ポルシェが、独自のEV充電ステーション網を構築すると発表

Porsche(ポルシェ)は、2023年より独自に世界的な専用充電ステーションのネットワークの構築を開始すると発表した。これは他社との提携に依存するとしていた当初の戦略から逸れることを意味する。

同社の年次総会で明らかにされたこの計画は、ポルシェが電気自動車のラインナップ拡大に向けて準備を進めていることを受けたものだ。同社は2025年までに、現在の「Taycan(タイカン)」以外に少なくとも2モデル「Macan(マカン)」と「718」の電気自動車を市場に投入する予定だ。

ポルシェブランド初の充電拠点は、来年よりまずはドイツ、スイス、オーストリアの需要の高い地域に建設される予定だと、同社幹部は述べている。

しかし、ポルシェのビジョンは単なる充電ポートに留まらない。プレスブリーフィングで詳細を語ったOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOとLutz Meschke(ルッツ・メシュケ)取締役会副会長によると、充電ステーションにはラウンジのような施設が備わり、バッテリーを充電しながらコーヒーを飲んだり、仕事をしたりできるようになるという。

「充電だけでなく、お客様の利便性を高める方向に持っていきます」と、メシュケ氏はいう。「クルマの電動化に集中するだけではなく、クルマに留まらないカスタマージャーニーにも力を入れることが、私達にとって非常に重要なのです」。

ポルシェはまず欧州市場に注力する予定だが「特別なサービスを提供し、公共の充電インフラをサポートできる」中国や米国への拡大も検討していると、ブルーメ氏は述べている。

ポルシェは、欧州最大の急速充電ネットワークを擁する複数の自動車メーカーによる合弁事業、IONITY(アイオニティ)との提携も継続する。IONITYは、現在400カ所の充電ステーションを、2025年までに1000カ所まで拡大することを計画している。

「私たちは、パートナーと共同でプレミアム充電ステーションに、そして私たち自身の充電インフラに投資しています」と、ブルーメ氏は述べている。

ブルーメ氏は、ポルシェが建設を計画しているステーションの数、開設までのタイムライン、コストに関する数字を示すのは、時期尚早であるとした。しかし、同氏のコメントは、同社がこのプロジェクトへの投資に熱心であることを示唆している。

世界のEV市場が軌道に乗る準備を進める中「今後数年間は、このための迅速な増強が非常に重要であり、ゆえにポルシェは多額の投資を行っています」と、同氏は付け加えた。

ポルシェの取り組みは、この分野で先行するTesla(テスラ)に倣ったものだ。テスラは2500以上の拠点に約3万台のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器を備えた独自のグローバルネットワークを構築している。最近では、オランダをはじめとする欧州数カ国で、このネットワークを他メーカーの電気自動車にも開放し始めた。Rivian(リヴィアン)も独自の「アドベンチャー」ネットワークを構築しているが、同社はその充電システムに、近年欧州や米国で普及しているオープンな国際規格であるCCS(Combined Charging System、通称コンボ方式)直流コネクタを採用している。このため、CCS規格を持つ他の電気自動車も、ソフトウェアでブロックされる可能性はあるものの、理論上はRivianのネットワークを利用することができる。Rivianは2023年末までに、米国とカナダの600カ所以上に3500基の急速充電器を増設することを計画している。

ポルシェは今後もIONITYとの提携を支援しながら、米国では46州とワシントンD.C.に670基の充電ステーションを持つElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)ネットワークの利点をアピールしていく。しかし、ポルシェ独自のネットワークを持つことによって、顧客体験と充電ステーションの品質を、自社で直接コントロールすることが可能になる。同社の広報担当者によると、この戦略は既存の急速充電インフラの欠落部分を埋めるためのものであるという。

ポルシェと同じくVolkswagen(フォルクスワーゲン)グループ傘下のAudi(アウディ)もまた、2階建てのラウンジのようなコンセプトの試験運用を欧州で開始している。この充電ステーションでは、顧客は下でクルマを充電しながら、上階で寛ぐことができるようになっている。

画像クレジット:Porsche

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラ、オランダのSuperchargerネットワークをすべてのEVに開放

Tesla(テスラ)は現地時間2月14日、同社製以外の車両の所有者がオランダのすべてのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションで電気自動車(EV)を充電できるようになったと発表した。

この措置は、2021年11月に10カ所のステーションで開始されたパイロットプログラムの拡大だ。CEOのElon Musk(イーロン・マスク) 氏はもともと、同年夏にSuperchargerネットワークを他のEVに開放することに関心を示していた。

他の自動車メーカーとは異なり、Teslaは広大な独自ネットワークを運用していて、これまでは他自動車メーカーのEVがSuperchargerの充電器を利用することはできなかった。Teslaが2012年に構築を開始したこのネットワークは、現在、全世界に3万カ所のSuperchargeステーションを有している。

Teslaのパイロットプログラムは、オランダとフランス、ノルウェー、ベルギーなど欧州の一部のステーションで、Tesla車両以外のEVのドライバーにTeslaのアプリを使って充電させるもので、同社はまだPlugShare(プラグシェア)など他のEVステーションプラットフォームと統合していない。

Teslaは、自社製車両にしか装着できない独自のプラグを使用しているため、試験ではCCS(コンバインド・チャージング・システム)対応車のみがアクセス可能だ。Superchargerには2本のケーブルがあり、Tesla製以外の車両はCCSコネクタを使用することができる。このコネクタはすべてのクルマに合わないかもしれず、その場合、ドライバーはカスタマーサポートセンターに問題を報告することになる。

同社によると「幅広い車種の充電をサポートするために発生する追加費用と、これらの車種に対応するためのサイトの調整」のため、Tesla製以外のEVはTesla施設での充電を享受するために、より多くの料金を請求される可能性がある。とはいえ、ドライバーが充電メンバーシップを購入すれば、1kWhあたりの充電価格は下がるかもしれない。

Teslaは「拡大する前にエクスペリエンスをレビューし、混雑を監視し、フィードバックを評価する」ために、一部の拠点から始めると述べた。将来設置される施設については、利用可能な容量がある場合にのみ、Tesla製以外の車両に開放される予定だ。

オランダには欧州で最も多くのEV充電ステーション(7万5000基)があり、Teslaがこのパイロットをさらにテストする上で競争的な環境となっている。ウェブサイトによると、Teslaはオランダにステーション33カ所を展開していて、18の新しいステーションが「近日オープン予定」だ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Blink Chargingが米国とカナダのGMのディーラーにEV充電器を供給へ

電気自動車用充電器メーカーのBlink Charging(ブリンク・チャージング)は、米国とカナダのGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)のディーラーにEV充電器を提供することを発表した。同スタートアップは設備ソリューション・プロバイダーのABM(エービーエム)と組んで、同社の新しいレベル2EV充電器IQ 200をGMに供給する。

Blinkは決して小さなEV充電器メーカーではないが、これまではChargepoint(チャージポイント)、EVBox(イービーボックス)、Tesla(テスラ)、さらにはShellと比べても市場シェアは小さかった。Blinkによると、同社は13か国に約3万台のEV充電器を展開しており、GMとの契約は、さらなる規模拡大とブランド認知度の向上という同社の目標にひと役買うだろう。

ただしこれはGMにとってBlinkとの初めての契約ではない。2021年4月、GMは充電ネットワーク7社(Blink、ChargePoint、EV Connect、EVgo、FLO、Greenlots、SemaConnect)をGMのモバイルアプリに統合し、顧客が容易に充電場所を探せるようにする計画を発表した。今回は、GMが2030年までにEV販売でTeslaのシェアを狙って売上を倍増する計画の中、Blinkが選ばれたようだ。

2021年5月にGMから最初の注文を受けたBlinkは、設置を担当するABMを通じて一部のGMディーラー向けに充電器の出荷をすでに開始している。今後数カ月間必要に応じて追加の充電ステーションに向けた準備ができていると同社はいう。契約には充電ステーション数の目標や大規模展開の日程は書かれておらず、これはディーラーからの注文ごとの設置が基本であるためだ。これまでにBlinkは「GMディーラーから1000件近く、計1505台の充電器の注文を受けている」と同社の広報担当者は述べた。

GMとの契約に同社からの出資は含まれていないとBlinkはいう。GMディーラーは、Blink製品を購買パートナーのABMを通じて、ディーラー機器購入価格で購入する。

BlinkのIQ 200充電器は、車両基地向けに設計されており、1つの共有回路上で最大20台の充電器を電力網に負荷をかけすぎることなく利用できる。80アンペアの充電器は、100アンペア回路上で高速レベル2充電が可能で、出力は19.2kW、充電1時間あたり最大65マイル(約104.6 km)走行できる。設置方法には壁かけ型、ポール型、および自立スタンドがある。

2022年のCESでBlinkは次世代レベル2充電器のMQ 200を発表しており、第1四半期末までに提供される予定だ。Blinkは、出荷可能になった時にGMがこの新型充電器を受け取るかどうかの質問には答えていない。MQ 200は高速かつ高機能で、Blink充電器をクラウドや、新しいBlink Fleet Management Portal(Blink車両管理ポータル)に接続するソフトウェアが付いてくるため、デーラー業務に最適だ。

関連記事:CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

画像クレジット:GM

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

EV充電企業各社はここ数年間、CESで自社商品を展示してきた。2022年は、利害関係、そしてオポチュニティの度合いが若干高まっている。

数年以内に数十車種もの電気乗用車や商用車が市場に投入されると予想されており、EVはメインストリームになりつつある。より大きな市場には価格がついてくる。メインストリームの消費者は、ガスの燃料補給時間に匹敵する充電時間を期待し、優れたユーザーエクスペリエンス設計には慣れている。そしておそらく、ピーク時とオフピーク時のエネルギーグリッド時間について考える必要性はなかったであろう。

2022年のCESに登場した充電企業や小規模スタートアップはこのシフトを認識しているようで、迅速性、コネクティビティ、利便性、設置の容易性、電力網との連携において向上が図られたプロダクトのピッチを行った。特筆すべき点として、この大きな顧客基盤へのリーチに注力するEV充電企業各社は、商用車の充電から家庭での充電、Vehicle-to-Grid技術から充電器の広告スペースの収益化に至るまで、あらゆるユースケースに対応できるように設計されたプロダクトを披露している。

世界のEV充電器市場は2020年の32億3000万ドル(約3721億円)から2025年には110億ドル(約1兆2671億円)近くに成長すると予測されている。業界にはまだ新規参入者のためのスペースが残されているものの、その多くはデモやニュースでCESを飾ることはなかった。CESで技術を顕示した小規模企業は、独自のソリューション、豊富なコネクティビティ、充電速度のアップグレードという点で際立っている。

Blink Charging(ブリンク・チャージング)

Blinkは2022年、4つの新しい充電プロダクトを発表した。1つはDC高速ウォールマウント充電器であり、残りの3つはレベル2充電器で、フリートおよびマルチユニット用、家庭用、広告ディスプレイの統合用にそれぞれ設計されている。すべての充電器には、4G LTEおよびWi-Fi接続に加えて、フリート管理統合、負荷共有技術、エネルギー使用管理などのスマート性能が備わっている。

Blink MQ 200、フリートEV充電ステーション用

フリート、ワークプレイス、マルチファミリー向けに特別に設計されたこの50アンペアの充電器は、プラグアンドチャージ機能が搭載されており、車両から充電ステーションへの一意かつ暗号化された情報の流れを通じて車両の識別を自動的に行う。この機能は、その名前が示すように、ドライバーがプラグインするだけで充電セッションを開始できることを意味する。

2022年の第1四半期末までに利用可能になる「MQ 200」には、複数の充電器にまたがる直接ユーティリティ通信およびローカル負荷管理のためのスマートグリッド機能が付属しており、一回線に2〜20台の充電器を設置することができ、夜間のフリート充電に理想的である。また、Blink充電器をクラウドに接続するソフトウェアであるBlink Network(Blinkネットワーク)や、CESでローンチされたBlink Fleet Management Portal(Blinkフリート管理ポータル)とも通信する。同ポータルでは、フリート管理者向けに、充電および負荷管理、充電器、車両、ドライバーを追跡するダッシュボードを提供している。

Blink HQ 200、次世代家庭用充電器

「HQ 200」はBlinkの最新の家庭用充電器で、前世代の30アンペアから50アンペアのレベル2充電器にアップグレードされた。他のEV充電企業でも見られるように、家庭での付加的な電力供給は、各社が充電時間を短縮する方法を求めて競い合う中、2022年のトレンドとなっている。

消費者は基本的な充電器を選ぶ傾向にあるとはいえ、このスマートなWi-Fi対応バージョンは、実に私たちを魅了するものである。HQ 200はBlink初のV2G(Vehicle-to-Grid)技術搭載充電器の1つであり、ピーク以外の時間帯にはEVを充電し、ピーク時にはEVのバッテリーに蓄えられたエネルギーを電力網に戻すことができる。

HQ 200はさらに、Blink Mobile App(Blinkモバイルアプリ)に接続することで、即時の充電開始、充電時間のスケジュール設定、リマインダーの設定も可能になる。2022年の第1四半期末までに利用可能になる予定である。

同時に2台充電できるDC高速ウォールマウント

50キロワットのDC高速ウォールは、壁に取り付けたり、台座に設置したりすることができ、さらに同時に2台の車を充電することが可能で、車両、小売店、街角での充電、交通量の多い場所での使用に最適なものとなっている。最大出力150アンペア、V2G技術、10インチのタッチスクリーンディスプレイ、そして時間、キロワット時、あるいはセッションごとに課金する機能を備えている。また、Blink Networkを介したリモート管理とエネルギー使用量レポートが可能となっている。メンバーカード、RFIDクレジットカード、またはモバイルアプリを持つユーザーは、RFIDリーダーを使用して充電を開始することもできる。

「DC高速充電の予算がないと感じている店舗にとって、プライスポイントも魅力的になるでしょう」とBlinkの広報担当者はTechCrunchに語っている。「現在の既存の機器は通常3万5000ドル(約400万円)からですが、DCウォール50キロワットのコストは2万ドル(約230万円)未満です」。

Vision IQ 200(ビジョンIQ 200)、広告用

このレベル2充電器には、ダイナミックデジタルメディアディスプレイ用の30インチLCDスクリーンが1つまたは2つ付属している。小売店、ホスピタリティ事業、自治体施設や交通量の多い場所に理想的なフルサービスの広告性能を備えている。不動産保有者には充電と広告収入の両方の収益分配機会が提供され、後者はサードパーティーベンダーを通じて管理される。

「Vision IQ 200」は、80アンペアのIQ 200の充電器を1つか2つ搭載しており、RFID、Apple Pay、Google Walletおよびすべての主要クレジットカードによる支払いが簡単にできる他、リモート管理やリアルタイムのエネルギー使用状況レポートなどのスマート機能も備えている。

Blinkによると、DC高速ウォールは年内に利用可能になる予定である。

E-Lift(Eリフト)

E-LiftはCESで、カスタマイズ可能な新しいポップアップ式充電ステーション「E-LIFT GS」を発表した。このオランダの会社は、近くこれを北米でローンチすることを目指している。この小さなステーションには同時充電用のプラグが最大4つ付属しており、E-LiftのSustainable and Smart Energy Management System(SENSE、持続可能でスマートなエネルギー管理システム)に接続するセンサーを装備することができる。

SENSEプラットフォームは、ユーザーのモビリティとエネルギーのニーズを管理するシステムとして機能する。同社は声明の中で、顧客は遠隔地からログインして、モビリティとエネルギー消費データのモニタリングと管理を行うことが可能で「費用対効果の高いエネルギー転換が実現し、再生可能エネルギー資源の利用によって将来を再構築しようとしている政府や企業にとって有益なものとなる」と述べている。

JuiceBar(ジュースバー)

コネチカット州を拠点とし、Made in America基準を本格的に推進しているEV充電会社JuiceBarは、CESで同社初の家庭用充電器「Cheetah(チーター)」を発表、この名称は迅速さに由来すると同社は述べている。

Cheetahは2022年中に販売される予定で、同社によると、新しい充電器と交換される古い充電器すべてに対して1000ドル(約11万4600円)ずつ支払われるという。JuiceBarは米国とカナダで数百台の商用充電器を取り扱っており、この新しい家庭用充電器も同じ市場に投入される。

Cheetahは16、32、40、48アンペア構成で、入力電圧は120、208、240ボルトとなっている。Blinkの出力を見る限り、JuiceBarは市場で最速のレベル2にはならないが、近いところにある。CheetahはBluetooth、イーサネット、Wi-Fi、クラウド接続にも対応しており、スマートグリッドの充電に役立つ。25フィート(約7.6m)のコードが付属しており、絡まないコードリトラクターもオプションで用意されている。

家庭で充電するときの安心のために、Cheetahは二重のセーフティリレーを装備している。第1のリレーが閉じてヒューズが切れた場合に、第2のリレーが回路を開閉する。JuiceBarによると、充電器の電力は、充電器のカーボンフットプリントをオフセットする、100%認証済みのカーボン削減プロジェクトによって支えられているという。同社は初年度分のカーボンオフセットを購入することになっている。購入者はその後も、週1ドル(約115円)未満の会費でカーボンオフセットを購入できる。

Cheetahは第2四半期の終わりか第3四半期の初めに消費者向けに提供されると広報担当者はTechCrunchに語っている。当初は米国やカナダにおいて、自動車ディーラー、住宅建設業者、電力会社などの第三者を通じて販売される。

Wallbox(ウォールボックス)

Wallboxは、2022年のCESで「Quasar 2(クエーサー2)」を発表した。これは電気自動車の所有者が自宅や送電網に電気自動車を充電したり、放電したりすることを可能にするだけではなく、停電時に、それが自然災害によるものであっても、自宅を送電網から隔離し、EVをバックアップ電源として使用できる機能を提供する。Wallboxによると、Quasar 2は停電中でも3日間以上家に電力を供給できるという。

Vehicle-to-Home(V2H)機能は、特に電力料金が需要に関係する州で、EV所有者が家庭のエネルギーコストを節約するのに役立つはずだと同社は述べている。ユーザーは、レートが低いときに充電セッションが実行されるようにスケジュールを設定できる。また、太陽光発電を設置しているユーザーは、使用率が低いときにEVに余剰のエネルギーを蓄えることができる。

Quasar 2は48アンペアの電力を供給し、Jaguar I-PaceやBMW i3などの急速充電車に対応するCCS互換で、Wi-Fi、Bluetooth、イーサネット、4G経由でmyWallbox app(マイWallboxアプリ)に接続する。

Wallboxは、Quasar 2の価格を明らかにしなかったが、約4000ドル(約46万円)のQuasar 1相当になると説明した。2022年末までにローンチする予定である。

Meredot(メレドット)

この市場に出回るクルマは電気自動車だけではない。マイクロモビリティのクルマにも愛が必要だ。それこそが、Meredotが電動スクーター、電動モペッド、そしてフードデリバリーロボットや車椅子などの乗り物向けに設計された初の商用ワイヤレス充電器を発表した背景にある。この充電器は、地面の上または下に設置できる物理的なパッドの形態をとっており、受信機を搭載した車両がその上に駐車したときに充電が行われる。

Meredotは、同社のワイヤレス充電器において、マイクロモビリティOEMとフリート事業者をターゲットにしている。同社は、車を充電するための斬新で手間のかからない方法を提供したいと考えている企業向けに、自社の技術を市場に出してライセンス供与する準備が整っている。特にマイクロモビリティのフリートにとって、交換可能なバッテリーを持っていたとしても、スクーターやバイクの充電は大きなコスト削減要因の1つであり、この種の技術はゲームチェンジャーになる可能性がある。

「Meredotのワイヤレス充電器は新しい分散アーキテクチャを提供し、サイトの資本効率とスケーラビリティを向上させ、エネルギーとコストを節約します」とMeredotのCEOで共同創業者のRoman Bysko(ロマン・ビスコ)氏は声明の中で述べている。「Meredotのワイヤレス充電器は、新しいマイクロモビリティ充電エクスペリエンスのインフラ基盤となり、オペレーターとライダーの双方にメリットをもたらします」。

同社によると、従来のケーブル充電システムに比べて、同じ表面で電動スクーターを50%多く充電できるため、充電サイトのコストを大幅に削減できるという。

画像クレジット:Blink Charging

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

EV急速充電ネットワークのIONITYが、充電器の数を4倍以上に増やすために約905億円を投資

Daimler AG(ダイムラーAG)やVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)などの大手自動車会社が共同で設立した、電気自動車用急速充電ネットワークプロバイダーのIONITY(アイオニティ)は、資産運用会社のBlackRock Global(ブラックロック・グローバル)と既存の株主から7億ユーロ(約905億円)の投資を獲得。欧州全域における事業拡大を目指している。

EV用の超急速充電ステーションを欧州各地に設置しているIONITYは、ダイムラーとフォルクスワーゲングループの他、BMW Group(BMWグループ)、Ford(フォード)の4社による合弁事業として2017年に設立され、後にHyundai Motor Group(現代自動車グループ)も加わった。同社は今回の投資により、現在設置されている約1500基の充電器を、2025年までに4倍以上の7000基に増やすことを計画している。

新たに建設される充電ステーションは、高速道路などの主要道路や主要都市の近くに設置され、それぞれの場所で6~12台分のEVを同時に充電できるようにする予定だ。また、需要の高い既存の施設にも、充電器の数を追加していくという。

IONITYは、車両の充電中にドライバーも「充電」できるフルサービスステーションの所有・運営も計画している。同社で「Oasis(オアシス)」と呼ぶこのステーションのコンセプトは、現在の道路沿いある休憩所と似たものだ。

BlackRockは、同社のGlobal Renewable Power(グローバル・リニューアブル・パワー)株式投資ビークルを通じて、IONITYに出資した。自動車関連企業以外からIONITYが資本を受け入れるのは、これが初めてのことだ。BlackRockは4月に48億ドル(約5500億円)の資金を集めており、これは機関投資家の脱炭素技術への関心が高まっていることを示している。

この投資は、有力な投資家たちが、来るべき交通機関の電動化に確信を深めていることも物語っている。BlackRockはこれまで、陸上・洋上風力発電や太陽光発電プロジェクトへの投資を中心に行ってきた。同社がEV充電に興味を示したことは注目に値する。

画像クレジット:Ionity

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英国、2022年から新築住宅・オフィスにEV充電器の設置を義務づける

英国政府は、2022年から英国のすべての新築住宅およびビジネスに電気自動車(EV)充電ステーションの設置を義務付けると発表した。この新しい施策は、毎年14万5千カ所の充電ポイントを追加することで、英国でのEV普及を促進することを目的としている。

「これにより、人々はEVの未来に備えた新築物件を購入することができ、また、英国内の新しい店舗や職場で充電ポイントを容易に利用できるようにすることで、今日のガソリン車やディーゼル車の給油と同じように簡単に利用できるようになります」とプレスリリースには記されている。

英国政府はすでに25万台以上の充電ポイントの設置を支援しているが、この新ルールにより、初年度だけで50%以上の増加が見込まれる。スーパーマーケットやオフィスビルなどの建物に加え、10台以上の駐車スペースを持つ大規模な改築も対象となる。ただし、設置場所の仕様や出力など、ルールの詳細はまだ公表されていない。

英国の野党である労働党は、ロンドンと同国の南東部には「イングランドとウェールズの他の地域を合わせたよりも多くの充電ポイントがある」と指摘し、新法はその点で役に立たないと主張している。また、低・中所得者層がEVをより購入しやすくなるような条項も含まれていないと、BBCは報じている。

英国政府は、予定よりも10年早い2030年までに化石燃料車の販売を完全に禁止することを目指している。同国政府は以前、英国内のEV充電インフラ整備に5億ポンド(約769億円)を投じる用意があると述べていた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Steve Dent、翻訳:Dragonfly)

テスラがEV充電施設にスターリンク衛星インターネットアンテナを配備

Tesla(テスラ)のEV充電網Supercharger(スーパーチャージャー)で番組をストリーミングで観たいが、Premium Connectivityにはお金を払っていない、という人も絶望しないで欲しい。公式な代替手段があるかもしれない。Electrekによると、Teslaの電気自動車(EV)のオーナーがSuperchargerステーションでStarlink衛星インターネットアンテナを見つけた。その数や、ドライバーがアクセスできるかどうかはまだ明らかになっていないが、少なくともフロリダには配備されている。

Teslaはこの展開についてコメントしておらず、広報チームも解散したとみられている。

SuperchargerでのStarlinkのブロードバンドは、複数の用途が考えられる。少なくとも、支払いや充電器の状態などの基本的な処理を行う既存の接続を代替または補完することができる。実際に活用すれば、Superchargerをより早く、より多くの遠隔地に設置するのにつながるかもしれない。Tesla以外のEVの充電を可能にし、ステーションネットワークの規模を3倍にしたいと考えている同社にとって、これは重要なことだ。

とはいえ、取引を処理するだけならそれほどの帯域幅は必要なく(米国のStarlink接続の中央値は約97Mbps)、TeslaがSupercharger利用者にWi-Fiを提供するために衛星接続を利用しても不思議ではない。通常、車を充電するのにはテレビ番組を見られるほどの時間がかかる。Premium Connectivityをサブスクしたり、携帯電話をホットスポットとして使用したりしなくても、テレビ番組をストリーミングすることができるかもしれない。充電器の使用が多い場合にはネットワークの混雑が問題になるかもしれないが、便利になり、自宅でStarlinkサービスを利用する顧客が増える可能性もある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVバッテリー交換ビジネスのAmpleが34.2億円調達、ヨーロッパ進出を目指す

電気自動車のバッテリー交換技術を開発するスタートアップ、Ample(アンプル)は、The Blackstonre Groupとスペインの多国籍金融サービス会社、Banco Santanderから3000万ドル(約34億2000万円)の資金を追加調達した。

サンフランシスコ拠点の同社は、ユニコーンに近い地位にあるはずで、PitchBookによる8月の評価額は8億9000万ドル(約1016億7000万円)だった。ユニコーンとは、評価額10億ドル以上の会社を指す。

本ラウンドの大部分は2500万ドル(約28億6000万円)を出資したThe Blackstone Groupによるもので、残りをBancoが受け持った。Ampleはこれまでに総額2億6000万ドル(約297億円)を調達している。

Ampleのコンセプトは比較的シンプルだ。EVのパワーを蓄えるために充電ステーションに繋ぐ代わりに、AmpleのモジュラーバッテリーパックをEVに装着し、専用ステーションで交換する。

2021年、AmpleはUberと提携して、ベイエリアのいくつかの場所をバッテリー交換ステーションとして使えるようにした。両社はヨーロッパへの拡大にも合意しており、Uberはヨーロッパで7つの首都、ロンドン、アムステルダム、ブリュッセル、ベルリン、パリ、マドリッド、およびリスボンで、2025年までに乗車の半分を電動化する目標を掲げている。

Ampleの共同ファウンダーであるJohn de Souza(ジョン・デ・スーザ)氏はTechCrunch宛の声明で、新たな資金は事業の規模拡大に使うと語った。「近い将来数万台の車両を展開するために、生産、配置、サポートの機能を拡大する必要があります」と同氏は言った。「地理的には2022年、ヨーロッパに進出します。スケーリングの必要性は、市場の要求とCOP 26で明確に強調されたEVへの移行の緊急性の両方によるものです。

Ampleは、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの各都市にバッテリー交換サービスを展開するために、ニューヨーク市拠点のEVレンタル会社、Sally(サリー)とも提携した。

UberとSallyという最初の2つの提携相手を見ると、EVバッテリーの充電に無駄な時間を費やしている輸送会社に対するAmpleの力の入れ方が反映されている。Ampleはバッテリー交換方式を、個人利用者にとっても優れたソリューションであり、アパート居住者のように信頼できる夜間充電方法をもたない人々には特に有効だと考えている、と以前TechCrunchに語っていた。

画像クレジット:Ample

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが初めてスーパーチャージャーネットワークを他のEVに開放

Tesla(テスラ)は、オランダで10カ所のSupercharger(スーパーチャージャー)をTesla車以外の電気自動車(EV)に初めて開放するパイロットプログラムを展開中だ。

Tesla以外のEVユーザーがスーパーチャージャーを利用するには、まずTeslaのアプリをダウンロードしてアカウントを作成する必要がある。Teslaのオランダのウェブサイトによると、そこから「Charge Your Non-Tesla」を選択し、場所を検索して支払い方法を追加すれば充電することができる。

Tesla以外のEVを運転するドライバーは、完全シームレスな充電体験ができるわけではない。Teslaドライバーはプラグを差し込んだり外したりするだけでよいが、Tesla以外のドライバーは、充電の開始と停止をアプリで指示する必要がある。また、Teslaドライバーは電気料金が変わらない一方で、Tesla以外のドライバーには「多数の異なる車への充電に対応し、他ブランドの車に適するようにするための追加コスト」が発生するという。

このパイロットプログラムに参加できるのは、CCS規格接続のEVのみだ。米国では、Teslaのスーパーチャージャーは独自のコネクタを使用しているが、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は7月の第2四半期決算説明会で、北米の充電拠点でアダプターを販売・提供し、これにより米国でネットワークがオープンになる可能性を示唆していた。

今回の試験運用で「経験を積み、ローダーでの流れを監視し、ユーザーからのフィードバックを収集する」とTeslaはウェブサイトで述べた。同社は、ドライバーに10カ所の拠点を通常通り利用するよう呼びかけているが、これは同社のメーンユーザーがどのような影響を受けるか、適切なデータを得られるようにするためだと思われる。また、Tesla以外の車がテスラ車よりも遅く充電される場合、充電時間が遅くなることの影響も今回の試験では測定するようだ。

マスク氏は以前から、同社が「Non-Tesla’s Supercharger Pilot」と呼んでいるこのようなプログラムをいずれ導入する可能性を示唆していた。7月には、年内にTesla以外のユーザーにもネットワークを開放することを認めており、今回のパイロットはまだ始まったばかりのようだ。同社はウェブサイトで「近い将来」プログラムに参加する国を追加する、と述べている。

Teslaのスーパーチャージャーネットワークは2万5000台以上の急速充電器を有し、自動車メーカーが所有・運営するネットワークとしては世界最大だ。

「より多くのドライバーにEVへの乗り換えを促すために、スーパーチャージャーネットワークをTesla以外のEVにも開放することを常に目指してきました」とTeslaは話す。

同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリーノ)氏は7月の決算説明会で、Tesla以外のEVにスーパーチャージャーネットワークを開放することで、全体的に電気代が安くなるかもしれない、と説明した。

「ネットワークの利用率を高めることでコストが削減され、顧客のために充電料金を下げることができます。そして、ネットワークの収益性が高まり、ネットワークをより早く拡大することができます」と述べた。「何としてでも、ネットワークのキャパシティを引き続き積極的に拡大し、充電速度を向上させ、イーロンが述べたようにダイナミック・プライシング(変動料金制)を用いて充電施設の混雑を防ぐための旅行計画ツールを改善していきます」。

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがディーラーと協力してEV充電ステーション4万基を北米で設置

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車の導入を促進するため、7億5000万ドル(約853億円)を投じて充電インフラを整備するという野心的な計画の一環として、北米全域に最大4万基の電気自動車用充電器を設置すると発表した。


このプログラムでは、GMは米国およびカナダの自動車ディーラーに充電器を提供する。しかし、ディーラーは自社の敷地内に充電器を設置するのではなく、適切な場所を特定してインフラの設置を行う。GMは、各ディーラーに最大10基のUltium充電ステーションを提供し、それぞれの地域に配備する。また、ディーラーが充電器を設置するためのインセンティブやその他の資金調達プログラムへの申請を支援するとしている。

GMのEVインフラ担当リードアーキテクトであるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏はTechCrunchに「ディーラーはすでに地元で活動していることが多く、この計画(Dealer Community Charging Programと呼ばれている)でGMはディーラーと提携することにしました」と語った。「ディーラーはすでに地域社会でかなり活発に活動しており、すばらしい関係を築いて地域社会のことをよく知っているので、それを活用しない手はありません」。

新しいインフラは「Ultium Chargers」と呼ばれ、GMの明確なブランド名を持つことになるが、TeslaのSuperchargingネットワークと違ってGMの4万基の新しいレベル2充電器は独自のネットワークではない。ケロス氏は、電気自動車の販売を促進するために、独占的なネットワークを展開することには興味がない、と明言した。

「我々の世界観は、『誰でも参加できる 』というものです。私たちは、海を育てるようにしたいのです」。

GMはまた、EV充電器メーカーのCTEKと共同で開発・製造した家庭用および業務用のUltium Level2スマートチャージャー3種を展開する。このうち2種は11.5kW、残る1種は19.2kWで、間もなく発売予定の電気自動車GMC HummerやCadillac Lyriqへの電力供給に最適だ。これらの充電器は、Dealer Community Charging Programで使用されるが、家庭での使用にも適している、とケロス氏は話した。

充電器にはWi-FiとBluetooth機能が搭載され、より強力なタイプにはカスタマイズ可能なスクリーンが搭載される。また、充電器は負荷を分散することができ、車両へのエネルギーの流れを安全に調整することができる。例えば、住宅に設置した場合、自動車と他の家電製品との間の電流のバランスを取ることができる。

GMのアプリ「Ultium Charge 360」を使えば、充電器の状態を把握したり、充電スケジュールを設定したりすることができ、充電の習慣や履歴などの統計情報を閲覧することも可能だ。このアプリではすでにGreenlots、Blink、FLO、ChargePoint、EVgo、EV Connect、Greenlots、SemaConnectなど北米の7つのネットワークの充電器を検索することができる。GMは、GM車と非GM車の間で充電体験がどのように異なるかについて詳細は明らかにせず、すべてのEVに対応するとだけ述べた。

GMは、コミュニティ充電プログラムの開始に合わせて、来年には充電器の販売を開始する予定だ。顧客は充電器の購入費用をGMファイナンシャル・リースや契約に組み込むことができる。

同社は、2025年末までに全世界で30種のEVを発売するという目標を掲げている。同年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約3兆9810億円)を投資する計画を立てており、その実現に向けて迅速に動いている。

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先の記者会見で、会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「入手しやすい価格のEV、真に手ごろ価格のEVを提供します。またそうした車両は多くの人々にとって唯一の自動車となり、信頼できる充電インフラを必要とするため、当社はエコシステムにも取り組んでいます」と述べた。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Gogoroが中国で電気二輪車用バッテリー交換ステーションを開設、サービス開始

中国の二輪車メーカー大手2社との提携を発表してから5カ月「Gogoro(ゴゴロ)」は米国時間10月11日、杭州に45カ所のバッテリー交換ステーションを開設し、サービスを正式に開始した。同社の共同設立者であり最高経営責任者であるHorace Luke(ホレス・ルーク)氏は、TechCrunchの取材に対し、年内に80カ所のステーションを開設することを目標としており、その後、パートナーであるYadea(ヤデア)とDachangjiang Group(大長江グループ-DCJ)とともに他の主要都市にも拡大していくと述べている。

中国では、Gogoroのバッテリー交換技術はGogoro、Yadea、DCJが提携するHuan Huanブランドで運営されることになる。

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YadeaとDCJは、Gogoroのバッテリー交換技術を搭載した車両の開発を進めており、Yadeaは本日、杭州を皮切りに2モデルの販売を開始した。

両社は、とりわけ電気二輪車において、鉛蓄電池ではなくリチウム電池の使用が義務づけられていることなどから、政府の規制が消費者の需要を動かしてくれることを期待している。2025年までに、この規制に対応していない2億7千万台の車両が廃車になると言われている。

Gogoroは2021年9月、Poema Global(ポエマ・グローバル)との23億5000万ドル(約2600億円)のSPAC取引(2022年第1四半期に完了予定)を経て、NASDAQに上場することを発表した。同社は、バッテリー交換ネットワークに加えて、独自のハイエンド2輪スクーターのシリーズでもよく知られているが、Yamaha(ヤマハ)、Suzuki(スズキ)、AeonMotor(イオンモーター)など、同社のバッテリーや充電ステーションを使用する車両を生産する他のメーカーとの契約を結んでいる。

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このパートナーシップは、Gogoroの技術へのアクセス性を拡大させるための重要な要素となっており、2021年はインドの二輪車市場のリーダーであるHero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ)との契約も発表している。

「私たちは『Gogoroは高級すぎて、主要都市で本当に必要としている人たちには届かない』という目で見られてきましたが、YadeaとDCJの協力があれば、これから誰もが乗れるようになり、これまで販売されてきた大衆車よりも安価な車両を購入できるようになります」とルーク氏は語った。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Akihito Mizukoshi)

GMがEVへの信頼を高めるため、充電インフラへの投資を強化

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、電気自動車(EV)の充電インフラへの投資を7億5000万ドル(約835億円)規模に拡大する。EVの充電に対して不安を抱くドライバーたちの懸念を和らげることが目的だ。

GMは、2025年までに約7億5000万ドル(約835億円)を投じて、公共の場、家庭、職場に充電器を設置し、使いやすくしたいという。この投資は、GMのUltium Charge 360(アルティウム・チャージ360)プロジェクトにも大きな影響を与える。

GMが充電に投資するのは今回が初めてではない。2020年GMは、有名な充電ネットワーク企業であるEVgo(イービーゴー)と提携し、5年間で2700基以上のDC急速充電器を設置することを発表した。

充電設備の充実度は、電気自動車への移行をためらう主な理由の1つとして常に挙げ続けられている。Consumer Reports(コンシューマー・レポート)が最近行った調査によれば、回答者の約半数が「公共の充電ステーションが十分でないこと」がEVの購入を妨げていると答えている。

この資金が、世界の約3000カ所のステーションに2万5000台以上の充電器を設置しているTesla(テスラ)のスーパーチャージャーネットワークのような独自の充電ネットワーク構築に使われるのか、それとも別のパートナーシップに使われるのかは不明だ。GMは投資家説明会で、サブスクリプションやサービスから収益を得る「垂直統合型」のOEMになるという話を繰り返した。また今回の投資が、同社が「Ultium Charge 360」と呼ぶ新しい(サブスクリプション的な)取り組みを支援するものであることも強調した。だが詳細については待つしかなさそうだ。

画像クレジット:GM/EVgo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

電動ピックアップトラックのRivianが無料充電とLTE通信を利用できるメンバープログラムを発表

イリノイ州ノーマルの工場でピックアップトラック「R1T」の組立ラインが動き出したRivian(リビアン)は、2021年9月中のデビューに向けて同社初のEVの準備を進めている。米国時間9月16日、同社は近々設立予定の充電ネットワーク、Adventure Networkand WaypointsでRivianオーナーが無料充電できるメンバーシッププログラムを開始した。

さらに同社は、Rivianメンバーが1マイル走る毎に、相当する風力、太陽光などの再生可能エネルギーを購入するマッチングプログラム、および4G LTE接続の無制限アクセスを約束した。

プログラムには、山道で溝にはまった時や緊急充電が必要な時、会社が代車を手配するRivian off-Roadside Assistanceも含まれている。将来、新しいドライブモード、コミュニティ集会、車室内コンテンツなどの追加特典を提供することも約束している。Rivian新車にはサービスの12カ月間無料使用権がついてくる。その後特典を利用したい人は料金を払う必要がある。同社は料金をいくらにするつもりか言わなかったので、追加情報のために問い合わせている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor Bonifacic(イゴー・ボニファシック)氏はEngadgetのコントリビューティング・ライター。

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画像クレジット:Rivian

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】EVの充電ソリューションは電力網の資産になる

編集部注:本稿の執筆者Oren Ezer(オレン・イーザー)氏は、電気自動車にワイヤレス充電を提供する共有エネルギープラットフォーム「ElectReon」のCEO兼共同設立者。

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2030年までに米国の販売台数の約半分を電気自動車(EV)にするというJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領の計画は、現在、米国の総排出量の約半分を占める交通システムの脱炭素化を進めようとしていることを意味している。

電気自動車の大量導入を促進するためには米国政府の支援が不可欠だが、一方で、何百万、何千万もの人々が頼りにしている劣化した電気インフラ、すなわち電力網を修復する必要にも迫られている。

社会がオール電化に移行し、EVの需要が高まる中、現代社会が直面する課題は、どうすれば電力網に負荷をかけ過ぎずに、増え続けるEVに充電できるかということである。EVは電力網に対して過負荷となるという予測がある一方で、ワイヤレス充電、V2G(Vehicle to Grid、自動車と地域電力網の間で電力を相互供給する技術やシステム)、再生可能エネルギーのより効率的な利用など、エネルギーインフラをバックアップする方法も研究されている。

不安定な電力網に対して信頼性の懸念が高まる現在、この重要なインフラを強化し、電力網の限界を超えないようにするためのソリューションを見つけることは急務となっている。

現在、電力網が直面している課題

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動報告書は、地球温暖化や人類が排出した二酸化炭素の影響により、以前は50年に1度だった激しい熱波が、今後は10年に1度あるいはそれ以上の頻度で起こると予想している。このことは、すでに2020年も太平洋岸北西部における記録的な熱波や大火災で確認されているが、電力会社や事業者、業界の専門家たちは、現在のエネルギーシステムが気候変動による温度上昇に耐えられるか懸念を示している。

熱波だけではない。2月にテキサス州で発生した寒波は、エネルギーインフラを麻痺させ、何百万もの住宅で停電が発生した。温暖化が進み、電力需要を満たすために電力網が過負荷になればなるほど、このようなことは増加し続けるだろう。

気温の変動に加え、今後数年のうちに市場に出回ると予想されるEVの増加をサポートできるかどうかについても多くの人が懸念している。交通機関の電化にともない、2050年までに米国の発電容量を2倍にする必要があるとの報告もあり、充電のピーク時に柔軟性を向上させ、稼働率を上げられるEV充電の技術が求められている。しかし、現状では、米国の電力網の能力は2028年までに2400万台のEVをサポートできるにとどまり、道路輸送による二酸化炭素排出量を抑制するために必要なEVの数を大幅に下回っている。

このような課題にもかかわらず、業界の専門家は、EVが電力需要管理に大きな役割を果たし、必要に応じて電力網の安定化に貢献する潜在能力があることを指摘している。しかし、全米でEVの普及が進めば、電力会社は、人々がいつEVを充電するのか、何人のユーザーがいつEVを充電し、どのような種類の充電器が使用されてどのような車両(乗用車や中型・大型トラックなど)が充電されているのかといった重要な問題を調査し、電力需要の増加と電力網のアップグレードを決定する必要がある。

EV充電ソリューションは負債ではなく資産になる

電力網インフラのアップグレードには長い時間がかかる上、自動車の電動化を希望する個人や企業が増加しているので、全米の自治体は、EVの増加に先んじて、電力網の安定性を確保しながら必要な充電インフラを展開する方法を必死に模索している。しかし、国際クリーン交通委員会(ICCT)の最近の分析では、米国のEV充電器の数は現在21万6000台で、EVの普及目標を達成するためには2030年までに240万台の公的および民間の充電システムが必要になると推定されている。

各都市は充電インフラの不足を解消するために、必要な充電インフラの導入を早め、電力網を保護するための従来の据え置き型充電器以外の充電オプションを検討し始めている。その1つがワイヤレス充電や走行中充電といったダイナミックチャージング(大電力充電)である。

ワイヤレスのEV充電は、充電レーンの配置や交通量によって充電時間が断片化され、需要の変動が大きくなり、既存の電力網インフラにさらなる負担をかけるという意見がある一方、ワイヤレス充電では、14~19時に多く発生するエネルギー需要をまかなうためにEVを固定式充電器に接続しておく必要がなく、24時間さまざまな場所に分散して充電できるため、実際には電力網の需要を減少させ、グリッド接続の増設やアップグレードの必要性を減らすことができるという主張も多くある。

また、ワイヤレス充電は、道路、商業施設の搬入口の真下、施設の出入り口、タクシーの行列、バスの駅やターミナルなど、導電式(プラグイン)充電ソリューションでは対応できない場所にも設置することができるので、1日のうちに一定の間隔でEVに「上乗せ」充電を行うことができる。

導電式のEV充電ステーションは主に夕方や夜間にのみ使用され、蓄電装置が必要だが、ワイヤレス充電では、主に日中に生産・利用される再生可能な太陽エネルギーをより効率的に利用することができるので、必要な蓄電装置の台数を減らすことができる。

これには、都市や電力会社がワイヤレス充電のような効率的なエネルギー利用戦略を活用することで、エネルギー需要を時間的・空間的に分散させ、電力網に柔軟性をもたせて保護することができるというメリットがある。このエネルギー利用戦略を、自家用車やタクシーだけでなく、中型・大型トラックに適用すれば、EV化が難しいトラック分野でもEVへの移行をより迅速化できるようになる。

電気自動車の普及を支える電力網にプラスとなるワイヤレス充電

電力網にとっては乗用EVだけでも課題を抱えているが、大規模なトラック充電は、電力会社が積極的に移行を準備しなければ、非常に困難な課題となる。2030年には商用や乗用の全車両の10〜15%をEVにすることが計画されている現在、EVへの移行で二酸化炭素排出量の削減目標を達成しようとしている事業者にとって、ワイヤレス充電は費用対効果の高いソリューションになる。大型車のプラグイン充電とワイヤレス充電の比較と、両者が電力網に与える影響は次のようになる。

  • プラグインの導電式充電:240kWhのバッテリーを搭載した100台のEVバスをバス停留所で夜間導電充電する場合、全車両が毎日の運行終了時に同時に充電するために、最低でも6メガワット(MW)のグリッド接続が必要となる。
  • 電磁誘導方式のワイヤレス充電:都心部のバスターミナル、駐車場、ステーションに設置したワイヤレス充電の定置充電技術を使用して、100台のEVバスを、1日を通して運行の合間に「上乗せ」充電することができる。この充電戦略では、蓄電容量を大幅に削減でき(正確な削減量は車両と車両のエネルギー需要によって異なる)、1日を通して充電が行われるので、必要なグリッド接続は(プラグイン充電と比べて)66%減の2MWになる。

道路に隣接するソーラーパネルフェンスを備えたワイヤレス電気道路システムは、発電を分散させ、電力網への負荷を減らすための究極のソリューションになるかもしれない。業界が行った計算によると、約1kmの電気フェンスは、1.3〜3.3MWの電力を供給することができる。太陽光発電と道路に埋め込まれたワイヤレス充電インフラを組み合わせることで、1日あたり1300台から3300台のバスを電力網に接続せずに走らせることができる(平均時速80km、日射量の季節変動を考慮)。

さらに、ワイヤレス電気道路システムはすべてのEVに共通で使用できる。同じ電気道路でトラックやバン、乗用車に充電でき、電力網に新たな負荷をかけることもない。

電力網の近代化に向けて重要な役割をもつ革新的な充電技術

ワイヤレス充電はまだ市場に出てきて間もない技術だが、そのメリットは次第に明らかになっている。交通機関の電化の促進、気温の上昇、異常気象などに直面する電力網の老朽化が懸念される中、革新的な充電技術は最適なソリューションだ。

1日を通してEVの充電を分散させて過負荷を回避し、乗用車と大規模なトラック輸送両方のエネルギー需要を同時にサポートするワイヤレス充電などの技術は、将来の全電化脱炭素社会に向かうための重要なリソースとなる。

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画像クレジット:Bloomberg Creative / Getty Images

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(文:Oren Ezer、翻訳:Dragonfly)

Rivianがコロラド州に続きテネシー州の56の州立公園にEVチャージャーを設置

Rivian(リビアン)の電気自動車(EV)充電ステーションがまたも州立公園に導入される。同社は「ウェイポイント」と呼ばれるチャージャーをテネシー州の56の州立公園に設置すると明らかにした。同社は4カ月前にコロラド州との同様の提携を発表したばかりだ。

同社にとって、レベル2ACチャージャー1万基超のネットワークを2023年末までに構築するというのが計画の次のステップだ。州立公園やその他あちこちでのチャージャー設置はRivianのブランド戦略にとって鍵を握る要素だ。同社は自らを、Rivianの車を所有しているかどうかにかかわらずアウトドア派にとってエコフレンドリーな車メーカーとして位置付けようとしている。ウェイポイントチャージャーは一般開放され、J1772プラグ搭載のすべてのEVが利用できる。

テネシー州環境保全局との提携の一環として、Rivianは無料でチャージャーをデザイン・設置し、サービスやメンテナンス、アップグレードにかかる費用を10年間負担する。また、たとえば電気サービスパネルやトランスフォーマーの改良など、チャージャー設置に関係する必要なユーティリティアップグレードの費用ももつ、と同社は話した。

画像クレジット:Rivian

Rivianは早ければ秋にもチャージャーの設置を開始できそうだ。レベル2チャージャーは最大11.5キロワットで給電できる。これはR1TピックアップトラックとR1S SUVであれば、1時間つなぐと25マイル(約40キロ)の走行が可能になる。高速道路や交通量の多い道路沿いにあるチャージャーだと、バッテリー充電のために何時間も待つというのは理想的ではないが、公園であればドライバーは「日帰り旅行や宿泊キャンプを楽しむ間に走行可能距離を伸ばすことができる」と同社は話す。

差し当たり充電は無料で利用できるが、将来のコストは州が電気代をどのようにまかなうかによると同社は指摘した。

Rivianウェイポイントは、同社の顧客専用の3500超のDC急速チャージャーを設置するという計画のAdventure Networkとは別物だ。DC急速チャージャーは20分の充電で140マイル(約225キロ)の走行を可能にする。

Rivianの創業者、RJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏は辺鄙なところを含む充電ネットワークを構築するという願望をオープンにしてきた。これは便利な場所、そしてハイエンドな場所にもあるSuperchargerネットワークを所有するTeslaのような企業とは大きな違いだ。

「州間高速道路ではないところにRivian充電ロケーションを設置する機会に興奮しています。こうした充電ロケーションは、充電インフラのために通常EVを招いたり歓迎したりしない場所にあなたを誘ったり、あなたが訪れることができるようにします」とスカリンジ氏はTechCrunchのKirsten Korosec記者との広範にわたるインタビューで話した。「関心に基づいてルートを選べるという、キュレートされたドライブをどのようにクリエイトできるかについて、我々はかなりの時間をかけて検討してきました。旅の途中で1、2マイル、あるいは5マイルのハイキングのために車を停めたいのなら、あなたが取りたいルートがあり、その横に充電ロケーションがあります」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian充電ステーション電気自動車アメリカ

画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラのスーパーチャージャー充電ネットワークを2021年後半に他社EVにも開放とマスクCEO

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、2021年後半に同社のグローバルな充電器ネットワークを他社の電気自動車も利用できるようにすると、米国時間7月20日にツイートした。マスク氏は以前より、テスラがこのアイデアに前向きであることを示唆する発言を繰り返していた。

これまで、同社が2万5000台の充電器からなる「Supercharger(スーパーチャージャー)」ネットワークを、いつ、どのように開放するのか、詳細は明らかになっていなかったが、現時点でもわかっている情報は少ない。例えば、最初にどこの充電ステーションを開放するのか、どの自動車メーカーがテスラと合意しているのか、テスラのオーナーが優先されるのか、などの詳細は依然として不明だ。しかし、マスク氏は2021年末までに開始すると述べ、ようやくタイムラインのようなものを明らかにした。

さらに、別のツイートでは、テスラが充電器を設置しているすべての国で、最終的には他社のEVにもネットワークを開放すると述べている。テスラのスーパーチャージャー充電器は北米、アジア、欧州に加え、中東のアラブ首長国連邦とイスラエルにも設置されている。

多くの人が、なぜテスラは他社のEVと互換性がない独自の充電コネクタを作ったのかと、疑問を抱いているのはおかしなことです。イーロン・マスクが技術を進歩させていたときに、サポートしなかったのはどういうわけでしょうか。彼のチームはフリートを充電できる信頼性の高い手段を作り出したというのに。対処してください!

テスラティーノ

当時はまだ規格がなく、航続距離の長い電気自動車を製造するメーカーはテスラしかなかったので、私たちは独自のコネクターを作ることにしました。

低電力充電と高電力充電の両方に対応した、非常にスリムなコネクターです。

とはいえ、2021年の後半には我々のスーパーチャージャーネットワークを他のEVにも開放する予定です。

イーロン・マスク

テスラのスーパーチャージャーの技術を共有するか、あるいはその充電ネットワークを他の電気自動車にも開放するかということについて、マスク氏は何年も前から語ってきた。2014年の時点では、業界全体で使用できる互換性のある規格を構築するために、設計をオープンにしても構わないとマスク氏は語っていた。これが実現すれば、テスラと競合する他社の電気自動車が、スーパーチャージャーネットワークで充電できるようになる。

マスク氏はそれ以来、さまざまなイベントや決算説明会で、この件についてあれこれ発言してきた。2018年には、決算説明会で質問に答えて「スーパーチャージャーネットワークは壁に囲まれた庭ではない」と述べ、他のEVが使えないように設計されているわけではないということを表現する意味の発言をした。しかし、現時点でスーパーチャージャーが他社のEVと互換性がないことには注意する必要がある。

「壁に囲まれた庭にするつもりはないと、私たちは常に言い続けてきました。私たちは喜んで、他の自動車メーカーを支援し、当社のスーパーチャージャーステーションを利用してもらうようにしたいと思っています」と、マスク氏は2018年に語っている。「他の自動車メーカーは、使用量に応じた費用を負担するだけでいいのです。ただし、我々の充電出力を受け入れることができる性能や、あるいは少なくとも我々の充電コネクターに対応するソケットまたは変換アダプターを備えている必要があります。このように、私たちはすっかり受け入れる用意があるのですが、今までのところ、それを望む他の自動車メーカーは1社もありません。しかし、これは私たちが反対したからではありません。けっして壁に囲まれた庭ではないのです」。

電気自動車の急速充電に使用される一般的なコネクターには、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)とCHAdeMO(チャデモ)の2種類がある。CCSは、欧州や北米で近年普及が進んでいるオープンな国際規格の直流コネクタだ。

テスラは独自のコネクタを採用しているため、他社のEVがスーパーチャージャーネットワークを利用するためには、メーカーがそのEVのオーナーにアダプターを提供または販売する必要がある。しかし、欧州では事情が異なる。テスラは欧州で販売する「Model 3(モデル3)」には、CCS直流コネクタを採用している。つまり、欧州に設置されているテスラのスーパーチャージャー充電器は、CCSに対応したケーブルがすでに用意されているのだ。そのため、テスラが最初にスーパーチャージャーネットワークを開放する地域は、欧州になる可能性が高い。

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タグ:Tesla電気自動車Elon Musk充電ステーション

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMが商用EV向けのフリート充電サービスを開始、自宅での充電も支援

GMとその新たな法人向けEV事業部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)は、商用車のコネクテッド化と電動化を促進するために、新しいフリートチャージングサービスを開始すると発表した。

このサービスは、GMの将来に向けたEV計画の基盤となる新開発の電気自動車アーキテクチャーとバッテリーにちなみ「Ultium Charge 360(アルティアム・チャージ360)」と名付けられており、配送、販売、モータープールなどの事業者が必要とするさまざまなツールを提供する。その中には、商用車のドライバーが自宅で充電できるようにするために家庭用充電器を追加する取り組みも含まれる。

この充電サービスは、1月に設立されたBrightDropによる最新の取り組みだ。同事業部門は、FedEx(フェデックス)をはじめとする法人顧客に、電動車およびコネクテッド車のエコシステムを提供する。BrightDropはまず、2つの主要製品から展開を開始すると述べている。「EV600」と呼ばれる航続距離400キロメートルの電動商用バンと「EP1」と名付けられたポッド型の電動パレットだ。GMは2025年までに全世界で100万台のEV販売を達成するという目標を掲げており、BrightDropはそのための一環として設立された。

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GMとBrightDropは、商用バンに適切な電力を供給するための必要なインフラを提供できる企業として、Duke Energy(デューク・エナジー)のeTransEnergy(eトランスエナジー)、EVgo(イーブイゴー)、In-Charge Energy(インチャージ・エナジー)、Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)の4社とともにこの充電サービスを開始する。

家庭用充電器については、既存のQmeritt(キューメリット)との提携を拡大するとしている。

GMのEVインフラ担当主任設計者であるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏が記者会見で述べたように、このサービスはフリート事業の車両管理者にツールを提供することを目的としている。それは市場の重要な成長セグメントであり、電動化というパズルを完成させるための重要なピースでもある。

GMは「適切な顧客体験をどのように提供するか」について検討したと述べている。「例えば、フリートと呼ばれる法人所有車の中には、従業員が自宅に乗って帰る車両もあります。であれば我々は、このような企業や従業員が、自宅で充電する方法を解決するための支援を行わなければなりません」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GM電気自動車充電ステーション

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Electrify Americaが電気自動車の市場投入増加に合わせ北米で充電ステーション倍増へ

Volkswagen(フォルクスワーゲン、VW)が、ディーゼル車の排ガス不正問題に関する米国の規制当局との和解の一環として設立したElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ、EA)は、2025年末までに米国とカナダにおける電気自動車用急速充電ステーションの数を倍増すると発表した。

この取り組みが成功すれば、それまでに1800カ所の急速充電ステーション(充電器にして1万台)が設置・運用されることになる。その大部分(約1700ステーション)は米国に設置され、残りはカナダに設置される予定だ。これは、2021年末までに米国内に約800カ所の充電ステーションと約3500台の充電器を設置するというEAの計画に基づいている。7月13日現在、Electrify Americaは米国内に635カ所の充電ステーションを設置している。

この計画は、親会社であるVWグループが米国時間7月12日に発表した、北米、アジア、欧州における公共の充電インフラを増やすことの一環だ。この拡大で、150キロワットと350キロワットの充電器、つまり急速充電器の数を増やすことを目指す。VWとEAは、この新計画達成に向けどれだけ資金を費やすのかを明らかにしていない。しかし、EAの広報担当者は、20億ドル(約2200億円)を上回る金額を投じると認めた。これは以前同社が、2017年に始まる10年間のクリーンエネルギーインフラへの投資として約束した金額だ。

Electrify Americaの社長兼CEOであるGiovanni Palazzo(ジョバンニ・パラッツォ)氏の声明によると、北米での充電インフラを2倍にするという決定は、ほぼすべての自動車メーカーが電気自動車に関して見込む急速な成長が背景にある。

EV市場は、かつてはテスラや日産リーフ、GMのシボレー・ボルトEVなどが主役だった。現在、道路を走っている自動車の大半はガスやディーゼルエンジンを搭載しているが、フォード・マスタング・マッハE、ポルシェ・タイカンとクロスツーリスモシリーズ、ヒュンダイ・コナ・エレクトリック、ジャガー・Iペース、リヴィアンのR1TピックアップトラックとR1S SUV、VW ID. 4など、市場に登場した、あるいは登場しようとしている他のEVモデルが増えている。

Electrify Americaの当初の計画では、10年間で20億ドル以上(約2200億円)をクリーンエネルギーのインフラや教育に投資することになっていた。そのうち約8億ドル(約880億円)は、北米最大のEV市場であるカリフォルニア州に割り当てられた。今回の投資は、カリフォルニア州をはじめとする米国のEV地域での充電器増設に加え、ハワイ、ノースダコタ、サウスダコタ、ウェストバージニア、ワイオミング、バーモントなど新たな州への進出にも使われる。

また、中西部の高速道路にも充電器を設置し、国をまたいだ移動を促進する取り組みも行っている。子会社のElectrify Canadaは、サスカチュワン、マニトバ、ニューブランズウィック、ノバスコシア、プリンスエドワード島を含む9つの州にネットワークを拡大する。また、Electrify Canadaは、すでに進出しているブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、オンタリオ、ケベックにもステーションを増やしていく。

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タグ:Electrify America電気自動車充電ステーションアメリカVolkswagen

画像クレジット:Electrify America

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ニューヨークの電力網に負担をかけずに電動モペッドの電力を供給するためにRevelはゲーム化したアプリを利用

Revel(レベル)が、ニューヨーク市の電力網に負担をかけずに3000台以上の電動モペットへの充電を行うために、エネルギー使用をゲーム化したアプリを利用する。

ブルックリンを拠点とするこのスタートアップにとって、電気は重要な要素だ。最近同社のサービスは、電動モペッドの共有だけでなく、電動バイクのサブスクリプション急速充電インフラ、さらには電気自動車(EV)の配車サービスにまで拡大している。Revelが運用コストを可能な限り低く抑えるためには、単なる電力の利用だけでなく、電力を利用するタイミングも管理することが不可欠だ。

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そこで、登場したのがLogical Buildings(ロジカル・ビルディング)だ。このソフトウェア会社は、利用者が毎月のエネルギー消費量を減らし、それによって、現金報酬を得ることができるアプリGridRewards(グリッドリワーズ)を開発した。このアプリの「仮想発電所」ソフトウェアは、Revelが保有する車両の充電スケジュールを動的に調整し、ニューヨーク市の電力網の弾力的運用をサポートするのに役立つと両社は述べている。

RevelのCOOで共同創業者のPaul Suhey(ポール・スヘイ)氏は「当社は電動モビリティ製品を拡大していく中で、電力網の負債ではなく資産となることを計画しています」と述べる。「私たちのEVインフラと充電オペレーションは、ニューヨーク市がよりクリーンな電力網に移行する際に大きな役割を果たすことができます」。

電気自動車の導入やマイクロモビリティの共有サービスが増加しているため、多くの業界関係者がバッテリーと電力網間でのエネルギーを転送を模索している。EVのバッテリー交換を行うAmple(アンプル)は、同社の交換ステーションを緊急時のバックアップ電源として利用できるとしている。また、フォードの新型ピックアップトラック「 F-150 Lighting」も、停電時に自宅の電力を供給することができる。

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Revelの場合、電力網の解放が即座に必要な場合には、迅速に充電ステーションからの負荷を軽減する「デマンドレスポンス」(需要反応)オペレーションのようなサービスを提供したいと考えている。これは同社が先にニューヨークで実施したような運用だ。6月28日の猛暑の中で、Revelは需要のピーク時を避けるために、車両群の充電スケジュールを調整したのだ。

Revelによれば、エネルギー需要が高い時には、発電所から単位電力あたり2倍の二酸化炭素と20倍の窒素酸化物が排出されるため、ピーク時の需要を避けることで、よりクリーンな電力網の構築にもつながるという。

Revelまた、完全EV配車サービス用にTesla(テスラ)も所有しているが、このサービスは、市でのハイヤー新規導入に上限が設けられたため、サービスの停止を余儀なくされている。しかし現時点では、同社がこの技術を適用するのは電子モペッドに限定されている。

Logical Buildingsの業務担当副社長であるDavid Klatt(デビッド・クラット)氏は「交通機関の電化が進む中、電気モビリティ会社は電力網の弾力性を高めるための充電スケジュールを立てることが重要です」という。「Revelは、ニューヨーク市の円滑な電化と脱炭素化に道を開く、インテリジェントな充電オペレーションのリーダーとなるために必要な措置を講じています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:ニューヨーク電力網電動モペッドRevel電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Revel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

ボルボ、ダイムラー、トレイトンが約660億円を投じて全欧的な電気トラックの充電ネットワーク構築

Volvo GroupとDaimler Truck、およびVolkswagenの大型トラック別会社Traton Groupが米国時間7月5日に、電動の大型トラックとバス用高性能充電ステーションの全ヨーロッパ的ネットワークを作るための、法的拘束力のない協定を発表した。このニュースは、最初にロイターが報じた

ヨーロッパの大手自動車メーカー3社は、5億ユーロ(約658億1000万円)を投じて、戦略的に重要な地点やハイウェイの近くに1700カ所の充電ポイントを構築し運用する。協定の締結は年内とされており、2022年に運用を開始する。また将来的にはこの合弁事業のパートナーを増やして、充電ポイントの大幅増を狙っている。

このベンチャー事業は、2050年までにカーボンニュートラルな貨物輸送を実現するというEUの目標を実現する端緒となるものだ。個人や運輸企業でEV化が遅れている大きな理由の1つが、充電インフラャが未整備であることだ。そのインフラを作ることによって3社は、自社製の電気トラックやバスの売上増を狙っている。

Daimler TruckのCEOであるMartin Daum(マルティン・ダウム)氏は、声明で次のように述べている。「2050年までに、気候の中立性を実現することはヨーロッパのトラックメーカーの共同の目標です。その鍵を握るのは、業界が一致協力して正しいインフラを作り、路上にCO2ニュートラルなトラックを送り出すことです。私たちは、Volvo GroupやTRATON GROUPとともに全欧的な高性能充電ネットワークを構築します。開拓者としての第一歩を踏み出すことに、とてもエキサイトしています」。

VolvoとDaimlerのパートナーシップには前例がある。2021年5月に、互いに競合する両社は長距離トラック用の水素燃料電池の共同開発でチームを組み、開発コストの低減と生産量のアップを狙っている。この最新のベンチャーも、業界の気候関連の問題を大企業が共同で解決していく動きの1つだ。

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ヨーロッパの自動車産業の業界団体ACEAは、2030年までに最大5万基の高性能充電ポイントを、という目標を掲げている。TratonのCEOであるMatthias Gruendler(マティアス・グリュンドル)氏はロイターの記事で、ヨーロッパのインフラを完全にEV対応にするためには100億ユーロ(約1兆3162億円)が必要、と述べている。

Volvoが発表した声明によると、今回のベンチャー事業は、自動車メーカーや政府機関など自動車産業と関連のある者全員へ向けての、気候の目標に達するために必要な迅速な事業拡大とそのためのアクションを呼びかけるものだ。

この充電ステーションには特定のブランド名は表記されず、EV群を運用する者なら誰でも、ヨーロッパの長距離輸送で義務化されている45分間の休憩時間中の高速充電と、夜間充電の両方を利用できる。

この合弁事業は独自の社名でアムステルダムに本社が置かれる。株式を3社が同量保有するが、他の製品分野では互いの競合が続く。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:VolvoDaimlerTraton電気自動車トラックバスカーボンニュートラル充電ステーションヨーロッパ

画像クレジット:Volvo Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)