エン・ジャパンは7月13日、国内の中堅・中小企業の営業やバックオフィスなどのデジタル化を支援するDXソリューション事業を展開することを発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、テレワークや電子署名などをはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが高まっている一方で、同社の主要顧客である約15万社の中堅・中小企業は資金不足や人材不足で、DX化になかなか踏み切れない状況を打破するのが狙い。
エン・ジャパン単独で顧客のDX化を進めるわけではなく、スタートアップ企業などとの協業によって実現していく点が特徴だ。投資規模は100億円を想定している。なお直近では6月に、経営者マッチングプラットフォーム運営のオンリーストーリーに出資。XTech Ventures(XTech1号投資事業有限責任組合)とともに共同リード投資家を務めた。
同社はテレビCMなどでもおなじみの転職サービスや、Engageなどの採用支援ツールなど、HRテック事業の知名度が高い企業。現在では、入社後のオンボーディングフォローアップサービス、動画面接ツール、タレントマネジメント、EラーニングなどのHR系のサービスを拡充している。
その一方で2020年3月に、外資コンサルタント会社や投資銀行出身のメンバーを中心としたベンチャー、スタートアップ企業とのアライアンス・出資を推進する社長直轄の部署を新設。8月にはITコンサルティングファーム出身者などで構成されるDXソリューションチームの設置も決まっている。
同社社長の鈴木孝二氏は今回のDX事業立ち上げについて「エン・ジャパンは3年前からオンラインセールス課を設け、社内のDX化を進めてきました」と語る。オンラインセールス課の成果やノウハウをを同社の顧客に対してセミナー形式で公開しており「テックドリブンで事業を進めているIT系企業にこういった営業ノウハウは意外にも喜ばれる」とのこと。
また新型コロナウイルスの影響もあり採用事業は一変し、「人をどんどん採用して成長させるだけでなく、さまざななツールを駆使してスタッフを増やさずに事業を成長させたり、守ったりすることも重要になってきた」と同氏。
今回100億円規模の資金をスタートアップに投資することについて鈴木氏は「エン・ジャパンの財務体力を考慮した枠は200億円ぐらいですが、その半分をHR領域以外に投資していきたい」とのこと。オンリーストーリーへの投資で共同リードとなったことからもわかるように「張って当たればいいという出資ではなく、出資比率高めで各スタートアップ企業にコミットしていく」と鈴木氏。HR事業に並ぶ柱として同社は、スタートアップ企業との協業やM&Aなどにより中小企業のDX化を強力に進めていく方針だ。