NextView Venturesがスタートアップ向けリモートアクセラレーターを開始

シリコンバレーのリーダーであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は先週末、いつもの沈黙を破りシリコンバレーに向けいくつかのアドバイスを送った。「It’s time to build(構築するのは今だ)」。有名な投資家である同氏はCEO、起業家、投資家すべてに新しい企業を迎えようと呼びかた。

ブログの投稿で数々の野心的な提案を披露しているが、読者の立場によって受け取り方は異なるだろう。だが、自分はビジネスにオープンであると証明したがるベンチャーキャピタリストを試すにはもう少し地に足のついた方法がある。タームシートにサインして、小切手を切れるかどうかだ。

ブログで語られた言葉は、ボストンに本拠を置くベンチャーキャピタルであるNextView Venturesの理論、そして4月20日に発表された新しいリモートアクセラレータプログラムと不気味なほどに似ている。

「現在の新型コロナウイルス(COVID-19)危機の間に多くのVCが『ビジネスにオープン』であると公言するのを見てきたが、当社は投資に関して言行一致でありたい」とパートナーのDavid Beisel(デイビッド・ベイゼル)氏は語る。

NextViewは、既存ファンドから資金を一部振り向け、10に満たない数のプレシードおよびシードスタートアップの株式の8%に20万ドル(約2150万円)を投資する。プログラムは完全にバーチャルで行われ、「市井の人々の日常の生活」を変える力になる創業者に投資する。

NextViewの共同創業者であるRob Go(ロブ・ゴー)氏は、プログラム開始についてツイートした。

NextViewアクセラレータの立ち上げは、Y Combinator500 Startupsなどの従来の名だたるインキュベーターが自身の戦略を考え直しているこの時期に行われる。Y Combinatorは4月20日、次のバッチが完全にリモートになると発表した。500 Startupsは2020年3月にコホートモデルを廃止すると発表した。

同社はまた、大きなバッチサイズや派手なデモデイなど、従来のアクセラレータープログラムのどこが悪いかについてコメントを出した。「アクセラレーターは小規模で親密な雰囲気なら最高だ。YCの最初のバッチはわずか8社だった」とベイゼル氏は参加者の少なさについて語った。「だが時間が経つにつれ、アクセラレーターは数字ゲームのようになった」。

ベイゼル氏はこう付け加えた。「もともとアクセラレーターのデモデイは、スタートアップをフォローしたい投資家への紹介手段として始まったが、最近は多くの関係者を満足させる念入りなショーへと進化した」。

とはいえ、デモデイについて避けられない真実は、それがスタートアップと創業者を結び付け、うまくいけば最初の小切手をもたらすきっかけになるということだ。ジャーナリストやベンチャーキャピタリストが集まる場所で創業者の顔にスポットライトが当たるような機会がなければ、ディールに成功をもたらすことなどできるだろうか。

YCと500 Startupsが2020年に初めてバーチャルデモデイを開催した後、筆者らはさまざまな不平を耳にした。Y Combinator先週、YCの卒業生に常に投資する方針を変え、原則としてケースバイケースでレビューする方針とした。アクセラレーター内部にある保守主義をほのめかす例だ。

NextViewはアクセラレータープログラムの後の資金調達にも控えめに取り組んでいる。同社は、小規模なコホートを次のラウンドに参加する投資家につなげるものの「次のラウンドの資金調達をリードすることはあえてしない」と述べている。同社がプログラム後の投資ラウンドをリードしない方針を明らかにしたのは「将来の資金調達で何らかのシグナルを送ってしまう可能性を回避する」ためだという。ただ同社は、コホートを支援するため、プログラム後のすべての企業の資金調達ラウンドに少なくとも同じ割合で参加する。

この決定を楽観的に捉えるなら、NextViewは自身のアクセラレーター機能を投資会社とは別のものと見ており、ディールフローのパイプラインを厚くするというよりは助けになればいいと考えているのかもしれない。あるいはそうではなくて、今後の景気が予測不可能な時期に投資に過剰にコミットしたくないだけかもしれない。ただ、バッチの中に宝石を見つけたとしてもNextViewがその会社に投資しないのは驚くべきことだ。

はっきりしているのは、NextViewがアクセラレーターを立ち上げ、多くのVCが投資を控える中でNextViewはスタートアップに投資しようとしているということだ。すばらしいリターンをもたらす若いスタートアップの育成に同社がどれだけ成功するかは時を待たなければならないが、今のところ、同社は何かを構築しているといえる。今日のニューノーマルの下では、構築することは歓迎すべき兆候だ。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。