量子コンピューティングの初の一般商用化をねらうRigetti Computingが$2.5Mのシード資金を獲得

これまで研究室やSFの話題だった量子コンピューティングがついに、その可能性を追究する技術から、商用のハードウェアの上で実際に仕事をする技術へと脱皮する。

Y Combinatorの今のバッチの一員であるRigetti Computingは、量子コンピューティングを軸とするコミュニティの育成をリードする企業の一つになることを、志願している。創業者でCEOのChad RigettはIBMやイェール大学の上級研究員だった人で、同社は、シミュレーションによる(量子コンピューティング用プロセッサの)プロトタイピングを反復することにより、この分野に継続的な性能の向上をもたらそうとしている。

Rigettの説明によると、同社が今後数年間の挑戦課題としているいくつかの問題解決が達成されれば、量子コンピューティングの性能の事前予測とコスト削減が可能になる。それらの問題の多くはハードウェアの量子的側面とは無関係なので、各回の反復で新たな回路を作ることなく、シミュレーションソフトウェアAnsysを使って、変更部分の迅速なテストができる。

4月にRigettiは、同社のシミュレーションを使用するテストの成果を投資家たちから評価され、AME Cloud VenturesやMorado Ventures、Susa Ventures、Tim Draperなどから250万ドルのシード資金を獲得した。その資金で同社は、バークリーの小さなオフィスから、もっと仕事のしやすいコンピューティングラボに移り、この分野の優秀な研究者たちをスカウトしたいと考えている。Rigettiは曰く、チーム編成には細心の注意をもって臨み、この技術分野における上位1〜2%の最高のPhDたちをつかまえたい、と。実際に今探りを入れている研究所や企業などの名前を挙げられないのは、同社の今後の研究の内容や方向性を外部に悟られないためだ。

今後数年間の(シミュレーションによる)プロトタイピングにより、Rigetti Computingは量子コンピューティングのための信頼性の高い、スケーラブルな、そして他社に比べて低コストなプロセッサを作れるようになり、それにより商業的なビジネス展開を図る予定だ。量子コンピュータが従来のプロセッサよりも桁違いに速いと言われている分野は、新薬や新素材開発のための化学反応シミュレーションや、今よりもずっと高度な人工知能、それに暗号技術などだ。

今すでに量子プロセッサを使っていると称するマシンがあることはあるが、それらはまだ、従来型のコンピュータを舞い上がる砂塵の中に遠く置き去りにするほどの、目覚ましい高速性を実現していない。Rigettiによると、二つの理由により、それももうすぐ変わるだろう、という。ひとつは、小型中型の量子コンピュータのための新しいアプリケーションの開発が急速に進んでいること。もうひとつは、量子マシンの計算力とシステムのサイズが飛躍的に成長していることだ。

Rigetti Computingの将来性は、同社がこの二つの波にうまく乗れるか否かにかかっている。量子コンピュータのためのソフトウェアの構築は、アプリケーションをPCからスマートフォンに移植するためにAPIに変更を加えるといった、簡単な話ではない。まず、自分が開発した最良最速と自負するハードウェアを、見込み客たちの胸元に押し付けることから、仕事が始まる。ユーザの手中にハードが実際にある、という状態の実現が早ければ早いほど、量子コンピューティングの違いを見せつけるソフトウェアの開発動機を、多くのソフトウェアデベロッパが持てるようになる。ハードの普及とソフトウェアの開発という両輪が順調に回転するようになれば、その後の成長にはほとんど限界がない。量子コンピュータは(理論的には)、1+1=2倍ではなく、1+1=2乗倍と言われる、文字通り指数関数的なスケーラビリティの世界だから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Y Combinatorの社長Sam Altmanしぶしぶ認める: “うちは独占的アクセラレータだ”

Y Combinatorはスタートアップのアクセラレータの世界を支配している、と思っておられるあなた、YCの社長のSam Altmanもそう思っているのだ。

TechCrunch Disrupt New Yorkのステージで壇上インタビューを担当したTechCrunchのファウンダMichael Arringtonは、Altmanから、ちょいと物議を醸しそうな話を引っ張り出そうとして彼に、“YCがアクセラレータのエコシステムから酸素の99.9%を吸い取っているのではないか”、と尋ねた。Altmanは、ハードウェアなど特定の分野でクールにやってるアクセラレータはほかにもいる、と反論した。

ただしAltmanは、YCはほかの育成事業を経てきたスタートアップにはあまり投資しない、と言葉を加えた。

“そういう意味では、そのほかの段階の投資と違ってアクセラレータの分野には独占がある、と思う”、と彼は言った。

Arringtonは、Y Combinatorが独占だと思うか、としつこく食い下がった。気まずそうな一瞬の沈黙のあとAltmanは、“そうだね。うちは優秀な企業だけをつかまえてる。うちの仕事のいちばん難しい部分、精力の90%を取られる部分がそこだね”、と答えた。

AltmanがYCの社長になったのは2月で、それ以降彼は、YCの投資から起きうる紛争やいわゆる“信号送出リスク(signaling risk)”*の軽減に努めてきた。たとえば投資構造の改革YCのパートナーたちによる投資の制限などを通じて。〔*: signaling risk, 緩い任意のパートナーシップの場合、その後の投資が継続せず、それが、対象企業の内情に関する“悪い信号”として世間に流れること。また逆に、間違った“良い信号”もありえる。〕.

また技術的な面では、デベロッパを一人から三人に増やし、今後もっと増やす予定だ。Altmanによると、今進めている二つの主なプロジェクトは、Hacker Newsのアグリゲータと、同社独自のインターネットツールだ。“VC企業を本当にスケールする方法は、ソフトウェアだ”。

さらに、本誌も記事にしたように、YCはStartup Schoolを国際展開した。

Altmanは、企業が初期の理想や焦点を失う理由について、こう言うWeb: “伝道者(missionaries)だった者が金目当ての傭兵(mercenaries)になってしまう”。とくに問題なのが、IPOだ。

“公開企業になることは、多くの企業にとって、たいへんなことなんだ”、と彼は言う。“FacebookやGoogleは、四半期ごとに恐ろしい顔をしてやってくる数字のプレッシャーをうまくあしらっていると思うが、ぼくが見たかぎりでは、対応の下手な企業がほとんどだね。本来の仕事そっちのけで、この‘四半期問題’に翻弄されてしまうんだよ”。

そしてAltmanの説では、“彼らのいちばん多い間違いは、視野狭窄的に、短期的な最適化に勤しんでしまうことだ”。良い企業とは、長期的な最適化に正しく取り組む企業だ、と彼は主張する。

[ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ストリーミング機能ありで容量無制限のクラウドストレージサービスStreemがY Combinatorを卒業して本番ローンチ

大きなメディアファイルをたくさん保存したい、と願っていた人にとっては、Streemが理想のクラウドストレージサービスかもしれない。

Y Combinatorから巣立った同社は先週、そのメインプロダクトであるStreem Driveをローンチし、87万5000ドルのシード資金を得たことを発表した。

協同ファウンダでCEOのRitik Malhotraは、Streemをメディアファイルの保存のためによく使われる外付けハードディスクと比較する。これまでのクラウドストレージサービスは、外付けドライブのようにローカルな感覚で気軽に使えない、と彼は言う。ハードドライブにあるものをすべてコピーしておこうと思っても(コピーだけならできるが)、大量のHDビデオを抱えている者にとってはクラウドの容量が小さすぎる。たとえばDropboxなら、無料アカウントでは2GB、Proプランは100、200、500GB(ほぼ10ドル、20ドル、50ドル/月)だ。

しかしStreemなら、月額20ドルで容量は無制限だ。同社にそれができるのは、Malhotraによると、重複排除と圧縮を併用しているからだ。“重複排除のスペース節約効果はとても大きい”、と彼は言う。

ファイルの使い方などは自分のハードディスク上のファイルと同じだが、クラウドだからローカルなスペースはまったく消費しない。Malhotraによると、その技術はメディア向けに最適化されており、たとえばビデオストリーミングのクォリティはユーザの帯域に合わせて調整される。

Streemのアプリケーション/アプリは、Mac、Windows、Linux、iOS、Android、そしてWeb用がそれぞれある。

資金は、YC、500 Startups、Start Fund、IronFire Capital、Arbor Ventures、Grooveshark/OnswipeのファウンダAndres Barreto、そのほか多くのエンジェル投資家たちから出ている。

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オバマ大統領、YCのサム・アルトマンとYahooのマリッサ・メイヤー主催の民主党献金パーティーの目玉に

来たる5月8日、Y CombinatorのSam AltmanとYahoo CEOのMarissa Mayerが、民主党全国委員会の資金調達イベントを主催する。目玉はオバマ大統領だ。祭はマウンテンビューのY Combinator本社で開かれる。

テクノロジーが政治の世界に飛び込むのはもちろんこれが初めてではなく、この種の出来事は今後さらに頻繁になると考えるべきだ ― 政治とITの交わりは近年益々忙しい。

参加したいって? 安くはない。参加するだけなら1000ドル、大統領と写真に写るには5000ドル、カップルで写るには7500ドル以上が必要だ。

SFGateによると、イベントは当初パロアルトにあるMayerの自宅で開かれる予定で、200人前後を収容することが可能だった。しかし、需要の高さによって場所が変更された。

イベントが開かれるベイエリアは、滑稽と言っていいほどの民主党領だ。ここに2012年大統領選後のNew York Timesがある。

オバマ氏はベイエリアの9郡で勝利を収め、その差は25ポイント(ナパ郡)から71ポイント(サンフランシスコ市および郡)に及んだ。シリコンバレーの大部分を抱えるサンタクララ郡では42ポイントの差だった。

ベイエリア全体では、オバマ氏の勝利は49%ポイント差となり、カリフォルニア州全体の22ポイントの2倍以上だった。

それでも、一部IT企業から流れる資金には、民主共和両党で金額がほぼ均一という興味深いパターンが見られる。

テクノロジー世界にとって昨年は実に政治的な一年だった。衝撃的なNSA暴露事件から、同性婚に反対したMozilla CEOの議論を呼んだ辞任まで様々な出来事があった。移民法改訂にはZuckerbergの大枚が注ぎ込まれ、サイバーセキュリティー問題の議論は永遠に終らない。

というわけで、ホワイトハウスが金の無心にここを訪れることは、シリコンバレーがイベントを主催し、小切手帳を持って集まってくることと同じく当然である。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


次はどこへ店を出すべきか?–大量のデータ分析で企業の立地計画を助けてくれるPiinPoint

企業の立地計画を助けてくれるPiinPoint(iが二つある!)が、今週からパイロットを開始する。このツールは、どんな業種のどんな事業でも新規立地の決定を助けてくれるので、今後メジャーになりうるサービスだ。

あなたがスターバックスを超えることをねらっているコーヒーショップなら、次の出店はどこにすべきか? あなたがスーパーチェーンのオーナーなら、新しい配送センターはどこに置くのがいちばん有利か?、などなど。

2013年に創業されたPiinPointはこれまで、エンジェルたちやGarage Capital、Y Combinatorらから25万ドルを調達した。同社は明日のY Combinatorデモデーでプレゼンを行う。

PiinPointが多業種~多種類の事業目的にわたって位置関連の意思決定を助けられるのはなぜか? 同社によると、そのツールは、地域の人口特性や道路交通状況など一般的なマーケティングデータのほかに、大量の質問に答えることによって、クライアント企業のビジネスニーズの特殊性を把握する。同社によれば、これまでのようなスタンドアロンのアプリケーションと違ってWebベースのソリューションなので、いつでも最新かつ大量のデータを活用でき、ソフトウェア自身も進化していく。

今回のパイロット事業の一般公開までずっとステルスだった同社だが、すでに顧客は10社いる。その名前は公表しないが、中には北アメリカでよく知られているブランドもある、ということだ。

PiinPointは、いわゆるSaaSとして有料のサービスを提供する。

Y Combinatorの傘下になったことのメリットについて同社は、アイデアを実際に売れるプロダクトに変えていくことができる点で、きわめてポジティブな体験だ、と言っている。

今社員数4名のPiinPointは、クラウドベースの地理/位置情報サービスというよりも、データ分析をもとに企業の意思決定を助けるオンラインアプリケーションだ。そう考えた方が、わかりやすい。

PiinPointが今考えていることといえば、資金をもっと獲得することだ。だから、明日のデモデーでのピッチ(売り込み)が重要。本誌も、取材に行く。

画像: FLICKR/Charleston’s TheDigitel; CC BY 2.0のライセンスによる(画像はトリミングした)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Yコンビネーターの支援するCodeCombat、プログラミング学習RPGを提供中

プログラミングの勉強を始めたいと思ったものの、どこから始めて良いのか迷っている人も多いはずだ。プログラム初心者向けのサービスはいろいろと出揃ってきている。そんな中、最近注目を集めているのはYコンビネーターの支援するサービスで、ゲームを通してプログラミングを学ぼうとするものだ。

ゲームはウェブベースのもので、コンピュータサイエンスの基本講座で学習するような、JavaScriptの基本を勉強することができる(訳注:日本語化もされています)。ゲームを進めていくには、提供されるレッスンを理解して、自分でプログラムを書いてきちんと動作させる必要がある。

ゲームの内容はRPG風のもので、ビギナー用のシングルプレイヤーモードと、経験者向けのマルチプレイヤーモードが用意されている。対象としては楽しみながら基本を学びたいと考える高校生程度を想定しているとのこと。共同ファウンダーのGeorge Sainesによると「すごい勢いで参加者が増えています」とのこと。

開発を始めたのは2013年2月のことだ。来週にYコンビネーターを卒業することになっている。昨年10月からベータ版として運用しているのだが、その前からRedditでアルファ版のソースを提供していた。1月にプロダクト全体をオープンソース化し、利用者が自分でコンテンツを作れるようにレベルエディターも公開した。

「この動きをさらに広げていきたいと考えています」とSainesは言っている。「多くの人がゲームをプレイしてくれていますが、コンテンツ制作にはどうしても時間がかかります」。

レベルエディターを公開してから、103人がコンテンツの投稿を行ってくれたのだそうだ。

ゲームは無料で、Saines曰く無料で提供し続けていくつもりだとのこと。そして採用活動と結びつけることによるマネタイズを考えているのだそうだ。CodeCombatでは、ゲーム上に現れる課題をどのように解決したのか、どういう方法で解決したのかを記録に残すこともできる。そうした記録を残しておけば、プレイヤーのプログラミング能力を正確に見極めることもできるわけだ。

こうした情報を、採用希望企業と共有することによって、CodeCombatはいわゆるプラットフォーム料金を得ることができるというわけだ。

CodeCombatは無料で、こちらにてプレイすることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


小規模eコマースにAmazonなみのレビューシステムを提供するOrankl

【抄訳】

顧客が投稿するレビューは、Amazonなどのサイトにとって重要な柱だ(それらはインターネット上のもっとも機知に富んだ笑い話集でもある)。でもマイナーなネットショップが顧客からフィードバックを得るのは、なかなか難しい。そこで、Y Combinatorで育ったOranklは、すべてのeコマース企業に、彼らの巨大ライバルが持っているのと同じツールを与えようとする。

同社の最初のプロダクトであるレビューシステムは、それをすでにサポートしているShopifyなどのプラットホームではワンクリックでインストールできるし、また一般ユーザは数行のコードをコピペするだけで導入できる。フィードバック(レビュー入力)のフォームは自動的に、そのサイトのスタイルに合わせられ、顧客にレビューをお願いするメールも自動的に送られる(Amazon等と同様に☆マークがレビューフォームへのリンクになっている)。同社によると、こうやってレビューシステムを導入したサイトは売上が15~20%伸びるそうだ。

Oranklの協同ファウンダJoão Batalhaによると、同社はすでに、レビューシステムのほかにメールを使うマーケティングのプラットホームを立ち上げたし、今はリコメンデーションエンジンを開発中だ。つまり同社が目指すものは、小規模なeコマースサイト用の高度なツール集合の自作直売デパートだ。

Oranklを創った4人…João/Luís Batalha兄弟、Micael Oliveira、Craig Kochis…はMITの学生時代に出会い、卒業後にJoão BatalhaとKochisはソーシャルコマースサイトLockerzで仕事をした。そこで彼らは、ユーザのエンゲージメントと売上の増加にとってレビューが重要であることを学んだ。

“レビューの重要性を分かっていない人が多い。AmazonがAmazon Vineのようなレビューに対する報償システムを設けているのは、同社がレビューをとても重視している証拠だ。Amazonには毎秒35件のレビューが寄せられ、大量の売上に貢献している”、とBatalhaは語る。

それに、Amazonには大量のレビューがあるから、多くの買い物客が最初に訪れるサイトになっている。そして、無名サイトでもっと安く売っていても、Amazonで買ってしまう人が多い。Batalhaは、小さなeコマースサイトでもレビューがあると顧客は安心感を抱く(自分も文句や感想を言えるので)、と言う。しかも店側にとってレビューは、すぐれたCR(customer relation)ツールにもなるのだ。Oranklのユーザ企業の中には、レビューシステムを、顧客調査や、顧客とのプライベートなメッセージングシステムとして利用しているところもある。そんな成功例の一つが、ヘッドフォーンを売っているHeadRoomだ。

また同社のメールによるマーケティングシステムも、レビューを利用することによって、メールへの顧客/見込み客の関心度を高めている。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Y Combinatorが‘より株式投資に近い転換社債’Safeの運用を2014年より開始

Y Combinatorは数年前に、スタートアップがアクセラレータから容易にシード資金を調達できる方法として、転換社債を流行(はや)らせるきっかけを作った。本格的な投資ラウンドは弁護士を立てて契約条件をまとめる必要があったりして、なにしろ大げさだが、それに比べると借入れは簡単だ。そしてそのYCがこのほど、新たな株式転換形式として、”Safe“なるものを導入しようとしている。Safeは、”simple agreement for future equity“(将来の株式に関するシンプルな合意)の頭字語だ。

記事の見出しは、Y Combinatorが転換社債離れをする、となってしまうが、でも実際の話はもっと微妙だ。たしかにSafeには、負債を投資の道具として使用することに伴う面倒が少ないが、しかし結局のところ、“Safe”による投資の運用は基本的に転換社債と同じなのだ。

しかもそれは、最初から意図されていることだ。Y Combinatorのパートナーで弁護士でもあるCarolynn Levyによると、投資という観点から見ると、ほとんど何も変わっていない。アクセラレータとしてのYCが望んだのは、転換社債のメリット…弁護士や何週間もの交渉期間などなしで迅速に資金を調達できること…を生かしつつ、そのあまりおもしろくない部分を削ることだ。

Levyは言う: “急速な変化にはついてこれない人が多い。また、あまりにも新しすぎるものは拒否反応を喰らう。Safeは、その名前に慣れてから見ると、転換社債と同じものだと思えるだろう”。

Safeが解決を目指した二つの主な問題は、利息と満期日の取扱い方だ。転換社債は短期負債として発行されるので、満期はふつう1年だ。でも1年なんてすぐに経ってしまうから、スタートアップにとっては頭痛のタネになる。

そして利息の問題は、スタートアップにとって利息が重荷というよりも、ときどき高い利息を求める投資家がいることだ。そこで、転換社債のように投資を単純な短期ローンと位置づけるのではなく、Safeでは、全投資家に転換後の株主権を保証する。

“証券業界のこれまでの固定観念では、負債はあくまでも負債、株式はあくまでも株式、両者は明確に異なるものだ”、とLevyは言う。“でも誰もかれもが企業の株を保有することを求めるのなら、誰も負債を投資の道具として使わなくなるだろう”。つまり、単純な短期債務でなく、株式投資により近い性格の転換社債をYCは模索したのだ。

LevyがY Combinatorに加わったのはほぼ1年半前だが、その前はWilson Sonsiniのスタッフとして2008年以来、YCのAA(ダブルエー)クラスの株式投資や、同社が3年前に始めた標準転換社債型投資に関わる文書作成を担当していた。

Y CombinatorはSafeに関しても、一連の標準的でオープンソースで誰もが利用できる文書を作成するつもりだ。

投資の形式としてふさわしい、新しい形の転換社債を提案したのは、Y Combinatorが初めてではない。Adeo RessiのTheFundedとFounders Instituteは、Wilson Sonsiniと共同で2012年に、‘標準転換株式’に関するドキュメントを発行している。

でもSafeは、Y Combinatorという人気企業がバックにあるから、けっこう流行(はや)るかもしれない。しかもYCの育成事業に参加するスタートアップは、2014年冬のクラス以降、全員がSafeを使うことになるのだ。

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* 転換社債について詳しく知りたい人にはこれこれなどがおすすめだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Yコンビネーター、スタートアップ増加中のサンフランシスコにサテライトオフィスを設置

Y Combinationはシリコンバレーの中心地として、オフィスはカルトレインのマウンテンビュー駅から遠くない(*)位置にあるが、最近はサンフランシスコに居を構える会社やパートナーが増えてきた。このため、Y-Combinatorは一時的に場所を必要とするファウンダーやパートナーを支援するために、市内に小さなサテライト・オフィスを設置した。

このところサンフランシスコを拠点にするスタートアップが増える傾向にある。若いテク系ワーカーたちが、マウンテンビューよりナイトライフを楽しめる場所を求めているからだろうか。10年ほど前、TwitterやSquareといった会社はスタンフォードやサンドヒルロードの近くに来たがっていたものだが、新しいスタートアップたちは都市部の方が居心地がいいのだろう。投資家たちもそこにやってくる。

Y Combinatorは、すでにサンフランシスコを拠点とする大きなサクセスストーリーを数々生み出してきた。例えば、DropboxとAirbnbはいずれもSOMA地区の近くに広大な新オフィスを構えている。しかし、インキュベーターはさらに多くのサンフランシスコ拠点企業を支援しようとしている。テク系ワーカーの間で、都会に住みたがる人々が増え、そこには職も十分あるからだ。

同時にYCは、ここ数年間にパートタイム・パートナーを増員し、その多くがサンフランシスコを拠点としている。SocialcamのMichael Seibel、HipmunkのSteve Huffman、App.netのDalton Caldwell、そしてGrouponのAndrew Mason(最近シカゴからサンフランシスコに越してきた)などだ。

Y Combinatorはこれまでもシリコンバレーだけではなかった ― ファウンダーのPaul GrahamとJessica Livingstonが年間を通じて西海岸に留まると決めるまで、シリコンバレーとケンブリッジの両方でクラスが開催されていた。しかし、先月始めに完成した新オフィスは、退屈なサンドヒルロードの先を見通し、増えつつあるサンフランシスコに居を構えるスタートアップを発掘して支援しようという、VC会社や投資家の間に芽生えつつある大きなトレンドを追うものだ。

Benchmark CapitalKleiner Perkinsはここにオフィスを持っている。来年始めには、500 Startupsもサンフランシスコ・オフィスを開き、新しいベンチャーパートナー、Parker Thompsonがアクセラレーター・プログラムを一つ受け持つ予定だ。

500 Startupsとは異なり、Y Combinatorのサンフランシスコ拠点では、インキュベーター・クラスの開催や支援活動をする予定はない。マウンテンビューと同じく、ここも一時的には利用できるが、YCスタートアップたちは自分でオフィスを見つけることが求められている。

新YCスペースは、市のユニオン・スクエア近隣にあり、デスク8台分ほどの部屋と、ファウンダーがパートナーとオフィスアワー・ミーティングを行う部屋がある。

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* 同僚のAnthony Haは、YCのマウンテンビュー・オフィスは「カルトレインにそんなに近くない。むしろかなり歩かなくてはならない」と主張している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Y Combinatorデモ・デー―TechCrunchが選ぶ今年の夏学期の有望スタートアップ8チーム

今日(米国時間8/20)、Y Combinatorの2013年夏学期のデモ・デーが開催され、45のスタートアップがそれぞれ全力で売り込みのプレゼンを行った。われわれTechCrunchチームは25人の著名なベンチャーキャピタリストの意見も聞きながら、もっとも有望そうな8チームを選んだ。今回、普段よりもわれわれの意見が一致したので選ぶのが楽だった。

全45チームのそれぞれについての紹介はBatch 1Batch 2Batch 3の各記事を参照されたい。以下、順不同でわれわれの推薦チームを簡単に紹介する。

SpoonRocketオンデマンドのオーガニック料理宅配サービス

SpoonRocketのデモではフードサービス2.0とか料理のUber とかいったバズワードが飛び交った。しかしこのスタートアップのこれまでの実績を検討するとそれも誇張ではないと思える。このサービスはオーガニック素材の一般向け料理と菜食主義者向け料理を作って宅配する。一種類が6ドルだ。最速10分で配達できるという。その秘密は、まず毎日2種類の料理しか用意しないところになる。これによってコストを大幅に削減できる。配達車は保温装置つきだ。SpoonRocketによれば、通年換算で200万ドル相当の売上実績があり、毎週112%も成長しているという。現在はカリフォルニアのバークレーで営業しているが、学生が夏休みだというのにこの好調ぶりはすばらしい。将来は全米の大都市圏に展開する計画だ。

SpoonRocketについてのわれわれの記事

Panorama Education: 学校のデータ処理

Panoramaには大きな野心がある。生徒、教師、両親から得たビッグ・データを分析して全米の学校jすべてに提供しようというのだ。

ただしスタートはささやかなプロジェクトだった。3人の共同ファウンダーがYale大学の1年生だったときに、地元のニューヘイブン地区の公立学校のデータ分析を手がけたのがきっかけだったという。この5月にファウンダーたちがYaleを卒業したとき、Panoramaはずっと大規模なサービスに成長しており、合計50万ドルの売上を得ていた。現在全米の3600の学校がPanorama Educationにデータ処理を依頼している。Panoramaでは全米から収集したデータを提供することであらゆる学校が教育の質を向上させるのを助けられると期待している。

われわれの記事

Amulyte: お年寄りの安全モニタ

アメリカには2000万人のお年寄りがいる。Amulyteではお年寄りの安全を図るためにペンダント型のオンライン・デバイスを提供しようと試みている。このデバイスはGPS、Wi-Fi、加速度計を利用してユーザーの行動をモニタし、異常を検知した場合は携帯電話網を経由して家族などに急報される。

ペンダントは149ドルで安全モニタ・サービスは月額29ドルだ。現在年金生活者の居住施設と提携して実験を行いサービスの改良を図っている。こうした老人介護ビジネスはアメリカだけで100億ドル市場だ。

AmulyteについてのTechCrunch記事はこちら

Buttercoin: Bitcoinを利用した迅速、低料金の国際送金

国際送金は年間5000億ドルにも上る巨大ビジネスだ。同時に手数料が高額であることで悪名高い。

Buttercoinはbitcoinを利用することで、国際送金を迅速かつ低料金で合法的に実現しようというサービスだ。 Bitcoinを使う新しいテクノロジーのおかげでライバルより20万倍も迅速な送金が可能だという。また各地の免許を持った金融機関と提携することですべての取引が完全に合法的なものになっている。

Buttercoinはbitcoinによる国際送金自体からは手数料を徴収しない。ユーザーが他の通貨とbitcoinと交換する際に少額の手数料を課する。

Buttercoinに詳しい説明はこちら

True Link: お年寄り向けクレジットカード

True Link Financialは認知力に障害のあるお年寄りユーザー向けの支払い手段を提供しようとしている。こうしたユーザーは詐欺やいかがわしい売り込みにひっかかる危険性がある。

True LinkはVisaのネットワークを通じてこのクレジットカードを利用した取引を逐一モニタし、不審な点がないか、ブラックリストに載っている業者との取引がないかをチェックする。アメリカにおける高齢者のクレジットカード利用額は年間19億ドルにもなるという。

詳しい紹介記事はこちら

EasyPost: 発送を効率化する

テクノロジー系企業にとってはUPS、USPS、FedExなどの古臭いレガシーな運送システムは頭痛の種だ。EasyPostは運送業者とテクノロジー企業の間に立って独自のRESTful JSON APIを提供することによってこの問題を解決しようとしている。テクノロジー企業は最も有利な料金を素早く見つけ出せるし、発送した商品のトラッキング情報などもリアルタイムで得られる。料金は1個あたり5セントだが、260億個という膨大な運送商品数の相当部分を取り込もうという野心を抱いている。事実、このサービスは毎月179%の急成長ぶりだ。すでに7万個のトラッキングを実施して、SVAngelを含む投資家から85万ドルを調達している。ライバルにはPostmasterShipHawkなどというサービスがある。

EasyPostについての以前の記事。.

Standard Treasury: 一般銀行向けAPI

Standard Treasuryは一般銀行に対して口座間資金移動のような処理を簡単にするためのAPIを提供しようとしている。現在、アメリカ最大の5行を含む16の銀行と交渉中だという。交渉がまとまれば、200万ドルから1500万ドルの収入となる。

Standard Treasuryについての記事。.

7 Cups Of Tea: 「聞いてあげる」サービス

誰でも一生のうちにはどうして人に悩みを聞いてもらいたいという苦しい状況をに落ち込むものだ。離婚、家族の病気、将来への不安等々だ。このとき選ぶ道は2つある。家族と友だちは無料で話を聞いてくれるが、その忍耐力には限度がある。心理セラピーは効果的かもしれないが料金も敷居も高い。7 Cups of Teaはこの2つの中間のオプションを狙っている。訓練を受けたボランティアの聞き手を見つけることができるオンラインマーケットだ。 料金は無料ないし寸志のお礼でよい。7 Cups自身はやりとりされる料金の40%の分配を受ける。ローンチは8週間前だが、これまで着実な成長を示している。現在活動中の「悩みの聞き手」は160人で毎週1800回ものセッションをこなしているという。

7 Cupsについての記事

この3ヶ月かそれ以上サービスの立ち上げに努力してきたファウンダーたちに健闘を祈る。

この記事の執筆にはColleen Taylor、Kim-Mai Cutler、Ryan Lawler、Jordan Crookが協力した。

〔日本版:Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(TechCrunch Japanの滑川、高橋共訳)にはY Combinatorの歴史と内幕が詳しく描写されている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


履歴書ではわからないプログラマ能力を評価するHackermeter。採用現場での普及を目指す

有能なプログラマを雇おうと考えたとき、応募された履歴書を見ていくという行為はたいてい無駄なものとなる。募集要項なども見ずに応募してくる人をはじくこと程度にしか役に立たないのだ。優秀な技術者を募集したとしよう。するとプログラマを自認する人のすべてが「Cに堪能である」として応募してくることもあり得る。だまそうとするのではなく、各自の基準にて自分で信じ込んでいる場合もあるのだ。

そうした事実に対処するため、コーディング能力を数値化しようとするのがHackermeterだ。Y Combinatorに参加していたスタートアップのひとつだ。

Hakcermeterは、基本的にコーディング課題に対応する能力によってスコア付けを行う。より良いプログラミングを行えばスコアは高くなる。スコアが高ければ、それだけ有能な人材であると認知されるようになるわけだ。

Hackermeterに登録する際、まずはプログラマであるのか採用側であるのかを選択する。

プログラマであるとして登録すると、選択すべき課題範囲が表示される。もちろん基本的なものから応用レベルのものまでがある。基本的なものの方では、たとえばフィボナッチ数列ジェネレーターを作るとか、回文であるかどうかを判定するプログラムを作るといったようなものだ。難しい方ではJSONを使って特定のデータ構造をパースするツールを作るだとか、あるいは簡易暗号化モデルの限界をテストするといったようなものもある。

課題はいずれもRuby、Python、Java、C++ないしCという5つの言語に対応している。コーディングおよびテストはブラウザ内で行うようになっている(大事なところなのだが、後に改めて説明する)。納得がいくものに仕上がったら、書いたプログラムを登録する。登録したプログラムが課題に適合するものであれば、ポートフォリオに登録され、スコアにも反映するようになる。

採用側であるならば、Hakcermeterのデータベースを使って検索をかけることで、自動的にふさわしいプログラマを見つけることができるようになっている。たとえばPythonのエキスパートを探しているとする。難しい課題をPythonを使って回答した人という条件を指定すれば、該当するプログラマが簡単に見つかる。レベルの高さはさほど必要ないが、ともかくRubyを使える人を探したいときはどうするか。課題レベルを検索条件から外して、Rubyで回答した人という条件のみで検索をすれば良い。こうして条件を満たすプログラマに対して、メッセージを送るなりの対応をすれば良いわけだ。あるいはこの段階でも条件があうかどうか不安であるならば、さらに「スクリーニング」を行うこともできる。

「スクリーニング」というのは、採用者側で用意する連続(rapid-fire)課題のことだ。Hackermeterにも予めいくつか用意されているので、それを使っても良いし、作成から採用者側で行っても良い。制限時間を設定し、スキップ可能な課題数(スキップ不可でも良い)を定め、そして採用候補者に提示する。

こうしたサービスで最も問題になるのは、「Google」だ。課題内容を入手して、その課題についての回答をどこかにアップロードするという人はいるだろう。すると自分で解かなければならないはずの人も、Googleで検索をして、コピーペーストでエキスパートに成りすますことができてしまう。

ここで関係してくるのが、先に「改めて説明する」と書いていた部分だ。Hakcermeterは、システム側で用意しているエディタ内でコードの作成を行うように指示している。実は、採用者側は後に回答者のキーストロークをひとつひとつ再現できるようになっているのだ。ペースト動作一発で回答を作成しているとしたならば、それはおそらくカンニングの事実を示すものといえるだろう(あるいは使い慣れた自分のエディタで作業をしたということを示すのかもしれないが、それはしてはならないことになっている)。キーストロークひとつひとつを再現されるのは気持ちが悪いという意見もあるだろう。しかし対面式のコーディングテストなどを行う企業も増えつつあり、結局のところそれと変わらないと考えることもできる。

もちろん不満の声もあり、現在のところは次の2つが主なものだろう。

  • サイトで扱う情報が、コーディングスコアのみしかない。名前とスコアしか表示されていないのは、確かにある意味では「効率的」だろう。しかしもう少しパーソナルな情報も欲しいという考えもあろう。コーディングを行っているのがどのような人物で、どういう嗜好ないし志向をもっているのかという情報があっても良いかもしれない。あるいは2分間の自己紹介ビデオを掲載した方が良いなどという考えもあるかもしれない。「スコアも興味深いものでしょうが、こちらに私の作った素晴らしいプロダクトもありますよ」などという紹介文は双方にとって役立つ情報となり得る。おそらくこうした機能は何らかの形で組み込まれることになるはずだ。取りあえず、今のところは存在していない。
  • 透明性の問題。課題に回答すると得点が付けられる。しかし、どのような部分で減点されているのかということがよくわからない仕組みになっているのだ。Hackermeterの共同ファウンダーであるLucas Bakerによれば、得点は消費時間、コードの効率性、そして課題の難易度などを考慮してつけられているのだと言う。しかし得点についての疑問の声もある中、評価基準の客観化も進めようとしているのだそうだ。現在のところはブラックボックスとなっている。

Hackermeterは、プログラマの採用手続きから履歴書というものを排除してしまうものとなるだろうか。おそらくそうはなるまい。効率性はともかく、組織は履歴書のようなものの存在を必要としており、またHR部門も履歴書なしでは動きえない面がある(そもそも優秀なプログラマというのは一般公募の形ではなく、高額な報酬で動くヘッドハンターを経由して採用されることも多い)。しかしそうであってもHackermeterのようなサービスは面白い。優秀なプログラマを見つけ出すことはますます難しくなっているようで、さらに給与も高額化しつつあるようだ。こうした中、Hakcermeterのようなサービスを使ってみようと思う企業もあるだろう。また、職探し中のプログラマにとっても、自らのスキルを多くの採用担当者に見てもらうのは、決して悪いことではないはずだ。

Hackermeterはプログラマとしての利用は無料で、採用側は採用者数に応じたコミッションを支払うことになっている。

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(翻訳:Maeda, H)


測定の革命を目指すSenic, 計測器とスマホとクラウドをリアルタイムで連結

Y Combinatorの今年の夏期クラスから巣立ったハードウェアスタートアップSenicが今日(米国時間8/9)から、最初の製品の予約販売を開始する。それは、今や世界中の工務店やDIYマニアが毎日のように使っているレーザー距離計だが、Senicの製品はBluetooth Low EnergyでiOSやAndroidデバイスに接続してアプリを動かし、さらに測定結果をクラウドに記録し即時にシンクする。

各種測定機器と現場人が持つスマホ(+アプリ)とクラウド上の高度なデータアプリケーション、この三者が常時リアルタイムで連結される。Senicの今後の計画では、マイクロメーターやそのほかの計測器類も、相次いでSenic版を作っていく。協同ファウンダのToby Eichenwaldは、父親の会社の社員として韓国で働いていたとき、同社の顧客たちの仕事ぶりを見て、測定技術は80年代で進化が止まっている、と感じた。

“うちは、スマートフォン用の精密で高感度のデバイスを作っていく”、とEichenwaldは言う。“今作っているのは世界一高性能な電脳型レーザー距離計だ。機器は一種類だが、アプリによって異なる顧客層ユーザ層に対応していく。たとえばDIYの好きな消費者層向けにはフロアプラン(間取り計画)のアプリを付ける。また電気工事や暖房工事をする企業向けには、測距と工事の見積り作成がリアルタイムで連動するアプリを提供する”。

同社が今作っているレーザー距離計は、最大測定距離が200フィート、精度が0.075インチ、耐水耐塵、ワンボタン操作が売りだ。末端小売価格は149ドルだが、今日からは同社のWebサイトで99ドルで予約販売を行う。iPad用のフロアプランアプリ(Androidは4.3からBluetooth Low Energyをサポート)は、家の間取り計画をドラッグ&ドロップで自由に変えられる(下図)。見積り作成アプリは、見積書を作ってメールで送ったり、顧客からの正式の工事発注をアプリ上で受けることもできる。

“ベイエリアの建築家や技術者や大手建設企業などから大量の聞き取り調査を行い、日常の問題点を語ってもらった。アプリが重要と考えるのは、アプリこそが、それらの問題を解決するからだ”、とEichenwaldは言う。“建築業界の人たちは巨額な金と時間に縛られているから、少しでもお金と時間の節約になるものなら、彼らにとっては何でもありがたいのだ”。

発売予定は11月当初、最初のロットは500から1000台だ。生産ラインはすでに本格的なものを持っている。そこが、Kickstarterなどのクラウドファンドプロジェクトとの大きな違いだ、とEichenwaldは言う。上で述べたように、レーザー距離計はあくまでも同社の最初の製品にすぎない。今後は逐次、ありとあらゆる測定ニーズを“Senic化”していく。このように、測定データにスマートフォン上の実用アプリとクラウド上のデータアプリケーションが対応することによって、建設業界の仕事のやり方が大きく変わっていくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ポール・グレアムが語るVCのための処方箋:早く動け。株の取り分は減らせ

先週、500 StartupsのPreMoneyカンファレンスで、Y CombinatorのPaul Grahamが講演を行い、シリーズA投資の新しいやり方を提案した。Grahamは、革新的な初期段階投資家が差別化するためのアイデアをいくつか提示した。要するにこういうことだ:早く動け、株の取り分を増やすために過剰投資するな。

「資金調達プロセスで投資家が理解していない最大の問題の一つは、スタートアップが彼らと話すことに膨大なコストがかかっていることだ。ファウンダーしかいないスタートアップでは特にそうだ。資金調達の期間中はすべてが停止してしまう」とGrahamは語った。

Grahamによると、このため投資家には初期段階投資でもっと早く動くことによって競争を制するチャンスがあるという。もし信頼ある投資家が、24時間以内に10万ドル投資できれば、最高のスタートアップを買い占められるだろう、と彼は言った。そのVCは最悪のスタートアップたちからもアプローチされることになるが、少なくとも全部を見ることができる、とGrahamは言った。対照的に、投資に時間がかかることで知られる投資家たちは、最後にアプローチされる。

VC会社が差別化をはかるもう一つの方法は、シリーズA投資で通常要求する20%という株式比率を忘れることだ。資金調達において、VCは多くを投資しすぎ、スタートアップは多くを要求しすぎるが、もし誰かが結束を乱して投資額を減らし、但し要求株数も減らせばこれが変わるかもしれない。

「私が思うに、VCにとって最大の危険で、かつ最大のチャンスでもあるのがシリーズA投資だ。今現在VCは、訳知り顔でシリーズAに過剰投資している」とGrahamは言った。

取引の競争が激しくなると、変動する数字はVCが獲得する株数ではなく、投資する金額、即ち会社の評価額になっている。最も有望なスタートアップの場合、シリーズAの投資家は、会社が調達したい金額以上を受け取ることを強要している、とGrahamは言った。

「VCの中にはスタートアップにその金額が必要だと嘘をつくところもある。あるいはもっと率直に、自分たちのビジネスモデルでは株の一定パーセンテージ以上を保有する必要があると認めるところもあるが、今投資されている金額はスタートアップが必要としている額で決まっていないことは誰もが知っている」と彼は言った。

かつてのスタートアップは、資金を得るために株式のかなりの部分を差し出す必要があったが、そんな時代は終った。それを念頭にGrahamは、最初に結束を破りファウンダーが売りたいと考える株数に応じたシリーズA投資を行うVCが、多大な恩恵を受けると考えている。

「もし、ファウンダーが売りたがっている株数でシリーズAラウンドを行う意志を持った、信頼ある一流VC会社がいれば、すぐに最高のスタートアップを殆ど獲得できるだろう」とGrahamは言った。「そしてその最高のスタートアップたちこそが金のある場所だ」。

上のビデオで私は、この理論について、およびY Combinatorがどうやってスケールアップしてきたのかを尋ねた(5:30あたりにスキップすると、株式構造変更に関する彼の考えが聞ける)。

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(翻訳:Nob Takahashi)


中国から初めてYCに採択されたStrikinglyはシンプルなモバイルサイト作成ツール

少し前の話なるがInfinity Ventures Summit(IVS)で、この春にY combinatorを卒業したウェブサイト制作ツールのStrikinglyのCEOのDavid Chen氏と話をする機会を得た。Strikinglyはローチン後6カ月経つサービスだが、すでに数万のユーザーがいて、日本でも多くのユーザーを獲得しているのだという。IVSが開催された日にはちょうど日本語版がベータ版としてリリースされている。

ウェブサイト制作ツールなんて何度も登場してきているから今さら何をという気もするかもしれない。実際、彼らはY combinatorに採択されるために挑戦はしては見るものの一度は落とされている。だが、彼らのウェブサイト制作に対する取り組みはこれまでのものとは一線を画している。Strikinglyはとにかく目指しているのはシンプルさ、だ。これはスマートフォンやスマートデバイスでのウェブサイトに焦点を当てているためだ。シンプルだからStrikinglyで作れるサイトのページ数はたった1ページだ。でも驚かないで欲しい。これで十分にウェブサイトの機能を果たしているのだ。

ユーザーになってみればすぐわかるのだが、シンプルではあるがテンプレートは十分用意されていて、画像や見出しや文章などは直感的に編集できるようになっている(下画面参照)。なにせ1ページを編集するだけだから構造は簡単で、複雑な操作は必要ない。Chen氏いわく10分から15分でひと通りのサイト作成ができるようにしているという。できたページはPCやマックのブラウザーでは当然のようにきれいに表示される。ただ、本領を発揮するのはスマートフォンやタブレットでのブラウザー表示だろう。タッチデバイスでの操作は1ページで構成されているサイトのほうが扱いやすいのがよくわかる。


Chen氏はデスクトップとモバイルウェブサイトは違うものだという。だから、スクロールさせるようなスライド形式のサイトとして、モバイルに特化したユーザーインターフェイスにしたのだそうだ。いまのところはモバイルにフォーカスしていて、PCのデザインは今後考えていくという。

Strikinglyは中国本土から応募して初めてY combinatorに採択されたチームなのだそうだ。現在は北京に拠点を置いてサービスを開発している。目下のところ人材獲得に勤しんでいるようだが、中国初のY combinatorチームだから採用には事欠かないだろういうことだった。

現在のところ、Strikinglyでサイトを作るにはPCのブラウザーでの操作が必要になる。スマートフォンからのページ作成はできないようで、対応は考えているとのことだったが、すぐには実装される気配はなかったが、フィーチャーフォン時代のときの日本のモバイルサイトの隆盛を振り返って考えてみると、モバイルサイトを多くのユーザーに作成させたいならスマートフォンだけでサイト作りを完結できるほうがいいのだろう。


Y Combinator、元Groupon CEOのAndrew Masonら一挙に5人のパートタイム・パートナーを追加

Y Combinatorのポール・グレアムがブログで多数の新しいパートナーが参加したことを発表した。

まずフルタイムのパートナーが1人増えた。WufooのKevin Haleだ。それからパートタイムのパートナーとして、SocialcamのMichel Seibel、HipmunkのSteve Huffman、imeemとApp.netのDalton Caldwell、 元GrouponのAndrew Mason、TalkBinのQasar Younisが新たにY Combinatorに加わった。

Harj Taggarは新しいスタートアップを起業するためにフルタイム・パートナーを辞める(短期的には世界を見て歩くのだそうだ)。ただしグレアムによればTaggarはパートタイムのパートナーとしては留まるという。

YCは2年前にパートタイム・パートナーを採用し始めた。これでフルタイム・パートナーが10人、パートタイム・パートナーが9人となった。これまでのパートタイム・パートナー同様、今回選ばれたパートタイム・パートナーも大部分がYCの卒業生だ。例外はMasonとCaldwellだが、CaldwellはこれまでにYCで何度も講演している。 Masonは最近GrouponのCEOをクビになったばかりだ。

これでYCはパートタイム・パートナーの数を一挙にに2倍に増やした。グレアムは「Haleの参加でパートナー中のデザイナーが2人になった。これはスタートアップにおけるデザインの重要性が増しているからでもあるが、参加してもらった理由を率直に言えば、やはり彼らが非常に優秀だからだ」と書いている。

アップデート: Masonも自分のブログに記事を書き、YCに参加したことに加えて、サンフランシスコに引っ越して新しい会社を起業しようとしていることを明らかにした。

私はGrouponのようなシンプルなアイディアを思いつき、それが何百万もの人々の生活に影響を与えるところまで見届けることができたのを大変に幸運だったと思っている。残念ながらGrouponを去ることになったが、一方ではまた新しいことを始めるチャンスを与えられたともいえる。この数年温めていたアイディアがたくさんある。この秋には新会社を作ってその中でもお気に入りのアイディアを実地に移そうと思っている。

〔日本版:ベテラン・ジャーナリストがY Combinatorに長期滞在して内幕を最大漏らさず記録したノンフィクションYコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(ランダル・ストロス著、滑川海彦・高橋信夫共訳、日経BP)に上記のSeibel、Taggarも登場する。Taggarはイギリス生まれのインド系でオックスフォードの法学部を卒業した後YCに参加して起業家となった異色の経歴。Taggarのイギリスとシリコンバレーの文化の比較は日本人にも非常に興味深い。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ブラウザ上で電子回路の設計とシミュレーションができるCircuitLab, 一周年で月間ユーザ7万を突破

電子回路設計/シミュレーションサービスCircuitLabは、立ち上げから1周年を迎え、月間のアクティブユーザ数70000にまで成長した。今Y Combinatorの2013冬のクラスで勉強している同社は、単純に計算すると6秒に一回ずつ回路シミュレーションを動かしていることになる。電子工学系のサイトがこのように大成功している理由は、ツールが基本的に無料であることと、教育用のツールとしてとてもよくできているからだろう。また、最近増えているハードウェア系のスタートアップが、プロダクトの企画設計段階で十分利用できるツールでもある。

CircuitLabの強みは、電子回路の設計をその最初の第一歩から支援できるところにある。そのために協同ファウンダのMike RobbinsとHumberto EvansはCircuitLabを、回路図を描いてシミュレートすることが、マニュアルを一冊も読まずに、そして難解でユーザアンフレンドリーなレガシーのデスクトップアプリケーションを使わずに、Web上だけでできるようにした。だからCircuitLabでは複数のエンジニアがそれぞれ異なるマシンやブラウザを使っていても、シミュレーションなどの共同作業ができる。これまでのPSpice、Multisim、LTSpiceなどのツールでは、それは不可能だった。

CircuitLabのツールのオープンな性格は、その初期から、教育機関や研究機関の関心を惹いた。無料でもあるので、教師は教室で自分の生徒/学生たちに使わせ、その場でシミュレーションをさせられる。彼らが教室に持ってくるマシンは、メーカーや機種を限定されない(ブラウザがあってWebにアクセスできればそれでよい)。EvansとRobbinsは電話インタビューで、教育方面に口コミで広まりつつあると言ったが、それには生徒/学生間の口コミ(リコメンデーション)も含まれるようだ。

“うちの最大のユーザは教育機関だ。学校や大学で、これまで使われていたデスクトップソフトを駆逐しつつあるようだ”、とRobbinsは説明する。“教師たちの最大の問題は、Macを持ち込む生徒/学生が多いのに古いツールはWindowsオンリーで、それらよりもさらに古いヘンなソフトすらある。今や学生/生徒たちがめいめい、違うソフトを使っていることが、教える側の悩みのタネだったのだ”。

CircuitLabにとっては、一人の教師に気に入られると一挙にユーザが数十名増えるというメリットがある。今、大学で電子工学を専攻した学生が一人前になるまで5年はかかるから、今の世代の学生たちが次世代の学生にCircuitLabをすすめる効果もある。しかしRobbinsによると、CircuitLabの使われ方はもっと多彩だ。大規模な製品では、それぞれの部品が個々に設計〜シミュレートされることもある(たとえば電源回路とメインボード)。Robbinsによると、どんなタイプの回路でも設計〜シミュレーションできることが、CircuitLabに強みの一つだ。

CircuitLabは最近、二社と提携を結んだ。ひとつはElectronics.StackExchange.com、ここでは組み込みシステムの回路設計とシミュレーションに利用されている。もうひとつはEE TimesとEDNの発行者、これらは電子回路設計の専門誌として指導的な存在だ。このような健全な提携関係とYCのサポートにより、同社の今の立ち位置は非常に良好だ。

類似サービスとしてUpverterなどがあるが、しかしEvansとRobbinsによると、CircuitLabが対応するのはあくまでも設計の初期段階のみ。だからこの世界には今後もっと多様な競争関係や補完関係があるべきである、と。たしかにこの世界では、既存の有力ツールは過去10〜20年間ほとんど変化も進化もしていないのだから、若いスタートアップたちによってもっと本格的で大々的な世代交代が起きてもよさそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Yコンビネータ出身でファウンダーに日本人が参加するAnyPerkが140万ドルの資金を調達―社員の福利を手軽にアウトソーシング

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AnyPerkはウェブで配られるクーポンや割引などのperk(余録)を社員の福利のために企業に対して提供するスタートアップだが、先ほどDigital Garage、Ben Lewis(TapjoyとKarmaのファウンダー)、Michael Liou、CyberAgentVenture、川田尚吾(DeNAの共同ファウンダー)から140万ドルの資金を調達したことを発表した。

AnyPerkは企業が社員にちょっとした福利を提供するのに便利なサービスだ。社員1人あたり毎月5ドルを支払うだけでAMCとRegalの映画チケット、Dish Networkのケーブルテレビ、Dellのコンピュータ、1800 Flowersの花などの割引が受けられる。またCostcoの無料クーポンももらえる。

Pinterest、Klout、GetAround、BirchBox、Seamless、Pandoraなどといったインターネット企業がすでにAnyPerkを利用している。

AnyPerkは最近サイトをリニューアルしたが、もともとY Combinatorの昨年の夏学期の出身だ。共同ファウンダーの福山太郎、高橋篤博はすでにスタートアップを成功させた経験者だ。高橋はスマートフォンの広告ネットワーク、Nobotを創立し、同社はKDDIに1900万ドルで買収された。

〔日本版〕TechCrunch Japan西田編集長によるAnyPerkについての記事、前編後編

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+