アップルのApp Storeに対して開発者によるアプリのリジェクトやルールへの異議申し立てが可能に

Apple(アップル)が、近く実施されるApp Storeのルール変更を発表した。これにより、このマーケットプレイスの運用が大きく変わる可能性がある。もうすぐ開発者は、アプリのリジェクトだけでなく、その根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることはない。

重要な追加事項にも関わらず、アプリと開発者の変更点についてのブログ記事は淡々としたものだ。

まず第一に、開発者はアプリがApp Store Review Guidelinesの特定のガイドラインに違反しているかどうかの決定に抗議できるだけでなく、ガイドラインそのものに異議を唱える仕組みがある。第二に、すでにApp Storeで公開されているアプリに関しては、法律な問題に関連するものを除き、ガイドラインへの違反のためにバグ修正が遅れることはなくなる。

App Storeのルールは、今週大きく報道された。それは、収益化をめぐる論争のせいであり、メールサービスアプリのHeyが、サブスクリプションの収入をAppleと共有することをためらった(未訳記事)からだ。

これは前からよくある問題であり、Basecampの共同創業者であるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)ともあろう人が、自分のHeyについてそれを知らなかったとは思われない。しかも、アプリに関するAppleの一方的で画一的なビジネスモデルが批判されたのも、これが初めてではない。

本誌TechCrunchとのインタビューでAppleのマーケティング担当上級副社長Phil Schiller(フィリップ・シラー)氏は、ルールを変えてHeyのようなアプリが収入をAppleと分けずにApp Storeで売られるようにするつもりはない(未訳記事)と語った。

関連記事:Interview: Apple’s Schiller says position on Hey app is unchanged and no rules changes are imminent

しかし、アップルは発表で直ちにルールを変更しないが、そのうち変えるかもしれない、と言っている。開発者からのフィードバックがどのように入手され処理され評価されるのか、それはわからないが、おそらく今週の多くの開発者セッションでさらに聴取を重ね、多くの提案を受け取ってから最終的に決まるのかもしれない。

2つめの変更は、Heyがそうだったようにビジネスの問題があるせいで、セキュリティアップデートもできなかった開発者をほっとさせるだろう。開発者との交渉が行き詰まることで、ユーザーを困らせることはアップルもしたくないだろうから、両者を分離することは完全に正しい。これによって、扱いにくい開発者に対してアップルが振るう鞭(むち)が短くなり、しかもユーザーなど他の関係者のリスクは少なくなる。

App Storeのルール変更は今夏に発効するため、それまでに詳細が決まるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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