フォードはCiscoと提携して電気自動車をビデオ会議の空間に

Ford(フォード)のEVピックアップトラック「F-150ライトニング」には最近、双方向充電機能が搭載され、万一のときに家庭用バックアップ電源として使えるようになった。今度は会議ソフトウェア「Webex」のメーカーであるCisco(シスコ)との新たな提携で、EVをオフィスのバックアップにしようとしている。

FordのJim Farley(ジム・ファーリー)CEOは米国時間3月22日「我々は全力で、スタートアップのスピードと限りないイノベーションをもたらす、お互いに独立しつつ補完するビジネスを構築しています」と発表した。同社がここ数カ月で発表した計画としては、EVとICE(内燃機関)事業の分離、2023年末までに年間60万台のEV生産、今後数年間でヨーロッパ市場に7種類の新型EV投入がある。

Fordがアメリカ人ドライバーの心をつかむには、2020年3月以来インターネットで最も頻繁に使われている用途であるオンライン会議を電気自動車に装備する以上に良い方法はないだろう。Fordの電気自動車プログラム担当バイスプレジデントであるDarren Palmer(ダレン・パーマー)氏は報道発表で「我々は人と人とがつながる方法を検討しています。人々が自動車を高品質のオフィスとして活用しコラボレーションをしない理由は見当たりません」と述べた。

そのためにFordとCiscoは提携して「SYNC4A(Fordのインフォテインメントシステム)のブラウザエクスペリエンスを開放」し、現在はHTML5セントリックのOS上でネイティブに動作するWebexアプリを開発中だ。パーマー氏は「Fordは電気自動車の次世代エクスペリエンスに向けてWebex by Ciscoで連携することに期待しています。Webexはセキュアで没入できるコラボレーションのエクスペリエンスを提供すると我々は考えています」と述べた。

家からビデオ会議に参加しているときに猫がウェブカメラの前に飛び出してくるのは、まあまあかわいいかもしれない。子どもが後部座席で誰が触ったとか触っていないとか大声で騒いでいるのは、あまりかわいくはない。このように大音量で妨害されることを防ぐために、将来のFordのEVにはWebexの「Optimize for My Voice(自分の声に最適化)」機能が搭載される。これは車内にいて会議に参加していない人はすべて自動でミュートする機能だ。ドライバーが注意散漫にならないように「Webexなどのコラボレーション機能は車が止まっているときだけ動作し、運転中はオーディオのみにします」とパーマー氏は述べた。両社はアプリの最終的なリリースのスケジュールを明らかにしていない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Kaori Koyama)

フォードが人の助けなしにロボットだけで3Dプリンターを操作することに成功、生産ラインのボトルネックを解決

Ford(フォード)のAdvanced Manufacturing Center(先端技術製造センター)は、異なるサプライヤーの機械同士が同じ言語で会話し、生産ラインの一部を自律的に操作できるようにするインターフェースを開発した。

自動車メーカーは何十年も前から、コスト削減と効率化のために製造工程にロボティクスを取り入れてきた。しかし、フォードの特許出願中のシステムは、ロボットが夜通し人手を介さずに3Dプリンターを操作することで、生産ラインの重要なボトルネックを解決するものだ。

この自律システムは、Carbonの3DプリンターとKUKA製ロボットが初めて同じ言語で会話できるようになり、生産工程に関わる他の機械とのコラボレーションの可能性を限りなく広げる。

これまでこの試みは、パフォーマンスパッケージを装着したMustang Shelby GT500(マスタング シェルビーGT500)スポーツカー用のブレーキラインブラケットなど、少量生産のカスタムカー部品の生産に役立っている。

「この新しいプロセスは、当社の製造施設におけるロボティクスの使い方を変える力を秘めています」と、グローバル製造技術開発ディレクターのJason Ryska(ジェイソン・リスカ)氏は述べている。

サプライヤーであるKUKAの車輪付きロボット「Javier」は、従業員が夜間に帰宅した後も、人間の介入なしに3Dプリンターを継続的に稼働させることができる。Fordによると、ロボットはプリンターのデータから常に学習し続け、自動車メーカーがより高い精度を達成し、誤差を減らすのに役立っているという。

「Fordの先端技術製造センターでは、Javierは完全に1人で3Dプリンターを操作する任務を負っています」とFordは声明の中で述べている。「彼は常に時間を守り、非常に正確な動作をし、充電のために短い休憩を取るだけで、ほぼ1日中働いています」。

通常、異なるサプライヤーの機器は、別々の通信インターフェースを使用しているため、相互作用することができない。Fordのシステムでは、異なるサプライヤーの機器同士が会話し、リアルタイムでコマンドやフィードバックを送ることが可能になる。

Carbon 3DプリンターがJavierに印刷物の準備ができたことを伝えると、Javierはそれを回収し、後で人間のオペレーターが回収できるように置いておく。

Fordは、通信インターフェースとロボットの正確な位置決めを支える技術について、複数の特許を申請している。このプロセスは自律的に行われるが、人間のオペレーターが3Dデザインをプリンターにアップロードし、機械のメンテナンスを行う必要がある。

画像クレジット:Ford

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Den Nakano)

フォードが欧州での新たなEV生産・販売計画を発表

2035年までに欧州でカーボンニュートラルの達成を目指すFord(フォード)は、欧州における電気自動車の販売計画を加速させている。

同自動車メーカーはドイツ時間3月14日、今後2年間で3台の新型電気乗用車と4台の新型電気商用車を欧州で発売すると発表した。また、2035年のカーボンニュートラル達成に向け、2026年までに欧州における電気自動車の年間販売台数を60万台以上に引き上げる計画も明らかにした。

これらのマイルストーンは、米国ディアボーンに本拠を置く自動車メーカーが最近発表した一連のEV戦略で最も新しいものだ。フォードは3月初め、2026年までに年間200万台のEVを生産するという世界的な目標に向け、従来の2025年までに300億ドル(約3兆5000億円)を電動化に投資するという計画を、2026年までに500億ドル(約5兆9000億円)へと引き上げると発表した。

その際、同社は現在「Ford Model e(フォード・モデルe)」と呼ばれているEV部門を「Ford Blue(フォード・ブルー)」と名付けられた内燃機関事業から分離すると発表している。

欧州向けの新世代電動モデルは、ドイツのケルンとルーマニアのクラヨーヴァにあるフォードの工場で生産される予定だ。

フォードは3月14日、韓国のバッテリーメーカーであるSK On Co.,Ltd(SKオン)およびトルコのコングロマリットであるKoc Holding(コチ・ホールディング)と、トルコに欧州最大級の商用車用バッテリー生産拠点を建設する非拘束的合意に達したことも発表した。

2023年、フォードはケルンで中型のオール電動クロスオーバーの生産を始める予定だ。2024年には、同工場の生産ラインに2車種目のEVモデルを追加する他、欧州で最も売れているフォードの乗用車「Ford Puma(フォード・プーマ)」の電動バージョンをクラヨーヴァで生産開始する。

欧州のベストセラー商用車ブランドである「Transit(トランジット)」ファミリーには、新たに4種類の電気自動車が加わる。新型「Transit Custom(トランジット・カスタム)」1トンバンと「Tourneo Custom(トゥルネオ・カスタム)」MPVは2023年に、よりコンパクトな次世代の「Transit Courier(トランジット・クーリエ)」バンと「Tourneo Courier(トゥルネオ・クーリエ)」MPVは2024年に導入される予定だ。

画像クレジット:Ford

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

PG&Eとフォード、家庭用バックアップ発電機としての電動トラックの可能性を開拓へ

Pacific Gas and Electric Company(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー、PG&E)とFord Motor Company(フォードモーターカンパニー)は、Fordの新しい電動ピックアップトラックF-150 Lightningが、カリフォルニア州の電力会社サービスエリア内の顧客宅にバックアップ電源を供給できるかを共同で調査する。

今週初め、PG&EはGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)と共同で似たような試験を行うと発表した。停電時に送電網からEVのバッテリーに電気を送ったり戻したりする双方向充電機能のテストが含まれる。電力会社は2021年、危険性の高い気象条件下で送電線が山火事を引き起こすのを防ぐために、何百、何千もの家庭や企業への送電を停止しなければならなかった。そこで、電力会社は自動車メーカーと協力して送電網に過度の負担をかけない方法を模索している。

PG&EのCEO、Patti Poppe(パティ・ポッぺ)氏は「私たちは今日、エネルギー産業と輸送産業が交差するところで、画期的な機会を目にしています。より多くの電気自動車と新しい充電技術が利用できるようになるにつれ、電気自動車と電力網の相互作用について理解を深め、どのように顧客をサポートするのが最善かを考えることが重要です」と声明で述べた。

Fordは、2021年5月に双方向充電機能を備えたLightningを製造する計画を発表した。Lightningでデビューするピックアップの9.6kWの車載発電機「インテリジェント・バックアップ・パワー」は、家庭の電力使用状況にもよるが停電時に最大10日分の電力を供給できるとPG&Eは話している。Fordはこれまで、フル充電で最大3日間、家庭の電力を供給できると発表していた。

Fordのインテリジェント・バックアップ・パワーは、停電時にLightningが接続されていれば自動的に家庭への電力供給を開始し、電力が復旧すれば再び充電に切り替えるというもので、2022年春に最初の設置が行われる予定だ。太陽光、バッテリー、エネルギーサービスを提供するSunrun(サンラン)がサポートする。同社はFordと提携しており、80アンペアのFord充電ステーションProとホームインテグレーションシステムを設置する。

少数の顧客宅への初期導入を通じて、PG&EはFordの技術を研究し、電力網への接続方法と、送電停止時の顧客の回復力を支援する方法を学ぶことを目指している。両社はその後、双方向充電技術のさらなる使用例を検討する予定だ。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォード、前を走るテスラに追いつこうとEV投資を約5兆7730億円に増額

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、EV事業向けの投資額を従来の2025年までに300億ドル(約3兆4645億円)という目標から、2026年まで500億ドル(約5兆7730億円)に引き上げる。このニュースは米国時間3月2日、Fordが2月上旬に行った2021年第4四半期決算説明会で触れたように、EV事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすることを確認した後、Jim Farley(ジム・ファーリー)CEOが発表した。

Fordが電動化投資額を引き上げるのは、この1年足らずで3回目となる。Fordは2021年5月にEV事業に220億ドル(約2兆5378億円)を投資することを発表しており、業界のリーダーであるテスラに追いつくために、財務的な強化を続けていることを示している。

Fordは「Ford Model e(フォード・モデルe)」と名付けた新しいEV事業を通じて、2026年には世界年間生産台数の3分の1に相当する200万台以上のEVを製造し、2030年までに総台数の50%を電動化する計画だとファーリー氏は述べている。ただし、John Lawler(ジョン・ローラー)CFOによると、次世代モデルの生産が始まる2025年までは利益を上げられない見込みだという。Ford Model eと、同社のより伝統的なICE部門であるFord Blue(フォード・ブルー)は、2023年までに別々の決算を報告する予定だ。

Fordは2022年、EVに50億ドル(約5768億円)を費やすと見込んでおり、これは2021年の倍である。

多くの業界アナリストは、FordがEV事業をスピンアウトすると予想しているが、ファーリー氏は、それが近いうちに実現することを示唆しなかった。しかし、それは将来的にその可能性がないということではない。

「ICE事業はキャッシュを生み出すために、EV事業はイノベーションにフォーカスするために必要なのです」とファーリー氏は語った。

Fordは2月に7万2000台の車両を受注し、前年同月の5万4000台を上回った。その大半はトラックとSUVだが、同社のEV販売台数は2月までに55.3%増加し、セグメント全体よりも速いペースで伸びているという。

画像クレジット:Ford

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

フォード、前を走るテスラに追いつこうとEV投資を約5兆7730億円に増額

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、EV事業向けの投資額を従来の2025年までに300億ドル(約3兆4645億円)という目標から、2026年まで500億ドル(約5兆7730億円)に引き上げる。このニュースは米国時間3月2日、Fordが2月上旬に行った2021年第4四半期決算説明会で触れたように、EV事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすることを確認した後、Jim Farley(ジム・ファーリー)CEOが発表した。

Fordが電動化投資額を引き上げるのは、この1年足らずで3回目となる。Fordは2021年5月にEV事業に220億ドル(約2兆5378億円)を投資することを発表しており、業界のリーダーであるテスラに追いつくために、財務的な強化を続けていることを示している。

Fordは「Ford Model e(フォード・モデルe)」と名付けた新しいEV事業を通じて、2026年には世界年間生産台数の3分の1に相当する200万台以上のEVを製造し、2030年までに総台数の50%を電動化する計画だとファーリー氏は述べている。ただし、John Lawler(ジョン・ローラー)CFOによると、次世代モデルの生産が始まる2025年までは利益を上げられない見込みだという。Ford Model eと、同社のより伝統的なICE部門であるFord Blue(フォード・ブルー)は、2023年までに別々の決算を報告する予定だ。

Fordは2022年、EVに50億ドル(約5768億円)を費やすと見込んでおり、これは2021年の倍である。

多くの業界アナリストは、FordがEV事業をスピンアウトすると予想しているが、ファーリー氏は、それが近いうちに実現することを示唆しなかった。しかし、それは将来的にその可能性がないということではない。

「ICE事業はキャッシュを生み出すために、EV事業はイノベーションにフォーカスするために必要なのです」とファーリー氏は語った。

Fordは2月に7万2000台の車両を受注し、前年同月の5万4000台を上回った。その大半はトラックとSUVだが、同社のEV販売台数は2月までに55.3%増加し、セグメント全体よりも速いペースで伸びているという。

画像クレジット:Ford

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

フォードが大規模な構造改革でEVと内燃機関のユニットを分割

Ford(フォード)は米国時間3月2日、電気自動車と内燃機関(ICE)自動車の異なる課題と機会により集中するため、大幅な組織再編を行うと発表した。この2つのユニットは、Fordの既存の企業傘下で運営され、現時点では、以前から噂されていたようなユニットのスピンアウトは行われない。2つの部門はFord Blue(フォード・ブルー)とFord Model e(フォード・モデルe)と呼ばれている。Ford Blueは、Mustang(マスタング)、F-150、Bronco(ブロンコ)などの既存および将来のICE車両を統括し、Ford Model eは、コネクティビティと電気自動車に焦点を当てる。

FordのチーフEVデジタルシステムオフィサー、Ford Model eのDoug Field(ダグ・フィールド)氏は「これは我々のビジネスのやり方の近代化における本当に大きな変化となります」と、述べた。

この変化のもと、同社は収益性の予測と営業利益率を引き上げた。Fordは、この構造改革もあり、2030年までに世界販売に占めるEVの割合が、従来のガイダンスの40%から50%になると見込んでいる。また、営業利益率は8%から2026年には10%に上昇する見込みだ。

Fordによると、この新体制は、118年の歴史を持つミシガン州の自動車メーカーに、スタートアップのスピードと、大量生産企業の深い専門性を持たせることを目的としている。

モデルeビジネスユニットは、フォードの膨大なエンジニアリングおよび製造資源を利用しながら、より迅速に電気自動車を開発・生産することを目的としている。また、Ford Pro(フォード・プロ)、Ford Blue(フォード・ブルー)、Lincin(リンカーン)を含むFordファミリーのすべての部位を対象としたコネクテッド・サービスを開発することも任務の1つだ。

Fordは、Ford Model eが発展していく間、Ford Blueが会社を支えるとみている。

「Ford Blueは、Fordの未来に資金を提供するFordの収益エンジンになります」と、チーフ・トランスフォーメーション&クオリティ・オフィサーのStuart Rowley(スチュアート・ロゥリー)氏は述べている。

Ford Blueは、2つの新しいユニットのうち、おそらくより興味深いものだろう。その存在は、Fordが化石燃料部門からできるだけ多くの収益性を引き出そうとしていることを示している。それには、それなりの理由がある。現在、Fordはどの自動車メーカーよりもダイナミックで人気のあるラインナップを揃えている。Ford Broncoは大ヒット商品であり、超低価格のFord Marverick(フォード・マーベリック)ピックアップは売り切れが続出するほどのヒット商品である。同様に、アメリカで最も歴史のある2つの車名、MustangとF-150は、市場セグメントのリーダーであり、競合他社にその座を明け渡す気配はない。

FordのCEOであるJim Farley(ジム・ファーレイ)氏は、Fordが内燃機関を諦めていないことを明らかにした。「そのことを強調したいです」と、ファーレイ氏は語った。「我々は内燃機関に投資するつもりです」。

このニュースにより、Fordの株価は下落し、プレマーケットの動きで5%近くも下落した。同社の株価は、1月に記録的な高値を付けて以来、下落していたが、それでも過去52週間で33%上昇している。

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(文:Matt Burns、翻訳:Yuta Kaminishi)

フォードとボルボがカリフォルニア州でEV用バッテリーの無償リサイクルプログラムに参加

Tesla(テスラ)の元CTOであるJB Straubel(J・B・ストラウベル)氏が創業したスタートアップRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)は、カリフォルニア州で電気自動車のバッテリーリサイクルプログラムを開始する。Ford(フォード)とVolvo(ボルボ)が設立パートナーとなる。EVの材料調達に圧力が高まっていることが背景にある。

基本的な計画は、Redwood Materialsがカリフォルニアのディーラーや解体業者と協力し、ハイブリッド車や電気自動車の使用済みバッテリーパックを回収するというものだ。ストラウベル氏によると、このプログラムはバッテリーを持ち込む側にとっては無料だ。バッテリーを回収し、適切に梱包して、ネバダ州北部にあるRedwood Materialsのリサイクル施設に輸送する費用は、パートナー企業であるVolvoとFordとともに、Redwood Materialsが負担する。同社は、車種に関係なく、カリフォルニア州内のすべてのリチウムイオン電池とニッケル水素電池を受け入れる予定だ。

「今は混乱していて、人々にとってすばらしい、つまり明白で明確な解決策がないのです」とストラウベル氏はいう。「これは、私たちが変えたいことの本当に重要な部分です。最初はアメリカの誰もが、そしてゆくゆくは世界の誰もが、非常に簡単にバッテリーをリサイクルし、材料がかなり高い割合で回収されるようにしたいのです」。

同社は、スクラップ回収業者やディーラーがバッテリーの回収を組織化するために利用できるポータルを立ち上げた

このパイロットプログラムはまだ初期段階にあり、いくつかの部分は明確に定義されていない。

「強調したいのは、私たちはこのすべてにおいて学習中であり、これはちょっとした西部劇だということです」とストラウベル氏は話す。「少し複雑であることが、これまで実現しなかった理由の一部かもしれないと考えています」。

Redwood Materialsは、循環型サプライチェーンの構築を目指し、2017年に創業した。同社は、携帯電話のバッテリーやノートパソコン、電動工具、パワーバンク、スクーター、電動自転車などの家電製品だけでなく、バッテリーセル製造時に出るスクラップもリサイクルしている。そして、これらの廃棄物を加工し、通常は採掘されるコバルト、ニッケル、リチウムなどの材料を抽出し、それらを再びパナソニックやAmazon(アマゾン)、Ford、テネシー州のAESC Envisionなどの顧客に供給している。

目的は、クローズドループシステムを構築することで、最終的に電池のコストを削減し、採掘の必要性を相殺することにある。

現在市販されている電気自動車には、リチウムイオン電池が搭載されている。電池には2つの電極がある。一方がアノード(負極)で、もう一方がカソード(正極)だ。真ん中に電解液があり、充放電の際に電極間でイオンを移動させる運び屋として働く。アノードは通常、黒鉛でコーティングされた銅箔でできている。

自動車メーカーが電気自動車の生産を拡大し、やがて内燃機関を搭載した自動車やトラックに取って代わるようになると、電池とその材料の需要が急増すると見込まれる。自動車の電動化に取り組む主要自動車メーカーのほぼすべてが、バッテリーセルメーカーやその他のサプライヤーと提携を結び、サプライチェーンの強化に努めている。

2022年初め、既存のパートナーであるパナソニックは、Redwood Materialsとの関係拡大の一環として、Teslaとともに運営するギガファクトリーで製造するバッテリーセルに、2022年末までにリサイクル材をもっと使うと発表した。

Redwood Materialsは、バッテリーセルのアノード側の重要な構成要素であるリサイクル材から製造された銅箔のパナソニックへの供給を始める。Redwood Materialsは2022年前半に銅箔の生産を開始する。銅箔はパナソニックに送られ、年末までにセルの生産に使用される予定だ。

画像クレジット:Screenshot/Redwood Materials

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードマスタングMach-E、テスラのModel 3を抜いてコンシューマー・レポート誌の「最も推薦できるEV」に選出

Tesla(テスラ)の「Model 3(モデル3)」は、過去2年間にわたって「Consumer Reports(コンシューマー・レポート)」誌の「最も推薦できるEV」に選ばれてきたが、同誌は今回、新たなチャンピオンを宣言しようとしている。CRは、Ford(フォード)の「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」がModel 3を押しのけて、コンシューマー・レポート誌のトップピックEVに選ばれたことを明らかにした。CR編集部によると、このマスタングのクロスオーバーは「より実用的」であるだけでなく、発売年度の信頼性が高く、基本的な操作に複数の手順を必要としない「はるかに簡単な」インフォテインメントシステムを備えているという。乗り心地の良さや騒音が抑えられていることも評価された。

関連記事:【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

また、フォードの運転支援技術「BlueCruise(ブルークルーズ)」は、運転者監視システムがテスラより効果的で、これが車両スコアに加算されることも、Mach-Eの首位に貢献した。テスラの運転支援技術「Autopilot(オートパイロット)」は、ドライバーが目を離している間も機能してしまうことが減点の対象となった。

それでもコンシューマー・レポートは、Model 3のスポーツカーのようなパフォーマンス、長い航続距離、充電ネットワーク、テクノロジーなどを評価し、依然として推薦車種に挙げている。しかし、Mach-Eの直接的なライバルである「Model Y(モデルY)」は、EVトップピックとして推薦できないと、CRには判断された。このテスラのSUV風モデルは、ラインアップの平均的な車種よりも信頼性が「はるかに低く」、平均的と評価されているModel 3よりも明らかに劣るという。

これは、長年にわたりCRとあまり友好的ではない関係を築いてきたテスラにとって、喜ばしいことではない。両者はこれまで、テスト結果を巡って何度か論争し、CRはいくつかのモデルの推薦を一時的に取り下げたこともある。しかし、今回の評価は、テスラのなかなか消えない信頼性に対する懸念が反映されたものになっている。このEVメーカーは、最近数カ月の間に相次いでリコールを行っており、オーナーからは製造品質の問題が頻繁に報告されている。これだけがテスラを首位から陥落させた原因ではないかもしれないが、同社の足を引っ張ったことは確かだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:MATT BURNS

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードの電気自動車への移行はコスト削減が中心となる

フォードの新しい電気自動車(EV)モデルは、最高経営責任者のJim Farley (ジム・ファーリー)氏が 「信じられないほどの需要」と呼ぶほど好調だが、同社はその需要を満たしつつ利益率の改善を図る中で、コスト削減をEV戦略の重要な要素に位置づけた。

米国時間2月3日に行われた第4四半期および通期の決算説明会で、ファーリー氏は、フォードがバッテリー電気自動車(BEV)の部品表を「通常の部品コスト削減を超えて大きく」削減するためのタスクフォースを設置したことを明らかにした。

「例えばMustang Mach-E(マスタング・マッハE)では、私たちのチームは先月だけで、1台あたり1000ドル(約11万5000円)のコスト減の機会を見つけました。これは、設計の簡素化、垂直統合、生産の拡大にともなうサプライチェーンでの規模の活用によって意図的に実現してきたものです」とファーレイ氏は述べている。「そしてチームはまだ始まったばかりなのです」。

注目すべきは、フォードがコスト削減や効率向上につながる変更を行うために、第2世代のクルマまで待ってはいないという点だ。

ファーレイ氏は、Mach-Eの製造過程で、エンジニアリング、サプライチェーン、製造の各部門をよりよく統合することで、フォードは利益を拡大できる方法を学んだのだという。例えばMach-Eの冷却システムは、モーターが2個で済むところを4個使用していたり、ホースが60本もしくは70本もあるが、実際にはその3分の1で十分に機能するとファーレイ氏は指摘する。

「それらは今まさに追い求めているチャンスなのです。2023年を待つつもりはありません」と彼はいう。「マイナーチェンジ を待つのではなく、この車両を今リエンジニアリングして、そのノウハウをLightning(ライトニング)やE-Transit(イー・トランジット)、そしてもちろんすべての電動プラットフォームへ活用していきます」。

フォードのCFOであるJohn Lawler(ジョン・ロウラー)氏は、同社のBEVのマージンを改善する必要があると述べている。

「私たちにはチャンスがありますが、それを大規模にやらなければならないのです」とロウラー氏はいう。「現在のMustang Mach-EやLightning、そして商用車のE-Transitのような、大量生産されるセグメントの主要な車両で、頼りになる強力なラインナップを持ちたいと考えています。複雑さを削減していくのです」。

フォードF-150LightningトラックとE-Transitバンはまだ市場に出ていないが、バンは2022年1月末から納車が開始される予定だ。現在のフォードのBEVポートフォリオは、Mustang Mach-Eだけだが、2021年発売されて以来、このクロスオーバーEVの販売は加速している。2022年の1月だけでMach-Eは2370台を販売した(前年同月は238台)。

コストを下げるためには、明らかにオペレーションを拡大することが有効だが、そのためには多くの先行投資が必要となる。

フォードとバッテリーメーカーのSK Innovation(SKイノベーション)は、114億ドル(約1兆3000億円)を投じてテネシー州とケンタッキー州に2つの工場を建設し、バッテリーや次世代電動Fシリーズトラックを生産する計画で、1万1000人の新規雇用を創出するとしている。フォードはこのプロジェクトに70億ドル(約8047億2000万円)を拠出するが、これは118年の製造の歴史の中で単一としては最大規模の投資となる。この投資は、先に発表した2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4488億円)を投入する計画の一環である。

ファーレイ氏は内燃機関(ICE)車事業を、成長著しいEV事業とは別の事業と位置づけているもの、フォードは内燃機関車事業のコスト削減にも力を入れている(Transitバンのように両セグメントにまたがるモデルもあるが)。フォードの利益は依然としてICEモデルが中心であるため、この点は重要なポイントだ。

ロウラー氏は「ICEビジネスでは、車両に対する計算を活用して、製造コストを大幅に削減し、業務を簡素化し、それを車両のボトムラインに還元していきます」と語り、パートナーと協力して流通コストを削減する方法も検討していると述べている。

健全なICEビジネスへの投資を継続することの目的は、健全なBEVビジネスの成長を促進することだとファーリー氏は述べ、ICE車の将来の製造は、フォードの電動化に注入できるキャッシュリターンを最適化することに主眼を置いていると語る。

フォードは、2020年の第4四半期に計上した28億ドル(約3222億6000万円)の損失から一転し、2021年第4四半期には123億ドル(約1兆4140億円)の純利益を計上した。このフォードの利益には、2021年11月に上場したEVスタートアップ企業Rivian(リビアン)への投資による82億ドル(約9427億5000万円)の利益が含まれている。Rivian社からの利益を除いた調整後の第4四半期の利益は20億ドル(約2299億4000万円)となる。第4四半期の売上高は、5%増の377億ドル(約4兆3344億円)だった。

通年でみたときにはフォード純利益は179億ドル(約2兆581億円)で、これは2020年の12億7000万ドル(約1460億2000万円)の赤字から改善している。

フォードの業績がアナリストの予想に届かなかったため、時間外取引でフォードの株価は4.37%下落している。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

車上荒らし防止に取り組むFordとADTのジョイントベンチャー企業「Canopy」

自動車メーカーのFord(フォード)と、ホームセキュリティやビジネスセキュリティ、アラーム監視サービスを提供するADTは、現在の車両セキュリティの脆弱性に対処することを目的としたジョイントベンチャーCanopy(キャノピー)を立ち上げた。

Canopyはまず、車両に取り付けて周囲を監視し、盗難や破壊行為などの問題をドライバーに警告するアフターマーケットアクセサリーを提供する予定だ。

車両に内蔵されたアラームシステムは、盗難の抑止に役立つ場合もあるが、決して安全とはいえない。2020年、FBIは自動車盗難によって74億ドル(約8479億円)の損失が発生したと推定しており、これには自動車そのものとその内容物の盗難が含まれている。Canopyの製品は、過去10カ月間、米国のトラック運送会社や英国の貨物バンなどで試験運用されており、フォードの車両カメラシステムの専門知識とADTの監視サービスを組み合わせて、商業・小売業の顧客が車両盗難を回避できるようにすることを目的としている。

Canopyは、ADTにとって初の自動車セキュリティへの進出であり、他社と協力して新しい輸送技術を迅速に構築、買収、試験運用するFordの新しいベンチャーインキュベーターであるFordXの製品だ。2018年、FordXはドックレスeスクーターのシェアリング企業であるJelly(ジェリー)を手がけ、これがFordによるSpin(スピン)買収の基礎となった。Canopyは、従来のビジネスライン以外で拡張性のあるモビリティソリューションのポートフォリオを拡大するフォードの戦略の次のステップとなるようだ。

Canopyの自己吸着型アクセサリーは、あらゆる車種に対応し、2023年初頭までにオンラインとさまざまな実店舗で販売される予定だ。カメラ、レーダー、音響センサーなどのセンサーを用いて、クルマの周囲に関するデータを収集する。そして、車内とは独立したOSがデータを処理し、LTEやWi-Fi経由でクラウドサーバーに共有します。ADTのモバイルセキュリティおよび戦略的プロジェクト担当副社長Leah Page(リア・ペイジ)氏によると、盗難の可能性がある場合は、モバイルアプリやADTの5000人のモニターエージェントに報告されるという。

「ADTが製品にもたらす要素について考えると、それはまさにAIソリューションの導入を支援することです」と、ペイジ氏はTechCrunchに語った。「つまり、鳥が通り過ぎるのと、誰かがトラックの荷台に侵入して何かを盗むことの違いがわかるということです。そのような事象が発生すると、ADTに情報が入り、監視員がどう対応すればよいかがわかります。状況に応じて、オーナーや緊急連絡先への通報から、警察への通報まで、あらゆる対応が可能です」。

今後、Canopyは、クルマのハードウェアに統合し、そのクルマのカメラとセンサーに依存して同じ安全機能を実行する別の監視システムをリリースする予定だ。FordがCanopyの最初の統合企業となるが、Canopyのすべての技術をどの自動車メーカーでも利用できるようにすることが目的だ。

「このサービスを顧客にとって本当に意味のあるものにするためには、マルチメーカーで、現在すでに路上を走っているクルマのセキュリティの懸念に対応できるような方法で行う必要がありました」と、FordXのディレクターでCanopyの暫定CEOであるChristian Moran(クリスチャン・モラン)氏はTechCrunchに語った。「私たちは、ターゲットであるトラックやバンなど、無数の車種に対応できる1つのソリューションを検討しています」。

Canopyは当初、高価な貨物を運ぶ大規模な運送会社と、トラックの荷台に数千ドル相当の工具や機器を積んでいて、しばしば盗難の被害に遭う中小企業のオーナーの両方を考えて、商業顧客に焦点を合わせていた。来年早々には、このような顧客が最初のターゲットとなる。しかし、試験運用を通じて、一般消費者向けの使用例も出てくるようになった。

「トラックやバンの荷台に自転車やカヤックを積んでトレイルに出かける人たちから、これらのものは非常に高価なものなので守って欲しいという、非常に大きなフィードバックがありました」とモランは述べた。「さらに、これは当初の機能ではありませんでしたが、試験運用の参加者の多くから、夜間、外が暗いときにクルマの周りをライブストリーミングするのがお気に入りの機能の1つであるという声を聞きました。つまり、誰もいない暗い駐車場に入って、アプリを使って自分のクルマの周りを見ることができることを想像してみてください」。

試験運用の間、Canopyは2つの異なる盗難未遂の証拠をクルマの所有者に渡すことになったとモランはいう。そして、顧客が警察や保険会社と協力するためにCanopyの映像を使うことができると付け加えた。

FordとADTは、このジョイントベンチャーにFordが6300万ドル(約72億円)、ADTが4200万ドル(約48億円)の合計1億500万ドル(約120億円)を投資している。この資金は、英国と米国の製品、エンジニアリング、市場開拓の各チーム全体の雇用に充てられる他、アフターマーケット製品のサプライチェーンと物流を整備し、今後数年間で規模を拡大できるようにする予定だ。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Yuta Kaminishi)

フォードがeコマースを拡張するためにオンライン決済Stripeと5年契約を締結

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、自動車関連のeコマースおよび決済体験を拡張するため、オンライン決済プラットフォームのStripe(ストライプ)と5年間の契約を締結した。Stripeは車両を注文・予約する際の決済手続を円滑にするだけでなく、フォードの法人顧客のために融資オプションを提供したり、顧客がウェブサイトから支払いを行った場合、それを地元のフォードや(同社の高級車ブランドである)Lincol(リンカーン)のディーラーに正しく伝達する役割を果たすことになる。

フォードによると、同社は2022年後半よりStripeの技術を導入する予定で、まずは北米から始めるが、欧州で展開することも計画しているという。Stripeは2021年、評価額950億ドル(約10兆9000億円)で6億ドル(約690億円)の資金調達ラウンドを実施しており、その資金を欧州への事業拡大に充てると述べていた。

関連記事:決済サービスStripeが評価額10兆円超で約655億円調達、欧州事業の拡大に注力

Stripeとの提携は、フォードが2025年までに300億ドル(約3兆5000億円)の投資を予定している電動化と成長戦略の大規模な再建計画「Ford+(フォード・プラス)」の一環だ。この戦略的な決定は、特に新型コロナウイルスの影響で自動車メーカーが顧客の要求に応える能力が低下したため、自動車業界の多くが短期的にリターンを得られる可能性の高い技術に投資しようとしている動きと軌を一にしている。フォードとリンカーンは、最近ではAmazon(アマゾン)のFire TVのような、多くのサブスクリプションサービスを追加しようとしており、この自動車メーカーが強固なデジタル決済プラットフォームを確立しようとすることは理に適っている。

関連記事:2022年、Amazon Fire TVがもっと多くのクルマに搭載される

「成長と価値創造に向けたFord+計画の一環として、強力な専門知識を持つプロバイダーをどこに導入するか、そしてお客様のためになる差別化された常時接続型の体験をどこで構築するかということについて、私たちは戦略的な決定を行っています」と、フォードの金融サービス部門であるFord Motor Credit Company(フォード・モーター・クレジット・カンパニー)のMarion Harris(マリオン・ハリスC)EOは声明で述べている。「Stripeが開発してきたユーザー体験の強力な専門技術は、当社のお客様に簡単で直感的かつ安全な決済プロセスを提供するために役立ちます」。

他にもDeliveroo(デリバルー)、Shopify(ショッピファイ)、Salesforce(メールスフォース)などの著名顧客を持つStripeのプラットフォームは、フォードの製品やサービスの技術スタックにおいて重要な部分を占めることになると、同社では述べている。この決済処理システムは、電気自動車の充電サービスを含め、フォードのさまざまな電子商取引上の決済において、さらなる効率化を促進させるはずだ。

これまでのところ、投資家はFord+計画に肯定的な反応を示している。2021年には、Tesla(テスラ)やGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)、さらには新たに上場して過度に騒がれたRivian(リビアン)を抑え、フォードは最も優良な自動車株となった。先週、フォードの時価総額は初めて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えた。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を倍増へ

Ford(フォード)は米国1月4日、顧客の需要に応えて2023年半ばまでに、次期電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力をほぼ倍増させて年間15万台とすると発表した。

F-150 Lightningトラックは、税制優遇措置適用前の仕向け地費用を含まない基本価格が3万9974ドル(約464万円)で、ミシガン州ディアボーンのルージュ電気自動車センターで生産される予定だ。

この新しい電動ピックアップトラックに約20万件の予約(実質的には車両購入前の返金可能なプレースホルダー)が入っていることを受け、同社はこの決定を下した。こうした需要が本物かどうかが試されるのは、同社が今週末、予約権保持者の第一陣にトラックの注文を呼びかけるときだ。

予約は段階的に解除され、今後数週間から数カ月でより多くの顧客が注文の機会を知らされるはずだと、同社は述べた。招待状はEメール、またはFord.comのアカウントにログインすることで送られてくる。

生産がさらに増えるということは、当然部品も増えるということだ。Fordはバッテリーセル、バッテリートレイ、電気駆動システムなど、EVに必要な部品の生産能力を高めるために、主要サプライヤーや自社の製造施設ローソンビル部品工場、ヴァンダイク電気パワートレインセンターと協業しているという。

画像クレジット:Ford

一方、F-150 Lightningの開発は進んでいる。同社によると、Lightningは今週、2022年後半の量産開始に向けてプリプロダクションの最終段階に入ったとのことだ。これらの生産レベルのトラックは、実環境でのテストに使用される。顧客に販売するF-150 LightningおよびF-150 Lightning Proの最初の納車は今春始まる予定だ。

今回の発表の数週間前に、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は2023年までに現在の生産能力の3倍を目標に、2022年に電気自動車のMustang Mach-Eを増産する計画だと述べていた。

Fordは2021年11月に、電気自動車の生産能力を2023年までに世界で60万台まで引き上げると発表した。この目標はMustang Mach-E、F-150 Lightning、商用E-Transitバンに分散される見込みだ。Fordがこの60万台という数字を達成すれば、今後2年間に生産する予定の台数の2倍になる。

同社は、2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4810億円)超を投じると明らかにした。この投資には、SK Innovation(SKイノベーション)と共同でバッテリー工場を新設するための114億ドル(約1兆3230億円)も含まれている。テネシー州に1つ、ケンタッキー州に2つある工場では、次世代Ford車とLincoln車の動力源となるリチウムイオンバッテリーを生産する予定だ。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォード、EV「マスタング・マッハE」の生産能力を2023年までに3倍に

Ford(フォード)は2022年、EV(電気自動車)「Mustang Mach E(マスタング・マッハE)」の生産を拡大する。「驚異的な需要」に対応するため、2023年までに現在の生産能力を3倍にする計画だと、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏が米国時間12月10日遅くにツイートした。

マスタング・マッハEの具体的な見通しが示されたのは、今回が初めてだ。

Fordは11月、2023年までにEVの生産能力を世界で60万台に引き上げると発表した。この目標の中には、Mustang Mach E、F-150 Lightning、Eトランジット商用バンの台数が含まれる。60万台という数字は、Fordが今後2年間で見込んでいた生産台数の2倍だ。

ファーリー氏はこうツイートした。「驚異的な需要に応えられるほどにMustang Mach Eを迅速に生産するのは難しいと思いますが、必ず挑戦します。2022年から生産量を増やし、2023年には北米と欧州で年間20万台以上の生産を見込んでいます。2021年の生産量の3倍にあたります」。

FordはTechCrunchに対し、一部車種をメキシコのクアウティトラン工場で製造すれば、Mustang Mach Eの生産台数を増やせると述べた。

ツイートと同じ日に、Automotive Newsの報道があった。同誌は、Fordがサプライヤーに送ったメモに基づき「Explorer(エクスプローラー)」と「Lincoln Aviator(リンカーン・アビエイター)」クロスオーバーのバッテリーEVバージョンの生産開始を約18カ月遅らせていると報じた。いずれのEVバージョンも、メキシコのクアウティトラン工場で組み立てられる予定だった。

フォードはこれまで、Mustang Mach Eの生産初年度(2021製造年度)の販売台数は、北米と欧州で5万台程度になると予想していた。同社の最新の販売データによると、欧州では第3四半期末までに1万5602台米国では11月末までに2万4791台のMach Eを販売した。合計4万393台の販売であり、目標としていた5万台の販売は達成するはずだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードとリビアンがEVの共同開発計画を中止

Ford(フォード)とRivian(リビアン)が、EV(電気自動車)を共同開発する計画を断念した。Automotive Newsのインタビューで、フォードのCEOである Jim Farley(ジム・ファーリー)氏は、2023年末までに年間60万台の電気自動車を生産するという目標にフォード単独で取り組むと語っている。

フォードがRivianに5億ドル(約570億円)の投資をした2019年には、両社はRivianの「スケートボード」パワートレインを利用したフォードブランドのEVを共同で生産すると発表していた。だが2020年初頭には、パンデミックを理由にリンカーンブランドのEV開発を中止していた。当時は、Rivianの技術をベースにした「別の車両」の開発を進める予定だと語っていた。現在では、そのプロジェクトも進まないこととなった。

ファーリー氏はAutomotive Newsに対し「すでに私たちは電気自動車の分野で勝つことができるという自信を深めています」と語っている。「私たちの現在の状況と元々投資を行ったときの状況を比べてみると、私たちの能力やブランドの方向性などの多くの点で変化がありました。そし私たちにとっては取り組むべきことがはっきりとしてきたのです」。

ファーリー氏によると、フォードとRivianがプロジェクトを進めないことを決めた理由の1つは、両社のハードとソフトを組み合わせる作業が複雑だったからだという。今回の決定が両社の関係に影響を与えることはないとしている。

Rivianの広報担当者は「フォードが独自のEV戦略を拡大する一方で、Rivianの車両に対する需要も高まったため、お互いに独自のプロジェクトと出荷に集中することを決定しました」と述べている。「フォードとの関係は私たちの旅の重要な一部ですし、フォードは電動化された未来への共通の道を歩むための投資家であり味方であり続けます」。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)

フォードがクラシックカーを電気自動車化するためのモーターキットを約44万円で発売

ヴィンテージカーを電動化するためにアフターマーケットのEVモーターを販売しているのはChevy(シボレー)だけではない。Ford(フォード)が米国時間11月2日に発表した「F-100 Eluminator(F-100イルミネーター)」と呼ばれるコンセプトトラックは、1978年型の古いピックアップトラックに、同社が新たに「Eluminator」の名前で発売するクレート(単体売り)モーターを車体の前後に搭載してアップグレードした車両だ。

このパワープラントは、2021年型の電気自動車「Mustang Mach-E GT Performance Edition(マスタング・マックE GTパフォーマンス・エディション)」に搭載されているものと共通で、最高出力480馬力と最大トルク860Nmを、旧いF-100ピックアップ・トラックに与えることになる。フォードはその加速性能や航続距離などの詳細な数値を明らかにしていないものの、これだけのパワーがあれば、いくつものスポーツカーを置き去りにできると考えていいだろう。

Ford Performance(フォード・パフォーマンス)がショーケースとして製作したこのトラックには、モーター以外にも、Mach-Eの縦型センタースタックタッチスクリーンを取り付けるなどの改造が施されている。足元にはForgeline(フォージライン)社製のカスタムアルミホイール、インテリアにはJJR Fabrication(JJRファブリケーション)社製のビレットアルミダッシュ、MDM Upholstery(MDMアップホールスタリー)社製のアボカドタンニングレザーなどのカスタマイズも見られる。外観はクラシックなトラックでも、中身もそうであるとは限らない。

ご想像どおり、このコンセプトトラックを購入することはできない。代わりにフォードは、このEluminatorモーターを3900ドル(約44万円)で販売し、自分のクルマを改造する人に利用してもらいたいと考えている。最終的にはバッテリーやコントローラー、トラクションインバーターなど、EV化の改造に必要なものをすべて提供することを計画しているというが、現時点でモーターを購入したいと思う人は、残りのパズルを自分で完成させるだけのリソースが用意できる場合のみだろう。しかしこれは、我々の愛する多くの内燃機関の自動車が、EV化によって第二の人生を得るという未来を垣間見せてくれる。

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編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードの電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台突破

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、全電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台を突破したことを明らかにした。

同社はF-150 Lightning発表以降、返金可能な前金100ドル(約1万1000円)での予約を受け付けている。予約開始初日には2万件を受け付け、その数は2日目には4万4千件となった。6月末までに12万件の予約が入り、同社は消費者の関心の高さを目の当たりにした。

6月に行われた第2四半期決算説明会で、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、そうした予約の75%近くが新規顧客だと述べた。

また、内燃機関搭載のトラックを下取りに出す予定の人が約40%いたことから「フルサイズトラック(バッテリー搭載の電気自動車)への移行が、我々の楽観的な想定よりも少し早く進むことを示しています」と述べた。

こうした予約状況を受けて、Lightningの年間生産能力を向上させるために、2億5000万ドル(約285億円)を追加で投入し、450人の人員増強を行うと発表した。Lightningは2022年春に販売される予定だ。

Lightningは4種類のモデルが用意されており、車両の大部分を電気自動車に移行するという同社の戦略において重要な役割を果たす。9月にR1Tトラックの生産を開始したRivian(リビアン)のような新規参入企業と同様、Fordはピックアップトラック部門に狙いを定めている。F-150は、米国で最も売れているトラックだ。同社は2020年に78万7422台のFシリーズトラックを販売したと明らかにした。Lightningの基本バージョンは3万9974ドル(約455万円)から、ミッドシリーズのXLTモデルは5万2974ドル(約603万円)からだ。

関連記事:【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

Mustang Mach-E(マスタングMach-E)という名前について議論するのはもうやめよう。Mach-Eではなく、もう片方のことだ。電気SUVに塗られたポニーカーの血統。その議論に終止符を打つ。人々は二手に分かれたのだ。Mach-Eがマスタングかどうかという疑問は妥当ではない。「Mach-E GTがGTの名にふさわしいか」という、それよりはるかに差し迫った問いが私たちに投げかけられている。


無条件で、Mach-E GT(5万9900ドル[約684万円]から)とMach-E GTパフォーマンスエディション(6万4900ドル[約741万円]から)の両方がFord(フォード)のグランドツーリングの名にふさわしい。これは通常のMach-Eからのトリムレベルの著しい強化、新たなトラックモード、そしてパフォーマンスエディションではアップグレードしたサスペンションシステムにより実現した。

アンブライドルド

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ベース車のMach-EはEVパワートレインのおかげですでに加速面で優れている。GTとGTパフォーマンスエディションでは、加速とスロットルレスポンスが増して驚異的な速度のバーストを生んだ。標準のGTは480馬力、600ポンドフィート(約814ニュートンメートル)のトルクを誇り、完全停止状態から3.8秒で時速60マイル(約96km)に達する。フォードは加速のために、バッテリーパックは88 kWhと変わらないままパックの配線とチューニングを強化しつつ、フロントモーターをアップグレードした。

予算に余裕があり、もっと早く時速60マイル(約96km)を出したい人には、480馬力、634ポンドフィート(約860ニュートンメートル)のトルクで、3.5秒でゼロから時速96kmに達するGTパフォーマンスエディションがよい。GTと同じく、バッテリーの配線とチューニングのアップグレードとフロントモーターの強化が行われた。

両車とも出荷時は前輪駆動(AWD)標準だ。すべてのEVトルクを道路に伝達するのに役立つが、そのパワーは本来あるべきほど十分に維持されない。複数回のローンチの間、両方の車両の前輪が、ローンチ時または時速30マイル(約48km)に達する前にスリップした。また、GTパフォーマンスエディションで、完全停止状態からアクセルを踏んだ瞬間のトルクステアも体験した。

これらの小さな急加速がGTで予想される。通常のMach-Eと同じマルチリンク式サスペンションで回転する。しかしGTパフォーマンスエディションは、MagneRideサスペンションシステムを装備したフォード初のEVだ 。コーナーでボディロールを減らすことには優れているが、発進時にフロントのホイールのスリップを減らすためにバックエンドが飛び出さないようにするには、もう少し調整が必要なようだ。私は同日に両方の車を運転して、高速道路と田舎道の両方でMagneRideの利点を見ることができた。GTは角を曲がったところで適切なハンドリングができたが、より高価なGTパフォーマンスエディションよりもはるかに多くのボディロールが見られた。ヘアピンターンでこれは特に顕著だった。そこではパフォーマンスエディションは車体を保持していたが、GTは外側に飛び出していた。

コーナリングに関しては、どちらの車両もAWDで、わずかなアンダーステアを示した。これさほど驚くことではない。しかし試乗2日目には、フォードはGTパフォーマンスエディションでレース用トラックを走らせてくれた。トラクションコントロールをオフにするとコーナーでよりニュートラルに感じ、力を入れるとわずかにオーバーステアが生じた。

BlueCruise

GTを運転している最中に、フォードのハンズフリー運転支援システム「BlueCruise(ブルークルーズ)」に初めてお目にかかった。GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)のように、レベル2システムにより一定条件下でドライバーがホイールから手を離すことができる。スーパークルーズと同様、システムは地図化されている中央分離帯のある高速道路に対してジオフェンスされており、ドライバーモニタリングシステムを使用してホイールを握る人が道路に注意を払っているか確認する。フォードは、ブルークルーズをオプションの1900ドル(約22万円)のフォードCo-Pilot360 アクティブ2.0パッケージの一部として両方の車両で利用できると述べた。

テスト中、システムはGMの製品よりもわずかに堅牢性が低く、急カーブ後の車両のノッキングが少し多いことがわかった。1度だけ、車両が十分に鋭く曲がっていないと感じ、隣の車線に滑り込んでいくと思ったため、ステアリング動作を引き継いだ。ほとんどのコーナーで、直線で走行するとき、変化する交通状況とカットインを上手く処理していた。前方の路上ではなくインフォテインメント画面を見るのに時間をかけすぎると、システムに適切に注意してくれた。

警告音が少し大きくなり、フォードがダッシュクラスターに加えて、ライトバーまたは警告灯が車両のステアリングホイールに追加され、注意が必要なときやBlueCruiseのハンズフリー機能が解除されるときに警告してくれるようになることを強く願う。BMW、GM、Mercedes(メルセデス・ベンツ)はオンホイールインジケーターを使用している。フォードが彼らの先導に従わないことに決めたのは残念だ。

内装:同じだが、違う

内装は通常のMach-Eと同じだが、新しいシートでは素材がアップグレードされている。GTではスポーツスタイルのシートにより、コーナリング中にドライバーがシートから飛び出さないよう、サイドボルスタリングをわずかに追加している。新しいシートは、過度にスポーティーでなく快適だ。

GTパフォーマンスエディションのシートは別の問題がある。パフォーマンスのシートはショルダーラインに追加エレメントがあり、身長190cmの私は態勢をどう変えても座り心地がよくなかった。背が低い場合は大丈夫だが、私は座り心地が悪く、GTに乗り換えるとよくなった。

通常のMach-Eと同様、二種類のGTはSync 4A を搭載したフォード製15.5インチポートレートディスプレイを採用している。インフォテインメントシステムはわずかなレイテンシを示した。その表面積の大きさが、これが車の未来であることを思い出させてくれる。ほとんどの機能をすぐに利用でき、ディスプレイ近くに大きなノブがあることがこの車で一番のお気に入りだ。

温度調節はインフォテインメントシステムによって処理されるが、私は好きではない。コントロールが常に画面の下にあるため、温度の調整は比較的簡単だった。

両方の車両の後部座席は、背の高い大人でも快適だ。また、後部座席の後ろにあるMach-Eの29.7立方フィートの貨物スペースは、中型の荷物を4〜5個運ぶには十分だ。

バッテリ―とレンジ

画像クレジット:Roberto Baldwin

GTのすべての楽しみは、ベース車のMach-Eの4万2895ドル(約490万円)と比べて、大きなコスト差のある価格で提供される。

パワーが増強されると、走行距離を失う。Mach-E(5万775ドル(約580万円)から)は1回で306マイル(約492km)走行できる。Mach-E GTは最高270マイルに達し、GTパフォーマンスエディションは260マイルの後電力系統に接続する必要がある。

幸運もどちらもDC急速充電ステーションで最大150 kWの充電をサポートしている。さらにはプラグアンドチャージ機能を備えていることから、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)のような充電ステーションでアカウントを持っていれば、車両を接続するだけで、アプリやクレジットカードを使用せずにその電気を車両のバッテリーに送り始める。車両を認識してくれるのだ。

どちらを購入するか

Mach-E GTパフォーマンスエディションは5000ドル(約57万円)をパワーのわずかな向上とサスペンションの改善に費やすことへの、説得力ある事例を作り出している。現実は、運転者のほとんどがトラックを見たり、フォードのMach-E trackトラックモードのUnbridled Extend機能を使用したりすることは絶対にない。彼らはトラックタイムより交通状況を見る、日常生活のドライバーである可能性が高い。その場合、ハンズフリーのBlueCruiseを搭載した1900ドル(約22万円)の運転支援パッケージは価値ある出費だ。

どちらを選択しようとEVの運転体験が得られる。私たちは同意しないかもしれないが、間違いなく認めることができるのは、マスタングがGTバッジにふさわしいということだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)