空飛ぶ自動車のキティーホークがボーイングと提携でエアタクシーに協力

グーグル(Google)を創ったラリー・ページ(Larry Page)氏とユダシティ(Udacity)の共同創業者セバスチアン・スラン(Sebastian Thrun)氏が支援する飛行自動車の企業キティーホーク(Kitty Hawk)が、大手航空宇宙企業ボーイング(Boeing)と契約を結んだ。

この戦略的パートナーシップの詳しい内容はよく分からないが、二社は都市の空中移動手段で協力するらしい。とくに、安全性と、自動運転と人間操縦士の共存が課題になるようだ。

キティーホークに今ある機種は、二人乗りのエアタクシー「コーラ(Cora)」と、個人化されたフライトを提供する「フライヤー(Flyer)」だ。発表によると、このパートナーシップがフォーカスするのは完全電動で自動運転の空飛ぶタクシー、コーラだ。

ボーイングの社内で次世代交通を研究している組織ボーイング・ネクスト(Boeing NeXt)の副社長で総支配人スティーブ・ノルドランド(Steve Nordlund)氏はこう語る。「キティーホークのような企業と一緒に仕事をすると、移動の未来を安全に進歩させるというわが社のゴールに、より近づくことができる」。

スラン氏はグーグルの超未来部門エックス(X)を作った人物で、キティーホークでも共同創設者だ。会社はカリフォルニア州マウンテンビューにあるが、テストは主にニュージーランドで行われている。昨年キティーホークはコーラを一般公開したが、それは垂直離着陸機で、ヘリのように離陸し、飛行機のように飛ぶ航空機だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

メルセデス・ベンツが、自動運転車エンジニアのための新技術講座をオンラインに開講

Udacityとメルセデス・ベンツの北米研究開発ラボはセンサーフュージョンナノディグリーのためのカリキュラムを開発した。センサーフュージョンとは、複数のセンサーの値を統合して検知を行う技術、ナノディグリーとはオンライン教材のマーケットプレイスであるUdacityの専門課程制度だ。

これはオンライン教育スタートアップのUdacityが、自動運転に関連するスキルへの高い需要に応えたもので、かつて自身が提供して好評だった自動運転車エンジニアプログラムの成功を再び目指すものだ。

センサーフュージョンディグリーへの登録は米国時間5月21日に始まった。

Udacityは、AI、ディープラーニング、デジタルマーケティング、VR、コンピュータビジョンなど、さまざまな技術分野の専門課程を「ナノディグリー」として提供している。

この新しいセンサーフュージョンナノディグリーは、成長を犠牲にすることなくコストを売上に見合うものにすることを目的に、Udacityの共同創業者セバスチャン・スラン(Sebastian Thrun)氏によって最近加えられた変化の1つだ。

センサーフュージョンプログラムは4つのコースで構成されており、修了までに約4カ月かかることが想定されている。受講生が学習するのは、ライダー(Lidar)障害物検出、レーダー障害物検出、カメラとライダーデータの融合、そしてカルマンフィルターだ。ディグリー(課程修了証)を取得した受講生は、ライダー、レーダー、カメラといった、大多数の自動運転車で使用されているセンサーを扱えるようになる筈だ。

企業トレーニング向けパイロットの一環として、MBRDNA(Mercedes-Benz Research&Development North America、メルセデス・ベンツ北米R&D)の従業員のグループが、この自動運転車プログラムに参加している。

「自動運転車のジェネラリストなどというものは存在していません」と、スラン氏はTechCrunchに語った。「企業が探しているのは、何らかの専門家です。そして、現在最も注目されているのはセンサーフュージョンなのです」。

そして、自動運転業界は「幻滅期」に陥っているものの、スラン氏は、熟練労働者への需要がまだまだたくさんあると語った。

「投資家から資金を集めるよりも、今すぐに就職する方が簡単です」とスラン氏は言う。「ZooxとAurora、Waymo、CruiseそしてTeslaといった企業はみな、狂ったように採用を行っています」。

例えばこの3月に、GMの自動運転車ユニットのCruiseは、年末までに何百人もの従業員を雇って、そのエンジニアリングスタッフを倍増させることを発表している。

Udacityと、カリフォルニア州サニーベールに本拠を置くMBRDNAは、以前にもいくつかのナノディグリープログラムで提携している。2016年には、両社は自動運転技術者ナノディグリーで協力している。このときのプログラムは、多数の受講生を引き寄せ、一部の受講生たちによる自動運転スタートアップVoyageのスピンアウトにもつながった。120カ国から2万1000人以上の受講生が、このプログラムに参加したのだ。

Udacityは個々のプログラムの修了率を発表していないため、何人が自動運転エンジニアディグリーを終了したのか、そしてその関連職種を得たのかを判断するのは困難だ。

Udacityは、その30以上のナノディグリープログラムで、34%の修了率が達成されていることを発表している。同社はまた、ナノディグリープログラムの修了生たちが、アウディ、BMW、Bosh、ジャガー・ランドローバー、Lyft、NVIDIA、そしてメルセデス・ベンツで新たな職を見つけたとも述べている。Udacityによれば、メルセデスは世界で40人以上のナノディグリープログラム終了生を雇用しているという。

Udacityは、自動運転車やフライングカー入門講座などの、業界に関連する他のナノディグリーも提供している。

Udacityは、4月に従業員の約20%を解雇し、事業を再編している最中である。現在Udacityは、300人のフルタイム従業員を雇用し、約60人の請負業者と契約している。同社はまた、受講生の定着を目的として、技術指導プログラムなどの、新しいサービスも追加した。5月1日以降、すべてのUdacity学生は、テクニカルメンター、エキスパートレビューア、キャリアコーチ、そしてパーソナライズした学習プランにアクセスすることができるようになった。

同社は、自動運転車やディープラーニングナノディグリーなどの人気プログラムのおかげで、2017年には、対前年比で売上が100%増加する成長をみることができた。だが、2018年には新しい講座が追加されたにもかかわらず、受講者数は伸び悩み、以前の講座のような注目と登録者数を引きつけることはできなかった。一方、コストは膨れ上がった。CEOのビシャール・マッカンジー(Vishal Makhijani氏が10月に辞任したあと、スラン氏が着任した。Googleのムーンショットファクトリー(未来技術研究開発所)であるXを設立したスラン氏は、フライングカーのスタートアップであるKitty Hawk CorpのCEOでもある。

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(翻訳:sako)

PwCは1億ドル規模の本気の社員教育でデジタル・ディスラプションを回避する

今、あらゆる業界が頭を抱えていることだが、大手会計事務所もデジタル・ディスラプションの圧力を受けている。しかし、PwCは、次世代の仕事に従業員を対応させるためのデジタル・アクセラレーター・プログラムを採り入れ、積極的に対処している。

PwCの実施方法は、単に新しい教育素材を配って、それでおしまいというものではない。従業員には18カ月から2年の期間が与えられ、新分野に関する学習に専念できるようにしている。その間、従業員は、就業時間の半分を新しいスキルの勉強に割り当て、残りの半分を、実際にクライアントと仕事をしながら新しい知識を試してゆく。

このプログラムの責任者としてPwCのデジタル能力指導を行っているのはSarah McEneaneyだ。コンサルティングを行う企業として、すべての従業員への新しいスキルセットの提供に力を注ぐことが大変に重要であると、彼女は話している。そのためには、従業員と真剣に向き合い、一連の最新テクノロジーに集中しなければならない。彼らが的を絞ったのは、データと解析、自動化、ロボティクス、AIと機械学習だ。

Constellation Researchの創設者で主任アナリストのRay Wangは、大企業では、従業員が将来の技術に対応できるよう準備させるのが大きなトレンドになっていると語っている。「世界中のほとんどの組織が、従業員のスキルの成長に差があることを心配しています。スキルの再教育、継続的な学習、実践的なトレーニングが、景気の回復と才能を巡る戦いによって復活しています」と彼は言う。

PwCのプログラムが形になる

1年ほど前、PwCはプログラムの開発を開始し、最終的には、コンサルティングのスタッフから事務スタッフに至るまで、5万名の全社員が新しいスキルを身につけられるよう、社内でこれをオープンにすることを決めた。ご想像のとおり、これほどの大企業となると、これはまだ赤ん坊が歩き始めたようなものだ。

イラスト:Duncan_Andison/Getty Images

同社はこのプログラムを、上司が受講候補者を選出するのではなく、社員が自主的に受けられる形にした。やる気のある人間を求めたのだ。そして、約3500名の応募があった。これは良好な数字だとMcEneaneyは思った。なぜなら、PwCにはリスクを嫌う文化があったからだ。そしてこのプログラムは、通常の成長路線を捨てて、新しいチャンスに乗り換えようというものだからだ。申し込みがあった3500名の中から、まずは試験的に1000名が選ばれた。

彼女は、もし社員の大多数がこの再教育プログラムに応じたとしたら、およそ1億ドル(約112億円)という莫大な資金が必要になると見積もっている。PwCのような大企業にとってすら、無視できる数字ではない。しかしMcEneaneyは、すぐにでも取り戻せると信じている。彼女が言うように、近代化を目指し、今のやり方よりも、より効率的な仕事の方法を模索している企業は、顧客から一目置かれる。

どのように実施するか

PwCのリスク保証アソシエイトDaniel Croghanは、データと解析のコースを受けることに決めた。会社から新しいスキルを学べるのは嬉しいが、その方向に進むことに心配もある。一番の理由として、一般的に言って、そこが過去を引き継ぐ業界だからというものがある。「会計業界では、そこで職に就き、ひとつの道に乗っかると、みんなもその道を進むようになります。道を外れてしまうと仕事の妨げになるのではないかと思うと、新しい方向へ行くのが怖いのです」と彼は言う。

イラスト:Feodora Chiosea/Getty Images

しかし、そうした心配は経営陣によって軽減されたという。彼らは社員にプログラムに参加するよう奨励し、それによって不利益を被ることはないと保証してくれたからだ。「この会社はこれを推し進めて、業界内で違いを出すことに専念しています。全社員に投資することで、全員にやり遂げて欲しいのです」とCroghanは言う。

McEneaneyはPwCの共同経営者だが、重役会に変更管理を売り込む必要があったという。会社の将来のための長期的な投資だと、真剣に受け入れてもらうためだ。「早期の成功のためには、会社設立以来のシニアパートナーとCEOとその取り巻きから、プログラムの一任を勝ち取ることが最重要の課題でした」と彼女は言う。彼女は彼らに直接報告を上げ、プログラムの早期成功に欠かせない支持と支援を引き出した。

実現させる

プログラムの受講者は、まず3日間のオリエンテーションを受ける。その後は、自分でコースを進んでゆく。他の受講者と協力し合って勉強を進めることが奨励されている。まったくの初心者から、ある程度の知識を持つ人とが一緒になることで、その科目におけるスキルの幅が生まれる。そこが非常に大切なのだ。同じ建物で働いていれば、オフィスを使うこともできる。または、コーヒーショップで会ったり、インターネットでやりとりすることも可能だ。

すべての受講者は、オンライン学習サイトUdacityのナノ学位プログラムに参加し、選択した専門技術に関連する新しいスキルセットを学ぶ。「私たちには、非常に柔軟な文化があります。……自分のため、そして自分たちのために一緒に働くという働き方をしている社員たちを、私たちは信頼しています」とMcEneaneyは説明している。

最初のプログラムは、12カ月から18カ月のデジタル・アクセラレーター服務期間として提示されたと、Croghanは言う。「この12カ月から18カ月は、プログラムに専念します。期間を変更することもできます。そうしてクライアントとの仕事に戻り、それまで提供していたサービスに新しく覚えたスキルを応用したりも可能です」

このプログラムは始まったばかりだが、ビジネスとテクノロジーの変化の側面を認識するための一歩となる。PwCのような企業は、次世代の仕事に社員が対応できるよう、積極的に対策をしておかなければならない。そしてそれは、すべての企業が真剣に考えておくべきことだ。

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(翻訳:金井哲夫)

オンライン教育のユニコーンUdacityは、8月以降静かにスタッフの5%(少なくとも25人)を解雇した

今日のオンライン教育は1600億ドル以上の産業だが、成熟し続けるにつれて、必然的に起きる満ち干きがある。TechCrunchが知った最新のニュースは、Sebastian Thrunによって共同創業された10億ドルスタートアップのスタートアップUdacityが、世界中の複数のオフィスから、8月以降およそ5%のスタッフを静かに解雇していたということだ。UdacityはAIとコーディングからデジタルマーケティングのハウツーに及ぶ様々な技術分野の「ナノ学位」(nonodegrees:単科認定制度。Udacityの用語)の提供を得意としている。

「8月には、世界的な従業員の5%が、慎重に検討された戦略的なビジネス上の決定に基づいて解雇されました」と、広報担当者は電子メールを介した声明でTechCrunchに語った。「この異動全体で、私たちは元従業員および現従業員たちを支援し続けています。当社のビジネスは成長を続け、シリコンバレーに加えて、インド、中国、ドイツ、ブラジル、エジプト、そしてアラブ首長国連邦にオフィスを構えています。私たちは引き続き、重要な役職を採用しています」。

同社は、世界各地にいる従業員の正確な人数を、500人以上であるということ以外、公表していない。ともあれこのことからわかることは、今回の解雇はおよそ25人の人に影響を与えたということだ。これはもともとの情報源から得られていた情報と一致する。

Udacityで現在レイオフを推進している力が、既存のビジネスに関連してものか、あるいは将来的に計画されているもののどちらから生じているのかははっきりしない。

Udacityは、その6〜12ヶ月のナノ学位プログラムに、5万人以上の学生が登録していると語っているが、その数字はほぼ1年の間更新されていない。その数字が発表されたのは、同社の方針転換に大きな力を発揮したCMOのShernaz Daverが、Udacityを去った頃のことである。

Udacityによれば、全体としては、プラットフォーム上の登録学生の数はこれよりも多く1000万人を超えていると言うが、この数には企業とのパートナーシップや、1回きりの無料コースのアカウントも含まれている。Udacityは、Google、Facebook、Amazonなどの企業と協力してカリキュラムを開発しており、Accenture、AT&T、Bank of America、GE、Fordなどが顧客として名を連ねている。

同社は2017年に7000万ドルの収益を上げたが、今年はどのような取り組みを進めているのかの指針を示していない(この7000万ドルという数字は、UdacityのCEOであるVishal Makhijaniが、IPOを目指していることを示唆した今年2月に初めて公表されたものだ)。

資金調達面では、2015年以来Udacityは資金を調達していない。その最後のラウンドは、出版社のBertelsmannがUdacityの10億ドルの評価額を受けて主導した、1億500万ドルのラウンドである。その他、Andreessen Horowitz、Ballie Gifford、Charles River Ventures、Cox EnterprisesそしてGVといった投資家たちからこれまでに集めた資金は1億6300万ドルになる。

オンライン教育の分野には多くの企業が参入してきている。これはウェブが始まった頃からあの手この手で提供されてきた形態である。そして実際それは、もっとも初期のインターネットの背後にあった意図に沿ったものであると言うこともできるだろう。「教育」全域にまたがるものを提供することの中には、単一コース、完全な学位、専門的教育、カジュアルな趣味、ゲーム化した子供向けの教育などを、ビデオ、モバイル技術、VR、AIを使用して、コースやカリキュラムを調整しすることが含まれている。それらのコースやカリキュラムは学問的ならびに教育的権威から承認を受けたものでなければならず、その他にも学習をより継続的で効果的なものにするために多くのことが必要とされている。

Udacityは、その活動範囲に対して、多くの競合を抱えているが、その中でも目立つものには、Coursera、Lynda(現在LinkedInとMicrosoftの一部)とKhan Academyがある。

TechCrunch Disrupt SF 2017でのSebastian Thrun(Udacity)

2011年の開始以来、Udacityはその進化の中でいくつかの異なる役割を果たして来た。同社は当初、”MOOCs”(Massive Open Online Courses:大規模オンラインコース)の早期提供者の1つとしてスタートした。Thrun(上の写真。David StavensならびにMike Sokolskyと一緒に同社を共同創業した。なお他の2人はもう会社を去っている)はStanfordでのAI教授の座を辞してUdacityを創業した。そのきっかけは、彼が自分が開設した無料のオンラインコースに16万人もの学生が登録したことだった。

初期の頃、高等教育機関はUdacityと緊密に連携していたが、例えば州立サンノゼ大学と行っていたパイロットプロジェクトが中断された(合格率が低かったため)等の問題を受け、2013年からはそうした連携からは距離を置くようになったように見える。

その代わりに、同社はGoogleのような、多数の大手技術会社との協業を開始し、高齢者や既に職場に配置されている従業員のための、新しいコースのセットを開発している(なおThrunはGoogleの初期の自動運転車の技術に貢献している)。その方向転換は、インドのようなさらなる市場へ視野を広げることになり、その時点では同社が利益を上げるために貢献した。

その後、ThrunはCEOを辞任し(現在は社長)、その役割はCOOだったMakhijaniによって引き継がれた。彼の下で、さらに集中を行ったように見える。その最初の買収だったCloudLabsの獲得で、より深いコーディング体験を追求している。また同社は自身による自動運転車のプログラムを分離しVoyageと改名したが、現在それは独自のビジネスを展開している。今回の動きは、何が来るにせよUdacityが次を目指して踏み出す1ステップなのだろう。

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(翻訳:sako)

画像提供: udacity.com からの許諾による

UdacityとGoogleが新卒や中途転職者のための無料のキャリアコース12種を開始

さまざまなオンライン教育学習コースを提供しているUdacityが今日、Googleとの新たなパートナーシップにより、新卒や中途転職者向けの無料のキャリアコース数種発表した。無料のキャリアコースはUdacityにとっても初めてで、受講者が新しい職を得やすくすることが目的だ。それは新卒者の初めての就職と、中途転職/中途採用の両方である。

両社は3月に立ち上げた“Networking for Career Success”(キャリア成功のためのネットワークづくり)コースでこの方式を試行した。そのときは、同じくGoogleとのパートナーシップ事業コースであるデベロッパー育成奨学コースGrow with Googleの6万名の受講者を対象とし、今ではそれは今回の12種のキャリアコースのひとつになっている。

コースのテーマは多岐にわたり、履歴書のリフレッシュやカバーレターの書き方もあれば、GitHubのプロファイルの最適化、LinkedIn Networkネットワークの強化などもある。もちろん、技術者募集の面接に備える“Data Structures and Algorithms in Python”やSwift言語のコースなど技術習得のコースもある。

“次世代の人材たちは非常に多様なスキルを持った状態で労働市場に入ってくるが、しかし彼らが直面するのは多くの競合者と雇用環境の急速な変化だ”、とUdacityのキャリアコース担当VP Kathleen Mullaneyは書いている。“空いている職をめぐる競争に負けないためには、必要なすべてのリソースを確実に習得しなければならない。しかもこのようなサポートを必要としているのは、彼/彼女一人ではない。キャリアの路線変更を求めている中途転職のプロフェッショナルや、仕事に復帰したいと願っている中高齢者、そのほかさまざまなタイプの求職者たちなど、すべての人にとってこれらのコースが役に立つ”。

Udacityは前から企業とパートナーしているから、Googleと再びパートナーしても意外ではない。Google自身は、Udacityとその競合者Courseraの両方と数年前からパートナーして、キャリア指向のコースや、本格的な技術者育成コースを立ち上げている。それらは、プログラミング入門ITスキル機械学習専門コースなど、さまざまだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UdacityがCloudLabsを買収してグループのコラボレーションによるプログラミングを教える

Full Frame Shot Of Program Codes On Screen

オンライン教育のUdacityは主に、ソフトウェア開発やデータサイエンス、機械学習などを教えている。そのために同社は、創業5年目にして初めての買収、CloudLabsの買収により、ネット上(==ブラウザー上)に対話的なグループ・プログラミングの環境を作ろうとしている。言い換えるとそれは、複数の人たちのコラボレーションでプログラムが作られていく過程だ。

CloudLabsという名前はあまりにも漠然としていて分かりにくいが、同社が提供しているTerminal.comは、ユーザーがその上で、独自に対話的なコンピュータープログラミングのコースを作れる、という文字通りのプラットホームだ。各ユーザーのコースはコンテナのイメージに収められるが、コースのユーザーインタフェイスはコマンドラインだ。Udacityは同社の、ライブな(==リアルタイムの)デベロッパー環境を、一部のコースに実装するつもりだ。インストラクターはコードをその場ですぐに点検でき、特定の問題に注意を喚起したり、生徒たちとスクリーンを共有したりできる。

CloudLabsの5名の技術者チームは全員がUdacityに残るので、人材込みの買収になった。CloudLabsのCEO Dr. Varun Ganapathiが同社の機能のUdacityへの統合を指揮し、またUdacityの今後の機械学習プロジェクトに貢献していく。

この二つのプラットホームが合わさったことによって生徒は、一歩々々段階的なプログラミングが容易にできるようになり、またその過程でのフィードバックも得やすくなる。Udacityは、オンラインのプログラミング学習が生徒にとってより心地よい体験になることに加えて、生徒の成績評価や報告機能の自動化でも、CloudLabsのチームの力を借りたい、と考えている。

“人間的な(人間からの)フィードバックはネット学習においてものすごく重要、と考えている。でも、それと同時に、成績評価をもっと効率化したいし、それによって生徒一人あたりのコストを下げたい”、UdacityのCEO Vish Makhijaniはそう説明する。

対話的なプログラミング環境を開発している企業の買収をUdacityは、計画的に進めてきた。まずやったのが、CloudLabsの競合他社の調査分析だ。また同社の一部のナノ学位に、Terminal.comの機能を試験的に実装してみた。Udacityは、ナノ学位と呼ばれるその短い学位取得課程を、ディープラーニングや自動運転技術、VRの開発など、ホットな専門科目で重点的に利用している。

“Terminal.comのうち独自のバージョンも作ってみたし、それがすごく堅固な構造であることも分かった。また同社とは前に、ちょっとした業務関係もあった”、とMakhijaniは付言する。

チームの移籍により、Terminal.com本体の開発は停止する。SECのファイルによると同社はこれまで、612万ドルを調達しているようだ。Udacityは、今回の買収の価額等を公表していない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Udacityが自動運転車シミュレーターをオープンソース化、Unityで実装されている

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自動運転車には、人間の脳に代わって自動車を運転するソフトウェアが必要だ。そこでオンライン教育のUdacityは、その分野のナノ学位(nanodegree)を設けている。その学科の教材の一つとして自動運転車シミュレーターがあるのだけど、同社はこのほどそのシミュレーターをオープンソースにした。ゲームエンジンUnityの知識や経験のある人なら十分理解できるし、新しいシーンをロードしたり、新しい仮想テストコースを作ったりできる。

自動運転車のソフトウェアに関する教育は、その多くが仮想環境で行われる。教育を実車でやるのは費用的にも、また規制という点でも難しいからだ。しかも、そのための安全な環境を確保するのも難しい。大きな投資をして実際に自動運転車を作るところならともかく、Udacityのような総合教育機関の手には余る、大きすぎる課題だ。

Udacityは自動運転車ナノ学位の教材の一環としてオープンソースの自動運転車を一台作っているが、そのコードは世界中の何百人もの学生たちから提供され、オープンソースのライセンスで利用できる。その詳細は昨年9月に発表されたが、使用車は2016年型Lincoln MKZだ。この車種が選ばれたのは、自動運転ソフトウェアやそのコンポーネントの世界で広く利用され、それらを自動運転ソフトウェアのデベロッパーのために売っている企業もあるからだ。

今回シミュレーターをオープンソースにしたのも、そういったオープン化努力の一環だが、この大きくて複雑な問題に取り組んでいる人びとに、さらに基礎的なツールが提供されることになるだろう。Grand Theft Auto Vのようなシミュレーションツールも、自動運転ソフトウェアの試運転には十分使える仮想環境を提供する、と実証されているが、ツールは多いほど良い。しかもUdacityのファウンダーSebastian Thrunは、以前Googleで自動運転車プロジェクトを指揮していた人物なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IBM WatsonとUdacityがパートナーしてネット上に人工知能の単科学位コースを開設(全26週)

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社会人のスキルアップ&キャリアアップのためのネット教育をやっているUdacityが、IBM WatsonDidi Chuxing、およびAmazon Alexaとパートナーして、人工知能のナノディグリー*を提供していく、と今日(米国時間10/25)のIBM World of Watsonカンファレンスで発表した。〔*: nanodegree、ナノ学位、‘ミニ’よりもさらに小さな学位、特定単一科目限定。Udacity独特の用語である。〕

この課程のためのカリキュラムはIBM WatsonとUdacityが共同開発する。‘中国のUber’(のひとつ)Didi Chuxingは、このナノ学位を取った学生を雇用する。IBMも、だ。人工知能ナノ学位の開発に関し、Amazon AlexaがUdacityのアドバイザーとなる。

UdacityのファウンダーSebastian Thrunは、Googleのイノベーション部門Google Xと、その自動運転車開発事業を創始した人物だが、彼によるとこのAIナノ学位は、ソフトウェア開発にある程度精通している人が対象だ。

IBMでWatsonを担当しているVP Rob Highが同社のブログ記事に、このナノ学位の教程では、ゲーム、検索、ロジックとプランニング、コンピュータービジョン、自然言語処理などのアプリケーションやプラットホームの作り方を学生に教えていく、と書いている。

人工知能と倫理の問題についてThrunはこう言う:

“その問題は、ナノ学位のカリキュラムには含まれない。AIに関して恐怖を声高に広める人たちがいるが、AIと世界の支配や破壊は無関係だ。むしろそれは、退屈な繰り返し作業から人間を解放する。あなたがライターじゃなくて、オフィスで毎日同じことをしているオフィスワーカーだ、と想像してご覧”。

“あなたの仕事のやり方を見ていたAIは、あなたの仕事をあなたの100倍の効率でできるようになるだろう。あなたには、大量の自由時間ができる。AIと人間の心との関係は、蒸気機関と人間の体との関係とパラレルだ、と私は思う。どちらも、世界にとって、ポジティブなニュースだ”。

UdacityのAIナノ学位課程は、13週間の学期を2学期受ける。最初の学期は、2017年の初めに開く。

カリキュラムは目下開発中だが、教えるのは人間だ。ただしそれらの先生たちが、自分の授業のためのAIアプリケーションを開発するのは、かまわない。

UdacityはEdX, Courseraなどなどのエドッテック(edtech)プラットホームと競合している。どこも、今のテクノロジー社会における、一般社会人のスキルアップとキャリアアップを、売り物にしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleとUdacity、まったくの初心者向けAndroidプログラミング講座をスタート

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〔この記事はLucia Maffeiの執筆〕

Googleは多くの人々がプログラミングできるようになることを望んでいる。特に力を入れているのがAndroidプラットフォームでのプログラミングだ。Googleはすでにいくつかのプログラミング・コースを開設しているが、ターゲットは基礎的なプログラミングの能力を持っている学生などが対象だった。

今日(米国時間6/22)からスタートするのは、Androiプログラミングの初歩を教えるGoogle Android Basics Nanodegreeと呼ばれるクラスで、Udacityのオンライン学習プラットフォームを通じて提供される。 Udacityが就職に役立つとしてプロモートしている「ナノ学位(nanodegree)」のクラスにまったくの初心者をターゲットとするGoogleのAndroidプログラミングを登場するのはこれが初めてだ。

Googleのプログラム・マネージャー、Shanea King-Robersonは「GoogleはUdacityと提携し、万人向けの理解しやすいAndroidアプリの開発コースをスタートさせる。過去の経験を一切問わず学習者は身の回りの作業を効率化し、生活を改善するアプリを作ることができるようになる」と書いている。

新しいクラスでは簡単なAndroidアプリの作成方法を学べる。特にこのクラスでは要素のレイアウト、対話性、オブジェクト指向プログラミング、マルチ画面、インターネット接続、ストレージなどの基礎などに力を入れている。

コースの終了には標準で165時間が必要とされる。これは毎日4時間で42日間を要する計算だ。

このベーシック・コースを最初に終了した学習者50人には上位のナノ学位を取得するための奨学金が与えられる。学習者は就職に利用できるAndroidナノ学位、Career-Track
Android Developer Nanodegreeのクラスに無料で参加できることになる。

ベーシック・コースを構成するそれぞれの授業はオンラインで提供され、無料で利用できる。Udacityは有料で、コーチング、ガイダンス、疑問点への回答、就職カウンセリング、コース終了者への学位などを提供する。

前述のようにGoogleはUdacityと共同ですでにAndroidアプリ開発のクラスを提供している。これは無料だが、参加者には基礎的なプログラミングの知識が求められる。

世界中には10億台のAndroidでバイスが存在することを考えると、Androidアプリのコードを書くための基礎的な知識への需要は急速に増大しそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

元GoogleのSebasitan ThrunのUdacity、急成長続く―シリーズDで1億ドルを調達、評価額は10億ドルに

2015-11-12-udacity-screen

正統的なコンピュータ言語教育サイトとして有名なUdacityが、いわゆるユニコーンの仲間入りをする。この水曜に同社はシリーズDラウンドで1億500万ドルを調達したことを発表した。これにともなって、会社評価額はついに10億ドルの大台に乗った。これでユニコーン・クラブへの加入を果たしたわけだ。

シリーズDをリードしたのは国際的なメディアと教育のコングロマリット、Bertelsmannで、これにスコットランドのBaillie Gifford、Emerson Collective、 Google Venturesが参加した。同時に既存の投資家、Andreessen Horowitz、Charles River Ventures、Drive Capitalもこのラウンドに加わっている。

Bertelsmannの教育事業グループのCEO、Kay Krafftはこの投資にともなってUdacityの取締役に就任した。

Udacityの社長、COOのVish Makhijaniは声明の中で次のように述べた。「Udacityの使命はコンピュータ言語の教育を民主化し、全世界の何十億もの人々に手頃な料金で均等に習得のチャンスを与えることだ。コンピュータ言語の学習によりこれらの人々は適切な職を得ることができ、生活は大きく改善されるだろう。われわれは急成長を続けているが、目的の達成までの道のりは長い。今回の資金調達ラウンドで、Udacityの会社評価が10億ドルとなったことを光栄に思っている。われわれの歴史を振り返るとき、身の引き締まる思いだ。」

今回のラウンドは同社が世界的に規模を拡大しているさなかに行われた。この秋に入ってUdacityはサービスをインドに拡大している。

この資金調達のニュースは同社のnanodegreeプログラムのスタート1周年と重なった。Ucacityが認定するコンピュータ言語のnanodegreeは、現在シリコンバレーでも最大の企業であるGoogleやSalesforceで資格の一つとして認定されている。Udacityによれば、世界の168ヵ国で1万1000人がnanodegreeの取得を目指して各コースに登録しているという。

〔日本版:Udacityは元Google、元スタンフォード教授のSebastian Thrunが創立した企業。TechCrunch Japanでもたびたび紹介されている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleがオンライン学習のUdacityとパートナーしてAndroid開発のナノ学位を立ち上げ、エジプト語へのローカライズも

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今日(米国時間5/28)サンフランシスコで行われたデベロッパカンファレンスI/OでGoogleは、Udacity とパートナーして6コースから成るAndroid開発のナノ学位日本語参考記事)をローンチする、と発表した。

これはビギナーのためのコースではなく、まだAndroid未経験のプロのデベロッパにAndroidモバイルアプリの“正しい書き方”を教える。コースが終了したらGoogleが彼/彼女を実際に雇うこともありえるほど、本格的な特訓教育を行う。

Udacityのそのほかの学位プログラムと同じく、ビデオ教材の視聴は無料だが、卒業証書や教育助手へのアクセスが必要なら、今回のコースでは月額200ドルの有料になる。

Udacityの協同ファウンダでCEOのSebastian Thrunによると、受講者は学位を得るために、6つのコースといくつかのプロジェクトを終了しなければならない。たとえばあるコースでは、アプリの中でSpotifyのAPIを使いなさい、と求められる。Udacityのそのほかの学習プログラムと同様に、実践的知識の獲得が最大の目的で、したがってコースよりもプロジェクトの意義がとても重要だ。

Thrunは曰く、“ねらいは、受講者が実践を通じて、Androidプログラミングに関して完全な自信を持てる状態になること。多項選択(三択四択〜〜)のテストなどは、やらない。いわばそれは、Googleが同社のデベロッパに持っていてもらいたいと願っている知識や技術をすべて叩き込む、というナノ学位コースだ”。

学位取得までの所要(許容)時間は6〜9か月、開始日は決まっているが、途中のペースは受講者が自由に決めてよい。

Google Play Services

Googleは、このプロジェクトに本気であることを示すために、年末に50名の学生を本社に招待して三日間のサミットを行う。その内容は、ハッカソン、雇用担当者とのミーティングなどだ。要するにGoogleは、実際に何名か雇うぞ、という姿勢を見せたいのだ。

さらにGoogleは、エジプト政府とパートナーしてこの学位の6つのコースを現代標準アラビア語(Modern Standard Arabic)にローカライズする。Udacityとしても、ここまでやるのはこれが初めてで、ビデオにアラビア語で字幕を入れるのではなくて、コースの全コンテンツをアラビア語化するのだ。

Googleはエジプトの学生2000名に奨学金を提供し、就職説明会や各種の集会を行う。Thrunによるとこれは、Udacityにとってもアラビア語圏に進出していくための好機であり、その地域に良質な教育を持ち込むと同時に、良質な就職機会も開拓していきたい、という。そして、“あそこらの戦争の数を減らしたいね”、とThrunは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

オンライン教育の「二宮尊徳問題」、TechCrunch TokyoでUdacityに解決法を聞こう

11月18日、19日に迫ったTechCrunch Tokyo 2014の講演者を、また1人お知らせしたい。MOOCsブームの火付け役ともなったスタートアップ企業群のうちの1社、Udacityのバイス・プレジデントを勤めるクラリッサ・シェン(Clarissa Shen)氏だ。

かつて大学という閉じた世界で繰り広げられていた教育を、講義風景動画を含めて教材ごとゴロンとネット上で無料でシェアしてしまい、ネット接続環境とやる気さえあれば、地球上のどこにいても最高の高等教育が受けられるようにする。こうした理想を掲げてMITやハーバード、スタンフォードといった米国のトップティアの大学が、次々とオンラインコースを開設。UdacityやCoursera、EdXといった教育プラットフォームが誕生して「MOOC」(Massive Open Online Course)という言葉が大きく注目を集めたのは2011年とか2012年のことだ。

Udacity創業者のセバスチャン・スラン氏は、GoogleフェローとしてGoogle Glassや自動運転運転カーの研究開発をリードしていた計算機科学者であり、スタンフォードの教授でもある。そのスラン氏が、2011年秋に「AI入門」という名称で行っていたスタンフォードの講義教材の一部をオンラインに出してみたところ、またたく間に16万人がサインアップ。コースを終了した人数は2万3000人だたものの、世界の190の国々、異なるバックグランドの人の参加を目の当たりにして、スラン氏は教育者としての自分の責務は世界中の人々に力を与えることで、そのためのメディアとして、インターネットが素晴らしいと気付いたという。これがUdacityの始まりに繋がっている。

2012年、2013年にはスター的なコンピューターサイエンスの教授らが、次々とオンラインコースを開始して、多くのオンライン聴講者を世界中から集めて話題となった。ニューヨーク・タイムズは2012年には「MOOC元年」と宣言し。世界中に高等教育を届けることが、特に途上国の貧困層にとっては教育格差、経済格差の解消に繋がるという文脈で語られ、期待もされた。

その一方で、2014年になると、MOOCs一般の問題として修了率が数%台と非常に低いことが明るみになってきた。しかもコース履修者の多くは、先進国の人々で、すでに学部相当の教育を受けた人々だったということが分かってくる。Edtech分野に明るい日本のある投資家は、「二宮尊徳問題」だと指摘しているが、教材をゴロンと出して、さあどうぞ! と言われて自力でコースを修了できるような勤勉さや熱意を誰もが持ちあわせているわけではなく、「誰もが二宮尊徳なんかじゃなかったのだ」ということが分かってきた、というわけだ。

Udacity創業者のスラン氏自身も、「皆が期待したように、あるいは私自身が願ったようには、われわれは人々に教育を届けられていない。われわれのプロダクトはヒドいものだ」と2013年に認めている

Udacityはこうした事情を受けて、スタートアップ界隈の用語でいえば、「ピボット」しつつあるようだ。1つはフリーミアムモデルに移行して、1対1のメンタリングなどに課金するコースを提供すること。もう1つは、アカデミックな教育よりも、実践的なプログラミング講座などで一種の認定制度を提供する「ナノ・ディグリー」(ミニ学位とでも訳すのか)を、GoogleやAT&T、Salesforceなどと共同で開発して提供するというモデルだ。ミニテストを用意してゲーム的要素を増やすなどもしているようだ。そのときどきで助言をくれるメンターのサービスで課金するというのは、伴走者がいたほうが修了率が高くなることを考えても理に叶っているし、コピーの限界費用がゼロに近いインターネット上では教材に課金するよりも合理的だと思う。産業界の要請を受けて実学に寄せていくことについては議論がありそうだ。

Udacity創業者のスラン氏が、MOOCsブームを「ハイプだった」と公に認めるのは大胆だと思う。社名のudacityはaudacious(大胆な)から来ているが、本当に大胆だ。そしてこの言葉は、いま現在もUdacityがオンライン教育のあり方を、実践を通して模索中であるということの表れなのだろうと思う。

スラン氏は以下のインタビューの中で、面白い歴史観を披露している。新しいメディアが誕生するとき、常に人々は1つ前のメディアをそのまま持ち込むものだという。映画が登場したときには、最初は演劇をそのまま録画するだけだったし、初期のテレビ番組もスチルカメラの延長で作られていた。オンライン教育のあり方についても、今はまだ教室の講義動画を出してみたりしているだけだが、今後50年でドラスティックに変化していくだろうという。

鳴り物入りでスタートしたUdacityなどのMOOCsは2013年には一種の幻滅期を迎えたが、実は端緒に付いたばかりなのかもしれない。そのトップランナーの1社であるUdacityのバイス・プレジデント、クラリッサ・シェン氏には、TechCrunch Tokyo 2014のセッションの1つで、MOOCsを取り巻くオンライン教育の現状や、Udacityの最近の取り組みの全体像をお話いただけると思う。ちなみにUdacityは、直近の2014年9月の3500万ドルのシリーズCを含めて、これまで3度のラウンドで合計5500万ドルもの資金を調達している。シリーズCへの参加VCとしては、Andreessen Horowizや日本のリクルートの名前が目につく。

オンライン教育やEdTechに興味のある人々には貴重な話が聞けるセッションとなることと思う。

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GoogleがAndroidソフトウェア開発の無料学習コースを提供、Udacityから

Googleがオンライン学習のUdacityと提携して、無料のAndroidソフトウェア開発コースを提供する。ビデオのほかに、小テストや教材、それにフォーラムも提供される。このコースは”Developing Android Apps: Android Fundamentals”(Androidのアプリ開発: Androidの基礎)と呼ばれ、Androidアプリを作るために必要なもののすべてを、一歩ずつ教えていく。ただし学習者は、プログラミングに関する基礎的な理解をすでに持っている必要がある。

このAndroidコースは、GoogleのDeveloper Advocates〔仮訳: デベロッパヘルパー〕 Reto Meier、Dan Galpin、およびKatherine Kuanが担当し、またフィードバックへの個人的な対応や直接指導が、Udacityの有料コースをすでに受講している先生生徒間で行われる。この事業の目的はまず、Androidの歴史や成り立ちを学んでAndroidをよく知ること、そして過去のプログラミング経験等ではなく、Androidの具体的な知識をベースとしてプログラミングを発想/書けることを目的として、Androidソフトウェアの作り方を教える。

Googleの当然のねらいは、Androidのソフトウェアを作るデベロッパの増員だ。先月行われたGoogle I/Oでの発表が正しければ、今やAndroidはありとあらゆるものを動かすOSになりつつある。だから、Androidで考え、Androidで書くことのできるデベロッパを増やすことは、今後のAndroidの、自動車、テレビ、ウェアラブルなどへの実装が、広い消費者層に普及していくために欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


既存大学そのままオンライン化の限界を悟ったUdacityが, 企業人を先生とするデータサイエンス課程を開始

インターネットの上には、その気になればビジネスに活を入れることのできる貴重なデータがたくさんあるので、今企業は、それらのデータの中からデジタルの金塊を発見できる統計家を熱烈に求めている。ホワイトハウスもデータサイエンティストの増員が必要と言い出した昨今、MOOC(Massively Open Online Course, 大型公開オンライン課程)のプロバイダUdacityが、有料の統計学課程をローンチした。

“すでに相当大きな需要がある。このオンライン課程により、求人者と求職者とのあいだのスキルギャップを解消したい”、とUdacityのファウンダSebastian Thrunは言っている。

“探査型データ分析(Exploratory Data Analysis)”と題されたそのコースは、 月額150ドルで3月に始まり、Facebookのエンジニアが授業を担当する。また、今日(米国時間1/22)始まる”データサイエンス入門(Intro to Data Science)”(同じく月150ドル)は、小売業向けの小さなアフィリエイト企業Yubのエンジニアが教鞭をとる。

受講期間は受講者のペースにもよるが、およそ2週間から2か月である。

しかしこのオンライン教育を、大学のオンライン課程に比べるとどうだろうか。UC Berkeley(カリフォルニア大学バークリー校)は、学費6万ドルで2年がかりのオンラインデータサイエンスコースを開始した。Udacityのコースに比べると、期間も学費も相当大きい。

今のところ、Udacityがバークリーに比べて良いとか悪いとかは言えないが、ぼく自身はかつて、ふつうの大学で統計学の修士号を取得した。そこで、ぼくの過去の学習体験と、CourseraでJohns Hopkins大学が無料で提供しているデータサイエンスコースを比較してみた。

率直に言って、Couseraはなかなか良い。授業内容はぼくが大学で受けた講義や演習などとほとんど変わらないが、教え方のテクニックは最新だ。

Udacityのは、先生が企業人だ。だから教材として使用されるデータ集合は、ぼくが大学の統計学で使ったものよりも、ずっと実用価値が高いだろう。

Udacityのビジネスとしては、どうなるのか、そこがまだはっきりしない。同社はこれまで、総額で2000万ドルの資金を獲得したし、ジョージア工科大学のコンピュータ科学の学位を6000ドルで提供している。カリフォルニア州立サンノゼ大学との実験的な提携がうまく行かなかったので、今多くの大学がオンラインコースの提供開設をためらっている。しかしThrunは、学習資源を既存の大学以外にも広げていきたい、と言っている。だから今回は、企業人の先生に教わるのだ。

今後は、このようなノン大学のコースを、コンピュータ科学Web開発、そしてモバイルWeb開発でも始める予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))