スキルマーケット「ココナラ」などを提供するココナラは2月9日、同社全額出資により新会社のココナラスキルパートナーズ(以下、CSP)を設立し、ベンチャーキャピタル事業を開始すると発表した。
CSPには、スキルのマッチングを手掛けてきたココナラならではの特徴がある。それは、通常のVCのように投資先に対して資金を注入するとともに、高度な専門スキルをもった「スキルパートナー」と起業家のマッチングして付加価値を提供するという点だ。創業から上場までを経験した起業家であるココナラ創業者の南章行氏のほか、ソフトウェアエンジニア、デザイナー、コンサルタント、弁護士といった専門家(現時点では10人)が起業家のサポートにあたるという。
CSP設立を発表した記者会見のなかで南氏は、「これまでにも起業家を応援したいと思う専門家はたくさんいたが、報酬スキームが成り立たないという点で実現が難しかった。CSPではそこを解決する」と話す。
CSPでは、通常8割程度とされる投資収益に対するLP(出資者)の取り分を7割程度とし、その分を専門家への報酬に充てる。LPの取り分は減るが、成功するかどうかの瀬戸際にあるスタートアップへスキルの支援も行うことで、全体の成功確率が引き上げられ、最終的な投資収益も増加するというのが同社の主張だ。
記者会見に同席し、CSPにLPとして出資するドローンファンド代表の千葉功太郎氏は、「スタートアップに流れるリスクマネーは増え、一昔前に比べると『お金を供給する』という観点では環境が整ってきた。放っておいても成長する1割のスタートアップがいる一方で、9割のスタートアップは消滅してしまう。起業家は総じてゼネラリスト集団であり、彼らには専門家が必要だ」と話した。
「(CSPを通じて)創業時のイメージである『主婦の副業500円』というイメージではなく、高度なスキルを含むあらゆるスキルのマッチングを行う企業としてのブランディングを確立すること。高度なスキルがスタートアップ業界に流れ込む道筋を作り経済の発展に寄与すること。新しい働き方を提示することでスキルを磨く方々の新しいロールモデルを作ること。この3つがココナラが新しくベンチャーキャピタル事業を始める理由です」(南氏)
CSPは現在ファンドレイズを行っている最中であるが、最終的には10~15億円程度のファンドサイズを目指すという。シード、アーリーステージのスタートアップへの協調投資を原則とし(複数のVCで1つの起業に投資を行い、CSPはリード投資家にはならない)、1件あたり1000~5000万円程度を出資していくという。