今日のオンライン教育は1600億ドル以上の産業だが、成熟し続けるにつれて、必然的に起きる満ち干きがある。TechCrunchが知った最新のニュースは、Sebastian Thrunによって共同創業された10億ドルスタートアップのスタートアップUdacityが、世界中の複数のオフィスから、8月以降およそ5%のスタッフを静かに解雇していたということだ。UdacityはAIとコーディングからデジタルマーケティングのハウツーに及ぶ様々な技術分野の「ナノ学位」(nonodegrees:単科認定制度。Udacityの用語)の提供を得意としている。
「8月には、世界的な従業員の5%が、慎重に検討された戦略的なビジネス上の決定に基づいて解雇されました」と、広報担当者は電子メールを介した声明でTechCrunchに語った。「この異動全体で、私たちは元従業員および現従業員たちを支援し続けています。当社のビジネスは成長を続け、シリコンバレーに加えて、インド、中国、ドイツ、ブラジル、エジプト、そしてアラブ首長国連邦にオフィスを構えています。私たちは引き続き、重要な役職を採用しています」。
同社は、世界各地にいる従業員の正確な人数を、500人以上であるということ以外、公表していない。ともあれこのことからわかることは、今回の解雇はおよそ25人の人に影響を与えたということだ。これはもともとの情報源から得られていた情報と一致する。
Udacityで現在レイオフを推進している力が、既存のビジネスに関連してものか、あるいは将来的に計画されているもののどちらから生じているのかははっきりしない。
Udacityは、その6〜12ヶ月のナノ学位プログラムに、5万人以上の学生が登録していると語っているが、その数字はほぼ1年の間更新されていない。その数字が発表されたのは、同社の方針転換に大きな力を発揮したCMOのShernaz Daverが、Udacityを去った頃のことである。
Udacityによれば、全体としては、プラットフォーム上の登録学生の数はこれよりも多く1000万人を超えていると言うが、この数には企業とのパートナーシップや、1回きりの無料コースのアカウントも含まれている。Udacityは、Google、Facebook、Amazonなどの企業と協力してカリキュラムを開発しており、Accenture、AT&T、Bank of America、GE、Fordなどが顧客として名を連ねている。
同社は2017年に7000万ドルの収益を上げたが、今年はどのような取り組みを進めているのかの指針を示していない(この7000万ドルという数字は、UdacityのCEOであるVishal Makhijaniが、IPOを目指していることを示唆した今年2月に初めて公表されたものだ)。
資金調達面では、2015年以来Udacityは資金を調達していない。その最後のラウンドは、出版社のBertelsmannがUdacityの10億ドルの評価額を受けて主導した、1億500万ドルのラウンドである。その他、Andreessen Horowitz、Ballie Gifford、Charles River Ventures、Cox EnterprisesそしてGVといった投資家たちからこれまでに集めた資金は1億6300万ドルになる。
オンライン教育の分野には多くの企業が参入してきている。これはウェブが始まった頃からあの手この手で提供されてきた形態である。そして実際それは、もっとも初期のインターネットの背後にあった意図に沿ったものであると言うこともできるだろう。「教育」全域にまたがるものを提供することの中には、単一コース、完全な学位、専門的教育、カジュアルな趣味、ゲーム化した子供向けの教育などを、ビデオ、モバイル技術、VR、AIを使用して、コースやカリキュラムを調整しすることが含まれている。それらのコースやカリキュラムは学問的ならびに教育的権威から承認を受けたものでなければならず、その他にも学習をより継続的で効果的なものにするために多くのことが必要とされている。
Udacityは、その活動範囲に対して、多くの競合を抱えているが、その中でも目立つものには、Coursera、Lynda(現在LinkedInとMicrosoftの一部)とKhan Academyがある。
2011年の開始以来、Udacityはその進化の中でいくつかの異なる役割を果たして来た。同社は当初、”MOOCs”(Massive Open Online Courses:大規模オンラインコース)の早期提供者の1つとしてスタートした。Thrun(上の写真。David StavensならびにMike Sokolskyと一緒に同社を共同創業した。なお他の2人はもう会社を去っている)はStanfordでのAI教授の座を辞してUdacityを創業した。そのきっかけは、彼が自分が開設した無料のオンラインコースに16万人もの学生が登録したことだった。
初期の頃、高等教育機関はUdacityと緊密に連携していたが、例えば州立サンノゼ大学と行っていたパイロットプロジェクトが中断された(合格率が低かったため)等の問題を受け、2013年からはそうした連携からは距離を置くようになったように見える。
その代わりに、同社はGoogleのような、多数の大手技術会社との協業を開始し、高齢者や既に職場に配置されている従業員のための、新しいコースのセットを開発している(なおThrunはGoogleの初期の自動運転車の技術に貢献している)。その方向転換は、インドのようなさらなる市場へ視野を広げることになり、その時点では同社が利益を上げるために貢献した。
その後、ThrunはCEOを辞任し(現在は社長)、その役割はCOOだったMakhijaniによって引き継がれた。彼の下で、さらに集中を行ったように見える。その最初の買収だったCloudLabsの獲得で、より深いコーディング体験を追求している。また同社は自身による自動運転車のプログラムを分離しVoyageと改名したが、現在それは独自のビジネスを展開している。今回の動きは、何が来るにせよUdacityが次を目指して踏み出す1ステップなのだろう。
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(翻訳:sako)