MLBでも試用中のロボット球審が米国の独立リーグでデビュー

発表から4カ月になる、いわゆる「ロボット球審」が、独立リーグのAtlantic League(アトランティック・リーグ)でデビューした。今独立リーグは、アメリカの代表的な娯楽である野球の新しい姿を求めていろいろな工夫を試しており、審判の機械化もそのひとつだ。

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システムはレーダーのTrackManを利用して投球のボールとストライクを判断する。ドップラー効果を利用するそのシステムはすでにメジャーリーグの30カ所のスタジアムと、もっと多いマイナーリグの球場ですでに使われている。情報はシステムから人間アンパイアにiPhoneとイヤホンでリレーされる。

ホームプレートのアンパイアを置換するわけではなく、また一種のフェイルセーフとして、人間アンパイアが必ず投球をモニタする。人間アンパイアは、TrackManの判定を全否定してもいい。中でも特に今のシステムは、バッターが振ろうとしたバットを途中で止める、ハーフスイングを正しく判定できない。

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人間アンパイアの一人、Brian deBrauwere氏はESPNにこう語っている。「システムを100%信頼できるようになるまでは、人間が毎日球場に行って投球を正しく判定しなければならない。システムが間違ったり、ピッチアップを判定できなかったり、プレートから40cmも外れた球をストライクと判定したりすれば、我々が出て行って正さざるをえない」。

ロボット審判は、現在アトランティック・リーグでテストされているいくつかの機能の1つだ。ここで結果が良ければ、メジャーリーグでも公式に採用される。ほかにも今は、ホームプレートとマウンドの距離を可変にする、1人のピッチャーは必ず最小限3人の打者に投げる、などがテストされている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

メジャーリーグのピッチャーの投球を400万球分析して人間審判の誤審率を計算

ボストン大学の院生たちが、メジャーリーグ(Major League Baseball、MLB)の過去11シーズン(2008〜2018)の400万投あまりの投球を調べた結果は、人間アンパイアにとってうれしいものではなかった。その調査によると、2018年に球審は、ボールとストライクを34294回誤審している。それは1ゲームあたりでは14回、1イニングあたりでは1.6回だ。

1シーズンに32のチームがそれぞれ162ゲーム戦うのだからそれほど大きな数ではないが、でもそれは多くの憤慨した観客たちが長年疑っていたことを確認するには十分だ。

調査によると、MLBの審判の平均年齢は46歳、平均経験年数は13年だ。各シーズンに球審はホームプレートの後ろで約4200球の投球を判定する。面白いことに、調査結果では若くて経験の浅い審判のほうがベテランよりも成績がいい。

誤審の頻度は、当然かもしれないがプレーの性質によって異なる。これまで何度か球場に足を運んだことのある人たちの多くが、審判は今どっちがリードしているかによってピッチャーかバッターのどちらかをえこひいきすると疑っている。その点はどうか。

調査にはこう書かれている。「調査結果によれば、アンパイアは特定の状況下では圧倒的にバッターよりもピッチャーに有利な判定をする。バッターが2ストライクのときは、次の球がボールでもストライクと判定した誤審率が29%で、2ストライクでなかった場合の誤審率15%に比べほぼ倍である」。

なお、このニュースの1か月前のMLBの発表では、同団体が現在、独立リーグ、アトランティックリーグのマイナー戦でロボット審判の利用を試行している、ということだった。それは、将来のある時点でメジャーがその技術を実装することを目指している。最近は野球のテレビ放送でストライクゾーンの図解が表示されるようになったため、球審のロボット化という話題も、急に現実味を帯びてきている。

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メジャーリーグ30球場でレーダーシステム「TrackMan」をボールとストライクの判定に利用

野球にまだ少しでも関心のある人ならご存知と思うが、この米国人の全国民的レクリエーションについては、ファンの全員がそれをもっとおもしろくする独自の方法を知っている。ピッチクロックやマウンドの移動など、この最近やや落ち目のスポーツの人気を再び盛り上げるアイデアは数限りなくある。審判のロボット化も前から言われているが、インスタントリプレー(直前のプレーの再生)のようなものでさえファンが反発するこの世界は、テクノロジーの導入がきわめて難しい。

でも、独立リーグはそうでもないようだ。先月末にメジャーリーグが発表したアトランティックリーグとのパートナーシップにより、今後は新しい機能をメジャーに導入する前に独立リーグでベータテストのようなものをやることになった。テストされる大量の新ルールが米国時間3月8日発表されたが、中でも(TechCrunchなどから見て)一番注目されるのは、ボールとストライクの判定を助ける自動化システムだ。

そのシステムは、メジャーリーグの30球場すべてにすでに導入されているレーダーシステム「TrackMan」を利用する。これまでそれは投球の速さなどを計測して、結果をチームや放送局が利用していた。最近のテレビ中継では、直前の投球の再生でホームプレート上のボールの位置までわかるが、これもTrackManを利用している。これもときには、人間のアンパイヤにとって悔しい機能だろう。

でもMLBは、テクノロジーをボールとストライクの最終的判定者にすることにはボークを犯したようだ。テクノロジーはまだそこまで成熟していないと見なしたメジャーリーグは、来シーズンそのシステムをあくまでも審判のアシスト(補助)として利用する。

メジャーリーグはほかにも、いろんな機能をテストしている。MLBのシニアバイスプレジデントのMorgan Sword氏がESPNに語っている。「今実験している変更の最初のグループは、インプレーのボールと守備機会と走塁を増やすこと、そして選手の安全性の向上を目指している。それらをまず、アトランティックリーグで実際に使ってみたい」。

そのほか検討されているのは、内野手の交替の禁止、ピッチャーラバーとホームプレート間の距離延伸、ゲーム中にピッチャー本人以外がマウンドへ行くことの厳禁などだ。

画像クレジット: Mark Cunningham/MLB photos / Getty Images

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ボストン・レッドソックスがApple Watchを使ってニューヨーク・ヤンキースからサインを盗んでいた

[↑次は直球]

Appleは次のApple Watchを発表するとき、絶対このネタを使うだろう。Boston Red Soxが相手チームのバッテリーのサインを盗むとき、このスマートウォッチが重要な役割を演じていたらしいのだ。

The New York Timesによると、MLBは、現在一位(アメリカン・リーグ東部地区)のRed Soxが、最近のヤンキース戦と、もしかして他チームとの試合でも、対戦相手のキャッチャーのからサインを盗んでいた、と裁定した

実際にどうやったのか:

Red Soxのビデオ担当者は撮影中の映像からハンドサイン(手信号)を入手し、iMessageやSMSを使って、ダッグアウトにいるトレーナーが着用しているApple Watchにその情報をメッセージした。そしてそのトレーナーは、情報を試合中の選手に伝えた。

野球のファンでない方のために簡単に説明すると、キャッチャーはピッチャーに、次に投げるべき球種をハンドサインで指示する。しかし相手チームの打者などは、この情報が分かればものすごくありがたい。次がカーブか直球か事前に分かっていたら、打者はその球をヒットにできる確率がとても高くなる。

それまでの方法では、二塁にいる走者がキャッチャーの手元を覗き込み、球種を打者にジェスチャーで教えていた。しかしライブのビデオと、Apple Watchのようなリアルタイムの通信デバイスをを使える今では、サイン盗みはずっと容易になった。

そしてもちろん、その‘犯行’の現場をとらえたのは、Red Soxと今地区リーグの首位を争っているYankeesだった。彼らは、Red Soxのトレーナーが自分のApple Watchを見て、その情報を選手に伝えている様子をとらえたビデオを、リーグに提出した。そして両チームは伝統のライバル同士〔日本の巨人/阪神のように〕だから、Red Soxも、Yankeesがテレビ放送用のカメラを使って試合中にサインを盗んだ、と提訴した。

実は、サインを盗むことは野球ではかなり一般的に行われていて、目と何らかの信号と声で自分が見たものを伝えることは許されている。しかし今回のような、ビデオによるリプレイ技術やApple Watchを使って伝達を電子的にスピードアップすることは、許されていない。リーグは、Red Soxやその他の累犯チームに、罰金を課すことになるだろう。

残された唯一の疑問は、Apple Watchのこんな使い方を誰が一体Red Soxに教えたのか?だ。ここに、その手がかりらしきものがある:

[Tim Cook: Red Soxとファンのみなさん、ボストンでの楽しい一日をさらに楽しくしてくれてありがとう。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

メジャーリーグ投手、競技用ドローンの事故でプレイオフに先発できず

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誰にでも趣味はある。そして、メジャーリーグ、クリーブランド・インディアンズのトレバー・バウアー投手は競技用ドローンを作るのが好きだ。そして、競技用ドローンを作ったことのある人なら誰でも、メンテナンスが大変なことを知っている ― プロペラやバッテリーを手で付けたり外したりしなくてはならない。

しかしバウアーは、先週木曜日にドローンを修理しているときちょっとし不運に見舞われた ― プレイオフのゲームに先発するまで、48時間を切っていた。

バッテリーパックをドローンにつないだ時、プロペラがフルスロットルで回り始め、そこにバウアーの利き手の小指があった。通常、バッテリーパックをドローンにつないでも、コントローラーで「始動」させない限り回転しない。

回転するプロペラはバウアーの小指を切り、10針縫わなくてはならなかった。もちろんゲームに登板することはできず、チームは別のピッチャーに交代させなくてはならなかった

昨日の記者会見でバウアーは、自分の小指とドローンを披露した。さらにバウアーは、その趣味の背景についても語った ― 数年前、LEDを塔載した競技用ドローンのビデオを見て、自分で作って飛ばしたいと思った。バウアーは自らを「ビッグ・ナード」と呼び、記者会見の時間をしばらく費して、お気に入りのスターウォーズ映画(ファントム・メネス)について語った。

しかし、真面目な話この不運な事故は、ドローンがいかに危険かを再認識さるものであり、DIY競技用ドローンの近くでは、DJIやGoProなどの大メーカーが作ったドローン以上に注意が必要であることを知らしめた。競技ドローンでは、あらゆる部分を文字通りゼロから作るので(時にはフライトコントローラーのソフトウェアも)、何かがおかしくなる可能性は常に大きい。

バウアーは今晩(米国時間10/17)のブルージェイズ戦に先発する予定だ。プレイ中は指に絆創膏やカバーを着けることを許されていないが、バウアーはピッチングに小指を使うことはないことを観衆に明言した。「[小指は]まあ、ついているだけ」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

野球のピッチャーの肘や腕の酷使を検出し、手術以前に対策できるスポーツ・ウェアラブルZiel

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最近の数年間では、野球のプロからアマまでのあらゆるレベルで、トミー・ジョン手術(Tommy John Surgery)の施術件数が急増している。投手の内側側副靭帯を再建するこの手術は、昨シーズン発表された数字によると、メジャーリーグの現役ピッチャーの約1/4が行っており、マイナーリーグや大学野球、そして高校野球の選手でも、大きな問題になっている。

その問題とは? ピッチャーは、若いときから体を酷使する労働であること、だ。

Ziel、Google翻訳によるとドイツ語で“狙(ねら)い”を意味するこの製品を創ったのは、ライス大学(Rice University)の学生チームだ。それは投手が装着する袖カバー(上図)で、センサーの配列が動きを捉え、その計測数値により、選手とコーチに、大事に至る前の警告を提供する。

同社は数多くのプロトタイプをこれまで試作してきたが、今では完成製品M2スリーブユニット(sleeve unit)を2018年には発売できることを、目標にしている。Engadgetの記事によると、最初のバージョンは初めに高校をターゲットにする。それは、問題のある投球を早めに見つけ、その問題を蕾(つぼみ)のうちに摘み取るためだ。

このスリーブユニットは250ドルとかなり高く、またそのデータを分析して結果を報告するソフトウェアは、月額10ドルの料金を払う。たしかに、一見安くはないけど、でもトミー・ジョン手術を受けることに比べればとっても安い。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppleのSiriがアメリカと世界のプロ野球雑学博士になった

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プロ野球の今年のシーズンの開幕に合わせて、Appleは野球のデータや雑学知識をたっぷりとSiriの脳に詰め込んだ。

そこで今のSiriはベーブルースの生涯打率を知ってるし、2008年の、フィリーズが優勝したワールドシリーズのときのラインナップだけでなく、なんと1934年のワールドシリーズについても知ってる。

Siriは、全世界の29のプロ野球リーグについても勉強した。今ではMLBだけでなく、Cape Cod LeagueやNippon Pro Baseball(日本野球機構)のことも質問できる。これらのリーグは、選手個人のデータはないが、試合結果の記録はある。

Siriそのものの重要なアップデートではないけど、野球シーズンの再来を祝うにふさわしい仕掛けだ。また、Siriの高度な自然言語処理能力を誇示する、良い機会でもある。

“how many home runs did Babe Ruth have during his career”(ベーブルースは生涯に何本ホームランを打ったか?)のような問に対して、これまでのSiriならたぶん、あのいまいましい”here’s what I found on the web”(Webにはこんなものがありました)を返しただろう。でも今度からは正しい答を返すから、Siriをより一層、人間らしく感じるだろう。

この機能はすでに使える状態なので、Siriを困らせて楽しみたい人は、ぜひトライしてみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MLBのストリーミング閲覧、デスクトップ以外のデバイスが半数超え

メジャーリーグ中継が、MLB.tvとして初めてウェブにストリーミングされたのは2002年8月26日のことだった。昨今のモバイルデバイス上でのHD再生環境と比較すれば、サイズの面でも画質の面でもとても比較にならないものだった。

MLBによると、ストリーミングが開始されて12年後の今年、ライブストリーム閲覧者の51%がモバイルデバイスおよびインターネット接続(connected)デバイスを使っているのだとのこと。インターネット上で流されるすべてのスポーツ・ライブストリーミングの中で、デスクトップ閲覧者が50%を切るのは初めてのことなのだそうだ。インターネット接続デバイスというのはApple TV、Rokuなどのデバイスのことだ。モバイルの普及と、そしてMLBのオンライン化への積極な取り組み(アプリケーション開発など)などもあって、ストリーミング視聴者は年々増加し続けているようだ。

ストリーミング開始当時は、閲覧者も3万人程度に過ぎなかった。MLB Advanced Mediaからの情報によれば、2014年シーズンの最初の1週間で、ストリーミングの閲覧回数は9400万回にものぼったのだそうだ。視聴可能なデバイスが増えたことはもちろん、MLBが公式にストリーミングを提供していることも成功の一因となっている。

歩んできた道を少しだけ振り返ってみよう。下に貼ったのが2002年当時のウェブプレイヤーだ(間違って縮小しているわけではない。本当にこんなサイズだったのだ)。

2014年にはこうなった。

違いは見ての通りだ。

ストリーミング配信の拡大という話でいえば、ワールドシリーズについてもMLB.tvにて配信するとするアナウンスもあった。デスクトップ、セットトップボックス、およびモバイルデバイスなどさまざまな環境で、ワールドシリーズを楽しむことができる。

もちろん、野球以外のスポーツもストリーミング配信を拡大している。ワールドカップについてみるとWatchESPNおよびUnivisionをあわせて245万人がライブストリーミングを視聴していた。

Image Credit: Kieth Allison

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(翻訳:Maeda, H


あの渋チンのMLBがついにYouTubeで実況中継を無料で提供–ただし日本アメリカなどは除外

Major League Baseball(MLB)は、コンテンツがYouTubeなどのビデオストリーミングサービスに出回らないよう、厳しく取り締まってきた。好きなチームや選手の活躍の様子をYouTubeで見ようと思っても、良いものはほとんど見つからない。試合のクリップがYouTubeに載ると、たちまち削除される。だからこれまでYouTube上にあったのは、スライド(静止画像集)や、ファンが球場で撮った見づらいビデオばかりだ。ところがそのMLBがついに、ベルリンの壁(の一部)を破壊し始めた。

今日(米国時間4/29)同社は、Google+で、コンテンツをYouTube上に公式リリースする、と発表した。YouTube自身がこのところパートナーシップ事業を積極的に推進しているから、これはその重要な一環でもあるが、ただし今のところ、そのパンは半分生焼けだ。

YouTubeのMLBチャネルで今のシーズンのゲームのハイライトを見られるが、それは当日ではなく24〜48時間後だ。また、1952年以降の数千時間にわたるゲームハイライトや、”Baseball’s Best Classics”、”Best Moments”といった懐かしの名場面も見られる。

MLBのインターネット“関所”的企業MLBAMは、2010年からYouTubeで全試合とハイライトの録画を提供しているが、それが見られるのはオーストラリアとブラジルと日本とニュージーランドとロシアだけだった。今回のチャネルではそのオーディエンスがグローバルに広がるが、ただし制限がある。

YouTubeとMLBのパートナーシップによりレギュラーシーズンの2試合のライブ中継を毎日無料で見られることになったが、ただし合衆国とカナダと韓国と台湾と日本は除外だ。

合衆国、日本、韓国、台湾という世界的に大きな野球市場でネット放送がないのだから、パートナーシップ事業の発表としては気のぬけたぬるいビールだが、でもまあ、やっと好きな選手やチームのハイライトを猫ビデオを見るのと同じ気軽さで、YouTubeで見られるようになったのは、とりあえず進歩だ。五歩十歩ではなく一歩ぐらい、かもしれないが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))