Adidasのスニーカーのサプライチェーンが3Dプリントで劇的に変わりオンデマンド化へ

AdidasのFuturecraft 4Dはクールなルックスのスニーカーだが、この靴の背後にあるストーリーはさらに一層おもしろい。このスポーツウェアメーカーは、工業用3Dプリント技術のCarbonとパートナーして、新種のスニーカーを設計している。

Futurecraft 4Dの背後には、今やそれほど新しくはない技術、3Dプリントがある。アメリカやヨーロッパなど、サービス産業が支配する国々に工場が戻ってくる、そんな産業革命を唱える企業は多いが、AdidasとCarbonのパートナーシップは、その突飛な夢を現実にする。

Carbonの協同ファウンダーでCEOのJoseph DeSimoneは、こう説明する: “ここにあるものは要するに、ハードウェアとソフトウェアと化学の統合であり、それらが一体となってデジタルモデルを作り、それを部品など最終製品の特性〔硬度など〕を持つ素材できわめて高速にプリントする”。


Carbonのプロセスを、クラウドベースのソフトウェアツールが支える。初歩的なCADを使用し、機械的な特性を定義すれば、目の前でそれが製造される。

Futurecraft 4Dは今、生産量が少ないのでなかなか買えない。でもAdidasのCMO Eric Liedtkeは、品不足は数年後には解消する、と言う。

“今の私たちは、イノベーションの坂道の途中にいる。今後はさらに速くなり、いろんな素材を使えるようになるだろう。理想は、オンデマンドで製造しプリントすることだ。今はまだアジアで作っている製品が多くて、それらを船や飛行機に乗せて五番街まで運んでるんだ”。

倉庫に在庫のないAdidasを想像できる。“ニュージャージーに小さな流通センターを置くのではなくて、ニュージャージーに小さな工場があればよいのだ”、とLiedtkeは語る。この製造工程では、部分的にコーンなどから作るバイオプラスチックを使えるだろう。

そして、靴をオンデマンドで買えるようになると、デザインだけでなく、スポーツの種類や体質体調に合わせることも可能になる。

“脚への衝撃とか、ランナーの脚や体の動き、どこにインパクトゾーンがあるか、など靴の設計の科学化にこれまでの10年か20年を要している。今後はそれらの科学と技術をデータ化する必要がある。その基盤ができてやっと、クリエイティブに支配権を譲れる”、とLiedtkeは語る。

Carbonは、Adidasとの協働以外にも、歯科市場やレジンの研究開発など多くの分野で活躍している。“世界で初めての、FDA承認の、3Dプリントで作られた義歯もある”、とDeSimoneは述べている。

靴のような単純な製品が、研究、開発、工学、デザインという多様なプロセスの集積であることは、とてもおもしろい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Ammazon、Prime Wardrobeをアメリカで正式スタート――自宅でゆっくり試着できる

Amazonが「試着してから買えます」というアパレル通販サービスを発表したのは昨年夏だったPrime Wardrobeは招待オンリーのベータテストを終え、今日(米国時間6/20)、アメリカのすべてのプライム会員向けに正式スタートを切った。 このサービスはこれまでも段階的に対象を拡げていたので多くのプライム会員はすでにメンバーになっていたかもしれない。

Prime WardrobeはStitch Fix、Trunkなどの個人別にカスタマイズされたアパレル通販が人気を得ているトレンドに対するAmazonの回答だ。こうしたサービスではユーザーごとにシステムが個人別に選んだワードローブを詰めた箱が定期的に送られてくる。顧客は推薦されたアパレルを自宅で試着してみて気に入れば手元に残し、それ以外は送り返せばよい。

ただしPrime WardrobeはStitch Fixのようなキュレーション・サービスではなく、もっとDIY的だ。つまりスタイリストではなく、ユーザー自身が箱に詰めるアイテムを選ぶ。1回に注文できるのは最低3点、最高8点となっている。試着期間は1週間で、その期間内なら必要ないアイテムは無料で送り返せる。

ライバル同様、Prime Wardrobeも女性だけではなく、男性、子供、ベビーもの対象だ。

このサービスはアパレル通販が抱えてきた最大の問題の解決を狙っている。つまり試着だ。

衣類というのはたとえ同じ号数でもデザイナーごとにサイズや形状が異なる。アイテムのサイズや着心地、自分に似合うかどうかなどは試着してみる以外知る方法がないことが多い。試着してみると短すぎたり、長すぎたり、どこかがつれたりする。生地の風合い、ドレープの形状、縫製の出来、等々気になる点は無数にある。

その点、自宅の姿見の前でじっくり試着できていらないアイテムは簡単に送り返せるというのは、こうした障害を取り除くのに絶好だ。

ただAmazonのアパレルのオンラインの品揃えのすべてがPrime Wardrobeの対象ではないのでご注意。ユーザーはPrime Wardrobeのセクションにあるアイテムのみ注文できる。

取り扱うブランドはAmazonのオリジナル以外、Lilly Pulitzer、Tommy Hilfiger、Adidas、Guess、Levi’s、Calvin Klein、Nine West、Fossil、Lacoste、Hugo Boss、Stride Rite、Disney、Puma、Crazy 8、Gymborree、New Balance、Stuart Weitzman、Rebecca Taylor、J Brand、A|X Armani Exchangeなどのビッグネームが揃っている。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ニットマシンで3Dのウサギが編めるシステム登場――カーネギーメロン大で開発

産業用編機がついに3D化する。Carnegie Mellon大学の研究チームは任意の3D形状をオンデマンドで編み出すことができるテクノロジーを開発した。3Dプリンターに似ているが、プロダクトはソフトだ。

セーター、シャツ、帽子などアパレルでニット製品は大人気だが、消費者からは往々にして不満が出る。長過ぎる、短すぎる、ぶかぶかだ、きつい等々。

消費者のどんな難しい要求にも答えられるような、3D形状を編めるシステムをCMU Textiles LabのJames McCannのチームが開発した。このソフトウェアは通常の3Dモデリングツールで作った形状をニッティングパターンに変換し、コンピューター制御の産業用ニッティングマシンでプロダクトを編み出すことができる。

ニッティングマシンは人間の編物職人のような柔軟性は持ち合わせていないので、ニッティングパターンが不適切だと糸がよじれたり、切れたり、機械を詰まらせたりする。しかし機械を使えば大量生産が可能で常に同一の仕上がりとなる。

CMUのニュースリリースで McCannは「ニッティングマシンを3Dプリンターなみに容易に扱えるようになる」と述べている。

こういう産業用ニッティングマシンを消費者が操作することはないだろうが、アパレルやぬいぐるみのメーカー、デザイナーには朗報だと思う。

McCannのチームは研究成果をこの夏のSIGGRAPHでプレゼンする予定だ。

画像:CMU

〔日本版〕CMUのプレスリリースのビデオにはトップ画像のスタンフォードバニーの他にドーナツ・アヒル、翼のあるヒツジなど多数の複雑な形状の3Dニットのサンプルが見られる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

どんなに汗をかいてもさらっと乾いているウェアを微小流体工学の技術で開発するAtacama、すでに多方面から引き合い

激しいスポーツでどんなに汗をかいてもそのスポーツウェアは乾いているし、それだけでなく発汗がデザインの要素になる。世界でもっとも乾燥した砂漠の名前を借用したAtacamaは、微小流体工学の技術を利用して、まさにそんなテキスタイルを作った。National Science Foundationの補助金をもらっているAtacamaは、アパレルや自動車産業、ヘルスケアなど、さまざまな分野における、その技術の応用製品も探求している。スポーツウェアは、そのひとつの例だ。

医療の世界で微小流体工学が使われ始めたのは、1980年代の“lab-on-a-chip”デバイス(チップの上の実験室)からだ。それによって、血液などの液体の、非常に小さなサンプルを用いる研究が可能になった。微小流体工学のテキスタイルへの応用を考案したAtacamaは、それにより織物や編み物のほとんどすべてが乾燥状態を保つので、きわめて快適に感じる運動着などを作れる。今市場化されている水分を逃がすファブリックの多くは、汗を衣類の表面に引き出して早く蒸発させるが、微小流体工学は水分を小さな三次元のチャネル(channels, 水路)へ導き、液体の方向性をコントロールすることによって、それらを特定箇所に集めたり、テキスタイルから落としたりする。どこでその現象を起こさせるかは、製造者が決められる。

Atacamaの技術はカリフォルニア大学デイヴィス校の研究グループが作り、メンバーの一人だったSiyuan (Alex) Xingが現在のAtacamaのチーフサイエンティストだ。彼によると、直面した最大の難題は、微小流体デバイスを作るために使われている微小製造工程の多くが、フォトリソグラフィーでもレーザー切断でも、シリコンウェファーやガラスなどの剛体用に開発されたものであることだった。したがってそれらでは、ファブリックの上にチャネルを作るのが難しい。結局彼らが悟ったのは、“ソリューションはファブリック側から得られるものでなければならない”、ということだった。

チームはテキスタイルの製造方法を学習し、どの方法なら低コストで微小流体工学的なチャネルを作れるかを検討した。刺繍、織物、プリント、ニットなどあらゆる方法を調べ、またそれらのテクニックのために使われている最新の製造機械も調べた。

“たとえばニットなら、ジャカードというという一種の型紙を使ってさまざまなパターンをファブリックの表や裏に作り出している。パターンの解像度は一ループにまで小さくできる。それはほぼ100ミクロンぐらいで、しかも3Dだ”、とXingは語る。“刺繍では、針が一本の糸をファブリックの基質を通しながら操作するがそれは、微小流体工学チップの上の‘スルーホール’と似ている。テキスタイルの製造方法をどうやれば微小製造工程の代替になりえるか理解したので、テキスタイル中に微小構造体とそのパターンを作る出せる、と確信した”。

これらの発見についてXingらが書いたペーパーが、防衛産業やヘルスケア、自動車などの分野のメーカーに注目され、その後、友人が彼を、Men’s WearhouseやGymboreeでチームリーダーだったSusan Nealに紹介した。Xingは、企業顧客開拓のためにAtacamaの取締役になるよう、彼女に求めた。NealはAtacamaの技術のデモを見たあと、CEOを引き受ける決心をした。

“取締役会議で、彼らが開発したプロトタイプのシャツを見た。その実際の機能を見たとき、これはすごい!と感じた”、とNealは語る。

“それは、水分がファブリックの表面を移動するとき、その方向をコントロールできた。まず何よりも、私はそれまで、そんなものを一度も見たことがなかった。私はビクラムヨガをやり、その教室も開いているから、みんな、水分を逃すファブリックについてはよく知っている。汗を吸い取って拡散する素材だ。しかしAlexがデモしたのは、水分が皮膚からシャツの外へ移動するときの方向をコントロールし、その水分をシャツから外す(落とす)技術だ。シャツ本体は完全に乾燥していて、それはこれまでまったく見たことのないものだった”。

Atacamaの技術はこれまで、ポリエステルやナイロンのような化学繊維に適用されていたが、今は木綿やメリノウールのような天然繊維でもテストしている。その技術を使った消費者製品はまだ市場にないが、Nealによると、今数社とパートナーしてプロトタイプを開発している。液体がファブリックの表面のチャネルを流れるよう操作するAtacamaの技術は、アパレルのデザインに含めることができ、上で見たように、スポーツウェアのブランドの強力なセールスポイントになる。

いちばん分かりやすい用途はトレーニングウェアや、ドレスシャツなどのアパレルだが(袖の脇の下部分に汗がしみない)、応用分野はもっと数えきれないほどある。たとえば、保護着、高性能おむつ、包帯や帯布、ギプス、病院用各種リンネル(布帛類)などに使える。

“今、車のシートへの応用研究を求められている。とくに自動運転車に使われいる電子回路から水分や、こぼしたドリンクの被害を防ぐことに、関心が集まっているようだ”、とNealは語る。

“すごく新しい技術なので、科学者たちとの対話の内容もすごい。彼らはあちこちで、これはできるか、あれはできるか、と聞かれ、ラボに帰ると、さらにそれら以外の有益なアイデアを考えだそうとしている”、と彼女は述べる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

縫製を完全に自動化したロボットのSoftWear Automationが$4.5Mを調達、海外低賃金労働への依存から脱却へ

漫画の主人公のロボット玩具が流行った時代があった。あなたが子どものころは、Transformers(トランスフォーマー)だったかな、それともMicrobots(マイクロボット)か。とても運が良かった人は、ミニ・トランスフォーマーのSewbots〔sew==‘縫う’〕を体験しただろう。

運が良かった人はSewbots Command Centerに入れただろうし、今現在本当に運が良い人は、枕でもパンツでもマットレスでもタオルでも何でも縫えるSoftWear Automation Sewbotを手に入れられる。5年前に同社はDARPAの補助金をもらって、最初の本物の縫うロボット(sewing robots, ソウイングロボット)の製造に成功し、さらに450万ドルを調達してその改良に取り組んだ。

ジョージア工科大学の教授たちが創ったその企業は、“衣料製品の製造をオフショア化したことがアメリカの経済にもたらした効果への答”だ、とCEOのPalaniswamy “Raj” Rajanが言っている。同社はWalmart Foundationから200万ドル、CTW Venture PartnersからのシリーズAで300万ドルを獲得した。後者は分割シリーズAのうちのA1だ。

同社のSewbotsは2015年以降、200万の家庭用品を生産した。そのロボットは布などの素材の上に置かれ、それらの表面を“マッピング”しながら縫っていく。一般的に縫製はこれまでの何十年間もロボット化が難しくて、Sewbotsの時代になってやっと、素材を掴んで強く引っ張らなくても縫える縫製ロボットがいくつか登場したきた。

“衣料品生産のオートメーションは、一部の工程だけ、というものが多い。しかもマシンへの素材の供給や管理は人間がやっている”、とRajanは語る。“特許を取った独自のコンピュータービジョン技術を使っているSoftWearの*完全自動縫製ロボットSewbotsは、人間オペレーターが要らないし、素材に対する前処理も要らない”。〔*: SoftWear, ‘SoftWare’ではない!〕

バスマットを縫えるロボットは昔のCy-KillやSpay-CやLeader-1ほどクールではないが、でも今の世代の子どもたちは、これまで長年、工業化時代の惨めな落ちこぼれ劣等生だった労働集約的な工程を、完全に変えることができるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))