ユニコーン以上の価値があるWorkplaceにスピンアウトして欲しいVCと、それを手放したくないフェイスブック

Workplace(ワークプレイス)とは、もともとFacebook(フェイスブック)が従業員同士のコミュニケーションの場として作ったアプリである。友人や家族と楽しむためのものとして定着したFacebookと実質的に同じこのツールは、現在700万人以上のユーザーに利用されており、企業の社内コミュニケーションを支援するアプリとして地位を確立している。そして今、この人気を背景にWorkplaceには別の意味での注目が集まっているようだ。

Meta(メタ)に社名を変更する前、Facebookが企業投資家から「Workplaceをスピンオフして、スタートアップとしてバックアップさせて欲しい」という提案を受けていたという事実が浮上した。関係者によれば、この取引によってWorkplaceが独立していたら、少なくとも10億ドル(約1138億ドル)の「ユニコーン」として評価されていたとのことである。

情報源によるとこの話は進まなかったようだが、それは主にFacebook(現在はMeta)がWorkplaceを「戦略的資産」と見なしたからだという。MetaがFacebookやInstagram(インスタグラム)などのプラットフォーム上の広告から得ている数十億ドル(数千億円)に近い売上を、Workplaceが上げているわけではない。しかし、Metaの多様な側面を市場に強調するためには、Workplaceが重要なのだという。規制当局にとって、Facebook / Metaはあまりにも強力すぎるソーシャルネットワークなのであるのに対し、企業組織にとってFacebookは広告を販売する以外にもまだ多くのポテンシャルを秘めている存在なのである。

情報源によると「WorkplaceはFacebook(およびMeta)を大人っぽくみせてくれる」のだという。

MetaとWorkplaceの広報担当者はこの記事へのコメントを控え、何も伝えることはないと述べている。

どの投資家が関係していたかは明らかにされていないが、ある関係者によるとその企業投資家とは、資本注入を目的とした後期の成長ラウンド投資に重点を置く、エンタープライズに特化した投資家だという。

スピンアウトしたWorkplaceに出資しようという彼らのアプローチは、2021年レイトステージの投資家やプライベートエクイティの投資家らが成熟した大規模なテック企業を買収するために活動を活発化させていた時期(今もそうだが)と重なっている。Thoma Bravo(トーマス・ブラボー)は2021年、350億ドル(約3兆9840億円)を調達してこの分野でより多くの買収機会を得ようとしていたと報じられている(そしてそのためにさまざまな投資や買収を行ってきた)。2021年のプライベートエクイティによる買収総額は約800億ドル(約9兆円)に達し、2020年に比べて140%以上増加しているとBloomberg(ブルームバーグ)は推定している。

このペースは2022年も衰えそうにない。その中には、あまり主要ではなく収益性の悪い、どちらかといえば低迷中の資産を合理化してより多くの資本を回収しようと、大手テクノロジー企業に対して事業のスピンアウトを持ちかけるPE企業もある。ちょうど今日、Francisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)はIBM(アイビーエム)のWatson Health(ワトソン・ヘルス)事業を約10億ドル(約1138億ドル)で買収することを発表した

SaaS展開の足がかりを構築

Metaの場合、Workplaceをスピンアウトさせるためには、2つの面での展開が必要となる。

企業面では同社の解体を求める声が上がっている。2022年1月初め、米連邦取引委員会(FTC)がWhatsApp(ワッツアップ)とInstagramの売却を求める訴訟の継続を裁判所が認めた他、報道によるとVR部門が反トラスト法違反ではないかという別の調査も行われているという。一部の投資家や株主にとってこの状況はチャンスだが、Metaにとってはあらゆる資産の保持を正当化するための検討が必要になってくるだろう。

Workplaceはこの数カ月間、重要な岐路に立たされていた。

多くの人材が離職したのである。その中には、1月BREX(ブレックス)のチーフプロダクトオフィサーに就任したKarandeep Anand(カランディープ・アナンド)氏や、ロンドンのベンチャー企業Felix Capital(フェリックス・キャピタル)のパートナーに就任したJulien Codorniou(ジュリアン・コドルニウ)氏というトップ2人の幹部も含まれている。その他多くの人たちも、新たな旅路をスタートさせるため同社のビルを去っていった。

これはMetaのPRの失敗が原因なのではなく、むしろごく自然な現象なのだと私は聞いている。これまでここにいたのはWorkplaceを一から作り上げるために集められた人々だ。同社の製品が成熟し、より明確な焦点を持った今こそ、新たな人員が入社して次のステージに取り組むのに適切な時期であるのだという(私の個人的な意見だが、Workplaceの新リーダーであるUjjwal Singh[ウジワル・シン]氏は、今のWorkplaceを率いるのにふさわしい人物だと感じている)。

しかしそれとはに、Metaが常に世論からバッシングを受けていることで従業員が疲弊しているのではないかという報道もある。Workplaceもこれは人ごとではない。以前Workplaceは最大手のレストランチェーンと大きな契約を結んだと私たちは理解しているのだが、その顧客は昨秋、穏やかでないニュースの数々と「評判の問題」を理由にその発表を控えるよう求めてきたという。

「他のSaaS企業ではありえないことだ」とある人物はいう。

これはWorkplaceを親会社から切り離すための良い理由となったはずだし、スピンアウトへの一歩ともなりえただろうが、Metaはそうは感じていないようだ。

Workplaceは製品として展開された当初から、実は大きな変化を遂げている。

もともとFacebookの「仕事版」として設立されたWorkplace。Facebookの従業員がすでにFacebookを使ってプライベートなグループでコミュニケーションをとっていたのを発展させたもので、Slack(スラック)やその他の職場向けチャットアプリの台頭に対抗する形で登場した。何十億もの人々がすでにFacebookを利用しているのだから、 当然Workplaceに優位性があるだろうというのが同社の当時の考えである。異なる種類のユーザーをターゲットにした新サービスを導入し、広告収益ではなく有料化という異なるビジネスモデルを採用することで、同社にとって新たなビジネスの可能性の扉を開いたのだ。

時とともにWorkplaceの焦点が変わろうとも、この戦略が変わることはほとんどない。もともとWorkplaceは、SlackやTeamsに対抗するためにナレッジワーカーを対象とした他の職場生産性向上ツールとの統合を数多く導入していたのだが、時が経つにつれ、Workplaceは主にモバイルで雇用主とコミュニケーションをとるデスクレスワーカーに支持されるようになったのである。つまり、ナレッジワーカーとデスクレスワーカーの両方に対応するコミュニケーションアプリになることがWorkplaceのスイートスポットとなったのだ。

「Teams、Slack 、Workplaceのどれかを選んでもらうのではなく、両方持っていてもいいのではないかと気づいたのです。他の会社はナレッジワーカーのためのリアルタイムのメッセージングコミュニケーションを扱って、Workplaceはそうではないサービスをすべての人のために提供すれば良いのです」と関係者は振り返る。

そして、これが現在の Workplace の戦略の指針となっている。最近では、Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)の機能をプラットフォームに統合して補完を行っている他、先に、同社はWhatsAppとの新たな統合を発表した。これはすでに最前線のチームに人気があるのだが、今後はWorkplaceでのコミュニケーションのため、より正式なインターフェースとなるようだ。また、MetaのVR事業とPortal(ポータル)との統合やサービス提供も予定されているという。

同社が最新のユーザー数を公表するのは2022年の後半になる予定だが、ある関係者によるとWorkplaceのユーザー数は現在1000万人近くに達しており、Walmart(ウォルマート)やAstra Zeneca(アストラゼネカ)など世界最大級の企業もその顧客リストに含まれているという。

Workplaceはこれまでに独立型製品として販売されていたこともあるが「今後独立型のアプリケーションとして販売されることはないと思います」と関係者は話している。

その代わりに、例えばビジネスメッセージングとWorkplaceを組み合わせて販売したり、Facebookのログイン機能と組み合わせて販売したりと、Metaにはさまざまな可能性が広がっている(CRMのスタートアップであるKustomer買収の背景には、このような企業への幅広い売り込みがあると思われるが、この買収はまだ完了していない)。

Workplaceを手放す準備などもっての他で、Metaはより大きなSaaSビジネスを構成する足がかりとしてWorkplaceを位置づけているようだ。果たしてMetaは独立会社のように、そのチャンスを逃さずに動けるだろうか。それができなければVCが舞台のそでで出番を待っているのである。

画像クレジット:Workplace

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

MetaのWorkplaceがWhatsAppを統合、コミュニケーション機能拡充へ

もともと企業の従業員がコミュニケーションをとるためのソーシャルネットワークとして構築された、Facebook(現Meta)のアプリWorkplace(ワークプレイス)には700万人以上のユーザーがいる。特にフロントライン、デスクレス、デスクベースの従業員が混在する多国籍組織で、経営陣が従業員全員とつながりを保ち、従業員が互いに仕事についてチャットできる手段として支持されている。そして今、その利便性をさらに高めるためにさらなる機能を追加する。Workplaceは、Metaが所有する数十億人のユーザーを抱える人気のメッセージングアプリWhatsApp(ワッツアップ)との統合を間もなく追加し、Workplaceの顧客がメッセージングアプリを使ってお知らせをクロスポストしたり、その他のデータを従業員と共有したりできるようにする予定だ。

WhatsAppの機能は、2022年後半に稼働する見込みだ。メッセージング・コミュニケーションが最初の立ち上げの一部のようだが、同社は他の種類のWorkplaceや生産性機能をWhatsAppに統合する方法にも取り組んでいて、例えば、2020年11月にWorkplaceで最初にローンチされた、シフトワーカー同士がシフトを交換し、マネージャーとその計画システムをループ内に保つ方法であるShift Coverを統合することも検討している。

Workplaceの責任者Ujjwal Singh(ウッジワル・シン)氏は、正確な時期について具体的には述べなかった。どのように機能するかについて「詳細を詰めている」ところであり、いくつかの決定はまだなされておらず、焦点はその消費者向けアプリのDNAにあるものを法人向けサービスとしていかに活用するかだと説明している。

「これはしばらく前から取り組んでいたことです」とシン氏はインタビューで語り、この2社はFacebook傘下の同じ安定した会社だが、例えば2021年のWhatsApp API拡張など、WhatsAppが行ってきた異なるビジネスの発表の内容が最初に整う必要があったことを指摘した。また、顧客と一緒になって機能を構築してきた。「消費者向けアプリに出るものには気をつけたいのです。企業が安全に使える方法でやりたかったのです」。

WhatsAppにビジネス用途を、Workplaceに機能性を持たせるという動きは、どちらも久々の試みだが、両製品の幅広い戦略、そしてMetaの戦略全体と合致している。

Metaでは、顧客向けサービスとバックエンドの両方で、さまざまなアプリをより密接に連携させるというミッションを何年も前から掲げている。その戦略には、MessengerとInstagramのメッセージ機能を統合し、消費者がアプリを横断してコミュニケーションできるようにしたことも含まれている。また、WhatsApp for Businessを利用している企業は、例えばFacebookでコンタクトを開始し、WhatsApp上で直接会話を続けることができるようにするなど、ビジネス / 商業的な側面にも重点を置いている。このような取り組みは議論の余地がないわけではないが、それでも徐々に展開されてきた。

これにより、各プラットフォームの利用が増えるだけでなく、広告を出したり、WhatsApp for Businessのようなプレミアム製品を利用したりと、一般的にMetaでより多くの商業活動を行おうと企業に思わせる。また、Metaを単なるアプリ間の広告をベースとするコンシューマー向け製品とするだけではなく、Metaのためにより大きなユースケースを構築する可能性もある。

Workplace は当初、Slack(スラック)の台頭に対するFacebooの対抗策として始まった。多くの人がすでに仕事以外のやり取りに(そして仕事でも)Facebook を使っていて、社員も仕事の雑談や計画にFacebookが使えることを証明しているのに、なぜ新興企業に美味しいとこ取りをさせるのか、と考えた。

長期的に見ると、この最初の理論はFacebookの思惑どおりにはいかなかったようだ。当初、Workplaceを生産性向上のハブとして位置づけるために、Slackに見られるような多くの統合を導入し、ナレッジワーカー向けのコラボレーションやコミュニケーションに関する多くのネイティブ機能を追加した。しかし、最近では、やや焦点が変わってきているようだ。

まず、SlackやMicrosoft(マイクロソフト)のTeamsといった製品が引き続き存在し、評判を高めている。この変化に追随するように、Workplaceはこれらのプラットフォームとより密接に連携するようになった(直近では、動画機能などでTeamsを統合した)。第二に、Workplaceは「デスクレス」と呼ばれる、1日中コンピュータの前に座っているのではなく、携帯電話を主な手段として上司や同僚、組織全体とやり取りをするフロントラインワーカーや接客ワーカーに、新たなユーザーを見出した。

「米国外の多くのフロントラインワーカーは、仕事をこなすのにWhatsAppのような消費者向けツールを使っています」とシン氏は話す。「シフト管理にWhatsAppを使うのはその一部に過ぎない、というデータも持っています。データによると、フロントラインワーカーは意思決定をする経営陣から切り離されていると感じているようです。それがこの統合の重要なポイントです」。ここで同氏が言っているのは、同社が米国時間1月20日に発表した、Workplaceがどのように発展しているかを裏づける新しい調査についてだ。半数強(54%)のフロントラインワーカーが、組織の本部とつながっていると感じていると回答していることがわかった。これは、そのギャップを埋める方法としてWorkplaceやWhatsAppを構築することにチャンスを見出した理由の1つだ。

長期的には、このWhatsAppの統合と、同社がデスクレスワーカーにサービスを提供するために行っている幅広い動きは、BlinkYoobicのようにフロントラインの従業員と彼らの職場における特定の要件や機能をターゲットとした新しいアプリの波の中にWorkplaceを位置づけるものだ。Facebookがこのままシンプルなメッセージングコミュニケーションツールにとどまるのか、それともそうしたユーザーに特化した機能を構築し始めるのか、注目されるところだ。この分野は競争が激しい。2021年に2億ドル(約228億円)を調達したWhen I Work、7100万ドル(約81億円)を調達したHomebase、ホームサービスのプロに焦点を当てたWorkizWorkWhile、(2021年にSquareが買収したCrew、(2021年9月に上場申請した)Justworksなどが顧客争奪戦を繰り広げている。

画像クレジット:xPACIFICA / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

MetaがWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能に

Meta(旧Facebook)がWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能

Meta

Meta(旧Facebook)は11月10日(現地時間)、同社のコラボレーションプラットフォームWorkplaceとMicrosoft Teamsの連携機能を発表しました。Teams内からWorkpaceのコンテンツに投稿が可能になるほか、TeamsからWorkplaceグループに動画のストリーミング配信が可能となります。

TeamsとWorkplaceを利用しているユーザーは、Teams用のWorkplace連携機能をダウンロードすれば、すでに連携機能を利用可能となっています。ただし、Teamsからの動画ストリーミングに関しては、2022年初めに提供予定とのことです。

Microsoft TeamsのCVP Product & EngineeringであるJeff Teper氏は、「パンデミックから学んだことの一つが、企業は1つのツールだけに頼って仕事をしているわけではないということです。よって、企業が使用しているツールが統合され、相互運用されるようにすることは、この分野のリーダーとしての責任です」と連携の意義を語っています。

MetaとMicrosoftは以前からエンタープライズ製品では協力しており、ExcelやWord、PowrPointなどは、すでにWorkplaceで利用可能です。また、スマートディスプレイPortal Goの発表時には、12月にTeamsのサポートを追加するともしていました。

(Source:MetaEngadget日本版より転載)

世界的な障害が続く中、フェイスブックの株価も下落を続ける

Facebookの株価は米国時間10月4日、急落した。これは、Facebookが過去10年間で最悪の障害に見舞われたためだ。

株価は5%近く下落し、Facebookはサービス停止の原因を分析するための要素を整理し、投資家はサイトへの継続的なダメージがどのようなものかを計算しようとした結果、時価総額を数百億ドル(数兆円)減らした。Facebookの株価は2021年に急騰し、7月初旬には時価総額1兆ドル(約110兆円)に達したが、ここ数カ月は停滞しており、時価総額は9200億ドル(約102兆円)をわずかに下回っている。

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数時間から1日程度のダウンでも、一部のユーザーを競合サービスに移行させるには十分であり、現在、投資家は同社の株価が下落する中、この脅威を重く見ている。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)