保育園・幼稚園の成長と経営を支援するマーケットプレイスをWinnieが提供

Winnie(ウィニー)を2016年にSara Mauskopf(サラ・マウスコフ)氏とAnne Halsall(アン・ハウサール)氏が創業した当初は、親向けに開発した育児ソリューションに取り組んでいた。

「育児分野における他のSaaSソリューションは、まずサービス提供者を念頭においていますが、非常に分散した市場のため、推進力を得るのが本当に困難でした」とマウスコフ氏は話す。「私たち自身が親として本当に必要性を感じていたため、マーケットプレイスこそが、自分たちが最もよく理解しており、本当に勝てる場所だと判断しました」。

数年の間に全国の親からの要望を集めた。その後、このスタートアップは、信頼と、家庭のニーズに対する理解を活用して、サービスの提供側をもっと改善したいと考えた。そこで同社は、保育園の規模拡大を支援する製品「Winnie Pro(ウィニー・プロ)」を発表した。同社のサービスは、単に定員の空きを埋めるだけでなく、保育園・幼稚園の成長と経営を支援することを目指す。

まず、これは、小規模な事業者がプロフィールやランディングページを立ち上げ、情報を一カ所に集約するのを支援するというシンプルなものだ。Winnieによると、同社のプラットフォーム上にある25万所の保育園・幼稚園の半数以上は、自らのウェブサイトを持っておらず、親が保育園・幼稚園を探すとき、Winnieのプロフィールが唯一の手段となっている。同社はまた、すでに自らのウェブサイトを持つ顧客に対しても、親たちがすでに認知しつつあるランディングページを提供することにより支援できると考えている。ランディングページは、レビュー、プログラムの詳細、教育のタイプ、ライセンス情報、認証などの機能を備える。

Winnie Proは、マーケティング、登録、スタッフ配置の支援も行う。「ビジネスにとって常に役立つサービスを組み込むことで、サービス提供者が募集を必要とするときだけでなく、常に価値を提供できるようになります」とマウスコフ氏は付け加えた。

新計画は、Unusual Ventures、Homebrew、Day One Ventures、Reach Capitalから投資を受けた同社が、ビジネスモデルを拡大したことも意味している。同社は現在、SaaSのようなモデルを追求している。そのモデルでは、同社の新しいサービスに対し、保育園・幼稚園の規模に応じた月額料金を請求する。

Winnieは以前、保育園や幼稚園に何人の親を紹介したか、つまり「pay-per-lead(ペイ・パー・リード)」のモデルで収益を上げていた。この戦略は、パンデミック時に力を発揮した。Winnieへのアクセスが急増し、売上は8倍になった、とマウスコフ氏はいう。

「サブスクリプション収益とは異なり、ペイ・パー・リードは紹介する親の数に応じて毎月変化します」とマウスコフ氏は話す。「最近の傾向として、多くのサービス提供者が人材不足のため、『今はこれ以上紹介を受けられない」というような制約があります」。

同社は現在、SaaSのような月額で料金を請求するモデルを追求している。料金は保育園や幼稚園の規模に応じて変わる。そして、マーケティング、登録、さらには人材採用を支援する。ベータ版の顧客向けには、Guidepost MontessoriIzziが含まれている。

画像クレジット:Winnie

「サービス提供者がより効率的にビジネスを行うためのバックエンドツールを開発することだけが目的ではありません」とマウスコフ氏は語る。「特に、9〜5時の保育だけでなく、この変化する世界において、親が保育を見つける方法をより良く、より効率的にすることが目的です」。

このビジネスモデルの転換は、同社にとって自然な進化といえる。同社は現在、親から寄せられる要望に基づいて、保育園や幼稚園にコンサルタント的なアドバイスを提供することもできる。例えば、同社がある保育園に対して、その地域の親たちがドロップインケア(スポットで子どもを預かるサービス)を渇望していることを伝える。そして、保育園や幼稚園が需要に応じて採用を行い、最終的に収益を上げるようアドバイスするのだ。

マウスコフ氏にとってこの新製品は、すでに検証済みだ。人とケアをつなぐシンプルなマーケットプレイスだけでは不十分だという事実があるからだ。

「パンデミック以前は、『すべての雇用主が保育施設を併設していたらどうだろう』と、雇用主が提供するヘルスケアと同じようにできないかを常に考えていた部分がありました」とマウスコフ氏は話す。「今、私たちは、その答えは『イエス』だと、これまで以上に確信しています。というのも、人々は毎日オフィスに通うわけではありませんし、ケアの種類も一律ではありません。そして、雇用主は、ほとんどの場合、家族の課題を解決するために、真の意味で貢献していないからです」。

画像クレジット:Sue Barr / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

フードテックのAmaraが約13億円を調達、栄養価の高い乳児食事業を拡大

市販のベビーフードの一部に「危険なレベル」の有害金属が含まれていることが、2021年2月に米下院の監視改革委員会の報告書で判明し、親たちは衝撃を受けた。

これを受けて、その影響や、原材料のチェックといった親ができることなどの情報がにわかにメディアに溢れることになった。そうした栄養に対する意識の高まりは、乳幼児により栄養価の高い選択肢を提供することに注力している食品企業にも恩恵をもたらした。

Amara(アマラ)はこの分野で資金調達を行った最新のスタートアップで、米国時間11月19日、シリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達したと発表した。7歳以下の子ども向けの栄養価の高い食品の製品ラインを拡大するためだ。今回の資金調達の1年半前に同社はシードラウンドで200万ドル(約2億2800万円)を調達し、この間、取扱店舗を100店から1000店に増やしてきた。

Amaraの創業者でCEOのジェシカ・シュトゥルツェンエガー氏(画像クレジット:Amara)

今回の資金調達ラウンドは、大きな提携を結んでいる植物由来の食品会社Eat Well Groupがリードした。経営陣は現在のままで、Amaraの企業価値を1億ドル(約114億円)と評価している、と創業者でCEOのJessica Sturzenegger(ジェシカ・シュトゥルツェンエガー)氏はTechCrunchに語った。シードラウンドからの既存投資家も参加し、ここにはPharmapacksが含まれる。

シュトゥルツェンエガー氏と同氏のチームは、技術開発に3年を費やした後、2017年にWhole Foodsで初の製品を発売した。Amaraは、保存可能な新鮮なベビーフード食のパウチに味、食感、栄養素を閉じ込める独自の技術を開発した。10のSKUと、母乳や粉ミルク、水を混ぜるためのベビーフード生産ラインを展開している。

現在、食料品店の棚に並んでいるパッケージ食品の大半が果物ベースで砂糖を多く含んでいる。1食あたり3〜7ドル(約340〜800円)の価格帯で販売されていて、冷蔵あるいは冷凍で保存しなければならない、とシュトゥルツェンエガー氏は指摘する。これに対し、Amaraの食事は1食あたり1.8ドル(約200円)〜と低価格で、幅広い家庭の予算に合わせた商品を提供するという同社の使命を果たしている。

2021年、Amaraは商品を拡大し「ヨーグルトスムージーメルト」を発売した。「砂糖を一切加えていない、乳幼児向けの唯一の口溶けの良いスナック」とシュトゥルツェンエガー氏はうたう。

「研究によると、0歳から7歳までに食べたものが、その後の人生での考え方や感じ方、パフォーマンスに影響を与えると言われています」とシュトゥルツェンエガー氏は話す。「『You are what you eat(人は食によって決まる)』は決まり文句かもしれませんが、研究によるとそれは真実でもあり、親たちは注目しています」。

シリーズAの資金を獲得する前、Amaraはすでに注文で利益を上げていた。実際、口コミで前年比3倍のオーガニック成長を遂げていたが、2月にベビーフードに関するレポートが発表された後、親とベンチャーキャピタル企業の両方からますます注目を集めるようになった、とシュトゥルツェンエガー氏は語る。

Eat Well Groupの社長であるMarc Aneed(マーク・アニード)氏は声明文の中で「Amaraは、小売店での販売と卓越したeコマースを通じて事業拡大するすばらしい能力を証明してきました。Eat Well Groupが提供する資金と業界専門知識は、2022年に向けてAmaraの成長を加速させるでしょう」と述べた。

今回の資金調達によりAmaraは雇用、商品開発、ブランド認知度向上に資金を投じながら、需要に応えるために急成長することができる。同社は自社ウェブサイト、Amazon、主にカリフォルニア州の食料品店で販売しているが、全米のSproutsでも販売している。今後1年でAmaraの製品をより多くの食料品店に置くことをシュトゥルツェンエガー氏は計画している。

一方、栄養へのシフトは、多くのスタートアップにとってベビー・子ども用食品市場をディスラプトするチャンスにつながっている。そのため、2019年に673億ドル(約7兆6740億円)だった世界のベビーフード市場は、2027年には963億ドル(約10兆9800億円)に成長すると予想されていて、現在の米国市場での売上は63億ドル(約7180億円)だ。

これに目をつけたベンチャーキャピタルは、乳幼児や子どもに特化した食品企業に新たな資本を投入している。例えば、Little Spoonは7月にシリーズBで4400万ドル(約50億円)を調達し、低糖のベビーフードを提供するSerenity Kidsは6月にシリーズAで700万ドル(約8億円)を調達した。

シュトゥルツェンエガー氏は「さまざまな親や価格帯をターゲットにしている企業にとって、市場開拓余地があります」と語る。「我々が目指すのは、すべての人に良い食べ物を提供することです。将来の世代の食生活を変えようとするなら、アクセス可能でなければならないのです」。

画像クレジット:Amara

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヒトタンパク質を使い母乳に最も近い乳児用ミルクを開発するHelainaが約22億円を調達

世界初となる乳児用ミルクを製造しているHelaina(ヘライナ)は、最初の製品の製造と商業化プロセスを開始して次の成長段階へ進むため、シリーズAで2000万ドル(約22億円)を調達したと発表した。

ニューヨーク大学で食品科学を教えている食品科学者のLaura Katz(ローラ・カッツ)氏は2019年に同社を設立した。「機能性ヒトタンパク質を食品用に製造する初の企業」とうたっている。

これを実現すべくHelainaは、母乳に含まれるものとほぼ同じタンパク質を開発するために酵母細胞をプログラムして製造のハブとなるように教える精密な発酵プロセスを活用している。

「私たちがHelainaを始めたとき、多くの産業に多くのテクノロジーが導入されていましたが、赤ちゃんへの栄養補給はあまり進展していませんでした」とカッツ氏はTechCrunchに語った。「どの人々の栄養と健康を向上させるかを考えたとき、乳幼児と親が真っ先に思い浮かびました」。

2026年には1030億ドル(約11兆7300億円)の市場になると言われている乳児用粉ミルク市場が成長する一方で、幼少期の子どもたちにどのような食事を与えるべきかについては、恥ずべき部分や偏見が残っている。Helainaは、誰もが手に入れやすい価格の食品を親に提供するだけでなく、親が自分の選択を検討するのをサポートすることを目指している。

Helainaは、最初にタンパク質を作り、現在は母乳のすべての成分を1つずつ作りたいと考えている。Helainaの製品はカロリーを供給するだけでなく、真菌、細菌、ウイルスなどの病気に対する免疫力を高めるのにも役立つ。

今回の資金調達はSpark CapitalとSiam Capitalが共同でリードし、Plum Alleyと Primary Venture Partnersも参加した。今回のラウンドにより、Helainaの資金調達総額は2460万ドル(約28億円)となり、その中には2019年と2020年に行われたプレシードとシードの合計460万ドル(約5億円)が含まれているとカッツ氏は話した。

シリーズAは計画的なラウンドだったが、カッツ氏が予想外だったと指摘したのは、投資家からの同社に対する「圧倒的な関心」だった。

「資金調達をしてわかったことは、私たちがやっていることに個人的なつながりがあるということです」とカッツ氏は付け加えた。「フードテックの分野では多くのことが起こっていますが、この技術を人々の心に近い製品に使うことができるのを目にするのはすごいことです。多くの人が私たちの取り組みに興味を持ってくれています」。

今回のシリーズAでは、商品化に向けて製造パートナーとの連携を強化する。その目的は、製造能力を高め、経営陣を充実させ、市場投入計画を最終決定することにある。

同社は、米国食品医薬品局から製品の承認を得ることを目指している。その後、臨床的に証明された多数の消費者向け製品に同社のタンパク質を使用する計画で、 これは本質的に栄養の定義を免疫にまで広げ、消費者部門に新たなカテゴリーを創出するものだ。

より栄養価が高く、母乳に最も近いミルクを作ろうとしているのは、Helainaだけではない。2021年初めには、ヨーロッパのブランドをモデルにしたミルク開発のためにBobbieがシリーズAで1500万ドル(約17億円)を調達した。ByHeartもミルクを開発中で、Biomilqは「世界で初めて母乳以外の細胞培養された母乳」を製造したとしている。

カッツ氏は、自社が行っているタンパク質の製造方法や、健康面でより優れた製品を作ることに注力している点が、競合他社との違いだと話す。

「Helainaは、ヒトのタンパク質を食品に導入した最初の会社です 」とカッツ氏は付け加えた。「これまで誰もやったことがありません。育ち盛りの子どもに食べさせるための技術を親に展開することで、消費者向けの免疫学のようなこの新しいカテゴリーを創出しているのです」。

一方、同社はSita Chantramonklasri(シタ・チャントラモンクラスリ)氏が新たに設立したファンドSiam Capitalの最初の投資先の1つだ。チャントラモンクラスリ氏によると、同ファンドは持続可能性と消費者のニーズが交差するビジネスに投資しているという。

チャントラモンクラスリ氏はフードテック分野に多くの時間を費やしており、カッツ氏とつながるずいぶん前にSpark Capitalのシードラウンドを担当したKevin Thau(ケビン・タウ)氏からHelainaのことを聞いた。

当時、チャントラモンクラスリ氏は母乳の分野を深く掘り下げ、Helainaの競合他社の斬新な技術に注目していた。同氏はカッツ氏と多くの時間を過ごし、カッツ氏の背景やHelainaがこの分野で何をしているのかを理解した。実験室で過ごし、同社の酵母工学の取り組みを見て、Helainaは科学的に優れた製品を提供していると感じた、とチャントラモンクラスリ氏は話した。

「ローラはすばらしい創業者で、年齢以上に賢く(29歳!)、Helainaのミッションを見届けたいと思っています」と付け加えた。「市場の競争はますます激しくなり、顧客のロイヤリティと同様にタイミングが勝負です。Helainaは、母親や家族の擁護者となるべき立場にあります。技術的な観点からは、何が起こるかを判断するのは時期尚早です。Biomilqのような他の細胞培養技術にも革新が見られますが、Helainaは進歩の面でこの分野のリーダーとなるでしょう」と述べた。

画像クレジット:Helaina / Helaina founder Laura Katz

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

家族と幼児教育者をつなぎ、子育ての多様な支援も行うラーニングポッドサービス「Guardians Collective」

子育てを楽にする技術的なソリューションの必要性に異議を唱える人はほとんどいないだろうが、その需要に実践が追いついていないのは明らかだ。子育ては大変で、子どもがボタンを誤って食べてしまったときや、リモートでの授業の間うつ病の初期症状が出たときなど、さまざまな瞬間にサポートが必要だ。親が直面する問題の多様性は、顧客サービスにとって悪夢のようなものなのだが、それこそが創業者のSaurabh Kamalapurkar(サウラブ・カマラプルカール)氏がGuardians Collective(ガーディアンズ・コレクティブ)を構築することに強い思いを抱く理由だ。

Guardians Collectiveでは、少人数の家族を集め、その家族と早期学習・開発プログラムでの勤務経験があるか、州の認可を受けてデイケアを運営している専門家である幼児教育者とを引き合わせる。この会社の使命、そしてより大きな目標は、正式なデイケアに頼らざるを得なかった家族にとって、幼児教育者をより身近な存在にすることだ。同社は早朝や深夜も含めたピア・ツー・ピアの学習を、サポート付きで提供している。

米国時間11月5日、Guardians Collectiveは、Impact America Fund(インパクト・アメリカ・ファンド)とGary Philanthropies(ゲイリー・フランソロピー)が参加し、Reach Capital(リーチ・キャピタル)がリードした、350万ドル(約3億9700万円)のシード投資ラウンドを発表した。

私の見解では、Guardians Collectiveは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行初期段階から話題となった「ラーニングポッド」というトレンドに新しい風を吹き込んでいる。マイクロスクール、パンデミック・ポッド、スモールグループ・ラーニングと同義のこの言葉は、学校での学習を代替または補完する目的で、個人指導員とペアを組む同年齢の子どもたちの小さな集団を指す。この傾向は、低所得層の生徒にとっては脅威であり、結果的に学習教材へのアクセスにさらに大きな格差が生じることになると批判されている。

Reach Capital(リーチ・キャピタル)で投資を担当したChian Gong(チアン・ゴン)氏は、Guardians Collectiveは単なる学習ポッドではなく、他の保護者とのWhatsApp(ワッツアップ)グループでもないと考えている。

「WhatsAppはすでに知っている人同士をつなげるものですが、Guardians Collectiveでは3〜5家族と幼児教育者が安全な空間に集まり、他では聞けないような質問をすることができます」とゴン氏は言った。「何千人もの子どもたちと接し、同じ年齢の子どもを持つ他の家族との対話を導くことができる教育者の知恵や洞察力、共感を得ることができるのです」。

画像クレジット:Guardians Collective

ゴン氏は、このプラットフォームの魅力は、専門知識、コンテンツ、コミュニティが一体となっていることだと考えている。ベンチャー企業が出資する幼児分野のスタートアップであるWinnie(ウィニー)は、親が近くのデイケアや幼稚園を探すのに利用できるチャイルドケアのマーケットプレイスだ。KaiPod Learning(カイポッド・ラーニング)は、ホームスクールをしている子どもたちに、地元の、補完的で、社会的な学習拠点を提供するために、数百万ドル(数億円)の資金を調達した

これらのスタートアップ企業は、それぞれ実行方法や戦略が異なるが、子どもたちの能力を高めるためのリソースへのアクセスを提供するという点では同じビジョンを持っているようだ。

Guardians Collectiveの戦略には、より多くの幼児教育者にプラットフォームに参加してもらうことも含まれている。ほとんどの州では、デイケアセンターを運営するためにはライセンスを取得する必要があり、その価格や偏見が、実際にそのプロセスを踏める人に影響を与えることを考えると、これは政治的な問題だ。このスタートアップは、免許を持っていないが何世代にもわたって子どもたちをサポートしてきた人たちと、品質保証のバランスをどうとるかを考えているところだ。

「多くのシステムでは、これらの人々を教育者とは呼びません」とカマラプルカール氏はいう。「しかし、彼らはただのおむつを交換する人なのではなく、教師でもあるのです」。教師の組織は、非同期型の仕事に参加するという考えに同意しており、Guardians Collectiveでは、40人の教育者を募集したところ、数日で470人の応募があった。

これまでにデトロイト、ニューオーリンズ、アラスカ、ナバホ・ネイション、オクラホマ、カリフォルニアのセントラルバレーなどで暮らす家族がGuardians Collectiveのアプリを利用している。カマラプルカール氏は、顧客の半数以上が低所得者であると述べている。このスタートアップでは、利用したい家族に手頃な価格を提供するために、スライディングスケールを用いたサブスクリプションモデルを採用している。

ベンチャー企業の資金を得たGuardians Collectiveは、ユーザーの維持と新たな成長への期待のバランスを取る必要がある。ベイエリアでは700以上の家族が同社のプラットフォームを利用しているが、2020年初頭からの全国的な成長率は16倍に達している。また、ユーザーの維持率は94%で、平日は94%のユーザーが毎日アプリを利用しているとしている。

カマラプルカール氏が注目している大きな指標は、家族が何について話しているのか、どこで会話が行われているのか、メッセージの何パーセントが有益な方法で回答されているのか、という捉えどころのないものだ。

「規模の拡大とは、利用者の数だけでなく、利用者にとって私たちのサービスが何を意味するのかということです」と彼は語った。

画像クレジット:Lisitsa / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Yuta Kaminishi)

離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」が離乳食時期メニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」を追加

カラダノートは10月11日、離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」において、離乳食時期に合わせたメニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」機能を公開した。iOS版での先行公開としており、2021年内にAndroid版でもリリース予定。

ステップ離乳食は、月齢によって食べていい食材や食べられる状態を確認できるアプリ。乳児を育てるために離乳食を進める保護者をサポートするという。

離乳食スケジュールとは、離乳食が始まる生後5~8カ月頃に何からあげ始めたらいいのかわからない方向けに役立つ情報をまとめたもの。

アプリ内では、離乳食時期をゴックン期 前期/後期・モグモグ期の3つにわけており、各時期ごとに28日分の離乳食スケジュールを掲載。それを参考に、見てマネる形で離乳食を進めることで、迷う時期を短縮できるとしている。

カラダノートは、家族向け、事業会社向け、その両者の大きく3つの領域で事業を展開。家族向けの事業としては、記録や共有を中心とした子育て・ヘルスケアアプリを提供しており、ユーザーの生活環境の効率化を支援している。マッチング領域では、データベースを用いて集めたユーザーに対し、適切なタイミングでレコメンド・サービス提案を行い、企業やサービスとのマッチング支援を行ってる。事業会社向け領域では、家族生活周辺産業においてサービスを展開する事業会社に向け、DX支援を提供。

退院後、母乳育児の悩みをバーチャルカウンセリングで継続的にサポートするSimpliFed

赤ちゃんへの授乳にはさまざまな形があるが、人生の新たなマイルストーンとなるこの時期は、親がなかなかサポートを受けられないと感じる領域でもある。

SimpliFedは、ニューヨーク州イサカを拠点に、バーチャルで授乳および赤ちゃんの摂食支援プラットフォームを提供する企業だ。同社はThird Culture Capitalが主導したプレシードラウンドで、50万ドル(約5500万円)の資金を調達したと発表した。

SimpliFedの創業者兼CEOのAndrea Ippolito(アンドレア・イポリート)氏(画像クレジット:SimpliFed)

バイオメディカルエンジニアで、2人の子供の母親でもあるAndrea Ippolito(アンドレア・イポリート)CEOがSimpliFedのアイデアを思いついたのは3年前のこと。第一子を出産した後、授乳に苦労した彼女は、そうした経験をしているのは自分だけではないことに気づき、誰もが乳幼児の授乳に関する情報やサポートにアクセスできるような方法はないかと考え始めた。

イポリート氏はTechCrunchに次のように語った。「退院後は、私たちにとって肝心なときです。これはメディケイドにおける大きな問題であり、単にアクセスを増やすだけではなく、授乳のための継続的なサポートを提供し、(そのプロセスに支払いを提供するために)健康保険という難問を解決することが重要です。当社は、母親がどのように授乳するかにかかわらず、乳児の食事摂取ゴールを達成し、各々の母親にとって授乳がどのようなものであるかを理解する手助けをしたいと考えています」。

米国小児科学会は、母親が最長6カ月間授乳することを推奨している。しかし、米国疾病対策予防センター(CDC)によると、60%の母親が、母乳量や赤ちゃんがうまく吸わないトラブル、病気、サポートのない職場環境などの理由で、意図した通りの期間授乳していないと推定されている。

SimpliFedのプラットフォームは、赤ちゃんの栄養状態に関するエビデンスに基づいた情報を提供する、誰もジャッジされることのないゾーンだ。このプラットフォームは、出産前後に母親と赤ちゃんが受ける典型的なケアに取って代わるものではなく、問題が発生したときにサポートを提供するものだと、イポリート氏は述べている。ラクテーションエキスパートによる初回15分のバーチャルコンサルテーションは無料で、その後の60分のセッションは1回100ドル(約1万1000円)で予約できる。また、継続してケアを受けたいクライアントのために、将来的なメンバーシップオプションも予定されている。

今回の資金は「テレラクトレーション」プラットフォームをさらに発展させ、会社の拠点拡大に向け、従業員を追加雇用するために使用されるとイポリート氏は述べている。このプラットフォームは、1000人の母親と共同でプログラムを設計するための臨床研究に向けて準備を進めている。また長期的な目標として、医療保険のネットワークに入り、保険プランから支払いを受けることを目指し、支払者やプロバイダーとの関係を構築していきたいと考えている。

Third Culture CapitalのマネージングパートナーであるJulien Pham(ジュリアン・ファム)氏は、10年前に「MIT Hacking Medicine(MIT ハッキングメディスン)」ハッカソンでイポリート氏と出会ったという。医師でもある彼は、赤ちゃんに最適な栄養を提供することがいかに大きなチャンスであるかを身をもって体験した。

「米国の文化は年々進化しており、ミレニアル世代の母親たちは、これまでとは求めるものが違います。その点、SimpliFedは適切なタイミングで登場したといえるでしょう。アンドレア(・イポリート)は、まさにダイナモです。私たちは彼女のエネルギーと、母親として彼女自身がその最前線にいるところが気に入っています。この問題に取り組むには彼女が最も適任であることから、当社は彼女を支援します」。

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画像クレジット:Vladmir Godnik / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

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保育施設で紙おむつが使い放題になるサブスク「手ぶら登園」を手がけるBABY JOBは7月30日、約5億円の資金調達を発表した。引受先は、DIMENSION、ハックベンチャーズ、栖峰投資ワークス、SMBCベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタル、ダイレクトマーケティングミックス、iSGSインベストメントワークス、みずほキャピタル。調達した資金は、手ぶら登園や新規事業に関わるシステム開発、さらなる顧客施設拡大に向けた営業・マーケティング活動、優秀な人材の採用活動などに投資する予定。事業基盤・経営基盤を強化することで、中長期的な成長を加速させ、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現を目指す。

手ぶら登園は、保護者側の「紙おむつに手書きで名前を書いて持参する」という手間、また保育士側でのおむつの個別管理の手間がなくなるという、保護者・保育士双方の課題を解決するサービス。2019年7月に本格的に開始し、2021年7月時点で1000施設以上の保育施設で導入されているそうだ。

2018年10月設立のBABY JOBは、すべての人が子育てを楽しいと思える社会を実現するために、手ぶら登園などを中心に、子育てに関する社会課題の解決に取り組んでいるという。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:育児(用語)サブスクリプション(用語)BABY JOB(企業)保育(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

サステナビリティに配慮しながら赤ちゃんにも優しいKudosのコットン製使い捨ておむつ

子育て経験のある人なら、使い捨ておむつの驚くほど狭い世界をよくご存知だろう。救いの手がやってくるかもしれない。

Kudos(クドース)は、使い捨ておむつをサステナビリティに配慮して再発明しようとするスタートアップだ。米国時間6月1日、240万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを完了した。出資者はFoundation Capital、XFund、PJC,Precursor Ventures、Liquid 2 Ventures、SV Angel、Underscore VC、Alpha Bridge Ventures、April Underwoodなどとなる。

共同ファウンダーでCEOのAmrita Saigal(アムリタ・サイガル)氏はKudosについて、Cotton Inc.の Cotton Naturalマークを取得した最初で唯一の赤ちゃん用使い捨ておむつだと説明した。赤ん坊の肌に触れるのがプラスチックではなく綿100%だからだ。また、現状の大手ブランド使い捨ておむつと比べて、植物由来材料を4倍多く使っている。

使い捨ておむつは多くの層で構成されている。Huggies(ハギーズ)、Pampers(パンパース)などの標準的紙おむつには、石油化学製品、ポリエステルなどの繊維をはじめ多くのプラスチックが使われている。事実、ある柔らかく感じている使い捨ておむつのトップシート(赤ちゃんの肌にふれる部分)も、ほとんどがプラスチックで作られている。

Kudosはその代わりにオーガニックコットンを使う。グリーンな材料を使うことに注力して、おむつの吸収部分には森林協議協会を通じて収穫された完全脱塩素の綿毛パルプを使っている。

それだけではない。性能はおむつの材料と同じく重要だとセイガル氏は説明し、多くの親たちは環境に優しい製品を使うことは性能を犠牲にすることだと思っている、と語った。親たちは自分の赤ん坊のための製品に関して、自分自身のためよりもずっと高い基準を持っている、と彼女は説明した。

「女性用ケア商品のことを考える時、私は環境に優しい製品を選ぶことがありますが、少々性能が落ちるのが苦痛であっても自分のことなので我慢できます」とセイガル氏はいう。「しかし親として、もし子どもに発疹ができれば自分の生活と睡眠に影響します。紙おむつに関して、親はサステナブルな製品に対して(自分のものと)同じ余裕を持てません」。

読者は気になっているかもしれない、私と同じく、この種の製品の防御力について。大手企業がもっとサステナブルなコットン製おむつを開発するのをどうやって止められるのか。

セイガル氏によると、大手ブランドはプラスチックからコットンに切り替えるために生産プロセス全体を見直す必要がある。実はセイガル氏はP&G(ピーアンドジー)で働いていたことがあり、KudosのおむつエンジニアリングアドバイザーであるJim Keighley(ジム・キーリー)氏(P&G時代の上司)ともそこで出会った。

キーリー氏は声明文で次のように語った。

大手ブランドは接着機械を完全に作り直す必要があります。どの会社でも使っている圧着技術はプラスチック由来の材料にしか使えないからです。それには多大な時間と予算の投資が必要で、市場のリーダーとして現行製品を製造している柔軟性を損なうことにもなります。

KudosはD2C(消費者に直接販売)サブスクリプションモデルを採用しており、赤ちゃんの身長、体重の変化に応じたサイズのボックスが月額78ドル(約8550円)で送られてくる。好みのボックス(3~5日分)を14ドル(約1530円)で単体購入することもできる。

カテゴリー:その他
タグ:Kudos育児子どもサステナビリティコットンサブスクリプション資金調達

画像クレジット:Kudos

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIを活用したベビーモニターカメラのNanitが新たに約26.3億円を調達

Nanitの育児用カメラはコンピュータビジョンと専用の柄のベビー服を組み合わせて、新米のお父さん、お母さんが90秒ごとに抱く不安を解決する。「赤ちゃんはちゃんと息をしているだろうか?」。

米国時間2月22日、NanitはGVが主導したシリーズCで2500万ドル(約26億3000万円)を調達したことを発表した。

この資金調達にともない、GVのFrederique Dame(フレデリック・デイム)氏がNanitの経営陣に加わる。

Nanitは2020年の勢いに乗ってシリーズCで資金を調達した。これまでに販売されたカメラの台数は公表されていないが、NanitのCEOであるSarah Dorsett(サラ・ドーセット)氏は筆者に対し、2020年のカメラの売上は2019年に対し130%増加したと述べた。

2月初めに同社は、これまでのNanit Plus Camera(249ドル、約2万6000円)よりもアップグレードしたモデルであるNanit Pro Camera(299ドル、約3万1000円)を発表した。Nanit Proはカメラの解像度が高く、内蔵の常夜灯や使いやすさも改善されている。また、カメラでオリジナルの白黒パターンと比較することにより自宅で赤ちゃんの身長を測って記録できる「スマートシーツ」も発表した。

ドーセット氏は筆者に対し、Nanitは製品ラインナップを増やして育児用アイテムの幅広いエコシステムに参入する計画だと語り、「現在すでに存在してはいるが(Nanitが)アプリのエクスペリエンスによって大幅に強化できるもの」としておむつ替えシートや常夜灯などを挙げた。

シリーズCによりNanitのこれまでの調達金額の合計は7500万ドル(約79億円)となった。今回のラウンドを主導したGVからNanitへの投資は初めてだが、これまでに投資していたJerusalem Venture Partners、RRE Ventures、Upfront Ventures、Rho Capital Partnersが支援した。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Nanitコンピュータービジョン育児資金調達

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)