レーザー測距技術のLiDARで発見された長さ1km以上の古代マヤの遺跡

LiDAR(レーザー測距技術)は、考古学の世界でも、最も効果的なツールのひとつとして、急速に認められつつある。それ以前なら、ジャングルを切り開いて人手で計測するなど、数カ月にも及ぶ作業の末にようやく発見できたかもしれないものを、わずか数時間で明らかにすることができる。最近も、3000年も前のマヤ文明の建造物が発見されたばかりだ。大きさは1辺の長さが1km以上もあり、おそらく天体の観測に使われたのではないかと考えられている。

画像クレジット:Inomata et al

この巨大な人造の台地について、ネイチャー誌に掲載された論文の筆頭著者は、アリゾナ大学の猪俣健氏だ。この前例のない構造物は、このようなタイプとしてこれまでで最大かつ最古のもの。2年前にグアテマラで発見された「マヤのメガロポリス」にも匹敵するものだろう。

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このような巨大な構造物、列をなす基礎、その他の人造的なものは、見ればすぐにそれとわかるだろうと思われるかもしれない。しかし地上にいる限り、それらは想像するほど明らかではない。通常、木々に覆われ厚く草が生えているからだ。

「私はフィールドワークに何千時間も費やしてきました。森を一直線にナタで切り進む地元の人の後ろをついて歩きました」と、人類学者のPatricia McAnany(パトリシア・マカニー)氏も書いている。彼女は、今回の研究には参加していないが、ネイチャー誌にコメントを寄せている。「この時間のかかる工程では、グアテマラのTikal(ティカル)や、ベリーズのCaracol(カラコル)など、古代マヤの都市の地図を作るのに、何年も、場合によっては何十年ものフィールドワークが必要だったのです」。

下に示したのは、この場所を上空から見た映像だ。そこに何かがあることを知らなければ、なんとなく幾何学的に見える丘があること以外、何にも気づかないだろう。

LiDARは対象物によって反射するレーザー光線から、その物、あるいは地面までの距離を測定する。強力な計算技法を用いることで、森林を透過して、その下にある地面の高さを知ることができる。それにより、地面の詳細な標高マップを作成できる。

今回研究者は、グアテマラとの国境に近いメキシコのタバスコ州の広い領域を選んだ。そのあたりは、初期マヤ文明があったことで知られている地域だ。まずその領域全体を、低解像度のLiDARでスキャンして、先行調査した。それに基づいて絞り込んだ領域を、より高い解像度でスキャンすることで、以下に示すような画像が得られた。

そこに出現したのは、Aguada Fénix(アグアダ・フェニックス)と呼ばれることになった巨大な儀式場だった。その中でも重要なのは、高さは10メートルを超え、長さが1.4キロメートルある人工の台地だ。こうした巨大な台地は、季節の移り変わりを通して太陽の動きを追跡し、さまざまな儀式を行うために使用されたという説が提示されている。中でも、アグアダ・フェニックスが最古、かつ最大のものだ。

高解像度のLiDARによるマップは、他の発見にも寄与している。例えば、当時の指導者を敬うような彫像や彫刻がないことで、アグアダ・フェニックスを建造したコミュニティは「おそらく、それほど不平等なものではなかった」と考えられる。これは、炭素年代測定からわかる紀元前1000〜800年ころの他の社会と同様だ。そのような巨大なプロジェクトは、財力を持った中央政府の支援と指示がなければ完成し得なかっただろう。そう考えると、マヤ文化の発展に関する通説を覆す可能性もある。というのも、当時のマヤのコミュティは小さく、安定したものではなかったと考えられてきたからだ。

こうしたレーザースキャン技術の進化も、ほとんどの人は自動運転車が歩行者を避けるための手段としか考えていないだろう。アグアダ・フェニックスについてさらに詳しく知りたければ、Nature誌や、このナショナル・ジオグラフィックの記事で読むことができる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Shapemeasureは驚きのパワーツール、内装素材をレーザーで精密に計測、自動カット

建築作業では素材をすべて正確に同じ寸法にカットできれば理想的だが、そうはいかないのが普通だ。Shapemeasureは、この理想を実現するシステムだ。レーザーを利用するLidar(ライダー)ユニットによって素材の寸法、形状を極めて精密に計測する。データは自動カッティングユニットに送信され、素材をそのサイズにカットする。開発チームによればこのシステムは従来の作業を3倍から4倍スピードアップするという。

Lidarは自動運転車ほ周囲認識のために利用されているが、同社の創業者であるCEOBen Blumerよれば、Shapemeasure組み込みのユニットは近距離の精密な計測のためにカスタマイズされているという。

主たるターゲットは床、階段に加えて家具の化粧板の貼り込みなど。フローリング作業は米国だけでも年間220億ドルの市場だ。作業現場ごとに素材のカッティングの寸法、形状が異なり、わずかの誤差でも作業が不可能となるため、従来も内装や家具製作プロセスで大きなネックとなっていた。

ShapemeasureはLidarで必要な形状を取得し、ワイヤレスでカッティングマシンにデータを送る。素材の板は精密に同一寸法にカットされるためそのまま貼り込み、あるいは打ち付けることができ、仕上がりも美しいという。計測ユニットのヘッドは自由に動くようになっており、厚みを含めた3D情報を取得できる。

Blumerはカナダのブリティッシュコロンビア大学でエンジニアリングの修士を取得しており、ロボティクスに経験が深い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Sense PhotonicsのフラッシュLiDARが量産体制に移行

自動運転車やドローンやロボットの界隈では、まだ理論の段階のものも含めてLiDAR(ライダー、自動運転用センサー)によるさまざまなソリューションがある。しかし、理論から大量生産への移行は、まず最初に理論を生むことよりも困難だろう。Sense Photonicsは、どうやらその部分を終えて、今ではその高度なフラッシュLiDARの予約販売を開始している。

LiDARはさまざまなタイプがあるが、これまで多く見られた回転式のタイプはその時代を終え、もっとコンパクトで信頼性も高い平面型タイプが主流になりつつある。LiDAR大手のLuminarもこちらへ乗り換えつつあるが、しかしSense Photonicsも静観はしてはいない。ただし、両社は長所がそれぞれ異なる。

Luminarや一部の企業は、狭い視界で数百フィート先の形状を検出する前向きタイプのLiDARを作っているが、Senseはもっと短い距離で物を広角で捉える。そしてそれは通常のカメラと相性がいいので、RGBの画像に奥行きデータをマップするのも朝飯前レベルに容易だ。

Sense Photonicsは従来のカメラの視野と奥行きデータを容易にマッチできるようにした

車の後部や側部に搭載したいLiDARはこういうタイプだ。そして、環境を広い視野で捉えて動物や子どもや自転車などを迅速にそして正確に検知する。でもこういう技術的な話は、同社がステルスを脱したときに記事にした

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本日のニュースは、製品がプロトタイプを脱して生産のための設計になったこと。頑丈になったので埃や雨の環境でも外部に取り付けられる。性能もアップして状況によっては最大距離が40mを超えた。前より相当大きい。

2900ドルの基本製品は視野角が80×30度、もっと広い95×75度のもある。LiDARの標準より相当大きく、しかも他社のフラッシュLiDARよりも精度が高い。ただしワイドにするために犠牲にした部分もある。同社の特許技術により、LiDARの検出器はレーザーのエミッター以外ならどこにでも取り付けられる。車全体の設計も多少やりやすくなるだろう。

当然ながらこれは、ネットで気軽に買うというものではなく、自動運転車の本格的な研究開発やテストをしている企業がバルクで買う。

自動運転車の大量生産時代になったとき、LiDARはSense Photonicsとなるのか、それとも幸運な他社製品になるのか、今から予見することはできない。でも同社の強みは、製品が今すでに現存していることだ。同社のLiDARについてもっと知りたい人は、こちらへどうぞ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

針の頭に載るLiDAR開発のVoyant Photonicsが約4億円超を調達

LiDAR(Light Detection and Ranging、光による検知と測距)は、ロボットや自律運転車が周囲の世界を認識するのに欠かせない装置だが、レーザーやセンサーは大変にかさばる。しかし、Voyant Photonics(ボヤント・フォトニクス)の場合は違う。彼らは、文字通り針の頭の上にバランスよく載ってしまうほどのLiDARシステムを開発した。

科学的な解説の前に、これがなぜ重要なのかを説明しておこう。LiDARは、車が中距離の物体を検知する方法として使われる。長距離になるとレーダーが、至近距離になれば超音波センサーがより有利だが、1メートルから数十メートルの範囲ではLiDARが便利になる。

残念なことに、現在最もコンパクトなLiDARでも、まだ握りこぶしほどの大きさがあり、市販車両に搭載できる製品は、それよりも大きくなる。超小型のLiDARユニットを車の四隅に、あるいは室内に配置できれば、車の内外の詳しい位置データが取得できるようになる。消費電力もわずかで済み、車のアウトラインやデザインを損なうこともない(それがために、LiDARを利用できる無数の産業に普及せずにいる)。

翻訳記事:光速で変化するLiDER業界:スタートアップCEOたちの展望(未訳)

LiDARは、1本のレーザーを1秒間に何度も扇状に照射して、その反射を正確に測定することで周囲の物体までの距離を継続的に監視するというアイデアから始まった。しかし、レーザーの角度を変えるメカニズムは大きくて遅く、エラーも多い。そこで、新進の企業では、別の方式を試すところもある。一度に領域全体にレーザーを照射するもの(フラッシュLiDAR)や、複雑な電子的特性を持つ構造体(メタマテリアル)でビームを操作するものなどだ。

そこにぜひとも加わってほしい技術に、シリコンフォトニクスがある。基本的には、ひとつの多目的チップで光を操るというものだ。これを使えば、たとえば、論理ゲートの電気信号を、超高速で熱を持たない処理に置き換えることができる。Voyantはまさに、LiDARにシリコンフォトニクスの技術を適用したパイオニアなのだ。

以前は、チップベースのフォトニクスで、光導体(光を発したり方向を変えたりする素子)の表面からレーザーのようなビームを安定的に照射しようとすると、込み入った場所で光が自分自身と干渉してしまい、照射角度もパワーも小さくなってしまった。

Voyantの「光学フェーズドアレイ」では、チップ内を通過する光の位相を慎重に変更することで、その問題を回避している。その結果、可動部品を一切使わず、周囲の環境に強力な非可視光線を広い角度で高速に照射できるようになった。しかもその光線は、指の先に載るほどまでに小さなチップから発せられる。

「とても小さいので、これは実現技術です」と、Voyantの共同創設者であるSteven Miller(スティーブン・ミラー)氏は言う。「私たちは1立方cmのサイズを考えています。世の中には、ソフトボール大のLiDARは搭載できない電子機器がたくさんあります。ドローンなどの重量が大きく関わってくるものや、腕の先に部品を組み込まなければならないロボットなどを想像してみてください」

彼らのことを、ほんの数年、他より研究が進んでいると思い込んでいるだけの、どこの馬の骨とも知れない連中だと思わないでほしい。ミラー氏と共同創設者のChris Phare(クリス・フェアー)氏は、コロンビア大学Lipsonナノフォトニクス・グループの出身だ。

「その研究室で、シリコン・フォトニクスが発明されました」とフェアー氏は話す。「私たちはみな、物理学とデバイスレベルの機器に深く精通しています。だから私たちは、LiDARを一歩下がって客観的に眺め、これを実現させるために、どこを直し改善すべきかを考えることができました」。

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彼らが実現した進歩は、正直言って私の専門外なので、あまり詳しくは解説できない。ただ、干渉の問題を解決し、周波数変調連続波技術の採用により、距離だけでなく速度も測定できるようになった(これはBlackmoreも行っている)ということは言える。ともかく、チップから光を放ち動かすという彼ら独自のアプローチは、小型化を実現しただけでなく、トランスミッターとレシーバーを一体化し、性能も高めることにもなった。このサイズにしては高性能、という意味ではない。彼らは、普通に高性能なのだと主張している。

「小型のLiDARは性能が劣るという誤解があります」とフェアー氏は言う。「私たちが採用しているシリコン・フォトニックのアーキテクチャにより、非常に高感度のレシーバーをチップに搭載できました。従来の光学技術では組み立てが難しかったでしょう。そのため私たちは、この微小なパッケージに、部品を追加したり外来の部品を使ったりすることなく、高性能なLiDARを組み込むことができました。一般的なLiDARと張り合える性能を達成できると、私たちは信じています。しかも、ずっと小型です」。

テストベッド上のチップベースのLiDAR(左上からファイバー入力、配線端子、移相器、回折格子エミッター)

このチップは、他のフォトニクス・チップと同じく、通常の方法で製造できる。これは、研究段階から製品化へ移るときに大きな利点となる。

今回のファーストラウンドの投資で、同社は規模を拡大し、この技術を研究室から外へ持ち出してエンジニアや開発者の手に届ける予定だ。正確な仕様、サイズ、消費電力などは、用途や使用する産業によって異なるため、Voyantは他分野の人たちからの意見を聞いて決めることになる。

自動車業界(ミラー氏によると「LiDARを作っている企業がなく、そこに参入を目指している企業もないので、かなり大口の利用者になります」とのこと)だけでなく、彼らはさまざまなパートナー候補者と話を進めている。

今のステージでは、9桁の資金を調達するような他企業に圧倒されそうだが、Voyantには、今ある何物とも違うまったく新しいものを作り上げたという強みがある。その製品は、InnovizやLuminarの人気の高い大きなLiDARと肩を並べて、安心して共存できる。

「私たちは、ドローン、ロボティクス、もしかしたら拡張現実といった、さまざまな分野の大手企業に話を持ちかけるつもりです。これにいちばん興味を示してくれる分野を探したいのです」とフェアー氏。「私たちは、一部屋分の大きさのコンピューターがチップサイズになったときと同じ、革命を目の当たりにしています」

Voyantが調達した430万ドル(約4億6500万円)は、Contour Venture Partners、LDV Capital、DARPAによる投資だ。当然、彼らはこのようなものに興味を持っているはずだ。

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(翻訳:金井哲夫)

物の裏側をレーザー光の反射から像として求めるカーネギーメロン大らの研究

未来の自動運転車やそのほかのマシンインテリジェンスシステムは、視線の向かう先には見えないものからでも詳細な画像データを集められるだろう。カーネギーメロン大学(CMU)とトロント大学、およびユニバーシティカレッジロンドンの研究から生まれたテクニックを使うと、ここにいるまま「あの角を曲がった先」を見ることができる。

その方法は、特殊な光源とセンサー、そしてコンピュータービジョンの処理により、ここからは見えない場所の詳細な像を推測したり構築できる。それは、これまで写真や肉眼でしか得られなかった像よりもさらに詳細だ。

ただしこのテクニックには現状でやや制約があり、CMUのロボット研究所のSrinivasa Narasimhan教授によると「比較的狭い範囲内」でないと有効でない。

その制約はこのテクニックを、非視線型(non-line-of-site、NLOS)コンピュータービジョンの分野のテクニックと併用すれば緩和できる。そんなテクニックの一部はすでに商用化されており、たとえばテスラ(Tesla)のAutopilot(オートパイロット)システムは、反射ないし跳ね返ってきたレーダー信号を利用して、テスラ車の前面の、人の視線が届かない部分を見ている。

今回の新しい研究で使われたテクニックは、多くの自動運転車システムが利用しているライダーシステムと似た動作原理だ(ただしテスラはレーザー光線を使う視覚システムを嫌ってることで有名だ)。CMUとそのパートナーの研究機関は超高速のレーザー光線を使い、それの壁からの跳ねっ返りで、角の向こう側に隠れているオブジェクトを照らしている。

センサーが跳ね返ってくる光を捉え、そして反射光が原点に帰還するのに要した時間を計算する。そのほかのさまざまな測度も含め、ターゲットのオブジェクトのジオメトリー(幾何学的形状)の情報も使って、オブジェクトを正確かつ詳細に再構築する。その方法は、紙のような光を遮るものが介在していても有効なので、現実世界の環境センサーとしての有効な利用もありえそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「ライダーに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張

米国時間4月22日にTesla(テスラ)が初めて行った株主のためのイベント「Autonomy Day」で、イーロン・マスクCEOは記者からの質問にも答えたが、時間がなくてライダー(lidar)に関する質問には十分に答えられなかった。以前から彼はこの技術関して声高に述べることが多かったが、その中でも今回はいちばん明快だった。

彼はこう言う。「ライダーは無駄な努力だ。ライダーに頼っている人たちに明日はない。将来性がないんだよ。高価なセンサーだし、そもそもあんなものは要らない。高価な盲腸がたくさんある人と同じだ。盲腸は1つでも要らない。それを、たくさん身につけているんだ。滑稽だよね」。

彼のこの話の前には「テスラが発表したばかりの自動運転ハードウェアはライダーからのデータも扱えるか」という質問があった。テスラの車は現在、自動運転機能のためにいくつかのデータソースを使っている。それらはレーダー、GPS、地図、超音波センサーなどだ。でもテスラの一部のコンペティターと違って、ライダーはない。以前マスク氏は「ライダーは自動運転車用の松葉杖だ」と言ったことがある。テスラにとってはカメラが未来への鍵であり、マスク氏もカメラならどんな悪天候にも十分対応できる、と構想している。

AIのシニアディレクターであるAndrej Karparthy氏もステージに立って、世界は視覚的認識のために作られていると言った。彼によると、ライダーはプラスチックの袋とゴム製のタイヤを簡単に見分けられず苦労する。自動運転車がレベル4からレベル5の自動化のレベルを達成するためには大規模なニューラルネットワークの訓練と視覚認識能力が必要だと彼は言う。

Karparthy氏はこう述べる。「それをやってないという意味でライダーは実はショートカットだ。基本的ないくつかの問題と、視覚認識という重要な問題を避けている。進歩の錯覚を与えるが、実は松葉杖だ。とても早くからデモを見せられるけどね!」。

自動運転技術にライダーを採用しているUberやWaymo、Cruiseらは、悪天候や低照度の環境では今のカメラよりもライダーの方が見通し性がいいと主張する。しかし、高いし、相当な電力を食う。そこで、テスラはカメラに固執する。

同社は4月22日、同社の自動運転車用コンピューターの今の世代の機種について詳しく紹介した。それはテスラの既存の車種すべてで使用できる。ソフトウェアが完成したら、テスラのすべての車種が既存のセンサーセットで自動運転できるだろう、と同社は言う。そしてそのセンサーセットにはライダーが含まれていない。その代わり、テスラ車が搭載するセンサーは、これまでにすべてのテスラ車が集めたデータで訓練されたニューラルネットワークに依存する。

マスク氏曰く「全員がいつでもネットワークを訓練している。オートパイロットがオンでもオフでも、ネットワークは訓練されている。hardware 2以上の車種を運転しているときは常時、ネットワークを訓練している」。

「データの中には怖いものもある」とその後の記者会見でマスク氏はぼそっと言ったが、でも、ライダーに依存するほど怖くはないと言いたいのだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国のNIOがLiDARのスタートアップInnovusionに投資

自動運転車両のためのLiDARセンサー技術を開発している、創業2年のスタートアップであるInnovusionが、シリーズAラウンドで3000万ドルを調達した。ラウンドを主導したのは中国のNio CapitalとEight Roads Ventures、そして米国の F-Prime Capitalである。

スタートアップによると、他のシードラウンドならびに戦略的投資家たちもこのラウンドに参加したという。

Nio CapitalはNioのベンチャー投資部門である。NioはTeslaとの競争を目指す中国の電気自動車メーカーだ。9月のニューヨーク証券取引所で公開された際に、10億ドルを調達したNioは、米国、英国、そしてドイツで事業を展開しているが、中国ではES8のみを販売している。

2016年11月に創業したInnovusionは、得られた資金を使って、特にInnovusion Cheetahと呼ばれるLiDARシステムの生産増強を行うと語った。同社は、2018年の第2四半期にシステムのサンプル出荷を開始し、顧客からの注文を受け始めている。

同社の共同創業者兼CEOであるJunwei Baoによれば、今回の資金調達ラウンドは、カリフォリニア州ロスアルトスに拠点を置くInnovusionのR&Dチームと製造設備を拡大し、より迅速にInnovusion Cheetah LiDARの開発、マーケティングを行い、世界中の顧客の手に届くようにするとのことだ。同社はまず中国と米国の顧客をターゲットとして考えている。

LiDARは、自動運転車を開発している企業たちによって、周囲の道路上の物体を検出し測定するために使用される。自動運転車をテストしている大部分の企業は、LiDARのことを、自動運転車を公道上に安全に展開するために必須のセンサーだと考えている。これこそが、LiDARの需要を推進してきたものであり、徐々に多くのスタートアップたちが現れ、これまで長期に渡って支配的な地位を占めてきたVelodyneの持つシェアを、奪い取ろうとしているのだ。

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(翻訳:sako)

歩行者用マップのナビデータ取得?LiDAR入りリュック背負ったアップル社員が街を闊歩

eng-logo-2015米サンフランシスコの路上で、カメラやVelodyne製LiDARらしき物体が突き出たリュックを背負って闊歩するアップル従業員らしき人物の姿がキャッチされました。この人物の明確な目的は不明ですが、リュックにはApple Mapsの文字が記されていることからMacRumorsは歩行者視点での地形やルートデータの収集を行っていると推測しています。

全方位カメラを背負って歩く人の姿を見て思い出すのは、Googleストリートビュー用写真を撮影するためのカメラ要員。最初は海外で、後に日本国内でも時折見かけるようになりました。この背負って歩くスタイルを活用することで、Googleストリートビューは、寺社仏閣の参道や車の立ち入れない細い道、建造物の内部などにまで提供範囲を大きく広げました。

アップルは、iOS 12 から自社製マップデータへの改修を順次開始しており、まず手始めに自動車でサンフランシスコ周辺のデータを作成して、データの更新を行っています。今回のリュックタイプの機材によるデータ取得は、おそらくは歩行者ルート表示のためと思われます。

ここでよく考えてみると、Googleマップの場合はストリートビューのデータ作成のために全方向カメラを使っていました。しかし、このアップルの作業員はLiDARを背負っています。

LiDARで取得した3Dの空間データをどう使うのかを想像してみると、もしかすると歩行者向けにAR表示される3Dマップを作ろうとしているのかも。もしそうだとしたら、たとえば非常に入り組んだ構造でダンジョンとも言われる東京や大阪の地下街なども、iOSの地図アプリで3表示され非常にわかりやすくナビゲートできるようになるかもしれません。

ただし、このリュックの機材で取得したデータがマップアプリに反映されるタイミングガいつ頃になるのかはまだわかりません。またいずれ日本でこうした機材を使用した地図データ取得が行われるのかもまだわかりません。iPhoneユーザーとしては、早くそのデータが地図アプリに反映されたところを確認してみたいものです。

Engadget 日本版からの転載。

マヤの巨大古代都市を発掘したレイダーは考古学を変革するか

考古学は、最新テクノロジーとは縁遠い分野のように思われる。AIやロボットは、実地調査の過酷な現場ではまだ心もとない。しかし、ライダー(Lidar)は画期的な技術であることが実証された。とは言え、数千平方キロメートルにおよぶ古代の数百万都市を、レーザーを使った画像化処理技術でマッピングするという最新の調査で、やはり経験と眼識にとって代わるものはないことを、研究者たちは実感した。

Pecunamライダー・イニシアチブは2年前に発足した。研究者と地元自治体が手を組み、グアテマラで長年研究対象となってきた保護区域での最大級の調査を行うことを目的にしている。この調査では、ペテン県マヤ生物圏保護区の、およそ2144平方キロメートルがスキャンされたが、その周辺の、開発されて人が住んでいる地域や、その他の重要と思われる場所もこれに含まれている。

プロジェクトの成功を示す試験的な画像とデータが、今年の初めに発表されたが、研究者たちはその後、本格的なデータ解析を行い、その広範にわたる結果を要約した論文をScienceに掲載した。

イニシアチブが調査した区域。見てわかるとおり、国の5分の1にも及んでいる。

「これほど広範囲な古代の風景を一度に見ることは、これまで不可能でした。このようなデータセットは存在しなかったのです。2月の段階では解析は、実際の量的な意味において、まだひとつも行われていませんでした」と、共同著者でチューレン大学のFrancisco Estrada-Belliは私に話してくれた。彼は、チューレン大学で、Marcello Canutoを含む他の同僚研究者たちとプロジェクトを進めている。「基本的に私たちは、不規則に広がる巨大な都市圏と、農業に関する広大な地物を発見したと発表しました。それから9カ月におよぶ作業で、そのすべてを数量化し、私たちが得た痕跡の一部を、数値的に確認しました」

「私たちの主張がすべて正しかったと知るのは、嬉しいことです」と彼は言う。「一部には、誇張して伝わっていたようですが」

ライダーのデータは無人運転車両で集められたわけではない。聞いた限りでは、たった1台の車で行われている。ドローンすらなく、普通の飛行機が使われた。非効率なように思われるだろうが、調査区域の広さと地形の事情のために、それ以外の方法はとれなかったのだ。

「ドローンは使い物にならなかったでしょう。あれだけの範囲をドローンでカバーするのは不可能です」とEstrada-Belliは説明する。「私たちは、テキサスから飛んできた双発の飛行機を使いました」

飛行機は、ひとつの「ポリゴン」、つまり、おそらく長さ30キロメートル、幅20キロメートルの区画の上空を何十回と飛行している。機体の下部には「多波長、多チャンネル、多スペクトル、狭パルス幅ライダーシステム、Teledyne Optech Titan製Titan」が装備されている。読んで字の如しの装置で、冷蔵庫ほどもある大型の極めて頑丈な機械だ。森の木々を透かして地面の映像を撮影するには、これだけのシステムが必要になる。

何枚もの重複する画像をつなぎ合わせ、補正して、1枚の驚くほど高精細な地面のデジタル画像が作られた。

「私が、それこそ何百回も歩いていた場所の地物を特定してくれたんです」と彼は笑う。「大きな土手道のようなところで、その上を歩いていたのです。しかし、とてもわかりづらい。大量の下生えやら樹木やらで覆われている。つまりジャングルですよ。あと20年歩いていても、気が付かなかったでしょうね」

しかし、そうした構造物は自動的に発見されるわけではない。3Dモデルを見ただけで「これはピラミッド、これは壁」などと具合に識別できるコンピューター・ラベリング・システムは存在しない。それは、考古学者にのみ可能な作業だ。

「実際には、地表データの手作業から始めます」とEstrada-Belliは言う。「私たちは、自然の地形の地表モデルを作りました。画像の中のピクセルは、基本的に高度情報です。そして、いろいろな方向から光をあてて起伏を強調させる照明をシミュレートするフィルターを何重にもかけて、その画像を半透明にして、いろいろな方法を使ってシャープにしたり強調したりして、つなぎ合わせていきました。長時間コンピューターの画面を見つめるという作業を終えた後、それをデジタイズします」

「最初のステップは、視覚的に地物を特定することです。もちろん、ピラミッドはすぐにわかりますが、微妙な地物もあります。識別できたとしても、それがなんであるか、わからないのです」

ライダーの画像から、たとえば、低い線上構造物が浮かび上がる。それは人工物であるかも知れないし、天然の地形かも知れない。それを見分けるのはとても難しいが、周囲の状況や学者としての知識がそれを補う。

「そして、すべての地物をデジタイズする作業に移りました。全部で6万1000個の構造物があります。すべてを手作業で行わなければなりません」とEstrada-Belli。なぜ9カ月もかかったのかと疑問に思われた方のために、彼はこう説明している。「デジタイズは経験に基づいて行われる作業なので、自動化はできないのです。AIにも期待しました。近い将来、それを利用できるときが来るでしょうが、今は経験を積んだ考古学者の目のほうが、コンピューターよりも確実に地物を見分けることができます」

注釈の密度がマップから見てとれると思う。その地物の多くは、今の時点で現地調査によって確認されたものであることに注目して欲しい。既存の地図を見ながら、人間が実際にその土地に行く。そして、その地物が錯覚であったり、期待の産物であったりしないことを確認する。「すべてはそこに存在していると、私たちは確信を持っています」と彼は言う。

  1. pyramid_lidar

  2. pyramid_uncovered

  3. temple_real

  4. temple_lidar

  5. flightlines

「次のステップは数量化です」と彼は説明を続ける。「長さと面積を測定して、ひとつにまとめます。それを、普通にデータセットの解析を行うときと同じように、解析します。地域ごとの構造物の密度、都市や畑の広がりなどです。さらに、農産物の収穫量を推測する方法も編み出しました」

そこが、画像が単なる点の集まりから学術研究に移行するポイントだ。マヤのこの地域には大きな都市があると広く知られていて、何十年間にもわたり熱心な調査が続けられてきたのだが、Fundación Pacunam(Patrimonio Cultural y Natural Maya:マヤの文化及び自然遺産財団)の研究は、これまで使われてきた従来型の調査方法を進化させるものとなった。

「これは膨大なデータセットです。膨大なマヤの低地の断面図です」ととEstrada-Belliは話す。「今はビッグデータが流行り言葉になっているでしょ? 一度に一箇所を見るだけで、これまで決して見られなかったものが、実際に見えるようになるのです。ライダーがなければ、これだけ膨大なパターンの統合はできなかったでしょう」

「たとえば、私の地域では、47平方キロメートルをマッピングするのに15年かかりました」と彼は少し悔しそうに言った。「それが、ライダーを使えば2週間で308平方キロメートルをマッピングできます。私にはまったく太刀打ちできない精細さでね」

その結果、論文には、非常に多くの新理論や結論が書かれることになった。人口と経済の規模の推測、文化的、工学的な知識、隣国との紛争の時代や内容などだ。

この論文は、単にマヤの文化と技術に関する知識を高めたばかりでなく、考古学という学問そのものを進歩させるものとなった。もちろん、何事もそうだが、こうしたことが繰り返される。Estrada-Belliは、ベリーズとカンボジアで同僚が実行した調査から刺激を受けたと話している。彼らの研究は、広大な領域と膨大なデータセットの新しい処理方法の実例を示すという点で貢献してくれた。

実験と現場の作業を重ねることで、その方法はより確かなものになる。そしてそれが広く受け入れられ、人々が模倣するようになる。彼らはすでに、その方法が有効であることを実証した。この研究は、おそらく、考古学でのライダーの可能性を示す、最良の実例となるだろう。

いまさら聞けないライダー(Lidar)入門

「はっきり言って、これほど強力な技術は見たことがありません。地表にあるものですら、その詳細はまだほとんどわかっていないのです。ライダーは、人工の地物のほとんどを、明瞭に、一貫性をもって、わかりやすく特定してくれます」と、共同著者のStephen Houston(ボストン大学)は電子メールで話してくれた。「AIやパターン認識は、地物の発見の精度を高めてくれるでしょう。ドローンも、こうした技術のコストダウンに役立つと期待しています」

「こうした技術は、発見だけでなく、保護にも役立ちます」と、共同著者でイサカ大学のThomas Garrisonは電子メールで指摘した。「遺跡や人工物を3Dスキャンすれば、詳細な記録が残せます。3Dプリントでレプリカを作ることも可能です」

ライダーの画像処理技術は、略奪の程度を知ることにも役立つと、彼は書いている。文化担当の行政機関も、略奪者より前に、遺品や遺跡の存在を知ることができる。

研究者たちは、すでに次の調査を計画している。最初の実験が成功したことで資金を獲得し、二回目はさらに多くの航空調査を増やす予定だ。おそらく、最初の実作業が終わることには、この数年間に流行ったツールが使えるようになっているだろう。

「今後、飛行機の利用料が安くなるとは思えませんが、機材はもっとパワフルになります」とEstrada-Belliは話す。「もうひとつの方向性としては、プロジェクトをスピードアップできる人工知能の発達があります。少なくとも、調査の必要のない場所を除外して、時間の節約を図ると同時に、もっとも可能性の高い場所に狙いを定めることが可能になるでしょう」

また彼は、そのアイデアをインターネットで公開することにより、アマチュアの市民考古学者たちが一緒に考えてくれるようになることを大いに期待している。「私たちと同じ体験をすることはできないでしょうが、人工知能と同じく、短期間に大量の上質なデータを生み出せることは確実です」と彼は言う。

しかし、彼の同僚たちが指摘するように、この数年間のライダーを使った作業は、下準備に過ぎない。

「これは最初のステップであり、数えきれないほどのアイデアの実験、何十もの博士論文につながるものであることを、強調しなければなりません」とHoustonは書いている。「それでも、地表の下に何があるのかを調べる採掘や、廃墟から明確な年代を推論する作業は必要です」

「社会科学や人文科学など数々の学問分野と同様に、考古学もデジタル技術を採り入れています。レイダーはそのほんの一例に過ぎません」とGarrisonは書いている。「同時に私たちは、デジタル・アーカイブに関する問題(とくに古いファイル形式によるトラブル)を意識する必要があります。そして、テクノロジーは、何世紀にもわたり試され、正しいと証明された情報管理方法に取って代わるのではなく、それを補うものとして使うことが重要です」

彼らの論文は9月28日にScienceに掲載されているので、研究の結果を詳しく知ることができる(考古学者や人類学者なら、いっそう楽しめる内容だ)。Pacunamの今後の活動については、このサイトを見ていただきたい。

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転車のLiDARの能力限界を機械学習で補う方法をAppleが開発

コーネル大学の研究文献目録arXivに最近上程されたAppleのペーパーは、LiDARの配列が集めた原始点群データを、機械学習を利用して、そのほかのセンサーデータを必要とせずに自転車や歩行者などの3Dオブジェクトの検出に翻訳する方法を記述している。

Appleの自動運転技術の開発努力に関して、これほど明快な文献を目にする機会は数少ない。Appleがそれをやってることが分かるのは、カリフォルニア州自動車局に自動運転のテストの許可を申請したことによって同社がそれを認めたからであり、そしてまた、そのテストカーがときどき目撃されたからだ。

しかし同時にまたAppleはこれまで、同社の機械学習の取り組みについては、ややオープンだった。自社のブログに研究を紹介するペーパーが載ったこともあるし、そして今ではより広い研究コミュニティとの共有も行っている。こうやってペーパーなどを公刊する行為は、その分野のトップタレントにとって重要であることが多く、彼らは会社を超えた広いコミュニティと協働して、全般的な機械学習技術を前進させたいのだ。

上の画像に写っているものは、Appleの研究者、とくにペーパーの著者Yin ZhouとOncel Tuzelが作ったVoxelNetと呼ばれる装置で、LiDARの配列が捉えた点の集合からオブジェクトを外挿し推断する。基本的にLiDARはその周囲にレーザーを放射して個々の点の高解像度のマップを作り、オブジェクトに当たって反射された結果を記録する。

しかしこの研究がおもしろいのは、これによってLiDARが、自分が属する自動運転システムの中でより効果的に働けることだ。通常は、LiDARのデータは、光学カメラやレーダー、そのほかのセンサーなどのデータと対照融合されて完全な像を作り、オブジェクトの検出を実行する。しかし、Appleのこの方法のように、信頼性の高いLiDARだけを使えば、路上で実用化される〔量産量販の〕自動運転車の、今後の製造とコンピューティングの効率が上がるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AppleのProject Titan自動運転車が撮影される――Lidar 6基ルーフ搭載

自動運転テクノロジーを専門とする起業家が他社の自動運転車を見かけたら詳しく観察するだろう。Voyageの共同ファウンダー、MacCallister Higginsはそういう場面に遭遇した。HigginsはAppleのProject Titan自動運転車(トヨタ・レクサスのSUV)を撮影した短いビデオを付して下のようにツイートした。このレクサスは自動運転用のハードウェアを多数を搭載している。

これまでもAppleの自動運転車やルーフ搭載式センサーに関する情報は流れていたが、Higginsのビデオはこれまででもっとも鮮明なクローズアップだろう。しかもたまたま出くわした住民ではなく、専門家の目で見ているところに大きな違いがある。Higginsによれば、ルーフトップの巨大なハードウェアには「おそらくコンピューターの大部分が格納されているだろう」という。他の自動運転車の場合、コンピューターはトランクに設置されるのが普通だ。

私は「あれ」と呼んでいるがAppleのProject Titanについて書くには140文字では足りない。 

Higginsはまた「前方、後方を向いてLiDARセンサーが合計6基設置されている」と述べた。「センサーをルーフトップに置くのは興味深い方式だ」という意見も出たという。

ルーフトップ配置とした理由は、どんな車両でも比較的容易に自動運転車に改造できるからだろう。車内に大量の機器を配置する方式にくらべて、ルーフラックを屋根にボルト付けするだけよければプラグ・アンド・プレイに近づく。将来、テストする車両を交換する必要が生じた場合も対応が楽だ。アフターマーケットのパーツとして後付けが可能であれば、多種、多様な自動車を自動運転化できる可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Hyundaiの自動運転車が目指すのは「手頃な価格」

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自動車メーカーのHyundaiは、同社も自動運転車をめぐる競争に喜んで参加することを表明した ― しかし、彼らのアプローチは他社とは異なる。個人が所有するクルマにも搭載することが可能なテクノロジーを一般の人々にとって手頃な価格で提供するというアプローチだ。

Hyundaiの自動運転テクノロジーがデビューしたのは今週のことだ。同社は1月に開催されるCESに先がけ、ラスベガスの公道で同社初となる自動運転車の試乗会を開いている。Hyundaiが今回使用したテスト用の自動運転車は、2016年に販売を開始したIONIQをベースに開発されている。同社のプロトタイプはノーマルのIQNIQと驚くほど似ている ― 他社の自動運転車に搭載されているような「大きな冠」、つまり、上部にある大きなセンサーが無いのだ。

だからといって、Hyundaiのクルマは目隠しをして走行しているという訳ではない。このクルマにはフロントガラスの裏に4つのカメラが搭載されている。その他にも、クルマの前方と左右を感知するLiDARユニット、前面に設置された中長距離レーダー、クルマの後部を感知するレーダーなどが搭載されている。それでも、たとえばUberの自動運転車などと比べれば、かなり少ない装備だといえる。このHyundaiのアプローチには意味がある:センサーから入るインプットの量が少なければ少ないほど、それを処理するコンピューターの性能は低くて済む。そして、最終的にはシステム全体のコストも下がるというわけだ。

センサーから入るインプットの少なさを補うために、このクルマはダウンロード可能な高精度のマップデータを利用している。つまり、Hyundaiの自動運転車を公道で走らせるためには、その地域のマップデータが事前に作成されている必要がある。だが、Engadgetの記事によれば、マップデータをダウンロードしたHyundaiのクルマは歩行者などの障害物を軽々と避けることができたという。少なくとも、ラスベガスの試乗会ではそうだった。

他社では、自動運転テクノロジーをVolvoのような高級車に搭載するハイエンドのオプションとして位置づけていることが多い。その一方で、Hyundaiのアプローチが上手くいけば、安価なクルマにも自動運転のテクノロジーを搭載することが可能になるかもしれない。

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Hyundaiによれば、同社がこれまで取り組んできた先進運転支援システム(ADAS)が同社の自動運転テクノロジーの開発に寄与しており、2019年から2021年までには搭載するセンサーの標準化を目指すとしている。しかし、完全な自動運転車が誕生するまでには、まだ越えるべき障害が多く残されている ― 技術的な問題はもちろん、規制に関する問題や、そもそも人々に受け入れられるのかという問題もある。だから、一般の人々が自動運転車を利用するのは、まだ先の話になるだろう。

それでも、Hyudaiは将来的なマスプロダクションを視野に入れている。特に、自動運転車に搭載されるLiDARユニットなどのコストが下がってこれば(その兆候はすでにあるが)、それを達成できる可能性は大いに高まることだろう。富裕層だけでなく、一般の個人でも手の届くテクノロジーを開発することは、高潔な目標であるとも言える。TeslaのModel3を見ると、同社もHyundaiと同じ目標を達成することを目指しているように感じる。しかし、自動運転テクノロジーを安価に、かつ大規模に提供するという点においては、Hyundaiのアプローチに軍配が上がるのかもしれない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

光に頼らないOryxのナノアンテナは自動運転車の視界能力を大幅に高める

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写真和訳: [自動運転の視覚の欠陥/今の技術はソフトウェア脳の要件レベル3以上に対応できない/視界カメラ(単眼/立体),ライダー,レーダー,超音波…センサー群/小動物・都市の混雑・夜の視界・まばゆい日射し・霧,雪,雨・高速時視程/ソフトウェア脳の処理能力]

Oryx VisionのCEO Rani Wellingsteinによると、同社は、自動運転車の奥行き知覚を改善するコヒーレントな光学レーダーシステム(coherent optical radar system, 仮訳: 可干渉光学レーダーシステム)を開発した。イスラエルの同社は、シリーズAの資金調達を契機にステルスを脱し、既存のライダーシステムに挑戦する技術、と自らを位置づけている。

Wellingsteinが指摘するのは、これまでのライダーが光電子センサーで光を、すなわち光のエネルギーを検出することだ。しかしOryx Visionは、同社がナノアンテナ(nano antennas)と呼ぶものを利用して、電磁波を検出することにより、もっと多くの情報にアクセスする。

そのアドバンテージは、自動運転車の視程と感度の増加であり、それにより、自分のまわりの物や動きをより正確に知ることができる。Oryxのアンテナは10ミクロンの波長で動作し、ライダーと違って、霧を透視でき、また強い陽光で盲目化することもない。

Oryxの技術者たちがライダーの欠陥の克服、という課題に着手したのは、およそ6年前だ。プロトタイプの完成までに1年半を要し、ようやく、実用レベルの撮像能力に達することができた。

Oryxによると、同社のアンテナは、今の最高性能の自動運転車に使われているライダーシステムよりも安価である。同社のシステムが使っている撮像機構のコストは、スマートフォンのカメラと同じぐらいだ。そしたさらに同社は、“地球上で最も安価な最も平凡なレーザー”を使用している。そのシステムは光学系がきわめてシンプルで、操舵、回転などの要素がなく、また光線をいっさい利用しない。

Oryxの社員は20名ほどだが、資金調達を機にイスラエルとシリコンバレーとドイツに人を増やし、自動車メーカーや自動運転技術の革新的スタートアップたちの需要に応じていく。将来的には、今多用されている人間運転者をアシストするシステムではなく、完全な自動運転車への採用を目指したい、とWellingsteinは語る。

“AppleやGoogleなど、これまでこの分野に意欲的に取り組んできた選手たちが、今や撤退しつつある。技術の完成度が、まだ十分ではない、と私は思う。自動運転は視覚と意思決定に関する技術だ。しかし現状では、この二つのもののあいだに、空隙がある。そのギャップを埋めるためには、別の技術、ライダーではない別のセンサーが必要だ、でも今の選手たちの多くが、“別の技術”に無関心だ。しかしわが社が志向するものは、まさにそれなのだ”、とWellingsteinは抱負を語った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))