ジャーナリングが可能な書く瞑想アプリmuuteによる学校共同プロジェクトがスタート、第1弾は9校の中高生約200人が参加

AIジャーナリングアプリ「muute」(Android版iOS版)を開発・運営するミッドナイトブレックファストは1月11日、生徒の自己理解力の促進やメンタルヘルス向上を目的とする学校共同プロジェクト「mutte for school β」の開始を発表した。第1弾として北海道、東京、静岡、大阪、高知から9校の中学校・高校より約200人が参加する。

ジャーナリングとは、欧米で人気のメンタル・セルフケアやマインドフルネスの手法のひとつ。頭に浮かんだことをありのままに書き出していくもので「書く瞑想」とも呼ばれる。自分の思考や感情、日々の行いを振り返り文字として書き出すことで心身の健康と自己肯定感の向上に効果があるという。muuteは、このジャーナリングを行えるうえ、書き出された内容や関連する感情や思考をAIが分析しフィードバックしてくれるアプリ。今まで気づけなかった自己の感情の揺れ動きや思考パターン、価値観などを発見できるとしている。

コロナ禍での生活により多くのストレスがかかるようになり、メンタルの不調を訴える人が増加しているという。若年層においても中程度のうつ症状を持つ子どもの割合が、高校生では30%、中学生は24%に上ることが明らかになっている(国立成育医療研究センター「『コロナ×こどもアンケート』第4回調査報告」)。

また学校現場では、自己の生き方や興味・関心のある分野を明らかにする「自己理解力」、必要な情報を収集し適切に整理・分析を行う「批判的思考力」、主体的に課題設定を行い解決に取り組む「主体的行動力」など非認知能力を高める取り組みが必要とされている。非認知能力とは、意欲・協調性・創造性・コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力のこと全般を指し、OECDでは社会情緒的スキルと呼んでいる。

具体的には、学習指導要領の改訂により、高校において2022年度から「総合的な探究の時間」という新科目が実施される。人権問題や気候変動といった多様な社会課題を考えながら、個人的な興味と関心を基に「自己の在り方生き方」を考え自ら課題を発見し解決することを目的とするものだ。しかし具体的な指導方法の前例が少ないため、多くの学校で授業内容を模索する段階が続いている。

ミッドナイトブレックファストは、若者のメンタルヘルスの影響や学校教育現場の実態から、生徒の自己理解力の促進やメンタルヘルスのセルフケア手法において何か施策を提供できないかと検討する中で、教育機関との共同プロジェクトとしてmutte for school βを開始することとなった。同時に、自己理解やメンタルヘルスに関する状態変化などの効果検証と、実際の学校教育におけるmuuteアプリの活用および導入方法を検討する取り組みとしても行われる。

プロジェクト参加校は、札幌新陽高等学校(北海道)、ドルトン東京学園中等部・高等部(東京)、三田国際学園中学・高等学校(東京)、日本大学三島高等学校・中学校(静岡)、追手門学院中学校・高等学校(大阪)、大阪夕陽丘学園高等学校(大阪)、常翔学園中学校・高等学校(大阪)、四條畷学園高等学校(大阪)、土佐塾中学・高等学校(高知)の9校で、参加者は中学1年生から高校3年生までの約200人。実施期間は2021年1月11日~1月31日。

WordPress.comのオーナー企業Automatticがプライベートな日記アプリ「Day One」を買収

Automatticは、MacおよびAppleモバイルデバイス向けの人気ジャーナリングアプリ「Day One」を買収し、オンラインライティングプラットフォームのラインナップを拡充する。Day Oneは、2011年3月にMacおよびiTunes App Storeでリリースされて以来、1500万回以上ダウンロードされており、ユーザーが自分の考えを共有できるプライベートな場所を提供、App Storeのエディターズチョイス、App of the Year、Apple Design Awardを受賞し、様々なレビューで賞賛を受けている。

買収の条件は公表されていない。Day Oneは10年間、自己資本のみで運営してきた。

Day Oneの追加は、Automatticの今増加中のライティングツールコレクションの興味深い拡張だ。同社のライティングツールといえば今やブログプラットフォームのWordPress.comとTumblrがその筆頭だが、後者は2019年にAutomatticが、その古びたソーシャルブログネットワークを親会社のVerizonから、同社の買値10億ドル(約1100億円)のほんの一部のわずかな金額で買い取ったものだ(TechCrunchTechCrunchはまだVerizonがオーナーだ)

関連記事:VerizonがTumblrをWordPressの親会社Automatticに売却

WordPressやTumblrのように公開することを重視したアプリとは異なり、Day Oneはプライバシーを重視している。このアプリはテキスト、メディア、さらには音声記録を含むすべての日記エントリーに対して、エンド・ツー・エンドの暗号化を提供する。また、自動バックアップ、Instagramの投稿の自動インポート、ボイストランスクリプション、テンプレート、リッチテキスト形式、位置情報、オプションである本へのプリントといった高度な機能や、Spotify、YouTube、Facebook、Twitterなどの他のプラットフォームとの統合も行っている。

Day OneがAutomatticに加わったことによって、ユーザーは本来プライベートな日記の一部をWordPress.comやTumblrで公開したり、近々、それらのコンテンツをDay Oneにインポートできるようになる。既存のTumblrユーザーにとっては、プライベートなエントリーを誤ってメインブログに公開するのではなく、より保護・バックアップされたライティングツールに同期するための手段としても有効だ。

Automatticの発表によると、買収後もDay OneのCEOであるPaul Mayne(ポール・メイン)氏がDay Oneの開発を継続する。12名のチームも、現在のままだ。

メイン氏はTechCrunchに次のように語った。「私たちは彼らのチームがスムーズに統合されるように努力しており、一緒になって集団的で強固な文化を作り続けることができます」。メイン氏によると、現在の顧客に関しては、移行プロセスというものはない。何もかも、これまでと同じだ。

メイン氏はブログで、Day Oneを売却した理由に触れている。それによると、WordPress.comやTumblrを支えている技術的、財務的、そしてセキュリティのメリットにDay Oneもアクセスできるようになるという魅力は大きいものだという。

「これはとてもエキサイティングなニュースです。Day Oneを立ち上げてからの10年間、私は世界で最高のデジタルジャーナリング体験を作るだけでなく、長く使っていけるものを作るために努力してきました。Automatticに参加することで、Day Oneの保存と寿命は確実なものになるとこれまで以上に確信しています」とメイン氏と語る。

メイン氏はまた、Day Oneのプライベート性を変更する予定はないが、このアプリは今後Automatticの他の製品と統合され、サブスクリプションモデルによって維持されることになると述べている。既存ユーザーには、価格の変更はないとのこと。

Sensor Towerのデータによると、Day Oneのモバイルアプリは全世界で440万インストールされている。2020年のインストール数は約99万3000件で、2019年の100万件以上から10%減ったが、このわずかな減少は、ユーザーが新型コロナウイルスによるロックダウン中に自宅のコンピュータからジャーナルを更新したため、デスクトップ版のダウンロードが増えたことが原因となった可能性がある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Day OneAutomatticWordPress.comTumblr買収アプリジャーナリング

画像クレジット:Day One

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)