デジタル素材のマーケットプレイスを展開するピクスタがマザーズ上場へ

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ピクスタのコーポレートロゴ。PIXTA会員のクリエーターがデザインした

写真や動画などデジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を提供するピクスタは8月10日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月14日で、証券コードは3416。

ピクスタでは上場にともなって、18万株を公募し、27万7900株を売り出す。ピクスタ代表取締役の古俣大介氏が5万株、取締役の遠藤健治氏が3万株、同じく取締役の内田広太郎氏が1万3000株、Globis Fund III,L.P.が9万8500株、Globis Fund III(B),L.P.が2万7700株、SocialEntrepreneur投資事業有限責任組合が5万3000株、関西インキュベーション投資事業有限責任組合が5700株をそれぞれ放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは6万8400株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月26日、ブックビルディング期間は8月27日~9月2日。価格の決定日は9月3日。主幹事証券会社は野村證券となっている。

同社の2013年12月期の売上高は7億8232万円、経常利益は4645万円の赤字、純利益は4698万円の赤字。2014年12月期の売上高は10億6876万円、経常利益は9844万円、純利益は9053万円となっている。

ピクスタは2005年8月の設立(当初の社名は「オンボード」)。2006年よりPIXTAを展開してきた。

PIXTAはプロ・アマチュアのクリエーターがPIXTA上に素材を投稿して販売。代金の一部をPIXTAが手数料として徴収し、クリエーターに報酬を支払うというもの。当初は写真に限定してサービスを展開していたが、現在ではイラストや動画など様々なデジタル素材を購入できる。2014年度の数字では、素材点数が983万点、単品販売の月間購入者数の累計は17万人、平均月間単価は5979円となっている。また2014年からは定額制販売も開始しており、2015年度第2四半期時点の契約件数は435件となっている。

アジアを中心にした海外展開も進めており、2013年には英語版サイト(7月)と中国語版サイト(12月)を開設。同年11月にはシンガポールに現地法人、2015年7月には台湾支店をそれぞれ立ち上げている。

動画制作「Viibar」に撮り下ろし映像を使わない低料金プラン、「PIXTA」の素材活用

今年は「動画元年」と言われているが、調査会社のシード・プランニングによれば、2013年の国内ネット動画広告市場は、前年比329%の132億円に成長しているそうだ。動画広告以外にも、最近は自社サイトでプロモーション動画を載せるのは珍しくないし、実はTechCrunch Japanも起業家を編集部に呼んで動画インタビューを行っていたりする。我々の話はさておき、動画ニーズをさらに掘り起こすべく、映像制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」が2日、エントリー層向けの低料金プランを発表した。

Viibarはシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターといった各分野のクリエイターを集め、発注者とマッチングするサービス。従来の動画制作の流れは、広告主が代理店に依頼し、そこから制作プロダクションに発注し、さらにクリエイターに仕事が振られるという、多重な下請け構造。Viibarはこれらの中間業者を抜くことで市場価格の半分程度のコストでの動画制作を実現するとともに、クリエイターの利益も最大化しようとしている。(価格は30万円〜、60万円〜、100万円〜の3プラン)。2月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円を調達した

そんなViibarが2日に発表した新プランは、写真・動画素材の販売サイト「PIXTA(ピクスタ)」が扱う770万点以上の素材を使って映像制作を依頼できるようにするもの。自前で撮影する「撮り下ろし」の映像を使うのに比べて、従来よりも低コストに抑えられるのが特徴だ。HD画質の料金は15秒で14万8000円、30秒で22万8000円、60秒で29万8000円。ナレーションを入れる場合はプラス4万円〜となっている。

気になる動画素材はCG作品や風景、人物など多岐にわたるが、PIXTAで最も売れているのは、日本から世界各国に向けて光線が発信されるCG(企業がグローバル展開していることをアピールするために使ったりする)なのだという。そのほかにも、渋谷のスクランブル交差点で行き交う人々をスローモーションで撮影した映像などが人気なのだとか。

撮り下ろし映像を使った作品と比べると表現力に制限はありそうだが、「動画は高くて手が出ない」と考えている企業にとっては打ってつけといえるかもしれない。Viibar代表取締役の上坂優太は「新プランを試してもらい、その後、撮り下ろしプランを始めていただけたら理想」と話していて、ユーザーの裾野を広げる狙いのようだ。一方、PIXTAとしては素材活用の幅を広げ、動画制作でストック素材を使う文化を広げていきたいのだという。

ところで、写真・動画素材の販売サイトはゲッティイメージズやアマナイメージズ、シャッターストックといった大手があるが、なぜスタートアップのPIXTAと新プランを共同開発したのか。この点について上坂は「何よりスピードが速いから」と話す。「やりっぱなしでなくPDCAを高速で回すためにはスピード感を持った会社とやりたかった。スピードが遅いと取り組み自体の鮮度が落ちてしまう。(PIXTA社長の)古俣さんと仲良くさせていただいていて、何かやりましょうと話していたのもありますが(笑)」。ちなみに今回の新プランは、交渉開始からわずか1カ月で実現にこぎつけたのだという。


ストックフォトのピクスタが定額制サイト「Imasia」、オウンドメディアやFacebookページでの需要受け

約690万点の写真が登録されているストックフォトサイト「PIXTA(ピクスタ)」は、定額制サイト「Imasia(イメージア)」を4月3日にオープンする。写真を大量に必要とするデザイナーや企業が対象。3万7800円の30日間プランや、20万5200円の90日間プランなどがあり、それぞれ1日25点まで(30日で最大750点)ダウンロードできる。

PIXTAは2006年5月に開設。現在は約12万人のクリエイターが写真や動画を販売している。素材はすべてピクスタの審査を経たもので、写真・イラストは1点525円〜、動画は1点2100円〜。プロが撮影した写真を提供するストックフォトサイトと比べて、「約10分の1の低価格」(ピクスタ代表取締役の古俣大介氏)という。顧客は広告制作や出版、放送などの分野で約14万人を超える。

クリエイターにはプロもいるが、全体の97%が会社員や主婦などのアマチュアカメラマンだ。リーマン・ショック以降の副業ニーズでユーザーが伸びていて、その中には平日は会社員として勤め、休日はPIXTAのクリエイターとして活躍し、その収益で家を建てた人もいるのだとか。

今回定額制サイトを立ち上げた背景には、企業のオウンドメディアやFacebookページ、オンラインメディアやウェブ広告などで、商用利用可能な写真の需要が高まっていることがある。PIXTAでは毎月20枚以上の購入する顧客が増えていて、コストへの懸念や購入ごとの稟議書の手間から、大量購入をためらうケースが多々あったのだという。

欧米系のストックフォトサービスに目を向けると、2012年12月にニューヨーク証券取引所に上場したShutterstockがいち早く定額制サービスを開始。これに同業他社も追従し、今では定額制が一般化している。国内ではゲッティイメージズの「Thinkstock」「ペイレスイメージズ」が定額制を提供している。

ピクスタは定額制サービスとしては後発になるが、500万点を超える日本コンテンツの品揃えで差別化を図るという。「国内の定額制サイトは日本コンテンツが10〜30万点程度。圧倒的な日本コンテンツの品揃えが強み」(古俣氏)。同社はImasia単体で2015年までに売上高1億円を目指す。今後はアジアの素材も充実させ、3年以内にアジア諸国でのサービス展開を視野に入れている。

ピクスタ代表取締役の古俣大介氏