セルフ型トラックレンタルマーケットプレイスFetchが事業拡大で約4億円調達

昔、筆者はトラックを所有していた。そのトラックが大好きだった。しかし、実際にトラックとして使うことはさほどなく、結局、そのトラックを売って、もっと日常的なニーズに合ったものを購入した。より「実用的」なものだ。今でもあのトラックが恋しい。

現在、年に数回、トラックをトラックとして使う必要があり、その場合、友達を説得して34回目の借用をさせてもらうか、大型ハードウェア店でレンタルを試みるしかない。店に着くまでに使えるトラックがあることを願い、列に並び、書類に記入し、保険証を忘れたために車まで走っていき、また列に並び直す。

数年前にTechCrunchが初めて紹介したFetch(フェッチ)は、このプロセスを少し簡単にする。近くにあるトラック(またはバン!)を探し、アプリで予約し、歩いて行って携帯電話からロックを解除すれば、すぐに出発することができる。今週、Fetchはチームと事業を拡大するために350万ドル(約4億円)を調達したことを発表した。Fetchを実現するために、とも言える(編集部注:Fetchは行って取ってくる、の意)。

Fetchは今のところ、いくつかの都市で事業を展開しているが、そのリストは急速に増え始めている。最初に地元アトランタで開始し、最近ではボルチモア、フィラデルフィア、ダラス、ワシントンDCに事業を拡大している。Fetchの共同創業者Adam Steinberg(アダム・スタインバーグ)氏によると、2022年末までに「さらに12都市」に進出する予定だという。

同社のビジネスモデルも、前回取り上げたときからかなり拡大している。以前は、Fetchで利用できるトラックはすべてFetchが所有していたが、最近は、空きトラックを持つ人なら誰でも貸し出せるマーケットプレイスとなっている(車両を抱える企業でも、空き車両を持つ個人でも、週7日レンタルに貸し出せれば利用できる)。

登録を済ませると、トラックの所有者は、承認された借り手が車両のロックを解除し、トラックを使えるようにするためにFetchのハードウェアを取り付ける。借り手は自分で保険に加入する必要があるが、Fetchはその保険契約を補うための二次保険も提供している。

レンタル料金は、サイズや運転距離など求めるものによって若干異なり、時間や日単位、あるいは必要な期間に応じて借りることもできる。例えば、アトランタで全長6フィート(182センチ)のピックアップトラックは、現在サイトでは1時間19ドル(約2200円)で、あるいは走行距離50マイル(80キロメートル)までなら1日70ドル(約8000円)で提供されている。

他にオンデマンドレンタカーサービスがある中で、なぜこのようなサービスを立ち上げたのだろう。理由はターゲット層だ。重量1000ポンド(約453キロ)の木材を動かしたり、古い机をオフィスから運び出したりしたいときに、休暇用のレンタカーアプリに飛びつくのは、ちょっと変な感じがする。「私たちの理想の顧客は、中小企業の経営者です」とスタインバーグ氏はいう。「ケータリング業者やイベントプランナーなど、定期的にトラックを必要とする中小企業です」。

スタインバーグ氏によると、同社は「レンタル1台あたりの収益性も達成」している。そして、現在「数百台のトラックをマーケットプレイスで稼働させていて」、その約半数がアトランタ地域にあるとのことだ。また、Home Depot(ホームデポ)とも提携し、一部の地域で同社のレンタル業務を受託している。

次の動きは?チームの拡大だ。同社の従業員は現在12人で、今後3カ月ほどで倍増させる計画だ。

今回の資金調達ラウンドはNextView Venturesがリードし、Knoll Ventures、Zeno Ventures、Nassau Street Ventures、その他多くのエンジェル投資家が参加した。

画像クレジット:Fetch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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