マイクロソフトの新しいFamily Safetyアプリで子供たちのスマホ、PC、Xboxの利用状況をまとめて管理

Microsoft(マイクロソフト)の新しいスクリーンタイム兼ペアレンタルコントロールアプリであるMicrosoft Family Safetyが、米国時間7月28日からiOSとAndroidで一般に利用可能となった(Microsoftリリース)。実はすでに今春の初めに、同様の機能のプレビュー版がリリースされていた(Microsoftリリース)。このアプリは、保護者が子供の実際の利用時間を詳しく把握して、制限を設定したり、利用可能時間のスケジュールを作成したりできるようにするもの。また、ウェブアクセスに関しても境界を設定したり家族の居場所を追跡するなど、さまざまな機能を備えている。

画像クレジット:Microsoft

このアプリは、他のペアレンタルコントロール技術と競合する。iOSやAndroidに最初から組み込まれているものも例外ではない。ちなみにAndroidのものは、Family Linkという独立したアプリとしても利用できる。競合する他社のものと同様、マイクロソフトのFamily Safetyもすでに同社の製品やサービスのエコシステムにどっぷりと浸かっている人に対して効果が大きい。マイクロソフトの製品でいえば、Windows 10のパソコンやXboxを使っている人だ。

他の多くのスクリーンタイムアプリと同様に、Family Safetyでも子供が実際に画面を見ていた時間のログを表示できる。その内訳にはWindowsパソコン、スマホ、Xboxといったデバイス単位だけでなく、ウェブサイトやアプリごとに費やした時間も含まれる。また、子供がオンラインで検索した言葉を表示することも可能だ。

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保護者と子供には、電子メールで毎週レポートが送信される。スクリーンタイムの健全な利用について話し合うことを促すためだ。このあたりは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行前から、すでに微妙な問題だった。それが今、子どもたちは自宅にいながら授業を受け、何時間もゲームをしながら夏休みを過ごそうとしている。その一方で、保護者はなるべく子供の世話をせずに仕事をしようとしている。状況はさらに複雑なものになっているのだ。

保護者も、以前であればスクリーンタイムなど、まったく気にしないでいることもできたかもしれない。子供に自由にさせておくことで平和な日々が過ごせるなら、それでよいと。ところが、家に居続けるのことが当たり前になると、どれくらいのスクリーンタイムなら健全で、どれくらいなら多すぎるのか、ということを多くの家庭で気にし始めた。

この新しいアプリでは、Xboxを含むあらゆるデバイスに適用されるスクリーンタイムの上限を保護者が設定できる。細かく設定することで、オンライン学習用の教育用アプリへのアクセスは許可しながら、例えばゲームなど、他のアプリのスクリーンタイムを制限することも可能だ。設定された時間を使い果たすと、子供は保護者に延長を要求できる。保護者はそのつど要求を受け入れるかどうかを選べる。

一方、ウェブフィルタリング機能についてはWindows、Xbox、Androidで利用可能なマイクロソフトの新しいブラウザであるMicrosoft Edgeを利用する。このブラウザを使えば、保護者は検索フィルターを設定することで、成人向けのコンテンツをブロックできる。また他にも、子供が成人向けのゲームやアプリをMicrosoftストアからダウンロードしようとした際に、保護者に通知するコンテンツ管理機能も利用できる。

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さらに保護者は、子供のリクエストに対して承認を与えるようにすることで購入を管理できるので、後になって請求金額に驚くようなこともない。

さらに、このアプリには家族の位置情報共有機能も組み込まれている。つまりLife360のような家族の位置確認アプリを別途インストールしなくても、基本的な位置追跡機能を利用できるのだ。家族の居場所を地図に表示したり、お気に入りの場所として「自宅」を設定したりもできる。

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マイクロソフトは、プレビュー期間以降にアプリの機能を増強して特定のアプリをブロックしたり、そのブロックを解除できる機能、位置情報をまとめる機能などをいくつか追加した。またスクリーンタイムの延長を許可する際のオプションも15分、30分、1時間、2時間、3時間といったように、細かく設定可能となった。アクセシビリティに関する機能も更新され、視力が弱いユーザー向けにコントラストを強くする機能の改善や、スクリーンリーダー用のコンテキストの追加など、いくつかの強化が見られる。

とはいえFamily Safetyの機能は、購入管理やウェブフィルタリングなど、部分的にiOSやAndroidに組み込まれたものに及ばない点があることにも気付くだろう。しかもiOS版では、スクリーンタイムの追跡機能は動作しない。Apple(アップル)がそのためのAPIを用意していないためだ。アップルでは、独自のスクリーンタイム機能を提供し、それと競合するようなアプリを閉め出す方針を取っている。

こうしたことは、プラットフォームを持っている会社がそれぞれ独自のOSとエコシステムにユーザーを囲い込み、自社製デバイスのみを購入して使用するよう顧客に奨励しているために起こる。残念ながらその結果、さまざまなメーカー製のデバイスを利用している家庭、例えばXboxでもゲームを楽しむiPhoneユーザーや、パソコンとしてはMacを使っているAndroidユーザーなどがいる家庭では、1つですべてのデバイスを管理できるツールが存在しないことになってしまう。

マイクロソフトはFamily Safetyをリリースした後、すぐに2つの新機能をにロールアウトすると発表している。位置情報によるアラート機能と、主に10代のドライバーを対象とした安全運転のための機能だ。これらは、有料のMicrosoft 365 Familyのサブスクリプション(今のところ日本では利用できない)の一部として提供される。

新しいFamily Safetyアプリは、iOSAndroid向けに無料でダウンロードできるようになっている。段階的なロールアウトなのですぐにはアプリにアクセスできないかもしれないが、今週中くらいには利用可能となるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Spotify Kidsアプリにコンテンツをブロックする保護者向け機能が登場

Spotifyは、Spotify Kidsアプリのペアレンタルコントロール機能を強化している。Spotify Kidsは、保護者がSpotify Premium Familyプランを契約している、3歳以上の子供を対象としたアプリだ。これまで保護者は「ちいさな こどもむけのおんがく」か「おおきな こどもむけのおんがく」のいずれかを選択できるだけだった。今後は、子供の再生履歴にアクセスし、子供のアカウントに対して特定のコンテンツをブロックできる。

この機能は、2020年3月に米国などでSpotify Kidsがデビューしたときに示唆されていた。その時点でSpotifyは、いくつかの市場でこのアプリをテストした保護者からアプリに含まれるコンテンツをもっとコントロールしたいという声があったと語った。同社は詳しい計画を明らかにしなかったが、子供がストリーミングできるコンテンツを保護者がもっと具体的に選択できる機能を新たに搭載するだろうと述べていた。

再生履歴を表示しコンテンツをブロックする機能は、暗証番号で保護された「保護者向け設定」の中にある。ここで保護者は、変更または表示したい子供のアカウントを選択する。

「これまで きいた きょく」のオプションには、子供が過去3カ月間にSpotify Kidsアプリでストリーミングした曲がすべて表示される。保護者は、曲の横にあるブロックのアイコンをタップして、問題のある曲をブロックすることができる。

ブロックされた曲は子供のアカウントから削除され、ストリーミングできなくなる。ただし保護者は後から、履歴かブロックされた曲のセクションから曲の横にある赤いアイコンをタップして、その曲のブロックを解除できる。

Spotifyによれば、この新機能はKidsアプリで予定している多くのアップデートの第一歩だという。現在Spotifyには、8000を超える子供向けの曲、ストーリー、オーディオブック、サウンドがあり、125以上のプレイリストが作られている。アプリは子供向けで、「大きな子供向け」の設定があるにもかかわらず、8〜14歳あたりでこのアプリから卒業したくなる子供が多い。アーティストや音楽の好みができてくるのに、Spotify Kidsで配信されるコンテンツは限られているからだ。しかも、キュレーションされたコンテンツであるため、例えばTikTokで爆発するような新たなヒットはSpotify Kidsでは現れにくいだろう。

Spotifyが小さな子供の保護者を対象としたペアレンタルコントロールにいち早く取り組んでいるのは理解できる。ただ、ホワイトリストを作成するオプションや事前に承認したプレイリストの取り込みといった新たな方向に進めば、大きな子供の保護者から歓迎されるだろう。

2020年5月13日現在、Spotify Kidsアプリは日本やドイツなどを含む14のマーケットで利用できる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iPhoneの新ペアレンタルコントロールは通話やメッセージの相手と時間帯を制限可能に

米国時間12月10日に公開された iOSのアップデートによって、親は子供のiPhone中毒を緩和する新たなツールを手に入れた。iOS 13.3のリリースで、親は初めて子供が1日の特定の時間帯に電話をしたりメッセージをやり取りできる相手を制限できるようになった。対象となるのは通話、メッセージ、およびFaceTime。さらに、子供の利用が許されているスクリーンタイムと休止時間とで別々の制限を与えることができる。

設定アプリのスクリーンタイム項目に加わった「通信/通話の制限」セクションでは、連絡先に基づいて制限を設けることができる。許可されているスクリーンタイム中、ユーザーは誰からでも、あるいは連絡先に載っている人だけから受信するように設定できる。休止時間中は、誰からでも、あるいは指定した人からのみ受信するかを選択できる。

スクリーンタイムのペアレンタルコントロールで設定すれば、親は子供がいつ誰と連絡できるかを決められる。休止時間中については、子供がメッセージや通話できる相手を個別に指定可能だ。例えば、ママやパパとだけのように。

これにより親は、休止時間をスケジューリングすることで子供が深夜や投稿時間中に友達とメッセージ交換するのを事実上防ぐことができる。もちろん休止時間は「夜間」以外に設けられるので、アプリを使えたり、電話をかけられる時間を自由に設定できる。

新機能では、子供のiCloud連絡先をリモートで管理可能なので、子供に大切な電話番号を伝えるのに便利だ。ただしその場合、親が連絡先の全権限を持つので、親しか編集できなくなる。

新しい「通話/通信の制限」は昨年iOS 12で導入されたアップルのスクリーンタイムという大きな構想の一環だ。このシステムによってiPhoneユーザーは、画面から離れる時間帯を決めたり、アプリに制限時間を設定したり、利用時間やアクティビティレポートを見ることなどが可能になった。

多くの親たちはすでにこうした管理機能を使って、子供たちの利用方法を厳しく制限しするために、ゲームなどのブロックしたいアプリを個別に設定したり、「休止時間」をスケジューリングしたりしている。さらに、親は子供の端末を一切使えなくする時間を設定することもできる。

消費者のテクノロジーとの秩序を乱す関係に対応する方法を考え直しているIT企業は同社だけではない。Google(グーグル)も独自の「デジタル・ウェルビーイング」と呼ばれる機能をAndroidに導入している。FacebookとInstagramも、ソフトウェアのアルゴリズムを一部変更して「有意義な時間」などの新しい指標に取り組んでいる

アップルのスクリーンタイムは小さな子供たちには有効に働くだろうが、ティーンエージャーたちはたちまちに抜け穴を見つけてみんなで共有しているようなので、これからも親は頭を痛めることになるだろう。果たしてティーンが新しいペアレンタルコントロールシステムでiMessageを送る裏技を見つけられるかどうか、それは時間が経ってみないとわからない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトがペアレンタルコントロールにアプリごとの時間制限を追加

米国時間10月8日、Microsoft(マイクロソフト)はペアレンタルコントロールのソフトウェアに、アプリやゲームごとの利用時間の制限を設けた。この点でアップルとグーグルに差をつけられていたが、追随した形だ。マイクロソフトは、Windows 10とXbox One、そしてAndroidではMicrosoft Launcher経由でスクリーンタイムを制限できるようにしていた。しかし競合他社とは異なり、子供が特定のアプリやゲームに費やす時間を制限する機能はまだ実装していなかった。

これまでのコントロール機能で制限していたのは、画面を見ている時間の合計だけだった。保護者は、その時間の使い方は子供に任せるか、デバイスレベルで制限するか、どちらかを選ぶことができた。例えばXboxの使用は1時間だけで、PCはもっと長時間使っていいというような制限だ。

しかし、スクリーンタイムをすべて非生産的で不健康なものとして管理するのは、現在のトレンドではない。中毒性が高く子供の時間を食いつぶしてしまうアプリやゲームを制限し、その一方で教育に役立つツールにはあまり制限を設けないという方向になっている。

ティーンエイジャーやその少し下の世代では、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアアプリが問題になりやすい。さらにその下の世代ではRoblox(ロブロックス)やFortnite(フォートナイト)といったバーチャルな世界に「入りびたる」ものに熱中して時間を使ってしまう。これはかなり深刻な問題だ。モバイルゲームは、ガチャのようなギャンブル性のある方策で子供たちを引きつけようとしていると非難されている。フォートナイトは、スロットマシンのようなメカニズムと変動制の報酬が子供の脳に悪影響を及ぼし、中毒性があるとして、訴訟を起こされている。

問題となりそうなアプリ自体を制限するのでなければ、子供は設定されたスクリーンタイムのすべてを夢中になっているアプリやゲームに費やしてしまうだろう。

アップルはiOS 12ですでにアプリごとにスクリーンタイムを制限できるようにしていた。グーグルは9月にファミリーリンクソフトウェアをアップデートし、新しいAndroidデバイスにプリインストールして、同様の機能を実現している。

今回のアップデートで、マイクロソフトでも同等のことができるようになった。

アプリやゲームの制限を保護者が設定すると、Windows 10、Xbox、Microsoft Launcherが動作しているAndroidデバイスのすべてにわたってその制限が適用される。つまり子供は、デバイスを変えても決められた時間以上はゲームをすることができない。

保護者は、例えば週末は平日より長く使えるようにするといった設定もできる。

この機能を使うには、保護者はファミリーグループと子供用のマイクロソフトアカウントを作成する必要がある。

この設定を有効にすると、制限時間の15分前に警告が表示され、さらに5分後に警告される。子供は「あともうちょっとだけ」とおねだりしがちなので、保護者は自分のAndroidスマホでメールかMicrosoft Launcherの通知を見て、時間の延長を許可するかどうかを簡単に決められるようになっている。

アプリごとの時間制限は、マイクロソフトのファミリー設定でプレビュー機能として公開されている。

マイクロソフトは発表の中で次のように説明している。「我々の最終的な目標は、アプリやゲームを制限する機能を、家族ごとに異なるニーズに応じて柔軟にカスタマイズできるツールにすることだ。何が子供に最適かを知っているのは保護者だ。テクノロジーがその代わりになれるわけではない。しかし我々は、このようなツールが適正なバランスを保つために役立つことを願っている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyにペアレンタルコントロールが追加される

子供にSpotifyの「クリーン」なコンテンツだけを利用させたいと考える人のためのオプションがまもなく登場する。

15ドルで6つのアカウントを利用できるSpotifyのファミリープランに、同社に対して長年求められてきた機能が追加される。ペアレンタルコントロールだ。

Spotifyのメインのアカウントの所有者が、任意のサブアカウントに対して露骨なコンテンツのフィルタのオン/オフを切り換えられるようになる。オンにすると、そのサブアカウントではアカウント管理者の手を借りずにフィルタをオフにすることはできない。

Spotifyは数年前に露骨なコンテンツのフィルタを実装したが、ユーザー自身がオン/オフを切り換えるだけのもので、保護者が子どものアカウントに対してオンに設定するものではなかった。

Spotifyは「ファミリーミックス」という新機能も発表している。これは家族のみんなが気に入るだろうとSpotifyが判断した曲を集めたオリジナルのプレイリストだ。家族旅行に出かけるがプレイリストを作る時間がないというときに、ファミリーミックスを再生すれば家族みんながハッピーでいられるだろう。子供が「もう1回、モアナをかけて」と言うまでのわずかな間かもしれないが。

Spotifyによれば、この2つのファミリー向け機能はまずアイルランドで公開し、その後、ファミリープランを提供しているほかの国にも順次展開していくという。

画像:Thomas Trutschel/Photothek

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(翻訳:Kaori Koyama)

Appleが目を光らせるサードパーティ製スクリーンタイムアプリ

アプリの使用時間を追跡したり、ペアレンタルコントロール機能を実現しているいくつかのサードパーティアプリのデベロッパーは、Appleがこの数週間でアプリの審査を厳しくしているのは偶然ではないと危惧している。Appleは、iOS 12に独自のスクリーンタイムの追跡とペアレンタルコントロール機能を組み込んで発売した。それとほぼ時を同じくして、サードパーティ製のスクリーンタイムアプリに対するAppleの審査は厳しくなり、場合によっては不合格となったり、App Storeから削除されたりしている。

それに該当するデベロッパーは、スクリーンタイムを追跡するために、さまざまな方法を駆使してきた。というのも、そのデータを得るための公式な方法が用意されていないからだ。たとえば、バックグラウンドでの位置情報検出や、VPN、さらにはMDMベースのものがあり、複数の手法が組み合わせて使われることもある。

数人のデベロッパーが、ここ2、3ヶ月の間に集まって、自分たちが抱えている問題について話し合った。しかし、その内容を公表しようという人ばかりではない。結局のところ、Appleを公に批判することに抵抗を感じるデベロッパーは多い。特に彼らのビジネスが危険にさらされているときにはなおさらだ。

しかし、彼らの生きる道が閉ざされたと判断したときに、ブログでこの問題について報告した会社も何社かあった。

たとえば10月には、Muteと呼ばれるデジタルデトックスアプリが、App Storeから削除されたことを公表したが、それは他の多くのスクリーンタイム追跡アプリが警告を受けたのとほぼ同時期だった。

その後、3年間も使われてきたスクリーンタイムアプリのSpaceも、11月になってApp Storeから削除されたことを明かした

それだけではない。名前を出されることを望まない他の何社かも、審査不合格に直面していた。

我々が知り得た範囲でも、何社かのデベロッパーは、App Storeのデベロッパーガイドラインの2.5.4条に違反していると告げられている。これは、マルチタスクで動作するアプリが、バックグラウンドで位置検出などを実行してもよい条件を規定したものだ。細かく言えば、そうしたデベロッパーは、「位置情報機能とは関係ない目的で位置情報のためのバックグラウンドモードを濫用している」と指摘されたのだ。

他に、デベロッパーガイドラインの2.5.1条に違反していると言われたデベロッパーもある。それは、公式のAPIを、承認されていない方法で使ってはならないとするものだ。

さらに他のデベロッパーは、彼らがスクリーンタイムやペアレンタルコントロールを実装している方法は、もはや許可されないとはっきり告げられた。

iOS用のSpace

奇妙なことに、SpaceとMuteが公式ブログで不平を表明した後、彼らはAppleから連絡を受け、彼らのアプリはApp Storeに復活することになった。

Appleの担当者は、彼らがデータのプライバシーをどのように扱っているかを尋ね、位置情報ベースのサービスを必要とするユーザー向けの機能がなければ、そのような手法を採用していることを正当化することはできないと念を押したとされる。

SpaceのCEO、Georgina Powellは、「もちろん、Appleが我々の事業を継続できるようにしてくれたことには、大いに感謝している」と言う。

しかし、それらは個別の案件ではないのだ。サードパーティ製のスクリーンタイムアプリの業界では、何年もの間、何の問題なく動いてきたアプリが、精査の対象となりつつある。

iOS上のMoment

しかし、その一方で、審査を通過するアプリもある。まるでAppleは、個別の案件として判断しているかのようだ。

たとえば、TechCrunchがこれまでの4年間に何度も取り上げ、Apple自身がフィーチャーしたこともあるアプリ、Momentも、Appleから連絡を受けたという情報がある。

AppleはMomentにいくつかの疑問を抱いたものの、彼らの答えはAppleを納得させたのだった。このアプリは、削除されていないし、その危険もない。

このように審査が厳しくなっていく状況について不安を感じているかという質問に対し、Momentのクリエーター、Kevin Holeshは「Appleと話をして、Momentの将来が安泰だと感じた」と答えている。しかし彼は、「この問題が進展するについれて、今後どうなっていくのか、ほとんど静観しているところだ」と付け加えた。

ハードウェアデバイスCircle with Disneyと組み合わせたスクリーンタイムアプリのメーカーも、何も影響はないと言われている。(とはいえ、99ドルで購入したホームネットワークのデバイスが突然機能しなくなった場合の消費者の反感も想像してみよう)

すべてのアプリが締め出されたわけではないとしても、AppleはMDM(モバイルデバイスマネージメント)やVPNを利用して動作するスクリーンタイムアプリを問題視しているように思われる。

たとえば、Kidsloxのデベロッパーは、MDMとVPNの組み合わせによって、スクリーンタイムとペアレンタルコントロールを実装していた。このアプリは、デバイスがVPNに接続している時間を監視することで、スクリーンタイム機能を実現していたが、それはAppleがもはやしてはならないと言っている。

KidsloxのCEO、Viktor Yevpakは、スクリーンタイムのためだけにVPNが必要なのではないと説明する。このアプリは、VPNを通して接続することで、ウェブサイトをブラックリストと照合し、子どもたちが安全にブラウズできるようにする機能も備えている。

「どこかに妥協点が必要だ。でなければ、会社全体を殺してしまうことになる、と言ったんだ」と、Appleのアプリレビュー担当者との会話の内容について、YevpakはTechCrunchに明かした。「このアプリには、30人以上の人間が取り組んできた。それでも止めてしまえというのか」とも言ったと。

Kidsloxという1年の実績のあるアプリのアップデートが何度も拒絶された後、そのデベロッパーは、ついに会社の公式ブログという手段を通して、これはサードパーティ製のスクリーンタイム管理の業界の「計画的破壊」であると、Appleを非難した。

実際に話を聞いた多くの人と同じように、彼もAppleの審査が厳しくなったのは、iOS 12が自らスクリーンタイム機能を装備したのと時を同じくしていると、強く信じている。

Kidsloxは今もApp Storeで入手可能だが、そのアップデートは未だ承認されていない。そろそろ時間切れなので、会社のビジネスの方向転換について話し合っているところだと、Yevpakは明かした。

もちろん、Appleはスクリーンタイムの追跡やペアレンタルコントロールのためにVPNが利用されることは意図しておらず、ましてやエンタープライズ向けのMDM技術が、コンシューマベースのアプリに実装されることは望んでいない。そして、そのようなアプリで、これまでそうした利用方法を許してきたということは、Appleはそのデバイスがコンシューマーにどのように使われるかをコントロールすることをあきらめていたことになる。

しかし、そのポリシーはApp Storeの承認と矛盾したものだった。Appleは、何年もの間、ガイドラインに違反するような方法でMDMを使ったスクリーンタイムアプリを通過させてきたが、そのことにはっきりと気付いていたはずだ。

OurPactのルール設定によって、保護者は特定のアプリをブロックできる

その典型的な例の1つがOurPact(特にOurPact Jr.の方)だ。そのアプリは、MDM技術を使って、保護者が子供にスマホの特定のアプリを使わせるかどうか、テキストメッセージをブロックするか、ウェブをフィルタリングするか、その他さまざまなことを、時間帯の指定も含めてコントロールできるようにする。そのアプリは、保護者用に設計されたものも、子供向けのものも、すでに4年間も使われてきた。OurPactによれば、Appleはもはや、そうした目的のためにMDMを利用することを許してくれなくなったという。

「われわれのチームがAppleに確認したところによれば、iOSの純正スクリーンタイム以外のアプリが、他のアプリとコンテンツへのアクセスを管理することは、Apple製デバイスのエコシステムの中では許されない、ということだ」と、OurPactの親会社であるEturi Corp.のAmir MoussavianはTechCrunchに対して文書で明らかにした。「青少年のスクリーンタイムの管理が必要不可欠なものであると認識され始めた今になって、AppleがiOSのペアレンタルコントロール市場を解体することを選択したことは、返す返すも残念だ。」

同社によれば、子供のデバイス用に設計されたアプリ、OurPact Jr.は、この変更による打撃を受けるという。しかし、保護者用のアプリは動作し続けることができそうだ。

Appleが、これらの「ルール破り」のアプリを許可するという寛容性を見せたことは、ある条件ではMDMの利用が暗黙に認められている、というメッセージを、新たにスクリーンタイムの世界に参入しようとするデベロッパーに対して送ってきた。もちろん、Appleによる契約条項にそう書いてあるわけではない。

ACTIVATE FitnessのデベロッパーAndrew Armorは、何年も前から他の多くのデベロッパーがそうしていたのを見て、iOS用のスクリーンタイム管理のためにMDMを導入することを決断した、とTechCrunchに語った。

「私は、このモバイルアプリの開発に、これまでの蓄えのすべてを注ぎ込んだんだ。このアプリは、家庭向けに、スクリーンタイムの管理と運営のためのより優れた方法を提供し、同時に体を動かすことを促すものになるはずだった」と、そのアプリがApp Storeから拒絶されたことについてArmourは語った。「2年もの間、必死の思いで仕事をしてきたのに、ACTIVATE Fitnessを世に送り出すという、私の起業家としての夢は絶たれてしまった。それもAppleの欠陥のある不公正な審査による拒絶のためだ」と、彼は嘆いた。

Appleは、正式なスクリーンタイム用のAPIを公開したり、MDMやその他の技術を使うにしても、スクリーンタイムアプリ用の例外枠を設けたりすることもできるはずだ。しかし、その代わりに、独自のスクリーンタイム機能を実現し、サードパーティに対しては通告するという決断をした。それは、今やApple自身がiOS上のスクリーンタイムの監視機能をコントロールして、サードパーティ任せにはしたくないという意志の現れのように見える。

結局のところ、この決断は一般のユーザーにとってもメリットがない。なぜならAppleが提供する機能は、ペアレンタルコントロールの方に焦点を合わせたMDMベースの方法が提供する機能に比べて劣っているからだ。たとえば、サードパーティ製のスクリーンタイム機能を利用すれば、保護者は特定のアプリを子供のホーム画面から見えなくしたり、そのアプリが動作する時間帯を制限することもできる。

Appleは、この件に関するコメントを拒否した。

しかしながら、Appleの考え方に精通した情報筋によれば、これはサードパーティのスクリーンタイムアプリを狙い撃ちにした締め付けではないという。そうしたデベロッパーに対する差し止めは、進行中のAppleのアプリ審査プロセスの見直しの結果であり、そうしたアプリが違反していたルールは、何年も前から存在していたことに注意すべきだというのだ。

それも一理あるだろう。Appleは、いつでもそのルールの適用を強化することができる。そうしたルールに違反するアプリを開発することは、けっして素晴らしいアイディアとは言えない。特に、Appleが意図していない方法であることを知りながら、デベロッパーが意図的にそうした技術を濫用しようとする場合にはなおさらだ。

とは言え、サードパーティ製のスクリーンタイムやペアレンタルコントロールアプリをApp Storeから駆逐するという決断は、そうしたアプリを実際に使っていたユーザーへの影響を考えると、後味の悪いものになる。

最近の数ヶ月で、FacebookGoogleなどの大手テック企業は、我々が使っているデバイスやアプリには中毒性があり精神的健康に対して悪影響もあるという認識を新たにした。彼らは、この問題に対処するために、さまざまな解決策を提示してきた。シリコンバレー全体が気付く前に、何年も前からまさにこうした問題に取り組もうとしてきたアプリを、今になってAppleが抑え込もうとしているように見えるのは、あまり良いことではない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国のティーンの大半がオンラインいじめを経験ー政治家やサイトは守ってくれないと不満

ピュー研究所の新たな調査によると、米国のティーンエイジャーの大半がオンライン上でいじめの対象となったことがある。ここで言ういじめとは6つのタイプを指している。誹謗中傷を受ける、デマの対象となる、頼んでもいない露出画像が送られてくる、自分も写っている露出写真を同意なしにシェアされる、物理的脅しを受ける、親以外の誰かにストーカーのようにいまどこにいるのか、何をしているのかを絶えず聞かれる、だ。

これらの中で、誹謗中傷とデマがティーンが受けるいじめの2トップで、42%のティーンが誹謗中傷を、32%がデマを経験したと答えている。

テキストやデジタルメッセージの普及でそうした種の相互作用が行われるようになり、親、ティーン共にその危険性を認識し、心配しているとピュー研究所は分析している。

特に親はティーンの露出写真のやりとりを懸念していて、57%が心配のタネだと答えている。そして心配していると答えた人の4分の1が“かなり”懸念しているとしている。女の子の親ではそうした姿勢はより鮮明だ(64%が懸念する)。

一方で、ティーンのほとんどー90%ーがオンラインハラスメントは問題だと認識していて、63%が“大きな”問題だと考えている。

この調査ではまた、ティーンの男女どちらも同じくらいオンラインハラスメントを受けていることも明らかになった。女子の60%、男子の59%がオンラインいじめを受けたことがあると答えている。これは、なかなか驚きのデータだ。しかしながら、ここで明確にしておきたいのは、この結果はティーンがオンラインいじめを受けたことがあるかどうかについてのものであり、いじめの頻度や程度についてではない。

驚きではないが、2タイプ以上のオンラインいじめを受けたことのある女子は男子より多い。女子の15%が少なくとも4タイプ以上のオンラインいじめを受けたことがあり、男子の場合は6%だった。

また女子は露出写真を送りつけられやすい傾向にあり、29%が経験ありと答えた。この点、男子は20%だった。

しかも女子の場合は年齢が上がるにつれ、こうした露出写真の送りつけが多くなっている。15〜17歳の女子の35%が露出写真を送りつけられた経験があり、男子の場合は5人に1人の割合となっている。

ティーンがオンラインいじめを受けるかどうかについて、人種や民族、両親の学力などは関係していないようだ、とピュー研究所はレポートに記している。しかし、家庭が裕福かどうかはいくらか関係しているようだー年間世帯収入が3万ドル以下の家庭のティーンの24%がオンライン上で脅しを受けたことがあると答えている。年間世帯収入7万5000ドル以上の家庭の子どもでは12%だ。(ピュー研究所の調査はこの点を調べることを意図したわけではない)

そうした要因はさておき、オンラインいじめを受ける受けないは、どれくらいの時間をネットに費やしているかと直接かかわっている。

ネット時間が長いほど、いじめを受けやすい。

ティーンの45%が「かなりネットにつながっている」としていて、結果としてそうした子どもたちはオンラインハラスメントを受けやすい。かなりネットにつながっている子どもの67%がオンラインいじめを受けたことがあり、インターネットを使うのは1日に数回以下という子どもでは53%だ。かなりインターネットにつながっているティーンの半分が差別的な名前で呼ばれたことがあり、インターネットをあまり使わない子どもでは3分の1(36%)だった。

AppleやGoogle、そしてFacebookを含む主要なテック企業はデバイス中毒と利用時間という問題についてソフトウェアアップデートやペアレンタルコントロールで対処し始めた。

AppleはiOS 12でスクリーンタイムコントロールを導入した。この機能ではユーザーはどれだけ頻繁に端末を使用しているか、いつどんなタイプのコンテンツをブロックするか、どのアプリを使うことができるのか、といったことについて、時間をはかり、モニターし、そして制限することができる。このソフトウェアでは、端末の使用が良い方向にいくよう誘導できるが、親はスクリーンタイムコントロールを使って子どもの端末に制限をかけることもできる。(新たなレポートによると、もちろんテックに詳しい子どもはこれを回避する方法をすでに見つけている)。

GoogleもまたAndroidの新バージョンでタイムマネジメントコントロールを導入し、ファミリーリンクソフトウェアを使って親がスクリーンタイムをコントロールできるようにしている。

それからGoogleとFacebookは、YouTubeFacebookInstagramといった中毒性のあるアプリにスクリーンタイムリマインダーやセッティングを導入した。

今回の調査ではまた、ティーンはデジタル生活への親のかかわりを尊重していることがうかがえる。

ティーンの59%がオンラインハラスメントへの親の対応を評価している。しかし、79%は政治家が法制化して子どもを守っていないと感じていて、66%がソーシャルメディアサイトはいじめ根絶に大して取り組んでいないと考えている。また58%は、教師はいじめにきちんと対応していないとも言っている。

多くのトップメディアサイトは、その大部分が若い人によってつくられていて、関わった人の大多数が男性だった。オンラインいじめに関連して言うと、サイトは単純なつくりだった。プロテクションーミューティング、フィルター、ブロック、レポートーは積極的にではなく、応じる形で次第に導入された。

たとえば、ティーンが最も使うアプリの一つであるInstagramはコメントフィルターやブロックリストコメントブロックを2016年に導入したばかりで、アカウントミュートを加えたのは4カ月前。このアプリがリリースされたのは2010年だ。

ピュー研究所の調査では、スクリーンタイムマネジメントやコントロールシステムを使って、親は子どもの端末問題に役割を果たすだろうという結果が浮かび上がっている。それは、ティーンが頻繁にいじめを受けたり攻撃されたりするのを抑止するだけでなく、ネット中毒という形ではなくウェブとどのように付き合っていけばいいのかをティーンが大人になるにつれて訓練するのを手伝ってくれるというものだ。

結局のところ、オンラインいじめ経験の増加に終わっているデバイス中毒はティーンの問題だけではない。

今回の調査は、2018年3月7日から4月10日にかけて米国に住むティーンエイジャー743人、親1058人を対象に行われた。ここでのティーンエイジャーは13〜17歳で、“ティーンエイジャーの親”というのは、その対象年齢の子どもの親か保護者を指す。調査結果はこちらにある。

イメージクレジット: Predrag Vuckovic

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonの子ども用Echo Dot Kids Editionにディズニーなどのスキルが加わる

Amazonが今日(米国時間8/20)、Echo Dot Kids Editionの一連の新機能を展開した。このEcho Dotスマートスピーカーの70ドルのバージョンは保護ケースに入っていて、プライム会員にとって年会費2ドル99セントのAmazon FreeTimeの、1年分の会員権がおまけで付く。今度このKids Editionのペアレンタルコントロールとそのほかの独占コンテンツに加わるのは、Disney(ディズニー), Hotel Transylvania, そしてPac-Man(パックマン)からのスキルと、子どもの寝付きを良くする“Sleep Sounds”スキルだ。

音を出すスキルとしては、今回、雷雨や雨、海、小川のせせらぎが加わるが、“Sleep Sounds”スキルはもっと網羅的で42種の催眠音がある。新米パパママが喜ぶ、赤ちゃんをなだめる音としては、車、汽車、電気掃除機の音(これが意外と効く!)などがある。

Amazonの説明によると、Skill Storeにも催眠音スキルはあるが、Kids Editionのは子ども向けで、それらと全然違うそうだ。

ディズニーからのスキル“Disney Plot Twist,”は、Mad Libsに似ている。短いアドベンチャーストーリーがあって、それらの単語やフレーズを変えるのだ。ナレーションは人気のディズニーキャラクター、Anna, Olaf, Kristoffらが担当している。Kids Edition独占コンテンツであり、一般市販品はない。

また、Drac’s Packという新しいスキルには、映画“Hotel Transylvania 3: Summer Vacation”がフィーチャーされ、モンスターのストーリーや、歌やジョークがある。

Pac-Man Storiesのスキルは対話的に操作するストーリーで、ユーザーが作るアドベンチャー、つまり何をどう決めるかによって、エンディングが異なる。

以上二つのスキルはすでにAlexaにあるから、Kids Editionがない人でもアクセスできる。

ストーリーが多くなっているが、これはどうやら、Alexa対応のスマートスピーカーを家族や子どもに訴求するには“お話”に投資すべき、とAmazonが判断した結果だろう。というのも同社は最近、チャットのストーリーアプリAmazon Rapidsの今後の更新をやめて、それ用のストーリーもAlexaに回したからだ。

Amazonは、子ども向けの独占コンテンツDisney Plot TwisなどでEcho Dot Kids Editionをファミリーに売り込もうとしている。

すでに提供している子ども向けスキルは、Disney Stories, Loud House Challenge, No Way That’s True, Funny Fill In, Spongebob Challenge, Weird but True, Name that Animal, This or That, Word world, Ben ten, Classroom thirteen, Batman Adventures, Climb the Beanstalkなどだ。

でも、独占スキルと違って、ふつうの“子どもにも安全”なスキルは、親がダッシュボードで手作業でホワイトリストつくらなければならない。そのやり方の説明が、Alexaにもアプリにもない。以前、このデバイスをテストしたときにはあったと思うが。

またKids Edition Dot/FreeTimeのバンドルも、親が子どものために本当に欲しい独占スキルがない場合には、あまり意味がない。ふつうのDotを買って、必要ならFreeTimeを加える方がいいのでは。

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大規模な調査がインターネットフィルタリングの無効性を実証、ポルノはフィルターで防げない

【抄訳】
Internet Filtering and Adolescent Exposure to Online Sexual Material(インターネットのフィルタリングとオンラインの性的素材の青少年への露出)と題された論文で、Oxford Internet Institute(オックスフォード大学インターネット研究所)の研究員Victoria NashとAndrew Przybylskiが、インターネットのフィルターが青少年をオンラインのポルノから遠ざけることはほどんどない、と指摘している。

Nash博士は曰く“インターネットのフィルタリングは、そのその効力を検討することが重要である。インターネットのフィルタリングツールは開発とメンテナンスに費用がかかり、しかもコンテンツをシェアする新しい方法が常時開発されているので、すぐにバイパスされてしまう。またフィルタリングには過剰なブロックによる人権侵犯の懸念もあり、フィルタリングのために若者が正しい健康情報や関係情報にアクセスできないおそれもある”。

この研究の前にはイギリス政府による、全国をカバーするポルノフィルターの探究、という論争を喚び、ほとんど必ず失敗しそうな政策が発表された。その政策では、イギリスが宗教的ないし政治的理由からパブリックなインターネットをフィルターしている世界の国々の、仲間入りをしてしまうだろう。

そして一般的な結論としては、フィルターは費用が高く、しかも効果がない、ということになる。

費用と制約が大きいだけでなく、注目すべきは、フィルタリングには若者をオンラインの性的素材から遮蔽する効果があるとする説に、確実な証拠がほとんどないことである。スマートフォンやタブレット以前の2005年に集めたデータについて報告してい二つの研究は、若者が性的素材に出会う相対的なリスクをインターネットのフィルタリングが軽減するかもしれない、という仮説的な証拠を提供している。しかしそれらのペーパーから10年後となる最新のデータ収集ならびに研究は、保護者がインターネットフィルタリング技術を使用しても、オンラインの多様で悪質な体験への子どもたちの露出を減らせない、という強力な証拠を提供している。それら悪質な体験には、子どもたちの心を不安にする性的コンテンツとの遭遇も含まれる。このトピックに関する研究はまだきわめて少なく、またそれらが述べている所見は決定的に斉一性を欠く。インターネットフィルタリングの広範囲な利用を肯定する証拠は、現状ではきわめて弱い。

研究者たちは、“インターネットのフィルタリングツールが多くの場合に効果がなく、その利用の有無は若者たちが露骨に性的なコンテンツを見たことの有無とまったく相関していない〔両者間に関係がない〕ことを見出した”。

この研究のもっとも興味深い所見は、“多くの世帯が、(自分の家の)一人の若者を性的コンテンツにアクセスすることから守るためにはインターネットのフィルタリングツールの利用が必要、と答えているが、しかしそれでもなおかつ、フィルターは、統計的ないし実際的に有意な防止的効果を示さなかった”、という部分だ。

この研究はEUとイギリスの、男性9352名、女性9357名を調査し、そのほぼ50%の家庭に何らかのインターネットフィルターがあることを見つけた。しかしフィルターがインストールされていても被験者は依然として、ほぼ同じ量のポルノを見ていた。この研究が結論として言いたいのは、学校や行政や保護者などがインターネットのフィルターを、若者をネット上で安全に保つために有効と考える、惰性的な思考をそろそろ断つべき、という提言だ。それは、高価な価格を常時維持して繁栄しているフィルタリング産業への、批判でもある。

【後略】
〔有効な代案等は示していない。本研究の目的は、インターネットフィルターをめぐる“迷信”(有効であるという迷信)の打破にある。〕

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Microsoftのモバイル部門は子を持つ親にフォーカス、子どもの現在位置を知るアプリなどをアップデート

Microsoftが今日(米国時間5/31)、親が子どもの居場所を知るアプリAndroid Launcher(Microsoft Launcher for Android)をアップデートする。今日はほかにも、親子に関連するアプリや機能の発表が行われる。たとえばAndroid用のMicrosoft Edgeでサイトをブロックする機能や、子ども向けニュースサイトMSN Kidsのローンチだ。

これらの新しい機能の中核にあるものは、Microsoftのファミリーグループの設定で、これによりすでにWindows 10やXbox Oneの上では、子どもの活動を知ったり、画面を見る時間を制限したりできる。

今日の発表では、MicrosoftのMobile ExperiencesグループのゼネラルマネージャーShilpa Ranganathanがこう書いている: “私にも若くて好奇心旺盛な娘がいるから、家でも外でもテクノロジーの適切な使い方を支援するツールが必要だと痛感している。しかも私は、モバイルデバイスのユーザー体験を構築するチームのリーダーだから、この問題は人ごとではない。今日発表するこれらの新しいユーザー体験では、透明性をとくに重視したことを、申し上げておきたい”。

子どもの居場所を知る機能は、Microsoft Launcher for Androidの今日のアップデートに含まれ、子どもの最新の位置情報が個人化されたニューズフィードに現れる。

Edge for Androidでサイトのアクセスを制限する機能は、本当に役に立つか疑問だが、でもChromeなど、そのほかのブラウザーを使わせない(ダウンロードもさせない)ことに成功したら、役に立つかもしれない。

MSN Kidsに関しては、Microsoftは、信頼できるソースからの情報に限定している、と言っている。それらは、Time for Kids, Popular Science, Sports Illustrated for Kids, National Geographic, USA TODAYなどだ。スポンサー付きのコンテンツや、広告はない。

画像クレジット: Bloomberg

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Yahooから30億のメールアカウントを盗んだハッカーが5年の懲役と全資産没収

11月に罪を認めたカナダ人ハッカーKarim Baratov(23歳)は、Yahooをハックして最大30億のアカウントを露出した罪の、少なくとも一部に関して有罪が確定し、刑期5年の懲役刑が下(くだ)された。司法省によるとBaratovは、ロシアの諜報機関FSBの二人のエージェントの指示により、それらのアカウントを漏洩した。

二人の職員、Dmitry DokuchaevとIgor Sushchinは、同じくYahooハックに関わったラトビア人のハッカーAlexsey Belanと共にロシアに居住する。その居住地からして、これら三名が関与に関して罪を問われることはないと思われるが、Baratovのカナダ国籍は、彼を訴追可能にした。

司法省によるBaratovの刑の宣告(要約)には、こう書かれている: “この共謀罪におけるBaratovの役割は、FSBで働いていた彼の共謀者にとって関心のある個人のWebメールのアカウントをハックし、それらのアカウントのパスワードを金と引き換えにDokuchaevに渡すことだった”。

カリフォルニア北部地区担当の連邦代理検事Alex G. Tseが、外国政府の不正行為に加担しようとする未来のハッカーに対して、厳しい警告を発している:

“今回の量刑は、人に雇われてハッキング行為をすることの重大な犯罪性を反映している。Baratovのようなハッカーは、彼を雇って金を払う人びとの犯罪目的を考慮することなく、自分の仕事に専心する。これらのハッカーは軽犯罪者ではなく、犯罪者が個人情報を不法に入手して悪用するために使用する、重要な道具である。Baratovに対する5年の懲役刑は、国民国家がスポンサーとなるサイバー攻撃に参加するハッカーに向けて、その重大な結果を知らしめるために法廷が送る、明確なメッセージである。”

Baratovは5年の実刑に加えて、彼の保有資産225万ドルの全額を罰金として支払わなければならない。彼は陳述の中で、2010年から逮捕の2017年までに11000件のメールアカウントをハックしたことを認めた。

Baratovの罪にはほかに、加重的個人情報窃盗と、コンピューター詐欺と悪用法に違反する共謀罪が含まれている。

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Android Pではスマホの使い方をユーザーがコントロールできる機能を充実

Googleは今日のデベロッパーカンファレンスI/Oで、今度のAndroid Pオペレーティングシステムのための一連の新しいツールを発表した。それらはユーザーが使用時間をよりしっかり管理できるためのツールで、たとえばより強力なDo Not Disturb(邪魔しないで)モードや、アプリの使い方の現状を調べる方法などだ。

最大の変化は、Android Pで初めてダッシュボードが導入されることだ。ユーザーはその上で、自分のAndroidがどんな使われ方/使い方をしているかを一望できる。ちなみにその画面のバナーは“dashboard”ではなく“digital wellbeing”(デジタルの幸福)だ。そこで分かることは、自分のスマートフォンを何回アンロックしたか、通知を何回受け取ったか、どのアプリを何時間使った、などの数値だ。アプリの使われ方に関する情報は、デベロッパーがいろいろ盛り込むことができる。たとえばYouTubeでは、その特定のAndroidデバイスだけでなく、すべてのデバイスでYouTubeを見た合計時間が分かる。

Googleによると、ダッシュボードを導入したのは、デベロッパーたちが“意義あるエンゲージメント”と呼んでいるものを盛り上げるためだ。必ずしも健康的とは言えない、スクリーンのアイドルタイムを減らすこと。これからベッドへ行って寝るためにソファなどから立ち上がったら、お尻の下に自分のスマートフォンがあった、とか。このほか、Android Pでは、こんなことが新しくなる:

  • Do Not Disturbモードで通知を無視できる–スマートフォンを裏返すと自動的にDNDモードになる。このジェスチャをGoogleは“shush.”(シーッ)と呼んでいる。またテキストの通知だけでなく、ビジュアルの通知や電話の呼び出しも減らせる。
  • 寝る前にはスマートフォンを“wind down”モード(うとうとモード)にできるd–画面がグレースケールになり、明るさを徐々に減衰する。スマートフォンをふつうの活性状態のままベッドに持ち込まないための、工夫だ。
  • アプリのタイムリミットを設定できる–設定した時間が近づいたらユーザーに知らせ、実際にタイムリミットになったら画面をグレーにしてそのことを教える。.

これらの機能は以前、The Washington Post紙が報じた。テクノロジーのネガティブな側面への懸念、とくにその依存症的/中毒的な性質を取り上げた記事だ。Googleはすでに、子どものデバイスを管理するFamily Linkというツールを提供している。これはアプリへのアクセスをコントロールしたり、時間制限を設定したり、夜間の使用不能を設定したりできる。AmazonのFireタブレットも強力なペアレンタルコントロールを提供しているし、Appleも今年後半にはiOSのペアレンタルコントロールを強化するようだ。

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GoogleがChromeの今のペアレンタルコントロールを閉鎖して年内に新しい機能を立ち上げ

GoogleはChromeブラウザー用の新しいペアレンタルコントロールを準備中だ。現在のシステムは親子以外のそのほかの規制も含む“Chrome Supervised Users”と呼ばれる機能で、これは近く閉鎖される。この機能の現在のユーザーには、今週中にシステム切り替えを通知するメールが行く。

Chrome Supervised Usersがベータでローンチしたのは2013年で、特定のWebサイトへのアクセスをブロックしたり、SafeSearch機能で検索結果をフィルタしたり、訪問したWebサイトの履歴を保存したりできた。

ユーザーに送ったメールでGoogleは、その機能が今や非推奨だ、と言っている:

“Chrome Supervised Usersをベータでローンチした4年前に比べると、Chromeも、そしてコンピューター機器の使い方も大きく進化した。私たちもこの4年間に多くを学び、ユーザー自身やそのご子弟のユーザー体験の改善を求めるフィードバックもいただいた。そのフィードバックに基づいて今私たちは、家族のニーズに応えるChrome OSの新しい監督機能を作っており、本年後半のローンチを予定している。”

2018年1月12日(金曜日)よりユーザーは、監督対象ユーザーを新たに作ったり、インポートすることができなくなる。ただしChromebook, Windows, Mac, およびLinux上では既存のChrome Supervised Usersの利用は継続できる。

そして2018年1月15日には、chrome.com/manageによるリモート監督が使えなくなる。それにより、子どもたちなどの現在の閲覧制限を変えることはできなくなる。

メールはさらに、Family Linkによるペアレンタルコントロールを紹介している。9月に一般公開でローンチしたこのサービスでは、親が子どものGoogleアカウントを作り、Chrome for Androidの閲覧履歴を管理できる。

つまりそれはモバイルのみの機能だが、Chrome Supervised Usersはデスクトップが対象だった。

2018年の後半に登場する新しいペアレンタルコントロール機能は、Family Linkをデスクトップに拡張したものかもしれない。それについてメールは何も言っていないけど。

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