Voyageがカリフォルニアの公道上での自動運転タクシーサービスの認可を取得

Voyage は、これまでカリフォルニア州サンノゼにある退職者コミュニティの私道内に限られていた同社の自動運転サービスを、規制のハードルをクリアすることによって州の他の地域の公道に拡大できるようになった。

California Public Utilities Commission(CPUC、カリフォルニア州公共事業委員会)は、米国時間4月20日にVoyageに対して、州の公道上で自動運転車を使って乗客を移送する許可を与えた。同州のAutonomous Vehicle Passenger Service(自動運転車乗客サービス)パイロットプログラムの一部であるこの許可により、Voyageは従来の自動運転車テストを超えて拡大することを目指す新しい成長企業グループに加わることになる。Aurora、AutoX、Cruise、Pony.ai、ZooxそしてWaymoはすべて、CPUCから「運転手同乗」自動運転車乗客サービスパイロットプログラムに参加する許可を得ている

許可証はまた、Voyageへより広い商業化への道を拓く。

同社はこれまで、カリフォルニア州サンノゼで4000人以上の住民が暮らすコミュニティーであるThe Villagesの中で、常に運転席に運転手が同乗する形で、6台の自動運転車を運行してきた(こうした活動は、新型コロナウィルス感染症パンデミックによって促された州全体の屋内避難命令の下で一時的に停止されていた)。Voyageはまた、フロリダ州の中央部にある、広さ40平方マイル、人口12万5000人の退職者の街でも運行を行う。

このコミュニティは私道で構成されているため、VoyageはCPUCの許可を必要としていなかったが、CEOのOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏は、技術的な問題には関係なく州の規則を遵守したいと述べていた。Voyageはまた、The Villagesの住民たちをコミュニティ外の目的地まで輸送するという、より大きな野望にも動機付けられていた。

「私たちは人びとを、The Villageの外にあるすべての場所、病院や食料品店といった場所に連れていきたいのです」とVoyageのキャメロン氏は月曜日のインタビューでTechCrunchに対して語った。

Voyageの戦略は、顧客からの特定の需要があり、周囲の環境がよりシンプルな退職者コミュニティから始めるというものだった。Voyageがサービスを提供している集団の平均年齢は70歳だ。今回の目標は、顧客ベースを変更することではない。そうではなく、キャメロン氏は会社の現在の運用デザイン領域を拡大して、Voyageにより大きな運行範囲を提供したいと考えている。

最終的な目標は、キャメロン氏がパワーユーザーと呼ぶVoyageのコア顧客である人びとが、近所の家に夕食に行ったり、ショッピングや医者に行ったり、空港に行ったりと、あらゆることにサービスを利用できるようになることだ。

CPUCは、2018年5月に自動運転車で乗客を移送するための2つのパイロットプログラムを設定した。1つ目は「Drivered Autonomous Vehicle Passenger Service program」(運転手同乗自動運転車乗客サービスパイロットプログラム)と呼ばれ、企業は特定のルールに従う限り、自動運転車を使用して配車サービスを運営できる。企業は乗車に対する料金を請求することはできず、人間の安全運転手が運転席に座っていなければならず、特定のデータを四半期ごとに報告しなければならない。

2番目のCPUCパイロットプログラムは、同乗運転手なしの乗客サービスを許可するものだ。ただし、その許可を取得している会社はまだない。

今回の許可の下では、Voyageは乗車料金を請求できない。ただし、ちょっとした法的な抜け道の余地はある。Voyageは、The Villages内の乗車に対しては課金をすることができる。実際、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミック関連のシャットダウンの前には、同社は配車サービスに対する料金を請求し始めていた。

The Villagesの外での乗車は無料でなければならないが、車両がコミュニティーから出るまでの走行距離や時間に対して、会社が請求できるかどうかは不明だ。

Voyageはこれをさらに推し進めることを望んでいる。同社はまたリムジン、バス、およびその他のサードパーティのチャーターサービスの運行に必要な、従来のトランスポーテーションチャーター許可も申請している。キャメロン氏によれば、同社はまず、CPUCの運転手同乗自動運転車両認可の厳しい申請プロセスを経なければならなかったと言う。

CPUCのプログラムをカリフォルニア州のDepartment of Motor Vehicles(DMV、自動車管理局)と混同してはならない。DMVは公道で自動運転車をテストするための規制を行い許可を発行している部局だ。ただしこちらのテストは常に安全運転手の同乗の下で行われる必要がある。DMVによって発行された自動運転車両テスト許可を保持している企業は65社存在する。CPUCプログラムへの参加を希望する企業は、まずDMVのテスト許可が必要だ。

原文へ

(翻訳:sako)

ヒュンダイとソウル市が共同事業で自動運転車の路上テストへ

BusinessKoreaの報道によると、Hyundai(ヒュンダイ)がソウル市と交わした覚書により、同社は来月からカンナム地区で6台の自動運転車の公道上のテストを行う。その取り決めによると、6台の車は12月に23の道路でテストを開始する。2021年には15台に増やし、水素燃料電池による電動車を公道上でテストする。

ソウル市はスマートインフラストラクチャを提供し、それらの車とコミュニケーションする。それにはインターネットに接続された交通信号なども含まれ、また交通情報などの情報を0.1秒間隔でヒュンダイの車に中継する。このようなリアルタイムの情報フローは、自動運転テスト車の安全な運転を最適化するために必要な、可視性の提供に大きく寄与するに違いない。またヒュンダイも情報を共有し、自動運転のテストに関するデータをこの技術に関心のある学校やそのほかの組織に提供して、市内における彼ら自身の自動運転技術のテストに貢献する。

ソウル市とヒュンダイともに、このパートナーシップによって世界のトップレベルの都心部における自動運転技術の展開を構築し、それを商用サービスに進化させ、同時に2024年までには自動運転車専門のメーカー企業を稼働させたいと望んでいる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ヒュンダイが自動運転車によるロボタクシーサービスをカリフォルニアで試験運用

韓国・ヒュンダイの電動自動運転機能を搭載するクロスオーバーSUV車であるKonaの一群が、中国の自動運転企業であるPony.aiの自動運転システムを搭載し、米国ニューヨーク拠点のライドシェアプラットホームであるViaを利用して、来週から公道上で乗客の送迎を開始する。

そのロボタクシーサービスはBotRideと呼ばれ、11月4日からカリフォルニア州アーバインの公道で営業する。完全な自動運転車ではなく、人間のセーフティードライバーが常時運転席に座る。しかしカリフォルニア州でのライドシェアのパイロット事業は例が少ない。これまで自律車を用いたライドシェアサービスの営業が許可されたのは、AutoX、Pony.ai、Waymo、Zooxのわずか4社だ。

乗客がスマートフォンのアプリから乗車をリクエストすると、近くの場所を指示されるので、そこで待っていると拾ってくれて、またそこで降ろしてくれる。このようなライドシェアの仕組みはViaのシステムが動かし、そしてこのプラットホームは、同じ乗客による同じルートの複数回の乗車を狙っている。そのための予約や乗客と車の割り当て、QRコードによる車の特定などはViaのプラットホームが扱う。Viaの事業には二つの面があり、シカゴやワシントンD.C.、そしてニューヨークでは一般消費者対象のシャトルサービスを運用している。そして今度のロボタクシーサービスでは、クライアントが自分のプラットホームで自社のシャトルを展開する。

ヒュンダイによるとBotRideは、今後の完全な自動運転に備えてユーザー体験を検証することが目的だ。その「今後」がいつのことなのか、それは未定のようだ。しかしいつであれ、今回のパイロット事業はそれに向けての重要な足がかりだ。

Coverage area of Hyundai robotaxi pilot

現代自動車(Hyundai Motor Company)の事業開発部長であるChristopher Chang(クリストファー・チャン)氏は「同社はBotRideを利用して自動運転のライドシェア環境における消費者行動を研究する」とコメントしている。

「BotRideのパイロット事業は、今成長途上にある新しいモビリティー事業の展開と最終的な商用化のための重要なステップだ」と同社の高度製品戦略担当マネージャーであるDaniel Han(ダニエル・ハン)氏は語っている。

BotRideはヒュンダイというよく知られた名前が頭に付く。しかしPony.aiとViaの技術的貢献度も極めて大きい。Pony.aiは自動運転車の世界では新人だが、すでに17億ドル(約1847億円)の評価額で3億ドル(約326億円)を調達しており、トヨタやヒュンダイと提携している。

中国とカリフォルニアで操業しているPony.aiは従業員が全世界で約500名、2016年の後半にSequoia Capital ChinaとIDG Capital、およびLegend Capitalの投資で創業された。

同社はまた、カリフォルニア州自動車局から公道上の自動運転車のテストを許可され、カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)からこれらの車のライドシェアサービスでの利用を許可された数少ない自動車企業グループのひとつだ。CPUCの規則により現在のところPony.aiは乗車に対して課金できない。

画像クレジット: Hyundai/Pony.ai

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボルボが輸送車に特化した自動運転車の事業部を立ち上げ

Volvo Group(ボルボグループ)が、鉱業や港湾業など、あらゆる種類のロジスティクスのハブ間で物を移動する、業務用専用の自動運転輸送にフォーカスした専門的な事業部を設立した。同社はこれまで、すでに個々のプロジェクトで採石や鉱山、スウェーデンのイェーテボリにある取扱量の多い港などで自動運転技術を導入してきた。

同社は自動運転技術のこの種の利用への需要が増えているのを見て、それに特化した事業部門を作ろうと決めたようだ。新たに作ったグループはVolvo Autonomous Solutionsと名付けられ、その公式ミッションを「自動運転による輸送の開発、商用化、および売り上げを加速すること」とした。そのフォーカスする輸送形式は「大量の品物や素材を一定のルートで一定の受け入れ先へ移動するニーズに対応すること」だ。

「このセクターに期待される成長は顧客からの直接的なフィードバックにも由来している」と同社は言う。Volvo Groupの社長でCEOのMartin Lundstedt(マーティン・ルンシュテット)氏は声明中で、「顧客からの問い合わせが非常に増えている」と述べている。

公式には、Volvo Autonomous Solutionsは2020年の1月まで親会社の傘下というかたちになる。しかし、その後の新しいトップはすでに探しており、同社がこの新興市場のポテンシャルを大きいと見ていることは明らかだ。

消費者向け自動車の自動運転とは違って一定ルートで製品や商品を運ぶ自動運転輸送は、現代のテクノロジーの能力の大きさや多様さによくマッチしている。自動運転をこのように業務用に利用すれば、例えば人間が運転する車の多い都市部における運転の混沌と複雑さを解消でき、また一定のルートを維持することによる輸送効率の向上も期待できる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転技術を車いす利用者向けにチューニングしたシャトルカー

輸送や交通の自動化を目指すMay Mobilityが、いわゆる自動運転技術に関しては単なるアクセシビリティー以上のものを実現しようとしている。その同社は最近、自動運転シャトル車の車いすバージョンの開発を始めた。そのプロトタイプのテストが最初の供用予定地オハイオ州コロンバスで行われ、コミュニティの人びとからのさまざまなフィードバックを集めた。

車いす利用者のための乗車と下車の便宜および、シャトルの走行中の安全確保が設計に導入されている。最初に得られたフィードバックからは乗下車のためのが補助スロープがもっと長くて傾斜がゆるくないといけないことが分かった。関連して、乗車と下車のための停車場の設計にも、問題があった。

本格供用に向けて改善点がまだいろいろあるが、最初のパイロット的運用はもうすぐコロンバスとプロビデンス、およびグランドラピッズで行われる予定だ。

同社によると最終的には、そのソリューションは少なくとも、今の公共交通機関における車いす介助方式と同等、とユーザーに感じてもらえるものでなければならない。

may mobility alisyn malek

May Mobilityの共同創業者でCOOであるAlisyn Malek氏が2019年7月10日のTechCrunch Sessions: Mobilityに登場

May Mobilityの共同創業者でCOOのAlisyn Malek(アリサイン・マレック)氏は、TechCrunch Sessions: Mobilityでこう語った。「どうやって、交通を誰にとっても容易なものにできるだろうか?この問題意識の中でとくに重要なのが誰にとってもの部分だ」。

このような低速の電気自動車に関しては、米国など多くの国でまだその設計や安全性機能に関して明確な指針や規制がない。そこで同社が考えたのが、障害者向けの設計に関して最初からコミュニティと協働することだ。自動運転車を作っている企業のほとんどが「まるで決まり文句のように、これまで自動車に乗れなかった人でも乗れるようになる」と言う。しかし実際には、そんなアクセシビリティーのために具体的で現実的な工夫を実装しているところはほとんどない。

しかしごく一部の企業、例えばライドシェアサービスのLyftは、自動運転車を開発しているAptivおよび全米視覚障害者連合とパートナーして、目の不自由な人でも利用できる自動運転車サービスを設計している。しかしMay Mobilityのシャトルサービスは、ひとつの会社や機関としての完全な管理体制の中で商用のコミュニティサービスとして展開できる。つまり同社のアクセシビリティー対策は、既存のバス会社やタクシー会社、もしくは一部の行政サービスなどでもすぐに採用して実用化できる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転車の視界に入っていない歩行者を検出できるRF探知技術

イスラエルのViziblezoneは、自動運転車が歩行者をもっと確実に見つけられるようにしたいと考えている。それには、歩行者が車のセンサーの視界にいなくてもという高い目標もある。歩行者検出専門のスタートアップはこれまで聞いたことがないが、どんなことにも最初がある。Viziblezoneは、毎年何百万人もの歩行者が車で負傷しているという大きな問題に、初めて挑戦したスタートアップかもしれない。

近くに歩行者がいることを車に警告するために、OurCrowdのインキュベーターLabs/02で育ったViziblezoneは、スマートフォンと車中の検出装置を利用する。同社の主張によると、そのソリューションは自動運転車が本格的に普及したときに特に役に立つという。

同社のファウンダーでCEOのGabi Ofir氏はこう述べる(彼はMotorolaで20年間、通信プロトコルの仕事をしていた)。「Viziblezoneは、ソフトウェアによる費用効率の良い歩行者検出装置を提供する。それは車内や携帯電話のRF装備を路上の人間用のアイアンドームに換える。今では歩行者もそのほとんどがモバイルデバイスを持っているから、この検出装置はそれらをスマートなビーコンに換えて、車から見えるように、そして避けられるようにする」。

同社のソリューションはもちろん自動運転車を狙っているが、車中のスマートフォンを利用すれば今の車でも使えると同社は言う。視覚的なセンサーを使わないので天候等に左右されず、検知範囲は最大で150メートルぐらいだ。

image009

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

史上最年少の女性下院議員が主張「労働者はオートメーションを恐れるな」

オートメーションへの地殻変動的な移行を、失職について語らずに議論することは不可能だ。テクノロジーに反対する人びとは、「熟練技能を必要としない」職業分野で大規模な失業が起きることをおそれて批判する。一方テクノロジー肯定派の人たちは、その種の記事は大げさになりがちだと言う。でも労働力のシフトは、太古の昔からそうであったように今も起きている。

しかし今週行われたSXSWで、ニューヨーク州出身の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)氏は、まったく違う見解を述べた。

The Vergeによると、彼女はある質問への答でこう述べている。「自動化で仕事を失うという妖怪を怖がるべきではない。自動化は、むしろ喜ぶべきだ。でも、それを喜べないのは、私たちが、仕事がなければ死ぬという社会に生きているからだ。そして、そのことの中核にあるものこそが、私たちの本当の問題だ」。

聴衆からの質問に対するこの答は、オートメーションに関するこれまでのさまざまな会話の中で、あまり聞かれない見方だ。いちばん多いのは、業界を代弁するような人びとが、テクノロジーがこれまでの「退屈で汚くて危険な」仕事を置換すると主張する説。多くのロボット賛美派が言うには、それらは本当は誰もがやりたがらない汚れ仕事だ。

【ウィリアム・ギブスン「これは政治家が言う言葉としては衝撃的に知的だ」】

一方オカシオ=コルテス氏の答は、彼女の民主社会主義者としての見解を述べている。それは、正しく実装されたテクノロジーは労働者を資本家のシステムから解放できる、今は労働者が、自分の存在と生計をそのシステムに冷酷に縛り付けられている、と見る議論だ。

この新人女性議員は、オートメーションが社会にもたらす利益を指摘して、自分の立場を明らかにしようとする。

The Vergeの引用によると、オカシオ=コルテス氏の発言はこうだ。「オートメーションに関して、私たちは喜ぶべきだ。それによって、可能性としては、自分自身を教育する時間が増えるし、アートを創る時間や、科学にお金をかけて研究する時間、発明に集中する時間、宇宙に行く時間、自分たちが今住んでる世界をエンジョイする時間も増える。必ずしもすべての創造性が賃金に結びついていなくてもよいのだから」。

オカシオ=コルテス氏は、ビル・ゲイツ氏がQuartz誌のインタビューで語っていることを引用して、このビジョンを実現するためにはロボットに課税することもひとつの方法だ、と言う。彼女はこう言ったそうだ。「ゲイツ氏が本当に言ったのは企業に課税することだけど、『ロボットに課税する』のほうが言いやすいから」。

オートメーションに関する質問への彼女の答は、未来に関してとりわけ楽観的な一部のライターたちの喝采を浴びた。

小説家のウィリアム・ギブスンは、「これは政治家が言う言葉としては衝撃的なほど知的だ」とツイートした。それは少なくとも、今や陳腐化している話題への新鮮な観点であり、われわれ全員が共有するテクノロジーの未来をめぐる重要な会話に、生命(いのち)を吹き込むものだ。

オートメーションが向こう数十年で雇用に大きな影響をもたらすことは、疑問の余地がない。倉庫などの業種では、その多くをすでに目にしてきた。この主題に関するすべての研究が認めているのは「破壊される」雇用の数は数千万以上だが、新たに“創られる”数はその膨大な数の小部分にすぎないことだ。

でも、この女性下院議員のコメントはそれらの具体的な数とは関係なく、たぶん我々がこれまでずっと間違った問いを尋ねていたのではないかということを示唆している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

評価額最高のAIスタートアップSenseTimeが常総市に自動運転車のR&Dと公園的な試走施設を開設

評価額が世界一高い人工知能スタートアップSenseTimeが、日本に舞い降りた。この北京に拠を置く企業は金曜日(米国時間1/11)に、日本の歴史都市常総市に自動運転技術のための施設をオープンした、と発表した。同社はこの、東京から50キロメートルの都市で、自動運転車の研究開発とロードテストを行なう。

日本における同社のこの拠点施設は、2017年の、日本の自動車大手Hondaとの協定に基づくものであり、両社が共同で自動運転技術の開発を行っていく。Alibabaが支援するSenseTimeはこの前45億ドルあまりと評価され、中国各地の小売商店や病院、警察などに導入されているオブジェクト認識技術がいちばんよく知られている。Bloombergによると今週同社は新たに、20億ドルを調達中である。

生後4歳のSenseTimeは、日本に機会を見出そうとしている中国の唯一のAI企業ではない。中国最大の検索サービスBaiduも、隣国に自動運転車を持ち込もうとしており、それを可能にしたのがSoftBankのスマートバスプロジェクトSB Driveと中国の自動車メーカーKing Longとのパートナーシップだ。

日本は近年、AIと自動運転車技術への大型投資を推進しており、それにより高齢化と労働人口の減少に対応しようとしている。日本政府の構想では、オリンピックが行われる2020年に自動運転車を東京の公道上で実用化する。日本の首都は昨年の8月に、自動運転タクシーの試行に成功している。

SenseTimeの試走公園(test park)は、日本の高名なイノベーションハブ筑波研究学園都市に近く、公園として地元住民に開放される。住民たちは、いずれ自分たちが乗ることになる自動運転車を、至近距離で見物できる。

常総市長神達岳志が声明文でこう述べている: “同社が自動運転技術のR&Dセンターを当市に置かれることは、まことに喜ばしい。自動運転車は、交通システムに革命的な変化をもたらすだけでなく、地方の交通問題の解決にも資すると思われる。SenseTimeの助力により、自動運転車が常総の路上を走行するところを見ることが、待ち遠しい。それが実現するためなら、われわれはいかなる支援も惜しまないつもりだ”。

画像クレジット: SenseTime

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Appleの自動運転テスト車が最初の事故に遭ってやっと事業公表への第一歩?

カリフォルニア州自動車局に提出された報告書によると、Appleがこれまで秘(ひそ)かにやってきた自動運転車事業が、その最初の事故を明らかにした。

8月24日に起きたその低速事故は同社にとって、事業が一定の段階に達したことを示している…残念ながら、めでたい事件ではなかったが。最近は多くの企業が公道で自動運転車をテストしているから、事故はありふれてきた。その多くが、ちょっとした低速事故だ。

2014年には、自動車局に報告された州内の自動運転車の事故は、Delphi社の1件のみだった。今年はすでに、40件あまりが報告されている。

自動運転車の最初の死亡事故は、歩行者にぶつかったUberの自動運転車だが、起きたのは今年の3月で、アリゾナ州だった。

Appleのテスト車は、カリフォルニア州クパチーノの本社近くで、時速約1マイル(1.6キロメートル)で高速道路に合流しようとしていた。報告書によるとそのとき、一台のNissan Leafに追突された。負傷者の報告はない。どちらも、車の軽い損傷を報告している。

Appleは、同社の自動運転車事業に関して、一貫して無言だ。州内の自動運転車事業を管轄するカリフォルニア州自動車局の事業認可リストにAppleが載っていることが、Appleによるかろうじて唯一の、確認の痕跡でもある。Appleの自動運転車事業は、シリコンバレーの公然の秘密だ。しかし最近CEOのTom Cookが、自律的システムへの同社の関心に言及した。Bloombergのインタビューで彼は、それが同社のすべてのAIプロジェクトの母胎だ、と言っている。しかしその‘自律的システム’とその製品計画が何であるのか、それは明かされていない。

事故の報告書も、Appleのテスト車の形や車種が分かるだけだ。事故に遭った自動運転テスト車は、2016i Lexus RX450Hだった。それはGoogleが同社の自動運転システムのテストに使っていた車種と同じだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Smartsheetの共同ファウンダーが大転換。次のプロジェクトは石拾いロボット

エンタープライズ向けコラボレーションのスタートアップでIPOを申請したSmartsheetの共同ファンダーは、急ハンドルを切って農業ロボティクスの世界に向かった。Brent Freiは地面から岩石を取り除く自動化システムに取り組んでいることをGeekWireに話した。これは、少々予想外ではあるが、まちがいなく悪くないアイデアだ。

昨年Freiが子供たちとちょっとした農作業をしていたときのこと、大きな石を拾ってトラクター・トレーラーに載せるというあまり元気のでない作業をしながら思いついた。これこそは自動化プラットフォームが得意とするところではないか?

半自動化のソリューションはいくつかあったが、何エーカーかの土地に放り出して「この大きさ以上の石を全部取ってこい」と言うだけのシンプルなものはなかった。

この水撒きや栽培や収穫に使われているさまざまなテクノロジーをこれに応用できないだろうか? まずは少なくとも彼自身が使えるものを作ろうと、10月にTerraClearを設立して「石拾いのルンバ」を作り始めた。

まだプロトタイプにもほど遠い段階だが、これは、自由な発想さえ持ち続けていれば、世界はコンピュータービジョンやロボティクスの新しい応用ができるオープンなところであることを示す好例だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

[ビデオ]: Uber自動運転車の死亡事故のときドライバーはよそ見をしていた

アリゾナ州テンピーの警察が、Uberの自動運転車による死亡事故の、直前の状況を撮ったビデオを公開した。そのビデオには、Uberから見た街路と、自動運転車の運転席にいる人間介助者の様子が写っている。

警告: このビデオには視聴者を不快にさせる要素があります。

そのビデオは、被害者が暗い通りを横切ろうとしたとき、Uberの自動運転によるVolvo XC90が時速60キロメートルで彼女にぶつかる様子を写している。そしてそのとき、自動運転車のお世話をすべき人物は、衝突の直前に下を向いている。その介助者が何に気を取られたのかは、よく分からない。また、明らかに自動運転車のセンサーの感知圏内を歩行速度で横切って行く被害者を、Uberのシステムが検出せず反応しなかった理由も、よく分からない。

Uberが本誌TechCrunchにくれた、事故関連の声明はこれだ:

私たちの心は被害者の家族と共にある。私たちは地元の当局によるこの事故の調査に全面的に協力している。

3月19日の事故以来Uberは、ピッツバーグとテンピー、サンフランシスコ、およびトロントの公道からすべての車両を引き上げた。自動運転モードで動いている自動運転車で死亡人身事故が起きたのは、今回が初めてである。国の道路交通安全局によると、同局は事故調査専門チームをテンピーに派遣した。局のスポークスパーソンは本誌TechCrunchにこう述べた: “この調査チーム派遣行為は、自動化技術を含むすべての自動車両と装備の安全性に対するわれわれの細心の監督と権能に基づくものである”。

“道路交通安全局はまた、この事故に関してUber, Volvo, および国と州レベルの監督当局と接触している。われわれは情報を調査し、必要な措置を講ずる”。

事故のあとToyotaは、アメリカにおける自動運転のテストを中断した

この悲しい事故は、自動運転車が解決すべき状況を表している。そのシステムには暗視能力が必須であり、また、Twitterなどによって注意力を逸(そ)らされてはならない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

日産、リーフ無人EVタクシーの路上テストを来年3月スタート

Nissanは自動運転車のテストを行う意向を明らかにした。同社が開始する電動自動車Nissan Leafの自動運転パイロットテストでは、UberやLyftと同じように利用者がスマートフォンアプリで呼び出すことができる。テストは3月から日本の公道で開始される。

これはNissanが単独で行っていることではない —— 日本のソフトウェアメーカー、DeNAが無人乗車サービスの開発を担当している。Nissanは2020年代始めまでに、Leafの商用運行を始めたい意向だとWall Street Journalは書いている。

これは、ライバルメーカーと比べて大まかな期限で、しかもかなり先だ。先週GMと傘下のCruiseは2019年までにサービスを開始する計画を現在の進捗状況に基づいて発表した。Fordは自社サービスの開業時期を早くから公表している一社で、2021年の商用サービス開始を掲げている。

Nissanはまず、無人運転用センサーと路上コンピューティングのための改造を施したLeaf 2台を使い、担当者が客の乗車位置と後者位置を監視する。一般公開のテストプログラムも予定している。

Nissanのテストで特に興味深いのは、利用者が行き先を具体的に指定するだけでなく、「パンケーキが食べたい」など一般的な問い合わせをすることが可能なことだ。すると車が自動的に適切な場所を選ぶとWSJは書いている。目的地の選択にある程度の自動化要素を加えることで、Nissanはライバルとの差別化をはかろうとしている

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

量販ディスカウント店BoxedがFC内の商品の流れを完全自動化、しかも誰もクビにならず

Boxedは、Costcoみたいな大量ショッピングのネット版だが、同社が力を入れているのは、大幅なディスカウントだけではない。

Boxedは今年の早い時期に、ニュージャージー州ユニオンのフルフィルメントセンターに自動化を導入し、顧客に送るべき品物が自動的にパッカーのところまで来るシステムをインストールした。しかも同社によれば、人を一人もクビにせずにそれを成し遂げた。

本誌はそのユニオンの施設を取材したが、同社の受注の40〜50%はここから発送されている。そして配送工程に起きた変化について、CTOのWill Fongと配送担当VP Rick Zumpanoに話を聞いた。倉庫内の自動操縦車両(いわば自動運転カート)も見たが、それは商品を他のフルフィルメントセンターに送るためにも使われている。

“これによって実際に起きていることといえば、消費者がスマートフォン上のボタンをいくつか押せば、翌々日には大箱入りのトイレットペーパーやペーパータオルなどの日用品がドアのところにある、ってこと”、とFongは語る。“でもその裏では、膨大な量のテクノロジーが、このようなトランザクションとフルフィルメントを動かしているのさ”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

縫製を完全に自動化したロボットのSoftWear Automationが$4.5Mを調達、海外低賃金労働への依存から脱却へ

漫画の主人公のロボット玩具が流行った時代があった。あなたが子どものころは、Transformers(トランスフォーマー)だったかな、それともMicrobots(マイクロボット)か。とても運が良かった人は、ミニ・トランスフォーマーのSewbots〔sew==‘縫う’〕を体験しただろう。

運が良かった人はSewbots Command Centerに入れただろうし、今現在本当に運が良い人は、枕でもパンツでもマットレスでもタオルでも何でも縫えるSoftWear Automation Sewbotを手に入れられる。5年前に同社はDARPAの補助金をもらって、最初の本物の縫うロボット(sewing robots, ソウイングロボット)の製造に成功し、さらに450万ドルを調達してその改良に取り組んだ。

ジョージア工科大学の教授たちが創ったその企業は、“衣料製品の製造をオフショア化したことがアメリカの経済にもたらした効果への答”だ、とCEOのPalaniswamy “Raj” Rajanが言っている。同社はWalmart Foundationから200万ドル、CTW Venture PartnersからのシリーズAで300万ドルを獲得した。後者は分割シリーズAのうちのA1だ。

同社のSewbotsは2015年以降、200万の家庭用品を生産した。そのロボットは布などの素材の上に置かれ、それらの表面を“マッピング”しながら縫っていく。一般的に縫製はこれまでの何十年間もロボット化が難しくて、Sewbotsの時代になってやっと、素材を掴んで強く引っ張らなくても縫える縫製ロボットがいくつか登場したきた。

“衣料品生産のオートメーションは、一部の工程だけ、というものが多い。しかもマシンへの素材の供給や管理は人間がやっている”、とRajanは語る。“特許を取った独自のコンピュータービジョン技術を使っているSoftWearの*完全自動縫製ロボットSewbotsは、人間オペレーターが要らないし、素材に対する前処理も要らない”。〔*: SoftWear, ‘SoftWare’ではない!〕

バスマットを縫えるロボットは昔のCy-KillやSpay-CやLeader-1ほどクールではないが、でも今の世代の子どもたちは、これまで長年、工業化時代の惨めな落ちこぼれ劣等生だった労働集約的な工程を、完全に変えることができるのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uberの自動運転車、アリゾナで衝突事故

Uberにとってはまたも悪いしらせだ。相乗りサービスの巨人は自動運転中のVolvo SUVがアリゾナ州で衝突事故に巻き込まれた。車は横転し付近の人間が運転する少なくとも2台の車が損傷を受けた。

事故直後の様子は、写真動画でTwitterに流れた。マスコミにコンテンツを販売する@FrescoNewsというサービスのユーザーが投稿した。ツイートによると事故はアリゾナ州テンピで発生し、これまでのところ怪我人は報告されていない。

Uberも事故および写真に間違いがないことを確認したとBloombergに伝えた。本誌はUberに問い合わせており情報が入り次第続報する。アップデート:Uberから以下の声明が届いた。「当社は本事象について調査を続けており、車両の後部座席に乗客は乗っていなかったことを確認した。」

現在わかっているのは、アリゾナでUberの自動運転車が事故で横転し、今も捜査が続いているということだけだ。Uberは事故当時車両が自動運転モードだったことを認めている。重大な負傷は報告されていない。

地元紙の報道は、別の車がUberのSUVに進路を譲らなかったために衝突を起こし、その結果自動運転車が横転したことを示唆している。Uberのドライバーは運転を代わって事故を防ぐことができなかったものと思われる。

Uberの第3世代自動運転車集団は、昨年12月にサンフランシスコからアリゾナに場所を移してテストを再開した。Uberがカリフォルニア州での自動運転テストの認可に必要な同州の規制に従うことを拒否したためだ。試験車には人間ドライバーが同乗しているので許可は必要ないと同社は主張した。

当時アリゾナ州のグ・デュシー知事は、「このようなテクノロジーとイノベーション」を歓迎するとツイートした。デュシー氏は今日のUberの事故について公式見解を述べていない。

Uberの車両が横転したことから見て、衝突は高速走行時に起きたと考えられ、かなり重大な事故の可能性を示唆している。これに対してGoogleが長年テストを続けている自動運転車のWaymoで報告されているのは殆どが軽微な事故であり、例えば低速走行時の追突などだ(後続の人間が運転する車による)。

Uberの自動運転車が関与した事故は昨年12月にカリフォルニア州でも起きており、同社の車両が赤信号を無視した。Uberはこれを人的ミスであり自動運転技術の欠陥ではないと主張した(ただしNew York Timesによると、Uberの2つ情報源が反対の証言をしている)。

最近リークした内部文書も、Uberの自動運転技術が着実な改善をしていないことを示唆している。

去る2月、Uberの自動運転プロジェクトの責任者は、Uberがフェニックスおよびピッツバーグでそれぞれ12台の自動運転車を走らせていることを認めた(この人物に対しては、GoogleのWaymoの技術を盗み、昨年 8月Uberに買収された自動運転トラックのスタートアップ、Ottoの設立に利用したいう疑惑がもたれている)。

今月始めにNew York Timesは、Uberが認可されていない地域で運行していることを調べる当局の捜査を回避するために、独自のソフトウェアを利用していることを報じた。その後Uberは、同社が「多目的」に利用していると主張するそのツールの利用方法を見直すと発言した。

Uberは、性差別体質が企業カルチャーを蝕んでいるとの疑いもかけられている。最近では社長のJeff Jonesが辞任 したことや採用担当チームに多様性データを渡していなかったと報道されたことも、ファウンダー・CEOのTravis Kalanickに大きなプレッシャーを与えている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ノーベル賞を獲得した困難な実験をAIが各種パラメータを自力で最適化しつつ自分でやれるようになった

ah1p3581

【抄訳】
オーストラリアの物理学者たちが、たぶん連日の徹夜仕事から解放されたいためだと思うが、物理の実験をほとんど監視不要で自動的に行い、ときには人力よりも上手に行うAIを作った。このようなシステムによって今後、人間研究者は面倒な手作業等から解放され、より高度な問題や研究の設計に集中できるようになるかもしれない。

このAIが行った実験は、超低温のガスBose-Einstein condensate(ボース=アインシュタイン凝縮)を作ることで、そのプロセスで2001年に三人の物理学者がノーベル賞を授与された。この実験は、一定方向のレーザー照射により原子の集団を静止に近い状態にし、さまざまな興味深い効果を作り出す。

オーストラリア国立大学(Australian National University, ANU)のチームは、少量のガスを1マイクロケルビンにまで冷却した。これは、絶対零度よりも100万分の1度高い温度である。そしてそれを、AIのコントロール下に置く。AIはレーザーの当て方を自分で考え、そのほかのパラメータも、原子をもっとも低温に冷却できるためにコントロールし、その温度を数百ナノケルビンまで下げる(1ナノケルビンは10億分の1度)。それを数十回繰り返すことによって、もっとも効率的なやり方を見つけ出す。

“レーザーのパワーの上げ下げやそのほかの操作など、人間が従来、試行錯誤でやっていたことを、このロボットがやってくれる”、とANUの共同指導研究員Paul Wigleyがニューズリリースで言っている。“マシンは実験のやり方を1時間足らずで覚えたが、それはわれわれの想定外だった。今後は、人間が考えもしなかったような複雑なやり方を編み出して、さらに低温下での実験を行い、測定の精度を上げてくれるだろう”。

Co-lead researchers Paul Wigley (left) and Michael Hush.

共同指導研究員Paul Wigley(左)とMichael Hush

ボース=アインシュタイン凝縮には、奇妙ですばらしい特性があり、エネルギーの変動に対する極端な感受性が、そのほかの実験や測定の役に立っている。しかしその極端な感受性のため、作成と維持もきわめて困難である。AIは多くのパラメータを一度にモニタし、プロセスを素早く調節する。そのやり方は人間に理解できないかもしれないが、いずれにしても効果的なのだ。

その結果、凝縮をより早く、より多様な条件下で、より大量に作り出せる。しかもAIは、食べないし寝ないし休暇も取らない。言い換えると、人間物理学者よりコスパが大幅に高い。彼らの研究論文は、今日(米国時間5/16)発行のScientific Reportsに載っている。

【後略】

参考記事。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

バイオテックの実験を自動化する安上がりなロボットを作ったOpenTrons、生命科学のためのPCを自称する

5ce9f927-3dcc-41e1-a7e2-6d7c400aef32

ロボットを作っているOpenTronsが、ウェットラボの実験を迅速かつ安上がりに行えて、自動化もできる、と称する装置を考案した。

ライフサイエンス(生命科学)の研究は、今でもその多くが手作業で行われている。OpenTronsはその、往々にしてかったるい過程を、ロボットとソフトウェアの組み合わせで減らそうとしている。

“要するに生物学者という人種は毎日々々、小さなガラス瓶から別のガラス瓶へ少量の液体を移すことが仕事さ。それを、手に持った小さなピペットでやる人もいれば、10万ドルもするロボットを使う人もいる。うちのは、3000ドルのロボットだ”、とOpenTronsの協同ファウンダーWill Canineが説明する。

Canineによれば、これまでの高価なマシンは、コンピュータに譬えれば‘メインフレームマシン’だ。でもその後コンピュータの世界には安価なPCが登場した。彼は、自分たちのマシンが生物学自動化実験装置のPCである、と信じている。

昔の高価なマシンは、専門の技術者がつきっきりで動かす必要があったが、Canine曰くOpenTronsは“ツールを民主化”し、プロトコルの共有化を可能にする。彼らの3000ドルのマシンはWebブラウザーからコントロールでき、ユーザーである研究者はプロトコルをクラウドからダウンロードして実験を行える。もはや、専門の技術者が最初にコードを作らなくてもよい。

fb0e2f53-751f-4fb9-9f06-0d66f0f80945

Canineが挙げるユースケースの中には、作物を生命工学でなんとかしたい、と考えている農家や、自分ちのガレージで新しいスーパー素材を開発している科学者などがいる。“これからは、こういう人たちのためのツールを作っていきたいんだ”、と彼は語る。

彼らと同じくY Combinator出身のTranscripticは、パロアルトでバイオテックのラボをクラウドサービスとして提供している。そこは主に、ロボットを使って実験的な薬の試験をしている。Canineによれば、同社はコンペティターというよりもむしろパートナーだ。“うちはPC、彼らはクラウドだ”、と彼は言う。

“Transcripticみたいなアウトソースするラボも含めて、ラボサービスやツールにとって難関は標本の入手だ。だからラボのソフトウェアをAmazon Web Servicesにデプロイするときみたいに、OpenTronsを使えば、標本をTranscripticのクラウドラボに送ることができる”。

OpenTronsは中国で行われたHaxclr8trでローンチし、2014年にはKickstarterで成功した。そのときの製品は、大腸菌にDNAを挿入するマシンだった。今ではOpenTronsのロボットは50種以上あり、個人のラボや大学などで活躍している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa