Pixel 4とiPhone 11 Proのカメラを徹底実写比較、買うならどっち?

ご覧のような次第で新しいスマートフォンが必要になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

iPhoneのユーザーだが、毎日かなりの時間を携帯カメラで写真を撮ることに費やしている。私にとってはカメラの性能が購入にあたって重要な要素だ。同僚のBrian Heater(ブライアン・ヒーター)記者のPixel 4は進化したカメラで勝負という記事を読んで乗り換えも検討することにした。

iPhone 11シリーズとPixel 4は正面から激突するライバルだ。どちらも700ドル(約7万6000円)からと同価格帯だが、何よりAppleとGoogleが提供する最新モデルだ。

Pixel 4(左)と iPhone 11 Pro(右)

両モデルともに新機能満載で用語の数もそれだけ多い。スローシンクロ、トゥルカラー、ナイトモード自動認識などなど。しかし、いちばん重要なのは毎日ポケットに入れて持ち歩くカメラとして、どちらが優れた写真を撮れるかだ。そこでさまざまな条件で実際に写真を撮って比較してみることにした(クリックすると高解像度の画像が表示される)。

横位置

雨上がりのブルックリン橋。マンハッタン側からの撮影。イーストリバーの対岸にブルックリンが広がっている。

Pixel 4(左)、 iPhone 11 Pro(右)

Pixel 4(左)と iPhone 11 Pro(右)

ポートレート

ビデオチームの同僚、Arman Tabatabai(アルマーン・タバトバイ)が遅い午後のピンクがかった光に照らされている。撮影距離は同じ。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

料理

火鍋、白熱灯照明。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

日本料理、メキシコ料理(どちらも低照度)。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

集合セルフィー

この中の1人はエミー賞受賞者だ。

Pixel 4 iPhone 11 Pro comparison group selfie

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

超低照度

コンサート会場やライブハウスの照明はたいていの場合不自然で、人物を引き立たせていない。まあ撮影など考えずに歌を楽しむべきなのだろう。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

Pixel 4のほうが細部まで明るく写るがiPhone 11 Proは場所の雰囲気が出ている。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右) (0.5倍ワイド)

非常に暗い場所の動く被写体(犬)。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右) (.5倍望遠)

マンハッタン通りの夜景。曇っており星は出ていなかった。

Pixel 4(左)、iPhone 11 Pro(右)

デジタルズーム

どちらのカメラも10倍のデジタルズーム機能を備えている。デジタルズームは下の作例のようにひどく画質を劣化させるので私は使わないし人に勧めたこともない。証拠写真にでもしようとするのでないかぎり使わないほうがよい。

iPhone 11 Pro(1倍 標準)

おーい! 見えるかー?

iPhone 11 Pro (デジタルズーム10倍)

結論

写真編集ツールはPixel 4の方がやや優れていると感じた。しかし画質の差はごくわずかで、記事を書くにあたってどちらの写真か何度も情報をチェックする必要があった。あとは好みの問題ということになるだろう。コメントは最小限に控えたので、実例で判断していただきたい。

iPhone 11 Pro (0.5倍ワイド)

結局、これまでどおり私はAppleのプロダクトを使うことにした。強いていえば2つの点でiPhone 11 Proのほうが私のニーズに合っていると感じたからだ。1つはスーパーワイドレンズ、もうひとつはハイレゾ画像をAirdropで近くのAppleデバイスに直接転送できる点だ。現在のAndroidの場合、チャットでハイレゾ画像を送ろうとすると、隣にいる相手でもサーバー経由で送信しなければならなず、1ステップ余計に手間がかかる。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

飯能ムーミン谷でプロジェクションマッピング始まる、キャッシュレス度も再調査してきた

埼玉県飯能市にある宮沢湖を臨むテーマパーク「ムーミンバレーパーク」は11月30日から2020年3月8日までの期間限定で、冬の「ムーミンバレーパーク」イベントを開催する。2019年3月にオープンした同パークは初めての冬を迎えることを受け、「WINTER WONDERLAND in MOOMINVALLEY PARK」と命名した、アートとテクノロジーを融合させた体験型のイベントとなる。ちなみにムーミンバレーパークのオープン前の2018年12月には、同パークに併設されている北欧をイメージした公園のメッツアビレッジで「チームラボ森と湖の光の祭」を開催していた。

関連記事:飯能ムーミン谷を彩るチームラボのテクノロジー

今回のイベントの具体的な内容は、ナイトイルミネーション、おさんぽラリー「りすを探して」、サウンドウォーク「ムーミン谷の冬」の大きく分けて3つのアトラクションがある。ただし、サウンドウォークは1月上旬からのスタートとなる。

ナイトイルミネーション

画像クレジット:ムーミン物語

ナイトイルミネーションのメインは、ムーミンバレーパークのランドマークの1つであるムーミン屋敷を利用した約10分間のプロジェクションマッピングのショーだ。近くに高さ約4mの独特な「ムーミン谷のウィンターツリー」が設置される(下の写真はPixel 4 XLで動画撮影したものキャプチャした)。

  1. スクリーンショット 2019-11-30 14.55.19

  2. スクリーンショット 2019-11-30 14.55.33

  3. スクリーンショット 2019-11-30 14.55.46

  4. スクリーンショット 2019-11-30 14.55.51

  5. スクリーンショット 2019-11-30 14.56.04

  6. スクリーンショット 2019-11-30 14.55.59

  7. スクリーンショット 2019-11-30 14.56.18

  8. スクリーンショット 2019-11-30 14.56.08

  9. スクリーンショット 2019-11-30 14.56.29

iPhone Pro 11とPixel 4 XLで夜景モードを使って撮影すると、Pixel 4 XLのほうが見た目に忠実な印象だったが、いずれもストロボなしでもここまで撮影できるのでいろいろと重宝するだろう。

通常モードでのiPhone 11 Pro(左)とPixel 4(右)

夜景モードでのiPhone 11 Pro(左、オート)とPixel 4(右、オート)

そのほか、パーク奥に進むと現れるムーミンやミイなどがプロジェクションマッピングによって地面に映し出される「あいまいなものの道」や「おさびし山」へと続く坂道にイルミネーションを散りばめた「光る花の道」、山頂(とっていっても低い丘)にある天文台がそびえ立つ岩壁にも物語のワンシーンを表した映像が流れる。

あいまいなものの道(Pixel 4で動画撮影したものをキャプチャ)

光る花の道(Pixel 4で撮影)

さらに。パークのメインステージである「エンマの劇場」を左手に見ながら進む「みんなの足あとの道」では、その名のとおり通行人の足跡が道の残る不思議な体験ができる。

みんなの足あとの道(Pixel 4で撮影)

ナイトイルミネーションは、日没後の17時ごろからの開始となり、閉園は20時。チケットは閉園1時間前の19時までの販売となる。ちなみに、今回のプロジェクションマッピングなどの演出はCALARが担当している。同社は、茨城県北芸術祭2016や六本木アートナイト2017、同2018などにも作品を展示した実績のあるクリエイティブユニットだ。

おさんぽラリー「りすを探して」

画像クレジット:ムーミン物語

日中から楽しめるアトラクションで、ムーミンバレーパークの謎を解きながら散歩を楽しむという内容だ。同パークの入り口にある、はじまりの入り江エリアの「はじまりの店」からスタートして、りすを追いかけて、落とし物を集めながら謎を解いていく。ムーミンバレーパークとメッツアビレッジには、ジップラインやカヌー、参加型シアター、ハンモック、各種ショーなどあるが、基本的には広大な敷地で散策を楽しむ場所。おさんぽラリーは、ファミリーで散策を楽しめる内容となっている。参加費は1人500円で、受付時間は10時〜16時、平均所要時間は1〜2時間。

サウンドウォーク「ムーミン谷の冬」

画像クレジット:ムーミン物語

「ムーミン谷の冬」の物語を体験できるサウンドアトラクションで2020年1月上旬から利用できる。園内で見られるれるさまざまな情景に合わせたサウンドを聞きながらパーク内を散策できる。ムーミン谷の情景とイメージとマッチするかは賛否があるが、ソニーのスマートフォンであるXperiaとオープンイヤーステレオヘッドセット「STH4D」が貸与される。STH4Dは、ソニーが提案するSound ARを体験できるイヤフォンで、耳を塞がずに周囲の音を聞きながら音楽を楽しめるデバイスだ。

ムーミンバレーパークに入園するにはチケットの購入が必要で、中学生以上は大人料金の1500円、4歳以上で小学生以下は子供料金の1000円。入園チケット付きでジップライン以外のアトラクションが楽しめる1デーパスは大人2800円、子供1800円。ジップラインは大人、子供ともに1回1500円(入園チケットは別途必要)。17時から入園できるナイトチケットは大人1000円、子供500円(アトラクションは利用できない)。

自動車で行く場合は専用駐車場が使える。料金は、平日無料、土日祝日は最大1500円。電車で行く場合は、西武池袋線の飯能駅北口からバスで15分程度だ。なおメッツアビレッジとムーミンバレーパークに向かうバスは、西武バスとイーグルバスが運行しているが、イーグルバスでは交通系電子マネーが使えず現金決済になるので注意が必要だ。

ムーミンバレーパークのキャッシュレス度

ムーミンバレーパークとメッツアビレッジについては実はオープン日の3月16日に取材して、キャッシュレス度を調べていた。当時のムーミンバレーパーク内では、「Peli & Leikki」(ペリヤ&レイッキ)と呼ばれる子供向けのアーケードゲームエリアのみチケット購入に現金が必要だが、ほかのアトラクションは交通系電子マネーが利用できるほか、売店では各種クレジットカードや電子マネーが使えた。パーク内に設置されている飲料の自動販売機も交通系電子マネーとiDを利用可能だ。

今回は新たにパーク内の売店でOrigami Payが使えるようになっていたので報告したい。Origami Payは基本的にクレジットカードと紐付けて都度決済するコード決済方式で、PayPayやLINE Payなどとは異なり、残高不足や残高が残ってしまうことを心配する必要がないがメリットだ。ムーミンバレーパークでキャッシュレスを極めたいなら、インストールしておくべきだろう。

一方、無料で利用できるとメッツアビレッジでは、3月の取材時と同様にカヌー乗り場でPayPayが使えるほか、売店ではクレジットカードや電子マネーを利用できる。もちろん、ビレッジ内のスターバックスではスターバックカードでの決済が可能だ。残念ながら、埼玉県内有数の食品加工メーカーであるサイボクの直営店は前回と同様に現金決済のみだった。

関連記事:埼玉・飯能にオープンしたムーミンバレーパークのキャッシュレス度

アップルからカメラボタン搭載のiPhone 11 Pro用バッテリー内蔵ケース

Apple(アップル)が新しいiPhone 11 Proのバッテリーケースを発売した。標準的なバッテリーケースだが、実はちょっとしたサプライズが隠されている。カメラボタンだ。マイナーな機能だがとても便利だ。

ボタンの位置や仕組みはよく考えられている。ボタンはケース下部のサイドに組み込まれているが、なにかが当たって偶然押し込まれてしまうようなプッシュボタンではない。一度押すとiPhoneがロック状態であってもカメラが起動する。短いクリックで写真、長押しでQuickTakeのビデオが撮れる。

ケースは税別1万4800円で、 Qi規格のワイヤレス充電器が使える。またUSB-PD規格の充電器に接続すればさらに速い。アップルによれば、バッテリーケースをフル充電しておけば、iPhoneの駆動時間が50%増えるという。

アップルがカメラアプリにこの種のショートカットを追加したのは今回が初めてだ。Pixel 3などほとんどのAndroidスマートフォンは電源ボタンのダブルクリックでカメラが起動する。iPhone 11 Proのバッテリーケースのカメラボタンは正しい方向への一歩だろう。アップルがバッテリーケースでない普通のケースにもこのショートカット機能を追加する方法を見つけてくれるよう期待したい。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

最近のiPhoneは不細工

最初に断っておかなければならないが、私はスマホに関してはちょっと保守的だ。みんな私のiPhone SEを小バカにするが、本当はこれこそApple(アップル)がこれまでに作った最高のスマホであり、どこからどう見ても美しい、素晴らしいデザインだと信じている。それに引き換え、iPhone 11 Proは、どうしようもないくらい不細工だ。もっとも、それはiPhoneに限らない。Samsung(サムスン)やGoogle(グーグル)の最新モデルも、まったく不細工には違いない。

いったい新しいiPhoneが、なぜそんなに不細工なのか順に見ていこう。前面も背面も、そして側面もだ。まずは、ノッチから始めよう。もちろん、今回初めてそうなったわけではないが、おそらくこれは、この時代に特有の異体のようなものなのだろう。何年か後に振り返ってみれば、みんな笑ってしまうしかないようなものだと思う。しかし今はまだしぶとく残っている。

多くの人が、さまざまな理由ででノッチを正当化しているのは知っている。少しでも画面の面積を増やすためだとか、キャリアーやバッテリーのアイコンを表示するのにちょうどいいとか、顔認識でスマホをアンロックするためには不可欠だとか、といったもの。

それはそうかもしれないが、やはり不細工だ。

もしノッチがないバージョンが登場すれば、絶対に誰もノッチのあるほうは選ばないはずだ。なぜなら、言うまでもなく、誰が見ても望ましいものではないからだ。もしアップルのエンジニアが、ノッチをなくす方法を見つけていたなら、とっくにそうしていたはず。しかし、まだ見つけていないからそうなっているわけで、エンジニアたちも失望を感じているに違いない。アップルは、そうすることが可能な限り、ノッチをカモフラージュする特別な壁紙で、その存在を隠そうとしている。それはまるで、「そう、これを見たくないのは僕らも同じさ」と言っているようなものだ。

ちょっとの間だけ、忘れていられることもある。しかし頭の中では、その存在が消えない。みんなそう感じている

これは、目触りで不細工な妥協の産物の代表的なもの。誰も頼んでいない機能を実現するために、そうせざるを得なくなってしまった。ユーザーは、自分がそれを気に入っているかどうかさえ、よく分からなくなってしまっている。ノッチは不愉快なものだが、それを見るたびに、デザイナーも悲嘆に暮れているのだと思うしかない。公平を期すために付け加えれば、そうしたことは実際かなり頻繁に起こり得る。私には、昔からのデザイナーの知り合いも多いが、私と同様、彼らは非常に神経質だ。

私は、画面の角が丸いのもあまり好きではないが、それにもいくつかの理由がある。ただ、将来的にはそんなことは気にならなくなると思えるので、それはまあいいとしよう。「宇宙空母ギャラクティカ」に出てくる紙の隅は、みんな切り取られていたのを覚えているだろうか。そういう世界も、そのうちやってくるだろう。

一方、画面をデバイスの端ギリギリまで拡げること自体は、それほど不細工なものではない。しかし、それも精神的には不細工なこと。今や、スマホの前面全体がインターフェイスになっている。もしこれが、ただ画面に表示されるものを見ているだけで、何か操作しようとしているのではないことを分かってくれるなら問題ない。画面の端や角の部分には、それぞれ割り当てられたジェスチャーがあったりするので、それらが起動しないように注意する必要がある。それがうるさいので、PopSocketsのように、スマホの後ろから突き出るグリップを発明してしまった人もいる。それを使えば、画面の端には触れずに持つこともできる。とはいえ、同じような形のものでも、スマホ以外のものを持つように、普通に持てるなら、そのようなアタッチメントはそもそも必要ないのだ。

背面も不細工になった。このカメラの出っ張りは何だ。出っ張りというのは、ちょっと表現が違う。iPhoneのデザインチームは、海事歴史博物館でも見学して、深海ダイビング用ヘルメットを見つけ、これだ、と思い当たり、さっそくそのデザインを採用することにしたのか。船の舷窓のようでもある。スマホを4000尋の深海まで潜航できそうに見せかけるものなのか。そのようなヘルメットは、大きくて、傷だらけの丈夫な真鍮製であれば、本当にクールだ。しかし、薄っぺらで壊れやすい電子部品には似合わない。そこには、大きくて厚みのある四角の枠の中に、一見不規則に配置された円が、全部で5つもある。背面の他の部分はのっぺりとしているので、そこだけが嫌でも目立ってしまう。

SE Photo SEの背面は、前面を裏写ししたようなデザインだ。上端と下端には「ベゼル」もある。上の私の私物のSEの写真を見ても分かるように、上部の黒いベゼルのおかげで、カメラの存在が、ほぼ完全に隠れてしまう。ただ、残念なことに、フラッシュユニットだけは、ちょっと目立っている。このような構造によって、SE全体が切り欠きなどのないソリッドな物体に見える。これで写真が撮れるのが不思議に感じられるくらいだ。カメラのレンズ部分も、背面の表面と完全に同じ高さで、疑似ベゼル部分の色の違いはあるものの、全体が一体の平面のように見える。

iPhone 11 Proの背面は、ほぼ全域が平野だが、カメラアセンブリの部分は、ちょっと高い台地になっている。そしてその上には、3つの独立したカメラの低い火山があり、さらにそれぞれの中にレンズのカルデラがある。そして台地の端の方には、くぼんだマイクの井戸もある。これだけでも、ざっと5種類の高さの異なる面がある。それにより、十数通りの高低差や尾根が生まれる。もちろん、それぞれの標高は、さほど高いものではないが、存在することには違いない。

これがもし、カメラ専用機や、それに類するデバイスなら、出っ張りやくぼみは、設計上不可欠のものとなる。それによって持ちやすくしたり、見ないでも操作できるようにするためだ。しかし、それとこれとは話が違う。iPhoneは滑らかで美しく、手触りも優れていなければならない。このハワイの地形図のような背面は何なんだ。火山の間の汚れを拭き取るのは楽しいだろうか。持ち換えようとして、レンズの縁をテーブルにぶつけてしまうことはないだろうか。

その上、不細工だ。

iPhoneの側面は、前面と背面ほど悪くはないが、SEの時代と比べると、多くを失ってしまった。シンプルな+、−ボタンの形状、適度なグリップを生む、シャープに面取りされたエッジ、側面を左右2本の直線部分と上下2本の弓状の部分に大胆に分割する黒いベルト。これらはすべて金属製なので、何度落としても、SEは驚くほど壊れないし、むしろクールさが増す。

新しいiPhoneの側面は、安物のミニカーのバンパーのような感じに見える。あるいは、ジェリービーンズを細長く引き伸ばしたような質感だ。スイッチ部分は、そこにさらに小さいジェリービーンズが貼り付いているようで、気持ち悪い。

iPhoneについては、これくらいで十分だろう。アップルは、ずっと昔に、良いデザインとは何かを忘れてしまった。そして最新の製品は、あまりに不細工になってしまったので、こうして声を上げずにはいられなかったのだ。

Samsungの製品にも、アップルと同じような問題が多い。最近では、「エッジ・ツー・エッジ」のディスプレイが主流で、みんなこぞって採用している。もちろん、Galaxy S10も例外ではない。しかし、文字通り端から端まではディスプレイになっていない。上端と下端には、細めのベゼルがある。下端部のベゼルの方が、少し幅が広い。こんな指摘をすれば、私がいかに神経質かを公言するようなものだが、そういうものを見ると、イライラせずにはいられない。もしそれが、HTCの古いモデルにあった「アゴ」のように、もっとずっと幅広いものなら、わざとそういうデザインにしているのだろうとも思える。しかし、ほんのちょっとだけ幅が広いというのは何なんだ。単に、ベゼルの幅を小さくすることができなかったというだけだろう。

ディスプレイが、側面に回り込んでいるというのも、製品写真としては見栄えがするのかもしれないが、実際に使ってみていいと思ったことは一度もない。それに何の意味があるというのか。真正面から見る場合以外、なんとなく歪んで見えるし、端に表示されているものを常に見逃しているような感じが拭えない。

さらに酷いのは、上下にはベゼル、左右にはカーブがあるだけでは飽き足らず、正面にもパンチホールが空けられていること。まったく何なんだ!

ここでノッチについて考えてみよう。スマホのデザイナーとして、前面に比較的大きな領域を確保しなければならないとしよう。その際、画面のどの部分には手を付けずに残すかを考えるだろう。アップルの場合、画面上部の左右を残すことにした。少なくともステータス情報を表示するにはぴったり、というわけだ。フロントカメラやFace IDのセンサーの回りに、多少のスペースは残るかもしれないが、そこに細い表示領域を確保してみたところで、何ができるのか。もちろん何もできない。うっとうしいだけだ。そもそも、画面上端の真ん中に表示すべきものなど何もない。それなら、その部分をそのまま切り取って、まとめてノッチにしてしまえ、ということになる。

それに対してSamsungは、カメラを画面の右上に配置することにして、その周りに、ほとんど意味のないリング状の画面を残した。そこには何を表示すればいいのか。何か意味のあるものを表示するには小さすぎるし、無視するには大きすぎる。特にフルスクリーンのコンテンツを鑑賞するような場合には気になる。もし彼らの目標が、ノッチよりも小さく、さらに目障りなものを作ることだったとすれば、その任務は見事に達成された。パンチホールは、S10シリーズではどれも不細工だが、6.7インチのS10 5Gファブレットの幅の広いノッチホールのコンボは、中でももっとも不細工だ。

アイスホッケー場のプレスボックスの窓のように、すべてのリアカメラを横長の窓の中に配置するというのは、大胆なデザインだ。3つの巨大なレンズ、フラッシュ、その他を隠すためにできることは限られている。せいぜい、それらをまとめて背面上部の真ん中に配置し、背景を黒で塗りつぶして、2009年から持ってきたようなクロームで縁取りするくらいしかできない。空港の監視カメラのような感じだ。少なくとも、その下に配置された「SAMSUNG」という大きなロゴと、サイズ的には合っている。なかなか大胆だが、やっぱり不細工だ。

GoogleのPixel 4は、それほど悪くはないが、やはりそれなりに不細工だ。これにあまり時間を割く必要はないだろう。ハロウィーン用のカボチャのオレンジを除けば、どれも似たりよったりだからだ。私は、オレンジ色はだいたい好きだが、これについてはよくわからない。ブラックフライデーの前の週に、Target(ターゲット)のクリアランスセールのワゴンの中に、格安SIM付きで、2つで99ドルで並んでいそうな感じだ。個人的には、この色も悪くないと思うが、子供がアイスキャンディーと間違えて、スマホに噛み付かないかと心配になる。

上下で不均衡なベゼルは、Samsungのものより幅の違いが大きいが、少なくとも意図的なものであることは分かる。Googleは、自分たちのスマホが、本当に頭がいいことを暗に示したかったので、額の部分を広くしたのかも。

私に言わせれば、巨大で不細工なカメラアセンブリの中では、まだPixelはマシな方だと思う。死ぬほど向こうずねを蹴られるのに比べれば、まだ顔を平手で叩かれる方がまだマシ、というようなもの。それに、ダイヤモンド型の配置も気が利いている。正方形っぽい基盤を前提として、Googleのチームの誰かが、カメラモジュール全体を45度回転させるという、なかなか型破りなアイデアを思い付いたことには敬意を表する。技術的に見れば、それによって無駄なスペースが多くなるが、角の丸い大きな正方形の4隅に沿って4つの円を配置するよりは、見栄えもいいというものだ。

もちろん、ずっと大きな角の丸い正方形の中に、3つの円が三角形に並び、その余ったところに2つの円を置いてみただけのようなものより、はるかにいい。やっぱりiPhoneは不細工だ!

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPhone 11 ProとiPhone 11で夜のディズニーランドを撮りまくり

まずこれだけは、はっきりさせておこう。iPhone11シリーズのナイトモードは素晴らしい。これは使える。他の暗いところに強いカメラと比べても非常によくできている。露出と演色性はクラスでトップ。以上だ。

これだけで納得できるなら、もうこの先を読む必要はない。もし、iPhone 11についてもっと詳しく知りたいなら、そしてこの記事に載せた大量の写真を見て、遠い遠い銀河の果てまでの旅で、iPhone 11がどのように活躍したかを知りたいなら、この先も読み続けていただきたい。

それで、だいたいわかっただろうか。そう、新しいiPhoneを携えて、またディズニーランドに行ってきたのだ。このテーマパークでの、私の他のレビューを読んだことがある人なら、そこはさまざまな能力を試すことができる、現実世界の理想的な試験場のようなものだということを理解してくれているだろう。そこには、iPhoneとともに休暇を過ごしている人が大勢いる。

ディズニーランドの中は暑く、ネットワークは大混雑だ。iPhoneは、チケットとして、食料を注文するためのツールとして、それからもちろんカメラや地図としても大活躍する。友人や家族と連絡を取るためのツールとしても不可欠だ。そこは、要するに要求の厳しい環境なのだ。このような、いわば有機的なテストは、オフィスに閉じこもって、バッテリが尽きるまでベンチマークテストを走らせるよりも、ずっと現実的なものになると感じている。

私はだいたい1台、または2台の新機種を、前任機と比較しながらテストするようにしている。私は、AndroidとiPhoneを並べて比較して議論することに、それほど興味はない。なぜなら、それは不毛なことのような気がするからだ。どうしても、プラットフォームに縛られているので、AndroidもiOSも関係なく機種を選ぼうという人は、どんどん少なくなっていくばかりだ。普通の人は、以前と同じ系列のモデルを、サービスあるいは価格によって選んでいる。こんなことを言うと、AndroidやiOSの信奉者を苛立たせることもわかっている。しかしほとんどの人は、こういった類の製品を宗教的な基準で選ぶほどのこだわりを持っているわけではないだろう。

モデル間の類似性(詳しくは追って述べる)を考慮して、テストでは主にiPhone 11 Proを使用し、必要に応じてiPhone 11も加えた。また、比較の基準としてはiPhone XSを使用した。さらに、異なるプラットフォーム間の比較をしたくなかったにもかかわらず、今年のテストには、GoogleのPixel 3も持ち出すことにした。Pixel 3の「夜景(Night Sight)」モードが、非常に優れていると話題になっていたからだ。

比較することに意味がある場合にのみ、iPhone XSを使うことにした。それ以外の場合は、できるだけiPhone 11 Proを使って、なるべく負荷を掛けてみることにした。いずれにせよ、実際にディズニーランドに出かける前には、新しいデバイスのセットアップから始めなければならない。

セットアップ

iPhoneをセットアップするためのプロセスのほとんどは、長年にわたって何も変わることがなかった。しかしApple(アップル)は、ここで改めて述べておく価値のある新しい機能、Direct Transferを追加した。セットアップ中に使えるこのオプションは、感覚的には、ローカルなMac上に作成したバックアップから復元することと、iCloud上のバックアップから復元することの中間に位置するように思えるもの。

Direct Transfer(iPhoneから転送)は、2つのデバイスをピアツーピアで直接接続して、1つのデバイスからもう1つのデバイスに、直接情報を転送できるよう設計されている。具体的には、AWDL(Apple Wireless Direct Link)を利用する。AWDLは、AirDropやAirPlayでも利用されている技術だ。転送は、Apple Watchのセットアップの際に表示されるものと同様の、パーティクルによる雲のようなアニメーションを使って起動する。転送が開始されると、転送するデータ量にもよるが、新旧、両方のiPhoneは、最長で2〜3時間は使えなくなる。

転送中のデータは暗号化されている。直接転送される情報には、メッセージの履歴、iPhone本体に保存されているフル解像度の写真、インストールされているアプリに付随するデータといったものがある。アプリ本体は転送されない。Appleのアプリ署名の手続きによって、各アプリはデバイスに対してロックされているからだ。そのため、アプリはApp Storeから再ダウンロードする必要がある。もっとも、Direct Transferが完了すると自動的にダウンロードされるので、手動で操作する必要はない。これにより、アプリの適切なバージョンを確実にゲットできるというメリットもある。

また転送が完了すると、iPhoneのデータはiCloudと同期され、最新の状態になる。ユーザーが他のデバイスも使っていて、データの転送中に、そのデバイスでiCloudのデータを変更したような場合は、転送が完了後に、その分をアップデートする必要があるのだ。

Appleによれば、Direct Transferは、以下のような種類の人に適している。

  • iCloudにバックアップしていない人
  • しばらくバックアップしていない人
  • たとえば中国のように、インターネット速度がどこでも速いわけではない国の人
  • 「より完全に」復元するために最初に長く待つのを気にしない人

簡単に言えば、2つの選択肢があるということになる。1つは、すぐにiPhoneの基本機能だけで「準備完了」として使い始めるもの。この場合、iCloudのバックアップからの復元に頼ることになる。そしてもう1つは、少し長く待って、最初から個人のデータにアクセスできるようにするもの。この場合、後でiCloudから写真やメッセージの履歴をダウンロードする必要はなくなる。

またDirect Transferは、Face IDやTouch IDの設定、Apple Payに関する情報は転送しない。またユーザー名とパスワードを除き、メールのデータそのものも転送しない。

iPhoneの乗り換えが完了すると、デバイス上のメッセージのコンテンツが、iCloud上のメッセージのコンテンツと照合され、同期が維持されるようになる。iCloudに保存されている写真についても同様だ。

ちょっと付け加えると、Direct Transferの使用中には、いくつか面白い経験をした。最初のiPhoneへの転送は、完了するまでに約2.5時間かった。その時点でも、さらにメッセージのアーカイブについては、バックグラウンドでダウンロードを続ける必要があるというアラートが表示された。Appleによると、これは、このプロセスの合理化に起因するものではないかということだ。

また、同時に複数のDirect Transferを走らせた場合、2つのデバイスを隣り合わせに置いておくと、余計に時間がかかることにも気付いた。これは、電波の干渉が原因である可能性が非常に高いと思われる。実はAppleは、それに対する解決策を用意している。Direct Transferは、有線接続でも動作するのだ。そのためには、カメラ接続キットを用意して、2つのデバイスをUSBで接続する。Appleによれば、理想的には転送速度は変わらないはずだが、当然ながら有線接続なら電波の干渉の問題を完全に回避できる。Apple自身も、実店舗内でDirect Transferを使って新しいiPhoneにデータを復元する際には有線接続を使うことになるはずだ。

私が経験した範囲でも、Direct Transferでの転送にまったく問題がなかったわけではない。例えば、すべてのキーチェーンのデータをまるごと転送できなかったようで、いくつかのパスワードは自分で入力しなければならなかった。しかし、まっさらなデバイスに対して「かなり完全」と思われる転送方法が用意されているのは歓迎すべきことだ。

デザインとディスプレイ

私は、iPhoneをずっと裸のまま使ってきた。つまり、ケースに入れたことはない。ケースはうっとうしい。かさばるからだ。それに、滑りやすくなるか、逆にネバネバしたりすることも多い。それに私は、ハイテク用の服を着ることが多い。スマホを入れる場所は決まっていて、手品のように素早く出し入れができる。留め具を引くと、すぽっと手の中に落ちてくるような感じだ。ケースに入れると、こういう芸当はできなくなる。

Appleは、3台すべてのiPhoneをクリアケースに入れて貸し出してくれた。レビュー中にキズを付けたりしないよう、今回はケースに入れたまま使ったが、私個人のiPhoneはケースに入っていないことを誓ってもいい。

iPhone 11 Proは、つや消し仕上げによって、デバイス単体でもグリップ性が向上している。これは、喜んでで報告しておこう。iPhone 11とiPhone XSの場合、背面がスベスベしているので、ポケットから出し入れするために持ち換えようとする際など、指先に多少の湿り気が必要となる。

ディズニーランドの中を歩き回っていると、夏なら汗をかくし、プラザのフライドチキンやターキーレッグの油も手に付く。子供がいろいろこぼしたりすることもある。そのような、ある種の切迫した状況では、ケースの必要性もまったく理解できる。しかし日常的な使い方としては、私はケースが好きではないのだ。

私は、iPhone 11/Proの統一感のあるデザインが気に入っている。前者は背面全体がツヤありで、カメラモジュールの出っ張りの部分がツヤ消しガラスになっているのに対し、後者は、それが逆になっている。そこには、配色の手法の違いはあっても、デザイン言語の共通性が感じられる。

このカメラ部分の出っ張りが、機能的でカッコいいと思うか、本能的に嫌悪感を抱くか、人によって分かれるところだろう。カメラの数が増えたこと自体は、この際好き嫌いの判断材料にはなっていないようだ。iPhone 11 Proと同Pro Maxは、人気ゲーム「スプリンターセル」に出てくるスコープのような雰囲気を醸し出している。iPhoneが装備するカメラの数がどんどん増えていく、といったジョークを見たことがある人も多いと思うが、もはやそれはジョークではなくなったわけだ。

Appleは、ここに現在考えられる最高のものを実装したように感じられる。iPhone 11 Proの本体は、それだけで前の世代のものよりも厚くなっているが、それでもこのカメラ部分の出っ張りをなくすことができるほど厚くなったわけではない。どうせなら、そうすればいいのにと思うかもしれないが、それでは厚くなりすぎる。

Appleは、ほとんどのレビュアーにミッドナイトグリーンのiPhone 11 Proと同Max、およびグリーンのiPhone 11を貸し出した。正直に言えば、私はこのミントグリーンのようなiPhone 11のグリーンが好きだ。淡く明るい色が好みなのだ。もっと言うと、私はラベンダー色のiPhone 11 Proが欲しかった。しかし残念ながら、Appleの路線にはそういうものはない。

私が受けた説明によると、ミッドナイトグリーンを選んだ背景には、Appleの彩色担当者が、この色が来年あたりブレークすると考えていることがあるという。ファッション業界の人は、ある程度同意するだろう。ミント、シーフォーム、ネオンといったグリーンのバリエーションは、今年の初めごろには流行っていたが、すでにセージ、クロコダイル、モスといった他のグリーンの系列に取って代わられた。Appleのミッドナイトグリーンは、暗く、控えめな色で、Appleは、Proの雰囲気を演出するのに理想的な色だとしている。

ただし、このグリーンはAppleのサイトにあるどの写真とも違って見える。

私の目にはこのミッドナイトグリーンは、直接ライトの光を受けているとき以外、屋内では暗いグレーに見える。屋外では、ステンレス製の縁取りが施された「80年代のモールグリーン」のような色合いが感じられる。その感じは好きだ。背面部分の面積が広いので、屋外ではむしろフォレストグリーンのように見えることもある。全体的に見れば、これはとても落ち着いたよく整えられた色だ。他の選択肢、スペースグレー、シルバー、ゴールドといった、無彩色や自然な感じの色の中にあっても違和感がない。

この中ではシルバーが、私の個人的なチョイスとなる可能性が高い。つや消しの白のように見える背面が、すごく気に入ったからだ。このところ、ずっとグレーや黒を選んできたが、今回は違った選択になりそうだ。

Appleの新しいSuper Retinaディスプレイのコントラスト比は2百万:1で、最大輝度はHDRコンテンツに対しては1200ニト、それ以外では800ニトとなっている。これはディズニーランドの太陽の下で何を意味するだろうか?それほど大きな差は感じられないが、日当たりの良い場所でも画面は以前よりもじゃっかん見やすくなり、細かい部分まで確認できるようになった。Appleが言う、iPhone 11 Proの新しいXDRディスプレイの「改善」部分は、ルクス、つまり輝度に関するものであり、色彩についてではない。というわけで、色の再現範囲は以前と同じだ。ただし、HDR画像については、iPhone 11 Proに比べてiPhone XSでは、わずかながら平坦なものに感じられることに気付いた。iPhone 11の画面は、XSに比べるとそこそこ優れているが、iPhone 11 Proの深い黒と広大なコントラスト範囲には及ばない。これが、Proにアップグレードしたくなる2つの大きな理由のうちの1つだ。

Apple独自の3D Touchは、iPhone 11ではついに絶滅した。この背後には、3D TouchをiPadで実現するのが難しいという事情がある。コストが高くなり現実的ではないからだ。そこで、3D Touchはあきらめて、代わりに触覚タッチ(Haptic Touch)を採用した。これなら、iPhoneだけでなく、Appleの他のラインアップでも採用できる。

感触タッチも悪くない。ただ、3D Touchに慣れたユーザーにとっては、最初はちょっと違和感があるかもしれない。例えば「ピーク」や「クイックアクション」の操作は可能だが、「ポップ」はできなくなった。というのも、いったん画面を押してから、それ以上の圧力がかかったことを検出できないからだ。これまで、おそらく3D Touchによって操作してきた、カメラやフラッシュライト、ホーム画面でのアプリのショートカットなど、ほとんどの操作は触覚タッチでも問題なく可能だ。

私自身は、3D Touchを強く支持していた。パワーユーザー向けに、操作中のコンテキストのレイヤー、つまりタッチをホバーするというレイヤーを追加することに可能性を見出していたからだ。残念ながらAppleの社内にも、そして社外にも、この機能の存在に気付いてもらえないのではないかとか、便利に活用してもらえないのではないかと疑う人たちがいた。そのため、この機能が十分成功するために必要な投資を受けることができなかったのだ。彼らが正しくて、私が間違っているという可能性も否定できないことは認める。いずれにせよ、これについてはうまく事が運ばなかったということ。

パフォーマンスとバッテリー

AppleのA13 Bionic(バイオニック)は、A12 Bionicよりも、さらに20%高速で、消費電力は40%少ないという効率的なコアを特徴としている。その効果の1つとしては、バッテリー寿命が飛躍的に向上したことが挙げられる。全体的なクロック速度では20%高速となり、ベンチマークでも、だいたい同じくらいの性能向上が見て取れる。パフォーマンスコア単体では電力消費量は30%減少した。GPUに至っては40%も少ない電力で動作する。Neural Engineも例外ではなく、消費電力は15%削減されている。なお、以上の数字は、すべてiPhone XSと比較したものだ。

私はここで、コアの消費電力に焦点を当ててみたが、その点はそれほど魅力的なこととは思えないかもしれない。しかし新しいiPhoneは、どれもこの点で非常に優れている。Appleは、だいたいいつでも、ハードウェア性能に見合った消費電力となるよう、実は巧妙な仕事をしているのだ。そして、前世代のソフトウェアをそのまま持ってくると、かなりの余裕が生じてしまうことになる。これについてはいつもと同じだ。

こうしたシリコンチップの特徴が、一般の人の生活に及ぼす効果の中で最大のものはもちろんバッテリー寿命の延長だ。

iPhone 11 Proのバッテリーの容量は、iPhone XSのものより大きい。また化学的特性も異なり、より高電圧を発生する。それが、上で述べた省電力性能と組み合わされ、さらにディスプレイや、その他の部品の省電力化も加わって、バッテリー寿命はかなり延びている。

私が、ディズニーランドで数日間にわたってバッテリーテストを実施した結果は、Appleの言うiPhone XSからの改善の割合と、ほとんどドンピシャで一致するものだった。Appleは、iPhone 11 Proは、iPhone XSより4時間長持ちすると主張している。昨年のテストでは、iPhone XSはほぼ9.5時間持続した。今年のiPhone 11 Proは、ほぼぴったり12時間だった。いずれもかなり厳しい条件でのものだ。

暑く、ネットワークは混雑する中、私は自分で操作できる限り、カメラと本体の、ありったけの機能をテストした。ディズニーランドでは、Wi-Fiをサポートしている領域もあるが、カバレッジは完全ではない。そのため、大部分はLTEに頼って使うことになる。テストによる負荷としては、写真とビデオの、デバイス上での処理も含まれる。ビデオは毎日約40分ほど撮影した。ディズニー製のパークアプリも使ったが、これにはイライラさせられどおしだった。それについて書けと言われれば、いくらでも苦言を書くことができる。

食べ物を注文し、並んでいる間にツイッターを閲覧し、子供たちにビデオを観せておいて、妻と私はワインを必要量、たぶん6杯くらい飲みながら、ひっきりなしに家族と同僚にメッセージを送り続けた。iPhone 11 Proのバッテリーは、かなり激しい使い方にもかかわらず、iPhone Xに比べて、ずっと長持ちした。昨年のテストでは、iPhone XSは、ほんのわずか自前のiPhone Xの持続時間を上回っただけだった。

人為的に空にしたテスト用のデバイスを用意するのではなく、私が普段使っているデバイスのクローンを作成し、それをテストに使ったのは、ほとんどの人は、そうやって新しいiPhoneを使い始めると信じているからだ。デバイスの中身を完全に消去したり、新たに購入したiPhoneを、まっさらな状態から使い始めるのは、デバイスのテスターや、コンマリの信奉者のような、ちょっと変わった人だけだろう。

バッテリー性能の改善については、これで十分に理解していただけたことと思う。これまでに何度もやってきたことだが、このようなテーマパークでのテストでは、人工的なウェブブラウジングのルーティーンを走らせるベンチテストや日常生活での使い方よりも、ずっと大きな負荷がスマホにかかる。もしかすると、あなたはどこかのロボット農場の労働者で、私は気に触ることを書いてしまったかもしれない。もしそうなら謝りたい。

iPad Pro用のものと同じ18W電源アダプターが、iPhone 11 Proの箱にも入ってる。ようやくだ。私が持っているケーブルの大多数は、少なくとも片側のコネクタがUSB-Cなので、これは助かる。というのも、同じケーブルで、Anker製のマルチポートのGaN充電器や、他のUSB-Cポート付きのアダプターも使えるからだ。Apple純正のUSB-C Lightningケーブルは、以前のものより若干太くなっている。もちろん充電用としてだけでなく、データ転送にも使用可能だ。ワット数が大きな充電器は、それだけ速い充電を意味する。Appleは、この新しい18Wの充電器なら、30分の充電で最大50%の充電が可能だとしている。実際に試してみても、だいたいそれくらいだった。

充電は確かに速い。DCA(ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー)のWine Country Trattoriaにある、階上のちょっと秘密めかしたバーで、ミートボールを食べながら一杯ひっかけている間に、満充電にできるのは頼もしい。カウンターの後ろにはコンセントがあり、頼めば使わせてくれる。

残念ながら「Pro」が付かないiPhone 11に付属しているのは、いまだ5Wのアダプター。これはお粗末だ。iPhoneシリーズは、18Wのアダプターで統一すべきだと思う。

それから改善されたと言われるFace IDの認識角度だが、私が見る限り、たぶん良くなったとしても本当にほんのわずかなもの。言われるほどではない。せいぜい2、3度といったところだろうか。他のレビュアーが、どう評価するのかを見てみたい。もしかすると私の顔が悪いだけかもしれないし。

カメラと写真

写真の仕組みを、比較的わかりやすく図示することができたのは、もう大昔の話になってしまった。カメラのレンズを通過した光は、フィルムや、化学薬品が塗布された紙のような媒体に届く。そして現像プロセスが発動して印画処理が行われ、写真が完成する。といったところだ。

iPhone 8が登場したとき、私は、それが拡張された写真のニューウェーブの第1波だと騒ぎ立てたものだ。その流れは、このiPhone 11でも継続している。これまでも使われていたISP(Image Signal Processor)は、色補正や、センサーが出力した生の信号から視覚的な画像を組み立てる際の計算タスクを担っている。iPhone 11では、ISPに加えて、Neural Engine(ニューロエンジン)を、処理の流れの中に追加した。機械学習による専門的な機能を実現し、様々なモードで多くの処理をこなしている。

これが、iPhone 11のカメラを拡張した最大の立役者だ。同世代のスマホに対して、かなり印象的な優位をもたらした。それは新しいレンズでも、新しいセンサーでもなく、機械学習のタスクを実行するために特別に設計されたプロセッサーなのだ。

iPhone 11 Proは、3つのイメージセンサー、3つのレンズ、分散されたモーションセンサー、ISP、機械学習に最適化されたチップ、CPU、これらすべてを統合したものなのだ。それらが連携して1枚の画像を写し出す。これは機械学習カメラとでも呼ぶべきものだ。しかし、iPhone上で動作するソフトウェアから見れば、背面カメラは1つだ。実際、それは単なるカメラではない。いくつものデバイスと、ソフトウェアの集合体であり、それらが画像を生成するという、たった1つの目標に向かって協調して動作する。

画像処理についてのこのような考え方は、ナイトモードからHDRなど、さまざまな機能の基本となっている。そして、私がこれまで手にしたスマホの中で、最高のカメラを実現することになった。

ともあれ、新しいレンズの話から始めよう。

超広角

iPhone 11とiPhone 11 Proのいずれにも、Appleが13mmと呼んでいる新たな「超広角」レンズが搭載された。これは、実質的にフルフレームの一眼レフカメラでは、ほぼ13mmのレンズに相当する画角を実現するもの。かなりの広角だ。エッジ補正を加えても、被写体に近付いて大きく写す際には、当然ながら、期待通りの、かなりダイナミックな画像が得られる。遠く離れて写す場合には、これまでになかったほどの広い視野のパノラマ画像が得られる。室内では、ちょっと引こうとすると背中が壁についてしまうような狭い部屋でも、グループや家族の写真の撮影に大きな威力を発揮する

広角撮影のテストでは、特に明るい条件で、その効果が非常によく現れた。クローズアップした素晴らしい家族写真、背景の景色や力強さを強調した広角のポートレートの撮影が可能となる。これは、これまでのiPhoneには望むべくもなかった撮影の可能性を拡げるものだ。

全般的にポートレートモードでは、エッジ検出が微妙に進化している。細い髪の毛、サングラス、複雑な背景のパターンなど、一般的なポートレートモードの弱点とされているものにも、高い効果を発揮する。上の写真のような変わった柵は、従来のiPhoneではお手上げだったが、iPhone 11はほぼ完全に捉えている。

ここで感心したのは、1xまたは2xで撮影する際のファインダーの表示だ。画面には、実際に撮影する範囲よりも広い画角のライビューがブレンドして表示される。これは、単に広めに表示しておいて、トリミングのマーカーを重ねただけのものではない。そこには、センサーから送られてくる実際の映像が表示される。実際に写る写真の範囲を確認しながら、そのフレームの外にも何か写しておきたいものがないか、同時に確認できるのだ。これは、カメラのファインダーのエンジニアによる離れ業といったところだろう。

私は人物を広角でクローズアップで撮影するのが好きだが、誰でもそうだというわけではないだろう。ほとんどの人は広角を、大人数のグループや、風景を撮影するのに使うはずだ。それでも私は、人物を近くで撮るのは楽しく、親密な瞬間を捉えられることに気付いた。近付いて取ることで、より個人的な雰囲気が出せるのだ。

1つ注意すべきは、iPhone 11、iPhone 11 Proのいずれにも、超広角レンズには光学式手ぶれ補正機能がないとうこと。このため、暗い場所や夜間に使うのをためらってしまうこともある。

超広角カメラはナイトモードでは使えない。このカメラのセンサーには、100%フォーカスピクセルもなく光学式手ブレ補正機能がないからだ。そのため、超広角で夜間に撮影する場合には、静止した状態でしっかりと保持していなけれならない。そうしなければ、ぶれた写真になってしまう。

この超広角レンズは本当に素晴らしい。これが追加されたのはとても喜ばしいことだ。iPhone 11を手に入れた人は、みんなこれで撮りまくるだろう。標準的なレンズに何か1つを付け加えるとしたら、やはりこの超広角が選ばれるべきだった。というのも風景写真よりも、大人数のグループ写真を撮る機会の方がずっと多いと思われるからだ。

超広角レンズは、ビデオ撮影にも優れた効果を発揮する。ビデオの特性として、どうしてもトリミングが入るので、標準的な広角レンズでは常に少し狭苦しい感じがするのだ。ビデオの場合、センサーの狭い範囲しか使わないので、切り取られた感じが避けられない。たとえば、メリー・ポピンズと同じ回転木馬に乗ってビデオを撮ると、iPhone XSでは、彼女とバートをいっしょにフレーム内に収めることができなかった。しかし、iPhone 11 Proではできた。マッターホルンに乗りながら取れば、その体験をより広く撮影することができ、「前の人の頭」しか映っていなかったということはなくなる。それはカーズでも同じだ。座席の前の風防を通した前方しか映らないか、その外側の景色も映るかという違いになる。今挙げたのは、かなり特殊な例かもしれないが、家族が集ったときに、小さな庭、室内、あるいは他の狭い場所で、どのような状況が展開されるか、容易に想像できるだろう。

超広角レンズについては、もうひとこと付け加えておこう。iPhoneの握り方を見直す必要があるということ。レンズの画角は非常に広いので、指先などがフレーム内に入り、自分の指が写真に写ってしまうことがよくあるのだ。iPhoneの下の方に指を掛けるという持ち方に慣れるまで2、3日かかったが、それまでは、そういうことが何度も起こった。iPhone 11 Pro Maxならば、このような心配は無用かもしれない。

HDRとポートレートの改善

先に述べたような画像データ処理の改革によって、もともと着実なものだったHDR撮影の写真は、ポートレートモードでさらに進化している。Neural Engineが、iPhoneのカメラから出力されるHDR画像に作用して、トーンマップを調整し、さまざまな物理センサーからのデータを活用して画像を融合させ、写真を作成する。1枚の写真の中でも、1つのカメラからのピクセルを使ってハイライト部分のディテールを描写し、別のカメラからのピクセルを使ってエッジを強調する。私は2016年以降、HDRで撮影した写真をかなり広範囲に見直してみたが、Neural Engineの追加によって、洗練されたものになることが分かった。

この秋にDeep Fusion(ディープ・フュージョン)が追加リリースされれば、さらに大きな飛躍を遂げるはずだが、それについてはまだテストできていない。

今のところは、Neural Engineによるセマンティックレンダリング機能の効果を確かめることはできる。このプロセスでは、まずiPhoneがポートレートの被写体に対して顔検出を実行し、顔と肌の部分だけを、それ以外の部分から分離する。そして、顔と肌に関しては、他の部分とは異なる経路のHDR処理を適用するのだ。残りの部分にも、それなりのHDR処理が施された後、2つの画像が融合される。

このような操作は、画像処理の世界では珍しいことではない。それなりの技量を持ったプロの写真家は、人物の顔の部分に対して、画像の残りの部分とは異なる調整を施すのが普通だ。顔をマスクして、平坦な感じにならないようにしたり、逆にコントラストが強くなりすぎないように、あるいは肌の色調が不自然にならないようにする。

そうした従来からの処理との違いは、もちろんセマンティックレンダリングでは、すべて自動で、すべてのポートレート撮影に対して、あっという間に処理が完了することだ。

その結果、iPhone 11やiPhone 11 Proでは、これまでより優れた見栄えのポートレート写真が得られる。顔の部分は、iPhone XSでたまに見られたような、不自然に平坦な感じのものにはならない。XSのHDR処理では、シャドウ部分をそのまま含めて、画像のコントラストを正規化していたために、どうしてもそうなってしまうことがあった。

上の2枚は、同じ時間に、同じ条件で撮影したもの。iPhone 11 Proは、背景の明るさを確実に検出し、特に顔や額の部分に適切な補正がかかっている。結果としては、文句なく、より良いコントラストと優れた色調が得られている。これは、この写真だけに限らない。多くのポートレートを、これら2台のカメラで撮影してみたが、常にiPhone11 Proの方が優れていた。特に、被写体の後ろから光が当たっている場合には、差が大きかった。ポートレート撮影ではよくある条件だろう。

また今度の2枚の違いは、さらに微妙だが、カラーバランスを見比べていただきたい。iPhone 11 Proの方が肌の色合いが暖かく、オリーブ色がかっている。そして、これについては私を信用してもらう必要があるが、より実物に近い。

それから、「ハイキー照明(モノ)」は、それなりに機能するが、まだ完全ではない。

ナイトモード

さて、重要なものを取り上げよう。iPhone 11は、ついにナイトモードを装備した。これは、特に手動で有効にする必要はないので「モード」とは呼びたくない。そうすることが有益だと判断された場合に自動的にオンになる。

技術的に言えば、ナイトモードはカメラシステムの機能であり、かなりHDRに似たもの。光量が既定のしきい値を下回ったことを検知すると、以下のようなことを実行する。

  1. 光量、加速度計やその他の信号から算出したカメラの安定度に基づいて、キャプチャするフレームの数を動的に決定する。
  2. 次にISPが、ブラケット撮影されたショットを取得する。露光時間には長いものと短いものがある。
  3. Neural Engineは、どちらかというとナイトモードとは独立したものだが、iPhone 11では、すべてのHDR撮影のセマンティックレンダリングにも使用されるため、やはり連動する
  4. ISPは、前景と背景の露出に基づき、Neural Engineから提供されたマスキング情報を利用して、撮影された複数のショットを融合する。

その結果、ちょっと暗めから、かなり暗い範囲のシーンを明るいものにすることができる。すぐに捨てたくなるような写真も、取っておく価値のあるものにまで補正することができる。私が経験した範囲では、この効果を十分に確かめらるほど暗いシーンを見つけることが、そもそも難しかった。しかし、iPhone XSと比べて、広角カメラでISOにして33%改善され、望遠カメラでは42%も改善されるのは、それだけでもかなりありがたいたことだ。

しかし、適切なシーンでは、ディテールとシャドウのポップが画面に表示され、シャッターを押す前から、そのシーンが劇的に明るくなっていることがはっきりとわかる。ナイトモードは1x、および2xの撮影モードでのみ動作する。これは、それらのモードで使用されるカメラのみが、100%フォーカスピクセルを備えているからだ(訳注:100%フォーカスピクセルを備えているのは、Appleの「仕様」によれば広角カメラのみ)。iPhone 11でナイトモードの効果を実現するための検出とマッピングを実行するためには、100%フォーカスピクセルが必要なのだ。

私は、この一風変わったリトマステストを、これまでのすべてのiPhoneの新モデルで試してきた。それは、くまのプーさんのような、暗いところを走る乗り物から撮影し、本当にシャープで使い物になる写真が撮れるかどうかをテストするというもの。これは、なかなか厳しいテストだ。たいていブラックライトが点灯していて、その中を車が動き、被写体も動いているからだ。これまでは、ただのいちども満足できる写真が撮れたことはなかった。しかし、iPhone 11 Proではうまくいった。完璧ではないが、いろいろな点を考慮すると、すごいとしか言いようがない。

ナイトモードに関して気付いたことを以下に挙げておく。

  • 夜に撮った写真は、しっかり夜の雰囲気を残している。これはAppleが、すべてのシャドウ部を処理して、画像の隅々まで明るくし、彩度をただ広げ、コントラストをなだらかにする、といった方針を採用しなかったことの直接的な結果だ。
  • 写真は、ナイトモードなしで撮影したものと、同じ遺伝子構造を持っているかのように感じられる。より鮮明で、被写体が明るくなっているだけだ。
  • セマンティックマッピングが、他の被写体検出機能と組み合わされて作用するので、ピントはクリアで明るいが、全体のゲイン調整のように、すべてが一様に調整されてしまうわけではない
  • iPhone 11も、他社のほとんどの「ナイトモード」と同様、移動している被写体の撮影には問題がある。誰も動いていなかったり、ごくわずかしか動いていない場合に、ベストな効果が得られる。これは、1〜3秒という露出時間によっても異なる。
  • 三脚などの固定器具を使った場合、ナイトモードは自動的に露出時間を最大10秒まで延長する。その場合、ライトペインティングや、後幕シンクロのような効果など、素晴らしい夜間撮影の効果が可能となる。

その結果得られるのは、自然な感じに明るい写真だ。すばらしいレベルのディテールを維持し、元の被写体の物質が持つ自然な色を再現しているように感じられる。

Night Sight(ナイトサイト)モードを備えたPixel 3が登場したとき、私はゲインベースのナイトモードでは、それなりの結果しか出せないことを指摘した。そしてAppleも、純粋に明るさだけを増強するものを出してくるかもしれないが、これまでは常に他のやり方を選んできたので、これについても今までの製品と同じようなアプローチを取るのではないかと書いた。この考えはまったく支持されなかったが、結局はそうなった。

Galaxy 10+にも優れたナイトモードがあるが、Pixel 3がこの分野のパイオニアであり、夜間の撮影を評価するとなると、真っ先に思い浮かぶモデルだ。Googleの選択は、「すべてを明るく」という基本方針を固く貫くもの。それが良いと思う人にとっては、それで良いだろう。しかし、それは抑制を効かせたアプローチからは程遠いものだ。

上に示した例は、Pixel 3と比較したiPhone 11 Proのナイトモードの撮影結果だ。ご覧のように、どちらも画像を明るくするという点では着実に機能しているが、Pixel 3の画像は冷たく、平坦で、どこも均一に明るくなっている。色はまったく忠実ではない。

付け加えると、Googleがどうやって1つのカメラの1つのセンサーから、こうした画像を引き出しているかは別として、ディテールはかなり犠牲になっている。上の写真では、岩と塔の部分の違いが明らかだろう。暗いままの画像よりははるかにマシというものだが、iPhone 11 Proの方が抜きん出ていることは間違いない。

もちろん、もうすぐPixel 4が登場するだろう。Googleがどのような改善を盛り込んでくるのか、待ちきれない気持ちだ。私たちの世代は、スマホのカメラで暗いところの写真を撮るという点に関して、本当に黄金時代を生きている。

ところで、iPhone 11、および同Proのフラッシュは、iPhone XSより36%明るくなっている。動いているものが、ナイトモードでうまく撮れなくても、明るいフラッシュが、それを補ってくれるはず。

その他もろもろ

自動トリミング

iPhone 11はデフォルトで、1x、2xのビデオ撮影では、被写体を自動的にトリミングする。たとえば子供を追いかけていて、子供の頭がフレームから外れたりすると、少し処理時間はかかるが、追加のレビュー画面に自動ボタンが表示される。それをタップすると、自動的にビデオのフレーミングが調整される。現状では、これが使えるのは、iPhoneのロック画面から直接QuickTake機能を利用してビデオ撮影を始めた場合のみ。この機能はオフにすることも可能だ。

そうしたいのであれば、カメラの設定メニューで、写真の自動トリミング機能をオンに切り替えることもできる。これはデフォルトではオフになっている。これもビデオの場合とかなり似た効果を発揮する。画像を解析して、被写体を画面の中心に移動して配置するための画像データがあるかどうかを調べるのだ。

スローフィ(スローモーションセルフィー)

確かに、これは楽しい。うん、これは使える。特に髪の長い人は気に入るだろう。

U1チップ

Appleは、iPhone 11にU1チップを搭載した。このテストはできないが、死ぬほど興味深い。たぶんここしばらくは、これについて話をするちょっと控えておいたほうがいいだろう。Appleが、このU1チップの最初の応用例としてiPhoneに搭載するのは、指向性のある?AirDrop機能かもしれない。これは間違いなく、将来を見越して搭載されたもので、たぶんメッシュ状に位置を認識できる機能なのだ。それが何らかの理由で遅れ、AirDropチームが余力で開発していたものがいきなり最初のリリースに昇格してしまったのではないか。興味深いことに、Appleは単なる例として、U1チップの機能を使って車のエンジンを始動したりすることもできるはずだとしている。もちろん、該当するメーカーの協力が得られればの話だ。

もし読者が、ここ数年の私が書いたものを何か読んでくれていれば、以下のような話を何度も聞いたような気がするかもしれない。それは、iPhoneやApple Watchは、必然的にこのような機能を備えるはずだということ。問題は、それをどうやって、正確、かつ安全に実現するかということだ。U1は、マイクロレベルの位置情報を取り扱うもの。広い範囲ではなく、ネットワークベースでもなく、GPSベースの位置情報でもない。正確な位置と方向に関するものだ。これは、さまざまな興味深い可能性を開くはずだ。

ナイトモードなし

ナイトモードあり

「Pro」の意味するもの

あとは、iPhone 11 Proという名前について考えてみよう。私は、カメラ店で働いていたときに、「プロ」という言葉の魔力を学んだ。ある種の人にとっては媚薬のようなものなのに、またある種の人にとっては、拒絶を意味する言葉だった。そして、さらに別の人にとってはそれはただ必要なものだった。

これがプロモデル? ああ、私はプロじゃないんで。おおプロの方ですか!

むろん、販売ツールとして使った。しかし、ときには、お客が必要以上に買い過ぎたり、逆に必要なものを買わない、ということを防ぐためにも、プロという言葉を使う必要があった。

フィルムで撮影していた時代には、プロ、アマを問わず、カメラマンとして撮影がもっとも難しいものの1つは屋内のスポーツだった。動きは速く比較的薄暗い空間で、被写体はコートサイドから離れたところにある。これを、安い機材でうまくやる方法はなかった。ISOを6万4000に上げて撮ってから、カメラのコンピューターでノイズを除去するなどということはできなかったのだ。高価なレンズを入手し、そのレンズに見合うような高価なカメラ本体を入手し、例えば一脚のような高価なサポートを手にする必要があった。また、撮影者はずっと神経を研ぎ澄ませていなければならなかった。実際、これがもっとも難しい部分だった。

このようなシナリオでの撮影は、アマチュアにとって非常にハードルの高いものだった。しかし本当のプロは、良いモノにお金をかければ利益が10倍にもなることを知っていた。なぜなら、保護者の安い全自動カメラでは、決して真似できないような写真を提供できたからだ。

しかし、カメラ店に入ってくる大多数の人は、ホッケーやレスリングをしていなかった。ほとんどの人は家族の写真を撮り、それも屋外の写真が多く、たまに夕日を撮ったりする程度だった。

これで、Proという用語の本当の意味がわかるだろう。Proはエッジケースを表す言葉だ。

それは、約80%の人をカバーするのではなく、機材からさらに何かを引き出したいと考え、それを必要としている20%の人のことなのだ。

こうしたことを考えると、iPhone 11はかなりよく売れると思われる。そのはずだ。素晴らしいモデルだからだ。新しい最高のレンズを搭載し、超広角カメラで、家族の写真も風景写真も、素晴らしく撮影できる。また、ソフトウェア機能を比べれば、iPhone 11 Proにほとんど引けを取らない。ただし、ディスプレイは最高のものではないし、望遠カメラもない。最高のビデオと写真撮影のオプション、より優れたダークモード、より明るいディスプレイなど、エッジケースに対処したい人のために、iPhone 11 Proがあるのだ。それ以外の人にとってふさわしいのは、会計年度2020年のiPhoneのベストセラーとなるはずのiPhone 11のほうだろう。

当然ナイトモード

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPhone 11 Proを分解、ロジックボードは小さくバッテリーは大きくなった

iFixitがApple(アップル)の新しいiPhoneを分解し、昨年のモデルとの違いを明らかにした。iFixitはiPhone 11 Proを分解する様子をライブ中継し、iPhone 11 Pro Maxの分解の手引きを書いた。

最初の大きな違いは、iPhone 11 ProとPro MaxのバッテリーはiPhone XSとXS Maxよりずっと大きいことだ。

iPhone 11 Pro Maxは本体が0.4 mm厚くなり、スクリーンは0.25 mm薄くなった。John Gruber(ジョン・グルーバー)が予想したように、新しいiPhoneは3D Touchをやめたことで、スクリーンが少し薄くなった。3D Touchには圧力を検知するために画面の下に余分なレイヤーが必要だった。

小さな違いに思えるかもしれないが、おかげでバッテリーのためにスペースが増えた。iPhone 11 ProとiPhone XSは同じ単一セルのL型デザインだ。しかしMaxは従来の2セルから単一セルに変更された。

その結果iPhone 11 Pro Maxのバッテリー容量は3969mAhになり、1年前のiPhone XS Maxの3179mAhより25%近く改善された。

こうしたハードウェアの改良にApple A13 SoC(System-on-a-Chip)の効率の良さを組み合わせることで、バッテリー持続時間は大きく改善された。Appleは、iPhone 11 Proと11 Pro Maxは前世代機種と比べてそれぞれ最大4時間あるいは5時間長くもつようになったと公表している。

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Photo credit: iFixit

ほかのニュースとしては、カメラモジュールが(予想どおり)大きくなった。Appleは第3のカメラを収めるためにロジックボードのサイズを小さくした。

そのロジックボードはiPhone Xで導入されたのと同じ2層設計だ。チップのクラブハウスサンドイッチのようなものだ。AppleとQualcomm(クアルコム)は数十億ドルの訴訟で和解したが、iPhone 11 Proのモデムは今回もIntel(インテル)製だ。

まだわかっていないこととしては、iFixitはRAM容量を突き止めることができなかった。Steve Troughton-Smith(スティーヴ・トラウトン-スミス)氏は、ベンチマークでは検出されないカメラ専用の2GBメモリーがあるらしいと考えている

また、バッテリーコネクター2つあった。2番目のコネクターが双方向ワイヤレス充電のためなのかどうかまだわかっていない。ほかにもいろいろな可能性がある。Appleは逆方向のワイヤレス充電を追加したかったが、土壇場で封印したという噂もある。

iFixitは総合的な「修理しやすさ」を10点中6点と評価した。iPhone XSも同じく10点中6点だった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新カメラとSuper Retinaディスプレイが支配的なiPhone 11 Pro

記憶にある限り、最近のどのiPhoneイベントよりも、今回の発表はコンテンツに重点を置いたものだった。まず、Apple Arcadeに登場予定の何本かのゲームのデモで幕を開け、Apple TV+の話に入っていった。新しいiPhoneが必ずしも脇に追いやられたというわけではないにしても、今回のイベントが、Appleの変革を周囲に知らしめる重要な機会であったことに疑いの余地はない。

また今回の発表は、全世界的なスマートフォンの売上減少を受けて、iPhoneの立ち位置が変化していることを示すものでもあった。もちろん、全般的にスマホの売り上げが低下している理由としては、いくつか考えられる。私自身、この業界の他の記者と同じように、その問題について、さすがに何百ではないとしても、少なくとも何十回は書いてきた。その大きな理由の1つは継続的な価格の上昇だ。iPhone 11では、ようやくAppleもその傾向を見直してきたことが見て取れる。

関連記事:本日のAppleiPhone 11イベントまとめ

今回のiPhone 11は、Appleにとって稼ぎ頭だったXRの後継に位置するものと考えられる。そのエントリーレベルの「フラグシップ」モデルが699ドル(日本では7万4800円)で、ProとPro Maxというプレミアムレベルのモデルは、それぞれ999ドル(同10万6800円)と1099ドル(同11万9800円)となっている。Appleは2年前に、iPhone Xでも同じような価格を設定していたが、それ以降は、今回まで、そこに戻ることはなかった。

Appleは頑なに1つのスタイルに固執してきた。この11も、正面から見る限り、先代のモデルと区別するのは事実上不可能だ。ただし、Proモデルについては、画面が「Super Retina XDR」へとグレードアップしている。解像度は458ppiで、サイズはProが5.8インチ、Pro Maxは6.5インチとなっている。

ノッチは健在だ。サムスンなどは、切り欠きがあまり目立たない「カットアウト」に移行しているし、ポップアップするフロントカメラを試しているメーカーも多い。Appleは、ここも何も変えていない。同様に残念ながらLightningポートも残っている。Appleは、すでにiPad ProではLighningポートをやめてUSB-Cを採用している。正直なところ、iPhoneもそれに従うのが待ちきれない気持ちだ。私の場合、コネクター部分の摩耗によって、ほとんど月に1本のペースでLightningケーブルを交換しているのではないかという気がしているほどだ。

願わくば、2020年のモデルではそうなっていてほしい。さらに、5Gもまだだ。Appleは、特長の概要の中で「より高速のセルラー」を匂わせていたものの、それについてステージ上で発表する時間は確保していなかった。これも同じように、うわさされていたFaceTimeカメラの性能向上も棚上げされている。より高速で、より広い角度で動作するはずだったもの。もしそうであれば、(理論的には)iPhoneをテーブルの上にペタッと置いたまま、メッセージを確認したりできるようになるはずだった。そうなれば、どんなに素晴らしかったか。

カメラについては語るべきことが多い。言うまでもなく、今回のiPhoneでも最も重要な部分だ。スマートフォンの革新が続いている最後の砦のようなもの。スマホのハードウェアは、行けるところまで行った感があり、もう革新の余地は、ほとんど残されていない。ただしカメラは別だ。iPhone 11は、広角と超広角のカメラを装備するが、望遠カメラは割愛されている。もちろんProとPro Maxは、望遠カメラを装備する。

Proモデルは、次のような3つのカメラを備えている。

  • 12MP広角カメラ(26mm f/1.8)
  • 12MP超広角カメラ(13mm f/2.4)
  • 12MP望遠カメラ(52mm f / 2.0)

いずれのカメラも60FPSで4Kビデオを撮影できる。

これらの3つのカメラは、やや変則的な並びで正方形の中に配置されている。たとえばサムスンが3つのカメラを垂直に一直線に並べたのとは対照的だ。実際、iPhone 11の3種類のモデルには、どれも背面にカメラボックスの出っ張りがある。おそらく、見た目の統一感を演出するためだろう。以前にも述べたことだが、スマホカメラの革新のほとんどは、もはやソフトウェア側で起こっている。それについては、iPhone 11でも同じと思われる。その最大の特徴は、Deep Fusionと呼ばれる機能だ。

これはHDRと同様に動作し、大規模な合成によって写真を生成する。Deep Fusionでは、9枚の写真を使用する。iPhone本体に内蔵された機械学習によって最適なピクセルを選択し、画像ノイズを大幅に軽減した、極めて高画質の写真が得られる。

iPhone 11は、Apple製の新たなA13チップを搭載する最初のデバイスであり、非常に高速な処理を実現している。Appleに言わせれば「スマホ史上最速」ということだ。それは詰まるところ、ゲームに最適であることを意味する。そして、この記事の最初に触れたように、結局は、コンテンツが重要、という話に戻ってくるわけだ。

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当然のことながら、iPhoneを使ってできることは、AppleにとってiPhone本体よりも、はるかに強力なセールスポイントになっている。読者が、新しいiPhoneに自分で触ってみることができるようになるのは9月20日以降だ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルがiPhone 11 Proでトリプルカメラを新搭載、画像の細部表現が違う

アップル(Apple)がトリプルカメラ搭載のiPhoneを開発しているのは本当だった。そして、名前の最後に「Pro」が付くのは今回が初めてだ。

そのiPhone 11 Proには、税別10万6800円の5.8インチと11万9800円の6.5インチの2種類がある。

でもこの機種の本当のスターは、不思議なルックスのカメラだ。3つの1200万画素のレンズがあり、それぞれ視界が望遠、広角、超広角と異なる。いろんなレンズがあるので、iPhoneの背面にとっても奇妙なコブができている。でもAppleが発表会で詳しく述べたように、この新しいカメラの組み合わせによって撮れる写真の細部の表現が前と違ってくる。

また前面カメラについてはあまり長い話はなかったが、Appleが詳しく説明したのはこれまでよりもワイドなアングルでもFace IDが顔を正しく見分けることだ。なおビデオは前と同じく4KのHDRを撮れる。

Appleはデザイン変更のサイクルを3年に変えるが、その3年目となる今回、iPhone 11 Proの外観はカメラのある矩形領域以外はあまり変わっていない。ルックスという点では、「ミッドナイトグリーン」のマット調の仕上げは新しい。もっとクラシックな彩色のと比較して見ると、かなりカッコよくて目立つ。

新機種iPhone 11 Proには、高性能かつ低電力消費の同社製最新SoCであるA13 Bionicが載る。フル充電状態の連続使用時間は、iPhone 11 ProはiPhone XSよりも4時間長く、そしてiPhone 11 Pro Maxは5時間長い。付属の充電器は18Wなので充電も速い。既存の5Wのチャージャーブロックを捨てたくなるだろう。

ネーミングは変わっても、Apple製スマートフォンの機種間に大きなギャップが生じているわけではない。例えば、iPhone 11 ProとiPhone 11は、iPhone XRとXSの関係と同じだ。ただし、安いほうの機種をもっと売りたいという営業上の配慮はあるだろう。そのためには安物というイメージを持たせてはならない。

iPhone 11 Proの予約は9月13日金曜日から始まり、発売は9月20日になる。

関連記事:なぜiPhone 11 Proにはカメラが3台ついているのか?

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa