Vista Equity Partners(ビスタ・エクイティ・パートナーズ)が2017年にバックアップおよびディザスターリカバリーの会社であるDatto(ダット)を買収したとき、同社の話題はこれで終わりだと思ったかもしれない。同社はプライベートエクイティのために金を稼ぎ続けるポートフォリオの中に心地よく吸い込まれるはずだったが、実際のVistaのやり方はそうではなかった。Vistaは会社を築き上げる傾向があり、時には最後に株式を公開する。Dattoが9月29日にS-1を提出したのはそれに当てはまる。
Dattoは買収されて以来忙しく、健全に5億700万ドル(約540億円)のARR(年間経常収益)を計上し、1万7000のマネージドサービスプロバイダー(MSP)の顧客を抱える。そのうち10万ドル(約1060万円)以上のARRで貢献している顧客が1000社以上ある。MSPは、社内リソースがない会社のIT部門として機能するサービスプロバイダーだ。
同社は公開時の調達予定金額として、標準的な金額である1億ドル(約106億円)を記載しているが、まず確実に変わるはずだ。マネージドサービスプロバイダーの顧客ベースを考慮して会社のティッカーシンボルはMSPになる。
同社が2015年にシリーズBで7500万ドル(約80億円)を調達したとき、創業者でCEOを務めていたAustin McChord(オースティン・マッコード)氏は、Vistaにドアノックされた2年前の時点でDattoはすでに利益を上げていたと述べた。「高収益企業として、Dattoは(既存)事業のために資金を調達するのではなく、新市場に参入し、新製品や新技術を開発するために資金を調達するのだ」と同氏は当時の声明で述べた。
同社の財務数値を見ればそれがわかる。2020年の最初の6カ月で、サブスクリプションの売上高は2億3400万ドル(約250億円)、粗利益は1億7800万ドル(約190億円)だった。販売、マーケティング、その他のコストを加味した純利益は1000万ドル(約11億円)だった。2019年の同じ期間のサブスクリプションの売上高は1億9600万ドル(約210億円)、粗利益は1億4300万ドル(約150億円)、純損失は約2600万ドル(約28億円)だった。
つまり、同社はトップラインの売上高を伸ばし、コストを一定に保ち、その他の費用の増加をコントロールし、純利益への影響を限定することに成功した。これにより1株当たり純利益はマイナス0.19ドル(約マイナス20.1円)から0.07ドル(約7.4円)に変動した。
もちろんDattoのような企業は公開に備えて常に数字の見栄えを良くしようとする。次の数四半期にわたり、Dattoが成長を続け経費を抑えることができるかどうかを観察して初めて本当の理解が得られる。
昨年VistaのシニアマネージングディレクターであるAlan Cline(アラン・クライン)と話したとき、VistaはDattoのような高いパフォーマンスを出しているスタートアップを好む傾向があると述べた。
「ソフトウェアはテクノロジーを内側から革新する最も簡単な分野だ。エンドビジネスの顧客にもたらす生産性の点で大きな利点がある。また、高いROI(投資利益率)は非常にパワフルだ。アップマーケットでもダウンマーケットでも、顧客に対し『当社のソフトウェアを使えばもっとお金が稼げる』とか『もっとお金を節約できる』ということを証明できれば、顧客は予算を確保してくれる」とクライン氏はTechCrunchに語った。
ちょうど昨年、Vistaのポートフォリオの別の会社であるPing Identity(ピンアイデンティティ)が同じ1億ドル(約106億円)での公開を申請し、最終的に1株当たり15ドル(約1600円)で1250万株を売り出した。現在、同社は1株当たり31.68ドル(約3360円)で取引されており、時価総額は25億ドル(約2650億円)を超えている。
画像クレジット:coffeekai / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)