批判を浴びながらノルウェーはFMラジオ放送の全廃に向かう

Hand tuning fm radio button. Retro image processed.

NorwayのFMラジオを終わらせる計画が、予定通り今日(米国時間1/11)発効する。これにより、この国にまだ残っていた全国放送のアナログ局が、年内にデジタルオーディオ放送に移行する。それは、自然の障害物が多すぎてその500万の人口に信号を届ける費用が高くつきすぎる小国における、節約努力の一環だ。

ノルウェー政府がこの計画を主導し、今では70%の世帯がデジタル受信機を使用しているという。しかし計画の批判者たちが指摘しているように、200万あまりのカーラジオの聴取者にはまだ、デジタル放送を受信する手立てがない。

The Guardianの報道によると、200万という大きな数字(全人口の40%近く)が厄介なのは、みんなラジオで道路情報などを聴くからである。冬の吹雪のときなど、その重要性は高い。でも、中長距離の送信機はもう、どれも停止している。

“Norwayは準備ができていない”、とノルウェーのローカルラジオ協会の代表がBBCに述べている。“家庭やコテージ、ボートなどの何百万ものラジオがもはや使えず、デジタルラジオ用のアダプターのある車は約25%にすぎない”。

政府の費用節約は聴取者を犠牲にし、170ドルもするアダプターや、もっと高いデジタルラジオ受信器の購入を強制する。全国局は年内にFMが完全になくなるが、ローカル局には5年の猶予がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

シンプルで美しいプロジェクトRadio.Gardenで、地球というラジオ局を聴こう

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もっとも美しいプロダクトはときどき、もっともシンプルなプロダクトだ。たとえば、ここでご紹介するRadio.Garden。マルティン・ルター大学ハレ校のGolo Föllmerが作ったこのプロジェクトは、まるで実写のような地球の表面に、グリーンのドットがたくさんある(上図)。マウスがドットの上に来ると、そこがイランでもエストニアでもフェロー諸島でもどこでも、そこのラジオ局を聴ける。

そのインタフェイスには、意外にも鎮静効果がある。使いはじめるとすぐに、地球上の最僻地に行ってみたくなるだろう。アイスランドの上をごろごろしていると、Spice Girlsや、地元のラジオ局のトークショーが聴ける。テヘランを訪ねると大音量のディスコになり、背後にはRadio.Garden固有のシーシー音やパチパチ音が聞こえる。そう、暗いタクシーの中や、路地裏のカフェでは必ず、エリック・クラプトンやジャミロクワイが鳴っている、その雰囲気だ。

Föllmerはこう言ってる: “遠くの声を近寄せるラジオは、人をその場所にワープさせる。Radio Gardenでリスナーはラジオ放送という独自の世界を探検し、地球全体の各所に広がっているさまざまなアイデンティティを耳にする。ラジオの信号には、最初から国境がない。ラジオ局とリスナーは、想像力によって、互いに遠方の文化に接続し、数千マイル離れた自分の家から、そこの人びとと結びつく。ラジオ局側から言えば、ローカルなコミュニティのラジオが、数千マイル先に新しい家を見つけ、自分自身を豊かにする”。

彼の言うことは、まったく正しい。人間が24時間365日情報漬けになってるこの時代に、ラジオには短い余命しか与えられていない。それは別の時代のメディアであり、これまでの整理統合と近年の電波バブルによって、約2000局に減ってしまった。でも、このきれいなプロジェクトは、遠くの見知らぬ土地をドライブしているときは、ラジオが地元の小さなFM局を見つけてくれたときが最高の救いであること、月明かりしか照明のない僻地の古い農家に民宿したときには、そんなFM局の音楽の大音量が、唯一のぬくもりであることを、思い出させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TuneInプレミアムが登場。広告が消え、MLBやプレミアリーグのチーム毎ステーションも開設。さらにオーディオブックのストリーミングにも対応

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人気の音楽サービスおよびアプリケーションを提供するTuneInが新たなサブスクリプションサービスを開始した。月額7ドル99セントのTuneIn Premiumで、申し込むとステーションからの広告がなくなると同時に、いくつかのプレミアムコンテンツにもアクセスできるようになる。

読者の方はご存知だろうが、TuneInのアプリケーションはiOSでもAndroidでも大人気となっている。世界中のラジオ局番組を聴くことができるようになっている。ライバルはiHeart Radioだろうが、インターネット上で好みの音楽ラジオ番組を聴くのには、いずれかを使っているという人がかなりの部分を占めるはずだ。

これまでもTuneInは「プロ版」を提供していた。録音ができて、バナー広告が非表示となるものだったが、どうやらTuneInに大きな利益をもたらすものとはならなかったようだ。

そこでTuneInが考えたのが次の一手だ。新たなストリーミングサービスを自ら立ち上げるような方法ではなく、ラジオステーション側からの広告を取り去るという方法を考えついた。TuneInでサポートしている600局からの放送中、流れるCMを音楽に差し替えてしまうのだ。

差し替える音楽はサーバー側から送られるようになっていて、DJ側の作業は何もないそうだ。TuneInが視聴状況に基づいて適切な音楽を選択するようになっていて、局側では差し替え時の候補曲を用意しておく必要もない。これはある種の「広告ブロッカー」としても機能するものとなる。それにともないプレミアムサービスからの収益を放送局側とシェアしたりするのかどうかについては、今のところ情報はない。

さらに、TuneInはメジャーリーグベースボール(MLB)およびプレミアリーグとの提携も行った。TuneInにて大リーグ(野球)およびプレミアリーグ(サッカー)を楽しめるようになったわけだ。これらスポーツ中継については、すでにチーム毎のラジオ局が用意されていて、そこでゲームおよび解説を楽しむことができる。

それだけでなくTuneInはPenguin Random HouseおよびHarperCollingsとも提携した。これはオーディオブックを放送するための措置だ。プレミアムに登録した人は、4万冊のオーディオブックを再生することができる。これによりTuneInは電子書籍版Netflix的なサービスにピボットしたScribdと競合することとなる。

有料サービスに切り替えようと思う人はどの程度だろうか。提供が開始されるプレミアムコンテンツのすべてに興味があるという人は少ないのではないかと思う。そうであれば、特定のコンテンツにしか興味のないという人は、なかなか有料版に切り替えようとは思わないかもしれない。しかし車で毎日音楽ラジオ局を再生しているという人なら、広告がなくなるというのは嬉しく感じることだろう。あるいは熱心なスポーツファンなのであれば、チーム毎に用意されたラジオ局というのはとても魅力的だろう。オーディオブックに興味のある人も、膨大なライブラリからストリーミングサービスを受け取ることができるということには「おいしい」と感じるかもしれない。

長い目でみれば、プレミアム版の導入はTuneInの成長のきっかけとなるのではなかろうか。今後も機能やコンテンツを加えていくことになるのだろう。遠からず「must have」なサービスに育つことも考えられる。

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(翻訳:Maeda, H

Amazon、今週中にも音楽ストリーミングを開始のもよう―内容は小規模

New York Timesによれば、AmazonはPrime会員向けの音楽ストリーミングを今週中にもスタートさせるという。 このサービスはPrime会員の年会費以外は無料で、広告も入らないが、新曲は提供されない。またユニバーサル・ミュージックのアーティストは除外されるという。

AmazonのサービスはRdio、Spotify、そしてAppleが買収したBeats Musicなどのライバルに比べて大きく異る。他のサービスはすべてユニバーサルも含めて新曲を提供する(一部除外されるサービスもある)。またAmazonのサービスが当初提供するのが数千曲だというのに対して何百万という曲を聞くことができる。しかしAmazonのストリーミングが既存のPrime会員向けの追加サービスだというのであれば、他の独立のストリーミング・サービスとは直接のライバル関係にならないわけだ。

Amazonは最近Prime会員の料金を年額79ドルから99ドルに値上げしたが、同時にPrime会員向けインスタント・ビデオにHBOのタイトルを加えるなどコンテンツを拡充している。

Amazonのストリーミング・サービスが当面きわめて小規模であるのはレコード会社とのライセンス交渉の不調によるものらしい。レコード会社はAmazonの提示したライセンス料が低すぎると考えたようだ。Amazonのライセンス条件は、インディーズレーベルの場合は、年間500万ドルのライセンス料をプールして配分、ソニーとワーナーに対しては年間アクセス料金を一括して支払うというものだという。 Amazonが最終的にどれほどのコストを負担することになるのかは明らかになっていない。

昨年末にAmazonが発表したところによると、Prime会員の数は2000万人程度のようだ。Primeは非常に利益を上げている事業なので会員数をさらに増加させるために努力することは理にかなっている。他の独立の音楽ストリーミングと比べると見劣りがするとはいえ、こうした小さな付加価値でもPrimeサービスの魅力をアップするのには役立つだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+