Kubernetesクラスターの構築に柔軟性と自由度を持たせるSpectro Cloud

Kubernetes(クバネティス)が非常に人気のあるコンテナ管理プラットフォームであることは広く知られているが、それを実際に使おうとしたら、管理を誰かにやらせるかそれとも自分でやるかを選ばなければならない。米国時間3月17日に750万ドル(約8億円)を調達してステルスを脱したSpectro Cloudは、両者の中間のような第三の選択肢を与えてくれる。

この投資はSierra Venturesがリードし、Boldstart Venturesが参加した。

Boldstartの創業者Ed Sim(エド・シム)氏によると、彼はSpectro Cloudのチームと技術が好きだそうだ。「Spectro Cloudは、大企業の多くが抱える重い苦痛を解決する。それは、Kubernetesのサポートをマネージドプラットフォーム上に展開したいが、大型ベンダーのなすがままにはなりたくないという難問だ」とシム氏は語る。

Spectroの共同創業者でCEOのTenry Fu(テンリー・フー)氏によると、エンタープライズはコントロールと使いやすさの間で妥協を求めるべきではない。「我々は、使いやすいマネージドKubernetes体験を提供する最初の企業でありたいが、しかしまた同時に彼らには、大規模なKubernetesインフラストラクチャスタックを自分たちで定義できる柔軟性、自由度を与えたい」とフー氏は説明する。

またフー氏によると、この場合のスタックはKubernetesのバージョン、ストレージ、ネットワーキング、さらにセキュリティやロギング、モニタリング、ロードバランシングなど、Kubernetes周辺のインフラ要素をすべてカバーする一種のオペレーティングシステムだ。それらに、ユーザーの自由度を与えたいという。

「エンタープライズの組織内ではさまざまなグループのニーズに奉仕するが、それはインフラストラクチャスタックの要素によっては、とても細かいレベルになることもある。しかしそれでも、ライフサイクルの管理は気にしなくてもよい」と彼は説明する。つまりSpectro Cloudがそれらをユーザーに代わって扱い、しかもコントロールはユーザーが手中にするからだ。

これによりエンタープライズのデベロッパーに展開に関する大きな柔軟性が与えられ、複数のクラウドインフラストラクチャプロバイダー間の移動も容易になる。今の企業は単一のベンダーに縛られるのを避けたいため、これは最上位の優先事項となる。

「インフラストラクチャのコントロールは連続的に行われるため、企業はいろいろなニーズに対してトレードオフを迫られることになる。極端な場合には、マネージドサービスは天国のような使いやすさを提供するが、しかしそれはクラウドユーザー側からのコントロールを犠牲にする。Kubernetesのバージョンの更新すら、ユーザーが自由にできないサービスもある」

フー氏と彼の共同創業者たちはこういった問題の経験者で、創業前までCliQrに在籍していた。この企業はハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーションの管理を助ける、彼らが創業した企業だ。CliQrを2016年にCiscoに売却し、2019年の春にSpectro Cloudの開発を始めた。

まだ生まれたばかりの企業だが、すでにベータの顧客が16社抱えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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