神戸市がヘルステック強化へ、医療系に特化したアクセラレータープログラムの募集開始

神戸市は7月29日、米国シリコンバレーのVC(ベンチャー・キャピタル)である500 Startupsと共同で、「500 Startups Kobe Accelerator」の募集を開始した。今年で4回目となるアクセラレータープログラムで、過去3回で計56社のスタートアップを育成し、資金調達額は計80億円超となっている。

アクセラレータープログラムの正式名称は「500 Startups Kobe Accelerator with a focus on Health」。過去3回は特にジャンルを決めずデジタル分野全般を対象としていたが、今回はヘルステック関連に絞ったスタートアップ育成に特化する。

神戸市は、雇用の確保や経済活性化、市民の健康・福祉の向上、そしてアジア諸国の医療技術向上への貢献を目的とし、阪神・淡路大震災の震災復興事業として1995年から神戸医療産業都市という取り組みを進めている。

具体的には、医薬品、医療機器再生医療を重点的な研究分野として、研究機関、医療機関、企業などの誘致や共同研究などを実施。同市によると、現在約350拠点の先端医療の研究機関、高度専門病院群、企業や大学の集積が進んでいる。

この取り組みの一環として神戸市が開発した人工島であるポートアイランドには、先端医療研究センター、神戸臨床研究情報センター、国際医療開発センター、神戸ハイブリッドビジネスセンター(レンタルラボ施設)などが集まっている。これらの施設にら、神戸空港からはポートライナーを使って1〜2駅、10分以内に行けるという立地のよさは注目だ。

今回のアクセラレータープログラムは、この神戸医療産業都市の目的に沿ったかたちで開催される。選抜されたスタートアップは、神戸市が主導することにより、通常は難易度の高い医療機関や医療系企業との連携や情報共有が可能になる見込みだ。

募集期間は8月31日までで、専用ウェブサイトで参加者を受け付ける。書類と面談で選考を進め、最終的には約20社に絞り込む予定だ。同プログラムは、すべて英語(日本語同時通訳あり)で実施され、海外からの参加申込も積極的に受け付けている。昨年は海外スタートアップが半数を超え、全体では237社が集まったとのこと。なお、8月5日19時〜20時30分にはオンライン説明会も開催する。この説明会では、概要説明のほか、過去参加者によるQ&Aなどが予定されている。

参加資格は以下のとおり。

  • 国内および海外の起業家または起業家候補
  • シード(最小限のプロダクト・モデルを開発済み)、アーリー(製品開発済み、顧客あり、第三者からの投資を獲得する段階)のステージ
  • 診断・治療支援、病院等の業務改善、健康増進、栄養管理、介護支援、障害者支援などヘルステック(医療機器などハードウェアを含む)でベンチャーキャピタルなどの外部資金が調達可能なビジネスを持っている(創薬や医療機器の一部のように事業化までに数年を要するものは対象外)
  • すでに製品やサービスを持っており、チーム活動しているスタートアップを推奨

プログラム期間は11月4日~12月16日までだが、前半2週間(11月4日~11月15日)、後半2週間(12月2日~12月13日)に分かれる。最終日の12月16日は、デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITO(神戸市中央区小野浜町1-4)でデモデイが開催される。