Nvidiaの新しいハイエンド、TuringアーキテクチャはリアルタイムのレイトレーシングとAIを合体

このところ、Nvidiaの新しいアーキテクチャTuringに関するリークは、サンタクララにある同社の本社が震源だったようだ。それを当然と思わせるかのように同社は、今日のSiggraphのキーノートで、この新しいアーキテクチャと、Quadro系列の一員となる、プロ用ワークステーションのグラフィクスカード3種のローンチを発表した。

NvidiaによるとTuringアーキテクチャは、“2006年のCUDA GPU以来のもっとも偉大な飛躍”だ。相当な大言壮語だが、意外と真実をついているのかもしれない。これらの新しいQuadro RTxチップは、同社の新製品RT Coresをフィーチャーする最初のチップであり、ここで“RT”はレイトレーシングを意味する。それは、光がシーン中のオブジェクトと対話/干渉するときの径路を追跡するレンダリング方法だ。この技術の歴史は、とても長い(AmigaのPOV-Rayをおぼえておられるだろうか)。従来からこの技術はきわめて計算集約的だったが、物をリアルに見せる点では優れていた。最近では高速GPUが並列処理で一度にたくさんの計算をできるようになったため、Microsoftが最近、DirectXにレイトレーシングのサポートを加えるなど、新たな脚光を浴びている。

NvidiaのCEO Jensen Huangはこう語る: “ハイブリッドレンダリングがわれわれの業界を変え、そのすばらしい技術の可能性が、美しいデザインとリッチなエンターテインメントと、充実した対話性で、私たちの生活を豊かにするだろう。リアルタイムのレイトレーシング*の到来は長年、われわれの業界の見果てぬ夢だったのだ”。〔*: レイトレーシングのリアルタイム化。〕

この新しいRTコアはレイトレーシングをNvidiaの従来のPascalアーキテクチャに比べて最大25倍高速化し、Nvidiaが主張する最大描画速度は毎秒10 GigaRaysだ(下表)。

Turingアーキテクチャによる三つの新しいQuadro GPUは、当然ながら同社のAI専用ユニットTensor Coresと4608基のCUDAコアを搭載し、最大毎秒16兆の浮動小数点数演算と、それと並列に毎秒16兆の整数演算を行なう。そのチップは作業用メモリとしてGDDR6メモリを搭載し、NvidiaのNVLink技術によりメモリ容量を96GB 100GB/sまで増強している。

AIの部分は、いまどき当然であるだけでなく、重要な意味もある。Nvidiaが今日ローンチしたNGXは、AIをグラフィクスのパイプラインに持ち込むための新しいプラットホームだ。同社はこう説明する: “NGXの技術は、たとえば、標準的なカメラフィードから超スローなスローモーションの動画を作りだすなど、これまでは10万ドル以上もする専用カメラにしかできなかったことをする”。また映画の制作現場は、この技術を使って容易にワイヤを消したり、正しいバックグラウンドで欠けているピクセルを補ったりできるそうだ。

ソフトウェアに関しては、Nvidiaは今日、同社のMaterial Definition Language(MDL)をオープンソースにする、と発表した。

今すでにTuringアーキテクチャのサポートを表明している企業は、Adobe(Dimension CC), Pixar, Siemens, Black Magic, Weta Digital, Epic Games, Autodeskなどだ。

もちろんこれだけのパワーには、お金もかかる。新しいQuadro RTX系列は16GBの2300ドルが最低価格で、24GBでは6300ドルになる。倍の48GBなら、約1万ドルだ。

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GoogleがAndroidのグラフィクスドライバーをテストするGraphicsFuzzを買収

Googleが、Androidのグラフィクスドライバーのセキュリティと信頼性をテストするフレームワークを作っているGraphicsFuzzを買収した。この、XDA Developersが最初に気づいたニュースは、GoogleがAndroid 9 Pieのリリースを発表した、その同じ日にやってきた。

Googleはこのニュースを確認したが、詳細の発表はない。また買収の価額なども公表されていない。

GraphicsFuzzのチームは、協同ファウンダーのAlastair Donaldson, Hugues Evrard, およびPaul Thomsonから成り、今後Androidのグラフィクスチームに参加して、そのドライバーテスト技術をAndroidのエコシステムの全域に提供していく。

チームは今日(米国時間8/6)の発表で次のように説明している: “GraphicsFuzzは、ファジングテストメタモルフィックテストを併用する方法を開拓し、グラフィクスドライバーのテストを高度に自動化することによって、信頼性やセキュリティを損なうバグを、それらがエンドユーザーに影響を及ぼす前に早期に発見する”。同社はその仕事をロンドンのインペリアル・カレッジのコンピューティング学部で開始し、イギリスのEngineering and Physical Sciences Research Council(工学物理科学研究会議)とEUのTETRACOMプロジェクトから資金を得ている。

派手な買収案件ではないが、重要性は高い。Androidの分裂したエコシステムでは、グラフィクスドライバーは重要な部位のひとつであり、その不具合はスマートフォンやタブレットなどのユーザビリティーに直接響く。また不具合のあるドライバーは、セキュリティの弱点にもなりえる。GraphicsFuzzが使用しているファジングテストは、大量のランダムデータをプログラムに投じる手法で、グラフィクス以外のさまざまなソフトウェア開発でも、最近はますます多く利用されている。

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GoogleがAndroidの銃の絵文字を水鉄砲に変えたようだ

2016年にAppleは、銃を表す絵文字を本物のような銃から明るいグリーン色の水鉄砲に変えた。

数日前にはTwitterが、それに倣った

そして、どうやら今度はGoogleだ。Androidの銃の絵文字が近く、明るいオレンジと黄色の、人をびしょ濡れにして楽しむもの(別途水タンクがあって水量が多い水鉄砲)、になるらしい。

最初に気づいたEmojipediaによると、Googleは今日(米国時間4/24)、GitHub上の公開リポジトリNoto Emojiライブラリのグラフィクスを入れ替えた。それらはAndroidがデフォルトで使用する絵文字だから、デバイスに対するアップデートもいずれ始まるのだろう。

今となっては、Googleが絵文字を変えるのは避けられない。Appleがそれをやったときに、すべては始まった。そしてTwitterが続き、SamsungもGalaxy S9のリリースでそれをやる。Googleも、やるに決まっている。

明朗なコミュニケーションのためには、必要なことだ。誰かが(iOSユーザーが)メッセージで水遊びの玩具の漫画を送れるのに、ほかの多くの人たち(Androidユーザー)がそれを本物の拳銃のような絵として受信したら、ちょっと面倒なことになるかもしれない。Appleに、それを元に戻す気はない。そして今や他社も右へ倣えしている。Googleも、変人と思われたくない。

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MacOSがついに外付けGPUをサポート

macOSは最新のアップデートで外付けのグラフィクスカードが使えるようになる。Appleはこのことを昨年6月のWWDCで発表したが、ついにそれが実現した。MacのユーザーはThunderbolt 3で接続した外付けグラフィクスカードにより、グラフィクスの処理能力を上げることができる。

これまではAppleからeGPU開発キットを買うか、非公式な方法で外付けグラフィクスカードを使うしかなかったが、後者は問題が起きてもAppleは面倒見てくれない。ふつうの使い方ならパワーアップの必要はないが、VRやゲームなどでは有効だろう。ただしmacOSと互換性のある外付けGPUはそう多くないから、慎重に選ぼう。

この機能はHigh Sierra 10.13.4 Combo Updateから有効になり、このアップデートではMessageにBusiness Chatが加わり、iTunesが新しくなり、SafariではCommand+9でいちばん右のタブへ行けるようになる。

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Adobe Photoshop CC、ワンクリック選択をサポート――Sensei AIが対象を認識

今日(米国時間1/23)、AdobeはPhotoshop CCをアップデートした。これにはWindowsユーザーのためにダイヤルタイプの入力装置、Microsoft Dialのサポートや高精細度モニターのサポート拡充などいくつもの新機能が含まれているが、中でも注目はSelect Subjectツールだ。これはAdobeの人工知能プラットフォーム、 Senseiを利用してワンクリックで所望の対象を認識し切り抜くというものだ。

イメージ処理を行うときにオブジェクトの選択は基本だが、形状が複雑だと手間のかかる作業になりがちだ。Photoshopの選択ツールは長年進歩を続けてきたが、それでも画像から望むように対象を切り抜くにはかなりの時間がかかるのが普通だった。新しいSelect Subjectツールも常に完璧な切り抜きができるわけではない。しかし優れているところはワンクリックでかなり正確なスタート地点を作ることができ、その後自由に編集が可能な点だ。しかもAdobeの新ツールは各種の既存の切り抜きツールと比べて段違いに優秀だ。

ただし、Sensei AIが画像を解析し範囲を決定するためワンクリック選択自体は機械任せとなる。ユーザーはメニューからSelect->Select Subjectと進むだけでよい。後はPhotoshopがやってくれる。

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【略】

Adobe XD

今日のCreative CloudのアップデートにはAdobe XDも含まれている。XDはモバイル・アプリのデザインとプロトタイピングのためのツールだ。XD ユーザーはZeplin、Avocode、Sympli、ProtoPie、Kite Compositorなどのサードパーティーのツールが使えるようになる。ユーザーはこうしたツールでデザインし、その結果をXDにインポートできる。現在のところこの機能はMac版(以上のツールはMacツール)だが、Adobeでは同様の機能をWindowsでも提供していくものとみられる。

これに加えてDropboxのユーザーはクラウドに保存されたXDの最初のアートボードをいちいちダウンロードすることなくプレビューできるようになった。

〔日本版〕Select Subjectは昨年11月にプレビューが公開されていたツール。日本版については未確認。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Adobe、Photoshop CCにワンクリック対象選択を導入へ――Sensei AIを利用して自動認識

長年の練習のかいがあってか、非常に手際よく人物をマスクできるPhotoshopのユーザーは多い。とはいえ、人物の輪郭を切り抜くのはフォトショ作業の中でいちばん手のかかるやっかいな部分であることに変わりはない。しかしクリック1回で対象を切り抜ける魔法の杖が近々登場する。

今日(米国時間11/28)、Adobeが 公開したプレビュー動画によると、次のアップデートでPhotoshopにはAIを利用して対象を認識し、自動的にその輪郭にそってマスクを作成する機能が追加されるという。この機能は現在Select Subjectと呼ばれており、Adobeの AIプラットフォーム、Senseiが用いられる。

メニューからSelect and Maskを選び、選択したい対象をどこでもよいからクリックするだけでよい。AIが自動的に意図された対象を認識してマスクを作成する。その後は背景を透明化したり、別の画像に置き換えるなどこれまでどおりさまざまなツールを使うことができる。

Adobeのティーザー動画によれば、新機能はPhotoshop CCの次のバージョンで導入される。

ただし「次のバージョン」がいつリリースされるのか具体的な日付はまだ不明だ。.

Engadgetの記事によれば、Select Subjectツールはまだ完全に仕上がっておらず、人物の髪の毛など細部の認識に問題が出る場合があるという。しかしこうした問題は機械学習のアルゴリズムがさらに多くのデータを入手できるようになれば次第に改善されるだろう。

〔日本版〕上のビデオの1:00あたりからワンクリック選択がデモされている。デモでは複数の人物や人物とイヌなどを自動認識で切り抜いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Nvidiaに負けたくないIntelとAMDがCPU/GPU盛り合わせチップを共同開発

IntelがAMDと一緒に、IntelのCPUとAMDのGPUを合わせたノートブック用チップを開発している。それは小さくて軽量で、しかもグラフィクス要求の厳しい最高クラスのゲームもゆうゆう扱える、というチップだ。

この二社の提携は、見た目には分かりやすいが、でも両社がコラボレーションするのは80年代以来久しぶりだ、とアナリストのPatrick MoorheadがThe Wall Street Journal紙に語っている。これまでは、どちらかというと両社は互いに強力なライバルとして、PC用プロセッサー市場を争っていた。まあ、レースの常勝はIntelだったけど。

でも最近では、Intelのトップの座をねらうのはAMDよりむしろNvidiaのようだ。グラフィクスカードのメーカーであるN社は、このところAIと機械学習に力を入れているし、それと同時に消費者向けとエンタープライズ向け両方のコンピューター用に、トップクラスのグラフィクスカードを提供し続けている。

AMDは最近、Nvidia製品に負けない性能/機能のGPUを作って、Nvidiaを押さえ込もうとしている。そして今回のIntelとの協働では、どでかい専用グラフィクスカードがなくても最高のグラフィクス性能を発揮するチップによって、さらに未来の成長の余地を作ろうとしている。このチップはPCのメーカーに、プロセッサーのサイズが小さく、グラフィクスカードもそれ用のヒートシンクも要らないという、省エネ省スペースを提供するはずだ。

そしておそらくIntelは、昔のライバルと組むことによって現在の最強ライバルを引き離したい、という根性だろう。消費者にとっては、良いニュースかもしれない。

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AMDが満を持して世に送るハイエンドグラフィクスカードRX Vega 64とVega 56は8月発売

5月に予告されたAMDの新しいグラフィクスカードRX Vegaの、発売に関する詳細が公表された。そのハイエンドのグラフィクスカードは、NvidiaのGTX 1080と1070による市場支配の打破をねらっている。

発売日は8月14日とされ、お値段はRadeon RX Vega 64が499ドル、Radeon RX Vega 56が399ドルからだ。

仕様としては、RX Vega 64のコアは計算ユニットが64基、ベースクロックが1247MHz、ブーストクロックが1547MHz、HBM2メモリ8GBとなる。GPU用のこの新しいメモリ技術は、484GBの帯域を誇る。

この性能を日常語に翻訳すると、ケーブル1本で5Kを楽に表示できる、となる。あるいは、暗号通貨のマイニングができる、とかね。

AMDはFreeSyncモニタのエコシステムの改良を通じてその最新のGPUをプッシュしたい意向だ

RX Vega 64の消費電力は295Wであり、GTX 1080のTDP(thermal design point)180Wより大きい。しかしAMDはFreeSyncを装備した曲面モニタの普及に賭けており、また、それだけのハイパワーが正当化されるようなゲームをサポートする、としている。ゲーム用としての最高性能をねらっているのだ。

一方Vega 56はGTX 1070相当だが、お値段は64より100ドル安い。メモリは強力な兄機と同じく8GB、計算ユニットは少なく、ブーストクロックも1471MHzとやや低い。

しかしホリデイシーズンまでまだ間があるから、Nvidiaがその最上位機種の仕様をアップデートするための時間は十分にある。

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「世界最強のグラフィクスカード」を自称するAMDの長く待たせた新型機Radeon Vegaが6月に発売

グラフィクスカードに関してちょっと間(ま)が開(あ)きすぎた感のあるAMDから、ついにその次世代機Radeon Vega Frontier Editionが出た。この、おそらくペア搭載(duo)と思われるハイスペックGPUがねらうのは、NvidiaのPascalシリーズGTX 1080と1080Ti、そしてさらに最新のTitan Xpも標的だ。

その細部は: 64コア、単精度12.5TFPSのプロセッサー、帯域16GBのキャッシュ、そして8Kディスプレイのサポートだ。

それでも飽きたらぬAMDは、同機の水冷バージョンも用意した。限定生産だが、もっとも過酷な処理負荷に対応し、自分が焼け死ぬことを防ぐ。

同社American Micro DevicesはRadeon Vegaプラットホームを、AIなどのアプリケーションのための“世界最強のグラフィクスカード”と呼ぶ。これまでPC上のゲーマーたち向けにはNvidiaに人気をさらわれたが、それでもAMD製品は、サーバーやデスクトップ、ラップトップ、ゲーム専用機などさまざまなシステムに、全世界的に採用されてきた。

そして今回のVegaは、スピードでもNvidiaに勝つことが目的だ。“速い”という言葉が、Nvidiaの可用性の高いPascalに付着している状態を、解消したい。長年のAMDファンは、まるで醒めぬ夢のように、そう思い続けてきた。

AMDは、Vegaの得意分野を二つ挙げている: 今後のAIの研究を加速する機械学習の開発と、そしてもちろんゲームをさらに贅沢にするフォトリアリスティックな描画能力だ。

発売予定は6月半ば、価格は未発表だが、1000ドルラインまで届くかもしれない。

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Nvidiaの最上位グラフィクスカードの最新バージョンTitan XpはMacもサポートする

Nvidiaはグラフィクスカードの最上位機種Titanを毎年アップデートするから、火曜日(米国時間4/4)にTitan Xpが発表されたのも自然な成り行きだ。Titan Xpの新しい仕様は、毎秒11.4Gb(!)の高速メモリGDDR5Xが12GB、1.6GHzのCUDAコアがコア数3840という大軍、そして12 TFLOPsのすさまじい処理能力を誇る(毎秒12兆の浮動小数点演算という意味だ!)。

このようなGPUはどんなWindowsマシンにとっても王冠上の宝玉だが、でもNvidiaはmacOSのユーザーを忘れていない。Mac用のドライバーのベータが提供されるのは、これが初めてだ(今月の終わりごろになる)。今度のMac Proはまだ出ていない高性能の新しいGPUをサポート、というのはもしかしてこれのことだろう。でもドライバーがあれば、旧型のMac Pro(黒いゴミ缶以前のやつ)でもパワーアップするから、来年の新デザインのProを待ちきれない人にもぴったしだ。

この桁外れに強力なグラフィクスパワーが、Nvidiaで1200ドルで直販されている

なお、Titanシリーズのグラフィクスカードは通常、Pascalというコードネームの同じプロセッサーアーキテクチャがベースだが、クロックを上げたりシェーダーを増やしたりしてパフォーマンスとビジュアルをアップしている。

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AppleがGPUを自社開発中、これまでのサプライヤーから技術者数名を引き抜く

今では数社のスマートフォンメーカーが自社独自のモバイルプロセッサーを作っているが、しかしその中でAppleはさらに一歩進んで、グラフィクス用のプロセッサーも自社で
開発するようだ。

Appleからの公式発表等はまだないが、長年のパートナーであるImagination TechnologiesがAppleから聞いた話としては、同社は15ないし24か月後に、他社の知財であるGPUの使用をやめる、という。つまりそれは、自社製のGPUを使う、ということだ。

“Appleは、同社の製品をコントロールするために、単独で独立のグラフィクス(プロセッサー)の設計に取り組んでおり、将来的にはImaginationの技術への依存を縮小していく、と確言した”、Imaginationの声明文がこう言っている

カスタムGPUの期待は、パフォーマンスの向上など、iPhoneファンにとっては嬉しい話題だが、このイギリスのテク企業にとっては大打撃だ。Appleの多くのパートナーたちと同様に、同社も売上の大半をiPhoneのメーカーに依存している。ロイターの記事によると、この発表で同社の株価は69%下がったそうだ。

1年近く前に、Appleとしては珍しい情報開示により、同社がImaginationを買収するという噂を確認した。今Appleは同社の株の8%を保有している。しかし買収は実現せず、6か月後にMacRumorsが、Appleが同社のエンジニア数名をスカウトした、と報じた。それはたぶん、同社のグラフィクスプロジェクトを立ち上げるためだろう。

Appleのサプライヤーがこのように内部情報を公開することは珍しいし、もしかしたらそれはパテント抗争を始める前触れかもしれない。同社の声明文は、Appleが同社のIPに抵触することなく独自のGPUを開発することは、“非常に困難だろう”、と言っている。

しかし、“Appleの通知によりImaginationはAppleと、現在のライセンスとロイヤリティ合意に関する新たな新たな商業的取り決めを協議することになる”、とも述べているから、今後両社が何らかの協定を結ぶ可能性もありそうだ。

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NvidiaのTitan X(1200ドル)は同社最強のグラフィクスカード、初めて10TFLOPSを突破

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Nvidiaの最新のグラフィクスカードは、なんと、同社がこれまで作ったカードの中でも最強だ。トランジスタ数は120億、最新のPascalアーキテクチャ、GDDR5Xメモリ12GB、3584のコアが1.53Ghzで走り、公称11TFLOPS(テラフロプス)のパフォーマンスを見せる。つねにベストでありたい企業が世に問う、絶対の自信作だ。

VRやゲームなど、グラフィクス集約的なアプリケーションならなんでも合う。今のあなたのシステムにある(かもしれない)ちょっとした引っかかり(トロさ)も、一瞬にしてバターのように溶解するだろう。

Nvidiaのポストは、読者の笑いを取ろうとする:

“それは、賭けから始まった。

わが社のハードウェアエンジニアのトップBrian KelleherがCEOのJen-Hsun Huangに、一つのチップで10TFLOPS以上まで行ける、と賭けを持ちかけた。CEOは、それはあり得ない、と一蹴した。

でも、そのあり得ないことが実現した。今日からJen-Hsunは、彼がクレイジーと評したBrianに1ドルの借りがある。”

つまり、二人の役員が賭けをして、その結果、同社のこれまでで最強の製品が生まれた、ってこと? クールなお話だけど、そろそろベンチマークを見せてほしいね。

Titan Xと名付けられたこのカード(上図)は、北米とヨーロッパではnvidia.comから8月2日以降1200ドルで、一部のシステムメーカーへ直販される。アジアにおけるリリースも、計画されている。

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Android NのDeveloper Preview 2はグラフィクスAPI Vulkanやショートカット、独自の絵文字などで楽しめる

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デベロッパーのみなさん、fastbootのお時間ですよー! Android NのDeveloper Preview 2が、出たのです。OTAアップデートも、マニュアルのフラッシングもできます。新しい機能とバグフィクスが、山盛りとなっております。

OpenGLとその関連規格を作ったKhronos Group製の、オーバヘッドの少ないグラフィクスAPI Vulkanが今回から加わった。多くのプロセスをGPUが担当するから、ベンチマークの好成績が期待される。使い方のドキュメンテーションは、このNDKのサイトに。

ランチャーショートカットを、アプリが作れる。これにより、複数のステップやフックのあるアクションを、一回のタップで起動できるようになる。“テキストをこの連絡先へ送れ”とか、“Veepの次の回を見る”、“自分の家までのナビを開け”、などなど。

あまり一般受けしないかもしれないのは、“人を表す絵文字のデザインが、これまでの一般的なデザインからもっと人間らしいデザインに変わった”、というやつ。どんなものでも、Androidのデフォルトの、生きているチキンナゲット(右図)よりはましだが、これからは、誰にどんな絵文字を送ろうかで、みんな、すごく迷うことになる。絵文字は、どんなメッセージングアプリでも、標準セットが一つあれば十分。

nuggets

いや、ほんまに…

しかしリアルなスタイルによって、少なくとも、肌の色ぐらいは良くなるし、またUnicodeの規格にあるオブジェクトも使えるようになる…ベーコン(U+1F953)や、がっかり顔(U+1F926)など。

バグフィクスはここにある。標準APIの変更箇所はここだ。それでは、みなさま、がんばりましょう!!

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プロが作ったようなグラフィクスを誰もが簡単に作れるAdobe Postが、まずiOS上でデビュー

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Adobeが今日(米国時間12/17)、ソーシャルなグラフィクスアプリAdobe Postを披露した。それはAdobe Slate、Adobe Voice、などなど、今同社で数が増えつつあるモバイルのクリエティビティを高めるアプリの仲間入りをする。ただしほかのアプリと違ってPostは、プロが使うだけでなく、誰でも簡単に自分の写真やテキストを“美しくデザインされたグラフィクス”に収めることができる、と同社は言っている。そうやってできた作品はもちろん、TwitterやFacebook、Instagram、Pinterestなどのソーシャルネットワークで共有できるから、‘ソーシャルなグラフィクスアプリ’なのだ。

このところ、グラフィックデザインというスキルは良いツールがあれば民主化できる、という風潮がある。たとえばモバイルアプリとWebアプリケーションの両方で提供されているCanvaは、シンプルなエディタを使って、バナーや広告、ブログ記事のグラフィクス、ちらしなどを誰もが作れる。

Adobe Postもやはり簡単明瞭な使い方をねらっているが、方向性は既存のプロ用のAdobeアプリケーション、PhotoshopやInDesignなどを引き継いでいて、たとえば、画像にテキストやフィルタを乗せる機能などがある。ただしPostではそれが、ボタンをいくつか押すだけでできる。

このアプリのホーム画面では、既製のテンプレートを選べる。テンプレートを利用すれば、初心者でも早くまともな作品を作れる。さらに、画像にタイポグラフィを加えたり、あるいはAdobe Postの”Design Filters”からフィルタを選んだりする。同社によると、写真のフィルタはInstagramが流行らせたが、Adobe Postのフィルタは写真のフィルタとタイポグラフィとレイアウトと色の組み合わせで、ユーザの画像をワンタップで変貌させる。

  1. design-filters.png

  2. font-shapes.png

  3. magic-text.jpg

  4. free-images-search.png

  5. inspiration-wall.jpg

色の組み合わせも、もちろん指定できるが、このアプリには、色を背景画像の中から選んでユーザに提案する、という機能がある。画像に利用するフォントや切り抜き型なども、プロのデザイナーが選んだものが提供されている。

便利なのは、作ったグラフィクスを保存して再利用できること。それらに手を加えて、別の作品を作ることもできる。

Adobe Postはターゲットを特定しない、ごく一般的なアプリだが、‘Post’の名に見られるように、コミュニティマネージャとか企業のソーシャル担当など、ソーシャルメディアにポストするために簡単なグラフィクスを手早く作りたいニーズが頻繁にある人たちは、とくに重宝するだろう。

このほかAdobeが推奨しているユースケースは、イベントの招待状、メルマガのグラフィックデザイン、企業のパンフレット、アルバムの表紙、などなどだ。

Adobe PostはApp Storeで無料でダウンロードできる。

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Microsoftが3D物理演算の秀才企業HavokをIntelから買収–技術は他プラットホームにも提供か

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Microsoftが今日(米国時間10/2)、Havok SoftwareをIntelから買収した、と発表した。Havokはアイルランドのゲーム技術企業で、Intelはここを2007年の9月に買収した。

買収の価額などは公表されていない。

Microsoftは短いブログ記事の中で、Havokは3D physicsのプロバイダとしてトップクラスである、と言っている。つまり今のMicrosoftは、ゲームや拡張現実(AR)も研究開発の対象だ。すでに製品化されているXboxやHololensも、今後ますます高度な技術的資源を必要とする。

MicrosoftはHavokのとくに何がほしいのか? VentureBeatの記事は、Havokの新製品について、“Havok FXは、PlayStation 4やXbox OneやPCのためのグラフィカルイフェクト技術だ”、と述べている。

4つのうち2つ(Xbox OneとPC)がMicrosoftの手中にある。ゲーム機だけでなく、次のプラットホーム戦争も生き抜くためには、VRでもARでも何でも、技術リソースの充実が欠かせない。

Havokには、経験豊富な人材がいる。同社のWebサイトによると、すでに15年間、この技術分野を手がけている。同社の技術は600あまりのゲームで利用されているが、その中にはHalo、The Elder Scrolls、Assassin’s Creed、Call of Duty、Uncharted、Dead Rising、Skylandersなどの人気作品も多い。

もちろん、高度なイフェクトが欲しいのはゲーム企業だけではない。同社の特殊効果技術は、X-Men First Class、World War Z、Harry Potter、James Bond、The Matrixなどのメジャーな商業映画でも使われている。実はすごい企業なんだ、とは言える。

Microsoftのマルチプラットホーム対応の姿勢(Windows家に閉じこもらない)が今後とも続くのなら、Microsoft製品だけでなく競合プラットホームも引き続きサポートするだろう。Havokの場合、それがどんな形になるのか、それが楽しみだ。

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GoogleがAppleのMetalのようなオーバヘッドの低いグラフィクスAPI VulkanをAndroid上で近くサポート

Googleが今日(米国時間8/10)、近くAndroid上でKhronos GroupのグラフィクスAPI Vulkanをサポートする、と発表した

Vulkanの目標はAppleのiOSとOS XのためのMetal APIととてもよく似ている。Vulkanはオーバヘッドの少ないグラフィクスAPIで、デベロッパはGPUに直接アクセスできる機会が多く、グラフィクスの描かれ方を細かくコントロールできる。

今日の発表声明でGoogleは、“今のAPIはマルチスレッドによく適応していないので、効率的な並列処理ができず、ロックによる同期化が必要になることが多い”、と言っている。

Vulkan APIを開発してメンテナンスしているKhronos Groupは、OpenGLやWebGLなどのスタンダードにも貢献しており、Vulkanはいわば、次世代のOpenGLだ。Khronos GroupがVulkanを発表したのは3月で、そのときからすでにソフトウェアとハードウェアのパートナーがかなりいる。しかしオペレーティングシステムからのサポートは今回のGoogle Androidが初である。

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Khronos Groupの社長Neil Trevettは、こう述べている: “ハードウェア企業とソフトウェア企業は、市場へのリーチを最大化し、ポート費用を最小化するために、オープンな3D APIを必要とする。Vulkanは多くの業界リーダーたちが参加した幅広いコンソーシアムで、まさにそのために案出された。VulkanがAndroid、Windows、Linux、SteamOS などでサポートされるようになれば、デベロッパにとってたいへん心強い開発環境になり、高品質なコンテンツやアプリケーションをあらゆるプラットホーム向けに、ロイヤリティのないスタンダードを使って作っていけるようになる”。

ただしそのスタンダードは目下開発中なので、今年後半のAndroid Mオペレーティングシステムのローンチには間に合わないと思われるが、でも、PowerVR GPUを作っているImagination Technologiesがすでに、プロトタイプのドライバを使って、Android上のVulkanをデモしている。

GoogleはAndroidでOpenGL ESスタンダードをサポートしており、それは今後も続ける、と言っている。今のところデベロッパにとって、OpenGL ESの方が使いやすいと思われるが、デベロッパの自由度はVulkanの方が大きい。

GoogleのテクニカルプログラムマネージャShannon Woodsが、今日の発表声明でこう述べている: “弊社はデベロッパがどのAPIを選んでも優れたデベロッパ体験を得られるよう、尽力していく”。

https___www_khronos_org_assets_uploads_developers_library_overview_2015_vulkan_v1_Overview_pdf

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InkletアプリケーションがアップデートしてMacのForce Touchトラックパッドでドローイングができる…専用スタイラスはもう要らない

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今日(米国時間3/24)リリースされたTen One Designのアプリケーションのアップデートは、Force Touchトラックパッドからの感圧入力をMac上のどんなドローイング(お絵かき)アプリケーションでも可能にする。そのInklet 1.6は、Mac用の入力ハードウェアで感圧機能をサポートし、最新の13インチRetina MacBook Proと、近く出る新型機、12インチのMacBookで使える。〔訳注: 関連記事…この記事の文章より分かりやすい。〕

Inkletは2010年からあるが、Macのトラックパッドをお絵かき入力に使えるものの、感圧入力は同社のPogoペンを使わないとできなかった。これからは、どんなスタイラスでも使えるし、自分の指でもよい。線の太さは、トラックパッドを押すときの圧力でコントロールする。

実際に使ってみたが、ドローイングの感じはWacomのタブレットBambooシリーズの小さい方に似ていて、慣れないと位置決めが正確にできない。アプリケーションのデフォルトではトラックパッド全域が明るい領域なので使いやすく、またいろんなジェスチャ(二本指ピンチなど)にいろんな機能(ズーム、回転など)を割り当てている。

また、スペースバーを押し下げるなどにより入力の検出のされ方を変えたり、圧力の感度や強弱の幅を調節できる。とにかく、自分がいちばん快適に使える状態にできるのだ。しかし2015年型13インチRetina MacBook Proの上で最新バージョンのPhotoshopを使うと、若干、反応に遅れがある。同社は無料のデモを提供しているから、25ドル払ってニューバージョンのアプリケーションを実際に買う前に、我慢できる遅れかチェックした方がよい。

でもこれは、旅先などでスケッチをするのには最適だ。専用のタブレットは要らないし、しかもPhotoshopを完璧に使える。自分の手の動きとの対応関係を十分会得したら、浮かんだアイデアを…忘れないため…即スケッチするのにぜひ使いたい。緊急のときには、もっと高度なグラフィクスにも使えるだろう。

Ten OneはAutographアプリケーションもアップデートして、Force Touchトラックパッドの感圧機能をサポートするようになったから、前よりもなめらかで、本物のインクに近いサインを書ける。こちらも、今日リリースだ。

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忘年会でバカ受け”空間写真”、Fyuseは動画ともパノラマとも違う第三の画像技術

以下の画像はぼくが去年末、忘年会の席上で撮って同僚に見せて「なにこれっ! 面白い!」とオオウケしたマグロのカマの写真だ。リンク先へ飛んで、できればスマホのブラウザで表示して端末を左右に傾けて見てみてほしい。そこにカマが存在するかのように、手の中で3次元ぽい物体が転がっているように見えるはずだ。PCのブラウザならマウスでドラッグすれば動く。ネイティブアプリをダウンロードすれば、高精細な3次元ぽい映像として再現できる。

これは、スマホで「空間写真」を撮影できるとするアプリ、「Fyuse」(フューズ)で撮影したものだ。撮影する対象物に対してデバイスをぐるっと巡らせると、まるでスマホの中に3D空間を閉じ込めたような写真が撮影、再生できる。

以下がFyuseの公式紹介デモ動画だ。

動画の順再生と逆再生をしてるだけか?

この映像を友人らに見せたところ反応は2つに分かれた。これはスゴいね、面白いねというものと、これは3Dとかとは関係がなく、単にキャプチャしたフレームをパラパラと再生しているだけではないかという冷めた反応だ。前者は非テック系のスマホ利用者。後者はメディア関係者やエンジニアで、疑り深い人たちだ。

ぼく自身は、使ってみてすぐにFyuseはタダモノではないと思った。いろんなアングルや撮影方法を試すと、単純なコマ再生・逆再生とは違うことは分かるし、周囲に見せたときのウケがとにかくいい。これはスゴいアプリだと思った。ただ、信用している人たちに「見せ方がうまいだけで、そこには何の新規性も技術もないんじゃないの?」と言われて、そういえばそうなのだろうかと思ったのも事実だ。

「新しい技術が登場するときには、ともかく否定してかかる人たちというのは必ずいるものです」

Fyuseを開発したサンフランシスコ拠点のスタートアップ企業、Fyusionの共同創業者でCEOのラドゥー・B・ルス(Radu B. Rusu)にSkypeで質問を投げてみたところ、こんな答えが返ってきた。Fyuseはスローモーション動画とかパノラマ写真に似ているものの、実は全く別の画像処理技術をベースにしているという。

複数センサー利用で空間を再現

Fyuseは具体的に何をしているのだろうか?

「Fyuseを開始すると、加速度センサーの情報も加味し、カメラでとらえた映像の解析を始めます。ただし、デバイスが静止している限りは映像はキャプチャしません。ユーザーがデバイスを動かし始めたら映像をキャプチャします。静止しているときにキャプチャしないのは、Fyuseは空間を捉えるので時間の経過はどうでもいいからです」

「Fyuseでは常にカメラの位置を推定しています。これはジャイロだけではできません。ジャイロでは相対的な向きの変化だけしか分かりませんから、ビデオフレームの解析と写真測量法と呼ばれているものを組み合わせています」

受光素子も含めて複数のセンサー情報を総合的に解析する「センサーフュージョン」と呼ばれるアプローチのようだ。こうしてデバイスの空間内での絶対位置を推定して、以下の図のように空間上の一定間隔ごとに捉えた「ノード」上からの「ビジュアル・グラフ」を構成するのだという。ノード間は差分としてデータ化してあって、これによりノード間はほとんど無限の粒度でスムーズに補完が可能なのだそうだ。

Fyuseの画像を見ると、動画やパノラマ写真に似て見える。しかし、高画素の動画であれば、100MBとか200MBのデータ量になり、スマホでの閲覧に適さなくなるはずだ。Fyuseのデータは1〜2MB程度だから3Gのスマホでも少し待てば再生できる。現在はEC向けの応用のために500KBまで減らすブラウザ向けビューワーも開発しているという。Fyuseの画像データは、それそのものでは、JPEGのような2次元とも、MPEGのような動画とも違っていて、2次元の画像とカメラ位置のノード情報を持っているそうだ。これまでオープンソースの画像処理ライブラリを作ってきたラドゥーらしく、Fyusionではこのフォーマットの標準化のためにISOに働きかけを始めているという。

Fyuseの画像をスワイプしてみると分かるが、背景画像がスムーズにパンしている中で、前景の人物が歩いていたりする。Fyuseでは被写体の中の対象物を点群として認識するものの、実用面での理由から実装上は現在2つのレイヤーで2次元映像を再構成しているという。レイヤー数自体は任意に増やすことができるものの、これで十分だとか。パノラマ写真、特にセルフィーで風景を広く収めて撮影するようなときに、これは有利。セルフィーという応用分野は開発初期には想定していなかったそうだけれども。一般にパノラマ写真では継ぎ目の問題があるために、「腕が5本あるようなゴーストが現れたりするが、Fyuseでは前景の人物も自然に動く」とラドゥーは指摘する。確かにスローモーションで雪が降る中、人々がゆっくり歩くという見たことのない映像を見ることができる。

Fyuseのような技術が可能となったのは、デバイスの急速な進化が背景にある。「最低でも2コアと、そこそこのGPUが必須です。iPhone 4以上のスペックが必要で、撮影後の事後処理はiPhone 4Sで5秒以上、iPhone 5で3秒、iPhone 6で1秒程度です。iPhone 7だと全部リアルタイム処理可能になると見ています」

3次元グラフィクスの専門家として、誰にでも使えるものを作りたかった

ラドゥーは、画像処理をかじったことのあるエンジニアなら誰でも知ってるだろうオープンソースのライブラリ「OpenCV」の開発メンバーの1人で、かつ同様のオープンソースの3次元点群ライブラリ「PCL」(Point Cloud Library)の設立者でもある。3次元グラフィクス分野で10年の経験があるという。

それまでOpen PerceptionというNPOで働いていたり、ロボティクス関連のWillow Garageでリサーチサイエンティストという立場で活動してきたラドゥーがFyusionというスタートアップ企業を創設した理由は、これまでに研究してきたテクノロジーを使って、一般ユーザーに使えるものを作るためだという。

「3D画像というのは技術者にとっては点群やメッシュ、八分木のことだったりします。でも、コンシューマーにとっては3Dといえばマトリックスの世界なんですよ」

2013年の創業当初は、ちょうど3Dプリンタブームが起こりつつあったときなので、カメラとKinnectを使ってトライアングメッシュによる3Dモデルを作るテクノロジーを作っていたという。ただ、これは結局あまり利用者がいないことが分かって6カ月で方針転換。

「2013年にスマホの利用時間がPCを上回ったのです。それで、全てのスマホで使える何かが作れないだろうかと考えたんです。つまり単眼のカメラを使った応用です。3Dプリンタにしか役立たないものじゃなくて、もっと没入感があって、美しい何かです」

「われわれの周囲のもの、例えば太陽や空、波のような透明なものは3Dの数学的モデルでは表現できません。ハイブリッドを作る必要があったのです」

「2つのメジャーな映像記録の方法を振り返ってみましょう。2Dのスチル写真と動画です。この2つはコンピューター登場以前からありました。とても長く存在しているので、もはやわれわれのDNAの一部のようになっています。だから、これら以外の方法があると想像もせずに使い続けているだけなのです」

「例えば写真。100年ぐらい前に2次元の映像を捉えるのに成功した人がいました。スチルカメラの誕生です。その後、コンピューターが登場して、それでデジタル化して、われわれはJPEGを作りました。もう1つは映像。これも36mmフィルムができて、それをデジタル化してMPEGやH.264を作りました」

「時間と空間をスライスして画像を捉えるのが写真です。一方、ビデオは時間をキャプチャするものです。30フレームとか60フレームとかですね。しかし、空間を捉える方法がなかったのです。Fyuseは空間を捉えるものなのです」

北米の写真・動画カテゴリで第4位に

色々と撮影してみると分かるが、単純な子どもだましのアプリではない。一方で、冒頭に冷めた指摘を紹介したとおり、単に傾きを検知して動画の順再生と逆再生をやっているだけに見えなくもない。いくら高度な画像処理技術を使っていたところで、ユーザーに受け入れられないなら意味がない。

AppAnnieでランキングを見てみたところ、北米のApp Storeの写真・動画カテゴリで1月18日にはVineを抑えて、Instagram、YouTube、Snapchatに続く第4位を獲得。順調にソーシャルネット上で利用が伸びているようだ。Fyuseは2014年12月にiOSとAndroid向けにバージョン2.0がリリースされている。

ソーシャルに体験をシェアするという意味では、Facebookなどと相性が良さそうで、いかにもFyuseは買収対象となりそうなアプリに思える。あるいは、ネイティブ実装のほうが再生環境としては好ましいことから、iPhoneのようなデバイスに統合されることがベストなのではないか。この点についてラドゥーに尋ねてみたところ、「これまでの買収の提案は断っています。われわれは、どこかのSNSに売って消えたいとは思っていません。これまでOpenCVやPCLでもそうでしたが、われわれは長期に考えてプラットフォームを作ってます。Androidデバイスの製造メーカーとの話も始めています。Fyuseというアプリはテクノロジーのショーケースとして作りました。ソーシャルに使えるアプリにすれば、人々がこの技術を気に入るか気に入らないかはすぐに分かりますからね」

Fyusionは2013年設立。日本のUTEC(東京大学エッジキャピタル)、米国VCのNew Enterprise Associatesほか個人のエンジェル投資家から2014年5月にシリーズAとして355万ドルの投資を受けている。個人投資家の中には、サン・マイクロシステムズ社の共同創業者で、創業前のGoogleに10万ドルのチェックを切ったことで有名なアンディ・ベクトルシャイム氏も名を連ねていることを付け加えておこう。


AdobeのCreative SDKがiOS向けで公開ベータへ、Androidももうすぐ

Adobeは、今日ロサンゼルスで行われた同社のMAXカンファレンスで、Creative SDKの公開ベータのローンチを発表した。同社が数か月前に披露したCreative SDKは、Photoshopのエディティング機能の一部、PSDファイルの操作、Adobeが最近開設したCreative Marketへのアクセス、そして同社が新たにローンチしたハードウェア製品の利用を、サードパーティのモバイルデベロッパに提供する。

このSDKは発表から今日まで少数のデベロッパを対象に非公開ベータをやっていた。今日のバージョン1.0の公開ローンチにより、多くのデベロッパが自分のアプリケーションからAdobeのCreative Cloudの機能集合にアクセスできるようになる。

すでにこのSDKを使っているアプリケーションの例として、動的描画エンジンFabrikaやプレゼンテーションアプリFlowboard、それにAdobe自身のモバイルアプリの数々が挙げられる。

Adobeとモバイルアプリと来れば、記者会見などでいつも、Androidバージョンはいつになるか、と質問が飛ぶ。同社のアプリケーションの新しいスイートに関してはそれはまだまだだろうが、このCreative SDKに関してはAndroidバージョンが今、非公開ベータまで来ているらしい。Adobeとしては今回の公開ベータにAndroidアプリも含めたいようだ。

Creative SDKは、パッケージ商品としてのソフトウェアからオンラインのサービスへ移行しつつあるAdobeの姿勢の好例だ。エンドユーザや消費者だけでなく、デベロッパが使用するツールも、そっちへ移行していく。Creative SDKに関して残る疑問は、その、今後の課金の方式だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


これはCGです

ときどきぼくは、今のCGIが不条理とその彼方にまで達していること、だからインターネットにあるものはすべて作り物であること、あれは本物のスプーンではないこと、などなどを読者に思い出していただくための記事を書く。

なぜなら、まじめな話、あれを見てごらん、そいつを見てごらん、etc., etc.

こんなビデオは、ぼくも初めて見る。不気味の谷現象なんか超えてる。だから後半で、これがCGだとわかったときは、椅子から転げ落ちそうになった。

[MayaのSnowmanをCGした人なら、こいつの耳たぶの位置は本物の人間より2%高すぎる、なんてコメントするかもしれない。 ]

これをCGしたChris Jonesは、以前、8年かけて、すばらしい短編The Passengerを一人で作った人だ。

[出典: Sploid]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))