メルボルンのEdtechスタートアップViviが約22億円調達、100万教室達成に向け海外展開を加速

オーストラリアのEdtechスタートアップVivi(ヴィヴィ)は、教育インベスターのQuad Partners(クアッド・パートナーズ)から2000万ドル(約22億円)を調達した。この資金は、プラットフォームの改善、運営インフラのアップグレード、米国、ヨーロッパ、アジアでの営業・マーケティングチームの増員などに充てられる予定だ。

Viviは2020年、ニューヨークのRiverside Acceleration Capital(リバーサイド・アクセラレーション・キャピトル)とオーストラリアの投資家シンジケートから430万ドル(約4億8800万円)を調達しており、今回の資金調達により5年間で総額2430万ドル(約27億5700万円)を達成することになる。

今回の新たな投資により、同スタートアップは、1対1コンピューティングを利用する教育者の割合が最も高い米国を中心に、世界各地への海外展開を加速させることができる。

1対1コンピューティングとは、学校や大学などの教育機関において、在籍するすべての生徒が電子機器を使用してインターネットやデジタル教材、デジタル教科書にアクセスできるようにすることを指す。

Viviを利用することで、講師は動画や問題集などの教材を生徒に見せ、生徒は自分の端末でその内容に注釈をつけることができる。その他にも、デジタルサイネージ、緊急放送、形成的評価、学生の健康状態のチェックなど、さまざまな機能を備えている。

ワイヤレスプレゼンテーションとスクリーンミラーリング技術を世界中の4万以上の教室に提供しており、今後5年間で100万の学習スペースに到達することを計画しているViviにとって米国は豊かな市場だ。

「Viviは、非常にユニークな方法で海外に需要を生み出し、そのほとんどが口コミによるものです。Viviは、ポイントソリューションから包括的な学生参加型プラットフォームへと進化し、信じられないほど定着することが証明されています」と、Viviの創業者で執行会長のLior Rauchberger(ライオ・ラウフベルガー)博士は言った。

「私たちの次の大きな目標は、できるだけ早く100万教室に導入することであり、Quadとの提携はそれを確実に加速させるでしょう」。

特に米国は、14000近い学区、130000以上の幼稚園から高校まで、そして5000以上の大学からなる市場を提供しており、Viviにとって引き続き魅力的な市場だ。

さらに、新型コロナウイルスの大流行の結果として、米国では教育に投入される連邦政府の資金が空前のものとなり、ノートパソコンやタブレット、携帯電話を持つ生徒の数が増加している。これは、ハイブリッド学習が全米で存在感を高めていることに起因している。

「現在、私たちは特に米国において、大きな追い風を活用するために迅速に動いています。学校におけるテクノロジーイネーブルメントへの注目が急速に高まり、1対1の生徒用デバイスの比率が過去最高となり、スクリーンミラーリングの指導上および管理上の利点に対する認識が高まっている中、Viviをより多くの生徒、教育者、管理者の手にすばやく届けることができることに興奮しています」と、Viviの最高経営責任者であるNatalie Mactier(ナタリー・マクティエ)氏は同社の拡大計画について述べている。

Viviは、生徒が自分の画面をクラスや小グループで即座に共有し、すぐにフィードバックできるシンプルで直感的な授業参画として、2016年に発売された。しかし、スタートアップの登場は2013年にさかのぼり、オーストラリアの起業家であるラウフベルガー博士が、クライアントのためにワイヤレスプレゼンテーションソリューションを探したことがきっかけだった。

あらゆるデバイスに対応するコストパフォーマンスの高い製品が見つからず、イノベーションに着手し、3年後、ラウフベルガー博士とスタートアップの専門家Simon Holland(サイモン・ホランド)氏、Papercloud Ventures(ペーパークラウド・ヴェンチャーズ)の技術指導者Tomas Spacek(トーマス・スペースク)氏とのパートナーシップでViviは誕生した。

現在、Viviはオーストラリア、ヨーロッパ、中東、東南アジア、アメリカ大陸の12カ国で展開されている。

2020年から2025年にかけて世界のEdtech市場は1123億ドル(約12兆7500億円)増加し、そのうち46%は北米で生まれると予想されているため、ViviはAirtame(エアタイム)、Eupheus(エフェウス)、Coorpacademy(クーパカデミー)、Droplr(ドロップラー)といった競合と国際展開で競い合っている。

画像クレジット:Miles Wilson / Vivi

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(文:Annie Njanja、翻訳:Yuta Kaminishi)

デジタル法廷・調停プラットフォームのImmediationが、米国や欧州への事業拡大を目指す

新型コロナウイルスの影響を受け、法曹界では主にビデオ会議と電子メールを組み合わせたリモートワークでの対処を余儀なくされた。メルボルンで設立されたImmediation(イメディエーション)という会社は、デジタル法廷と調停ツールを用いた専用ソリューションを提供しており、オーストラリアの連邦裁判所やニュージーランドの政府機関で採用されている。今回、360万豪ドル(約3億500万円)の資金を調達した同社は、米国や欧州市場に向けて事業の拡大を図っている。投資家には、Thorney Investment Group(ソーニー・インベストメント・グループ)や、同社の創業者で会長のAlex Waislitz(アレックス・ワイスリッツ)氏などが名を連ねている。

2017年に設立され、2019年にサービスを開始したImmediationのユーザーには、オーストラリアの連邦裁判所、ビクトリア州民事行政裁判所(VCAT)、ニュージーランドの法務省、Sport New Zealand(スポーツ・ニュージーランド)Domain Name Commission NZ(ドメインネーム・コミッションNZ)などの機関が含まれている。同スタートアップによると、過去12カ月の間に、収益は前年比6倍、ユーザー数は2000%と、急成長を遂げているという。Immediationは現在、5カ国に約40名の従業員と、100名以上の調停者や仲裁者を擁している。今回の資金調達により、Immediationの調達額は1000万豪ドル(約8億5000万円)に達した。

オーストラリアとニュージーランドに加えて、Immediationは東南アジアの市場にもユーザーを抱えている。今後12カ月間は、米国と欧州の市場での成長に注力する予定だ。

Immediationを調停プラットフォーム(現在は法律事務所、法廷、解決機関のサポートも行っている)として起ち上げる以前に、創業者でマネージングディレクターを務めるLaura Keily(ラウラ・ケイリー)氏は、20年間にわたって企業弁護士や法廷弁護士として働いていた。彼女がオンラインの調停プラットフォームを作ろうと思ったのは「人々が司法に有効にアクセスできず、締め出されているのを目の当たりにしたから」だという。「法制度は複雑で、時間と費用がかかります。古いルールやプロセスに支配される旧態依然としたシステムで、拡張性がなく、非効率的です」と、ケイリー氏はTechCrunchにメールで語っている。

Immediationのクライアントの多くは、同社のプラットフォームを利用する前には、調停センターや裁判所で対面式のミーティングを行うという以外の選択肢はなかった。Immediationがそのプラットフォームを公開したのは、新型コロナウイルスの感染流行が発生する数カ月前、2019年9月のことだった。

「新型コロナウイルスの発生はターニングポイントとなりました」と、ケイリー氏はいう。「各業界が一夜にしてオンラインへの移行を余儀なくされる中、私たちのチームは迅速に方向転換して、法律業界の急を要する懸念に対処し、シームレスなオンライン移行のための青写真を提供したのです」。

2020年の間に、Immediationのユーザー数は2200%も増加した。その中には、数百の法科大学院が参加する初のオンライン開催となったWillem C. Vis International Commercial Arbitration Moot(ウィレム.C 模擬国際商事仲裁大会)の5日間にわたる500人規模の審理も含まれる。

Immediation創業者でマネージングディレクターのラウラ・ケイリー氏

Immediationは、物理的な法廷、調停施設、弁護士事務所のクライアントフロア、紛争解決環境を再現するために、弁護士によって作られたとケイリー氏はいう。そのツールには、審理の記録、文書の共有と管理、契約書の共同作成と締結、手続き中の弁護士とクライアント間の機密通信、当事者ごとに設定される安全な個室などの機能が含まれている。司法書士や調停委員は、個室内の参加者を管理できるため、必要に応じて関係者を移動させたり、退出させたりすることができる。

弁護士とクライアントの間の機密性を維持することは不可欠だ。Immediationは、安全なチャットルームとパーティールームを構築しており「関係者以外は誰もそのメッセージを見ることも、パーティールームに入ることもできないように設計されているので、クライアントと弁護士のチームは、訴訟手続きが本格化しても、自分たちのチーム間で完全に機密なコミュニケーションをとることができます」と、ケイリー氏は語っている。

Immediationは今回、Auctus Investment Group(アクタス・インベストメント・グループ)およびTamara Credit Partners(タマラ・クレジット・パートナーズ)の会長であるChristine Christian(クリスティーン・クリスチャン)氏を新しい会長に、Rachael Neumann(レイチェル・ノイマン)氏とGreg Wildisen(ウィルディーセン)氏を取締役に任命したことも発表した。同社はまた、Afterpay(アフターペイ)の会長であるElena Rubin(エレナ・ルビン)氏と、Rampersand VC(ランパサンド)の設立パートナーであるJim Cassidy(ジム・キャシディ)氏を諮問委員会に加えた。

画像クレジット:ARMMY PICCA / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)