SafeBaseはソフトウェア販売のセキュリティ監査プロセスを迅速化するポータルを提供

どんな企業でも、購入を決めるサインをする前にソフトウェア・ベンダーのセキュリティ認定を確認する必要がある。そのためには通常、NDA(秘密保持契約書)に署名し、侵入テストレポートやSOC-2コンプライアンス認証などの文書を要求するという、非デジタルで面倒なプロセスをともなう。このプロセスは、潜在顧客がベンダーのセキュリティ姿勢をチェックする間、販売を遅らせてしまう可能性がある。

SafeBase(セーフベース)の共同設立者兼CEOであるAl Yang(アル・ヤン)氏によると、同社は営業チームと協力し、販売プロセスにおける従来のボトルネックとなっていた部分を迅速化したいと考えているという。「私たちの目標は、ベンダーとバイヤーの間の相互信頼を高めることです。販売サイクルを短縮するために、私たちはベンダーに焦点を合わせています」とヤン氏は説明する。

ヤン氏は、自分の会社をセキュリティの要約書と考えている。同社が、ベンダーとなる会社のセキュリティ姿勢を、バイヤーとなる企業に提示することで、プロセスをより前向きかつ透明性の高いものにし、最終的には販売を促進させることができると、同氏は語っている。SafeBaseは、セキュリティ監査の全ステップを1カ所で行うことができるポータルを関係者たちに提供することによって、これを実現している。

それは一種の自動化されたワークフローとして機能する。最初のステップはNDAへの署名だが、これはポータルで行うことができ、法的な承認と電子署名を1カ所で得ることができる。これが文書確認のトリガーとなる。プロセスを進めていくと、ダッシュボードに進捗状況やまだやるべきことが表示される。

SafeBaseのセキュリティ監査ポータル(画像クレジット:SafeBase)

ヤン氏によれば、彼らはSecurityScorecard(セキュリティスコアカード)のようなセキュリティスコアリング会社と競合することはあまりなく、一緒に仕事をしているという。セキュリティスコアは、企業がベンダーのセキュリティを判断する際に利用できる情報の1つだが、SafeBaseはそのスコアの背後にある詳細を提供すると、ヤン氏は述べている。

SafeBaseのアイデアは人気を博している。2020年に起ち上げた会社でありながら、すでに100社以上が同社の製品を利用しており、ヤン氏によれば、ARR(年間経常収益)はこの半年で7倍に成長したという。同社の顧客にはLinkedIn(リンクトイン)、Snyk(スニーク)、Instacart(インスタカート)などが含まれている。

このスタートアップ企業の従業員数は最近、ほぼ倍増して15人になったが、新たな資本調達でさらに雇用を増やす計画があるという。多様性は成長企業にとって単なるチェックボックスではなく、コアバリューであると、ヤン氏はいう。多くの企業がシリーズBに入るまで人事部長を雇用しないのに対し、SafeBaseは早期にその役割に投資したことで、多様な人材の採用を推進することができたと、ヤン氏は語っている。

同社のマーケティングを担当するMacy Mody(メイシー・モディ)氏は、多様性は採用から始まると語る。「私たちの場合、採用候補者のパイプラインに起因するところが大きいと思います。私たちはその役割に最適な人材を採用する必要がありますが、その役割に最適な人材とは誰でもあり得るのです。では、どうすればさまざまな種類の候補者を引き寄せることができるでしょうか。私たちはそのために、さまざまな場所に求人情報を掲載することに力を入れ、偏りのない採用を心がけています」と、モディ氏は説明する。

同社は米国時間3月10日、1800万ドル(約21億3000万円)のシリーズA資金調達を発表した。この投資ラウンドはNew Enterprise Associates(ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ)が主導し、Y Combinator(Yコンビネーター)とComcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)が参加した。

画像クレジット:Golden Sikorka / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新たな「ポストサブスクリプションSaaS」の時代に向けて見積から収益へのアプローチを改善するSubskribe

ほとんどのサブスクリプション型SaaSの価格戦略では、一定のシート数のみ使える無料版、より多くのシート数が使えるプロ版、そして大企業を対象としたエンタープライズ版が用意されている。

しかし、その中間に位置する企業、つまり、無料版の10シートの範囲を少しだけ超えるが、プロ版を使う価値があるほどの急成長は望めない企業はどうすればいいのだろうか?

Subskribe(サブスクライブ)は「見積りから収益まで」のプロセスに柔軟性をもたらすスタートアップ企業だ。これまで営業担当者は、ソフトウェアの見積を作成する際に、情報がさまざまな場所に散らばっていると、それらを調整して、サブスクリプションや単発のサービスを請求することが難しい時があった。

同社は、Google(グーグル)に勤務していたDurga Pandey(デュルガ・パーンデー)氏が、元Zuora(ズオラ)のエンジニアリングディレクターだったYibin Guo(イーピン・グオ)氏、元Okta(オクタ)ビジネステクノロジー担当シニアディレクターだったPrakash Raina(プラカシュ・ライナ)氏とともに、2020年に設立した。

「誰もがリカーリングの収益モデルを好みますが、顧客は月額10ドル(約1150円)払えるなら5000ドル(約57万円)のライセンス料を払いたいとは思いません」と、パーンデーCEOはTechCrunchに語った。「この10年間で、SaaSのビジネスモデルは大きく変わりました。以前は、Netflix(ネットフリックス)のサブスクリプションに似ていました。現在のソフトウェアの販売方法は、400分で毎月40ドル(約4600円)を支払う携帯電話のプランによく似ています」。

これに対し、Subskribeのテクノロジーは、適応性の高い見積 – 収益システムとして設計されており、営業担当者は、使用量の増加に応じて割引率を高めたり、創造的なアップセルやクロスセルを追加して、より効果的な取引を構成することができる。

画像クレジット:Subskribe

見積もりから請求までのプロセスの各部分は、ダイナミックオーダーの同じリポジトリーを参照するため、端から端まで統一された体験となる。その結果、企業は自社の成長に合わせて最適化された取引を得ることができ、結局より少ない費用で済むようにもなると、パーンデー氏は続けた。

同社は米国時間2月17日、少数の顧客とともに正式にサービスを開始した。同社は8VCが主導したシリーズAラウンドと、Slow Ventures(スロー・ベンチャーズ)が主導したシードラウンドで、1840万ドル(約21億1000万円)の資金を調達している。このラウンドには、Amplitude(アンプリチュード)、Asana(アサナ)、Coupa(クーパ)、Dialpad(ダイアルパッド)、Okta(オクタ)、Plaid(プレイド)、UiPath(ユニパス)などの企業の財務・業務担当上級幹部が参加した。

パーンデー氏は、この新たな資金をエンジニアリングチームの拡大に充てる他、顧客基盤の拡大と製品開発にも注力することを計画している。

Subskribeは販売開始からまだ4カ月しか経っていないため、同氏は成長の指標についてあまり語ることができなかったが、しかし顧客のパイプラインには契約間近の大手企業がいくつかあると述べている。

「私たちの目標は、この分野におけるデファクトプレイヤーとしての地位を確立し、お客様がお金を稼ぐためのプロセスをあまり気にしなくて済むようになる製品を提供することです」と、パーンデー氏は付け加えた。

画像クレジット:Subskribe / Subskribe co-founders Prakash Raina, Durga Pandey and Yibin Guo

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがサイバーセキュリティSiemplifyを買収、Google CloudのChronicleの一部に

サイバーセキュリティ侵害の件数は高水準で推移しているため、法人ITにおける信用とビジネスの拡大を真剣に考える企業は、この問題に取り組むために投資を続ける必要がある。そのため、Google(グーグル)は、クラウドベースおよび法人向けセキュリティの事業を強化することで、新年をスタートさせようとしている。同社は米国時間1月4日、イスラエルに拠点を置くサイバーセキュリティのスタートアップSiemplify(シンプリファイ)を買収したことを明らかにした。Siemplifyは、企業向けのエンド・ツー・エンドのセキュリティ・サービス、一般にセキュリティ・オーケストレーション、自動化、対応(SOAR)サービスと呼ばれるものに特化している。

この買収は、イスラエルのメディアですでに報道され噂されていたが、今回、GoogleそしてSiemplifyのCEOで共同創業者のAmos Stern(アモス・スターン)氏がともに買収を認め、SiemplifyがGoogle Cloud Platformに、具体的にはそのChronicle業務に統合されることを明らかにした。

GoogleとSiemplifyは、買収価格についてのTechCrunchの質問には答えなかったが、この取引に近い情報筋は5億ドル(約580億円)だと明らかにした(この数字は、先の報道でも言及されている)。

Chronicleはもともと、Googleの古いムーンショット取り組みであるGoogle「X」とともに、法人向けセキュリティ企業として設立された。検索大手であるGoogleが、クラウド市場2強のMicrosoft(マイクロソフト)のAzureとAmazon(アマゾン)のAWSを猛追しようと、クラウドサービス事業を中心に機能やサービスを拡充して法人売上高の拡大を図る一環として、Chronicleは2019年にGoogle Cloud経由でGoogle本体に移行した

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Siemplifyは2019年5月に最後のラウンドを実施し、合計5800万ドル(約67億円)を調達した。投資家にはGeorgian、83North、Jump Capital、G20 Venturesの他、多数の個人も含まれていた。Siemplifyは現在、本社をニューヨークに置いているが、同社はイスラエルで創業し、現在も同国に研究開発部門を持っている。そのため、今回の買収はGoogleにとって初の米国外でのサイバー企業買収ということになる。

Googleの買収は、サイバーセキュリティの世界において重要な時期に行われた。全体像として、サイバーセキュリティ侵害が衰える兆しがないのは、悪意のあるハッカーがこれまで以上に巧妙な手口で仕掛け、そして組織や消費者がインフラや日常の活動をますますオンラインやクラウドに移行させているためにターゲットがますます魅力的なものになっていることに起因している。

Chronicleは、サイバーセキュリティの遠隔測定用プラットフォームとして構築された。具体的には、あらゆるデバイスやネットワーク上のデータの動きを追跡し、侵害を検知・阻止するためのてがかりを得る方法となる。SOARプラットフォームは、この活動の顧客インターフェース要素であり、セキュリティ運用の専門家が活動を管理・監視し、(自動または手動の)修復プロセスを開始し、将来同じことが起こらないようにするためにすべてを記録するのに使用される。Googleがより多くの顧客を獲得するためにサービスや自動化を追加していく中で、SOARの機能を増やすことは同社にとって論理的な次のステップだ。

「Siemplifyプラットフォームは、セキュリティチームがリスク管理を強化し、脅威に対処するためのコスト削減を可能にする直感的なワークベンチです。Siemplifyは、セキュリティオペレーションセンターのアナリストがエンド・ツー・エンドで業務を管理し、サイバー脅威に迅速かつ正確に対応し、アナリストとの対話を重ねることでより賢くなることを可能にします。この技術はまた、ケースロードの削減、アナリストの生産性の向上、ワークフロー全体の可視性の向上により、SOCのパフォーマンスを改善します」とGoogle Cloud SecurityのGMであるSunil Potti(スニル・ポッティ)氏は買収を発表したブログの中で書いている。「Siemplifyの機能をChronicleに統合するのは、企業のセキュリティ運用の近代化と自動化を支援できるようにするためです」。

画像クレジット:Beata Zawrzel/NurPhoto / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

溢れる企業のデータを整理整頓しすぐ有効に使えるようにする、ノーコードのデータパイプライン「Hevo」が約34.2億円調達

企業が日々生成する大量のデータを整理整頓して有効利用に備えるSaaSを提供しているHevoが、その好調な1年の締めくくりとして3000万ドル(約34億2000万円)の資金を調達した。

サンフランシスコとベンガルールに本社を置く同社の3000万ドルのシリーズBは、Sequoia Capital IndiaがリードしQualgroやLachy Groom、Chiratae Venturesなど多くの投資家が参加した。これで、創業5年の同社の総調達額は4300万ドル(約49億1000万円)になった。

企業には、マーケティングやエンジニアリング、デザインなど多くの部門があり、それぞれが自分の業務のためにさまざまなサービスやプラットフォームを利用している。しかしそれらが日々生成するデータは、各部門のサイロに収容されているので、全体としてのリアルタイムの可視性を欠き、次の行動や意思決定の助けにならない。

Hevo Dataが作ったデータパイプラインは、さまざまなソースからのデータの統合と取り込みをとても簡単なものにし、それらを1つのダッシュボード上に可視化する。また、さらにそれらのデータをSnowflakeやGoogle BigQuery、Amazon Redshiftなどのクラウドデータウェアハウスに入れる。同社のCEOで共同創業者のManish Jethani(マニッシュ・ジェタニ)氏が、インタビューでこう説明してくれた。

「企業は社内のいろいろなところで、いろいろなタイプのソフトウェアを使っていますが、そのデータに他の部門からもアクセスできなければ、自分のところのデータの本当の意味すら理解できません」。それは、人体における血液の流れと一緒だと彼はいう。

「たとえばマーケティングに何千ドルも投資したら、実際に買った人と買わなかった人の数や購入の頻度を知る必要があります。購入単価も知りたい。これらのデータから、今後の適正なマーケティング予算がわかってくる。そしてこれだけの知見のために、マーケティングと受注のデータ、財務データ、それに顧客サポートのデータも必要になります」。

ジェタニ氏は、彼の以前のスタートアップGrofersに売ったSpoonJoyで、このような問題に苦戦していた。Grofersというやや大きなスタートアップで知ったのは、大きな企業でもデータの問題に悩んでいるということだ。ジェタニ氏によると、AmazonやFlipkartぐらい大きくなれば、独自のワークフローと大きなデータ専門部署を作って対応しているだろうという。

同社が提供するサービスは販売CRM、広告チャネル、マーケティング技術、財務システムソフトウェア、顧客サポート製品など、複数の異種ソースやアプリケーションからのデータを組み合わせて、ビジネスと顧客に関する360度のビューを構築すると、ジェタニ氏はいう。

Hevoが提供する人気のインテグレーション例。

Hevoの付加価値の1つは、ノーコードプラットフォームであることだ。データを中央のハブに流すための統合を確立するのに、個人はそれほど時間をかけず、また技術的な理解も必要ないという(例えば、IFTTTでアクションを設定するのと同じくらい簡単にアクセスできる)。Hevoはデータベース、SaaSアプリケーション、クラウドストレージ、SDK、ストリーミングサービスなど、100以上の統合機能をあらかじめ備えている。

同社は、40カ国以上の複数のカテゴリーで1000社以上の顧客を獲得しており、今後、より大きな市場を開拓するために、新たな資金を新製品開発に投じる予定だ。Hevoは、この1年間に500%という驚異的な成長を遂げたという。同社が取り組んでいる新商品の1つに、ユーザーが収集したデータを分析できるようにするインサイトプラットフォームがある。

また「Reverse ETL」と呼ばれるプロダクトも開発中で、これは分析以外の用途でも顧客のデータ活用を支援することを目的としているという。

「データは、この10年間で最も重要なビジネスインプットの1つになっています。Hevo Dataは、データの双方向モビリティを実現するための基盤インフラを構築しています」と、Sequoia IndiaのMDであるTejeshwi Sharma(テジェシュウィ・シャルマ)は声明で述べている。

「組織内でモバイルデータが増えれば増えるほど、その有用性は高まります。私たちは、同社の製品DNAに感銘を受けました。広く愛されている製品の秘密は、洗練された技術と消費者レベルの体験という二面性を兼ね備えていることなのです。Sequoia Capital Indiaは、Hevoとのパートナーシップをさらに強化し、シリーズBラウンドをリードできることをうれしく思っています」。

画像クレジット:Hevo

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

配管工、電気工事士、機械工向けビジネス管理ツールを提供するFuzey

ロンドンを拠点とし、中小企業や個人事業主向けに「デジタル・ワンストップ・ショップ」と呼ばれるサービスを提供しているFuzey(フュージー)が、450万ドル(約5億1000万円)のシード資金を調達した。

このラウンドは、byFounders(バイファウンダーズ)が主導し、Flash Ventures(フラッシュ・ベンチャーズ)、Global Founders Capital(グローパル・ファウンダーズ・キャピタル)、Ascension(アセンション)の他、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーであるStephane Kurgan(ステファン・クルガン)氏、Amplo VC(アンプロVC)の創業者兼CEOであるSheel Tyle(シール・タイル)氏などのエンジェル投資家グループが参加した。

今回のラウンドにより、同社はHenrik Lysgaard Jensen(ヘンリク・リスガード・ジェンセン)氏とAlex Boyce(アレックス・ボイス)氏が2020年に設立以来、総額520万ドル(約5億9000万円)の資金調達を行ったことになる。また、この投資の一環として、byFoundersの投資家であるSara Rywe(サラ・ライウェ)氏と、Flash VenturesのパートナーであるLorenzo Franzi(ロレンツォ・フランジ)氏が、同社の取締役に就任した。

CEOのリスガード・ジェンセン氏とCOOのボイス氏は約2年ほど前に出会い、中小企業のデジタル化を支援することで意気投合した。配管工、電気工事士、機械工などの小規模事業者をターゲットにしている理由について、リスガード・ジェンセン氏は「ローカルビジネスはすべてのコミュニティのバックボーンである」と信じているが、ビジネス管理用に開発されたツールの多くは、このような事業者には手が届かないし、またこのような事業者を念頭に置いて設計されてもいないからだ。

他にもこのような種類の事業に注目しているスタートアップ企業はある。11月に1500万ドル(約17億円)を調達したPuls Technologies(プラス・テクノロジーズ)のモバイルアプリは、職人とオンデマンドの住宅修理サービスをつなぐものだ。また、2021年初めに6000万ドル(約68億円)の資金調達を発表したJobber(ジョバー)のように、もっと規模の大きな企業もこの分野には存在する。

ボイス氏にとって、個人的にも特にこの分野には思い入れがあるという。同氏の母親は中小企業の経営者で、革製のノートを使ってビジネスを行っていたが、常にノートの紛失を恐れていたと説明する。

「これらは私たちが取り組んでいるテーマです」と、ボイス氏はTechCrunchに語った。「新型コロナウイルス感染症の流行期間中に、どうすれば私たちは変革の担い手になれるかを考えました。消費者の需要が変化し、人々がテクノロジーをより重視するようになり、地元の商店とさまざまな方法で関わりたいと思っている状況を見て目が覚めたのです」。

そうして同社が作り上げたツールは、請求書など従来は手作業で紙に書いて行っていたことを、中小企業向けにデジタル化するものだ。顧客とのコミュニケーション、支払い、マーケティング、カレンダーなどを1つのダッシュボードにまとめ、事業を管理し、オンラインのプロフィールを充実させることができる。

ユーザーの中小企業は、メッセージングからソーシャルメディアまで、さまざまな方法で顧客とコミュニケーションをとることができる。また、請求書を作成して即時に支払いを処理したり、リードジェネレーション(見込み顧客を獲得するための取り組み)を洞察する機能も用意されている。さらに、Fuzeyは文書のテンプレートやワンクリックカスタマーレビューも提供しており、簡単に顧客がレビューを残せるようにすることができる。

「レスポンスタイムは重要です。当社では、あらかじめ質問やコメントが定義されたレスポンステンプレートも用意しているので、顧客に迅速に対応することができます」と、リスガード・ジェンセン氏は述べている。「私たちは、この機能が20、30、40の時間的効果をもたらすと確信しています」。

6月に製品の販売を開始した同社は、今回の資金調達を製品開発と地域の拡大に活用する予定だ。Fuzeyはすでに、欧州、米国、カナダの一部の市場で事業を展開している。従業員数は現在10名で、顧客数、売上高ともに前月比で2桁の伸びを示している。

画像クレジット:Fuzey / Fuzey co-founders Alex Boyce and Henrik Lysgaard Jensen

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

企業がデータから得る各種予測をAIの力で洗練強化するContinual

今日のデータウェアハウス中心型のデータスタックに運用レベルのAIを導入しようとするContinualが米国時間12月16日、Amplify Partnersがリードするシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、Illuminate VenturesとEssence、Wayfinder、およびData Community Fundが参加した。この発表にともないContinualは、そのサービスを公開ベータで提供を開始した。その前の数カ月は、一定数の選ばれた顧客とともにテストを行っていた。

データウェアハウジング業界は売上ベースでは大きいが、実際にはSnowflakeやAmazon、Redshift、BigQuery、そしてDatabricksなど少数の企業が支配している。そのためこの市場は、それらのデータに対して独自のイノベーションを構築しようとするスタートアップにとって、取り組みやすい舞台だ。Continualの場合それは、企業に、予測モデルを構築するためのアクセスしやすいツールを提供することだ。

画像クレジット:Continual

ContinualのCEOで共同創業者のTristan Zajonc(トリスタン・ザイコン)氏は「Continualを利用すると今日的なデータチームがデータウェアハウスに対して、直接、しかも継続的にモデルの構築とメンテナンスと改良ができるようになります。実際、最も多いユースケースは、顧客チャーン(の動態把握 / 予測)やリードスコアリング(見込み客ランキング)、プロダクトレコメンデーション、在庫予測、予測的メンテナンス、サービス、オートメーションなどです。基本的にContinuallyは予測モデルと予測の両方をメンテナンスし、そのためにデータウェアハウスのデータを利用して、予測をそこへ書き戻す」という。

画像クレジット:Continual

ザイコン氏の以前のスタートアップであるSenseは、初期のエンタープライズプラットフォームで2016年にClouderaが買収した。また彼の共同創業者であるTyler Kohn(タイラー・コーン)氏はパーソナライゼーションサービスのRichRelevanceをつくり、2019年にManthan Systemに買収された。これらのスタートアップを創業しているとき2人の共同創業者は、エンタープライズにおけるAIプロジェクトの失敗率が高いことに気づいた。多くの場合、そんなプロジェクトは大きなチームを要し、プロジェクトの実行に大量のリソースを消費した。そしてその間、必要なAIのインフラストラクチャは果てしなく複雑になっていった。

「ビッグデータ(big data)の時代がビッグ複雑性(big complexity)の時代に変わろうとしていました。この問題を解決するために私たちはContinualを創業し、エンタープライズの運用AIを抜本的に単純化しようとしています。私たちは、クラウドデータウェアハウスの登場で、エンタープライズAIの構想を一新し、抜本的に単純化すべき機会が訪れていることを理解していました。データのインフラストラクチャには標準化が必要であり、今日的なデータスタックが勃興し広く普及し始めていました」とザイコン氏はいう。

Continualを使うとデータチームは、彼らの既存のSQLやdbt(data build tool)のスキルを再利用できる。そのために必要なのは、データウェアハウスにContinualを接続して、予測したい機能とモデルを宣言的に定義することだ。その際、ちょっと便利な機能は、予測をデータウェアハウスに保存してデベロッパーやアナリストが必要に応じてすぐにアクセスできることだ。

現在、このプラットフォームはSnowflake、Redshift、BigQuery、Databricksをサポートしており、チームの計画としては今後はdbtとこれらのデータプラットフォームとのパートナーシップを徐々に拡張していきたいという。ザイコン氏によれば、同社はデータ統合プラットフォームになる気はないとのことだ。

Amplify PartnersのDavid Beyer(デビッド・ベイヤー)氏は次のように述べている。「データから得られる予測的洞察を間断なく改善し続けることは、企業が効率的に稼働し、顧客への奉仕をより充実していくために欠かせません。しかしながらAIの運用化はごく一部の高度な企業を除いては永遠の課題であり続けています。Continualはデータチームの仕事の現場、すなわちクラウドデータウェアハウスに入り込み、これまでのやり方が要求する時間の数十分の一の時間で、彼らによる予測モデルの構築とデプロイと継続的改善ができるようにします。私たちが彼らに投資したのは、彼らのアプローチが抜本的に新しくて、AIをエンタープライズで活用するための正しいやり方と信じているからです」。

今回の投資で同社は、次の2年間でチームの人員を倍増し、またそのプラットフォームを自然言語処理のサポート、パーソナライゼーション、リアルタイムのユースケースなどで拡張する計画だ。

画像クレジット:Continual

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

企業のXRデバイス管理を支援するプラットフォーム「ManageXR」

ManageXR(マネージXR)は米国時間12月16日、Rally Ventures(ラリー・ベンチャーズ)が主導するシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達し、ベンチャーパートナーで前回のリードエンジェル投資家であるJay Borenstein(ジェイ・ボーレンスタイン)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。

この資金を使って、ManageXRはチームの拡大とGo-To-Market戦略を推進する予定だ。同社は2019年11月にベータユーザーに提供を開始し、2021年4月に正式にローンチして以来、急速に成長を遂げている。このスタートアップ企業は、世界中でハードウェアおよびソフトウェア企業のパートナーネットワークを拡大する方法を引き続き模索していくと、創業者兼CEOであるLuke Wilson(ルーク・ウィルソン)氏はTechCrunchに語り、2022年は大企業により注力するつもりだと付け加えた。

ManageXRは、組織の中核インフラとして機能するVRおよびARデバイス用に設計された企業向けデバイス管理プラットフォームを構築した。このプラットフォームは、企業のXR展開を拡張し、アプリやファイルの配布、ホーム画面のユーザーエクスペリエンスのカスタマイズ、デバイスの状態や使用状況の追跡など、XRデバイス群のあらゆる側面をリモートで制御できるようにする。

「デバイス管理ソリューションは何年も前から存在していましたが、最近までVRやARデバイスのための有効な選択肢はありませんでした。私たちは、産業の変曲点にいる企業のために、その問題を解決します」とウィルソン氏は述べている。

ManageXRは、XRHealth(XRヘルス)やBrink’s(ブリンクス)など、中小企業や中堅企業が使用する数千台のVR・ARデバイスで、これまでに20万以上のセッションを促進してきた。また、最近では、VR・ARハードウェアメーカーのPico Interactive(ピコ・インタラクティブ)と提携し、米国で販売されるすべてのPico製デバイスにManageXRをプリロードしている。

Accenture(アクセンチュア)が6万台のヘッドセットを導入したことからもわかるように、企業がXRを非常に大規模に、従業員へ提供する傾向が増大しています。これらの企業は、XRを利用して従業員のオンボーディング、トレーニング、スキルアップを図るとともに、メタバースをコミュニケーションやコラボレーション、業務遂行の新しい場として活用する新しいワークフローを導入しています」と、ウィルソン氏は述べている。「これらの企業にとって、デバイス管理は新しい概念ではありません。テクノロジーを拡張性のある安全な方法で使用するために、この種のインフラがいかに重要であるかを理解しているのです」。

ウィルソン氏は2018年、病院内の小児患者向けにVR体験を構築する目的でManageXRを設立した。当時、同社は医療環境でコンテンツを配信するために、基本的なデバイス管理プラットフォームを独自に開発しなければならなかったと、ウィルソン氏は語った。2019年後半、同社は他のあらゆる企業が、ManageXRのように、同じ問題を自力で解決しなければならないことに気づき、2020年初頭にManageXRのみに注力するように社の方向を転換した。同社のチームは、XRを大規模に使用する際の課題を、深く個人的なレベルで理解しており、それが会社の運営方法に大きな違いをもたらしているとウィルソン氏は言う。

画像クレジット:ManageXR dashboard / ManageXR

その競合他社には、携帯電話やノートPC向けに同様のツールを構築している既存のモバイルデバイス管理会社や、一部のデバイスメーカーがある。しかし、XRは発展途上で動きの速い市場であり、これらの企業には対応できない様々な要件があると、ウィルソン氏は続けた。

「これらのハードウェアメーカーは、独自に基本的なデバイス管理システムを作成していますが、機能性や使いやすさの点ではことごとく的を外しています。このようなメーカー純正の管理システムは、ユーザーに1つのメーカーのハードウェアのみを使用することを強要し、市場にある多種多様なハードウェアを顧客が使用することを妨げます」と、ウィルソン氏は述べている。

ウィルソン氏によれば、同社の顧客はデバイスごとに、月額または年額の料金を支払っているという。製品層によって異なるが、ライセンス費用は1デバイスあたり月額7〜10ドル(約795〜1135円)。その中でも、1台あたり月額10ドルのプレミアム製品層が、群を抜いて最も人気が高い。

「最近ではいくつもの大手ハイテク企業がこの分野に投資を行っており、企業はVRやARを従業員のトレーニングから患者の治療、販売促進まであらゆる用途に使用しています。企業における拡張現実は、大規模導入の入り口にあるところです。私たちは、Rally Venturesが仲間に加わってくれることに心を躍らせています」と、ウィルソン氏は述べている。

「XRは、事業の運営や協業のやり方、そして仕事や私生活における世界の体験を根本的に変えるものですが、導入が進むにつれ、企業がプログラムを首尾よく実行するために直面する課題も増えています」と、Rally Venturesのベンチャーパートナーであるジェイ・ボレンスタイン氏は語る。「企業がXRデバイスを大規模に管理することで恩恵を受ける方法を加速させ、最終的に企業規模のXRを普及させるために、ルークと彼の成長を続けるチームを支援できることを非常に嬉しく思います」と、ボレンスタイン氏は締め括った。

画像クレジット:ManageXR

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルが中小企業向けデバイス管理ソリューション「Apple Business Essentials」ベータ版を発表

多くの中小企業にとって、従業員のApple(アップル)製デバイスを管理し、常にアップデートされた状態を維持することは大きな課題となっている。そうした企業には高度なIT部門が存在しないことも多いため、デバイスが故障したり、ユーザーが質問したいことがあっても、Appleのコンシューマー向けサポートツールを使って自分たちで解決しなければならないことが多い。

この問題を認識したAppleは、2020年にFleetsmithを買収し、米国時間11月10日、従業員数500人以下の企業を対象としたデバイス管理ソリューション「Apple Business Essentials」のベータ版を発表した。

Appleのエンタープライズおよびエデュケーションマーケティング担当VPであるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏によると、Appleはこれらの顧客企業がスタッフのApple製デバイスを導入、サポート、アップデートし、従業員が退職する際にはオフボーディングすることを支援したいと考えている。

「この製品は、デバイスのライフサイクル全体にわたってApple製デバイスを管理するために設計されており、3つのコア部分で構成されています。デバイス管理、ストレージ、そしてサポートを1つのサブスクリプションで提供します」とプレスコット氏は説明する。

管理コンポーネントは、Fleetsmithの買収とApple Device Enrollment Program(DEP)の組み合わせで構成されている。中小企業でも大企業と同様のツールを利用することができ、デバイス管理を強化し、従業員がログインしたらすぐに使えるようにすることが可能になる。

企業がサービスにサインアップすると、管理者はユーザーとグループを作成することができる。ユーザーはグループに所属し、管理者はグループごとに、サポートするデバイスの数やストレージ容量などの設定を行うことができる。また、各企業やグループには、そのグループに適したアプリの基本セットを含めることができる。

画像クレジット:Apple

注目すべきは、従業員が自分のデバイスを持ち込むことができ、サポートされているデバイスにサインインすると、会社がそれらの従業員の仕事用プロファイルを設定してくれることだ。そうすれば、仕事の成果物だけがバックアップされ、万が一、社員が会社を辞めた場合には、仕事の成果物だけが削除され、個人的なものはそのまま残され、雇用主がアクセスできないようになる。

また、個人所有、職場所有にかかわらず、このソリューションは、最新のシステムアップデートを維持することで、セキュリティを維持することができる。さらに、管理者は、MacのFileVaultによるフルディスク暗号化や、Apple製デバイスの紛失・盗難時にデバイスをロックするアクティベーションロックなどのセキュリティ設定を実施することができる。

ストレージにはiCloudを採用しているが、企業はDropbox(ドロップボックス)のようなサードパーティのストレージプロバイダーに自由に接続することができる。サポート要素には、Apple Business Essentialsを実行するIT部門と、Appleに関する質問がある従業員の両方に対するヘルプデスクサービスが含まれる。この部分は、ビジネスレベルサポート部門となる「AppleCare+ for Business Essentials」を通じて提供される。AppleCare+ for Business Essentialsではプランによって、問題報告から4時間以内のプライオリティーオンサイトサービスも含まれる。出張サービスは、Appleのパートナーが運営する。なお、AppleCare+ for Business Essentialsは無料ベータ版には含まれておらず、2022年春に提供開始予定とのこと。

Lopez Researchの創業者で主席アナリストのMaribel Lopez(マリベル・ロペス)氏は、このサービスは中小企業にとって、基本的にビジネス要件を満たすように設計されていないアップルのコンシューマーサポートチャネルを利用する必要がなくなることから、魅力的なものになるだろうと述べている。

「中小企業は、管理とサポートから事実上取り残されていました。重いMDM(モバイルデバイスマネジメント)は自分たちには向いていないと考え企業も多かったでしょうし、ジーニアスバーには、あらゆるビジネス、特に中小企業が必要とするリアルタイムのサポートが欠けていました。Fleetsmithは、よりユーザーフレンドリーで、モバイルに適したデバイス管理の方法だと考えられていました。また、ユーザー中心主義とデバイス中心主義の対立もその一因です」と同氏はいう。

IDCのデバイス&コンシューマーリサーチグループのアナリストであるTom Mainelli(トム・マイネリ)氏は「この新しいプログラムによって、中小企業はこれまで大企業にしか提供されていなかった一連のサービスを利用できるようになり、価格が妥当である限り、Appleにお金を払ってでもこれらのサービスを提供したいと考えるようになるでしょう」と語る。

「Appleが中小企業に焦点を当てていることは、非常に理にかなっています。企業の顧客は、すでにApple製品を管理するためのシステムを持っているかと思いますが、中小企業では必ずしも専任のIT担当者がいるとは限りません。つまり、雇用者が提供するデバイスと従業員が購入するデバイスが混在している場合は特に、すべてを管理するのは非常に困難です」。

「Appleは、さまざまなレベルのサービスを提供していることや、中小企業がそれらを必要とする理由について、ある程度の教育を行う必要があるでしょう。しかし、多くの経営者は、Appleにお金を払ってこれらの課題を解決してもらうことを喜んで受け入れるのではないでしょうか」と同氏。

ベータ版は無料で利用できるが、デバイス管理とストレージのコンポーネントについては、選択された構成に応じて、ユーザーごとに月単位で課金される。また、サポートに関しては、ユーザーごとに追加料金が発生するが、その部分は2022年春に予定されている同サービスの一般提供開始まで利用できないとのこと。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

Rivianはアマゾンとの「独占契約」を超えて他社とのEVデリバリーバンのフリート事業に進出

電気自動車のスタートアップRivianは、Amazon(アマゾン)だけでなく一般に対してもフリート事業を始めることになった。同社はAmazonが20%の株式を保有しているが、その電動デリバリーバンの一般からの受注を2022年に開始し、納車は2023年以降になるとRivianのウェブサイトに登場したページで述べている。

デリバリーバンのAmazonへの10万台の納車とそのための生産は2024年までかかるとされ、2021年内には最初の10台を納車できるだけだ。RivianのIPO関連文書によるとその契約は一般販売契約ではなく独占契約とされているが、新たな情報によると、同社は2024年以前でも一般販売を行なうとなっているため、Amazonとの契約にはやや余裕があるということだろう。この件に関して、AmazonもRivianもコメントはない。

数名のRivian社員が、米国時間11月5日にアップされたウェブページをツイートしている。その中で、顧客は2021年初頭から、Rivianのネット上の構成計画書に記入してオーダーできる、納車はさらにその翌年からとある。

この量産・量販の対象になるのは電動ピックアップR1Tと電動SUV R1Sの量販車であり、これによりRivianが狙っていた一般消費者のドライブだけでなく、より広い層が顧客になり、RivianはFordの全電動ピックアップトラックなどとまともに競合するようになる。後者はすでに、商用車として一般的に発売されている。そのウェブサイトでは、今回のフリートビジネスと関連した他のプロダクトとして、FleetOSと呼ばれる管理プラットフォームや充電のインフラについても触れられている。

Rivian、そしてAmazonは販売網をより大きく広げることによる利益増を狙っている。「私たちの事業における成功は、大量の顧客を吸引し保持することにかかっている。それができなければ、収益を達成できない」とRivianのIPO文書では述べられている。しかしR1Tの生産を開始したばかりのRivianにとって、一般顧客の獲得に関して、リスクと未知数の両方がある。

イリノイ州ノーマルのRivianの工場は現在、年間最大15万台の生産能力がある。その内約6万5000台はR1ピックアップとSUV、8万5000台がRCVと呼ばれる商用のデリバリーバンだ。ただしそれは、Rivianがその生産能力をひと晩で達成できるという意味ではない。IPO文書の修正でRivianは、現在予想される生産能力では、2023年の終わりまでに消化できる受注残はおよそ5万5400台のR1だという。

Rivianのフリートビジネスへの参入は、同社の上場数日前に発表された。RivianはそのIPOで650億ドル(約7兆3360億円)の時価総額を予想されていたが、一部の投資家はそれほど楽観的ではない。フリートビジネスの発表数日前の投資調査ソフトウェア企業New Constructsの記事によると、Rivianの株は過大評価されているので、今週同社が上場しても投資家はそれを買うべきではないという。

「 Rivianはまだ有意な台数を生産していないので、資金状態の良い電気自動車のスタートアップや既存メーカーと競合する立場にない。特にGMやBMWのような競合他社には、EVの生産を拡大することができるだけの数十年におよぶ経験と数十〜数百億ドル(数千億〜数兆円)レベルの資本力がある」と記事にある

そうであるにもかかわらず、多くの投資家はこの新興企業とその将来性に強気だ。今回の最新情報は、これまで懐疑的だった投資家に、Rivianが以前考えられていたよりも柔軟性とパワーがあることを示唆する可能性がある。

画像クレジット:Jordan Stead / Amazon

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)