ちょっと前まで、「性教育」(birds and the bees)といえば、たとえば「生命の不思議」(The Miracle of Life)をビデオデッキに入れておくという形でなされていた。しかしワールドワイドウェブが誕生し、インターネットポルノも溢れるようになった。そんな時代、性教育のあり方も変わりつつあるようだ。
1000組の親を対象としたある調査によれば、インターネットの影響を考慮して、80%以上が自分たちが性教育を受けた時期よりはやめに、子供たちに知識を伝えようとしているのだそうだ。平均すると10歳くらいの時期に性や性行為について子供たちに伝えているのだとのこと。
これは、親の世代と比較してみると5年もはやい時期に性教育を行っていることを意味する。性教育がゆっくりで良かった時代の両親たちは、そもそも親子でセックスに関する話などしたことがないという人も多い。
確かに、親子で話をする際に、もっとも扱いに困るもののひとつが「ポルノ」関係だろう。しかしSnapchatなどでも興味本位の画像が流れたりする中、ネットやテレビで性に触れる前に、きちんとした教育をしておくべきだと考える親が増えてきたようなのだ。
別の調査によると、8歳から18歳の子供たちは、1日に7.5時間もネットやテレビなどに触れているとのこと。すなわち両親や、あるいは教師などと触れ合う時間以上の時間をメディアコンテンツに接して生活しているということになる。
インターネットを使ったり、テレビを見る時間を制限しても、たとえば友達の家で見てくるというケースもある。また持たせたスマートフォンの利用を制限するというのも、ほぼ不可能な話だ。また、そもそも半数以上の子供たちは、課された時間制限など守りはしないという調査結果もある。このような状況の中、たとえ積極的に話題にしたいわけでなくても、子供たちと性の話をすべきであると考えている人は10人中8人になるのだそうだ。
もちろん、気まずい中ですべてをお互いを見つめながら話す必要はない。たとえばiPad用のBirdeesなどが、赤ん坊はどうしてできるのかという話の導入部分を受け持ってくれる。また子供たちがGoogleで性に関する単語を検索してみるように「how to talk to your kid about sex」(子供と一緒にセックスについて話す方法)などを検索してみれば、ヒントを得ることもできるだろう。
Futures Without Violenceや司法省の女性に対する暴力を扱う部門(Department of Justice’s Office on Violence Against Women)が運営しているThatsNotCool.comなども、友人やパートナーとの健全な関係の保ち方などについてヒントを与えてくれる。
チャットなどで性に関する話題を扱い始める前に教育を与えておくのは悪いことではないはずだ。またMTVのIt’s Your Sex Lifeのサイトで展開しているGet Yourself Testedなどのページも、セックスによって「病気」になることもあることを学ぶことできるようになっている。もちろん「寝た子を起こす」論もあるわけだが、しかし性教育の一般化や無料コンドーム配布の試みなどを通じて、十代の妊娠は史上最少になってもいるのだ。
中絶反対論の立場にたつ人も、性教育の必要性をもっと積極的に認めるべきかもしれない。中絶件数も歴史的に見てかなり低いレベルになっているのだ。妊娠を防ぐための教育や議論、あるいはピル利用の一般化などによって、望まない妊娠は確かに減りつつあるようなのだ。
若いうちにセックスについての話題に触れることが、精神的にどのような影響をもたらすのかについてはわからないこともある。しかし大量の情報が溢れる現在、子供たちに知識を持たせる必要はあるはずだ。そのことを考えた時、興味本位の偏った情報を与える可能性のあるネットに任せるよりも、子供を世に送り出した者が、知識を伝える役割を担うのが適切だと言えるのではないだろうか。
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(翻訳:Maeda, H)