台湾が中国製ストリーミングサービスのiQiyiとWeTVを禁止へ

iQiyi(アイチーイー)とTencent(テンセント)のWeTVという中国の2大人気ストリーミングサービスが、来月台湾で禁止される可能性がある。地元の提携企業を通じて運営できる規制の抜け穴を政府が塞ぐ準備をしている。

台湾経済部が今週公開した声明で、台湾の企業または個人が中国本土拠点のOTT(ストリーミングサービス)のためにサービスを提供することは禁止されることが明らかになった。規制案は9月3日に発効する前に、市民の意見を聞く期間が2週間設けられる。

人口約2400万人の台湾は独立自治を保っているが、中国政府は自国の領土であると主張している。本規制案は、台湾がインドや米国などの国々と同じく、中国テック企業に対して強硬な姿勢をとっていくことを意味している。

iQiyiとTencentのWeTVは、台湾で「違法」な提携を通じて事業を行っていると経済部が声明文で語っている。両社は香港の子会社を通じて台湾企業と契約を交わしている。

4月に国家通訊伝播委員会(NCC)は、Act Governing Relations between People of the Taiwan Area and the Mainland Area(台湾地域と大陸部の人民の関係を統治する法令)の下、中国のOTT会社は台湾で運営することを許されていないと宣言した。当時内閣報道官は、当該の中国企業と台湾のパートナーは「違法すれすれ」で事業を行っている(Forcus Taiwan記事)と発言した。

しかしのNCCのWong Po-Tsung(ウォン・ポー-ツン)報道官は、規制案は中国のストリーミング業者だけを標的にしたものではないと語った。Taipei Times(タイペイ・タイムズ)によると、同報道官は「本法案が必要なのは、すべてのオーディオビジュアル・サービス・プラットフォームを規制する一律の基準を適用するようケーブルテレビ業者が委員会に依頼したためであり、対象にはOTTサービスもフルマれる。これはiQiyiやその他のOTT事業者に起因する問題への対応だけを求めるものではない」とのこと。

ウォン報道官は、台湾は民主主義国家であり政府は人々がiQiyiやその他の中国製ストリーミングサービスを見るのを妨げることはない。例えば、国際支払いサービスを使って中国内でサブスクリプション料金を支払うことでサービスを利用することは可能であることを付け加えた。

ひとたび法案が通れば、違反した台湾企業は5万~500万新台湾ドル(約18万~1800万円)の罰金を課させる。

TechCrunchはiQiyiとTencentにコメントを求めている。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2億近いユーザーを抱えるBilibiliは中国のYouTubeになりつつある

中国のビデオストリーミングサイトBilibiliは、かつて若者のサブカルチャーの聖地と見なされていたが、ユーザーの高年齢化およびコンテンツの多様化により、着実にメインストリームになっていった。NASDAQに上場している同社は、第1四半期に前年同期比で70%の成長を記録し、月間アクティブユーザーは1億7200万に達した。同社は今は、TencentとBaiduが運営しているビデオサービスであるiQiyiと肩を並べている。

ユーザーの1日の滞留時間は87分間という記録的な長さになったが、それはおそらく新型コロナウイルス(COVID-19)による在宅命令が延長されたためだろう。

同四半期にTencent Videoは1億1200万のサブスクライバーを報告し、iQiyiは1億1890万を集めた。ほぼ全員が有料ユーザーだろう。対照的にBilibiliは、MAUのわずか約8%が有料ユーザーだ。

しかしBilibiliの成長要因は独特だ。Tencent VideoとiQiyiがNetflixのようにプロが制作した商業的コンテンツ中心であるのに対して、BilibiliはYouTubeのようにユーザーが作成したコンテンツが中心だ。クリエイターの数は毎月146%増えており、現在は180万で彼らが提出するコンテンツ数は毎月490万本だ。上位のクリエイターの中には、なんとCommunist Youth League of China(中国共産主義青年団)がいる。

Bilibiliはゲームやアニメファンのフォーラム、または中国版の最新のYouTubeだと思ってるかもしれないが、AlibabaとTencentがバックについてからは、1億3000万の愛国的な若者たちにもサービスを提供している。Youth LeagueはBilibiliの上位から7番目のクリエイターで、下のグラフに示すように、いいね!の数では最高だ。ここやその他の国が公認しているサイトにはウイルス関連の陰謀説が氾濫し、反アメリカ的な感情を煽っている。

Bilibiliは収益化の方法も独特だ。若いユーザーが多くてモバイルゲームのプラットフォームという性格もあるので、Q1の売上の半分はビデオゲームだ。その他の売上源は、ライブのブロードキャストにおける仮装アイテムの売上、広告収入、そしてBilibiliにショップがあるコンテンツクリエイターの売上だ。

ユーザーは順調に伸びているが、Bilibiliは今期、損失が7610万ドル(約82億円)に増えている。前年同期の2738万ドル(約29億5000万円)と比べて急激な増加だ。その原因としては、新型コロナウイルスによる商品配送の遅れが挙げられている。

しかしそれでも、同社の現金準備はSony(ソニー)からの4億ドル(約431億円)の巨額投資もあって11億3000万ドル(約1217億5000万円)と厚い。Sonyは両社間のアニメとゲームのシナジーに期待している。また、長年のライバルだったAlibabaとTencentはこのところ共同投資の事案が増えており、Bilibiliもその対象のひとつだ。

同社のCFOであるFan Xin(ファン・シン)氏は決算報告の席で「弊社のキャッシュフローはプラスであり、損失よりも大きい。全体として弊社の財務状態は健全である」と述べている。

画像クレジット:Bilibiliホームページのスクリーンショット

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa