PayPal、予測を上回る収益で株価は7%高

支払いサービスのPayPalは、水曜日(米国時間4/26)の市場取引終了後、第1四半期決算報告を発表した。調整後1株当たり利益44セントは、多くのアナリストが予測した41セントを上回り、直後の時間外取引で株価は7%上がった。純利益は3.84億ドルで昨年から5%伸びた。

売上も予測をわずかに上回る29.75億ドル、FactSetのアナリスト調査による予測は29.4億ドルだった。対前年比では17%の成長だった。

PayPalは、50億ドルの株式買戻しプログラムも発表した。

「再び好調な財務成績で四半期を終え、今後も財務サービスの民主化という当社のビジョンを消費者に届け、現金からデジタル支払いへの移行を世界中で推進していく」とPayPalのプレジデント兼CEO、Dan Shulmanが声明で語った。

一部の投資家は、最近のクレジットカード会社との提携が利益率に与える影響を気にしている。クレジットカードに移行するユーザーが増えると利幅は減る。しかしクレジットカードが利用できることで新規ユーザーは増える。

PayPalは四半期中に600万の新規アカウントを追加し、総アクティブユーザー数は2億300万人になったと言っている。

同社の子会社であるBraintreeはUber、Airbnb、Facebook Messengerを始めとする大型クライアントのモバイル支払いを処理している。これはPayPalがそこでの取引から利益を上げていることを意味している。

PayPalは、人気のピアツーピア支払いプラットフォームのVenmoも所有している。Venmoは企業との提携を通じて収益を伸ばしており、総支払額68億ドルは前年同期の2倍以上だった。

PayPalの総支払い金額は990億ドルでアナリスト予測と一致した。これは昨年の23%増、為替レートを考慮すると25%増だった。

PayPalは2015年にeBayから分離し、現在は時価総額540億ドルでeBayよりも大きい。株価は今年になって約13%上昇し、水曜日の終値は44.41ドルだった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPal、好調な売上が続く

paypal

木曜日(米国時間1/26)の取引終了後、PayPalは第4四半期の決算を発表し、結果は投資家たちの期待通りだった。時間外取引の株価は動いていない。

売上は29.8億ドル、対前年比17%増とアナリスト予測とほぼ一致した。調整後1株当たり利益は0.42ドルで、これもウォール街の予測通りだった。総支払い金額は990億ドルで、予測の1001億ドルをわずかに下回ったが、対前年比22%の上昇だった。

「昨年当社は、ネットワーク、金融機関、IT企業、および携帯通信会社と一連の戦略提携を結び、市場機会の転換をはかった。われわれは顧客第一を貫くことでこれを実現した」とCEOのDan Schulmanが声明で語った。

PayPalは2015年にeBayと分離し、現在二社のうち同社の方が大きい。PayPalの時価総額は500億ドル、一方eBayは約360億ドルだ。

これはPayPalが、ピアツーピア送金サービスのVenmoと、StripeのライバルBraintreeを傘下に持っているためだ。Braintreeは、みんながUberに乗ったりAirbnbに泊ったりした時にPayPalが稼ぐのを手助けしているモバイル支払いプラットフォームだ。海外送金サービスのXoomもPayPalが所有している。

PayPalはその名にふさわしくオンライン支払いのパイオニアだったが、インターネット黎明期と結びつけられることも多い。同社は人々がチェックアウトでもっと効果的にPayPalを使えるよう、努力を続けてきた。

PayPalサービスは、Braintreeやつい最近収益化をスタートしたVenmoと比べて利幅の大きいビジネスだ。投資家が未だに同社の中核事業の成長に重点を置いているのはそれが理由だ

PayPalの株価は昨年同時期と比べて31%上がっている。木曜日の終値は41.50ドルだった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本は評価が甘め? Braintreeのグローバルなハッカソンで審査員をやって感じた厳しさ

battlehack01

PayPalの子会社であるBraintreeが世界規模のハッカソン「BattleHack 2015」の東京予選を6月14日、15日に開催した。ぼくは審査員を務めさせていただいたのだけど、その審査過程で軽いカルチャーショックを受けた。評価が厳しく、歯に衣着せぬ感じ。ダメなものは本当にダメとしか言わないのだ。これは今までぼくが参加した国内のハッカソンとだいぶ違う。Braintreeのハッカソンそのものの紹介と合わせて、そのことを少し書いてみたい。ちなみにぼくはTechCrunch Japan編集長という肩書きと、ときどきコードを書くテック系ジャーナリストということで、いろんなハッカソンに審査員として呼ばれることが多い。

battlehack04

battlehack02

世界14都市、優勝賞金1230万円のグローバルなハッカソン

BattleHackがどういうハッカソンか紹介しよう。BattleHackは世界14都市で週末の2日間(実際の作業は24時間)を使って予選的なハッカソンを行い、各地で優勝したチームがシリコンバレーに集まって決戦を行い、優勝チームに10万ドル(約1230万円)が贈呈されるという大がかりなイベントだ。決勝戦にはeBayのCEOが参加したり、PayPalからメンターがついたりするなど、かなり手厚い待遇だ。

ここ数年、ぼくの周囲ではPayPal決済のAPIのつなぎ込みで泣いている開発者をたくさん見かけるようになった。ドキュメントが分厚い、そもそも上手く動かない、意味が分からないという声を良く聞くのだ。反対に、Stripeのような新しいモバイル決済サービスのAPIの使いやすさの話を聞くようになっている。使いやすいAPIという面で遅れを取っていたPayPalが、2013年9月に8億ドルのキャッシュという巨額で買収したシカゴのスタートアップ企業がBraintreeだ。Braintreeは決済ゲートウェイで、PayPalだけでなく、Apple PayやAndroid Pay、Bitcoinも使える。現在、AirbnbやGitHub、OpenTable、Uber、TaskRabbitなどがBraintreeを使っている

BattleHackというハッカソンはBraintreeのマーケティングの一貫だ。Uberの採用事例のように国際展開でモバイル決済を必要とするニーズには適しているということを、スタートアップ企業で決済を実装することになるハッカーたちに触って理解してもらいたいということだ。国境を超えるたびに決済回りの実装を継ぎ接ぎするよりも、1つのゲートウェイで済むならそれがいいでしょうというのがBraintreeが提供する価値だそうだ。

優勝は余分な部分を自動カットする動画編集アプリ「talk’n’pick」

Battle Hack Tokyo 2015で優勝したのは「talk’n’pick」という動画編集アプリ。動画を撮影すると、動画ファイル全体で音声レベルを解析し、声がある部分(会話しているところ)だけを残して残りをカットしてくれる自動動画編集アプリだ。AWSのクラウド上でキューを使って動画の解析と編集をやるなど、24時間で作ったと思えないクオリティだし、デモを見ても、すでにかなり実用的にみえた。無駄な無音部分を削除するというのは一部のYouTuberがすでに実践してるテクニックに近いし、市場ニーズもあるのではないかと思う。

聞けば、このプロダクトを作ったチームメンバーの4人のうち2人は、すでにスタートアップをやっていてプロダクトを準備中。IPAの未踏プロジェクト出身者でもある。1人はニュース記事から自動で動画を生成するというプロジェクトに取り組んでいたこともあるというから、「プロの仕業」という感じでもあった。イベント後のインタビューでは、今回作成したプロダクトは実際にリリースまで持って行きたいと話していた。

battlehack01

BattleHack Tokyoで2位に選ばれたのは「SNSHOT」というイベント向けのオンサイトプリンタだ。結婚式やパーティー、イベントなどに設置するのを想定したもので、プロトタイプとしては厚紙で作ったケースにiPadを入れただけのものだったが、会場で撮影した写真にロゴやスタンプを入れた上で、その場でプリントアウトしてくれる。写真はTwitterやInstagramで共有したものでよくて、EstimoteによるiBeaconを使ってユーザーは自分の写真を受け取れる仕組み。こちらのチームも、実は創業準備中のスタートアップ予備軍だった。

3位に選ばれたのは、「Cheers」。Chrome拡張として実装されていて、GitHub上のプロジェクトに「寄付ボタン」を設置することができる。バグ修正や機能実装のリクエストごとに寄付することができ、早く直してほしいバグがあるなどした場合に、それを望む人がパッチのコミッターに対して対価を支払うことができる。これまでであれば善意とか遠回りなインセンティブで結びついていた利用者と開発の間で、対価を直接流すことでオープンソースのエコシステムが変わる可能性がある。報酬が逆説的に内発的動機付けを低下させる「アンダーマイニング効果」は心理学では古くから知られていて、こうした明示的な報酬との結び付けがエコシステムにマイナスの影響を及ぼすことはないのか? というのは気になるけれど、とても興味深い提案だと思う。ちなみに、ぼくは15年ほど前にフリーソフトウェア活動家でFree Software Foundation代表のリチャード・M・ストールマンにインタビューしたことがあるのだけど、その時に彼が口にしていたのは、まさにこの開発モデルだった。

日本はアイデアに対する評価が甘め?

ハッカソンの審査員には、ぼくのほかに、Braintreeシニアディレクターでハッカーのジョン・ルン氏、BEENOSの投資家 前田ヒロ氏、Asakusa.rb創設者でRuby on Railsコミッターの松田明氏の3人がいた。

審査は各チーム10点満点で、アイデアの新規性、市場性、実装レベルで評価した。それで驚いたのは、ぼくと松田氏という日本育ちが付ける点数が中央の5点に寄りがちだったのに対して、ジョンと前田氏の評価は1点が少なくなかったということだ。「狙いが全く分からなかった」「動いてなかったよね」「誰が使うのか理解不能」「そもそも仮定が成立してない」「ほぼ同じものが2年前からあるのに調査不足すぎる」というような評価だ。

ちなみに前田氏は日本育ちだがインターナショナルスクールで英語で教育を受けているので、英語のほうが日本語よりも得意という投資家だ。投資先も最近は完全にグローバルになっている。

ぼくの評価は最低でも3点、多くは5点から7点の間としていた。いちばん良いのが8点だった。5点というのは「すでに確立したジャンルで何も新味はないけど、いちおう何かが動いていた」「新規性はないが日本では市場はあるかも」とか、そういうものも含まれる。

ぼくは審査員としての自分のガラパゴスっぷりを痛感してしまった。つまり、日本市場で日本のハッカーたちが作っているという前提でプロダクトを「甘く」見ていて、日本市場で可能性があるかどうかを考えていたのだ。

すでに海外に類似スタートアップやプロダクトがあっても、日本ではこれからという市場もある。だから、ぼくとジョンで評価が大きく違ってくることがあった。でも、Braintreeのハッカソンは14都市から勝ち残ったチームがシリコンバレーで決戦に臨むので、日本市場なんて関係がない。日本市場でしか通用しないプロダクトを作る、そういう目線のチームを日本から代表としても良いのかと言えば答えはノーなのだった。

これは、ふだん日本の起業家と会っていても同じことを感じている。「これって、アメリカのxとyに似てますね」とか「abc市場だとグローバルにはxとyがありますよね」という話をすると、キョトンとする起業家が少なくない。別に海外のスタートアップやプロダクトに超詳しくなくても良いとは思うが、自分が作っているプロダクトの競合や、技術・市場動向を知らないというのではガラパゴスそのものだ。

アイデアの新規性に対する要求が日本では低いのではないか? 日本という個別市場に依存しない普遍的なアイデアで勝負することを、ハナから諦めているところがあるのではないか?

確かに新しいことが価値とは限らない。まだ日本市場になければコピーキャットと言われようが、やる価値はある。そもそも、すでに海外のどこかで証明されたビジネスモデルやプロダクトで、まだそれに相当するものが日本に存在しないのであれば、それを提供することも大事だ。成功する起業家が増えることが重要なのだとしたら、やれ「1000億円企業を作れ」だとか、「ゴー・グローバルだ!」と言い過ぎるのもいかがなものか、むしろやるべきことは起業のハードルを下げて小さな成功事例をたくさん増やすことではないかとの意見も良く耳にする。ぼくも同感だ。ただ、そのことで必死に新しい何かを考えるという基礎体力やメンタリティーが削がれているという面がないだろうか。ハッカソンで多くのチームやプロダクトを見てきて、そんなことを考えている。

TechCrunch Disrupt San Franciscoのハッカソンも過去2回ほど現場で見ていて、ハッカソンにバカげたアイデアや意味不明のプロジェクトが入るのは普通のことだとは思っている。お祭りだから、それもいい。ただ、それに対して10点満点中1点だとハッキリと言うことは、審査の公平性という意味でも、もともと市場は厳しいものなのだからスタート地点だって本音で「これって誰か使う人いるの?」「これ、もうあるよね」と言うのは大切なことなのじゃないだろうか。と、審査員としての我が身のガラパゴス感を反省したのだった。内向きに褒め合うぬるい文化では、結局大きく勝てるチームもスタートアップも出てこないだろうと思う。もう1つ言うと、プロダクトの評価と、それを作った人の評価を切り分けて考えるということをしたほうがいいのじゃないかということも思ったりしている。

eBay、PayPalの分社化を決定―「物言う株主」カール・アイカーンの持論通りに

eBayとPayPalは道を分つことになった。PayPalはeBayの傘下から抜けだして、独自の上場企業となる。eBay, Inc.とその取締役会による戦略的見直しの結果としてこの決定が行われた。これにより両社のビジネスが一層速く成長するようになることが期待されている。

このPayPalのスピンオフは、監督官庁の承認が得られば、2015年の第2四半期に完了する見込みだ。両社とも分離後は新しい CEOが任命される。 eBayではマーケットプレイス担当プレジデントのDevin Wenig、PayPalではプレジデントのDan SchulmanがそれぞれCEOとなる予定だ。

eBayの分社は「もの言う投資家」のカール・アイカーンを始め、多くの株主が期待し、あるいは要求していたものだ。eBayがPayPalを買収したのはeコマースの支払手段の効率化を期待してのことだったが、PayPalがモバイル支払の分野に進出して成功を収め、Braintreeを買収してOne Touchシステムを手に入れるなどしてからは、PayPalの将来戦略はeコマースを離れ、むしろ個人向けの総合支払いサービスに向かうようになった。

eBayはモバイル経由で年間200億ドルの売上を得ており、今日の同社の発表によれば、PayPalの急成長によって大きく支えられてきたという。一方、PayPalはeBayから分離することによって、AlibabaのようなeBayの強力なライバルとも提携できるようになり、成長の加速が期待されるという。

〔日本版〕Wall Street Journalの記事はTechCrunch記事とはややニュアンスが異なる。これによれば、Carl IcaanはeBayにとってPayPalが「お荷物」であり、分社化することによってeBayの会社価値が増大すると主張していたという。eBayのCEO、John Donahoeはこれまで何年にもわたってIcahnの主張に反対してきた。それがここに来て180度の方向転換となったのは、AppleがApple Payで、AlibabaがAlipayでオンライン支払いサービスに参入し、この分野の競争が急速に激化する兆候を見せたため、Icahnの方針に同意せざるを得なくなったということのようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


PayPal、デジタル商品の販売にBitcoinを利用可能に

ウェブの重要な販売業者やプラットフォームにおけるBitcoinの勢いが加速している。

数週間前、PayPal傘下のBraintreeがデベロッパー向けに、Bitcoinベースの取引きを可能にした際にほのめかしていた通り、PayPalは、デジタル商品の売り手によるBitcoinの利用を可能にした

PayPalはかなり前からBitcoinに興味を示しており、eBayのCEO John Donahoeはかつて、Bitcoinは同社の将来にとって「重要な役割」を果たすと発言していた。今やOverstockからWikipediaまで、大物プレーヤーがこの暗号化通貨を取引きや寄付の手段として取り入れるており、PayPalも一歩踏み入れた形だ。

BitPay、CoinbaseおよびCoCoinとの提携によって、PayPalは同社の売り手がデジタル商品の取引にBitcoinを利用できるようにする。ただし、これは、PayPalのデジタルウォレットにBitcoinが加わるわけではなく、また当面は北米のみで利用できる。まだ、小さな一歩だ。

「デジタル通貨業界は非常に大きな支持を受けた」とGoCoinのCEO Steve Beauregardは言った。

PayPalは、紹介手数料の形で取引き売上を得る。これは支払いの世界ではよく見られる方式だ。

「PayPalは仲介者の役割を担うが、料金は売り手と支払い処理業者に任されている」と、PayPalの競合他社情報・経営戦略担当シニアディレクターのScott Ellisonは語った。

数週間前のTechCrunch Disruptで、BraintreeのCEO Bill Readyは、Bitcoinを支払い手段の一つとしてSDKに加える、と話した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon IDでサードパーティのサイトで支払ができる‘Login and Pay with Amazon’ がスタート

今日(米国時間10/8)、AmazonはMoney 2020カンファレンスでLogin and Pay with Amazonというサービスを発表した。このサービスのパートナーとなったウェブサイトの訪問者はPay with Amazonというボタンを」クリックするだけで一切の支払手続きが済んでしまう。クレジットカード情報を入力したりPayPalサイトに移動したりする必要がない。ライバルの支払サービスには大きな打撃となるかもしれない。

Amazon Payments担当副社長のTom Taylorは今日発表されたプレスリリースで次のように述べている。「Amazonには2億1500万人の活動中の顧客アカウントがある。eコマース企業はLogin and Pay with Amazonを利用することによってAmazonの何百万という顧客を自らの顧客に変えることができる。顧客はAmazonのパスワードと支払情報を利用してパートナーサイトで支払いができる。つまりAmazonへの単一のログインで安全、確実、スピーディーなショッピングが可能となる」

これからは多くのオンライン・ショップの画面の下部にクレジットカードやPayPalと並んでPay with Amazonのボタンが表示されることになりそうだ。

Amazonはしばらく前から支払サービスを提供している。たとえばKickstarterなどが良い例だが、ユーザーがAmazonにログインして支払を行うと約束のプロダクトが発送された時点で引き落としが行われる。またAmazonは最近デベロッパー向けにオンラインゲームやコンテンツなどのサイトでのユーザー認証にあたってAmazon IDが利用できる‘Login with Amazon‘というサービスを開始した。Login and Pay with Amazonはこの2つのサービスを巧みに結合したものといえる。Amazonの支払システムとシンプルなoAuth認証の組み合わせはデベロッパーにもユーザーにも大いに魅力的だろう。

Pay with Amazonのローンチ・パートナーの一つはGogoで、同社すでに航空機内でのWiFiサービスの課金にAmazon Paymentsを利用している。Pay with Amazonボタンの導入も年内に行われる計画だ。Amazonでは「この支払システムを利用した購入者はAmazon.comでの購入者と同様のA-to-z保証によって保護される」としている。

オンライン支払にあたってはサービスに対する信用が極めて大きな要素となる。PayPalが現在の地位を築いたのもクレジットカード情報を入力するより安全性が高いという信用を得たからに他ならない。

Squareも‘デジタル支払サービスの主流になることを狙っている。PayPalに先を越されてしまったが、Squareもクロスサイト支払テクノロジーを持つBrainTreeの買収に関心を持っていた。現在Squareはあらかじめ定型化されたストアとSquareによる支払機能を組み込んだオンライン・ショッピング機能を開発中だといわれる。われわれがSquareに取材したところ11月には何か発表があるだろうということだった。

AmazonはAppleに次ぐ規模の巨大な顧客情報を持っている。Appleは5億7500万のアカウントを持っている。これまでAmazonは顧客アカウントの数を発表してこなかったが、上記のとおりTaylorは2億1500万という数字を挙げた。ちなみにAppleは今年のWWDCで「われわれが知る限りAppleが最大の顧客情報を持つオンラインストアだ」と述べている。Amazonの顧客ベースがサードパーティーのサイトでも利用できることになれば影響は巨大だ。

技術的な面ではこのサービスはウェブ、Kindle、iOS、Androidのいずれでもシームレスに作動するという。料金体系はごくシンプルで、2.9%プラス1件ごとに0.30ドル、ただし取引量に応じて減額される。Login and Pay with Amazonに関心があるデベロッパーはこちらでAPIの詳細をチェックできる

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、PayPalらと提携してモバイルアプリで支払い情報を「オートフィル」

Facebookは、あの小さな画面に詳細な支払い情報をタイプするのをやめ、デベロッパーや支払いサービスがもっと儲かるよう手助けし、さらには自社のアプリインストール広告がEコマース会社に収益をもたらすことを証明したいと思っている。そして今日(米国時間9/23)Facebookは、PayPal、Stripe、およびBraintreeとの提携によって、JackThreadsとMosaicという2種類のEコマースアプリで、先月テストした「Facebookでオートフィル」(Autofill With Facebook)を提供開始する。

この機能は支払いプロバイダーと提携して行わるもので、少なくとも現時点では、競合ではなく互助的であることを理解する必要がある。いつの日かFacebookが、自身で支払い処理を行い支払いフローを支配しようとする可能性はある。しかし今のところ、もしデベロッパーがPayPalとそれに被せた「Facebookでオートフィル」レイヤーを使用した場合は、手数料はやはりPayPalに入る。3社のパートナーは近々2社になるかもしれない。本誌が報じたように、PayPalはBraintreeの買収間近であるかもしれない。

「Facebookでオートフィル」のデモはすぐに見ることができる。「初期テスト」とFacebookが呼ぶものは、Mosaic(フォトブックの購入)およびJackThreads(流行ファッション)のiOSアプリで、一部のユーザーには今日から、またFacebookに支払い情報を登録しているユーザーには今週中に提供される。Facebookの支払い情報はここで追加できる

これまでこのテストは、JackThreadsユーザーのごく一部の早期ベータテスターのみが利用できた。デベロッパーは今後のアクセスのためにサインアップできるが、承認されるまで機能は利用できない。

「Facebookでオートフィル」を使ってみる

ユーザーから見たしくみは次の通り。Eコマースアプリの買い物客は商品を眺め、いつものように商品をカートに追加する。しかし、以前デスクトップでFacebookギフトやクレジットを買ったりゲーム内購入を行い、Facebookに支払い情報を登録した人には、ここで何か違うことが起きる。

その人たちがチェックアウトしてクレジットカード番号や住所などの支払い情報を入力する画面に行くと、「Facebookで高速チェックアウト」というメッセージと、ブルーの「あなたの情報をオートフィル」ボタンが画面トップからスライドしてくる。タップすると、ユーザーはFacebookのiOSアプリに飛ばされ、支払い情報の詳細を確認し、送付先住所を選択できる。

「OK」をタップすると、バックエンドではFacebookとアプリデベロッパーの支払いプロセスが「ハンドシェイク」を行い、クレジットカードその他の情報が安全に転送される。フロントエンドでは、安全のためカード番号の下4桁のみが表示される。この後ユーザーが買い物アプリに戻されると、入力フィールドには支払い情報が事前入力されている。こうして、ユーザーは一文字もタイプすることなく購入を承認できる。

Facebookが自分のクレジットカード情報をたらい回しするのは気味が悪い、と感じる人たちは必ずいるだろうが、実際にはこのソーシャルネットワークのデータセキュリティー実績は比較的堅牢だ。たまの不具合バグはあるが、TwitterLinkedInで起きたような大規模なパスワードハッキングは起きてない。しかし、もしFacebookが世界を支配することを恐れているなら、このテストは間違いなく、あなたが何を買うかを彼らがより多く知るようになる前兆だ。ただしFacebookの株を持っている人にとっては朗報かもしれない。

Facebookコマースの大きな夢

ユーザーにとって、これはモバイルをより早くよりシンプルに変えるものだ。これは気を散らされたり考え直す前に、購入を完結する可能性が高くなることを意味している。Eコマースアプリの開発者は、コンバージョン率の増加によってより多く稼ぐようになる。

支払いプロバイダーにとっては、支払い件数が増えより多く手数料を得ることができる。
Facebookにとって、これは「作る ― 伸ばす ― 収益化する」プラットフォーム戦略の一環だ。あなたがオートフィルで買い物した時、Facebookは、あなたが誰でいくら使いどのアプリを利用したかを知っている。これは、アプリインストール広告の投資効果を証明する上で決定的に重要だ。もしJackThreadsが、アプリをダウンロードさせるためのFacebook広告に1ドル払っていて、クリックしたあなたが5分後にJackThreadsで25ドル使ったことをFacebookが知れば、FacebookはEコマースアプリの開発者にこれが価値ある広告であることを説得し、さらにキャンペーンを売り込むことができる。

Facebookの支払いサービス責任者のDeb Liuに、PayPalその他の支払いプロバイダーと協力していることについて尋ねたところ、彼女はこう説明した。「われわれは同じ問題を解こうとしている。デベロッパーの収益化とコンバージョンを手助けすることだ。コンバージョンが増えれば、BraintreeやStripeやPayPalが扱う支払い件数は増える[そして手数料収益が増える]」

そしてLiuは、現在FacebookはEコマースの別の問題を見極め、解決しようとしているところだと言った。「コンバージョンの壁が高いのはモバイルであり、そこは将来消費者が向かう場所だ。これを驚くべくモバイル製品にすることは非常に重要だ。それでも、いつかこれをデスクトップで行う可能性もわれわれは捨てていない」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)