コスメD2Cブランドなど展開するDINETTEが8億円のシリーズB調達、OMO施策で販売チャネル拡大・アジア圏のマーケ推進

コスメD2Cブランド「PHOEBE BEAUTY UP」(フィービービューティーアップ)と美容メディア事業を展開するDINETTE(ディネット)は3月30日、シリーズBラウンドとして、第三者割当増資と融資による総額8億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、大和企業投資、セレス、MTG Ventures。借入先はみずほ銀行。

調達した資金により、サブスクリプションをメインに販売するPHOEBE BEAUTY UPについて、OMO(Online Merges with Offline)施策に投資を行い販売チャネルを拡大、アジア圏へのマーケティング活動を行う。女性の悩みに寄り添うビューティーカンパニーになるべく、2022年度より多様なブランドを多数創出するために商品開発に投資するという。

PHOEBE BEAUTY UPは、DINETTEが運営するSNS美容メディアに寄せられた顧客の声を基に誕生した、オリジナルブランド。「今日なりたい『私』を叶える」をブランドミッションとし、プロダクト体験を通じてより多くの顧客の「なりたい」を実現することを目指している。

コスメD2Cブランドなど展開するDINETTEが8億円のシリーズB調達、OMO施策で販売チャネル拡大・アジア圏のマーケ推進

Spotifyが2人の音楽の好みを比較して作るBlendプレイリストを最大10人に拡大、人気アーティストとのBlendも作成可能

Spotify(スポティファイ)で人気のあるプレイリスト作成ツールの「Blend」に、2021年の正式公開以来最大のアップデートが実施される。これまでのBlendでは2人のユーザーのお気に入りの曲を組み合わせて共通項を探し、音楽の好みが重なり合うところを見つけられる。Blendを作成すると、2人のリスニング傾向に基づいて毎日新しい曲で更新される。米国時間3月30日、SpotifyはBlend機能を進化させ、最大10人と組み合わせて、あるいはお気に入りのアーティストと組み合わせてプレイリストを作れるようにすると発表した

SpotifyはBTSCharli XCXKacey MusgravesLauvMegan Thee StallionMimi WebbTai VerdesXamãなどのアーティストと提携し、自分の音楽の好みとアーティストの音楽の好みに共通する曲を1つのBlendプレイリストにまとめられるようにする。他のBlendプレイリストと同様に、ユーザーには「テイストマッチ」のスコアが記載されたカードも提供される。スコアは自分のリスニングの好みをBlendの参加者と比較し、どの程度似ているか、あるいは違うかに基づいて計算される。

このカードは、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、Twitter(ツイッター)などのソーシャルメディアに直接共有できるようになっている。

アーティストとの連携に加え、SpotifyはBlendをアップデートして家族や友人のグループが独自の共有プレイリストを作れるようにした。Spotify Familyのメンバーはすでに同様のテクノロジーを活用して家族全員が楽しめる曲を集め自動で更新されるFamily Mixプレイリストを利用することができた。しかしこの機能はSpotify Familyのメンバー限定で、個人のユーザーは利用できなかった。SpotifyはBlendに似たDuo Mixというプレイリストも提供しているが、これもDuoのプランのユーザーに限られている。

ストリーミング事業者が提供するパーソナライズされたプレイリストは、サービスを売り込むための重要なツールだ。Spotifyのライバルである音楽サービスのApple MusicやGoogle(グーグル)のYouTube Musicではそれぞれの企業のスマートフォンやモバイル用ソフトウェアに音楽アプリが含まれているが、Spotifyにはその強みがない。それにもかかわらずSpotifyが音楽ストリーミング市場をリードしている理由の1つが、パーソナライズされたプレイリストだ。エンターテインメント調査会社のMIDiAが2022年1月に公開したレポートによると、Spotifyの音楽サブスク市場における世界でのシェアは31%で、Apple Musicの15%、Amazon Musicの13%などをリードしている。その一因は、Spotifyがユーザーを好きな音楽、そして現在ではポッドキャストで引きつけるためにパーソナライズ機能を大いに活用していることだと考えられる。また、Spotifyは新しい機能やプレイリストをかなり頻繁に公開して、パーソナライズ技術の活用に関して先行していることをユーザーや競合に示している。

Spotifyは今回の機能強化より前にBlendのマッチング技術を別のところで利用していた。2021年12月に同社は、パーソナライズして1年を振り返る「Spotifyまとめ」でBlendを活用した。「Wrapped Blend(まとめブレンド)」と名づけられたこの機能で、自分と友人の「まとめ」を比較することができた。

今回の新しいBlendは、米国時間3月30日から展開される。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ソニー、定額サービス「PlayStation Plus」を3つのプランでリニューアル

Sony(ソニー)は、リニューアルしたゲームサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」を導入することを正式に発表した。この新しいサービスはPlayStation Plusと呼ばれ、ソニーが現在提供している2つのサブスクサービス、PlayStation PlusとPlayStation Nowを1つにまとめたものだ。PlayStation Plusは、Microsoft(マイクロソフト)の人気サブスクサービス「Xbox Game Pass」への対抗と見られている。

PlayStation Plusは6月に提供が始まり、アジアのいくつかの国でデビューした後、北米、欧州、その他の地域に拡大される。具体的なサービス開始時期については、今後数週間のうちに発表される見込みだ。

新しいサブスクサービスは3種のプランで構成される。最も低額のものは「PlayStation Plus Essential」と呼ばれ、ダウンロードできる月2つのゲーム、加入者限定割引、保存したゲームのクラウドストレージ、オンラインマルチプレイの利用など、現在のPlayStation Plus会員と同じ特典が付いてくる。PlayStation Plus Essentialの価格は、現在のPlayStation Plusの価格と変わらず、月9.99ドル(日本では税込850円)、3カ月24.99ドル(同2150円)、年59.99ドル(同5143円)だ。欧州では月8.99ユーロ、3カ月24.99ユーロ、年59.99ユーロとなる。

次に「PlayStation Plus Extra」と呼ばれる中間のプランは、Essentialと同じ特典が付いてくるが、最大400のPS4およびPS5のゲームセレクションが含まれる。Extraのゲームはオンラインプレイのためにダウンロードすることが可能。Extraの料金は月14.99ドル(同1300円)、3カ月39.99ドル(同3600円)、年99.99ドル(同8600円)だ。欧州では月13.99ユーロ、3カ月39.99ユーロ、年99.99ユーロとなる。

そして最上位プランは「PlayStation Plus Premium」と呼ばれ、EssentialおよびExtraに含まれるすべてのサービスに加え、クラウド経由でストリーミングできるPS3のタイトルを含む340のゲームにアクセスできる。また、初代PlayStation、PS2、PSPのゲームを含むクラシックゲームもストリーミングとダウンロードの両方で利用できる。また、プレイ時間制限付きのゲームトライアルも提供されるため、顧客は購入前に一部のゲームを試すことができるとのことだ。Premiumサービスの料金は、月17.99ドル(同1550円)、3カ月49.99ドル(同4300円)、年119.99ドル(同1万250円)だ。欧州では、月16.99ユーロ、3カ月49.99ユーロ、年119.99ユーロとなる。

ソニーはサービス開始時に「DEATH STRANDING」「ゴッド・オブ・ウォー」「Marvel’s Spider-Man」「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」「Returnal」などのゲームを提供する予定だ。なお、今後発売されるすべてのPlayStation専用ゲームをサービス開始日に提供する予定はない。

「PlayStation Plusの新しいExtraおよびPremiumは、PlayStation Plusの大きな進化を象徴しています」。とPlayStationのCEOであるJim Ryan(ジム・ライアン)氏は声明で述べた。「これらのサービスで、当社が提供する数百のゲームに、当社を際立たせている最高品質のコンテンツが含まれることを保証することが重要な焦点となります。PlayStation Studioおよびサードパーティのパートナーの想像力溢れるデベロッパーと緊密に協力し、定期的に更新されるライブラリを通じて最高のゲーム体験をお届けします。新しいPlayStation Plusサービスで提供されるゲームの詳細については、後日改めて案内します」。

今日のニュースの前には、ソニーがMicrosoftの人気サービスXbox Game Passに対抗して、ゲームサブスクサービスを刷新しようとしているという憶測が数カ月にわたって流れていた。MicrosoftはActivision BlizzardBethesdaといった大きなゲームパブリッシャーをそれぞれ687億ドル(約8兆4300億円)、74億ドル(約9080億円)で買収するなど、Game Passに巨額を投じてきた。

ソニーによると、PlayStation Plusの新サービスが開始されると、PlayStation NowはPlayStation Plusの新サービスに移行し、単体のサービスとしては提供されなくなる。PlayStation Nowを利用している人は、新サービス開始時に現在の利用料金から値上げされることなくPlayStation Plusプレミアムに移行する。

画像クレジット:Sony

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Mozilla、同デベロッパーネットワークのサブスク有料会員募集を開始

Mozilla(モジラ)は米国時間3月24日、既存のMozilla Developer Network(MDN、モジラ・デベロッパー・ネットワーク)上に、サブスクリプションサービスMDN Plus発表した。MDNは、ウェブ上でCSS、HTML、JavaScriptなどのウェブ技術に関するドキュメントやコードサンプルを見つけるための、最も人気のある場所の1つだ。なおMDNは最近デザインを一新している。

新しいサブスクリプションサービスが提供するのは、通知コレクション(保存したい記事のリストなど)、利用者がオンラインでないときにMDNにアクセスしたいときのためのMDNオフラインなどだ。

サブスクリプションは3つの階層に分かれる。有料プランの無料限定版である「MDN core」、通知、コレクション、MDNオフラインへのアクセスが月5ドル(約610円)、年50ドル(約6100円)で提供される「MDN Plus 5」、そしてMDNチームへの直接のフィードバックチャネル(と「誇りと喜び」)に加えて、プラットフォームのサポートにもう少しお金を払ってもいい人たち向けの「MDN Supporter 10」だ。その名のとおり、最後の高価なプランは、月々10ドル(約1220円)、年間契約では100ドル(約1万2200円)が課金される。

画像クレジット:Mozilla

MDN Web Docsの内容に変更はない。それらは今後も無償で利用できる。「私たちは今後も無料で、誰でもアクセスできるウェブドキュメントの執筆・保守を続けていきます。これは将来変わりません。さらに、MDN Plusから得られる利益の一部を再投資し、ドキュメントやウェブサイト全体のユーザーエクスペリエンスを改善する予定ですので、MDN Web Docsも恩恵を受けることができると考えています」と、MozillaのFAQは説明している。

画像クレジット:Mozilla

MDN Plusは、米国時間3月24日、米国とカナダでローンチする。今後数カ月のうちに、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、オランダ、アイルランド、英国、スイス、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールで展開される予定だ(グローバルなサブスクリプションサービスの立ち上げには、多数の弁護士の関与が必要だ)。

今回、MDN Plusがローンチされたのは、決して予想外ではない。Mozillaは2021年、この動きに向けての探りを入れ始めていた。そのときは、Mozillaが5ドルと10ドルの2種類の価格をA/Bテストしていたため、価格設定に少し混乱が起きたが、MDNがもたらす価値の大きさから、ほとんどの開発者はこの取り組みに賛同した

画像クレジット:Mozilla

また、Mozillaは2020年に行ったレイオフでMDNのスタッフをかなり削減したものの、中核となるエンジニアリングチームはほとんど手つかずのままにしておいたことも注目に値する。Mozillaの歴史を振り返ると、MDN のような無料のサービスを提供することが、Mozilla のミッションステートメントにはっきりと謳われ、他の収入源から容易に補助を受けることができていた時期もあった。今回の有料プランによって、Mozillaはやがて自立できることを望んでいるに違いない。現段階では、この収益の使い道についてMozillaがいっているのは「Mozillaの中にとどまる」ということだけだ。

画像クレジット:Benjamin Kerens /Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

ツイッターがTweetDeckを有料化か

Twitter(ツイッター)は、TweetDeck(ツイートデック)を同社のサブスクリプションサービスであるTwitter Blue(ツイッター・ブルー)のプレミアム機能にしようとしているらしい。モバイルアプリのコードを探索して開発中の新機能や変更を見つけているリバース・アプリ・エンジニアのJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によると、現在、ソーシャルメディア巨人はTwitterのプレミアム商品を開発中で、同社のAndroid(アンドロイド)アプリでTwitter Blueに追加しようとしている。

最近ウォン氏は、Twitterが同社のAndroidアプリのTwitter Blue機能リストに、TweetDeckへの参照を追加していることを発見した。先週ウォン氏は、アプリのコードに、TweetDeckのアクセスをTwitter Blueのサブスクリプション・ユーザーに限定し、購読していない人を登録画面に誘導する部分を見つけた。

彼女はまた、もしTwitterがTweetDeckをTwitter Blueの有料機能にする計画を進めれば、サブスクリプションを利用できない地域にいる数百万人のユーザーを締め出すことなると指摘した。Twitter Blueは米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドでしか提供されていない。現在TweetDeckは無料で広告も入っていないため、Twitterのウェブインターフェースを使いたくない人にとって人気のサービスになっている。

この変更の可能性についてTwitter広報担当者に尋ねたところ、現時点で公表できることはない、とTechCrunchに話した。

2021年Twitter Blueが正式公開されたとき、Bloomberg(ブルームバーグ)は、Twitterが今後のサブスクリプション機能でTweetDeckの利用者に課金する可能性を報じた。しかし、実際にTwitter Blueが公開された時、TweetDeckへの言及はなく、ブックマークの整理やスレッドをすっきりした形で読んだり、「Undo Tweet(ツイート取り消し)」機能などのツールがあるだけだった。

TwitterがTweetDeckを有料にすることを考えたのはこれが初めてではなく、同社は今を遡る2017年にアプリを有料化する方法を模索していた。当時一部のTwitterユーザーは、TweetDeckにどんな機能が欲しいか、上位バージョンにお金を払うつもりがあるかなどを尋ねるアンケートに答えるよう求められたが、そのコンセプトが実際にテストされることはなかった。

Twitter Blueはオーストラリアとカナダで2021年6月にまず公開され、11月に米国とニュージーランドが続いた。提供地域の拡大とともに、Twitter Blueは最近公開されたTwitter Labs(ラボ)を通じて新機能をいち早くアクセスできる仕組みを追加したほか、Twitterが2021年春に買収したScroll(スクロール)経由で、数百種類のパブリッシャーのニュース記事を広告なしで提供開始した。米国でのサブスクリプションサービス料金は月額2.99ドル(約362円)。

TweetDeckは、サードパーティーアプリとして出発したが、2011年にTwitterが4000万ドル(約48億5000万円)で買収した。このサービスは、Twitterの投稿やアカウント管理を容易にし、複数のタイムラインとフィードを1カ所で見る便利な手段を提供している。

関連記事:さまざまな便利機能が使えるツイッターの有料サブスク「Blue」が米国とニュージーランドでも提供開始

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixが同一世帯以外のアカウント共有に追加料金を試験導入

Netflix(ネットフリックス)は、会員が同一世帯の人以外とサービスを共有する場合、追加料金を支払わせる新しいオプトイン機能のテストを開始する。この機能では、Netflixの正規料金を下回る料金で最大2つの「サブアカウント」を追加できる。この新しいオプションはまずチリ、コスタリカ、ペルーでテストされ、今後数週間かけてこれらの市場で展開される。同社は、この機能が全世界の会員に展開されるかどうか、またいつ展開されるかは明らかにしていない。

テスト市場のNetflixのスタンダードとプレミアムの会員には、サービス開始時に、同居していない人に対しサブアカウントを追加するオプションが提供される。各サブアカウントは、通常通り独自のプロフィールを持ち、パーソナライズされた「おすすめ」が提供される。しかし、この機能の特徴はサブアカウントにも独自のNetflixのログイン名とパスワードが用意されていることだ。さらに、サブアカウント利用者が自分の名前と請求先情報を使って自分のNetflixサービスを設定する場合、視聴履歴、ウォッチリスト(「マイリスト」)、パーソナライズされた「おすすめ」が引き継がれる。

この機能を実現するために、NetflixはGPSのような位置情報ベースのデータは使っていない。代わりに、IPアドレス、デバイスID、および家庭内のNetflixアカウントにサインインしているデバイスに関するその他の情報など、現在エンドユーザーにサービスを提供するために使用している情報と同じものを活用する。そうした情報を利用することで、Netflixは同一世帯外で継続してアカウントが共有されている場合、それを特定することができる。

新しいサブアカウントを有効にするために、メインアカウントの所有者はコードが記載された電子メールを受け取る。そのコードは、追加のデバイスが世帯の一部であることを証明するために必要となる。

テスト市場において、世帯外の追加ユーザーの料金は、チリで2380ペソ(約350円)、コスタリカで2.99米ドル(約350円)、ペルーで7.9ソル(約250円)だ。これは、Netflixのフルアカウントプランよりも安いが、これまで誰かのNetflixアカウントをタダで共有していた場合はそれより高い。Netflixは、追加ユーザーがサブアカウントの料金をNetflixに対して支払うことはないと述べている。つまり、Netflixからの請求書はこれまで通りメインアカウント所有者に送られる。メインアカウント所有者が追加ユーザーに料金を請求したい場合、その処理と回収はその人次第だ。

Netflixは以前、ユーザーが自分のNetflixアカウントを肉親以外の友人や家族と共有するという一般的な慣習にほとんど目をつぶっていた。実際、当時CEOだったReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は、アカウント共有は新しい人々がサービスの魅力を発見するチャンスであり、「ポジティブなこと」だと話したこともある。「ストレンジャー・シングス」や「イカゲーム」など、Netflixが提供する番組の多くは世界的な人気を博している。一方、同社の真の課題は競争の激化に直面しながらも、会員と収益を増やし続けることだ。例えば、同社の年末の四半期はここ数年で最も低い会員数の伸びとなり特に厳しかった

理論的には、今回の新たな移行オプションによって、追加ユーザーが正規会員になる道を開くことは、Netflixの有料会員数を長期的に増加させることにつながるだろう。しかし、短期的には、他人のアカウントを使用したままでは、追加ユーザーが会員としてカウントされないことに留意する必要がある。

Netflixはこれまで、アカウント共有を喜んで受け入れてきたが、現在の立場は異なる。Netflixの現在の利用規約では、共有は世帯内で行われるべきものであり、世帯間で行われるものではないとしている。また、同社は2021年3月に「パスワード共有制限機能」なるものをテストしており、おそらくより広範な制限措置が課されることを示唆している。

しかし、Netflixはこの新しいテストを制限だとは考えていないようだ。これは1つのオプションで、会員にとって合理的かどうかを確認したいだけだという。ユーザーから反発を受ければ、同社はこのアイデアを棚上げし、代わりに別の方法を試す可能性もある。あるいは会員がこの機能を取り入れれば、より広範囲に展開すると決めるかもしれない。いずれなのかは後からわかるだろう。

「私たちは、人々には多くのエンターテインメントの選択肢があることを理解しています。従って、どんな新しい機能であっても、会員にとって柔軟で有用なものにしたいと考えています。なぜなら、会員の購読料が私たちのすばらしいテレビや映画を資金的に支えているからです」とNetflixの製品革新ディレクターのChengyi Long(チェンギ・ロング)氏はブログ投稿に書いた。「世界の他の場所で変更を実施する前に、これら3カ国の会員向けに2つの機能が機能するかを理解するべく取り組みます」とロング氏は付け加えた。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflix、Disney+の発表を受けても広告付きオプションはまだ計画にないと述べる

Disney(ディズニー)は先週、同社のストリーミングサービスのDisney+に広告付きの定額制を導入する計画を発表したが、Netflix(ネットフリックス)は、自社の顧客向けに同様のオプションを用意することは当面の間、考えていないとしている。今週開催されたMorgan Stanely(モーガン・スタンリー)のテクノロジー・メディア・テレコム・カンファレンス で、NetflixのCFOであるSpencer Neumann(スペンサー・ノイマン)氏は、Netflixは必ずしも広告に反対しているわけではないが、広告付きモデルに傾倒することは「我々の計画にはない」と説明している。

この役員に投げかけられた質問は、Netflixがサービスのエントリープライスポイントを下げる方法として、広告の利用を考えられるかどうかというものだった。そうすれば、Netflixが価格に対してより敏感な市場を含む、よりグローバルな市場で地位を確立しようとする際に、Netflixの競争力を高めることができるだろう。例えば、Netflixが最近会員価格を下げたインド市場などだ。

しかし、ノイマン氏は、Netflixは「長期的な収益の最適化」に注力しており「会員にとってすばらしい体験となるような方法でそれを実現したい」と、同社の現在のサブスクリプションモデルを擁護している。

広告を導入することで、確かにサブスクリプションの料金が下がり、その結果、より多くの登録者が集まるかもしれないが、エンドユーザーの体験が損なわれる可能性もあるというのが、ここでの基本的な考え方のようだ。もちろん、CFOは、Netflixの計画が変更された場合に備えて、少しヘッジをかけ、もし同社が優れたユーザー体験を提供するという目標を達成できる広告付きスペースで活動する方法を見出したら、おそらくそうするだろうとも付け加えた。「決して絶対にないとは言いません」と述べた。

「今現在、私たちはすばらしいモデルと、グローバルに展開できるサブスクリプションビジネスを持っていると考えています」とノウマン氏はいう。「2年前の売上は200億ドル(約2兆3000万円)程度でしたが、今は300億ドル(約3兆5000万円)です。世界のどの地域でも健全な成長を遂げています」と語る。

もちろん、この威勢のいい言葉は、Netflixのビジネスの状況を完全に反映しているとは言えないかもしれない。今日の投資家たちは、たとえそれがサービスに広告を追加して価格を下げることであっても、Netflixがどこまで目先の成長を追い求めるべきか議論しているのである。そして、Netflixは2021年第4四半期の決算で、加入者数の伸びについてウォール街の予測を下回ったばかりだ。同社は当時、この落ち込みは一時的なもので、人気番組 『ブリジャートン家』 の第2シーズンなど、より期待されている番組のいくつかが四半期後半に開始されたことを反映したものだと主張していた。しかし、同社は株主宛ての手紙の中で、ライバルストリーマーとの競争激化が「当社の限界的な成長に影響を与えている可能性がある」と認めている。

現在、Netflixは、HuluやPrime Videoといった古くからのライバルに加え、Disney+、HBO Max、Paramount+、NBCU(NBCユニバーサル)のPeacockといった多くの新しい競合に直面している。

Paramount+とPeacockは、広告付きのオプションでスタートした。HuluはCM付きとCMなしの両方のプランがある。また、HBO Maxは2021年、広告付きサブスクリプションを開始した。そして今、Disney+が参入している。そのため、Netflixは、低価格の広告付きプランを持たないトップストリーマーの中で、ほぼ唯一の存在となっている。Amazon(アマゾン)のPrime Videoが広告を掲載していないのは事実だが、これは非常に異なるビジネスモデルの一部である。Prime Videoは、Amazonの高速配送オプションに代表される他の多くの特典を含む、より大規模で高価な定額制サービスの一部に過ぎないからだ。

一方、Netflixは、一部の市場で値下げとは正反対のことを行っている。代わりに、価格を上げているのだ。米国では、1月にNetflixは、プランによって1ドル〜2ドル(約1116円〜233円)の値上げを行った。今日(米国時間3月10日)、Netflixは英国とアイルランドでも値上げをすると発表した。

ノイマン氏は、この競争がいずれNetflixの広告に対する考え方に影響を与える可能性があることを認めた。

「私たちの計画にはないことですが、他社はそこから学んでいます。だから、他社がやっていることを無視することはできません」と認めた。「しかし、今のところ、それは我々にとって道理にかなっていないことなのです」と語る。

CFOは、カンファレンスでNetflixのビジネスの他の側面についても語った。彼は、ロシアの恐ろしいウクライナ侵攻を受けてNetflixが最近ロシアから撤退したのは、戦争の中で起こっている「本当の人間の苦しみ」を受けてなされた決定であることを最も重要な点として指摘した。しかし、その機会に関連して、ビジネスの観点からは、同国における制裁、規制の問題、決済に関する課題もあり、そこで事業を行うことはあまりにも困難となった。ロシアは、Netflixの収益の1%未満を占めているという。

Netflixの新興ゲーム事業についても簡単に質問されたが、ノイマン氏は、これを非常に初期の段階にあると特徴づけた。最初の12カ月は、ゲームをホストして世界中のアプリストアに配信するためのインフラという意味で「配管を正しくする」ことに集中していた。現在、同社は、ゲームの定着率やプレイ時間、会員が映画やテレビに対してどのような価値観を持っているかを学ぶことに取り組んでいる。

また、Netflixは現在までに約14のゲームをサービス上でリリースしているが、年内には「その何倍ものゲーム」をリリースする予定であり、新しいタイトルをより早く展開する計画を示していると述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Disney+、2022年後半に広告付きの低価格サブスクを導入

Disney(ディズニー)は米国時間3月4日に、Disney+が2022年後半に広告付きのサブスクを導入することを発表した。同社は、開始日や価格については明らかにしていないが、2022年後半に新しいサービスの具体的な詳細を発表するとしている。この新サービスは2022年後半に米国で開始され、2023年には国際的に拡大する予定だ。ストリーミングサービスの現在の広告なしプランは、月額7.99ドル(約916円)または年額79.99ドル(約9177円)だ。

ストリーミングサービスに安価な広告付き層を追加することで、同社は加入者数をさらに拡大することができそうだ。プレスリリースで、Disneyは、この新しいサービスは、2024年までに2億3000万〜2億6000万人のDisney+の加入者という長期目標を達成するための「基礎的要素」になると述べている。

「Disney+へのアクセスをより低価格でより多くの視聴者に拡大することは、消費者、広告主、そして我々のストーリーテラーのすべてにとって利益となります」と、Disney Media and Entertainment Distributionの会長であるKareem Daniel(カリーム・ダニエル)氏は声明で、述べた。「より多くの消費者が私たちのすばらしいコンテンツにアクセスできるようになります。広告主はより多くの視聴者にリーチすることができ、ストーリーテラーはより多くのファンや家族とすばらしい作品を共有することができるようになります」。

このサービス開始後、Disney+は、HBO Max、Paramount+、Discovery+など、広告付き視聴サービスを提供する他のストリーミングサービスに加わることになる。Disneyが所有・運営するHuluも、月額6.99ドル(約800円)で広告付き視聴サービスを提供している。

本日の発表は、Disneyが2022年夏に欧州、中東、アフリカの42カ国と11地域でDisney+を開始することを明らかにしたことに続くものだ。新たに追加される国は、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などだ。このストリーミングサービスは現在、米国、カナダ、英国を含む64カ国で提供されている。Disneyは、これらの新しい国でサービスを開始する正確な日付を特定しておらず、地域ごとの価格に関する情報も共有していないが、おそらく今後数カ月の間にそれを行う予定だ。

そのリストには、アルバニア、アルジェリア、バーレーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エジプト、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、イラク、イスラエル、ヨルダン、コソボ、クウェート、ラトビア、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、モンテネグロ、モロッコ、北マケドニア、オマーン、パレスチナ、ポーランド、カタール、ルーマニア、サンマリノ、サウジアラビア、セルビア、スロヴァキア、スロヴェニア、南アフリカ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、バチカン市国とイエメンが含まれている。

新しい地域としては、フェロー諸島、フランス領ポリネシア、フランス領南方領土、サンピエール・ミクロン海外集団、オーランド諸島、シント・マールテン島、スヴァールバル・ヤンマイエン、英国インド洋領土、ジブラルタル、ピトケアン諸島、セントヘレナなどが含まれている。

Disneyは先日、2023年度までにDisney+の提供国を2倍以上の160カ国以上に拡大する計画を明らかにしたが、今回のニュースはその一環だ。同社は、消費者向けストリーミング事業をよりグローバルな市場に拡大することを計画しており、この推進を支援するため、新たにInternational Content and Operations(インターナショナル・コンテンツ・オペレーションズ)グループを設立している。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Amazon Lunaゲームストリーミングサービスが米国で正式ローンチ、プライム会員向け無料ゲームなどを発表

Amazon(アマゾン)によるクラウドベースのゲームストリーミングサービス「Amazon Luna(ルナ)」が、米国内のすべての人に向けて正式に開始されると、同社は米国時間3月1日に発表した。Amazonは2020年9月にLunaを初めて公表した。それ以来、Lunaの招待制早期アクセスプログラムを通じて、限られた人だけが同サービスにアクセスできるようになっていた。

全米ローンチに加えて、AmazonはLunaに加えられる3つの新しいチャンネルを発表した。ちなみにチャンネルとは、ユーザーが毎月サブスクライブできるゲームのバンドルで、Lunaではそう呼んでいる。3つの新チャンネルのうち、まず「Prime Gaming Channel(プライムゲーミングチャンネル)」は、プライム会員が毎月入れ替わるセレクションの無料ゲームをLunaで楽しむことができるチャンネルだ。3月は「Devil May Cry 5(デビルメイクライ5)」「Observer System Redux(オブザーバー:システムリダックス)」「PHOGS!(犬犬)」などのセレクションが用意されている。またAmazonは「Immortals Fenyx Rising(イモータルズ フィニクス ライジング)」が3月8日から14日までの限定期間、無料でプレイできることに言及している。

2つ目の新チャンネルは、カプコンやSNKなどのパブリッシャーによるクラシックゲームを売りにする「Retro Channel(レトロチャンネル)」だ。Amazonによると、このチャンネルは「Street Fighter II(ストリートファイターII)」「Hyper Fighting(ストリートファイターⅡ ターボハイパー ファイティング)」「Metal Slug 3(メタルスラッグ 3)」などのタイトルを配信し、ユーザーに「アーケードゲームの栄光の日々を再体験してもらう」ことを目指しているとのこと。3つ目の新チャンネルは「Jackbox Games Channel(Jackboxゲームチャンネル)」で、Jackbox Gamesの全8種類のパーティーパックを収録している。このチャンネルでは「Quiplash」「Drawful」「Trivia Murder Party」などの人気パーティーゲームを配信する。Retro ChannelとJackbox Games Channelは、どちらも月額4.99ドル(約570円)で利用できる。

また、Amazonは、PC、Mac、Fire TVでLunaの最新アップデートを行い、プレイヤーがTwitch(ツイッチ)にLunaのゲームプレイを配信できるようになったことを発表した。これを可能にするため、同社は、プレイヤーが画面上にカメラフィードを重ねてゲームプレイをライブ配信できる新しいブロードキャストボタンを展開した。また、Fire TVでは、QRコードを利用して、携帯電話をウェブカメラおよびマイクとして接続することができる。

またFire TVでは、Luna Controller(ルナ・コントローラー)アプリを通じて、iPhoneやAndroid端末をコントローラーとして使用し、Lunaを試すことができるようになった。Amazonによると、オンスクリーンコントローラーは、サイドスクローラーやターンベースのRPG、トリビアゲームなどをチェックしたいユーザー、またはコントローラーを持たない初心者やカジュアルゲーマーにとっては1つのオプションだという。

Lunaは、他のクラウドサービスとは異なり、ユーザーが月単位でチャンネルごとにサブスク契約をする方式をとっている。現在、主力製品のLuna+チャンネルは月額5.99ドル(約690円)、Familyチャンネルは月額2.99ドル(約345円)で利用できる。

Luna+チャンネルは100以上のタイトルを含むライブラリーを提供し、Familyチャンネルはすべての年齢層のゲーマーに適した35以上のゲームを厳選して提供する。4月1日より、Luna+チャンネルは月額9.99ドル(約1150円)、Familyチャンネルは月額5.99ドル(約690円)で提供される予定だ。また、AmazonはUbisoft+チャンネルを月額17.99ドル(約2070円)で提供している。

AmazonがLunaを最初にリリースしてから1年以上となるが、同社はMicrosoft(マイクロソフト)のGame Pass UltimateやNVIDIAのGeForce NOWなど、他サービスとの競争にさらされてきた。Amazonがプライム会員向けに月替わりで無料ゲームを追加することを決めたのは、より多くの人に追加料金なしでLunaを試してもらうための施策のように見える。

Lunaの全米展開は、Amazonが最近、米国でプライムの料金値上げを行った後でのことだ。月額料金は12.99ドル(約1490円)から14.99ドル(約1720円)へ、年会費は119ドル(約1万670円)から139ドル(約1万5960円)へ上がった。

画像クレジット:Amazon

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

Tumblrが月々約580円で広告が表示されなくなるサブスクリプションを導入

Tumblrlr(タンブラー)は米国時間2月24日、ウェブとモバイル向けに広告なしのブラウジング体験を展開すると発表した。Tumblrが「純粋な、混じり物のない戯言」と呼ぶこのサービスは、月額では4.99ドル(約580円)を支払う必要があるが、年間価格39.99ドル(約4600円)を払うなら4カ月分が無料となる。このオプションを選択するには、ユーザーは自分の「アカウント」から、「Go Ad-Free」ボタンを押す。すると、4.99ドル/月または39.99ドル/年のいずれかのサブスクリプションを選択するように求められる。広告なしのブラウジングはモバイルでも可能だが、有効にできるのはウェブからのみ。この機能は、サードパーティの広告を非表示にするが、Tumblrユーザーのスポンサー付き投稿を非表示にすることはできない。

これは、何年もの間に価値を下げてきたこのプラットフォームを収益化するための、Tumblrによる最新の試みだ。ここ数カ月だけでも、TumblrはPost+(ポストプラス)のサブスクリプションや、ユーザーがお気に入りのブロガーにStripe(ストライプ)経由で現金を送ることができるTipping(チッピング)を発表している。TumblrはPost+の収益から5%の手数料を得るが、チップはすべてクリエイターに直接送られ、通常のクレジットカード手数料(2.9%+0.30ドル[約35円])を差し引いた額が支払われる。

Tumblrユーザーたちは、プラットフォームに変更が加えられると厳しく批判することで悪名高いが、広告なしのサブスクリプションは、ペイウォール(有料化された)投稿よりも押し付けがましくない機能だ。Tumblrは、非常に奇妙な広告を提供しているが(我々の個人的なお気に入りは、領主になるためにスコットランドの1平方フィートの土地を購入することを提案するものだ)が、一部のユーザーは、ブラウザの拡張機能を使用することで、すでに広告なしのTumblrを実現しているため、サブスクリプション料金を支払う動機がないことを指摘している。

画像クレジット:Tumblr

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新たな「ポストサブスクリプションSaaS」の時代に向けて見積から収益へのアプローチを改善するSubskribe

ほとんどのサブスクリプション型SaaSの価格戦略では、一定のシート数のみ使える無料版、より多くのシート数が使えるプロ版、そして大企業を対象としたエンタープライズ版が用意されている。

しかし、その中間に位置する企業、つまり、無料版の10シートの範囲を少しだけ超えるが、プロ版を使う価値があるほどの急成長は望めない企業はどうすればいいのだろうか?

Subskribe(サブスクライブ)は「見積りから収益まで」のプロセスに柔軟性をもたらすスタートアップ企業だ。これまで営業担当者は、ソフトウェアの見積を作成する際に、情報がさまざまな場所に散らばっていると、それらを調整して、サブスクリプションや単発のサービスを請求することが難しい時があった。

同社は、Google(グーグル)に勤務していたDurga Pandey(デュルガ・パーンデー)氏が、元Zuora(ズオラ)のエンジニアリングディレクターだったYibin Guo(イーピン・グオ)氏、元Okta(オクタ)ビジネステクノロジー担当シニアディレクターだったPrakash Raina(プラカシュ・ライナ)氏とともに、2020年に設立した。

「誰もがリカーリングの収益モデルを好みますが、顧客は月額10ドル(約1150円)払えるなら5000ドル(約57万円)のライセンス料を払いたいとは思いません」と、パーンデーCEOはTechCrunchに語った。「この10年間で、SaaSのビジネスモデルは大きく変わりました。以前は、Netflix(ネットフリックス)のサブスクリプションに似ていました。現在のソフトウェアの販売方法は、400分で毎月40ドル(約4600円)を支払う携帯電話のプランによく似ています」。

これに対し、Subskribeのテクノロジーは、適応性の高い見積 – 収益システムとして設計されており、営業担当者は、使用量の増加に応じて割引率を高めたり、創造的なアップセルやクロスセルを追加して、より効果的な取引を構成することができる。

画像クレジット:Subskribe

見積もりから請求までのプロセスの各部分は、ダイナミックオーダーの同じリポジトリーを参照するため、端から端まで統一された体験となる。その結果、企業は自社の成長に合わせて最適化された取引を得ることができ、結局より少ない費用で済むようにもなると、パーンデー氏は続けた。

同社は米国時間2月17日、少数の顧客とともに正式にサービスを開始した。同社は8VCが主導したシリーズAラウンドと、Slow Ventures(スロー・ベンチャーズ)が主導したシードラウンドで、1840万ドル(約21億1000万円)の資金を調達している。このラウンドには、Amplitude(アンプリチュード)、Asana(アサナ)、Coupa(クーパ)、Dialpad(ダイアルパッド)、Okta(オクタ)、Plaid(プレイド)、UiPath(ユニパス)などの企業の財務・業務担当上級幹部が参加した。

パーンデー氏は、この新たな資金をエンジニアリングチームの拡大に充てる他、顧客基盤の拡大と製品開発にも注力することを計画している。

Subskribeは販売開始からまだ4カ月しか経っていないため、同氏は成長の指標についてあまり語ることができなかったが、しかし顧客のパイプラインには契約間近の大手企業がいくつかあると述べている。

「私たちの目標は、この分野におけるデファクトプレイヤーとしての地位を確立し、お客様がお金を稼ぐためのプロセスをあまり気にしなくて済むようになる製品を提供することです」と、パーンデー氏は付け加えた。

画像クレジット:Subskribe / Subskribe co-founders Prakash Raina, Durga Pandey and Yibin Guo

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

3DプリンティングのCarbonが主力ラインをアップデート、M3とM3 Maxの新モデルが登場

3Dプリンティングの大手Carbon(カーボン)は米国時間1月27日、同社の次世代3Dプリンティング主力製品である「Carbon M3」と「Carbon M3 Max」を発表した。ハイエンドのプロトタイピングと製造プロセスを対象としたこのプリンターは、サブスクリプションベースのパッケージで提供され、前世代のプリンターに比べて多くのアップグレードや改良が施されている。

新シリーズのハイライトの1つとして、簡素化されたプリンター体験が挙げられ、プリントプロセスの制御性が向上し、障害モードの低減が図られている。同プリンターはデザインスペースが広いため、旧世代のプリンターでは作れなかったパーツを作成でき、新しい形状や高強度のパーツをさらに開放する。熱管理(加熱と熱拡散の両方)が改善されたことで、プリンターのプリント速度が上がり、解像度が高くなってより滑らかなパーツの造形が可能になり、3Dプリントによる表面仕上げの精度が向上している。また、より再現性の高いプリントが可能なため、各パーツのばらつきを抑えることができる。

M3 Maxプリンターはビルド領域も拡大し、ピクセルサイズと密度はM3と同じでありながら、ビルド領域は事実上M3の2倍を実現。大型パーツの成型や小型パーツの量産に適している。

同社はこの新しいプリンターの価格について奇妙なことに堅く口を閉ざしている。市場が持ちこたえる分だけ顧客に課金するというエンタープライズの駆け引きを進めているためであろう。

「Carbonは工業用プリンターを製造しており、M1は月額約2100ドル(約24万円)からで、36カ月間の保証付きです」とCarbonのプロダクトマーケティング責任者であるRob L’Heureux(ロブ・ホイルー)氏は説明する。「価格について話す前に(私たちの顧客が)何を求めているのかを知り、彼らのために適切なデバイスを推奨していることを確認したいと思っています。一般的に、システムの規模と性能が向上するにつれて、パーツあたりの価格は下がっていきます」。

読者が今自宅で電卓を操作しているなら、旧世代のプリンターの3年間の価格は7万5000ドル(約863万円)になることがわかるであろう。つまりこれは、いとこのために風変わりなポケモンのフィギュアをプリントするのに時折使うような戸棚にあるプリンターではなく、本格的な産業用の仕事道具だということである。

「パーツあたりのコストを削減し始めると、対応可能な市場が拡大します」とCarbonの最高プロダクト責任者兼最高ビジネス開発責任者のPhilip DeSimone(フィリップ・デシモン)氏は説明した後、価格が下がっても、製造ミックスに射出成形向けの余地があることを強調した。「価格設定の観点で(3Dプリンティングが)射出成形と競合する時期については、さまざまな議論があります。プラスチック製のフォークやスプーン、Kカップなどに関しては、価格面で射出成形と競合することは決してないでしょう」。

高額な値札が付けられたプリンターは、製造を迅速に実施する必要がある場合や、小さな変更を継続的に行う必要がある場合、あるいはカスタマイズが重要となるプロダクトの場合に特に有用である。現在市販されているカスタマイズプロダクトの例としては、座面がライダーの体型にフィットするようにカスタマイズされた450ドル(約5万円)のSpecialized(スペシャライズド)のバイクサドルや、アディダスのカスタム3Dプリント製「4D」シリーズなどがある。

「製造におけるボトルネックは、多くの場合、従来の製造技術にあります。自動運転センサーに必要な電気コネクターを作るとしたら、その射出成形ツールに50万ドル(約5750万円)かかり、自分の仕事の物理的な部分を見るまでに6カ月から8カ月を要するでしょう」とデシモン氏は嘆き、3Dプリンティング技術について説得力のある主張を展開した。「私たちにとって、そのボトルネックのあらゆる小さな断片を切り詰めることに意義があります。人々がより早く生産ツールを手に入れることに私たちが貢献できたなら、それは私の考えでは勝利を意味します。革新的なプロダクトをいち早く市場に投入することを支援するという当社の目標は達成されたことになります」。

製造スペースでCarbonの技術を活用する上での主な推進力は、プリンターを使用することにある。何もしないで無為に時を過ごすプリンターはお金の無駄使いとなる。

「3Dプリント技術を採用した施設の多くで、設置されているプリンターが使用されていないのを目にします。私たちにとってそれは望ましいことではありません。こうしたプリンターが確実に使用されるようにしたいという思いがあります。その思いが主軸になって、あらゆる業界にまたがるインストールベース全体で、業界をリードする週40時間以上のプリント時間を確保しています」とデシモン氏は語っている。「当社の『Design Engine』ソフトウェアと『Carbon DLS』素材を組み合わせた、業界をリードするこの次世代プリンターを使用することで、さまざまな業種の設計チームはこれまで以上に迅速かつ効率的に、エンドユースのパフォーマンスを備えた極めて高品質なプロトタイプを作成することができます」。

2016年にM1が発売されて以来、Mシリーズのプリンターはしばらく存在している。これらのプリンターは現在も生産が続けられていて、今でも同社から入手可能である。だが真新しいM3にはさらに多くの付加機能が追加されており、特定のプロトタイピングや生産要件により適している。

1つには、M3の方がはるかに優れたユーザー体験を提供することが挙げられる。タッチスクリーンは、消費者向けプロダクトに期待されるユーザーフレンドリーさを加えている。同社によると、M3 Maxは4K DLPライトエンジンを採用した初めての3Dプリンターで、これまでのマシンと比べてほぼ2倍の解像度を維持しながら、プリント速度を犠牲にしないという。

「従来の3Dプリントでは、プリントサイズが大きいことが問題でした。ビルド領域が大きくなるにつれて、精度、プリント速度、一貫性が低下します」とデシモン氏は説明する。「そのため、新しいプリンターのローンチを心から喜ばしく思っています。ユーザーにとって既知のことや愛着のあることをすべて維持しながら、より大きなビルド領域を実現できるのは今回が初めてです。それを可能にするために、膨大な数のエンジニアリングが行われました」。

プリント速度はCarbonチームが特に誇りにしている領域の1つであり、M3シリーズはそこで顕著な改善を見せている。それはユーザーが必ずしも予期していないかもしれない角度からの速度増加である。

「このプリンターは2つの要因で高速になっています。1つはフォースフィードバックと呼ばれる技術です。従来のプリンターでは、マニュアルスクリプトと呼ばれるものを使って最適化していました。生産を最適化する方法に基づいて、さまざまな領域でパーツのプリント速度を変化させることも可能です。私たちがそうしたことを排除しようと考えたのは、それがプリントプロセスのダークアートのようなものであったからです。フォースフィードバックは、そのすべてをリアルタイムで行います。ビルドプラットフォーム上には、z方向への上昇に対応する高感度センサーが装備されています」とデシモン氏は説明する。プリンターが追加の吸引力を感知すると、プリンターは自動的に減速する。「閉ループのフィードバックシステムを採用しているため、可能な限り高速にプリントすることができます」。

「2つ目の主要なプロダクト機能は、完全に再設計されたウィンドウテクノロジーです。ご想像の通り、材料のプリント方法は熱によって大きく左右されます。材料によっては、発熱反応が非常に高いために冷却して熱を逃がした方が効果的なものもあります。また、樹脂によっては、加熱して粘度を下げた方がより良い結果が得られます」とデシモン氏は述べ、加熱と冷却によってプリントプロセスの制御性がさらに向上することを説明した。「これは、従来のテクノロジーでは実現できなかった方法でプリントプロセスを最適化することを意味します。必要に応じて熱を逃がすだけではなく、熱を加えることができるため、非常に効果的です。これらの技術革新が一体となって、速度の向上を実現しています」。

画像クレジット:Carbon

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

ハリウッドではすべてがリブートされる、そう散々なサービスだった映画見放題サブスクMoviePassでさえも

MoviePass(ムービーパス)の2.0キックオフ記者会見は、ふわさしく不安定なスタートとなった。近日公開の映画の予告編をモンタージュしたエネルギーにあふれる紹介の後、創業者で新オーナーのStacy Spikes(ステイシー・スパイクス)氏が、音声の問題がある中で登壇し、最終的にはハンドマイクに切り替えることとなった。

スパイクス氏は、これまでの苦労をどうこういうよりも、物事を(少しは)笑い飛ばすことを学んだようで、これまでの経緯の表現として後ろのスライドにある「The Hindengurg(ヒンデンブルグ号)」の画像をすぐにクリックした。

リンカーン・センターで行われたイベントの最初の数分間は、この企業で何が問題だったのかを説明することに費やされた。「まず、基本的に何が起こったかを話します」と彼は笑いながら説明した。スライドは、MoviePassのCEOであるMitch Lowe(ミッチ・ロウ)氏とHelios and Matheson(ヘリオス・アンド・マシソン)のCEOであるTed Farnsworth(テッド・ファーンズワース)氏が笑顔でMoviePassカードを掲げているページに進んだ。スパイクス氏は、和やかな会場からの野次のようなものを振り払った。

「多くの人がお金を失い、多くの人が信頼を失いました。傷つき、失望した人々がたくさんいました。私もその1人でした」と説明した。買収から3年足らずで、Helios and Mathesonは連邦破産法第7条の適用を宣言し、MoviePassの運命はその過程で決まってしまった。

画像クレジット:MoviePass

2022年のスタートアップにふさわしい展開として、スパイクス氏は、MoviePassが再び市場に戻ってきたことを、同社の壮絶な盛衰を描いた映画を制作しているドキュメンタリークルーから知らされたという。入札から21日後、破産裁判所が買収を承認した。2021年11月、このニュースが流れた直後にスパイクス氏に話を聞いたところ、彼はアプリの技術的な問題について、次のような非常に率直な評価をしていた。

あれは技術的な問題ではなく、意図的なものでした。私がCEOだったとき、MoviePassのアプリはちゃんと動いていました。機能していたんです。人々は、そのサービスの使いやすさを気に入っていました。行きたいところどこにでも行けるし、どの映画館にも歩いていけます。私たちは、Fandango(ファンダンゴ)とMovie Tickets(ムービーチケット)を合わせたよりも大きなフットプリントを持っていました。おそらくドライブインやキャッシュオンリー以外ならどの映画館でも、MoviePassを使うことができたのです。その使い勝手の良さとシンプルさは完璧でした。そのために、私たちは何年も働きました。その後の展開は、すべて意図的なものでした。技術的な問題ではありません。AMCシアターの撤退を決めたのも、アプリが完全に動作しないのも、技術的な問題ではなかったんです。

その古傷が一夜にして癒えるものではないことは明らかだが、今日のイベントは、2022年の夏にローンチする(と予定されている)MoviePass2.0の形についてのものだった。また、スパイクス氏が再始動に際して株式クラウドファンディングの呼びかけを行っていることもわかった。同サービスのサイトには、出資に興味のある人向けの登録フォームがある。十分な資金を使えば、生涯会員になることができる。

ある意味、オリジナル版は自身の成功の犠牲者であり、持続不可能な速度で成長していた。スパイクス氏のプレゼンは、控えめな成長計画と、2030年までに全劇場販売数の30%を促進するという「ムーンショット」の間をいこうとするものだった。

画像クレジット:MoviePass

この新サービスの核となるのがクレジットシステムであり、その基盤はWeb3の技術によって培われているという(この点については、あまり詳しい説明はしていない)。例えば、ある映画を火曜日の午後に見るか、金曜日の夜に見るかなど、さまざまな変数に応じて、映画の料金は異なるクレジット数になる。クレジットは、月単位で翌月に繰り越され、取引も可能だ。また、クレジットを消費して友人を連れてくることもできるという。

MoviePassは、これを「暗号資産」と呼んでいる。スパイクス氏が設立したPreshow(プレショー)上で流れる広告を閲覧することで、ユーザーが獲得できる通貨だ。TechCrunchのAnthony(アンソニー)は、2019年に行われたこの機能のデモについて、このように説明していた

スパイクス氏は先週、私のためにこの機能のデモを行い、彼の顔がPreshowアプリのロックを解除する様子を見せてくれました。彼が観たい映画を選ぶと、その映画に合わせて特別に選ばれた動画広告が表示され、彼が画面から目をそらしたり、携帯電話から離れすぎたりすると、広告の再生が停止されるんです。(ユーザーからのフィードバックにより、感度を上げたり下げたりすることができるようだ。)

ユーザーが見るのを止めた瞬間に広告が止まるというビジュアルは、確かに衝撃的であり、すでにディストピアとの比較もされているようだ。しかし、ここで少し正直にいうと、これは広告マネタイズの未来でもあるのだ。さらに、新MoviePassは、このサービスと提携する映画館の登録も開始している。現在、ニューヨークのAngelika(アンジェリカ)をはじめ、いくつもの映画館が参加しているという。

画像クレジット:MoviePass

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

SaaS企業向け使用ベース価格設定技術のm3terが約20億円調達、定額制サブスクリプションからの移行需要に対応

SaaS製品の多くは定額制のサブスクリプションで販売されている。しかし、特に価格に敏感な顧客の間では、よりきめ細かい価格設定を求める傾向が強まっており、現在はデータサイエンス、予測分析、クラウドコンピューティングを組み合わせることで実現可能な世の中になっている。こうした需要に応えるツールを開発している企業の1つ、m3terというスタートアップが現地時間2月8日、ステルス状態から登場した。市場の状況を示すように、同社はすでに顧客を持ち、まとまった額の資金を調達している。

ロンドンを拠点とするm3terは、製品の開発を続け、さらに顧客を増やしていくための資金として、Kindred Capital、Union Square Ventures、Insight Partnersから1750万ドル(約20億円)を調達した。顧客にはSiftStediRedcentric、そしてm3terと提携して自社の顧客にこの技術を効果的に販売している話題の課金スタートアップPaddleといった企業が含まれている。

m3terは2月8日にステルス状態から登場したが、いきなり出てきたわけではない。同社の創業者であるGriffin Parry(グリフィン・パリー)氏とJohn Griffin(ジョン・グリフィン)氏は、以前GameSparksという、利用ベースの料金設定に基づいたバックエンドゲーム・アズ・ア・サービスのエンジンを設立したが、AmazonのAWSに静かに売却し、ゲームの世界のためのツールを構築するという、クラウド界の巨人の野心的な戦略に組み込まれた(補足:この買収を筆者はスクープした。当時は、この2人よりもエリザベス女王1世に話しかけるのを試みる方が簡単だったかもしれず、今やっと追いつくことができて良かった)。

AWSにとってこのゲーム戦略は、おそらく最も慈善的な、非常に長期的な遊びだった(Gamesparksベースの製品を出す計画があったようだが、5年後の現在もまだ実現していない)。しかし、その場に居合わせたことで、利用ベースのサービスのコンセプトを他の場所に適用する方法についてインスピレーションを得た、とパリー氏とグリフィン氏は話す。

「心強いことに、利用ベースの料金設定については、Amazonも我々と同じような問題意識を持っていました」。しかし、Amazonがすでにこのコンセプトに基づいて提供しているものは非常に多く、例えばクラウドインスタンスの販売方法の中核をなしている。「彼らが構築しているカスタムツールを見る機会がありました。我々は、良いものがどのように見えるかを目にしました」と2人は続けた。

2人の結論はこうだ。SaaSサービスは活況を呈しており、これらのビジネスには、Amazonが自社のために構築しているものと同等のツールを提供する価値がある。

m3terの初期の牽引役は企業だった。急速に成長するSaaSビジネスが、今度は企業顧客に利用量に応じた料金設定を提供するようになった。パリー氏は、この市場自体がサービスの多様性に富んだ巨大な市場であり、この市場にのみ注力する価値は十分にあると確信している。しかし、通信事業者や公益事業者など、使用量に応じた料金体系を採用してきたレガシーな分野では、システムのアップグレードが進んでおり、請求方法もアップグレードする予定であるため、明らかにチャンスがある。同様に、消費者は今日、ストリーミング、ブロードバンド、クラウドストレージ、eコマースのポイントクラブ(Primeなど)、その他多くのものに定額料金を支払うことに満足しているようだ。しかし、破壊者が現れ、人々が欲しいものを消費し、実際に使用するものだけに金を支払う、より安価で公平な別の方法を提供するのは時間の問題だ。消費者もまた、m3terの潜在的な顧客となる可能性がある。

あるいは、そうでない人も顧客となる可能性がある。先週、利用ベース料金設定を導入したMetronomeが資金調達ラウンドを発表したばかりだ。パリー氏は、Metronomeが市場に出てきたことをこの上なく喜んでいる、と述べた。

「彼らは我々の正当性を証明しているし、競争は良いことです」とパリー氏は述べ、世の中には多くのユースケースに対応する複数のプレイヤーが存在する余地があると指摘した。「当社は、高いレベルの複雑性とスケールをサポートできるよう注力しています。スタックには隙間があり、多くの優れた既存ツールは使用ベース価格設定では機能しません。つまり、我々には大きな可能性があるのです」。

「m3terの共同創業者は、使用ベースの料金設定に関する苦労を深く、直接的に理解している起業家たちです」と、Kindred Capitalからの投資を主導したChrysanthos Chrysanthou(クリサントス・クリサントス)氏は声明で述べた。「彼らの技術力と商業実績により、SaaSビジネスが価格に関する悩みの解決策を模索する中で急速に形成されつつある市場において、リーダーとしての地位を確立するためのユニークな位置につけています」。

「m3terは、より多くのソフトウェア企業が摩擦のない利用ベースの価格設定によってその真価を発揮し、SaaS業界を活性化させる可能性を持っています」とUnion Square VenturesのパートナーであるRebecca Kaden(レベッカ・ケーデン)氏は付け加えた。「グリフィンとジョンはすばらしいチームを作り上げ、世界中のSaaS企業の価格設定を再定義していくために協業することを楽しみにしています」。

画像クレジット:Bet_Noire / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

サブスクなど継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS「Scalebase」を提供するアルプが12.5億円調達

サブスクなど継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS「Scalebase」を提供するアルプが12.5億円調達

販売・請求管理SaaS「Scalebase」(スケールベース)を提供するアルプは2月9日、第三者割当増資により総額12億5000万円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、GMO VenturePartners、電通ベンチャーズ。累計調達額は19億円となった。

調達した資金は、Scalebaseの機能強化と新サービスの開発、採用・組織体制の強化にあてる。また、将来的にScalebaseの導入を検討しているスタートアップ企業を対象に、特別プランの提供を同日より開始している(期限・諸条件・審査あり)。

Scalebaseは、SaaSやサブスクリプションビジネスのほか、あらゆる継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS。顧客ごとに異なる契約条件を柔軟に設定でき、複雑化しがちな請求業務を誤ることなくスムーズに行える。MRR(月次経常収益。Monthly Recurring Revenue)やチャーンレートといった重要指標も可視化し、販売戦略の意思決定と実行をサポートするという。2019年のサービス開始以来SaaS事業を展開するスタートアップから大手企業まで、70社を超える企業に利用されているそうだ。

アルプは、今回調達した資金をScalebaseの開発、採用・組織体制の強化に充当し、ユーザー層の拡大とさらなる提供価値の向上を目指す。これまでScalebaseは、SaaS企業をはじめとしたBtoB企業を中心に利用されてきた。しかし、情報通信サービスやインターネット広告、メディア事業、リース・レンタルサービスなど、顧客と継続的に取引するあらゆる「継続型収益モデル」のビジネスでも、同様の価値を発揮できるものとの手応えを得たという。今後は複雑な事業構造や大規模なトランザクションにも対応できるプロダクトとして柔軟性と汎用性を高め、多様な事業領域および事業のステージごとに異なるニーズにも対応にしていきたいという。

またアルプは、販売実績や収益性、利用状況、顧客とのコミュニケーション状況などの相関性を分析して収益最大化を支援する新たなサービス「Scale Analytics(仮称)」の提供を2022年内に予定している。

Scale Analyticsは、継続型収益モデルの知見と収益拡大のノウハウを持つデータサイエンティストらが企業の各種実績データを横断的に分析し、アップセル・クロスセルの機会を抽出することで事業の収益成長をサポートする。アクションの効果測定や継続的実施のためのダッシュボードを提供し、サービス終了後も社内で改善し続けられる仕組みを構築する。

スポティファイ、Hi-Fiサブスク提供の遅れがライセンス問題に関係していることを示唆

Spotify(スポティファイ)のCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、ストリーミングサービスのHi-Fiサブスクの開始延期が、ライセンス問題に関連していることをほのめかした。2月2日に行われたSpotifyの四半期および年間収益発表会で、エク氏はアナリストや投資家に対して、Hi-Fiサービスの計画についてあまり話すことはないとしながらも、議論は進行中であると述べた。

Spotifyが約束どおりHi-Fiサービスを一般に提供できなかったことに関する直接的な質問に対して、エク氏は曖昧な答えだけを述べ、次に進んだ。

「私たちが話している機能の多くは、特に音楽に関連するものでライセンスに行き着きます」と、エク氏は投資家に語った。「だから、これを市場に出すためにパートナーと常に対話をしているということ以外、これに関して具体的に発表することはできません」。

2021年2月、Spotifyは新しいハイエンドサブスクサービスを展開する計画を発表した。同社は、Spotify HiFiが2021年中に開始され、Spotify Premiumの加入者に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を聴くオプションを提供すると発表していた。Spotifyはまた、Hi-FiサービスはSpotify Connect対応スピーカーを含む、デバイス間で動作すると述べていた。同社は、価格やどの市場がこの新しいサブスクをサポートするかなど、詳細な情報は提供しなかった。しかし、このサービスはPremiumの「add-on(アドオン)」として提供される予定だった。つまり、通常のPremiumサブスクよりも高い費用がかかるということだ。この計画は、競争環境の変化によって複雑になる可能性があった。

この延期された機能に関するエク氏のコメントは、2021年12月、この機能に関するスレッドが数百ページにもおよぶ怒りの書き込みに爆発した後、Spotifyの担当者が同社のコミュニティフォーラムに残したものに続くものだ。

「私たちは、Hi-Fi品質のオーディオがあなたにとって重要であることを知っています」と、コメントはいう。「私たちも同じように感じており、将来的にSpotifyのHi-Fi体験をPremiumユーザーに提供できることを楽しみにしています。しかし、まだ共有できるタイミングの詳細はありません。もちろん、可能な限りここでアップデートします」。

なお、Spotifyのロスレスサブスクの噂は、ストリーミングサービスがSpotify HiFiという新しい有料オプションの導入を考えていることが明らかにされていた2017年に遡る。当時、この機能は月々5〜10ドル(約570〜1150円)の追加料金がかかると噂されていた。

SpotifyのHi-Fi層の導入が遅れているのは、Apple Music(アップルミュージック)とAmazon Music(アマゾンミュージック)の両社がその顧客向けにハイファイストリーミング機能をリリースしているためだ。2021年6月、Apple(アップル)は追加料金なしでApple Musicのサブスクに、ロスレスオーディオストリーミングとDolby Atmos(ドルビーアトモス)をサポートするSpatial Audio(スペイシャルオーディオ)の提供を開始した。Apple Musicの7500万曲以上の全カタログがロスレスオーディオに対応している。ロスレスオーディオは、CDクオリティの16ビット/44.1 kHzから始まり、24ビット/48 kHzまで対応する。オーディオマニアは、24ビット/192kHzまでのハイレゾロスレスも選択できる。

一方、Amazonは2019年にロスレスオーディオストリーミングを備えたサブスクAmazon Music HDを月額5ドル(約570円)の追加料金で開始した。2021年5月には、対象となるAmazon Music Unlimitedの加入者全員に、Amazon Music HDを追加料金なしで提供するようにした。Amazon HDは、ビット深度16ビット、サンプルレート44.1kHz(CD品質程度)で楽曲をストリーミングする。一部の楽曲はUltra HD、つまり24ビット、最大192kHzのサンプルレート(CD品質以上)でストリーミング配信される。

ハイファイストリーミングの開始は、オーディオファン向けにより高品質なストリームでを提供してきた音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の脅威に対抗する方法と考えられている。Tidalは、加入者数では業界トップの音楽ストリーミングサービスに及ばないが、その存在は、より質の高い音楽を求める需要があることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

サブスクリプション収入の指標となるが不具合の危険もある「スプレッドシート」の撲滅を目指すSubscript

Sidharth Kakkar(シッダールト・カクカー)氏は、巨大なスプレッドシートに頼ることの苦痛をよく知っている。同氏が前に設立したFreckle Education(フレックル・エデュケーション)では、全員が使用していたデータの詰まったマスタースプレッドシートが読み込めなくなったり、コンピュータがクラッシュしたりする事態が発生した。

同氏の会社は最終的に買収されたが、この悩ましい問題は彼の心に残った。そこでカクカー氏は会社を離れた後、他の企業が「スプレッドシートの悪夢」と呼ばれる問題にどのように対処しているかを知るために、取材を始めた。

「私が気に入っていることの1つは、ある会社を上場させたCFOの話です。説明会の際に、人々はすべてのコーホートを要求し、彼のチームは説明会のためだけにコーホートを作ることに熱中したものの、文字通り2度とそれらを使うことはありませんでした」と、カクカー氏は振り返った。

そしてカクカー氏は、最初のBizOpsで採用したMichelle Lee(ミシェル・リー)氏とともに、2020年12月にサブスクリプション・インテリジェンスのスタートアップ企業であるSubscript(サブスクリプト)を起ち上げることにした。

Subscriptは、サブスクリプションでサービスを提供しているSaaS企業をターゲットに、CRMや総勘定元帳、課金製品からデータを取得して整理するAPIを開発し、データが見つけやすいように整理するだけでなく、最新のサブスクリプション収益指標を提供する。

カクカー氏によると、サブスクリプションビジネスは最近「馬鹿げたブーム」になっているという。しかし、顧客の再利用や継続利用という考え方は好んでも、誰もがビジネス上の意思決定にサブスクリプションという言葉を使いたがっているわけではない。

Subscriptはまだベータ版ではあるものの、First Round(ファースト・ラウンド)が主導する375万ドル(約4億3000万円)のシード資金を調達した。このラウンドには、Plaid(プレイド)のCTOであるJean-Denis Greze(ジャン=ドゥニ・グレーゼ)氏、Pilot(パイロット)の創業者であるWaseem Daher(ワスィーム・ダヘーア)氏、CircleCI(サークルCI)とDark(ダーク)の創業者であるPaul Biggar(ポール・ビッガー)氏、Postman(ポストマン)の成長部門責任者であるJesse Miller(ジェシー・ミラー)氏、Gusto(グスト)の成長部門責任者であるAllen Wo(アレン・ウォー)氏など、40人のエンジェル投資家が参加した。

Subscript製品のダッシュボード(画像クレジット:Subscript)

Subscriptでは、カスタムデータパイプラインを作成し、そのパイプラインによって、カクカー氏が「Revenue Source of Truth(真実の収益源)」と呼ぶものを作成する。例えば、誰かがSalesforce(セールスフォース)で100万ドル(約1億1500万円)の予約案件を成立させた場合、このシステムは一時的な収益と経常的な収益を分けて表示する。財務担当者はそれを見て最終的な判断を下す。

そこから、ユーザーは投資家や取締役会、リーダーシップチームがデータに基づいた意思決定を行うために必要なデータを切り分けることができる。

「リーダーシップチームが注目している大きな意思決定ポイントを把握し、それを軌道修正にも使用することができます」と、カクカー氏はいう。「四半期の途中で、数字を達成できるかどうか、どこに向かっているのか、状況はどうなっているのかが、わからなくなる時があるものです」。

Subscriptは現在、Circle(サークル)やFlipcause(フリップコーズ)など21社の顧客と提携しており、1億ドル(約115億円)を超える顧客の収益を追跡している。カクカー氏によると、社内ではこの数字をビジネスの規模を示すものとして見ているという。

Subscriptは現在、ベータ版を公開しているところで、新たな資金はチームと製品の構築に充てる予定だという。同社はまだ初期段階であり、複雑な製品を構築しているため、エンジニアリングや市場サポートを積み上げていくためには、人手を増やすことが重要だとカクカー氏は述べている。

「このモデルは非常に一般的になってきています」と、カクカー氏付け加えた。「この種のビジネスは非常に複雑なので、私たちは真っ先に取り組んでいますが、ソフトウェアなしでは不可能です」。

画像クレジット:jayk7 / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本のお菓子をサブスクで届けるBokksuが25億円調達、伝統的なアジアの食料品配達事業も拡大

Bokksu(ボックス)のCEOであるDanny Taing(ダニー・タン)氏は、常に日本の食と文化に夢中で、大学卒業後に東京に移り住み、そこで4年間暮らした。タン氏は大好きな日本のお菓子をスーツケースにたくさん入れてニューヨークに戻り、友人たちと分け合った。そして、他の米国人も日本のお菓子が大好きなのに、米国でそれを見つけたり購入したりする方法がないことに気づいた。

タン氏は2015年にBokksuを設立し、2016年に日本のお菓子のサブスクリプションサービスを開始した。100カ国超の顧客に100万個以上の日本のお菓子のサブスクリプションボックスを届けたBokksuは、2018年にプレミアムな日本のライフスタイル製品のデジタルマーケットプレイスBokksu Marketを立ち上げた。また、2021年にはオンライン食料品店Bokksu Groceryをオープンし、誰もが簡単に本物のアジア食材を見つけて購入できるようにした。

「100万個の(サブスクリプション)ボックスを届け、他の方法では決して試すことのなかった食品を発見して食べることを顧客がどれほど愛しているかを目の当たりにしました。私は本物のアジアのメーカーがさらにリーチを広げるのをサポートするために、より多くの方法を見つけようという気になりました」と、タン氏は話した。

ニューヨークと東京に拠点を置くBokksuは現地時間1月25日、アジアの伝統的な製品が世界中の人々に届くよう支援し、文化の架け橋となるべく、評価額1億ドル(約114億円)での2200万ドル(約25億円)のシリーズAを発表した。このラウンドはValor Siren Venturesがリードし、Company VenturesSt. CousairWorld Innovation Lab(WiL)、Headline AsiaGaingelsが参加した。

「今回の資金調達により、Bokksuは創業時をはるかに超える水準で資本を増強することができ、提供する製品の迅速な拡大や納期の改善を図るとともに、チームを増強することができます」とタン氏は話した。

調達した資金でBokksuはサブスクリプション、マーケット、グロサリーという主要なビジネスラインを加速させることができる。同氏によると、Bokksuは食料品を米国とカナダに出荷しているが、サブスクリプションとマーケットサービスは、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ドイツ、シンガポール、スウェーデン、オランダを含む100カ国以上に提供しているとのことだ。

Bokksuは2018年から連続して前年比100%の成長を遂げており、今後も継続的な成長が期待できる、とタン氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:Bokksu

Bokksuが競合他社と異なるのは、日本で何十年も生産しているスナックメーカーのストーリーを伝えることにこだわっていることだとタン氏は話す。また、100社超のスナックメーカーと独占的提携を結んでいて、つまり顧客は他では手に入らないスナックをBokksuのプラットフォームで見つけることができる。

同氏はまた、Bokksuを始めた当初、日本の伝統的なスナックメーカーがその技術を世界に伝える手助けをすることが目標だったと語った。米国とアジアの両方で暮らした経験から、多くの米国人は日本について、芸者やポケモン、寿司といった表面的な理解しか持ち合わせていないことに気づいた。そして、Bokksuを通じて、日本の豊かな文化や歴史をもっと多くの人に知ってもらいたいと考えた。

Bokksuの食料品サービスは、UmamicartやWee!、そしてHMartやSunrise Martといった既存の食料品店と競合する。Bokksu Groceryは全国配送と適正価格の両方を提供すると同氏は述べた。

「最も興奮しているのは、最近のBokksu Grocery立ち上げです。これは、民族性や場所、アジア料理に関する知識などに関係なく、すべてのアメリカ人がアジア食材をより身近に感じられるようにするものです」。

World Innovation Labのゼネラルパートナー兼CEOである伊佐山元氏は「大都市圏を中心に展開する競合他社と異なり、Bokksuは全国配送を通じて幅広いファンに本物のアジアの商品と体験を届けています」と述べた。「多くのアジア系eグローサリープラットフォームは主にアジア人によって利用されていますが、Bokksuの忠実な顧客層の大半はアジア料理についてもっと知りたいと思っている非アジア人であり、Bokksuにはより大きな獲得可能市場があります」。

オンライン食料品部門は過去数年間成長し、大規模な投資を集めてきた。伊佐山氏は「eグローサリーマーケットは、スピードと利便性に重点を置き、食料品購入をより手間のかからないものにすることに注力してきました。今後、eグロサリー企業は、顧客が新しいもの、例えばスナックやフレーバーを探求し、食を通じて個々の栄養ニーズを満たすことをサポートするようになると予想しています」とTechCrunchに語った。

Valor Siren Venturesのパートナー兼ファンドマネジャーのJon Shulkin(ジョン・シュルキン)氏は「Bokksuが事業を拡大するにあたり、パートナーとして協力できることをうれしく思っています」と述べた。「Bokksuのチームは、短期間のうちに本物かつ目的志向のブランドを構築しました。厳選された商品とグルメ体験を日本から世界へ提供する彼らの成功により、Bokksuはアジア食品のためのプレミアムな目的地となる、破壊的なD2C食料品プラットフォームを構築する潜在可能性を持っていると確信しています」

Bokksuのサブスクは月額49.95ドル(約5690円)で、米国などほとんどの国で送料無料だ。また、複数月の前払いでさらにお得になるオプションもある。3カ月プランは月44.95ドル(約5120円)、6カ月プランは月42.95ドル(約4890円)、12カ月プランは月39.95ドル(約4550円)だ。

画像クレジット:Bokksu

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが新機能を続々開発中、アバター、ライブオーディオストリーム、クリエイター向けツールなどが見つかる

TikTok(ティックトック)が数多くの新機能を開発している。Bitmoji風のアバター、For Youページのキーワードによるフィルタリング、チャット、オーディオオンリーのライブストリーム、ライブストリーム中の画面共有、そしてクリエイターがサブスクライバー専用のエモートやサブスクライバー専用のコメントセクションを作ることができるTwitch風サブスクリプション機能などだ。一連の開発途上機能は、ソーシャルメディアアナリストのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が見つけた。

この手のリークはそのまま受け取ることはできない。TikTokが新しいアイデアをいろいろと試していることは、それがアプリに反映されるという意味ではないからだ。それでも開発中の機能はプラットフォーム計画のヒントを与えることがある。

「私たちは常に、コミニュティに価値をもたらしTikTok体験を豊かにする新しい方法を考えています」とTokTok広報担当者はいう。その担当者はこれらの機能が実際に検討されていることを認めたが、TikTokが新しいアイデアを試している時、ユーザーのフィードバックを得ることが最終目標だと強調した。最終結果(採用された場合)がリークで見たものと大きく変わることもある。

リークされた機能の中には、有料クリエイターサブスクリプションのようにすでに何らかのかたちで公開テストされているものもある。しかし、サブスクライバー専用のエモートやコメントセクション(Twitchからの完全な借り物)は、これも最近TikTokがテストしているデスクトップストリーミングソフトウェアであるTikTok Live Studioとの関係を踏まえると理に適っている。キーワードフィルタリングは、Twitter(ツイッター)のミュートに似た機能で、For Youページを整理しようとしているTikTokの現在進行中の取り組みの一環として以前にも言及されている。

関連記事:TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る

「For Youフィードで見たくないコンテンツに関連したワードやハッシュタグを指定できる機能を開発しています」とTikTokが12月のブログ記事で述べている。

リークした他のアイデア、アバターオーディオオンリーのライブストリームなどは、TikTok拡大計画の別の方向性を示している。ライブストリームビデオができるなら、ライブオーディオへの関心を(少々遅いが)収益化しない手はない。それに、そろそろTikTokでグループメッセージができても良いころだ。

画像クレジット:SOPA Images Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Spotifyは依然としてトップの音楽サービスだが、市場シェアは減少中

音楽ストリーミングは、世界中で成長を続けている。エンターテインメント調査会社MIDiAの新しいレポートによると、2021年第2四半期時点で5億2390万人が音楽ストリーミングサービスに加入している。前年から1億950万人(26.4%)の増加だ。

Spotify(スポティファイ)は依然として最も加入者数の多いストリーミングサービスで、マーケットの31%を占めているものの、そのシェアは非常にゆっくりと減少している。2020年は33%、2019年には34%だった。2021年第2四半期までの1年間で、Spotifyは競合他社よりも総加入者数を増やしたが、Spotifyの成長が20%だったのに対し、Amazon Musicは25%だった。一方、Google(グーグル)のYouTube Musicは2021年第2四半期までの1年間で50%以上成長し、欧米のストリーマーで唯一、世界マーケットにおけるシェアを伸ばした。Tencent Musicを運営する中国のゲーム大手Tencent(テンセント)は、Amazon Musicと同じシェアを有している。

画像クレジット:MIDiA

Amazon MusicとApple Musicのシェアは今後も伸びるかもしれない。というのも、同レポートは2021年第2四半期までしかカバーしていないため、5月にAmazonAppleにロスレスオーディオが導入された影響は表れていない。Spotifyは1年近く前に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を提供するSpotify Hi-Fiというハイエンドのサブスクリプションを立ち上げる、と予告していた。しかし、同社はこのプロダクトがいつ利用できるようになるのか、まだ明らかにしていない。

それから、より高品質なオーディオ体験を求める消費者をターゲットにしてきたTidalがある。Tidalのロスレスオーディオの料金は月額9.99ドル(約1100円)で、Apple Musicと同額、Amazon Musicより月額2ドル(約230円)高いだけだが、MIDiAのレポートによると、Tidalの世界マーケットシェアは2%未満だ。Jay-Zが設立し、後にBlockが買収したTidalは「アーティストが意図したとおりに」(つまり、極めて優れた音質で)アーティストが音楽を共有できるようにするサービスとして売り込んでいる。

画像クレジット:Tidal

しかし、Blockの下では、アーティストに優しいストリーミングサービスという考え方は音についてだけではない。現在、同社は音楽ストリーミングをアーティストにとってより収益性の高いものにする方法を試行中だ。2022年に入り、TidalはHiFi Plus(月額19.99ドル[約2300円])という最も高いプロダクトにファン中心型のロイヤリティを導入した。このプロダクトでは、ユーザーの購読料の10%が、最もよく聴いているアーティストに直接支払われる。

この動きは、マスター品質のオーディオよりもアーティストへの支払いを重視する新規加入者の獲得につながるのだろうか。試してみる価値はあるだろう。なにしろ、(ユーザー中心型の支払いを実現しようと取り組んでいる)Deezerは丸々2%というTidalよりも多いシェアを手にしている。

画像クレジット:alengo / Getty Images under a RF license.

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi