自動車産業が総合交通サービス業になる?自動車メーカーが車を使わない交通アプリTransitに投資

Transitは、都市に住んでる車を使わない人びとのためのモバイルアプリを作っている。同社はこのほど、二つの自動車メーカーからシリーズBで1750万ドルを調達した。

そのラウンドをリードしたのはRenaultNissan-Mitsubishiグループの投資部門Alliance Venturesと、Jaguar Land RoverのVCファンドInMotion Venturesだ。これまでの投資家AccelとReal Venturesも参加した。

RenaultNissan-MitsubishiとJaguar Land Roverの投資は、5年前なら奇妙に感じられただろう。でも、今は2018年だ。今年は、スクーター戦争とマイクロモビリティ(micro-mobility)の年だ。そして自動車メーカーはそろそろ、単純に車を作って売るだけのビジネスから脱して、業態を多様化しようとしている。

2012年に創業されたTransitは最初、バスや列車などの公共交通機関の時間を調べるアプリだったが、だんだん成長して今ではライドシェアや自転車〜スクーターのシェアなども利用できる。データはリアルタイムで、今シェアを利用しているユーザーからのクラウドソーシングも含まれる。アプリはそのユーザーが今利用しているシェアに通知して“次はどこそこへ行け”と指示し、アプリの本来のユーザーにはそのシェアの推定到着時間を教える。今では、ボストンやボルチモア、シリコンバレー、タンパベイ、モントリオールなどの交通局もTransitを利用している。

同社はこのアプリが交通機関/交通手段の種類やその提供企業/製品を特定しないことを目指しており、その意味でオープンAPIの熱心な支持者だ。今その理想にいちばん近い形を実現しているのは、Transit発祥の地、モントリオールだ。COOのJake Sionによると、モントリオールではユーザーが、カーシェア、自転車シェア、Uber、そして公共交通機関を利用できる。

Transitは世界の175の都市で使われており、今回の資金は各地の既存サービスの内容充実と、対応都市の拡大に充てられる。内容充実は、対応する交通機関/手段の増だけでなく、決済方式の改良等も含まれる。

Alliance Globalのベンチャー担当VP François Dossaは、声明でこう述べている: “この投資はTransitの努力をさらに前進させ、都市における移動をシームレスにし、そのアクセス性を向上する。それはAllianceの2022年戦略にもフィットするものであり、そこでは弊社が、各種シェアサービスを含むすべての交通機関交通手段のシームレスな統合化における、業界のリーダーになることを目指している”。

画像クレジット: Transit

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自動運転車タクシーの料金計算方式のテストをWaymoが開始

Googleからスピンオフして今やAlphabet傘下の自動運車転技術の企業Waymoが、同社の自動運転車の乗車料金の計算方式のテストをフェニックスで開始した。これは同社が商用のロボタクシーサービスの立ち上げを準備していることの、いちばん新しい兆候だ。

Waymoはまだ、フェニックスでもどこでも、大規模な商用ロボタクシーサービスを立ち上げてはいない。でも、その日は近い。

Waymoの初期の乗車プログラムでは、厳選された本物の人間のグループがアプリを使って自動運転車を呼ぶだけだったが、今回テストはさらに拡大された。AlphabetのCFO Ruth Poratが、木曜日(米国時間10/25)に行われた同社の決算報告でそう説明した。すなわちWaymoは、第三四半期の間に行なう、そのアプリにある料金計算方式のテストを開始した、とPoratは述べた。

前回Waymoがそのプログラムの数字を共有したときは、その初期の乗車プログラムに400名が参加した。しかしWaymoのスポークスパーソンは今回、それがどれだけ増えたかを明言しなかった。

代わりにこう言っている: “初期の乗車プログラムの一環として最近、アプリにある料金計算方式のテストを始めた。料金計算は現在実験段階であり、初期の乗車者からのフィードバックを得ることだけが目的である。サービスの本格的な開始に向けて現在検討中の、そのほかの料金計算方式を反映したフィードバックにはならない”。

Waymoは、2016年に郊外地区のチャンドラーなどでテストを開始して以来、少しずつフェニックスにおける商用サービスに向かって近づいていた。2017年4月には初期的な乗車プログラムを本格的に開始し、その年の後半にはテスト車の隊列から社員と乗客を外して、空の自動運転ミニバンの車列をフェニックス大都市圏の街路に送り出した。

今年の5月には、Waymoは一部の初期的乗車者に、人間のテストドライバーが乗っていない自動運転ミニバンをタクシーのように呼ばせることを開始した。さらに最近同社は、フェニックスで公共交通プログラムを立ち上げ、人びとを最寄りのバス停や、列車やライトレール(市街電車)の駅まで運ぶパイロット事業を始めた。

テストはカリフォルニア州のマウンテンビューやテキサス州のオースチンなど、他の都市でも継続する。同社は今月の初めに、同社の自動運転車がアメリカの公道を1000万マイル走破したと発表した〔約1610万キロメートル〕。

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LimeのスクーターのライダーがワシントンD.C.で今月二人目の死亡事故に遭う

生後18か月のサンフランシスコのスタートアップLimeは、今やその明るいグリーンの自転車やスクーターがアメリカ中の都市に広まっている。今日(米国時間9/11)はタコマとワシントンでパイロット事業を立ち上げたが、でもその小さな勝利は、短命と感じられたかもしれない。その理由は、この国の反対側〔イーストコースト〕で今日、Limeのライダーが、ワシントンD.C.のDuPont界隈を乗り回しているとき、一台のSUVに殺されたからだ。地元の消防署が救助時のビデオをビデオをシェアしたが、被害者の成人男性を車の下からひきずり出さなくてはならなかった。

それは、知られているかぎり同社にとって二度目の死亡事故で、今月初めにはダラスで、24歳のテキサス州の男性が自分が乗ってるスクーターから落ち、頭を強打して死亡した。

ある面でそれらの事故は、不運だったとはいえ、現状のライダーやe-スクーターの劣悪な脆弱性があるかぎり、誰にとっても意外ではないはずだ。e-スクーターの利用は増えていて、LimeとそのL.A.のライバルBirdは今週、彼らの顧客が1000万を超えた、と発表した。しかしそれと同時に、各都市はからと、歩行者の事故防止のために歩道での使用を禁止している。そこでライダーたちは、彼らがいずれ徐々に追い払いたいと願っていたものと同じタイプの、巨大で排気ガスを吐きまくるマシンと、街路を共有することになった。ところが、追い払うどころか、SUVの売上台数は、失業の減少と製品に対する消費者の高い信頼、そしてアメリカ人の心から消えることのない巨大な乗り物への愛が相まって、どんどん増え続けている

e-スクーターの企業とその投資家たちが前から言っている解決策は、専用レーンを設けることだ。Birdは、自転車とスクーターの安全を確保するインフラストラクチャを作るためのファンドまで創設している。

ヘルメットの着用義務も有効と思うが、カリフォルニア州は反対している。水曜日(米国時間9/19)にJerry Brown知事は、電動スクーターに乗る〔年齢18歳以上の〕カリフォルニア州民は1月1日よりヘルメット着用を義務付けられない、という法案 に署名した。

この法案はBirdがスポンサーだ、と報じられている。

画像クレジット: Lime

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Street ViewのライバルMapilleryは、Amazonと協力して3億5000万枚の画像DBからテキストを読み込んでいる

スウェーデンのスタートアップMapillaryは、クラウドソーシングによるストリート映像を使うことで、Googleやその他の企業たちに世界の地図化で対抗することを狙う企業だ。そのMapillaryがこのたび、そのプラットホームの開発の中で興味深い一歩を踏み出した。同社は現在、Amazonと協力し、特にそのRekognition APIを使って、Mapillaryの3億5000万枚の画像データの中から、テキストを検出し読み込もうとしている。

新機能の最初のアプリケーションは、米国の大都市(まだどの都市かは発表されていない)で使えるもので、路上のパーキングサイン(路上駐車の条件を表す標識)から「読み取れる」情報を用いて、パーキングアプリを開発する予定だ。

 

「路上駐車はとても関心が高く、路上駐車情報はMapillaryを使う人たちがもっとも求めているデータの1つなのです」と語るのはスウェーデンのマルモに拠点を置くMapillaryの、CEO兼共同創業者であるJan Erik Solemだ。彼は、路上駐車アプリは最初のアプリケーションであり、他の都市にも採用されることも期待されるが、やがてMapillaryの画像の中から読み取れるテキストとのマッチングを行う他のアプリケーションが登場するだろうと語った。それによって特定の場所の正確な緯度と経度をピンポイントで指定することが可能になる。「路上駐車は現代の都市における最大の問題の1つですので、私たちは米国のパーキングサインの読み取りから始めました。とはいえテキスト認識は多くの異なるタイプのオブジェクトや画像に適用することが可能です、例えばビルの正面など」。

都市が路上駐車の状況をしっかりと把握していないというのは奇妙に思えるかもしれないが、実際にこれはよくあることなのだ。Solemによれば、多くの都市は路上駐車規制を表すアナログ地図を持つだけのことが一般的で、大部分の都市ではデジタル化されていない。そのことが意味することは、もし都市が新しいサービス(特に路上駐車料金もしくは路上駐車違反の罰金から収益を得るためのサービス)を構築しようとしたり、あるいはもっと沢山の路上駐車スペースが必要か否かを考慮しようとした時に、それを検討するためのデータセットを持っていないということだ。

Mapillaryは、路上駐車問題は米国内の合計で730億ドルのコストがかかっているという調査結果を引用した、おそらくそれは人びとが超過駐車の罰金として払うものだけでなく、駐車場所を探すのに浪費するガソリンなども含んでいる。しかしおそらく超過駐車を誰も気がつかないことによって失われる収益もあるだろう。

注目されるのは、MapillaryがそのRekognition APIの利用を、Amazonとの「コラボレーション」であると表現していることだ。私はこの表現の意味について尋ねたが、彼はこの件に関しては私とはあまり「コラボレーション」してくれなかった。

「Amazonが何をしているのか、何故そうするのかについてのコメントはできません」と彼は言う。「それを発表の一部に取り込むことができれば良かったのですが、今回は見送りになりました」。どうやら両社はここしばらく共同作業をしているようだが、それらは全てNDA(秘密保持契約)の下で行われているらしい。

Amazonは多くのことを地図の世界で行って来ている。しかしそれはサードパーティへのデータ提供か、あるいは自身のサービス向けの用途である。まず第一に、Amazonは強力な物流組織であり、そうである理由の一部はもちろん、マーケットプレイスで売買される商品を、集荷し配送配達するための最適な手段を発見する、インテリジェントな地域経路決定を行うことにある。

しかし、それは地図と場所がAmazonで使われる方法の一部に過ぎない。同社はHereの地図を使用しており、一時はその地図作成会社を買収することに関心があると噂されていた。一方、Amazonは、同社のデバイス向けに位置サービスを利用するアプリを開発したい開発者たちのために、Googleのものに似たマッピングAPIを開発した(その過程では他のマッピング関連特許と技術者の獲得も行われた)。

現時点では、それが主に意味することは、Fireタブレットと急増するEchoデバイスバリエーション向けのアプリを開発することだ。しかしAmazonはまた別の種類のハードウェアにも大いに注力している、例えばコネクテッドカーなどだ。

1月にはトヨタが、Alexaを統合するためにAmazonと協力していることを発表した。それとは別にAmazonは自動運転車のエリアの特許も取得し続けている。

言い換えれば、Google Mapsの実用的な代替物をストリートレベルの画像で提供するMapillaryのような会社に、明らかなチャンスがあると言うことだ。特に周囲の情報をインデックスして提供し、A地点からB地点までのもっとも効率の良い経路を算出するこうしたサービスで、Amazonの強力なパートナーとして働く可能性がある。

そしてこれは補足だが、他の人工知能プラットホーム同様に、Rekognitionもアプリケーションの中で使われるたびに学習を行う。AmazonはMapillaryとの協力を通して、路上の標識から、それは何を言っているのか、それが設置されているのはどこかといった、より詳細なデータを集めることになる。

Mapillary自身については、私自身もずっと興味深いスタートアップだと考えて来た。Solemはコンピュータビジョンの専門家で、以前経営していた顔認識スタートアップのPolar RoseをAppleに売却している。そして彼の現在のベンチャーはこれまでに2450万ドルを調達しているが、投資しているのはSequoiaAtomico、Navinfo、BMWとSamsungなどである。現在は潜在的な顧客たちとの関係を深めている最中だ。

そうした顧客の1つに、AmazonのマッピングプロバイダであるHereも含まれている。その他の企業はNDAのため公表されていない。彼らは一緒に、Mapillaryの画像をそのより広範なデータベースのために投入している最中だ。Solemによれば3億5000万枚の画像の80パーセントはWazeのように個人から投稿された物であると言う。「誰もが何らかの問題を解決したいと思っているか、あるいは世界の地図を修正したいと言う希望を持っているようです」と彼は言った。

テキスト認識とその読み込みは現在Mapillaryが取り組んでいる問題の1つだが、次の段階は、人びとがより多くの画像を、より自動的に取り込む支援を行うことになるだろう。「次の開発サイクルの私たちの製品は、人びとが対象をカバーし尽くす手助けをします」とSolemは語ったが、それ以上の詳細な説明は行わなかった。「私たちが開発しているのは、キャプチャタスクを展開するためのツールです」。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Ken Hawkins / Flickr under a CC BY 2.0 license.

AI車両管理プラットフォームで2年後のモーダルシフトに備えるAvrios

スイスのスタートアップAvriosは、企業が一人の人間に一台の車という従来の考えにとらわれず、状況に応じた移動方法を受け入れることにより、業務上の移動手段がもっと面白くなるはずだと考えている。

また、内燃機関からグリーンな代替動力への切り替えを加速することで、進歩的という評価を得たいと企業が考えるようになると同時に、新しい都市型移動手段が数多く生まれ、個人輸送のための幅広いマルチモーダルな選択肢として顧客に提示できるようになった。したがって、従業員が使える車種の選択肢が少ない企業は、もう長くは存続できない、というのが彼らの主張だ。

しかし、バランスをとりながら選択肢を増やすことは、車両管理の業務をさらに難しいものにする恐れがある。なぜなら、供給業者(全体の数が増えて、小さな業者も多くなる)との交渉、コストと有用性の把握、輸送ソリューションを業務の目的や従業員の要求に合理的にマッチさせるといった作業が重なるからだと、Avriosは話している。そこで、ますます多様化する複雑な車両の管理作業においては、AIが鍵になる。

現段階では乗客輸送用車両と小型トラックに焦点を絞ったAvriosのプラットフォームは、ヨーロッパを中心とした、7万台ほどの車両を運用する700あまりの企業に採用されているが、すでに機械学習技術を導入し、車両のリース費用に関する情報を把握しつつ、車両管理業務を助けている。

しかしAvriosにとって、これはまだ基礎作りの段階だ。電気自動車の技術に人気が集まり、業務用車両にも電気自動車が導入され始めている今、同社はそのプラットフォームを、近く起きると想定される大転換に対応するものとして位置づけている。

都市圏における個人の移動手段が豊かに多様化する兆しは、配車サービスの大手Uberが電動バイクや電動スクーターに目をつけるといった行動から、すでに消費者サイドで見え始めている。

もちろんビジネスの側も、立ち遅れまいと考えている。そのため車両管理プラットフォームは、そうした新しい、きめ細かい移動手段に対応するべく挑戦を続けてゆく必要があると、AvriosのCEO、Andreas Brennerは話している。

2015年に設立されたスタートアップAvriosは、昨年、自社の顧客を対象に調査を行った結果、現在、ヨーロッパの企業がエンジン車両に費やしている年間予算は600億ユーロ(約7兆7300億円)あり、今後5年間で別の動力を利用した車両に移行すると見積もった。

この調査では、大半の企業(80パーセント)が、現在、スプレッドシートとAccessデータベースで、迫り来る移行に対処しようとしていることもわかった。そこでAvriosは、市場の大改革に適応できるよう、援助の機会を伺っている(主な競合相手はスプレッドシートになると同社は話している)。

車両管理プラットフォームSaaSの最初の役割も(立ち上げ当初はダッシュボードと呼ばれていたが、2017年秋からプラットフォームと呼ばれるようになった)、業務の支援だった。彼らは、送り状や車両リースの書類を、車両管理者のために取り込んで処理をするシステムを構築した。それが今では、ほぼ完全に自動化されているとBrennerは言う。

「信じられないでしょうが、たとえば、大手のリース企業で、送り状やリースのデータの読み込みを行うAPIを持っているところは、ほとんどありません。そのため、そうした契約書や送り状を処理できるシステムを、根本から作らなければなりませんでした」と彼は言う。

「初期のころは、すべて手作業から始めました。しかし今では99パーセントの書類を完全に自動処理できています。これは、通常の構造化フォーム認識だけでは実現できません。本格的なAIシステムが貢献しています。魔法は、そのAIの中で起きているのです」

「私たちの仕事の特徴は、顧客の複数の言語による構造化されていないデータを、すべて読み込める点にあります。それには、車両管理には欠かせない非常に多くの情報が含まれていて、時間を大幅に節約できます」と彼は付け加えている。

彼が見据えている将来は、フランス語のPDF形式の送り状を自動的に処理するといった程度の技術ではない(それはそれで便利だが)。より豊富できめ細かい移動手段を取り混ぜて利用する方針に業界が移行するという、もっとエキサイティングなものだ。

もうひとつ、彼らは調査を行なった。顧客のデータから、走行距離と車両の種類をもとに、車両がどのように使われているかを調べ「車両の使用事例を推論」したとBrennerは話している。

「私たちは、動いていない車両や荷物を運んでいない車両は、経済的な視点からは、なんの意味もないという前提に立っています。そこが、他のオプションに入れ替えるべき第一候補でした。少なくとも電気自動車の場合、街中で1日に10キロから20キロしか走らなかったとしたら、内燃機関の車に比べて、経済的な意味がまったくありません」と彼は指摘する。

そこから彼らは、今後5年以内に、内燃機関の車の30パー円とがシフトすると予測した。

彼らは、顧客がすでに電気自動車を加えた車両の運用方針を実施していることを知った(「進歩的な企業は、2019年には特定の割合を電気自動車に切り替えるという方針を実行しています」と彼は話している)。

彼らはまた、社内カーシェアリングの「大きな需要」があることも発見した。そこで彼らのプラットフォームには、カーシェアリングを管理する予約モジュールも組み込まれた。

さらに面白いことに、一部の顧客は、従業員に電動バイクを提供するといった、非常に柔軟性の高い実験を行なっていることもわかった。

「ドラバーの働く意欲と定着率を高めるために、新しい可能性をどのように利用したらよいかを、みんなは真剣に考えています」とBrennerは言い、移動手段のマルチモーダルな選択肢を従業員に与えることが魅力的な企業としての利益につながると提言している。「しかも、こうした車両運用方針は、より多くのグループに広がります」

「見習い従業員が電動自転車に乗れるとしたら、それは大きな意欲につながります」と彼は続ける。「私たちのお客様も、このことはよく理解されています」

とは言うものの、この程度の柔軟性も、今のヨーロッパではまだ試験段階に過ぎない。

しかし、ヨーロッパの運送業界が、来年、車両運用方針に電気自動車を組み入れるのは「確かなこと」と彼は見ている。さらに、あらゆる種類の移動手段の変化が、あと7年以内に起きる可能性があるという。

「2019年には、もっとクリエイティブで、もっと進んだ選択肢の実験が行われるでしょう。そしてその結果によって、2020年にはさらに大変革が起こると、私たちは見ています」と彼は断言し、それにより生み出される車両管理業務の課題を具体化している。

「車両管理担当者の立場に立ってみましょう。これまでにやり方は、だいたい2社か3社の馴染みの大手リース会社を持ち、彼らと条件を話し合い、だいたい15車種ほどのモデルと、いくつかの装備のオプションから、従業員が車両を選べるようにします。それが従来の方法であり、これにメンテナンスのオプションや、資金繰りなどを加えれば、それだけでもう十分に難しい仕事です。私たちが第一に取り組むべき課題は、それです。彼らの車両運用方針を理解することです」

「しかし、より専門的で小規模な供給業者を加えると、途端に細かい交渉が始まります。諸経費はかさみます。さらに供給業者の数が増える、というのが今起きていることです。レンタカー会社は、もっと個人の利用事例に沿った提案をしてくれます。カーシェアの場合は、さらに絞り込んだ使用事例に適応した、特別な提案をしてくれます。車両管理担当者として、そこまで従業員の要求に応えようとすれば、管理すべき契約の数、車両運用方針に加える項目数、意思決定や従業員への引き渡し方法の複雑さが爆発的に増加してしまいます」

「車両管理担当者の仕事とは、そういうものです。そこを私たちが手助けしたいと思っているのです。コストの管理と、従業員が私たちのプラットフォームを使って、直接、車両の予約ができるようにすることです。私たちのプラットフォームを通じて、レンタカーやリース車両を、直接、注文できるのです。そうして、すべてが自動的に車両運用方針に整合するようになります」

同社は、そのプラットフォームを利用することで、現時点で、車両管理費用が最大30パーセント、車両コストが最大10パーセント削減できると主張している。さらに、データ機密性は向上し、環境や所有者の責任に関する法律にも準拠できる。

未来予測が示すとおり、移動手段の種類や数が大幅に増え、選択肢が、微妙な差異の特定分野に細分化されるようになると、コスト管理、コンプライアンス、複雑化する運用方針に対処するプラットフォームの重要性が際立ってくる。多くの従業員と車両を抱える企業においては、なおさらだ。

Avriosは、現在、おもにヨーロッパで事業を展開している。顧客には、保険会社、小売業者、ファッション系企業、機械製造業者、専門のサービスを提供する企業などがある。

Brennerによれば、数は少ないものの、アメリカ、中東、アフリカの顧客もあるという(その多くは世界的な輸送網を有しているとのこと)。

競争力としては、「本当の車両管理プラットフォーム」を提供していると彼は強調する。Avriosは、こうしたプラットフォームを提供する最初の企業であり、長年のライバルは、車両管理ソフトや車両運用サービスを提供しているに過ぎないと彼は話している(AFleetLogistics、Leaseplan、Arvalといった既存のインターネット・ポータルは、彼によれば「透明化を提案しているが、本当の意味での透明化はなされていない顧客囲い込みツール」だとのこと)。

「私たちは、プラットフォームという形でアプローチしています。そこには、ソフトウエア提供業者の要素(データの構造化や報告など)も含まれますが、FleetLogisticsのような車両管理サービス提供業者の要素(調達の自動化、他の車両と比較した標準コストの算出、新しい車両の調達やリースにおける入札プロセスの最適化)もあります」と彼は話す。「私たちは中立の立場で、どこで本当に損をしているかをお客様に理解してもらう手助けをしています」

TechCrunchに明かされた資金調達の情報によれば、2015年12月にシード投資、2017年7月にシリーズA投資、2018年7月には400万ドル(約4億4600万円)の拡大/加速ファンドを獲得している。これらはすべて、非公開だった。今日までの投資総額は1400万ドル(約15億6000万円)にのぼる。投資家には、Lakestar、Notion、Siraj Khaliq(Atomico)、Andrew Flett(Fleetmatics)などの名前があがっている。

Brennerによれば、シリーズAの拡大ファンドは製品開発に使われ、「車両管理ダッシュボードから、より多くの移動オプションを追加したものへの移行の加速」を目指すとのことだ。

また、最初に計画していたよりも早く事業規模を拡大するためにも使われる。「今は成長ステージに入ったと思っています。なので、成長ステージのスタートアップとして定石どおり、製品と売り込みとマーケティングです」と彼は語っている。

「今、私たちは、自分たちの筋道を理解できるようになりました。長期的にこの会社をどの方向に進めたいか、誰が顧客なのか、市場での我々の立ち位置はどうかなども理解できるようになりました。なので、市場に対して、もっと公的に話をするいい時期が来たと感じたのです」と、これまで投資について公にせず力を貯めてきた理由を、彼は説明している。

「とにかく、何よりも顧客と製品開発に集中したかったのです」

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(翻訳:金井哲夫)

UberとLyft、サンフランシスコでの電動キックスクーターシェアリング事業を申請

UberとLyftが正式に電動キックスクーターのシェアリング事業認可取得に名乗りをあげた。両社を含む計11社がサンフランシスコでの電動キックスクーターシェアリングサービスに申し込んだ。しかし、これは1年の試験プログラムで、市当局は5社にのみ事業を認可する。

Uberはコメントを拒否したが、同社が4月に2億ドルで買収した自転車シェアリングスタートアップのJUMPを通して申し込んだ。もし、電動キックスクーターシェアリングの認可を得られれば、そのサービスはUberのアプリに統合され、UberのCEO、Dara Khosrowshahiが描く、充実したマルチ交通手段プラットフォームというビジョンに近づく。

またLyftはTechCrunchに対して申請したことは認めたものの、詳細についてはノーコメントとした。SFMTA(サンフランシスコ市営鉄道)が明らかにした申請企業の一覧は以下の通りだ。

1 Bird

2 CycleHop

3 JUMP via Uber

4 Lime

5 Lyft

6 ofo

7 Razor(そう、あのRazorだ)

8 Ridecell

9 Scoot

10 Skip

11 Spin

12 USSCooter

今回、サンフランシスコ市が認可制を導入したのは、BirdとLimeSpinが3月に許可を得ずに同市で電動キックスクーター事業を展開したことがきっかけだ。6月4日に施行された新条例では、企業はサンフランシスコ市では認可なしに電動キックスクーター事業を展開することはできないと定めている。SFMTAは今月末までに認可についての結果を各企業に知らせるとしている。

サンフランシスコ市の電動キックスクーター条例についての詳しい情報は、私が以前書いた記事をチェックしてほしい。

Image Credits: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

イーロン・マスク、運賃1ドルでLAの交通渋滞を改善する、とボーリング社の‘Loop’構想を語る

ボーリング社のイーロン・マスクとスティーブ・デイビスのエグゼクティブ2人が、‘Loop’でロサンゼルスの交通をどう刷新するか、その計画の詳細をいくつか明らかにした。Loopは一度に16人を運べる電動ポッドを最終的に活用する。マスクは、LoopはLAのダウンタウンからロサンゼルス国際空港の各ターミナルまで8分以内、そして運賃は1ドルで客を運ぶことができるとしている。

プレゼンテーションの大部分は、ボーリング社が現在やっていることは社会に混乱を起こすものでなければ、すでにある高速システムにさらに負荷をかけるようなものでもない、と市民を納得させることにフォーカスされた。

LAシナゴーグで開催された、この短時間のプレゼンテーションは予定より25分遅れで始まった。というのも、イーロン・マスクが遅れて来たためだ。彼は皮肉をこめて「渋滞にハマった」と言った。マスクはなぜ空飛ぶ車がこの“まったくうんざりする交通渋滞”問題を解決できないかについて、数分間熱弁をふるった。さらに、トンネルは空飛ぶ車のようにハラハラするようなものでなく、それでいて楽しいもの、とも語った。

この2人のエグゼクティブとともに登壇したのは、ボーリング社のマスコットであるカタツムリのGrayだ。

マスクは、ボーリング社のLoop構想は、地下鉄より都市生活にそぐうものになると語った。街中に大きな駅を建設するのはかなり困難な一方で、駐車場スポットサイズの駅をたくさん設けた方が理論的にはより効果的なはずだ、と。さらに、Loopが現存の交通体系を補強し、公共交通ラインをつなぐものになればいい、とも語った。

このLoop構想を前に進めるには、ボーリング社は自前の資金で掘った2.7マイルのトンネルからスタートする。先月、証券取引委員会に書類が提出されたが、そこにはボーリング社が1億1300万ドル弱の資金を調達したと記載されている。

このテストトンネルが完成すれば、マスクは無料乗車を提供すると提案している。ディズニーのテーマパークのように楽しい体験になるようにしたいと語り、「乗客は火炎放射器を持ってきてもいい」などとジョークを飛ばした。

以前マスクが述べたように、ボーリング社は、ポッドで車を運ぶより歩行者を優先したい考えだ。登壇した2人はLoopとハイパーループをはっきり区別したが、一方でマスクはこの2つのシステムがゆくゆくはシームレスに接続し、利用客は都市内部、そして都市間をわずかな渋滞で移動できるようになるとの理論を展開した。

Q&Aのとき、マスクはボーリング社がいつ環境影響調査を行うのかとの質問を受けた。それに対し、そのプロセスにかかる時間を考えると、テストトンネルではなくより大きなスケールのプロジェクトが前に進みそうになったら行うと回答した。

今回のプレゼンテーションからわかったのは、この構想がまだ初期段階にあるということだ。一方で、マスクとデイビスがこのプロジェクトを早急かつむやみに進めるのではなく、行政と協力しながら公共のためになる仕事をしていることも明らかになった。

Uberの空飛ぶタクシー、料金がどれくらいになるか最新情報

Uberは、空飛ぶタクシー事業についての情報共有を目的とした大規模な会議Uber Elevateを今日8日からロサンゼルスで開いている。この事業についてよく知らない人のために説明すると、Uberは2020年に垂直離着陸可能な機体のテストフライトを実施し、最終的には2023年に商業運転を開始するという計画を立てている。今日の会議では、空飛ぶタクシー事業の最高責任者Eric Allisonがコンシューマー向け空飛ぶタクシーのライドシェアuberAIRのコストについて言及した。

Allisonが言うには、乗客が払う1マイルあたりのコストは、車を所有したときのコストと比べても競争力を持つものでなければならない、とのこと。全米自動車協会によると、自家用車を所有した場合、1マイルあたりのコストは0.464〜0.608ドルになると試算されている。

しかし、uberAIRのサービス開始時の乗客1人が支払う1マイルあたりの料金は自家用車のコストほどにはならなさそうだ。当初は1マイルあたり5.73ドルになると見込む。0.44ドルというのが理想で、そこにたどり着く前にまずは1.86ドルにすることができると踏んでいる。

Allisonは、今後空での移動が早く安くなり、車を所有するのはコスト的に見合わなくなるはずだ、と述べた。一方で、空でのライドシェア需要は驚くほど大きい、とも語った。もしuberAIRを今使える状況であれば7億人が利用するだろう、というUberが実施した調査の結果に基づく発言だ。

私はいま、Elevateに来ているが、この後も新たなニュースが出てくるかアンテナを張っておこう。

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(翻訳:Mizoguchi)

自転車のスマート・リアランプがキックスターターに登場――Lucnt SRL1は自転車の視認性を飛躍的に高める

これはただの自転車向けリアランプではない。センサーとAIが用いられ、自動的に点灯、消灯し、減速すると明るい赤い光を放ってそれを知らせる。Lucnt SRL1はスマート・リアランプだ。

開発したのはサンフランシスコのArashとMehdの兄弟のMema Engineering, LLCの製品で、今のところ手作業で作っている。充電はUSBだ。自転車への取付は強力な磁石が用いられている。減速したり曲がったりすると自動的にライトは明るく光る。

私はいくつかのバージョンを見たが、この兄弟のプロダクトはユニークで優秀だ。兄弟は小さな工房で手作業でデバイスを作り、自分たちの自転車に取り付けて作動を確認している。兄弟は本格的生産のためにKickstarterに登録してクラウドファンディングを始めたところだ。

目標額は5万ドルで、7月には出荷できるという。アーリーバード割引の価格は85ドル、1回の充電で20時間もつ。ドライバーからら自転車は見えにくい。特に夕暮れや夜、前方を走っている自転車が減速しているのに気づくのは困難だ。小さなデバイスだが、スマートなサイクリストの必需品だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Airbusの空飛ぶタクシーVahanaが地上5メートルの初のテスト飛行に成功

つい昨日(きのう)のことのようだが、Airbusの電動で自動操縦の垂直離着陸機Vahanaは、単なる絵に描いた餅のようなコンセプトだった。それが今や、実際に飛んだ。実物サイズのプロトタイプのテスト飛行は1分にも満たなかったが、その間Vahanaは完全に自動操縦で地上16フィート(5メートル弱)を滑空した。

Vahana VTOLは、見る角度によっては複雑なヘリコプターのようだし、あるいは着陸しているドローンのようだ。開発したのは、Airbus社のシリコンバレーのR&D部門A³で、都市内交通機関としての実用化を目指している。路上の渋滞を無視できるし、従来の航空機と違って、短い停留所間距離にも適していることを、売りにしている。

まだまだ実際の商用化にはほど遠いが、最初の飛行が成功した、とは言えるのであり、次の日にもまた飛んだから、開発は正しい路線を進んでいるようだ。

次のテスト飛行の課題は、単なるホバリングではなく、指定された方向へ飛ぶことだ。人や物をA地点からB地点に運ぶためには、もちろんその機能が欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UberがMovementを発表、所有する交通情報の公開を狙う

Uberはより閉鎖的なエリアの中で競争力を持つ分野に進出しようとしている:この乗車提供会社の新しいMovementウェブサイトは、同社が運行を行う場所での交通の流れを点数化し提供するものだ。都市の移動性を向上させようとしている都市計画者や研究者による利用が意図されている。

基本的なアイデアは、Uberは既に都市内での交通の仕組みに関する多くの洞察を所持していて、ほとんどの場合特定の個人に結び付けられないようにこうしたデータを匿名化することができるということだ。そこで可能な分野から始めて、Uberは前述のデータを、初めは早期アクセスを申請した特定の組織に対して、そして最終的には一般に向けて提供する予定だ。

Uberは、収集したすべてのデータを眺めるうちに、それらが公共の利益のために使用できることを認識し始めたので、それを実現する製品チームを立ち上げたのだと語った。この取り組みの成果がMovementである。Movementは、市の担当者や都市計画者が、実際の状態や原因に関するすべての情報、あるいは適切な情報にアクセスできないままに、重要なインフラストラクチャーの決定を下さなければならないという問題を解決することを狙っている。

Uberによれば、本質的には、都市の交通計画に影響を与える人びとが適切な意思決定を行うことを容易にし、正確なデータの後ろ盾を用いて、変更の理由、場所、そして時期を説明できるように助ける。また、同社は各組織が容易に利用できるようにしたいと考えているため、既存の都市計画と交通管理に役立つように合意された境界を用いた、都市内の交通解析ゾーンを意識してまとめたデータの形で公開する。
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ウェブサイトのユーザーは、時間、曜日、ゾーンのようなものを指定して、特定の地点または範囲のUberのデータを呼び出し、ダウンロードすることができる。時系列に沿ったチャートと、独自のモデルに入力するための生データの両者が用意されている。 Uberによると、APIを介してのデータへのアクセス公開も検討しているが、現段階では「パフォーマンスの良い方法でこれを行う方法を見つけようとしている」とのことだ。

もちろん、この種のデータをUberが公にすれば、プライバシー擁護者たちの眉をひそめさせることだろう、しかし同社は集計して匿名化が可能なデータだけを提供するので、ユーザーのプライバシーは確保できていると強調している。Uberによれば、ドライバーと乗客の身元を適切に保護できるだけの十分な量のデータがないと判断した市のエリアでは、クエリの結果が返されないということだ。

もう1つの疑問は、交通需要を正確にマッピングする能力が、ライドシェアリングビジネスの競争力の核となる需要予測能力の一部であることを考えると、Uberがなぜこのようなことを行う気になったのかということだ。Uberによれば、それが運営されている都市で何か良いことをしたいということが理由の1つだが、都市のインフラ整備の恩恵を受けることもできると述べている。

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「私たちはインフラを計画することはなく、都市を計画することもなく、将来それを行うつもりもありません」と、UberのプロダクトマネージャーのJordan Gilbertsonはブリーフィングで説明した。Uberのビジネスがそれらの側面に直接関与しないということは、それらの改善に間接的に影響を及ぼすための何かを可能な限り行わなければならないことを意味するが、Movementはもちろんそれを助けることができる。市街での輸送の効率化は一般に、より効率的なUberサービスの提供、顧客満足度の上昇、より多くの利用率に繋がる。

これはまた、Uberの事業が成熟するにつれて、Uberが運営される都市の地方自治体と間により緊密な関係を築くのに役立つ。とはいえ、第1には、現在制御されていない変数をモデルに取り込んで如何に制御するかというのが大きな目標のように思える。そしてそれは都市の中心部の道路を走る全ての人に恩恵をもたらす可能性のあるものだ。

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(翻訳:Sako)