3Dプリントでサービスを立ち上げたCarbonがランボルギーニから部品を受注

3DプリンティングサービスのCarbonは米国時間12月16日、Lamborghini(ランボルギーニ)とのパートナーシップの拡大を発表した。3Dプリントによる物作りサービスで業績好調の同社は、この自動車メーカーのハイブリッドスポーツカーSián FKPの中央とサイドのダッシュボードの空気孔を作ることになった。

2月に発表された両社のパートナーシップでは、CarbonがランボルギーニのUrus SUVの燃料キャップとエアダクトの留具をプリントする契約だった。ささやかな受注だが、でも重要だ。ランボルギーニはフォード(Ford)に次いでCarbonとパートナーすることになった。

自動車メーカーが特注の3Dプリントでパーツを作る傾向にあることは明らかで、しかもCarbonはAdidas(アディダス)などとの過去のパートナーシップの実績で、スケーラビリティをある程度証明している。でもこのような契約が、最初は小さな部品から始まり、その結果次第で射出成形による大量生産に移行することは避けられない。

Carbonによると、そんな初期段階を3Dプリントにすることによって、従来的な製造方法に比べて製造に要する期間を12週削減できる。素材のEPX 82は一連のストレステストを経ているので、出来上がる製品の強度も信頼できる。

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ランボルギーニのCTOであるMaurizio Reggiani氏はプレスリリースで「Carbonのデジタル製造プラットホーム(Digital Manufacturing Platform)を利用すると部品の最初のコンセプトから、それが実際に見本車に使われるまでに3週間しかかからない。しかもその間に、十分な満足が得られるまで何度でも試作を繰り返すことができる。それからわずか3か月後には、生産を開始できる」と語っている。

Carbonの新CEOであるEllen Kullman氏はTechCrunchのインタビューで、既存のパートナーシップをより充実させてから新しいパートナーシップを開拓したい、と語った。彼女曰く、「うちの過去の実績を活かせる機会は山ほどある」そうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ターミネーター方式で造形するCarbonは驚異の液体ポリマー3Dプリンター

Carbonの3Dプリンターは液状ポリマーから光凝固反応によってラティスオブジェクトを高速で生成する。TechCrunchは施設を訪れ、実機の動作を見学した。また開発チームからテクノロジーについて説明を受けた。ラティス構造にはさまざまなメリットがあるが、デモではランニング用シューズやフットボールのヘルメットの衝撃吸収材の成形を見ることができた。

共同ファウンダーでCEOのJoseph M. Desimone(ジョゼフ・M・デシモン)氏によれば、Carbonの画期的なところは複雑なラティス形状のポリマー製品の大量生産に道を開いたことにあるという。格子状に成形されたポリマーは軽量で強度が高くメリットが大きいが、形状が複雑なためこれまでは大量生産が不可能だった。

Carbonではデジタルデザインによる情報をプリンターに送り、複雑な3D形状のプロダクトを高速で生成できる。これはDesimone氏らによって開発されたCLIP(連続液面インターフェイス成形 Continuous Liquid Interface Production)と呼ばれるプロセスで、現在Carbonが独占的に利用している。

簡単にいえばビデオのイラストで示してあるように、底が透明な板になっている製造容器に光凝固性の液状ポリマー(青い部分)を満たし、下から紫外線でデジタル描画して底面を固化し、プラットフォームを上昇させて連続的に成形を続ける。通常では効率的に製造することが不可能な複雑な形状の物体も生産が可能になる。ビデオではターミネーター2の映画さながら、エッフェル塔を容器から引き上げていくところが見られる。

デシモン氏とマーケティング責任者のDara Treseder(ダラ・トレセダー)氏の説明によれば、従来の光凝固樹脂による成形では薄い層を成形し、いったん液から引き上げて固化し、再度液に浸して次の層と接着するため成形速度が極めて遅く、特殊なプロトタイプを除けば量産に向かなかった。Carbonは独自の連続成形プロセスによって量産を可能にしたという。

デモではランニングシューズのソール、フットボール用ヘルメットのクッションなどによって優れた衝撃吸収能力をデモしている。デシモン氏によれば通常の緩衝材は反発力を利用しているが、トーラス構造はつぶれるときにエネルギーを吸収するため衝撃が少ないという。応用範囲は自動車部分から歯科その他の医療用品まで多岐にわたる。

CLIPプリンターは小型がソフトウェアアップデート料金を含めて年額7000ドル、大型でも1万4000ドル程度で利用可能だという。これは製造業の将来に大きな影響を与える可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Adidasのスニーカーのサプライチェーンが3Dプリントで劇的に変わりオンデマンド化へ

AdidasのFuturecraft 4Dはクールなルックスのスニーカーだが、この靴の背後にあるストーリーはさらに一層おもしろい。このスポーツウェアメーカーは、工業用3Dプリント技術のCarbonとパートナーして、新種のスニーカーを設計している。

Futurecraft 4Dの背後には、今やそれほど新しくはない技術、3Dプリントがある。アメリカやヨーロッパなど、サービス産業が支配する国々に工場が戻ってくる、そんな産業革命を唱える企業は多いが、AdidasとCarbonのパートナーシップは、その突飛な夢を現実にする。

Carbonの協同ファウンダーでCEOのJoseph DeSimoneは、こう説明する: “ここにあるものは要するに、ハードウェアとソフトウェアと化学の統合であり、それらが一体となってデジタルモデルを作り、それを部品など最終製品の特性〔硬度など〕を持つ素材できわめて高速にプリントする”。


Carbonのプロセスを、クラウドベースのソフトウェアツールが支える。初歩的なCADを使用し、機械的な特性を定義すれば、目の前でそれが製造される。

Futurecraft 4Dは今、生産量が少ないのでなかなか買えない。でもAdidasのCMO Eric Liedtkeは、品不足は数年後には解消する、と言う。

“今の私たちは、イノベーションの坂道の途中にいる。今後はさらに速くなり、いろんな素材を使えるようになるだろう。理想は、オンデマンドで製造しプリントすることだ。今はまだアジアで作っている製品が多くて、それらを船や飛行機に乗せて五番街まで運んでるんだ”。

倉庫に在庫のないAdidasを想像できる。“ニュージャージーに小さな流通センターを置くのではなくて、ニュージャージーに小さな工場があればよいのだ”、とLiedtkeは語る。この製造工程では、部分的にコーンなどから作るバイオプラスチックを使えるだろう。

そして、靴をオンデマンドで買えるようになると、デザインだけでなく、スポーツの種類や体質体調に合わせることも可能になる。

“脚への衝撃とか、ランナーの脚や体の動き、どこにインパクトゾーンがあるか、など靴の設計の科学化にこれまでの10年か20年を要している。今後はそれらの科学と技術をデータ化する必要がある。その基盤ができてやっと、クリエイティブに支配権を譲れる”、とLiedtkeは語る。

Carbonは、Adidasとの協働以外にも、歯科市場やレジンの研究開発など多くの分野で活躍している。“世界で初めての、FDA承認の、3Dプリントで作られた義歯もある”、とDeSimoneは述べている。

靴のような単純な製品が、研究、開発、工学、デザインという多様なプロセスの集積であることは、とてもおもしろい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Teslaphoresisで自己を組み立てるカーボンナノチューブは、こんな言葉では言い表せないぐらいクールだ

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重要な科学研究のすべてがクールに見えたり、名前がクールだったりするわけではないが、でもときには、その両方の場合がある。この、自分で自分を組み立てるカーボンナノチューブ(self-assembling carbon nanotubes)は、Teslaphoresis〔仮訳: テスラ泳動〕と呼ばれる工程で作られる。あなたが今日見たあらゆる文の中に、これよりもクールな響きを持つ文*が一つでもあったら、教えてほしい。〔*: 全文: These self-assembling carbon nanotubes are created with a process called Teslaphoresis.〕

ライス大学(Rice University)の化学者Paul Cherukuriの研究室も、まるでマッドサイエンティストの隠れ家みたいだ。でも、そんなけばいびらびらに騙されてはいけない。これはきわめて重要な研究開発なのだ。

ナノチューブは一連のカーボン製卓越機能素材(supermaterials)の一種で、グラフェンと同じく、興味深い特性がたくさんあり、理論上の応用技術/製品も多い。しかし、これまたグラフェンと同じく、安価で信頼性の高い製法が難しい。このテスラ〜〜法は、超薄型で超強力で超伝導性のあるカーボンナノワイヤを作るための、画期的な方法かもしれない。

Cherukuriは、子どものころから今日まで、テスラコイルのファンだ。それは、強力な交流電界を作り出す。

同大学が発表したビデオの中で、彼はこう言っている: “われわれが発見したのは、この電界下ではナノチューブが自分自身でひも状につながってワイヤーを作ることだ。Teslaphoresis〔という言葉〕は、それが離れた空間における自己組み立てであることを理解するための、いちばん簡単な方法だ”。

コイルの交流電流が、ナノチューブの小片に極性を与えるようである。すると彼らは直ちに隣同士で列を成(な)し、長い鎖(さ)を作る。下図のように:

teslaphoresis 1teslaphoresis 2

上の二つめのgifでは、ワイヤーが実際に二つのLEDを接続し、それらに電気を送っている。これまでで最長の鎖は15センチだ。ワイヤーがやや毛羽立って見えるのは、たくさんのナノチューブが、われもわれもと列に並ぼうとするからだ。面にパターンがあって、余分なのをそぎ落としたり、行き先をガイドできたりすれば、この現象は防げる。あるいは、コイルを複数使ってもよい。

この研究のペーパー執筆を監督しているLindsey Bornhoeft(テキサスA&M大学の院生)によると、“これらのナノチューブワイヤーは神経のように成長し行動する”、という。“ナノ素材のコントロールされた組み立てがこのようにボトムアップで行われるのなら、再生医療のためのテンプレートなどの応用がありえるだろう”。

恒久性のある電子回路インプラントとか、可撓性のある電子回路なども、この技術の応用として可能になるのではないだろうか。もうすぐ、それらが世の中の当たり前になる。研究者たちは彼らの仕事を、アメリカ化学学界の機関誌Nanoに発表している

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WebサイトビルダーWeeblyがWebビジネスビルダーへ飛躍、そのためのアプリケーションセンターを立ち上げ

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WebサイトビルダーWeeblyを作っているWeeblyが今日(米国時間10/1)、同社の第三世代のプロダクトをローンチした。Carbonという名前で、CEOのDavid Rusenkoによると、それは同社が新しい方向へ踏み出す最初の“大きな一歩”だそうだ。

WeeblyはWebサイトやオンラインストアを作るための使いやすいツールとして人気があり、これまでに3000万人の人がWeeblyを使ってサイトを作り、今やそれらのサイトの合計月間ビジター数が2億5000万に達する。同社はすでに黒字企業で、昨年シリーズCで調達した3500万ドルは一銭も使っていない。

同社の顧客の2/3は自称起業家だ(ぼくなんかはそっちに入らないが)。そしてRusenkoによれば、Webサイトやストアを作ることは今でも彼らにとって“最初で最大の技術的問題”だが、ほかにも多くの課題がある。たとえば、“マーケティングとカスタマサポートとソーシャルとフルフィルメント…これらはどれも完全に別々の課題だ”。

Rusenkoによると、“Carbonはこれらの多様な課題を踏まえて、Webサイトを作るというよりもWeeblyを利用してユーザが自分のビジネスを作るためのツールだ”。

具体的には、Carbonにはアプリケーションセンター(App Center)があり、今すでに40のパートナーのアプリケーションがある。いずれも、ユーザのビジネスを支えるアプリケーションで、たとえば発送業務で助けが必要ならShippoがある。下図は、アプリケーション一覧の一部だ。

Weebly App Center

アプリケーションを、デザインを一新したダッシュボードに統合することもできる。そのダッシュボードをRusenkoは“強力な統計分析エンジン”と呼ぶ。ビジネスのためのアプリケーションをダッシュボードに統合すると、そのアプリケーション関連の分析データを見られる。それはWebサイトのビジター数だけでなく、たとえばカスタマサポートサービスSimpleChatをWeeblyの顧客のビジネスが利用すれば、そのサービスのユーザに関するデータを見られる。

アプリケーションセンターに提供されるアプリケーションは、そのクォリティをWeeblyのチームがチェックしてから承認される。またデベロッパは、新たに公開されたWeeblyのAPIを使って自分のためのアプリケーションを構築できる。Rusenkoによると、“APIを使えばやりたいことを何でもプログラミングできる”。たとえば不動産サイトは、新しい物件が入るたびに自動的にその物件のページを作ることができるだろう。

Weebly本体もあちこちがリフレッシュされた。ドラッグ&ドロップでWebサイトを作っていけるWeeblyのエディタは、デザインを一新した。またWeeblyのiOS/Androidアプリを使えば、スマートフォンやタブレットからWebサイトをエディットできる。Webサイト全体をスマートフォンから作りたい人はいないと思うが、ちょっとしたアップデートや修正などは簡単に手早くできる。サイトを美麗にするための新しいテーマが加わり、新たにテーマエディタ(Theme Editor)も提供される。

単なるWebサイトビルダーから、ユーザのオンラインビジネスの実装と展開のための場所になりたいというRusenkoの思いを見ていると、いっそのことアプリケーション構築機能もあればよいのに、と思う。

でも彼は、“アプリケーションを単独で提供することが目的ではない。Weebly/Carbonの場合は、アプリケーションはあくまでも、ユーザのビジネスのホームスクリーンにあるものだ。そのビジネスサイトと、その上の(そのビジネスのための)アプリケーションをロングテールが使っていくのが、Webの本来の姿だ。アプリケーションそのものをビジネスにする顧客は、うちの場合たぶんないだろう”、と語る。つまり、アプリケーションビジネスは彼が今回目指した方向性ではない。

Weeblyは好調なようだが、最近はWebサイトビルダーとしてSquarespaceの名が挙がることが多い。地下鉄や、ぼくの好きなポッドキャストでも、宣伝している。Weeblyの足元が、危うくないか? この懸念に対しRusenkoは、Weeblyもマーケティングを無視していない、テレビの広告キャンペーンもやってる、と述べた。ただし彼が強調するのは、口コミの広がりと、それによる成長だ。

彼は言う: “Webサイト〜Webビジネスの構築はすごく大きな市場なのに、これまで正当に評価されなかったようだ”。

Weeblyの顧客は今日からCarbonを利用できる。

[Carbon紹介ビデオ]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa