イスラエルは技術革新の国として既によく知られている。ここ数年だけを見ても、イスラエルからはWaze、Viber、Fiverrといった消費者向けの人気スタートアップが誕生している。さらに、イスラエルはUSBメモリや冠動脈ステントなど、多くのハードサイエンス分野の発明が誕生した場所でもある。
しかし、現在イスラエルはちょっとした岐路に立っている。前述のような技術的な「勝利」を見せびらかしたいと考えている一方、これからもイノベーションを生み出す続けることが出来なければ、過去にすがっていてもしょうがないとも考えているのだ。
その解決策とは、過去の成功体験を使って次世代の発明家や起業家を刺激することだった。
それを実現するための方法のひとつが、ヤッファ(Jaffa)のPeres Peace House内にある、イスラエル前大統領Shimon Peresが建てたIsraeli Innovation Centerだ。
本日発表されたこの施設は、既にイスラエルに存在する発明品や企業、さらには未だ開発されていない未来のイスラエルのテクノロジーにスポットをあてることとなる。
しかし、この施設の目的は、イスラエルについての自慢話をすることだけではない。実際のところ、Peres前大統領はその目的について、イスラエルがイノベーションを生み出しつづけることを促進することだと述べている。
Israeli Innovation Centerは、未来への道筋を一番重要視しており、私たちはイノベーションには制限や障壁がないことを証明しようとしています。イノベーションは、国家や民族を超えた対話を実現し、ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒など宗教を問わず、イノベーションによって全ての若者が平等に科学やテクノロジーに携わることができるのです。この施設で私たちは、幼少期から平和を推進することができると強調すると共に、全ての少年少女の想像力を刺激しながら彼らの夢を育んでいきたいと考えています。
前イスラエル大統領 Shimon Peres
彼らはどのようにPeres前大統領の言う夢を実現していくのだろうか? まず、施設の一部は「主要なイスラエル企業の紹介」と、さまざまな業界にわたるイスラエルの発明品の紹介に割り当てられる。
しかしもっと重要なのが、コミュニティースペースとして利用される予定の残りのスペースだ。ここでは、起業家が顔合わせ、一緒に働き、学ぶことを目的としており、ハッカソンに参加することもできる。Peres前大統領は、この場所では旧来の学校や大学では行っていない、実践的な経験学習をすることができると強調した。
彼は、テクノロジーこそがより良い社会を作り、世界に平和をもたらす一番の方法だと考えており、次世代の発明家や起業家が刺激を受けつつ、そのような世界を作りだせるようにトレーニングが受けられるような環境を整えたいと考えている。
そして、開所式に出席していた主賓の顔ぶれを見ると、この施設がイスラエル全体にとって最も重要なテクノロジーセンターになろうとしているのがわかる。イベントには、イスラエルの3大重要人物である前大統領Shimon Peres、現大統領Reuven Rivlin、そして現在の首相のBenjamin Netanyahuが出席していたのだ。
実際に、3人はVRヘッドセットを式典中に試し、Peres前大統領はVR体験が「全く新しいもの」であり、「新しい現実世界を創るのに必要な夢を生み出すことに繋がるかもしれない」と語った。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)