ToyotaがOculus Riftを使ってわき見運転のおそろしいシミュレータを制作、おしゃべりで迷惑な友人も本物そっくり

VRや、Oculus RiftのようなVRヘッドセット(headset, ≒ヘルメット)の教具としての可能性は、すでに多くの人が認めている。デトロイトで行われた今年のNorth American International Auto ShowでToyotaが見せた運転教育用シミュレーションTeenDrive365は、新米の運転者たちに、わき見運転の危険性を教える。このシミュレータはユーザをToyota車の操縦席に座らせ、完全に没入的な(イマーシヴな)仮想環境の中に、歩行者やほかの車、建物、路上の障害物などを登場させる。

なお、ユーザが座るToyota車の操縦席は、仮想ではなく、このカンファレンスのToyotaのブースに展示されている実車だ。そしてその本物のアクセルやブレーキやステアリングホイールを操作すると、その動きがVRに伝わる。ヘッドフォンから聞こえる音はステレオだから、臨場感も抜群だ。アクセルを踏み込んだときのエンジン音や、パトカーのサイレンの音、くだらないことを話しかける迷惑な友人の話し声、などがリアルに聞こえてくる。

このシミュレータは、Toyotaの運転者教育プロジェクトTeenDrive365の一環だ。このプロジェクトには、ほかにもいろんなツールや、アドバイス、各種イベントの紹介などが含まれ、新米運転者がフェンダーを損傷したり、大きな事故に遭ったりしないように、導いてくれる。とくにこのわき見運転シミュレータは、これまでVR上でいろいろ試みられてきた運転教育用シミュレータよりもずっと充実した環境を、よりリアルに表現しているようだ。

もちろん、Oculus Riftを持ってるあなたがふつうにToyota車を買っても、その車でこのシミュレータを楽しむことはできない。でもToyotaはこれから、TeenDrive365の全国ツアーをやる気だから、10代のガキに自分の車を使わせるとどんなひどいことになるかを、とりあえずシミュレータで知ることができるだろう。同社のイベントのスケジュールは、ここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


1000円ですごいVRを体験できるハコスコ――ANRIが出資、博報堂と提携

 

FacebookのOculus VR買収以降、VR(仮想現実)を取り扱うプロダクトに今まで以上の注目が集まるようになった。同社のOculus Riftもそうだし、Oculusと同じく南カリフォルニア大学の混成現実研究所から生まれたSurviosもそう。サムスンはGalaxy Note 4をセットして使う「Samsung Gear VR」を発表しているし、日本でもFOVEのような製品が登場している。Kickstarterなんかを見るとまだまだ新しいプロダクトは登場しそうだ。

これらの製品の幾つかは僕も体験したことがあって、そのリアルさには驚かされた。Oculusをセットし、イヤフォンをつけてジェットコースターの映像を流すと、急降下のタイミングで思わず叫び声が出そうになってしまった。

ただこれらの製品、まだまだ日本では買えなかったり、買えてもそれなりのお値段だったりと、普及という点では難しい。VRをマーケティングに使いたいなんて声は聞くが、実際に端末を配るわけにも行かず、展示会などでは複数の端末を並べるも、「30分待ちのアトラクション」のようにみんなが順番を待って利用しなければならない。

そんな経験をスマートフォンとたった1000円のキットで実現してくれるのがハコスコの手掛ける「ハコスコ」だ。

プロダクトの素材はダンボール

ハコスコの素材はなんとダンボール。それにレンズが1枚付いているだけというシンプルなもの。折りたたまれた状態で販売されているので、利用するにはダンボールを組み立て、レンズをはめればOK。5分とかからずに完成する。完成したハコスコのスリットに対応アプリ(パノラマ写真、動画、CGなど)を立ち上げたスマートフォンを挿入すれば、VRコンテンツを体験できる。

単眼と二眼(視差を利用した立体視に対応)、スマートフォンのサイズに合わせて複数のバージョンが用意されている。それに加えてダンボール製ということで、ユーザーがいろいろとカスタマイズして使っているそうだ。なお、現在はより簡単なしくみで、かつ視野角の確保できる単眼モデルに注力している。

ほかのVR関連プロダクトを幾つか体験してきた僕なので、正直「ダンボールとスマホだけではたしてどんな体験ができるのか?」と思っていたのだけれど、いざ使ってみるとこれが驚くほどのクオリティだった。視野が覆われ、頭の動きとほぼリアルタイムに画像が追随する。もちろん単眼なので立体映像ではないし、音声まで連動するわけではない。そのあたりの是非はあるかも知れないが、そもそもOculusなんかと比較する意味のあるプロダクトではないと思う。単眼ならスマホで広い角度の画像を見れるし、あまり「VR酔い」をしにくそうなので僕としてはこれで十分だと思う。

ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏は、MITの研究員を経て独立行政法人理化学研究所(理研)に務める人物。脳科学総合研究センター適応知性研究チームPIとして、SR(Substitutional Reality:代替現実技術)システムの開発に携わってきた。そんな藤井氏は「工学の人はスペックに向かってしまう。だがSRの研究で分かったのは、スペックではなくて、(脳科学的な観点で)利用者が『本物だ』と信じれるかどうか。Oculusと同じ文脈で考えても仕方ない」と語る。ダンボールというとGoogleも同様のプロダクトを作っていたが、こちらは藤井氏曰く、Oculusをどれだけ安価に再現するかという方向性を持っており「我々とはまた違う」とのことだった。

理研発のベンチャー

藤井氏がもともと手がけていたSRシステムも、これはこれですごい体験ができるそうだが、実際に体験するには最低でも数十万円の機材が必要になる。部屋ごとシステムに対応しようものなら数百万円と普及するような価格ではない。この研究の成果を最大限に簡素化して作ったのが、ハコスコなのだという。

実は理研には「理研ベンチャー認定・支援制度」と呼ぶ制度がある。研究の中で生み出した技術のライセンスを使って起業することを許可しているそうで、藤井氏もこの制度を使ってハコスコを創業した(余談だが、わかめスープで有名な理研ビタミンやコピー機、光学機器メーカーのリコーなど、僕らに身近な製品を出しているメーカーも理研にルーツがあったりする)。

同社の創業は2014年7月。メンバーは藤井氏とその妻でCOOを務める太田良恵子氏の2人で、外部に複数の協力者がいる。ビジネスモデルは(1)ハコスコの販売、(2)配信チャンネルの販売、(3)コンテンツ製作――の3点。すでに企業やブランドとのタイアップが進んでおり、「2人でやっているとは言え、初月から黒字の状況」なのだそう。出荷数もすでに4万台(個?)を超えた。今後は専用アプリの配信チャンネルを拡大するほか、コンテンツの拡大を進める。

ANRIが出資。博報堂との提携も

同社は11月にANRIから3000万円の資金を調達しており、今後はエンジニアをはじめとした人員拡大を進める。「今までも外部に協力者がいたが、一緒に考えてくれる、一緒に作れるという人が欲しい」(藤井氏)。

また12月19日には、博報堂および博報堂プロダクツとマーケティング向けソリューションの共同開発についても発表した。すでに企業のマーケティングなどでマネタイズしているハコスコだが、今回の提携によってその動きを強化する。スマホと1000円のキットでVRを体験できるのだ。前述のとおり展示会で「30分待ちのアトラクション」になっていた体験を、ハコスコを配布して一斉に体験するなんてことができたりするというわけだ。


Googleダンボール製VRヘッドセット開発の背景、そして今後の可能性?!

話題を引きずり過ぎかもしれない。しかし今年のGoogle I/Oにて、何に一番驚いたかといえばダンボール製VRヘッドセット(Cardboard)だったのではないかと思うのだ。ペーパークラフトの中にスマートフォンを装着して、VRビューワーとして利用するものだ。キーノート公演で紹介されたものだが、その開発者であるDavid Cozが開発の背景についても教えてくれた。

このCardboardが開発された理由については、Oculus Riftの買収額があまりに高額であったことを揶揄するためであったとか、あるいはGoogleで買収できなかったことを悔しく感じたためだなどという話もある。しかしパリのGoogle Cultural Instituteで仕事をするCozによると、これは「作ってみたかったから」だとのことだ。

「VRが大好きなのです」とも発言している。VRはここ数年で進化して、一層面白いものになってきていると感じているのだそうだ。Cardboardを作ることで、「簡単かつ安価」であっても、面白いVRビューワーが作れることを示したかったのだとのこと。

プロジェクトを開始したのは6ヵ月ほど前のことだ。CozはこれをマウンテンビューでGoogle Research Scientistとして働いているChristian Plagemannに見せた。Plagemannは、自らも例の20%プロジェクトとして取り組むことを決め、そしてGoogle社もプロジェクト化を認めたのだそうだ。

ところで、ダンボールを使うことに何か理由はあるのだろうか。Coz曰く、プロトタイプを考えていく際に簡単に扱えるからというのがひとつの理由だったそうだ。それに加えて「ダンボール製」ということで「シンプルさ」を表現したいという気持ちもあるのだとのこと。情報処理は内部におさめるスマートフォンが担う。「ハサミとホッチキスで簡単に改造できるようにしたかったのです」という意味もあるのだそうだ。

Googleは開発者用のツールキットも公開しており、すなわちこのハードウェア(ペーパーウェア?)は、単に「シンプル」なだけではなく、「オープンソース」のプロダクトとして提示されてもいることになる。サードパーティーからも、Cardboard用アプリケーションがいろいろと出てくるという事態もあり得るのかもしれない。開発チームは、Project Tangoと連携していく可能性もあると示唆していた。

もちろん他にもスマートフォンを利用したVR技術を世に出そうとする企業やグループは存在する。しかし、Googleが本気で開発者を巻き込もうとするのなら、Cardboardを主役としたエコシステムが登場してくる可能性もある。

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(翻訳:Maeda, H


VR社員教育のプラットフォームとしてOculus Riftに賭けている会社がある

Oculus RiftとそのメーカーであるOculus VRはFacebookに買収され、それが原因で、MinecraftのデベロッパーMojangのように、同プラットフォームでの開発を見直す人々がいる。しかし、Oculusへの賭け金を倍増する人々もいる。社員教育ソフトウェア開発のTechnology Transfer Services(TTS)もそんな一社だ。

これもまた、エイプリルフールの早出しではないことを確認する必要のあるニュースだったが、そうではないことをTTSのJohn Hooverが保証してくれた。同社は本当に「没頭型学習環境」を開発中で、「バーチャルワールド、インストラクター主導教育、現場固有教育、カスタムEラーニング、およびシミュレーションを組み合わせることによって、社員を効率的に教育する」ものであると、TTS CEOのLou Riveraがメールによるリリースに書いている。

では具体的にそれは何を意味しているのか? 例えば、劣化ウランを処理する工場で働いている人が、危険物を正しく廃棄する方法を学びたかったら、手足や命を危険に曝す代わりに、安全なバーチャル環境で行うことができる。TTSはすでに、発電所シミュレーションのプロトタイプを作って運用しており、新入社員たちは、数百万人の命を危うくすることなく、経験を積むことができている。

もう一つ可能性のある用途:オフィスで動く人たちが、ドアやキャビネット、イス、鉛筆、くずかごなどの危険に、実際遭遇する前に備えるのに役立つかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Oculus Riftから350ドルで新たなデベロッパー・キット発表―Crystal Coveプロトタイプが市販に近づく

Oculusは先週、最初の世代のデベロッパー向けRiftの販売を中止したのに続いて、第二世代のRiftキットを発表した。価格は350ドルで、機能は大きく向上している。新バージョンはOculuのサイトで現在予約受け付け中だ。ベースになったのは今年のCESで発表されたCrysta lCoveプロトタイプ。

このバージョンでは奥行センサー・カメラが追加され、現実世界での装着者の運動をゲーム内でよりリアルにレンダリングできるようになった。解像度は両眼それぞれ960×1080のHDだ。また筐体デザインも洗練され、赤外線センサー、電源ボタンは目立たないように装備されている。また接続は単一ケーブルが用いられ、先端でUSBとHDMIプラグに分岐する。

われわれの姉妹ブログのEngadgetが取材したビデオを下にエンベッドした。

DK2と呼ばれるこのデベロッパー向けOculusキットは、前バージョンが売り切れになったことから登場が予期されていた。Oculusにとって一般発売前にできるかぎり多くのソフトウェアを揃えておくことが重要なのは言うまでもない。

消費者向けリリースの時期についてはまだ発表がないが、DK2の出荷は6月に開始予定だ。われわれのボスはTitanfalを試してみたときの凄さを熱く語り続けている。

今週は、ソニーがMorpheus PS4 VRヘッドセットを、スタートアップのSulonがCortex ARゲーム開発キットを発表するなどVRの話題が多い週だった。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


現実空間をホロデッキにしてしまう仮想現実ゲームプラットホーム, SulonのCortexがデベロッパキットを予約受付

仮想現実(virtual reality, VR)は必ず未来のゲームの一部になるだろう。そこでトロントのSulon Technologiesはサンフランシスコで行われたGDC(Game Developer’s Conference)で、彼ら独自のVR技術を披露した。彼らがCortexと名づけたゲームプラットホームは完全にイマーシブな(immersive, 没入型の)ゲーム体験を提供し、そのためにどんな物理空間でもホロデッキ変えてしまう。使うものは、空間スキャナと処理ユニットと専用バイザーで、バイザーをスマートフォンにつなぐと眼前に立体像が映し出される。

同社は今朝(米国時間3/19)から、開発キットの予約受付を開始しており、デベロッパ向けのハードウェアの発売は今年の最終四半期を予定している。Oculus Riftなどとの最大の違いは、AR/VRの像だけでなく、プレーヤーのまわりの実際の物理環境をゲームに利用することだ。そしてそのために、プレーヤーのスマートフォンをCortexの処理ユニットにBluetoothでつなぎ、画像をバイザーに表示する。

バイザー(を着けたプレーヤー)との通信はワイヤレスなので、自由に歩き回れる。Sulon Cortexの初期のバージョン(当時はGVXと呼ばれた)のアクションを下のビデオで視られる。デベロッパはまわりの現実空間を大々的に利用できるし、あるいは最小限だけ利用してもよい。また、Oculusなどのように、完全な仮想現実にしてもよい。バイザーを着けたプレーヤーの視界は、本人の動きで変わる。場所や方角だけでなく、姿勢(屈み込むなど)も視界に反映される。

仕掛けが大げさなわりには、スマートフォンなど既存のデバイスを使うので、そんなに高価にはならないし、デベロッパもとっつきやすいはずだ、とSulon Techは言っている。今はAndroidだけだが、近いうちにiOSにも対応する予定だ。

リアルとバーチャルのハイブリッド、そしてホロデッキが提供する充実した対話性が、何か大きな可能性を感じさせる。今後の最大の課題は、これらの仕掛けを、シンプルですっきりとした(そしてトラブルや故障などのない)消費者製品に仕上げることだ。またもちろん、発売初期のタイトルの充実も重要。今のベータテストの現状から、そこまでの道のりは、相当長いと思われる。じっくりと、見守りたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


この日本製の拡張現実ロボットはまるで生きてるホログラム

このビデオを見ると、頭がおかしくなるかもしれないから、気をつけて。ここで紹介されているU-Tsu-Shi-O-Miと呼ばれるシステムは“仮想アシスタント”の一種だが、物理的な実体は全身緑色のヒト型ロボットだ。ユーザは仮想現実(バーチャルリアリティー)の映るゴーグルを身につけてこのロボットを対話的に操作するから、ロボットのちょっと不気味な姿を見ることはない。仮想画面中でユーザは、たとえば“美しいお嬢さん”の、体に触れたり、握手したりするのだ。

日本のDifferent Dimension Inc.が作ったこのロボットは、MMDAgentと呼ばれるプログラムを動かしてユーザと対話する。最初のプロトタイプは、パジャマを着た大きな仮面のようだったが、今の形は上半身があり、顔も小顔だ。受注生産で、お値段は5000ドル。

今のシステムは拡張現実のヘッドセット(ゴーグル)と、相当高性能なコンピュータが必要だ。でも全体はとてもコンパクトにできているから、拡張現実眼鏡をした状態でロボットと対話するのは、それほど難しくない。AR眼鏡をしてないふつうの第三者が、人間と小さな緑色のロボットが対話している様子を見ると、気持ち悪いかもしれないけど、もしもClarkeがこの技術とマジックを見たら、何と言っただろうか?

出典: Gizmag〔日本語サイトのリンクがこの記事にあります。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))