iPhoneの「メール」アプリに重大な脆弱性、ハッカーがプライベートデータを盗んでいる

Apple(アップル)は近く、新たに見つかったiPhoneの脆弱性をパッチするが、セキュリティの研究者たちによると、ハッカーはすでに被害者のデバイスからデータを盗んでいる。

その脆弱性のニュースは米国時間4月22日に、セキュリティ企業のZecOpsが報じた。同社のCEOであるZuk Avraham(ズク・アヴラハム)氏によると、バグを見つけたのは昨年で、日常的な調査をやってるときだった。彼によると、すでに2018年には少なくとも6社が被害に遭っているという。

アヴラハム氏によると、バグがあるのはiPhoneのデフォルトのメールアプリ「メール」の中だ。犯人は被害者のデバイスに特殊な工作をしたメールを送ってデバイスのメモリーを侵略し、リモートで悪質なコードを動かしてデバイスのデータを盗む。さらにまずいことに、iOS 13の最新バージョンの上ではそのバグは、ユーザーとの対話をまったく必要としない。

そのバグはiOS 6から存在し、最初にリリースされたのは2012年。同氏はその後のツイートで、同じく内蔵の「メール」アプリのあるmacOSには、同様の脆弱性がないと述べている。

iPhoneの脆弱性は見つけるのが極めて難しいので高値がつく。バイヤーが100万ドルで買ったバグもある。でも、そういう高度で価値のあるバグは、リソースに十分恵まれたセキュリティ関係者、特に政府が見つけることが多い。政府関係者は脆弱性を利用した犯行を、犯罪者やテロリストの捜査に使うことが多い。しかし一部の政府が、特定の民族や活動家やジャーナリストなどをターゲットにすることもある。

同氏のブログ記事によると、今回の被害者の中には米国のFortune 500社や、ヨーロッパのジャーナリストもいる。彼はハッカーの名前を挙げないが犯人の中には国家もいると語っている。

TechCrunchの問い合わせに対してアップルのスポークスパーソンは何も言わなかった。記事を最初に報じたMotherboardは、そのバグはソフトウェアのベータバージョンでは直っており、次のアップデートで一般ユーザーに提供されるそうだ。

それまでは、高いリスクを抱えるユーザーは「メール」アプリを無効にしておくべきだ。

関連記事:iPhoneハッキングは中国政府によるウイグルのムスリム攻撃の疑い

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。