GMがディーラーと協力してEV充電ステーション4万基を北米で設置

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車の導入を促進するため、7億5000万ドル(約853億円)を投じて充電インフラを整備するという野心的な計画の一環として、北米全域に最大4万基の電気自動車用充電器を設置すると発表した。


このプログラムでは、GMは米国およびカナダの自動車ディーラーに充電器を提供する。しかし、ディーラーは自社の敷地内に充電器を設置するのではなく、適切な場所を特定してインフラの設置を行う。GMは、各ディーラーに最大10基のUltium充電ステーションを提供し、それぞれの地域に配備する。また、ディーラーが充電器を設置するためのインセンティブやその他の資金調達プログラムへの申請を支援するとしている。

GMのEVインフラ担当リードアーキテクトであるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏はTechCrunchに「ディーラーはすでに地元で活動していることが多く、この計画(Dealer Community Charging Programと呼ばれている)でGMはディーラーと提携することにしました」と語った。「ディーラーはすでに地域社会でかなり活発に活動しており、すばらしい関係を築いて地域社会のことをよく知っているので、それを活用しない手はありません」。

新しいインフラは「Ultium Chargers」と呼ばれ、GMの明確なブランド名を持つことになるが、TeslaのSuperchargingネットワークと違ってGMの4万基の新しいレベル2充電器は独自のネットワークではない。ケロス氏は、電気自動車の販売を促進するために、独占的なネットワークを展開することには興味がない、と明言した。

「我々の世界観は、『誰でも参加できる 』というものです。私たちは、海を育てるようにしたいのです」。

GMはまた、EV充電器メーカーのCTEKと共同で開発・製造した家庭用および業務用のUltium Level2スマートチャージャー3種を展開する。このうち2種は11.5kW、残る1種は19.2kWで、間もなく発売予定の電気自動車GMC HummerやCadillac Lyriqへの電力供給に最適だ。これらの充電器は、Dealer Community Charging Programで使用されるが、家庭での使用にも適している、とケロス氏は話した。

充電器にはWi-FiとBluetooth機能が搭載され、より強力なタイプにはカスタマイズ可能なスクリーンが搭載される。また、充電器は負荷を分散することができ、車両へのエネルギーの流れを安全に調整することができる。例えば、住宅に設置した場合、自動車と他の家電製品との間の電流のバランスを取ることができる。

GMのアプリ「Ultium Charge 360」を使えば、充電器の状態を把握したり、充電スケジュールを設定したりすることができ、充電の習慣や履歴などの統計情報を閲覧することも可能だ。このアプリではすでにGreenlots、Blink、FLO、ChargePoint、EVgo、EV Connect、Greenlots、SemaConnectなど北米の7つのネットワークの充電器を検索することができる。GMは、GM車と非GM車の間で充電体験がどのように異なるかについて詳細は明らかにせず、すべてのEVに対応するとだけ述べた。

GMは、コミュニティ充電プログラムの開始に合わせて、来年には充電器の販売を開始する予定だ。顧客は充電器の購入費用をGMファイナンシャル・リースや契約に組み込むことができる。

同社は、2025年末までに全世界で30種のEVを発売するという目標を掲げている。同年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約3兆9810億円)を投資する計画を立てており、その実現に向けて迅速に動いている。

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先の記者会見で、会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「入手しやすい価格のEV、真に手ごろ価格のEVを提供します。またそうした車両は多くの人々にとって唯一の自動車となり、信頼できる充電インフラを必要とするため、当社はエコシステムにも取り組んでいます」と述べた。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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