Cobalt.ioの「侵入テスト」は問題発見とデベロッパー対応を直結させる

Cobalt.ioは企業がもっと正しいやり方で「侵入テスト」を行ってもらいたい、と願っている。侵入テストとは、アプリケーションを実際に稼働させる前にその脆弱性をテストする工程だ。侵入テストを提供しているCobalt.ioが、このたびプラットフォームをさらに強化した。

Cobalt.ioのCEOであるJacob Hansen(ジェイコブ・ハンセン)氏によると、従来の侵入テストは時間も費用もかかる作業で、最後にテスターが見つけた問題点をリストアップしたPDFを納めて終わる。彼と共同創業者たちが2013年に同社を立ち上げたときは、その工程全体をデジタル化したいと考えた。

「そう考えて作ったものは2つだ。まず、有能で実績のあるテスターのマーケットプレイス。そのマーケットプレイスにいるフリーランスのセキュリティテスターはすべて我々の試験に合格しており、彼らを弊社の被雇用者のようなかたちで顧客企業に派遣する。そしてテストのスケジュールと管理をするソフトウェアも制作した」とハンセン氏は語る。

彼によると、この侵入テストという工程におけるボトルネックの1つは、テストの基本的なパラメータの理解など、最初の段階が難しいことだ。これはたくさんのメールや電話で行われる。そこでCobaltはスタートアップウィザードを構築して、最初の段階を楽にした。

ハンセン氏は「それは、侵入テストの計画のためのTurbo Taxみたいなものだ。テストのための要件収集とセットアップを高速化、合理化するところが似ている。テスターと顧客の両方にとって便利だ」と説明する 。

テストがスタートすると、問題点のリストを顧客に渡すのではなく、問題点をデベロッパーに直送して彼らの開発環境に統合する。例えばテスターが問題を発見すると、自動的にフラグが付き、Jiraに送られてデベロッパーはほぼリアルタイムで必要な修正などを行う。

「この点が、従来の侵入テストサービスとの重要な違いだ。我々はサービスのプラットフォームとしてモダンな侵入テストを構築した。それはリアルタイムで統合可能であり、優れたワークフローでもある」と彼は語る。

また料金も、従来のように個々のテストに課金するのではなく、顧客は一定の前金をCobaltに払っておき、対応が必要な問題が起きればそこから適宜料金を支払うする。顧客には、コストの確実性と可用性を事前に認識させることができる。もちろんCobaltは、サービスが実際に利用される前に支払いを受けることができる。

Cobalt.ioは2013年に創業され、本社はサンフランシスコ、オフィスはボストンとベルリンにある。顧客は500社、2019年はテストを1000回行い、レポートを提供した。2020年はその3倍にしたい、と彼らは願っている。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで800万ドル(約8億4000万円)を調達している。

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DevOpsポリシーエンジンのDatreeがY Combinatorに入学

DevOpsのポリシーエンジンをGitHubで作っているアーリーステージのスタートアップであるDatreeは米国時間2月6日、シリーズAラウンドで800万ドル(約8億7864億円)を調達した。同社はまた、Y Combinatorの2020年冬季に参加したことも発表した。

BlumbergとTLV Partnersがラウンドをリードし、Y Combinatorが参加した。2018年に発表した300万ドル(約3億2949億円)のシードラウンドを合わせると、同社は今や1100万ドルを調達している。

共同創業者でCEOのShimon Tolts(シモン・トルツ)氏によると、コードを調べて問題を見つけることもDevOpsのチームにとって必要なことだが、彼らはルールの定義でヘルプを求めている。そこでDatreeは一連のルールパッケージを作ってコードをそれらと照合し、コードを動かして乖離や問題点を見つけられるようにした。

トルツ氏は「Datreeは開発のベストプラクティスとコーディングのスタンダードと、セキュリティおよびコンプライアンスのポリシーを提供する。今ではユーザーがDatreeに接続するとDatreeがソースコードを参照してコードベースの全体をスキャンし、ユーザーのテクノロジースタックに基づいて開発のベストプラクティスを推奨する」と説明する。

これらのルールパッケージは同社自身の専門的能力をベースに作るほかに、コミュニティからの支援もあり、また外部エキスパートとのパートナーシップもある。同社のDockerセキュリティパッケージでは、Aqua Securityとチームを組んだ。

デベロッパーはGitHubで仕事をしているので、これらのルールはGitHubで適用される。彼らはコードをコミットする前に適切なルールパッケージをそれに対して動かし、ベストプラクティスに適合していることを確認する。

Datreeのルールパッケージ(スクリーンショット提供:Datree)

トルツ氏によると、シードラウンドの後でY Combinatorに着目したのは、ビジネスの構築にガイダンスが欲しかったからだ。彼は「Y CombinatorがDatreeの助けになることはわかっていた。DatreeのプロダクトはYC企業の95%にふさわしいからだ。もっと勉強すれば、より成熟したYC企業との6桁の契約も獲得できるようになるだろう」と語る。

DatreeはY CombinatorのCEOであるMichael Seibel(マイケル・ザイベル)氏直属で仕事をしており、2020年冬季の一員になったことによってマーケティングと営業力の強化が期待される。2017年から操業していて既存のプロダクトもあり、「社員が12名いる同社は典型的なYC企業とは言えないが、長期的には今回の参加が経営に大きく貢献する」とトルツ氏は感じている。

関連記事:Datree gets $3M seed round to build DevOps policy engine in GitHub(300万ドルのシード資金を得たDatreeがGitHubでDevOpsのポリシーエンジンをを作る、未訳)

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エンタープライズ事業を売却したDockerが新たに40億円相当を調達し新CEOを任命

Dockerの多忙な一日の総仕上げとして同社は、以前からの投資家Benchmark CapitalとInsight Partnersから3500万ドルを調達したことを発表し、さらに、今年3人目のCEOとして長年同社のプロダクト担当最高責任者(Chief Product Officer, CPO)だったScott Johnston氏の任命を発表した。氏は、5月に退任したSteve Singh氏を継いだRob Bearden氏に代わり、Dockerの新CEOになる。

関連記事: Steve Singh stepping down as Docker CEO…Steve SinghがDockerのCEOを退任(未訳)

このニュースの直前にはMirantisが、Dockerのエンタープライズ事業を買収したことを発表した。そのことは控えめに言っても奇妙だが、Johnston氏によればDockerにはまだデベロッパー支援の部分で機会があるという。コンテナ化のためのエンジンとして定評のあるDockerはこれまで、適切なビジネスモデルを見いだせずに苦戦していた。

Johnston氏は声明でこう言っている: 「具体的には、クラウドサービスの拡張に資金を投じて、デベロッパーがアプリケーションの構築に用いる技術を手早く発見でき、アプリケーションをチームメイトやコミュニティと容易に共有できるようにしたい。そしてローカルでもクラウドでもKubernetesのどんなエンドポイントでもアプリケーションを円滑に動かせるようにしたい」。

前CEOのBearden氏はこう言っていた: 「既存のビジネスモデルを慎重に検討した結果、この方向(エンタープライズ事業の切り離し)を決めた。経営陣と取締役会を全面的に分析して得た結論は、Dockerには互いにまったく異なる2つの事業があるということだ。ひとつは活発なデベロッパー向け事業であり、他は成長中のエンタープライズ事業だ。両者で、プロダクトも財務モデルも大きく異なっている。このような分析結果により、会社をリストラして二つの事業を分離する決定に至った。それが顧客にとっても最良であり、Dockerの業界をリードする技術をさらに繁栄させることができるだろう」。

Crunchbaseのデータによると、今日の発表の前までに同社は2億7200万ドルあまりを調達している。そして今回はBenchmarkとInsightが3500万ドルのライフラインを投じて、オープンソースのDockerプロジェクトをベースとするビジネスに、再起の機会を与えようとしている。

関連記事: Kubernates利用のクラウドサービス、MirantisDocker Enterpriseを買収

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを計るツール「Continuous Insights」

Harness(ハーネス)のCEOで共同創業者であるJyoti Bansal(ジョーティ・バンサル)氏は、ソフトウェア開発チームのパフォーマンスを計るツールがないことに日頃から不満を感じていた。Harnessは継続的デリバリーをサービスとして提供するツール(Continuous Delivery as a Service)だが、同社の最新製品であるContinuous Insightsは、彼のその不満を解消し管理職が自分のチームのパフォーマンスを正しく知るためのツールだ。

バンサル氏によると、以前から測定なくして改善なしという管理のための格言がある。そしてContinuous Insightsは、エンジニアリングの実効性を計る方法だ。彼は 「人々はソフトウェアのデリバリー工程の良否を知りたがるし追跡調査もしている。Continuous Insightsは、そのためのツールだ」と説明する。

彼によると、パフォーマンスのビューが何週間も何カ月ものデータを引っ張り出さなくても得られるツールはこれが初めてだ。「現在のパフォーマンスを知るためのデータはどうやって得るのか。ソフトウェアのデリバリーはどれだけ速いのか。どこにボトルネックがあるのか。これらに関しては現状では十分な可視性がない。Continuous Insightsは、エンジニアリングのチームがソフトウェアのデリバリーのパフォーマンスを明確に測定し追跡することを、カスタマイズ可能なダッシュボードによって極めて容易にした」と彼は主張する。

Harnessは、DevOps Research and Assessment(DORA)が彼らの本であるAccelerate日本語訳)で定義している4つの重要な測度を計る。それらは、デプロイの頻度、リードタイム、平均回復時間、そしてエラーの変化率だ。バンサル氏は「これらの数字の良い組織はイノベーションの能力でもほかより勝っている」と主張する。逆にこれら4つの測度の悪い企業は市場の後尾を走ることになる。

ContinuousInsights 2

画像提供: Harness

バンサル氏によると、これら4つの領域の測定は、パフォーマンスを調べる方法であるだけでなく、数値を上げることがチーム間の競争になるとゲームの要素が入ってくる。エンジニアリングがもっともデータドリブンな組織だ。といくら言っても、彼によるとこれまではそのためのツールを欠いていた。彼は、Harnessのユーザーが、やがてこの種の厳格さをエンジニアリングに導入することを期待している。

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デベロッパーがデプロイの面倒から解放されるソフトウェア開発モデル

2年間文字どおりダークだった(ステルス状態だった)Darkは、同社が「デプロイレス」と呼ぶユニークなソフトウェア開発プラットホームを構築した。Darkのエディターを使ってDarkの言語でアプリケーションを書けば、そのご褒美としてアプリケーションのデプロイはGoogle Cloud Platformの上で自動的に行われる。ソフトウェアのデプロイに伴うすべての苦難から、デベロッパーは解放される。

今日ステルスを脱した同社は、実は2017年に350万ドル(約3億8000万円)のシード資金を獲得している。そしてその後の2年間、彼らはそのかなり複雑なプラットホームを構築してきた。

同社の共同創業者の一人でCEOであるEllen Chisa(エレン・チサ)氏は、Darkのツールセットの使い方を勉強する必要はあるが、それだけの価値はあると主張する。複数のツールが連携して動くよう、細心の設計をしているからだそうだ。

彼女は次のように語る。「Darkの最大の問題は新しい言語を学習して、たぶん使い慣れたエディターとは違うエディターを使うことだと思うけど、Darkと言語とエディターの三者が協働すると、とても大きな利点が生まれる」。

「Darkでは、エディターが言語をよく知ってるので極めて適切なオートコンプリートが得られる。そして、どんなコードでもコードを書いたらすぐにインフラストラクチャがそれ用にセットアップされる。何が必要かDark自身が知ってるから」。

確かにそそられる話だが、でもチサ氏は今後の啓蒙活動が重要と言う。プログラマーたちは今現在、何らかのツールを使ってプログラムを書いているからだ。彼女が主張する最大のセールスポイントは、いろんなタスクを統合した自動化のおかげで、デプロイメントの周辺に存在する大量の複雑性を取り除いたことだ。

彼女によると、Darkの3大ベネフィットとは、

  1. インフラストラクチャのセットアップの自動化
  2. デベロッパーがデプロイで悩まなくていいこと(デベロッパーはアプリケーションのコードを書くだけでいい、書き終わったコードはすでにホストされている)
  3. コードを書くことと並行してトレーシングが行われる

ということだ。「Darkのエディターがトレーシングの能力を持っているからコードを書けばすぐにトレースされる」と彼女は言う。

もう一人の共同創業者でCTOのPaul Biggar(ポール・ビガー)氏は、初期のCI/CDツールであるCircleCIを作ったデベロッパーの1人だから、デプロイについてはよく知っている。

350万ドルのシードラウンドをリードしたのはCervin Ventures、これにBoldstart、Data Collective、Harrison Metal, Xfactor、GitHubのCOO Erica Brescia氏、Backstage、Nextview、Promus、Correlation、122 West、そしてYubariが参加した。

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問題のある継続的デリバリーのビルドを自動的にロールバックするHarnessの新しいツール

CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー, continuous integration/continuous delivery)に移行すると、デプロイしたビルドのモニタリングや問題解決が忙しくなる。次のデリバリーマイルストーンに行ったあとに問題に対応するには、どうしたらいいのか?。昨年、AppDynamicsのファウンダーJyoti Bansalが立ち上げたスタートアップHarnessはそれを、24×7 Service Guardと呼ばれるツールで解決しようとする。

このツールは、すべてのビルドを、それらがいつローンチされたものであってもモニタすることによって、継続的デリバリーの工程を支える。そのためにはAIと機械学習を利用して、問題のあるビルドを自動化でうまくいっていたビルドに遡及(後戻り)させ、デベロッパーとオペレーションが心配なく仕事を続けられるようにする。

同社は昨年、継続的デリバリーのビルドがデプロイされたことを検証(verify)するContinuous Verificationというツールをローンチした。今日(米国時間12/13)の発表でBansalは、同社はそれをレベルアップすることによって、デプロイ後に何が起きたのかを理解するためのツールに仕立てた、と言っている。

そのツールは毎回のビルドを、デプロイから数日経ったものであってもウォッチし、そしてAppDynamicsやNew Relic, Elastic, Splunkなどのツールからのデータを利用、さらにAIと機械学習を使って問題を特定し、人間の介入なしでそれらを実動状態に戻す。さらにまた、ユーザーのチームは、さまざまなモニタリングツールやロギングツールのデータから得られた、各回のビルドのパフォーマンスとクォリティの統一的なビューを取得できる。

Bansalはこう説明する: “みんな継続的デリバリーで苦戦している。これまでも彼らは、AIを使ったOpsツールでプロダクションに入ったものをウォッチし、問題を究明しようとしてきた。でもうちのやり方では、CD段階のウォッチにAIを使うことによって、プロダクションの段階には問題がないようにする”。

24×7 Service Guardのコンソール。スクリーンショット提供: Harness

彼によると、このプロダクトを商用化したのは、CI/CDで苦戦している企業をたくさん見てきたからだ。彼は言う: 速く動くことによって問題の露呈を早くする、というCI/CDの初期の教えはエンタープライズに通用しない。彼らに必要なのは、ミッションクリティカルなアプリケーションが継続的ビルド(その定義はさておき)でも動き続けることだ。

“デベロッパーは速く動いてしかも会社の業務がその影響を受けないようにしたいのだ。だから、あの初期の教えでは不十分なんだよ”、と彼は語る。

どんなプロダクトにもアップタイムの絶対的な保証はできないがこのツールは、CI/CDに価値を見出しているがアプリケーションは動かし続けたい、という企業の役に立つ。デプロイしてから修復するというワンパターンを、繰り返したくない。このツールが本当に役に立てば、CI/CDを前進させるだろう。とくにそれは、開発工程を迅速化したいけど、アプリケーションが壊れないという確証がほしい、問題の修復は自動化したい、という大企業に向いている。

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Hasuraがサーバーレスの開発を単純化するオープンソースのイベントシステムを発表

主にPostgresデータベースまわりのデベロッパーツールを作っているHasuraが今日、新しいプロダクトを公開アルファで披露した。それは、プログラマーがサーバーレスのアプリケーションを迅速かつ効率的に作れるためのツールだ。

それは、Postgres上のオープンソースのイベントシステムにより、ファンクションをより簡単に書けるようにする。そのイベントシステムは、データベースが特定の条件に達したらイベントをトリガする。それにより、何かを動かすために大量のコードを書く必要がなくなり、またシステムのスケーラビリティも増す。

プログラマーは通常、一連のAPIコールをつなぎ合わせてサービスを呼び出し、決済や通信ゲートウェイなど、アプリケーションの各部を動かしていく。これによりプログラマーは、さまざまな部分をスクラッチで書くことから免れる。しかし問題は、一連の呼び出しの途中で何かがおかしくなったら、システムはダウンし、再スタートすることになりがちだ。

しかしサーバーレスのアーキテクチャでは、サーバーレスのメリットとしてよく挙げられるように、インフラのことをプログラマー側が気にする必要がなくなるので全体のプロセスがもっと簡単になり、きわめてシンプルなイベントドリブン方式のコードを書ける。そのため、アプリケーションのいろんな部分を呼び出してもダウンするおそれが少ない。

同社は4月に、160万ドルのシードラウンドを調達した。同社はKubernetesのソリューションを提供していたが、今回の発表で、このところデベロッパーに人気のあるサーバーレスにも手を広げた。

上記の資金調達のとき、CEOで協同ファウンダーのTanmai Gopalは、本誌にこう述べた: “われわれのフォーカスは最初から、アプリケーションの開発を超速くすることだった。そのやり方は、われわれのAPIをPostgresデータベースの上に置いて、どんなコードでもそのレベルでデプロイすることだ”。

この最新のプロダクトも、この哲学の延長で、デベロッパーがクラウドネイティブなアプローチを取れるようにする。そしてデベロッパーに、サーバーレスのアドバンテージを、オープンソースで特定のベンダーに縛られないやり方で生かせるツールを与える。

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Google Cloudがアプリケーションパフォーマンスモニタリングのツール集を提供

Googleのクラウドプラットホームでは、社内用に作ったツールやサービスがGoogleのプロダクトとして顧客に公開提供されることが多い。今日(米国時間3/28)同社は、その一環として、Google Cloud Platformの上でアプリケーションを構築するデベロッパーにとって重要な、アプリケーションのパフォーマンス管理(application performance management)ツール集Stackdriver APMを発表した。

APMの考え方はやや変わっていて、問題の責任をオペレーションに渡すのではなく、デベロッパーがアプリケーションを調べる。つまりアプリケーションを作ったデベロッパーがコードにいちばん近いところにいるので、そこから出てくる信号もいちばんよく理解できるはずだ、とする。

StackDriver APMは、三つのツールで構成される: プロファイラーとトレース(トレーサー)とデバッガだ。トレースとデバッガはすでに利用できるが、しかしプロファイラーと併用することによって、三つのツールが協働してコードの問題を特定し、調べ、そして修復できるようになる。

Stackdriver APMを発表するブログ記事でGoogleのプロダクトマネージャーMorgan McLeanはこう書いている: “これらのツールのすべてが、どんなクラウドの上で動くコードやアプリケーションでも扱えるし、オンプレミスのインフラでも使える。つまり、アプリケーションがどこで動いていても、一貫性がありアクセス性の良いAPMのツールキットを使って、アプリケーションのパフォーマンスをモニタし、管理できる”。

ほかにStackDriverにはモニタリングとロギングのツールもあり、これら完全なAPMのスイートが、SplunkやDatadog、New Relic、AppDynamics(Ciscoが買収)などのベンダと競合することになる。しかしGoogleのプロダクト管理担当VP Sam Ramjiによると、これらのベンダは競合他社であるだけでなくパートナーでもあり、お互いのツールが協働して問題解決に取り組むことを、Googleも十分に理解している。

“しかし、コアシステムがみんなによく見えるようにする点では、うちが一番だ。人びとはこれまで使ってきたお気に入りのツールをこれからも使って、彼らの企業の事業目的という見地からプロダクションシステムを検査したり、適切なタイミングでアラートしていくだろう”、と彼は述べる。

まず最初は、プロファイラーの出番だ。これによりデベロッパーは、軽量級の(全量ではなく)サンプリングベースのツールで、アプリケーションのすべてのインスタンスからデータを収集する。

Stackdriver Profiler. 画像提供: Google

プロファイラーが集めたデータから問題を判定したプログラマーは、次にトレースを動かす。Ramjiによると、コードの問題はほとんどつねにクリティカルパスの後(あと)にあるから、このツールを使えば、問題が分散システムの全域にわたって伝搬していく様子を理解できる。トレースの画面(下図)は視覚化されたアナリティクスのような形をしていて、これらにより問題の性質と、計算資源に対するそのインパクトが分かる。

Stackdriver Traceツール。 画像提供: Google

そして最後がデバッガだ。Ramjiがこれをとくに好きなのは、若き日の90年代のツールを思い出させるからだ。当時はデバッガでアプリケーションを止めたり動かしたりしながら、問題の所在を突き止めていた。このAMPのデバッガもやはり、指定した箇所でコードを止めて、問題の核心を見つける。

ただしこの現代的なデバッガには、Ramjiが“マジック”と呼ぶものがある。デベロッパーによるコードの停止や再開が、顧客に影響を及ぼさないのだ。McLeanもこう書いている: “プログラマーにおなじみのブレークポイント方式のデバッグ処理を提供するが、それによって顧客へのネガティブなインパクトはない”。

Stackdriver APMは今日(米国時間3/28)から可利用になり、完全なサービスから成る完全なモニタリングスイートが提供される。これでGoogleは、モニタリング〜デバッグという分野でも、既存の選手たちと競争するつもりのようだ。

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Cloudflareが自分のグローバルネットワークへのアクセスを提供して真のエッジコンピューティングを可能に

ますます多くのコンピューティングがエッジへ移行して行くに伴い、プログラマーはレイテンシーを減らしパフォーマンスを上げるために、ユーザーになるべく近いコンピューティングパワーにアクセスしたい、と願っている。今日(米国時間3/13)Cloudflareが発表したCloudflare Workersは、そんなデベロッパーたちがCloudflareのネットワークのエッジで直接実行されるコードを、書けるようにする。

同社の協同ファウンダーでCEOのMatthew Princeによると、これまでそんなアクセスができるのはCloudflareの社員だけだった。“今日からはそれを、自分のアプリケーションをエッジで動かしたい人なら誰でも使える。これによってCloudflareの可能性も広がり、アプリケーションのこれまではできなかったような構成やプログラミングが可能になる”、と彼は説明する。

今の、IoTやゲーム、ビデオなどのアプリケーションは大量の帯域を使用するから、処理をなるべくエッジに持ってこれればパフォーマンスも改善され、またコードの実行に対する細かい粒度のコントロールも可能になる。

Princeによると、プログラマーは、ユーザーがそのアプリケーションにアクセスする場であるフロントエンドをいじったり、あるいはバックエンドではデータベースをいじくってパフォーマンスをアップしようとする場合が多い。しかしこれまでの彼らは、Cloudflareのネットワーク上のどこで自分のコードが実行されるかを、コントロールできなかった。

“本質的にローカルなプロダクトを開発する場合は、大多数のユーザーが至近距離にいるわけだから、コードがエッジで実行されるようプログラミングすればよい”、と彼は語る。至近距離という言い方は、誇張でなない。Cloudflareはデータセンターが世界中127箇所にあり、しかもその数はコンスタントに増え続けている。

この新しいサービスによりプログラマーは、コードが実行される場所をJavaScriptのコードで指定できる。しかも、そのコードをアップデートすると、エンドユーザーのところでアプリケーションのアップデートをする必要なく、ほとんどすぐに実装される。変更を、今使っているクラウドプロバイダーへアップロードする必要もない。

Cloudflareは、企業のWebサイトのパフォーマンスとセキュリティを向上することがメインの仕事だが、今回は自分のネットワークのパワーを顧客に利用させようとしている。コードの実行場所をプログラミングできることによって、ユーザーは自分のアプリケーションを動かすために必要なさまざまなレベルのリソースにアクセスでき、そしてロードバランシングやリソースアロケーションなどの面倒な仕事はCloudflare自身がやってくれる。AWsなどの、クラウドインフラストラクチャプロバイダーが、まさにそうやっているように。

2009年に創業された同社は、これまでに1億8200万ドルを調達し、これからの数か月ないし数年で同社のネットワークへのアクセスを拡大したい、という大きなビジョンを持っている。Princeによると、同社は昨年売上1億ドルのラインを超え、社員は600名を抱えている。今回のCloudflare Workersのようなサービスが加わると、売上はさらに拡大し、同社が作った全世界的なネットワークを、さらに有利に利用していけるだろう。

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Atlassianが全デベロッパーツールをワンセットにしたAtlassian Stackを年会費制でローンチ

Atlassianが今日(米国時間6/13)、Atlassian Stackという、新しい会員制のサービスを立ち上げた。それは、同社がホストしているデベロッパーツールをすべてまとめたサービスで、会費は1000ライセンスにつき年額18万6875ドルだ。これにより企業の調達担当は仕事が楽になり、費用削減にもなる(一見、高いけど!)。個々のプロダクトの会員ユーザーになるよりも、Atlassian Stackの会員になるとデベロッパーツールのすべてを手早く利用できて簡単なのだ。

Stackにはこんなものがある:

  • データセンターバージョン: JIRA Software, Bitbucket, JIRA Service Desk, Confluence
  • サーバーバージョン: JIRA Core, HipChat, Bamboo, FishEye, Crucible, Crowd
  • アドオン: JIRAのPortfolio, JIRAのCapture, ConfluenceのQuestions, ConfluenceのTeam Calendars
  • 有料サポート

デベロッパーがAtlassianの上で仕事をするには、これで十分だろうが、ただしファイヤーウォールの内側で使えるもののみだ。Atlassianのツールのホストバージョンはないが、このようなバンドルに関心のある企業は、自社独自のデプロイをするところがほとんどだろう。

1000ライセンスの料金は一人あたりの月額で15ドル57セントになる。1万ユーザー以上もいる超大企業は、一人あたり月額が6ドル74セントになる。

Atlassian Stackに加えて今日同社はDevOps Marketplaceをローンチした。この新しいストアはAtlassianのユーザーに、200以上のアドオンとインテグレーションへのアクセスを提供する。現在のパートナーはAppDynamics, Splunk, そしてSauce Labsだ。Atlassianにはすでにマーケットプレースはあるが、この新作はDevOpsツールが中心だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Atlassianの主力製品はクラウドのユーザーと自前のデータセンターのユーザーの二股をかける

TO GO WITH Australia-technology-finance-company-Atlassian-IPO-software,FOCUS by Madeleine COOREY
This photo taken on December 8, 2015 shows flags adorning the head office of Australian tech start-up Atlassian which is expected to make its debut on the world's largest tech stock exchange Nasdaq this week.  Software firm Atlassian plans to list 22 million shares priced at 19-20 USD under the ticker TEAM as early as December 10, it said in a filing to the United States Securities and Exchange Commission.       AFP PHOTO / William WEST / AFP / WILLIAM WEST        (Photo credit should read WILLIAM WEST/AFP/Getty Images)

Atlassianは、クラウドとデータセンター両者の、いわゆる‘良いとこ取り’を考えていて、今日(米国時間10/12)行われたAtlassian Summitでは、同社のデータセンター+クラウド方式を拡大する新製品を発表した。

今は企業ITのクラウドへの移行が進んでいるから、そんな中で、クラウドとオンプレミスの二股を張るのは奇妙にも見えるが、しかしAtlassianから見れば、そんなハイブリッド方式こそが、未来のリスクに対する正当なヘッジなのだ。

同社は、開発やそのほかの部門のチームワークを助けるさまざまなツールを作ってきた。それらの主なものは、 HipChat, Jira, Confluence, BitBucketなどだ。しかし近年はデプロイのサイズが急騰し、今では5万名のユーザーがJiraを使っている企業もある。そしてAtlassianの社長Jay Simonsによると、クラウドでそんな大型のデプロイを行うことを、〔セキュリティなどの面で〕落ち着かないと感じている顧客企業も一部に存在する。

そんな企業の需要に応えるために同社は、数年前にデータセンター向けの製品ラインを導入し、そして今日、そのラインを拡大してHipChat Data Centerをベータで含めることになった。HipChatは、SlackやFacebook Workplaceなどと競合する企業向けチャットツールで、いわゆるエンタープライズメッセージングサービスの一種だ。

データセンター向けのHipChatすなわちHipChat Data Centerとは、クラウドからではなく企業ユーザー自身のインフラの上で動くメッセージングアプリだ。Simonsによるとそれは、自分たちのソフトウェアは自分たちのインフラで動かしたい、という企業向けの製品だ。

さらに同社は今日、Jira Software Data Centerを、システムを停止せずにアップグレードできる機能を発表した。Jiraを使ってミッションクリティカルなプロジェクトを管理しているところは、ダウンタイムがそのまま損失につながる場合もあるので、この機能はとくに重要だ。

Simonsはこう説明する、“オンプレミスの場合の問題は、アップグレードするときオフラインにすることだ。そこでわれわれは、システムをオフラインにせずにアップグレードできる機能を加えた”。

そして、自分のデータセンターではなくクラウドにデプロイしたいユーザーのためには、データセンターからAmazon Web Servicesへの移行を支援するサービスを改良した。

こうやってクラウドとオンプレミスの両方のプロダクトをメンテナンスしていくことは、難しいと同社は認める。しかし、にもかかわらず、デプロイの仕方に関して顧客に選択肢があることは重要だ、と。

Atlassianは10年連続で黒字という、優良企業だ。売上の主軸はWebサービスだが、オンプレミスのためのプロダクトをWebで展開するのは、クラウドに対するそれに比べると難しい。同社は昨年12月に、2億1000万ドルを調達したあと、上場した。現在の同社の時価総額は、60億ドルを超えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ソフトウェアの配布過程を自動化するJFrogが$50Mの巨額を調達して飛躍を目指す

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オープンソースのソフトウェア配布ツールを作っているJFrogが今日(米国時間1/20)、5000万ドルの資金調達を発表した。これまで同社は二回のラウンドで1050万ドルを調達していたが、それに比べると5000万は大きな跳躍だ。

投資家はScale Venture Partners, Sapphire Ventures, Battery Ventures, Vintage Investment Partners, Qumra Capital, 参加した既存の投資家はGemini Israel VenturesとVMwareだ。

JFrogは、二つのメインプロダクトの商用バージョンとエンタプライズバージョンを提供している。そのうちJFrog Bintrayはデベロッパによるソフトウェアの配布を自動化し、他のJFrog Artifactoryは配布前のソフトウェアのパッケージ管理を助ける。

CEOのShlomi Ben Haimは類似製品との差別化要因について、同社製品がプラットホームを特定しないことを挙げる。つまり、いろんなデベロッパツールと統合できる。2008年の創業以来、1050万ドルという控えめな額を調達してきたが、今回の大金は、急増している需要に対応するためだ。とくに、さまざまな統合化のリクエストが多くなっている。

JFrogの顧客リストには、Google, LinkedIn, Twitter, Cisco, VMware(同社の投資家), Netflix, MasterCardなど、そうそうたる名前が並んでいる。

たとえばGoogleは、Androidの配布にBintrayを利用している。

これらはどこも、ソフトウェアのアップデートをコンスタントにリリースしている企業で、JFrogはそのプロセスをバイナリのレベルである程度自動化する。GitHubのようにコードのレベルではない、とHaimは説明する。

8年経った今、社員は110名で、年内には200近くに膨らむだろう、という。企業を無理なく自然に成長させることは難しい場合もあるから、この新たに得られた資金で、プロダクトを改良するための戦略的買収も考えたい、とHaimは語る。

買収は、二つの問題を解決するだろう。同社に、これまでなかった能力を与えるとともに、人材も確保できる。

Haimが挙げる最大の競合相手は、専門的なサポートをを提供するMaven(Javaデベロッパ向け)や、DockerのRegistryツール(Dockerユーザ向け)だ。JFrogは、デベロッパが使用しているツールが何であれ、ソフトウェアの配布という目的に利用できる。

しかも今では、Haimも指摘するように、単一のデベロッパ環境でソフトウェアを開発している企業は、規模を問わず、どこにもない。複数の環境を横断するツールセットを提供することによってJFrogは、ソフトウェアの配布と管理の全プロセスをすっきり単純化しようとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。