App Storeはむら気なお友だちだ。それは王を任命する最高聖職者だが、その足元は、差別されのけ者にされ無視された者たちの涙で濡れている。
その気まぐれの好例がFlappy Birdの一件だ。このゲームアプリは無料アプリの首位をあまりに長く独占したため、その成功を自分で制御できなくなり、最後はセップク(切腹)して果てた。するとただちにクローンが3つ登場してその座を奪った。Miley Cyrusテーマの“Flying Cyrus”も、その一つだ。
世界最大のメッセージングアプリが2月19日に世界最大のソーシャルネットワークに買収された、というWhatsAppのニュースも、App Storeの新しいスターを生んだ。Telegramという、これまで騒がれたことのないメッセージングアプリが、Facebookの買い物ニュースのわずか5日後にApp StoreのランクでWhatsAppを抜いた。TigerTextやConfideなど、そのほかのメッセージングアプリも、やはり上昇した。
誰もが、この大量移動をFacebookに対する不信のせいにするだろう。Facebookのモバイルアプリはあまり人気がなく、TelegramやWhatsApp、あるいはSnapchatよりも順位が下だ。また、AppleやFacebookなどの大企業がNSAのユーザデータ調査に協力していたというEdward Snowdenの暴露以来、大きなプラットホーム全般に対する不信もある。
Telegramを作ったPavel Durovは、ロシアでFacebookと競合するVKontakteのファウンダだが、NSAにも読まれない、世界でもっとも安全なメッセージングアプリを目指している。先週のWhatsApp爆弾が落ちる前は、一日のダウンロード数30万から40万というペースで成長していた、とDurovは言う。
しかしそのニュースの後には、iOSとAndroidとWindows合わせて一日のダウンロード数がほぼ3倍増し、80万から100万になった。WhatsAppがダウンした日には、新規ユーザが180万増えた。昨日((米国時間2/23)のユーザ増加数は490万で、一挙にiOSアプリの4位にのし上がった。ちなみに1位から3位までは、Flappy Birdの亜流のようなアプリだ。
“Telegramを立ち上げた最大の理由は、ロシアのセキュリティ当局にアクセスされないコミュニケーション手段を作ることだった。その話なら、何時間でもできるよ”、とDurovは言う。Hacker Newsが何と言おうと、このアプリの暗号化システムは世界一最優秀だ、と彼は主張する。
Secretなどと同じく、ユーザの信頼が存立基盤である、まだ自己資本のみのTelegramは、ハッキングに成功した人には20万ドルの賞金を進呈すると公言している。“それはまだ誰も獲得していないが、12月には深刻な問題を見つけてくれたロシア人に10万ドル進呈した”、とDurovは言っている。
Telegramのいちばんクールな特徴は、Snapchatの写真のようにメッセージングの‘期限’を設定できることだ。この、つかの間チャット、短命チャットを利用するには、ユーザのアバターをクリックしたら出るメニューで “Secret Chat”をセレクトする。メッセージングの消滅時限を設定するには、同じくアバターをクリックして、2秒から1週間までのあいだでメッセージの存在期間を指定する。そうすると、チャットは自動的に蒸発して消える。
このところの急激なユーザ数の伸びに対して、ファウンダが平然とした顔をしているのもクールだね。3つのFlappy Birdクローンを全部抜くにはどうやるか?という本誌の質問に彼は、ジョークで答えた: “鳥たちをやっつけたくはないね。ぼくはベジタリアンだから”。
情報開示:私はFacebookの株を保有している。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))