クラウド型電子契約のクラウドサインが自治体初の「クラウドサイン for Microsoft Teams」実証実験開始

クラウド型電子契約の「クラウドサイン」が自治体初の「クラウドサイン for Microsoft Teams」実証実験開始

弁護士ドットコムSBテクノロジーは8月16日、共同開発した「クラウドサイン for Microsoft Teams」の実証実験を、自治体では初めて北海道茅部郡森町の役場で行うと発表した。

クラウドサイン」は、「紙と印鑑」をクラウドに置き換え、契約作業をPCだけで完結できるという、ウェブ完結型の電子契約サービス。電子契約機能では、「いつ・誰が・どの契約に合意したか」を証明する厳格な電子署名とタイムスタンプを付与可能。リモートワークの環境下においても契約書の証拠力を担保しながら、事業活動に重要となる円滑な契約業務を可能としている。2015年の提供開始以来、累計契約送信件数500万件以上の実績を持つ(2021年4月末時点)。

クラウドサイン for Microsoft Teamsは、Teams上において、クラウドサインによる契約締結から締結済みの契約書管理までシームレスに行える電子契約のための連携アプリケーション。「書類送信から電子署名済みの書類格納まで完結する仕組みを提供」するという。

Teams上で契約内容の調整や確認をした後は、クラウドサインによる契約書の送信が可能。契約締結完了・却下のステータスはTeamsチャットに通知され、締結済みの契約書はTeamsのドキュメント共有・管理ツール「Microsoft SharePoint」に自動的に取り込まれる。これらのMicrosoft 365およびTeamsの各機能とクラウドサインのコラボレーションにより、契約情報の一元管理が可能になる。

新型コロナの感染拡大や人口構造が変化し業務が増加する中、職員不足に悩む自治体でも、DXの推進が急務となっている。そこで弁護士ドットコムは2020年、クラウドサイン事業本部にデジタル・ガバメント支援室を設置し、行政機関と「クラウドサイン」の運用について検討を重ねてきた。そして、行政機関との実証実験を重ねたところ、契約書の電子化・ペーパーレス化が民間企業と同様業務の効率化・生産性の向上に効果があることが確認された。こうして2021年から自治体での電子契約の運用が開始されているという。

森町は、2014年からMicrosoft 365を導入するなど、業務効率化に積極的に取り組んできている。その森町役場で、今回、従来のクラウドサインを使った電子契約の効率化の検証に加え、クラウドサイン for Microsoft Teamsの導入シミュレーションを目的とした自治体初の実証実験が行われることとなった。

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カテゴリー:GovTech
タグ:SBテクノロジー(企業)クラウドサイン(サービス)弁護士ドットコムMicrosoft 365(製品・サービス)Microsoft Teams(製品・サービス)日本(国・地域)

月額6300円で約400冊の法律書籍を自由に閲覧・検索、弁護士ドットコムが新サービスでリーガルリサーチを効率化

弁護士ドットコム」や「クラウドサイン」など、リーガル領域で複数のプロダクトを展開してきた弁護士ドットコム。その同社が弁護士や企業法務担当者などが日々行なっている「リーガルリサーチ」をスムーズにする新サービスを立ち上げた。

本日3月17日にスタートした「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」は、月額6300円(税別)でサイト上に登録されている約400冊の法律書籍や雑誌を自由に閲覧・横断検索できる定額制のサービスだ。

主要な法律系出版社12社(ぎょうせい、三修社、新日本法規出版、税務経理協会、第一法規、中央経済社、日本加除出版、日本能率協会マネジメントセンター、法律文化社、有斐閣、レクシスネクシス・ジャパン、労働新聞社)とタッグを組み、メインターゲットとなる法務担当者向けに書籍をセレクト。ユーザーはネットが繋がる環境であれば“いつでも、どこからでも”これらの情報にアクセスし、リサーチ業務を進めることができる。

キーワードベースで複数の書籍を横断検索

今のところはかなりシンプルなプロダクトだが、ユーザーにとって特に使い勝手がいいのが「キーワードベースで複数の書籍を横串で検索できる機能」だろう。たとえば取締役の利益相反について調べたいと思った場合、「取締役 利益相反取引」などと検索すればそれについて記載のある書籍がパパッと出てくる。

これまでは紙の書籍の中から人力で探すしかなかったので、そもそも自分が欲しい情報がどの書籍に記載されているのか把握するまでに時間と手間がかかっていた。通常は弁護士事務所や法務部にあるライブラリの中から該当する書籍がないかをまずチェックし、それでも足りなければ書店に足を運んで探すこともある。

そのような作業を一瞬でやれるのがBUSINESS LAWYERS LIBRARYの特徴だ。細かいニーズに応えるためにはある程度の書籍数を網羅していることが前提にはなるが、必要な情報にたどり着くまでの時間を圧倒的に短縮することで「本質的な考察や分析により多くの時間を使えるようにしたい」(弁護士ドットコム取締役の田上嘉一氏)という。

また紙の書籍を持ち運ぶ必要がなくなり、どこからでも自由にアクセスできる点も大きなメリット。これは僕自身も法学部出身なので学生時代に経験があるのだけれど、法律の専門書籍はたいてい分厚くて重たく、1冊だけでもカバンのスペースをかなりとる。要は持ち運ぶのが面倒なわけだ。

BUSINESS LAWYERS LIBRARYではそんな苦痛から解放されるとともに、自宅で作業している際や出張中など「すぐにオフィスのライブラリに行けないような時」にでも場所の制約を受けず、手軽にリサーチできる。田上氏の話では先進的な法務部ではリモートワークやフリーアドレスを取り入れている企業もあるそうで、そういった柔軟な働き方にもマッチしやすい。

法務担当者の声から生まれたプロダクト

弁護士ドットコムでは2016年3月より企業法務のポータルサイト「BUSINESS LAWYERS」を展開してきた。現在は約3.8万人が会員登録し、月間セッションも最大で100万弱を記録する規模に成長。サービス開始から4年かけて約1800のコンテンツを配信することを通じて、少々ニッチな領域ではあるものの、そのネットワークを広げてきた。

今回の新サービスは、既存ユーザーが課題に感じていることをヒアリングした結果「情報収集が大変なので、リーガルリサーチをもっとスムーズにできる仕組みが欲しい」という声が多く寄せられたことがきっかけで生まれたものだ。

「担当者は何か法的な問題や課題があって、それに対して法務部としての見解を出すためにリサーチをする。本来は分析や考察に多くの時間をかけるべきだが、見落としがあってはダメなので網羅的にリサーチをする必要があり、“どの書籍のどの箇所に、どんな論点が書かれているのか”を調べる作業に毎回時間がかかっていた」

「近年はグローバル化や新しい技術の登場などの影響で、法務部がキャッチアップしなければならない法律や専門知識が増えている。触れるべき情報量が増えスピード感も求められる時代だからこそ、その業務を少しでも簡単に、効率的に進められるツールが必要だ」(田上氏)

この事業を進めていく上ではコンテンツプロバイダーである出版社の協力が不可欠だ。田上氏によると「思っていた以上に協力的な企業が多かった」そうで、リリース時点で12社とのタッグが実現した。

目指すのは「ユーザーがリーガルリサーチをより快適に進められ、コンテンツプロバイダーもきちんと収益を得られる仕組み」を作ること。レベニューシェアモデルで出版社に収益の一部を分配する仕組みを採用しているほか、書籍ページにECサイトへの導線を設けることでサービス上からすぐに書籍を購入できるような設計にした。

「インターネット上に様々な情報が溢れる時代になったが、法律の分野においては専門性の高いコンテンツの価値はこれからも変わらない。出版社の手がける専門書籍は質が高く、届け方を変えていくことでもっと多くの人に訴求できるチャンスがあると考えている」(田上氏)

BUSINESS LAWYERS LIBRARYでは法務部門の担当者をメインターゲットとして今後もコンテンツ数を拡充させつつ、今春には弁護士が一般民事事件等(離婚や相続、交通事件、債務整理等)を手掛ける際に参照する実務書を掲載した「弁護士向けのサブスクサービス」も公開する予定だという。

近しいサービスとしては昨年12月にリリースされた「Legal Library」などもあるが、これらのサービスが普及すればアナログな要素の多かったリーガルリサーチのやり方もアップデートされていきそうだ。

電子契約「クラウドサイン」がセールスオートメーション領域でサービス開始

弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」が、今度はセールスオートメーションの領域に乗り出した。12月10日、同社が提供開始したのは「クラウドサイン Sales Automation(以下クラウドサインSA)」。契約の電子化だけでなく、前後の営業プロセスについても電子化・自動化を取り入れ、企業の営業活動を支援しようというサービスだ。

クラウドサインは、2015年10月のリリースから約4年が経ち、11月時点で利用社数は6万社に達した。弁護士ドットコム取締役/クラウドサイン事業部長の橘大地氏は「電子契約の本格的な普及が始まった」と見ている。一方で、契約締結以外の部分について営業活動の業務フローを見ると、問い合わせ受付から始まって、見込み客の管理や取引先審査、申込書などの帳票作成といったプロセスがそれぞれ、手作業も交えてバラバラに行われている。橘氏は「一連のプロセスに全て対応できるようにしたいと思っていた」とクラウドサインSA開発の動機について説明する。

「電子契約はさまざまなシーンで使われるようになり、インサイドセールスの浸透に見られるように、営業業務の効率化には注目が集まっている。しかし、Salesforceの調査(Salesforce Research 第3回年次レポート『セールス最新事情』)によれば、営業担当者が営業活動に費やす時間は全体の34%。事務作業や書類の作成、データの入力といった営業以外の業務に追われているのが実態だ。本来なら、見込み顧客の発掘や営業ノウハウの共有、マネジャー層であれば営業戦略の立案など、より意義ある活動に時間を割くべきなのに」(橘氏)

クラウドサインSAは、契約書回収業務より前のプロセスである、顧客からの問い合わせ対応、営業プロセスの進捗管理、取引先審査、契約書の作成といった業務フローを支援する。

具体的な機能としては、問い合わせフォーム作成や顧客管理(CRM)、帳票作成、マネジャー向けのダッシュボード、ワークフロー、掲示板、カレンダーやメール送信といったものが含まれており、もちろん電子契約の締結も行える。CRMのバックグラウンドでベースとなっているのはSalesforceのシステム(PaaS)。フォームで入力された内容は自動的にCRMに取り込まれ、帳票作成や申込書・契約書にも反映されるので再入力の手間は不要だ。

橘氏はクラウドサインSAにより「受注率向上と営業リードタイムの短縮、見込み顧客の発掘、セールスイネーブルメント(受注・失注情報の共有、受注理由の要素分解による担当者への教育・伝達)を図ることができる」と語る。9月に同社がローンチした「クラウドサインNOW」は、実店舗での対面・手書きの申込みを電子化することで顧客管理につなげるという発想だったが、クラウドサインSAは営業パーソンのエンパワーメントを中心に設計されているプロダクトと言えるだろう。

サービス開始時点で既にマネーフォワード、リノベるの利用が決まっているという、クラウドサインSA。橘氏は「中小企業や店舗など、元々CRMを使っていないという事業者でも、ワンパッケージで全ての機能が使えるので、そうしたところへも販売していきたい」と話している。

Salesforce連携により契約書を自動作成し、契約締結(電子サイン)まで完結できる仕組みとしては、DocuSignが提供する「DocuSign Gen for Salesforce」などもあるが、中小企業・店舗も取り込んで展開することを考えると、日本での導入社数の多さや日本の商習慣への対応の面では、クラウドサインSAに強みがあるのかもしれない。

利用料金は、SalesforceやKintoneを導入済みで、CRM/SFA機能や業務アプリ機能の追加が不要な企業を対象にした「Basic」では月額2万円(5ID)から。CRM/SFA機能の付いた「Standard」が月額固定費5万円+IDごとに8000円、全ての機能が含まれる「Business」で月額固定費5万円+IDごとに8800円となる。月額固定費にはクラウドサインの月額固定費も含まれる。

実店舗での“対面申込み”を電子化する「クラウドサインNOW」公開、データ活用で店舗改革促進へ

「これまでクラウドサインに力を入れて取り組んできたが、その一方で休日に役所や銀行、美容院に行けば未だに申込書や来店カードを紙で書いている。これは今後クラウドサインを5年、10年やったとしても変えられるものではなく、別のプロダクトが必要だと感じたのが最初のきっかけだった」

そう話すのは弁護士ドットコムの取締役でクラウドサイン事業部長も務める橘大地氏だ。ここ1〜2年で日本発のリーガルテックプロダクトを紹介する機会も増えてきたけれど、中でもクラウドサインは国内におけるパイオニア的な存在の1つだと言えるだろう。

Web完結型のクラウド契約サービスとして2015年10月にローンチされて以降、バージョンアップを重ねながら着実に規模を拡大。現在は導入企業数が5万社を超え、累計の契約締結件数も70万件を突破するほどに成長している。

そんなクラウドサインが次に取り組むのは「対面での申込み」のアップデート。本日9月24日に公開した「クラウドサインNOW」を通じて今も紙が主流となっている対面申込みをデジタル化し、もっと便利にしようというチャレンジだ。

具体的にクラウドサインNOWはどんなものなのか。橘氏が「タブレットアプリとCRMを合わせた総称のようなもの」だと話すように、このプロダクトには大きく2つの側面がある。

1つは対面申込みを紙からデジタルに変えるタブレット用のアプリだ。たとえばフィットネスジムや結婚式場、不動産店舗、エステサロンなどで記入する来店カードや申込書類。もしくは飲食店やアパレル店舗での雇用契約書など、今まで紙ベースで行なっていたものをタブレット上で完結できるようにする。

仕組み自体はとてもシンプル。これまで紙の申込書にペンで記入していたことを、タブレットとタッチペンに変えるだけだ。入力した文字は自動でCRM上に同期される仕様のため、申込み内容のデータ化作業や紙の保管、郵送の手間などの負担がなくなる。本人確認書類もカメラで撮影するだけで良く、これまでと同様の申込書や来店カードのフォーマットをそのまま使えるので導入のハードルも高くない。

エンドユーザーは初来店時と正式申込時に同じような情報を記入する手間を避けられるほか、捺印の代わりに電子署名とタイムスタンプを使って電子契約ができるので「印鑑を忘れてしまい再来店しなければいけなくなった」なんてこともなくなる。

そしてもう1つが、データ化した申込み内容を管理する店舗用のCRMだ。アプリを通じて吸い上げられてきたデータを基に顧客種別やエリア、店舗ごとに売上分析をしたり、マーケティング施策に活用したりすることが可能。橘氏によると現在はSalesforceのPaaSをベースに開発しているため、ダッシュボードやChatterなどSalesforceに搭載されている基本的な機能も使える。

冒頭でも触れたように、もともとクラウドサインNOWの構想は橘氏がエンドユーザー側の視点で感じた対面申込みの課題を解決するためのものだった。ただ実際に店舗側にヒアリングをする中で、もっと根深いペインにたどり着いたのだという。

「店舗では紙の申込み書に記入された内容をデータ化するために遅くまで入力作業をやっている。この業務の負担が大きいため、結果的に多くの店舗でしっかりとデータ化できていないのが現状。本部でデータが見えないため現場の店長の勘や経験、根性に依存するしかなく『ソリューション=店長』となってしまっている」(橘氏)

クラウドサインNOWはこれまでデータを十分に活かせなかった店舗が“データドリブンで経営”できるように支援するサービスとも言えるが、これは決して真新しい概念というわけではない。それこそSalesforceを始め顧客データの管理・活用に使える便利なサービスはすでにいくつもある。

「(クラウドサインNOWのCRM機能でできるようなことは)既存のプロダクトでもできたが、実店舗においてはあまり普及してこなかった。それは結局データ入力の部分が大きな課題になっていたからであり、解決手段となるアプリが重要。クラウドサインNOWではタブレット上にユーザーが書いた文字をAIがデータ化し、CRM上に反映する。店舗のオペレーションは今までとほぼ変わらないのに自動でデータ化できるということがポイントだ」(橘氏)

AIの文字認識についてはサードパーティのアプリを使っているそうだが、クオリティ的に実用段階にあるレベルとのこと。エンドユーザーにとっても「記入スピードが半分くらいの時間になる」(橘氏)ほか、いずれは免許証の写真を取るだけで記載のある事項が自動入力されるような機能の実現も目指したいという。

プライシングは1社あたり月額5万円の固定料金に加えて1ID(端末)ごとに8000円。クラウドサインは業界問わず使われる“ホリゾンタルSaaS”だが、今回のクラウドサインNOWは店舗向けの“バーティカルSaaS”として現場の課題解決を図る。

「顧客の情報を分析する場合、今まではPOS情報が軸になっていた。ただPOS情報は購入してくれた人の履歴で、それはデータのごくごく一部にすぎない。実は購入に至らなかった人の情報(失注データ)こそ分析する価値があり、そういったデータを手間なく蓄積し経営に活かせるようにすれば価値は大きい」(橘氏)

橘氏の話では正式ローンチに先駆けすでにフィットネスクラブなど複数社で受注済みとのこと。ウェディング業界や英会話スクール、学習塾などいろいろな分野から引き合いもあり、手応えも感じてようだ。

今後の構想としては「ジムの入退館時に会員証をピッとゲートにかざせばそのデータがCRM上に自動で反映される」といったように、来店や購入情報とコネクトして失注情報から受注情報、受注してからの課金額などを全て統合して管理できるプラットフォームへと進化させていきたいという。

「クラウドサインの派生事業と思われるかもしれないが、全く別の新規事業であり事業部も分けている(来店カード・申込書のデータ化やその活用という)店舗が抱える課題を解決するプロダクトはこれまでなかったと思っているので、大きなチャレンジになる。ベンチマークはAirレジやPayPay。そのくらいの規模で使われるサービスを目指したい」(橘氏)