この数年、イベント運営をインターネットでサポートするサービスが数多く出てきている。特にイベントのチケットの販売までできるようになったのはイベントを運営する身としてはとてもありがたく思う。PeaTiXはそのうちの1つで、一昨年からそのサービスをスタートさせている。
イベント参加者にチケットを事前に購入してもらえるのは、運営側としてとても効率のいいことなのだが、チケット販売手数料がかかってくるのが運営側として頭の痛いところだろう。そこでPeaTixはその手数料を現在のチケット代金の6パーセントから大幅に引き下げて、2.9パーセントにする(ただし、チケットが決済される際のトランザクション料金70円はそのまま変わらない)。適用されるのは2月9日の午前2時9分以降のイベントとなる。
PeaTiX CEOの原田卓氏によれば、ソーシャルグッドなイベントの運営者は、儲けを生むためにイベントを開催しているわけではないことも多い。なのでPeaTiXは以前から社会貢献のイベントはチケット販売手数料は3パーセントとほかのイベントとは違う価格を設定していたのだという。そもそも個人が主催するような小さなイベントは儲けそのものよりも、集客の便利さやイベント運営の手間を省くためという意味合いも多いので、手数料を払うというのが足かせとなってサービスが利用されなくなるケースというのが多かったのだそうだ。なので、とにかくサービスを利用してもらうための敷居を下げるために、手数料をどこよりも最安値にしたかったのだという。
PeaTiXはプロの興行で使われるチケットサービスとしても利用できなくはないが、彼らの狙っている市場はどちらかといえば個人や小規模なイベントを活性化させるようなロングテールのビジネスを考えている。勉強会もそうだが、結婚式の二次会だとか同窓会だとか大人数の飲み会など、日常にあるイベントに利用してもらおうということだ。
チケット手数料を下げた分、PeaTiXで管理されるイベントの数を増やしたいというのが狙いだが、彼らは手数料だけでその収益をあげようとしているわけではない。イベントをサポートする周辺のサービスもビジネス化しようとしている。たとえば、O2Oによるイベントの協賛企業を集めるといったことも視野に入っている。イベントに参加した人にそのイベントが開催されている周辺の店舗の割引クーポンを提供することで、クーポンから売り上がった売上の一部を企業から協賛費用としてもらう。それをイベント主催者とPeaTiXとで折半するといったことも考えている。これが実現すれば、イベント主催者は手数料以上の売上をあげられるかもしれない。
こうなってくるとEventRegistやWazoo、everevoなどの競合もより高度なサービス化を実現するか、手数料を引き下げざるを得ないのかもしれない。
PeaTiXはすでに500 Startupsから出資を受けるなど北米への道のりを進めているが、この春にはニューヨークに進出し、シンガポールにも拠点を置くという。北米ではEventbriteのように昨年に6億ドルものチケット売上を実現する企業も登場しているが、PeaTiXはアジアを中心に市場を広げようとしている。