アマゾンが新型コロナ禍の便乗値上げ禁止の法制化を米議会に求める

Amazon(アマゾン)は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの間の便乗値上げに対して何もしなかったとして多くの批判を浴びてきた。同社はおよそ50万件の悪質な品目ページを取り下げるなどしてそれなりの努力はしてきたが、その反応の遅さが批判された。また、需要の多い品目の多くがアフィリエイト経由で売られ続けていた。

しかし米国時間5月13日、同社の公共政策担当副社長を務めるBrian Huseman(ブライアン・フセマン)氏が議会宛ての公開書簡で、全国的な危機の間の価格釣り上げを違法とする法律の策定を議員たちに求めた。その書簡には、すでにそのような法律がある州の例としてテネシー州などが挙げられている。

「価格を釣り上げる悪徳業者の責任を追及しようとするアマゾンの協力的な取り組みによって、1つのことが明らかになりました。消費者を守るには、価格の釣り上げを禁じる強力な全国レベルの法律が必要です」と同氏。「現在、米国の約3分の2の州では、危機的状況下での価格つり上げは禁止されています。しかし、州によって異なる基準は、法の執行に協力して消費者を保護し、法を遵守するために取り組む小売業者にとって大きな課題となっています」と続ける。

アマゾンのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏も、先月の例年の株主宛て書簡でこの問題を取り上げている。「価格釣り上げ対策を強化するためにアマゾンは州の司法長官との特別なコミュニケーションチャネルを作り、消費者の苦情は直ちにアマゾンに伝わるようにしている」と述べた。

確かに同社は部分的な対策努力はしている。同社によれば、米国のストアにおいて4000件近いセラーアカウントをポリシー違反で取り下げたという。しかし需要の多い品目をざっと検索して見ただけでも、かつてはどこででも買えたようなありきたりの家庭用品におそろしい高値が付いている。特に値上げがひどいのは、洗濯や掃除用の製品だ。

メディア支援サービスを提供しているThinknumに頼んで、アマゾンおけるClorox(クロックス)ブランドの製品の昨年後半から本日までの価格の推移をグラフにしてもらった:

地域の小売店の棚ががら空きになれば、生活のためにますますアマゾンが頼りになる。悪質なセラーはそこにつけこもうとする。生活必需品以外の需要の少ない品目にも便乗値上げが伝染して、とくにNintendo Switchなどの製品は関心の増加とサプライチェーンの不具合も絡めて売値が急騰している。

同社が指摘しているように、このようなポリシーを法律で強制することは一種の曲芸にも似ている。 フセマン氏は書簡で「簡単に申し上げると、緊急事態が宣言されたら手を消毒するジェルのPurll(パール)が一瓶400ドルになることを避けたいのです。そして、サプライチェーンの寸断な、やむを得ない事情による値上げは認めなければなりません。しかも、禁則はすべてサプライチェーンのすべての段階に適用され、最終的な売り手だけがメーカーやサプライヤーによる代価の釣り上げをかぶるようであってはなりません」とコメントしている。

画像クレジット: Philippe Lopez/AFP/ Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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