eBay、PayPalの分社化を決定―「物言う株主」カール・アイカーンの持論通りに

eBayとPayPalは道を分つことになった。PayPalはeBayの傘下から抜けだして、独自の上場企業となる。eBay, Inc.とその取締役会による戦略的見直しの結果としてこの決定が行われた。これにより両社のビジネスが一層速く成長するようになることが期待されている。

このPayPalのスピンオフは、監督官庁の承認が得られば、2015年の第2四半期に完了する見込みだ。両社とも分離後は新しい CEOが任命される。 eBayではマーケットプレイス担当プレジデントのDevin Wenig、PayPalではプレジデントのDan SchulmanがそれぞれCEOとなる予定だ。

eBayの分社は「もの言う投資家」のカール・アイカーンを始め、多くの株主が期待し、あるいは要求していたものだ。eBayがPayPalを買収したのはeコマースの支払手段の効率化を期待してのことだったが、PayPalがモバイル支払の分野に進出して成功を収め、Braintreeを買収してOne Touchシステムを手に入れるなどしてからは、PayPalの将来戦略はeコマースを離れ、むしろ個人向けの総合支払いサービスに向かうようになった。

eBayはモバイル経由で年間200億ドルの売上を得ており、今日の同社の発表によれば、PayPalの急成長によって大きく支えられてきたという。一方、PayPalはeBayから分離することによって、AlibabaのようなeBayの強力なライバルとも提携できるようになり、成長の加速が期待されるという。

〔日本版〕Wall Street Journalの記事はTechCrunch記事とはややニュアンスが異なる。これによれば、Carl IcaanはeBayにとってPayPalが「お荷物」であり、分社化することによってeBayの会社価値が増大すると主張していたという。eBayのCEO、John Donahoeはこれまで何年にもわたってIcahnの主張に反対してきた。それがここに来て180度の方向転換となったのは、AppleがApple Payで、AlibabaがAlipayでオンライン支払いサービスに参入し、この分野の競争が急速に激化する兆候を見せたため、Icahnの方針に同意せざるを得なくなったということのようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


1500億ドルの株式買い戻しを迫られたApple, 株主還元を渋る金持ち企業はもう古い?

4月にAppleは、株式買い戻し事業の規模を100億ドルから600億ドルに拡大する、と発表した。買い戻しはキャッシュで行われ、この事業が終了する2015年までの総額事業規模は1000億ドルになる。それは、これまで発表されていた株主還元努力の総額が、550億ドル増加したことを意味する。

Appleの予定では、各年約300億ドルをこの拡張事業の間に株主に還元する、その計算の起点は2012年8月とする、というものだ。Appleは今日まで、1年以上にわたって配当を発行してきた。

今年も配当金として年額100億ドル強を還元する。

しかし、これに満足していない投資家もいる。投資家たちのアイドル、ドルおじさんこと、Carl Icahnもその一人だ。20億ドル近くのApple株をため込んでいるIcahnは最近、AppleのCEO Tim Cookとディナーを共にした。その席で彼が持ちかけたのは、1500億ドルの株式買い戻しだ。二人は数週間後に、この問題を話し合う予定だ。

Icahnが求めたのは1500億ドルの株式買い戻しであり、それは株主還元の総額ではない。それはAppleが発表している今現在の株式買い戻し事業の総額よりも900億ドル大きく、またAppleが最近拡張したばかりの総事業規模の150%に相当する、驚異的な額だ。

Appleがそれまで600億ドルと言っていたその同じ期間に、1500億ドルの株式買い戻しをやれたなら、同社の各年の株主還元費用は300億3000万ドルから570億6000万ドルとほぼ倍増する。

コスト

Appleは、それを払えるだろうか。Wall Street Journalの今日の記事 によると、Appleは前四半期を保有キャッシュ1466億ドルで終えている。 その四半期では、Appleの純利益は69億ドル、キャッシュフローは78億ドルだ。78を単純に4倍すると、1年ではわずかに312億ドルだ。

だからIcahnが申し入れた額で買い戻しを行うためには、Appleはそのキャッシュポジションに手をつけなければならない。Appleがその金蔵を軽くすることを、なぜ彼は望むのか?(投資の拡大のためか?)。彼の考えでは、Appleの株は過小評価されているので、大きく買い戻す絶好のチャンスなのだ。

株価がその価値よりも安ければ買う、そして、より効果的なレートで株を市場から取り上げる。

Appleの株価は今488ドルだ。IcahnはCNBCのインタビューで、一株630ドルでもまだ安い、と言っている。彼の見方としては、今もっと多くの株を買わないのは大馬鹿である。

今から(現四半期を入れて)10四半期で、各四半期78億ドルとすると、Appleは780ドルの新たなキャッシュを手にすることになる。それを現在のキャッシュポジション1466億ドルに加えると、2246億ドルになる。Icahn は、そのうちの1900億ドルをAppleに使わせたい。するとAppleのキャッシュポジションは350億ドルになる(ウォッカで汚れたナプキンの裏に誰かが鉛筆で書きそうな額だ)。Appleの保有キャッシュがCroesus(世界最大の金持ち)よりも少ないなんて、おかしな光景だ。

しかもこれは、Appleが株式の市場総額の約1/3を市場から取り去る、という話だ。投資家のポジションにも、大変化が訪れる。

影響

AppleがIcahnの言うとおりにしたら、それは一つの前例を作ることになる。富裕なテクノロジ企業が行う大規模な買い戻しと配当計画ですら、企業の側から見るとリスク要因とみなされる。たとえばMicrosoftも、やはりValueActという活動的な投資家に同様の迫られ方をしている。この投資家はMicrosoftの株の0.8%を握って同社の取締役の地位と、おそらく、これまでよりも大きな株主還元を求めている。Googleには数百億ドルのキャッシュがあり、CiscoもOracleも、そしてFacebookさえも、このまま行けば今のAppleの同類になる。

手短に言えば、テクノロジ企業が大量の余剰キャッシュを抱え、それを攻撃や防御の武器として自由に利用する時代は、終わりつつある。Appleはわずか2年あまりでキャッシュポジションが1466億ドルから35億ドルに下がるかもしれない。それでどんなバランスシートになるか、見ものだ。

企業がキャッシュというクッションを愛することは事実だ。怖いライバルをどんどん買えるだろう。潤沢なキャッシュがないとできないような、長期的な計画にも取り組める。

Icahnの張り方は、でかい。彼の買い戻し計画の総額は、Appleの現在のキャッシュポジションの総額よりも大きい。

しかも彼は、それを実現させるかもしれない。

画像クレジット: Mike Deerkoski

〔余計な訳注: スティーブ・ジョブスは生前、将来の(巨額な)研究開発費を口実に、株主還元リクエストの多くを断ってきた。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))