オンラインメガネ小売業者の多くは、購入の前に自宅で試せるように、選ばれたフレームのセットを送ってくる。このモデルを有名にしたのは米国のWarby Parkerと、欧州のGlassesDirectだ。とはいえ、購入したいものと全く同じフレームを送ってくることで、メガネをオンラインで買おうとする際の実際の購入率は上昇するものの、これは非常にコストのかかる手法である。
配送のコストだけでなく、フレーム返送のコストも必要で、さらに多くの余分な在庫を抱えている必要にも迫られるからだ。これがイタリアのメガネスタートアップ、Quattrocentoが直面した問題だった。そこで創業者たちはおそらく素晴らしい代替手段にたどり着いた。それが紙試着(paper try-on)だ。
具体的には、Quattrocentoは、顧客に対して最大5つの段ボール製のレプリカフレームを、自宅またはオフィスに送ってくる。このレプリカによって、実際にプロダクトを購入する前に、フレームのフィット感を試すことができる(もちろん、限られた範囲で見た目も)。
私は約1年前に、このアイデアのプロトタイプを試す機会に恵まれたが、これはとても良いものだと言える。ビジネスの観点から見た紙試着の利点には、低コストの製造と配送、そして返送が不要であるという点などが含まれる。また顧客がその手元に残ったレプリカを友人に見せたりすることもできるので、それはまたとても巧みなマーケティングツールだと考えることができる。
もちろん潜在的な欠点もあって、これは本物に比べれば購入率が良くないだろうということだ。Quattrocentoの初期のテストでは、購入率は12%だったということだ、ちなみに実際のフレームを使った場合は約37パーセントというのが業界の常識である。これは大きな違いのように見えるかもしれないが、上にも説明したように、それはリンゴとオレンジを比べているようなものだ。
「私たちが、競合他社を知っている業界の専門家と話していると、彼らはこれらのKPIに感銘を受けている」とQuattrocentoの共同創設者エウジェニオPUGLIESE氏は語る。「私たちが、このより魅力的でスマートな新しいトライアル方式を発明したのです。私たちが出荷するのは紙のメガネなので、嵩張る在庫は必要ありません。出荷のコストは手紙を送る場合と同じです。そして物流のコストや追加の顧客対応も不要になります」。
Puglieseによれば、ある顧客から特定のQuattrocentoメガネの寸法についての電話を受けた際に、このアイデアを思いついたということだ。「会話の途中でそのお客さんは、私たちのウェブサイトに掲載されたフレームの写真を印刷したと言ったのです。そのとき私は自問しました『紙のモデルを作ったらどうだろう?』と」。
もちろんそれは「ある程度の重み、厚さ、そして可塑性のある」上質の紙で作られる必要があり、そしてその紙モデルはフレームが顧客の顔の寸法にどれくらいきちんとフィットするかを知るための代理人として、送られることが必要だった。こうして、この紙試着が生まれたのだ。
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(翻訳:Sako)