチェックしている。Upwayは、ハンドルとペダルをフレームから切り離した状態の自転車を、段ボールで梱包して顧客に送る。

平均して、バイクは元の価格より20%から50%安くなる。Moustache(マスタッシュ)、VanMoof(バンムーフ)、Cowboy(カウボーイ)、Canyon(キャニオン)など、電動自転車業界ではおなじみのブランドの製品が多数揃っている。すべての電動自転車には1年間の保証がついている。

なぜ普通の自転車ではなく、電動自転車を扱うのだろうか。共同創業者でCEOのToussaint Wattinne(トゥーサン・ワッティンヌ)氏は、電動自転車は自転車業界で最も成長している分野だという。2020年、フランスでは50万台の電動自転車が販売されたが、これは前年に比べて30%の増加だった。とはいえ、サプライチェーンの問題もあり、すぐに新しい電動自転車を見つけて購入するのは簡単ではない。

さらに、個人が中古の電動自転車を購入する際には、モーターがまだ問題なく動くかどうかわからず、手に入れたときにバッテリーを交換しなければならないかどうかもわからないので、抵抗が大きくなる。そしてもちろん、電動自転車は高価な商品なので、購入に面倒を伴いたくないのだ。

Upwayは自転車を直接購入しているので、電動自転車の在庫を実際に保有していることになる。資本集約的なスタートアップになりそうだ。しかし、中古車市場の分野で成功している企業はたくさんある。Upwayも同じ道を辿り、電動自転車業界とともに成長していくことができるだろう。

画像クレジット:Upway

画像クレジット:Upway

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(文: Romain Dillet、翻訳:sako)

ペット動画のマーケットプレイスCamlistが約1.4億円のプレシード資金を調達、英国での成長を目指す

ペットのための動画マーケットプレイスのCamlist(カムリスト)は、プレシードラウンドで130万ドル(約1億4900万円)を調達した。この資金は、プラットフォームの開発と従業員の増員に充てられる予定で、2021年初めに参入したアラブ首長国連邦に次ぐ2番目の市場である英国での事業拡大を目指している。

他のマーケットプレイスとは異なり、Camlist(カメラリスティングからきている)では、売りたいペットの動画を掲載することができ、コンタクトが取れれば、買い手と売り手はアプリ内で動画とテキストチャットの両方を使ってやり取りすることができる。

マーケットプレイスでは、今のところペットだけ出品できるが、近い将来、他の商品にも拡大していく予定だ。

「クラシファイド、あるいはP2Pコマースは、eBayが登場して以来、古いやり方に固執しています。それ以来、大きな革新はありませんでした。ただ、画像と電話番号が掲載されているだけです」と、Camlistの共同設立者で最高経営責任者のMoustafa Mahmoud(ムスタファ・マフムード)氏は述べている。

「しかし、Camlistではそれを変えようとしています。マーケットプレイスをビデオ体験に変えようとしています。すべての所有物にストーリーがあるからです」。

マフムード氏は、誰もが安全にペットを探すことができるように、検証済みの健康診断や、一括払いができない人のためにサードパーティと提携した無利子融資も保証していると述べている。Camlistは、これまでに6000匹以上のペットを新たな飼い主に繋げている。

「当社のアプリ内GMV(流通取引総額)は、2四半期ごとに100%成長しています。そのため、四半期ごとに倍増しており、総GMVは月に約200万ドル(約2億3000万円)になります」とマフムード氏は語っている。

このY Combinator(Yコンビネータ)企業は、2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが発生する直前に、アラブ首長国連邦のドバイで設立され、事業を開始した。その結果、家に閉じこもることを余儀なくされた人々が、一部退屈しのぎだが、世話をする時間も増えたため、ペットを購入するようになりサイトは人気を博した。

「私たちはマーケットプレイスをカテゴリーごとに構築していますが、ペットのリスティングは非常に大きく、また十分なサービスが提供されていないと感じています。今後、成長に合わせてさまざまなアイテムに拡大していく予定です」と、コンピューターサイエンティストでもあるマフムード氏は語る。

他の共同設立者には、最高製品責任者のMaha Refai(マハ・リファイ)氏がいる。彼女は、デジタル製品の構築と拡張での16年の経験を持っている。彼女は、MBC(中東最大の無料放送局)のプレミア・ビデオ・プラットフォームや、その他の複数のビデオ・ストリーミング製品のクリエイターでもある。

Camlistの最高技術責任者であるAlsayed Gamal(アルサイード・ガマール)氏は、15年のソフトウェアエンジニアリングの経験を持っている。モバイルプラットフォーム、データエンジニアリング、DevOps、API設計、マイクロサービス、サーバーレスアーキテクチャに関する知識と経験を持っている。

マフムード氏は、アラブ首長国連邦のドバイでクラシファイドサイトを利用して購入した際に、商品が誤って紹介されていたり、詐欺が多かったりした嫌な経験に対抗する必要があったことが、Camlistを始めるきっかけになったと述べている。

Camlistの最高経営責任者であるムスタファ・マフムード氏は、同社の最高製品責任者であるマハ・リファイ氏、最高技術責任者であるアルサイード・ガマール氏と共同で動画マーケットプレイスを設立した

駐在員の街でもあるドバイでは、クラシファイドサイトは荷物の処分のために利用されるため人気があるが、一方で詐欺師が無防備な人々を狙う機会にもなっている。このような状況に対処するため、Camlistはアプリ内での支払いを可能にしている。購入者がペットを受け取ったことを確認した時点で資金が支払われる仕組みだ。この機能により、業者を装った詐欺師を防ぐことができ、購入者が詐欺に遭うことがなくなる。

マフムード氏と彼の他の共同設立者は、購入者が購入する前に、興味のあるアイテムをビデオで体験できるマーケットプレイスを提供している。これは、購入者が詐欺の手口から守られ、高品質のサービスを保証することに加えてのことだ。

また、同社はプラットフォーム上の販売者が、ペットを健康的な環境で飼育・繁殖しているかどうか、ワクチン接種や駆虫、マイクロチップの装着などを行っているかどうかしっかりフォローアップしている。

「また、私たちはワクチン接種、マイクロチップ、駆虫、保険、ペットフードを無料で提供することで、購入者と販売者をサポートしています。買い手と売り手に最高の体験を提供することを心がけています」と同氏は述べている。

同スタートアップは、Y-Combinator、テクノロジー・スタートアップ・アクセラレーターであるAct One Ventures(アクトワン・ベンチャーズ)、アーリーステージのベンチャーファンド、そしてHouseparty(ハウスパーティー)、Mux(マックス)、Facebook(フェイスブック)などのエンジェル投資家から新たな資金を調達した。

「私たちは、未来のマーケットプレイスを構築するというビジョンを信じてくれる投資家を心待ちにしていました。そして、このビジョンを信じ、実際にビデオ業界で働き、アプリケーションを構築している人たちを得られたことは、本当に幸運でした」とマフムード氏は述べている。

英国での成功を収めた後、Camlistは米国市場への参入を計画している。これは彼らにとって巨大で重要な市場になると確信している。

「英国はかなり大きな市場なので、現在の私たちの状況は英国内での拡大です。ここで、私たちが行っていることの反響を確認することもできます。しかし、市場の過半数を占めるような一定の段階に達した時点で、米国への進出を開始する予定です」と、エジプトで生まれ、6歳のときに家族でドバイに移住してきたマフムード氏は語る。

画像クレジット:Camlist

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

音楽の使用権を取引できるマーケットプレイスAudiostockが6.7億円調達、登録クリエイター2万組・取り扱い音源数70万点超

音楽の使用ライセンスを売買できる、ロイヤリティフリーのストックミュージックサービス「Audiostock」(オーディオストック)を運営するオーディオストックは11月24日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による約6億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターの米Susquehanna International Group(SIG)、新規株主のセレス、ベクトル、既存株主の日本ベンチャーキャピタル、中国銀行グループ、HBCC Technology Investment。創業からの累計調達額は約11億円となった。

2007年10月設立のオーディオストックは、音楽クリエイターの音楽作品を預かり、Audiostockを通して販売・配信を行うプラットフォーム事業を展開。登録クリエイターは2万組、取り扱い音源数は70万点以上と世界最大の楽曲数を誇るという。

同サービスでは、音楽クリエイターは自身で制作した音楽を登録して使用権を販売でき、売上に応じた印税を受け取れる。顧客は、単品購入・サブスクリプション方式で購入手続きを行うだけで音楽の利用許諾を得ることができ、映像・ゲーム・アプリ・広告・SNS投稿動画などの商用コンテンツに音楽を組み込める。契約から印税分配まですべてオンライン上で完結させることで、適切な収益を得られる環境を構築し、音楽作品を生み出す方々を支援している。

2019年より開始した定額制プランの利用者数が伸長し、日本の音楽コンテンツの海外需要も高いことから、さらなる国内外でのシェアの拡大を目指し、システム開発費や広告宣伝費などを強化する目的で資金調達を実施したという。これまでに同社は、2018年3月にシリーズAラウンドにて2億6200万円、2020年6月にシリーズBラウンドで1億2000万円の資金調達を行っている。

調達した資金の使途としては「国内外の新規顧客獲得のための広告宣伝費用」「Audiostockシステム強化のための開発費用」「良質な音楽コンテンツ獲得・制作のための費用」を挙げている。

国内外の新規顧客獲得のための広告宣伝費用

同社は、国内向けの新たな定額制プランとして、法人・個人の区分けをなくし使用シーンや人数に合わせて選択できるプランを11月1日から開始。これにより用途ごとに使いやすいサービス環境を整えているが、クリエイターにとって良質な音楽コンテンツのプラットフォームであることを知ってもらうため、動画マーケティングなどを行い認知拡大を図る。

また海外では、ストックミュージックサービス市場の高まりを受けて、類似企業が数百億円などの巨額な資金調達を果たすなども動きもある中で、Audiostockは和楽器を使った楽曲やアニメゲームの映像に合うものなど、日本ならではのコンテンツ需要がアジア圏を中心に高いため、今後海外向け定額制プランも提供する予定。海外シェア拡大のためにマーケティングを強化する。

Audiostockシステム強化のための開発費用

Audiostockは、取り扱う音源数70万点以上となる一方で、ユーザーが求める音源にどのように出会えるかという点においてシステムに対する課題やユーザーの意見があるそうだ。より良い環境を作るためにAIなどのテクノロジーを活用するなど、ユーザーの利便性を高めるアップデートを目指し、システムの強化を予定している。さらに、海外向けの定額制プランのシステム開発を行う。

良質な音楽コンテンツ獲得・制作のための費用

同社は、プロの奏者によるスタジオで生演奏の収録をしており、高品質な生演奏BGMは人気コンテンツの1つとなっていることから、今後はレコーディングコンテンツの拡充を行う。また、著名人の音楽コンテンツの販売も視野に入れており、エンターテインメント性の高い著名人のコンテンツを積極的に配信する取り組みは業界的にも珍しいため、ユーザーに他にない良質なコンテンツを届けられるよう、準備する。

アマゾンのマーケットプレイスを使ったインドのマリファナ密輸事件で州警察が同社幹部を起訴

インドのマディヤ・プラデーシュ州の警察は現地時間11月20日、マリファナの密輸にeコマースマーケットプレイスが利用された疑いがある事件で、Amazon Indiaの上級幹部を起訴したと発表した。

警察は、何人の幹部を起訴したか明らかにしなかったが、捜査の中で事実関係が判明したため、同国の麻薬法に基づいてAmazon Indiaの幹部を被告人としたと述べた。

マディヤ・プラデーシュ州の警察は先週、20kgのマリファナを所持していた男2人を逮捕し、男たちはAmazon Indiaのウェブサイトを利用してマリファナを密輸していたと発表した。

Amazonは先週、当局の捜査に協力していると述べていた。しかし同州の内務大臣は今週、アマゾンは捜査に協力していないと話した。

Amazon Indiaの広報担当者はTechCrunchに対し「当社はコンプライアンスに関して高いハードルを設けており、契約上、当社の販売者はamazon.inで商品を販売する際、適用されるすべての法律を遵守することが求められます。当社は、インドでの販売が法律で禁止されている商品の掲載と販売を許可していません」と述べた。

「しかし、販売者がそのような商品を出品した場合、仲介者として当社は法律に基づき必要な措置を講じます。今回の問題は当社に通知され、現在調査中です。進行中の調査において、捜査当局および法執行機関への全面的な協力と支援を約束し、適用される法律を完全に遵守することを誓います」。

Amazonにとって、インドは重要な海外市場だ。同社はインドでの事業に65億ドル(約7410億円)超を投資してきた。同社は現在、インドで独占禁止法の調査を受けており、また、インド最大の小売チェーンであるFuture RetailとReliance Retailが関係する数十億ドル(数千億円)規模の取引でも争っている最中だ。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

料理系クリエイターがレシピ・コンテンツを収益化できるマーケットプレイス「Foody」

Foodyの共同設立者Dan Stitzel(ダニエル・スティッツェル)氏とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏(画像クレジット:Foody)

夫婦で共同創業したDaniel(ダニエル)とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏は、グルメな人々が自分の作った料理を収益化する方法を開発しており、そのマーケットプレイス「Foody」を正式に立ち上げるためにプレシード資金として150万ドル(約1億7000万円)のラウンドをクローズした。

このラウンドはSerena Venturesが主導し、Goodwater Capitalと、Patreon(パトレオン)のJack Conte(ジャック・コンテ)氏、Postmates(ポストメイツ)の元COOであるVivek Patel(ヴィヴェク・パテル)氏、Greenoaks CapitalのNeil Mehta(ニール・メータ)氏、KeepTruckinのShoaib Makani(ショエイブ・マカニ)氏などを含むエンジェル投資家グループが参加した。

ほとんどの米国人(98%)は、少なくても週に一度は家で料理をするが、レシピを見つけるためには長い時間インターネットで検索したり、広告や料理ブログの記事をかき分けてレシピを見つけなければならない。

そこでFoodyは、ユーザーがレシピを購入したり、自分のレシピをアップロードしたりして、それらを広告なしで1つの場所に保管できる場所を提供する。また、Jeremiah Tower(ジェレマイア・タワー)氏のようなミシュランの星付きシェフやフードブロガーと提携し、彼らはファンとの関係を築きながら、レシピやその他のコンテンツを収益化している。

Foodyアプリ(画像クレジット:Foody)

この会社のアイデアは、ブレナ・スティッツェル氏が金融業界でのキャリアを経て、2020年に料理学校に行くことを決めた頃に生まれた。世界的なパンデミックで学校が閉鎖され、店の棚にある利用可能な食料品が減っていったとき、スティッツェル氏は友人たちから、手元にある基本的な食材で何が作れるかという問い合わせを受けるようになった。

「多くの人がコンテンツを求めていたので、レシピを発信し始めたのですが、既存のツールには満足できませんでした」と彼女は語る。「レストランから作家まで、あらゆる種類のフードクリエイターがコンテンツを収益化して世に出すための優れたソフトウェアはありませんでしたし、家庭のシェフがレシピを一カ所に保存、共有、保管できる場所もありませんでした」。

そこでスティッツェル夫妻は、クリエイターがレシピを公開・共有し、QRコードやURLでファンにアピールできるツールの構築に着手した。料理好きな人は、無料で登録してサイトを利用でき、少額の料金でレシピ集を作ることができる。

Foodyは、タワー氏や、Mister Jiu’sのシェフBrandon Jew(ブランドン・ジュー)氏、Rich TableのEvanとSarah Rich(エバン&サラ・リッチ)氏、Harold Villarosa(ハロルド・ヴィラロサ)氏、Gaby Dalkin(ギャビー・ダルキン)氏、Amanda Frederickson(アマンダ・フレデリクソン)氏、Amanda Haas(アマンダ・ハース)氏、LauraとSayat Ozyilmaz(ローラ&サヤット・オジルマ)氏、A16レストラン、Tu David Phu(トゥ・デイビット・フー)氏など、12の厳選されたシェフやレストランを含む30人以上のクリエイターが参加してスタートする。

Serena Venturesについて「クリエイターに力を与え、家庭での料理の作り手の日々の生活を向上させるすばらしいソフトウェアを構築するというビジョンを共有できる」パートナーを見つけた、とスティッツェル夫妻は述べている。

Serena Venturesの創設者で経営パートナーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏は、声明文の中でこう述べた。「仕事でも家族といるときも、食べ物と料理は、私の生活の大きな部分を占めています。Foodyで新しいレシピを試すことをとても楽しみにしています。そして、あらゆる文化やバックグランドを持つ料理クリエイターが、その創造性を収入につなげる機会を持つべきだと信じています」。

今回の資金調達は、新製品や機能を構築していく中で、エンジニアリングおよび開発部門の10人のチームを強化するために使用する予定だとダニエル・スティッツェル氏は語った。

「私たちは、毎週の食事のプランニングや、食料品の配達サービスと統合するなど、すばらしいキッチンソフトウェアを実現するための大きなビジョンを持っています」と彼は付け加えた。

画像クレジット:Christine Hall

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

Promoted.aiは膨大な商品があふれるマーケットプレイスで買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発

現在、マーケットプレイスには多くの商品が溢れている。それらは買い手に見付けてもらうのをただ待つしかないため、売り手になるのは大変だ。Promoted.ai(プロモーテッド)は、そんなマーケットプレイスの検索で、買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発し、人々があなたの商品を見つけるための手助けをしようとしている。同社はその仕事を継続するために200万ドル(約2億3000万円)の資金を調達した。

Promotedは、Pinterest(ピンタレスト)のエンジニア兼エンジニアマネージャーだったAndrew Yates(アンドリュー・イェーツ)氏とDan Hill(ダン・ヒル)氏の2人が起ち上げた会社で、買い手がもっと簡単に欲しいものを見付けられるようにして、それがリピート購入につながるようにしたいと考えた。そして売り手には、自分の商品が検索でどのように表示されるかをすぐに確認でき、販売を改善するためのツールを提供したいと考えた。

「私たちは、検索されたすべての商品について、誰かが興味を持って最終的に購入することになるのは何であるかを予測します」と、イェーツ氏はTechCrunchの取材に語った。「これは、完全なパッケージです。私たちが業界や顧客から発見したことは、適切な場所に適切なタイミングでデータを置くことができるように、データインフラが必要だということです」。

Promotedの技術は単なるアイテムではなく、全体像の最適化であると、イェーツ氏は説明する。つまり、大規模な販売者と小規模な販売者の間で注目度を共有するにはどうすればよいかを公平に考え出し、その上でユーザーがその検索に満足しているかどうかを考慮するのだ。

イェーツ氏とヒル氏は、2020年にベイエリアを拠点にPromoted.aiを立ち上げ、最近のY Combinator(Yコンビネータ)の冬期コホートに参加した。今回の資本投入では、同アクセラレーターに加え、主要な投資家としてはInterlace Ventures(インターレース・ベンチャーズ)とRebel Fund(レベル・ファンド)が資金を提供している。

InterlaceのマネージングパートナーであるVincent Diallo(ヴィンセント・ディアロ)氏は、この会社に惹かれた理由として「この分野ですばらしい経験を積んでいる」と感じられたチームの存在が大きいと述べている。

Interlaceは主にコマーステクノロジーに投資しているベンチャーキャピタルであり、ディアロ氏はPromotedが取り組んでいる2つのトレンドに注目した。1つ目は、小売業者がマーケットプレイスを開設することで、電子商取引や配送の幅を広げようとする動き。2つ目は、ある種の顧客行動やコミュニティの構築を通じて、市場のサブセットを獲得しようとする縦割り型のマーケットプレイスが増えていることだ。

「Amazon(アマゾン)の業績の大部分は広告マネージャと広告収入によるものです。そこで私たちは、このようなツールを構築することにチャンスがあると確信しました」と、ディアロ氏は付け加えた。

Promotedは企業向け案件をターゲットにしており、新たに調達した資金は人材雇用に充てる予定だ。しかし、同社の資金調達ラウンドは少し変わっていた。

同社のチームの大部分は、Facebook(フェイスブック)、Pinterest、Google(グーグル)の元エンジニアで構成されている。優れた人材をめぐり激しい競争が繰り広げられている環境の中で、同社の創業者たちは、従来のシード資金調達という方法を採るのではなく、創業時のエンジニアチームに株式を提供し、残りの資金を5万ドル(約570万円)以下ずつ個人エンジェル投資家から調達することにしたのだ。

「そのためには、いくつかのすばらしい資金に背を向けなければなりませんでしたが、その代わりに、優秀な人々、専門家、支持者のすばらしいネットワークを手に入れることができました」と、イェーツ氏はいう。「私たちは、優れた才能を確保するためには、エンジニアに直接株式を提供する方が良いと考えました。なぜなら、株式は非常に注目されており、経験豊富な機械学習や広告のエンジニアの現金給与は非常に高いからです。最終的には、チームを拡大するための追加資金を調達する予定です」。

Promotedはまだ若い会社だが、すでにHipcamp(ヒップキャンプ)やSnackpass(スナックパス)などのマーケットプレイス・アプリと連携しており、顧客はコンバージョン率の向上を実感している。例えばHipcampでは、Promotedによって総予約率が7%以上増加したと、イェーツ氏は述べている。

同社は今後、製品のローンチマネージャー方面に注力し、リスティング広告における広告マネージャーのようなツールを開発していく予定だ。

画像クレジット:Richard Drury / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)